説明

流体クイックコネクタの汚染保護カバー

【課題】汚染物が開口端部へ入るのを防止する汚染保護カバーの提供。
【解決手段】この汚染保護カバーは、開口端部を通ってハウジングのボア中に挿入された筒部を着脱可能にラッチさせるための、クイックコネクタハウジング内に配置されたリテイナーを有している流体クイックコネクタのためのものである。この汚染保護カバーは、ハウジングに装着可能であり、また、筒部がハウジング中に挿入された後にハウジングの開口端部のところに筒部をシール係合させるために、筒部の外面にシール係合可能な幅を有している。この汚染保護カバーは、ソフトなデュロメーター材料の内層と、この内層に結合された硬質のデュロメーター材料の第2の外層とで形成された2つの本体部分を有している。第2の外層は、内層を、かくして汚染保護カバー全体を流体クイックコネクタハウジングに装着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、流体部品をカップリングさせる流体クイックコネクタ、より詳細には、クイックコネクタのための汚染保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
スナップ適合式の、即ち、クイックコネクタは、幅広い用途で、特に自動車および工業的用途で流体搬送導管を結合するために、使用されている。このようなクイックコネクタは、管状導管のような雄型コネクタ部品を、雌型コネクタ部品、即ち、ハウジングの相補的な孔内に取着するために、リテイナー、即ち、ロック部材を使用している。このようなリテイナーは、代表的に、軸方向に移動可能あるいは径方向に移動可能なタイプである。用語“軸方向に移動可能”あるいは“径方向に移動可能”は、雌型部品を貫通する軸方向の孔に対する方向について述べている。
【0003】
軸方向に移動可能なリテイナーを備えた典型的なクイックコネクタでは、リテイナーは、雌型コネクタ部品のハウジングの孔内に装着されている。このリテイナーは、径方向に角度をなして延びかつハウジングの孔の軸方向中心線に向けて内方へ延びている複数の脚部を有している。雌型部品の孔内にシールするように設けられるチューブ、即ち雄型部品は、リテイナー脚部の内周面に当接する径方向に裏返した部分、即ちフランジを有している。雄型物品がハウジング内のリテイナー脚部とロック係合されたときにハウジングと雄型部品との間にシールを形成するために、孔内には、軸受け、即ちトップハットだけでなく、典型的にはシールおよびスペーサ部材が、リテイナーより前に設けられている。
【0004】
径方向に移動可能なリテイナーもまた公知であり、このタイプのリテイナーは、雌型部品ハウジング内の主透孔に対して横方向に形成され互いにアラインメントされたボア、即ち、アパチャを通って径方向に移動可能である。この径方向に移動可能なリテイナーには、典型的には、雄型コネクタ、即ち、導管が雌型部品の孔内に完全に着座されたときにのみ裏返した部分、即ち、フランジの後ろを摺動するようなサイズおよび位置付けにされた1対の付属脚部が設けられている。これにより、導管が雌型部品の孔内に完全に挿入されたときにのみ径方向移動可能なリテイナーが雌型部品中に完全に挿入され得るため、導管が完全に着座されたことを示すだけでなく、導管が雌型部品と正ロック係合され得る。
【0005】
車両ブレーキの流体接続において、高圧のブレーキラインは、代表的に、2つの高圧ラインを一緒に接続させるためにねじ接続を使用する。雄型並びに雌型のねじ接続部は、特定のトルクに適切に整合され締め付けられなければならない。このような組み立てには注意を要し、全体的な組み立て時間を長くする。
【0006】
本発明の譲受け人は、拡大可能な円錐状の保持リングがクイックコネクタハウジングの一端部の円錐状のリセス内に装着された高圧のクイックコネクタを以前に考えている。この保持リングは、ハウジングの開口端部を通って挿入される筒部の拡大フランジ、即ちビードに接触することで、リセスに沿って角度をなして径方向外方に拡大並びに移動し、この結果、ビードを、保持リングの先端部を通って挿入可能にする。次に、保持リングは、筒部をハウジング中にしっかりとラッチさせるように筒部のビードの外面と接触することで収縮する。
【0007】
このクイックコネクタの配置、並びに他のクイックコネクタが、筒部とクイックコネクタハウジングとの間に効果的なラッチ係合を与えるが、汚染物がクイックコネクタハウジングの開口端部中に入り、ハウジング内のシール部品と保持リングとを潜在的に腐食し、早まって故障させ得る心配が未だ存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かくして、流体クイックコネクタのための、簡単に装着可能な汚染保護カバーを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、流体導管をこれと係合する流体作動部材に装着させるのに使用される高圧の流体クイックコネクタの汚染保護カバーである。
【0010】
一態様において、この流体クイックコネクタは、一端部から離間した環状の拡大フランジを有する筒部と流体作動装置とを流体的にカップリングする。この流体クイックコネクタは、第1の端部と第2の端部との間に延びている透孔を有するハウジングを備えている。角度をなしたリセスが、ハウジングの第1の端部の少なくとも近くでハウジング内に形成されている。
【0011】
リテイナーが、前記リセス中に装着されており、このリテイナーは、環状フランジをリテイナーの導入エッジに通過させ得る、ハウジング中への筒部の挿入の間に、筒部の環状フランジと接触することによって、第1の位置から第2の位置へと移動可能である。第1の位置は、リテイナーがハウジングの第1の端部を通って挿入された筒部の環状フランジと干渉するような位置である。リテイナーは、筒部の環状フランジが、筒部をハウジング中にラッチするようにリテイナーの導入エッジを通過して挿入された後に、第1の位置に移動可能に戻る。
【0012】
前記リテイナーは、本体の円錐形状のリセス中に装着されている。このリテイナーは、透孔を有した円錐形状の本体を有している。不連続部が、この円錐形状の本体に形成されており、また、円錐形状の本体に、広がることのできる第1並びに第2の端面を形成している。
【0013】
一態様において、汚染保護カバー手段が、第1の端部を通ってハウジングのボア中に挿入された筒部をシール係合するように、ハウジングのエンドフランジ全体に渡って装着可能である。
【0014】
前記汚染保護カバー手段は、ソフトなデュロメーターの環状の第1の部材と、この第1の部材をハウジングに保持させるために、第1の部材に固定可能な硬質のデュロメーターの第2の部材とを有している。第1の部材は、この第1の部材をハウジングのエンドフランジと筒部のシール係合可能な部分とに装着させるための装着手段を有している。
【0015】
前記結合手段は、第1の部材と第2の部材とを結合させるために与えられている。この結合手段は、第1の部材と第2の部材との対面部分に形成されたインターロック式の突出部とスロットとを有している。
【0016】
この汚染保護カバーは、汚染物がクイックコネクタハウジングの開口端部へと入るのを防止する。このカバーは、クイックコネクタに容易に装着される。
【0017】
本発明の様々な特徴、効果、並びに他の使用は、以下の詳細な説明並びに図面を参照することによりより明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面、特に図1ないし図6には、本発明と使用され得る流体クイックコネクタ10の一態様が示されている。この流体クイックコネクタ10は、種々の高圧流体の適用において使用され得るが、高圧の車両ブレーキラインの適用における流体クイックコネクタ10の以下の説明が、単なる一例であることは理解されるであろう。さらに、本発明に関連して使用される流体という用語は、例えば、燃料、水のような液体と、気体若しくは蒸気とを含むことは理解されるであろう。
【0019】
また、本発明の汚染保護カバー(contamination cover)は、クイックコネクタハウジングの一端部のリセス中に移動可能に装着された円錐状の保持リング、即ちリテイナーを有する流体クイックコネクタで使用されるが、本発明の汚染保護カバーは、クイックコネクタハウジング、若しくはリテイナーと、本発明の汚染保護カバーとの間に、互いの係合面(mateable surfaces)を与えることによって、横方向もしくは軸方向に装着可能なリテイナーを使用した他のタイプの流体クイックコネクタに用いられ得ることは理解されるであろう。
【0020】
この流体クイックコネクタ10は、ブレーキラインの末端部、キャリパー、ブレーキ用流体リザーバー、ABSハウジングのような流体作動装置14に装着可能なハウジング12を有している。このハウジング12には、第1の端部18から延び、かつ流体作動装置14のボア22内の雌ねじ20とのねじ留め装着のための雄ねじ16が設けられているが、本発明の流体クイックコネクタ10が、流体作動装置14の一体成形延出部として一体的に形成されているハウジングを使用し得ることは理解されるであろう。このハウジング12は、金属、若しくは高強度プラスチックのような適切な高強度材料で形成されている。
【0021】
図1、より詳細には、図2Aないし図5に示されているように、前記ハウジング12は、また、第2の端部24を有しており、この端部24から前記第1の端部18まで、透孔26が完全に延びている。
【0022】
単なる一例として、前記透孔26は、所定の径の第1のエンドボア部30と、小径の中間ボア部32と、さらに小径の第2のエンドボア部34とを有した階段状のボアの形状である。6つの平坦面40のような複数の平坦面が、前記第2の端部24近くでハウジング12の外側に形成されている。これら平坦面40は、流体作動装置14のボア22中へのハウジング12のねじ留め装着を与える。しかし、これら平坦面40を形成することは、ハウジング12が、平坦面40なしに効果的に利用され得るように、単なる一例であることは理解されるであろう。
【0023】
図2A、図2B、並びに図4に示されているように、環状ショルダー部、即ち角度付けられた平坦面42が、前記第1のエンドボア部30と中間ボア部32との接続部に形成されている。同様に、第2の環状ショルダー部44が、中間ボア部32の他端部と第2のエンドボア部34との接続部に形成されている。第1のエンドボア部30は、このボア部30中に圧着されるO-リングのような少なくとも1つのシール部材48並びに任意のスリーブ、即ちトップハット49と、筒部、チューブ、若しくは導管54の先端部52から離間した環状の拡大フランジ、即ちビード50とを中に受けるように設計されている。前記ショルダー部42は、O-リング48と、トップハット49と、環状フランジ50との挿入のための座部としての役割を果たしている。挿入された状態で、トップハット49は、図4Bに示されているように、筒部54のフランジ50のための挿入制限部、即ちストッパーとしての役割を果たす。トップハット49は、O-リング部48をボア部30中に保持させるために、ボア部30内に圧着されている。
【0024】
図1,2,3A,並びに3Bに示されているように、ハウジング12の前記第1の端部18は、参照符号53によって示されている円錐台(conical end)形状を有している。前記ボア20の端部のところで所定の流体作動装置14内に形成された円錐座部とのシールの強化は、図3A,3Bに示されているように、ハウジングの第1の端部18に形成された環状の係合面によって与えられることができる。図3Aにおいて、ハウジング12の第1の端部は、流体作動装置14内に形成された相補的な環状円錐部と係合するように設計され、かつ機械加工、即ち正確に形成された内側の円錐座部56を有している。図3Bにおいて、ハウジング12の第1の端部は、流体作動装置14内に形成された座部の外面と係合するように設計された環状の逆円錐形状面58を有している。
【0025】
この流体クイックコネクタ10は、ハウジング12の第1の端部18内に形成された環状リセス64中に移動可能に装着された保持クリップ62により形成された保持手段60を有している。
【0026】
この保持クリップ62は、ばね金属のような適切なばね、即ち弾性部材で形成されている。図1に示されているように、クリップ62として以下に簡単に説明されている保持クリップ62は、第1の端面66と第2の端面68とを夫々形成し不連続部、即ちスプリットを有した円錐形状体である。この不連続部、即ちスプリットによって、第1の端面66と第2の端面68とは、筒部54がハウジング12のボア26中に挿入され、クリップ62が筒部54の環状フランジ50と係合している間、互いに離間されることができる。
【0027】
前記リセス64は、ボア26の長軸に対して所定の角度をなして配置されている。このリセス64の一側を形成している、ハウジング12の一側壁70が、図2A並びに図2Bにおいて、ハウジング12の完全な形成の前の状態(preassemble state)で示されているように、ボア26の長軸に対して並行に最初は形成される。このため、クリップ62は、ハウジング12の第2の端部24を通ってリセス64中に挿入されることができる(図2Bを見よ)。
【0028】
前記側壁70は、次に、適切に形成された工具、即ちダイ67の前進によって、図2C,5,並びに6に示されているように、リセス64の対向壁65に対してほぼ並行の円錐位置(conical position)に、例えばスエージングによって形成される。かくして、これら壁70,65は、円錐状の環状リセス64を規定するように互いに並行に配置され、このようにして、クリップ62は、リセス中に捕らえられるが、以下に説明されるように摺動が可能である。
【0029】
前記リセス64の幅は、前記壁65の一端に形成された平坦面63の幅と壁70の長さとによって決定される。前記工具、即ちダイ67によって、図2Cに示された位置へと径方向内方に壁70が曲げられ、この壁70は、上述されたように壁65の面に対して並行になる。
【0030】
前記クリップ62の形状だけでなくリセス64も、ほぼ円錐状に形成されている。しかし、多角形、即ち正方形のリセス等と、これと相補的に形成されたクリップとを含んだ他の形状が、また、使用されることもでき、このとき、リセスは、クリップ62の弾性部材を変形もしくは曲げ得るような角度をなした形状である必要のみがある。クリップ62は、筒部54の環状フランジ50と相互作用することによってリセス64中で移動され、この結果、前記変形もしくは曲げによってエネルギーがクリップ62にストアされる。このエネルギーは、フランジ50が、クリップ62の導入エッジ74を通過する摺動挿入により解放され、筒部をハウジング中にラッチさせるリセス64内の通常位置にクリップ62を戻す。
【0031】
前記クリップ62の弾性力は、第1の端面66と第2の端面68との間のスペースが最も近接した、最小の内径にクリップ62を常に付勢する。これによって、クリップ62は、導入エッジ74が、図2Cに示されているように、ハウジング12のリセス64の開口端から外方へと短い距離突出するまで、リセス64中で下方に摺動される。
【0032】
前記筒部54の先端部52が、ハウジング12のボア26中に挿入されるのに従って、筒部54の環状フランジ50の導入エッジが、クリップ62の導入エッジ74に接触し、図4Aに示されているように、クリップ62をリセス64の奥へと角度をなして外方にさらに摺動させる。クリップ62のこのような角度をなした摺動は、クリップがフランジ50との接触によって、図4Aに示された広がった位置(expanded position)でハウジング12のリセス64中に保持されている時に、エネルギーをクリップ62にストアさせる、第1の端面66と第2の端面68との可逆的な変形、即ち分離によって果たされている。
【0033】
前記ハウジング12のボア26中への筒部54の挿入が続くと、筒部54の環状フランジ50の最外面は、クリップ62の導入エッジ74を通過する。このとき、図4Bに示されているように、クリップ62内にストアされたエネルギーは、第1の端面66と第2の端面68とが互いに近接した状態に、図5に示されたクリップの通常の位置へとクリップ62をリセス64に沿って上方に移動させる。このとき、クリップ62の導入エッジ74が、リセス64の開口端から外方へと移動並びに突出される。これと同時に、図4Bに示されているように、クリップ62の内面は、ハウジング12からの筒部54の後退を防止するように、筒部54の環状フランジ50の後に位置される。
【0034】
図7には、チューブ状の2つの筒部92,94を互いに流体的に接続させるように設計された単一(single point)ハウジング90の保持手段60の使用が示されている。両筒部92,94は、前記筒部54にほぼ一致して構成されており、各筒部は、先端部から離間した拡大フランジを有している。
【0035】
前記ハウジング90は、また、第1の端面96とこれに対向した第2の端面98との間に延び、かつ互いに対向した2つの同軸の階段状ボアを有している。直径が減じられた任意の環状ショルダー部100が、ハウジング90の第1の端面96と第2の端面98との中間に形成されている。
【0036】
ハウジング90の前記第1の端面96と第2の端面98とは、各筒部をハウジング90にしっかりと装着するために、上述しかつ図1並びに図5に示された保持手段60を有している。
【0037】
前記筒部54をハウジング12から、若しくは、筒部92,94をハウジング90から外すための解除工具110が、図8に示されている。この解除工具110は、各筒部54,92,若しくは94に予め装着され得るか、筒部を夫々のハウジングに組み合わせた後に、解除工具110に形成されたスプリットによって適用され得る筒状部材の形態である。解除工具110の導入エッジ112は、クリップ62の導入エッジ74に係合され、例えば、導入エッジ74が筒部54のフランジ50の外径面を通過し、ハウジング12から外され得るのに十分な距離だけ、クリップ62の導入エッジ74を、ハウジング12のリセス64中へと角度をなして外方に押すような径を有する、外方に突出したエッジ、若しくはシンプルな平らのエッジで形成されることができる。
【0038】
図9ないし図15には、上述され、かつ図1ないし図8に示された流体クイックコネクタ10のわずかに変更されたハウジング12に装着され得る特別な汚染保護カバー手段110が示されている。
【0039】
この流体クイックコネクタは、筒部54を挿入可能に受けるハウジング12と、シール部材、即ちO-リング48と、トップハット49とを使用している。保持クリップ62が、上述されたように、ハウジング12中に筒部54のビード50を着脱可能にラッチするために、ハウジング12内の円錐状リセス64中に装着されている。
【0040】
この汚染保護カバー手段、即ちキャップ110は、第1の内側部材112と第2の外側部材114とを有し、別々に離れた、しかし結合可能な2つの部材で形成されている。
【0041】
図11ないし図15に示されているように、前記第1の内側部材112は、ソフトなデュロメーター、即ちゴム、若しくはゴムのようなエラストマー等の弾性材料で形成されている。この内側部材112は、モールド成形、機械加工等によって、一体成形本体として成形されることができる。
【0042】
前記第1の内側部材112は、中央部116の内径よりも小さな径を有した第1の端部118と、これに対向した第2の端部120との間に位置されているほぼ環状のリング部116を有している。第2の端部は、第1の内側部材112を第2の外側部材114に結合させるための第1の結合手段122と、内側部材112を、かくして汚染保護手段、即ちキャップ110全体をハウジング12に装着させるための第2の装着手段124とで形成されている。
【0043】
前記内側部材112の第1の端部118の内径面126は、中を通る筒部54の先端部52を受けるためのアパチャを規定している。しかし、第1の端部118のこの内径面126は、汚染物が汚染保護手段110を通ってハウジング12中に入るのを防止するように、筒部54の外面にぴったりと係合、若しくはシールするような直径を有している。
【0044】
前記結合手段122は、少なくとも1つの、好ましくは複数の装着片で構成されている。単なる一例として、周方向に互いに離間し、かつ前記内側部材112の中央部の一端から軸方向に延びた3つの装着片130,132,134が図示されている。これら装着片130,132,134は、以下に説明されるように、外側部材114に形成された係合配列部に相補的な所定の配列で周方向で離間されている。
【0045】
これら装着片130,132,134は、汚染保護手段、即ちキャップ110のための一体構造体を形成するように、内側部材112を外側部材114にぴったりとインターロックさせる。
【0046】
前記装着手段124は、装着片130,132,134の内面に形成され、かつ径方向に延びているリセス125の形態である。このリセス125は、また以下に説明されるように、ハウジング12に着脱可能に係合される。
【0047】
前記第2の外側部材114は、第1の端部140からこれに対向した第2の端部142まで延びている透孔を有したほぼ円筒形状の一体的な単一層、若しくは単一本体として形成されることができる。剛性の部材114は、例えばポリアミドのような硬質プラスチックで形成されることができる。
【0048】
ソフトなデュロメーター、並びに硬質のデュロメーターという用語は、互いに関連して使用されている。
【0049】
2つのみの装着片144,146が図11に示されている少なくとも1つの、好ましくは複数の装着片が、外側部材114の第2の端部142の内径面に形成されている。これら装着片144,146は、内側部材112と外側部材114とをぴったりと結合させるように、周方向に互いに離間し、内側部材112の装着片130,132,134間の外形ノッチ内にぴったりと装着されるサイズである。第1の部材112を形成するのに使用されるソフトなデュロメーター材料は、第1の部材112を第2の部材114中に固定するために、第2の部材114との結合に対して、わずかに圧縮されることができる。
【0050】
環状の溝部149が、汚染保護手段110の導入、若しくは取り外しを容易にするような把持面として、外側部材114の外面に形成されることができる。
【0051】
流体クイックコネクタのハウジング12の第1の端部18は、ハウジング12の第1の端部18から径方向外方に角度をなして延び得るエンドフランジ150として形成されている。連続的な360Eフランジ(360E flange)である、若しくは周方向で互いに離間したセグメントで形成され得るフランジ150は、汚染保護手段110をハウジング12に装着させるために、内側部材112のリセス125に係合する。外側部材114は、汚染保護手段110をフランジ150に固定させるように、フランジ150全体に渡ってスナップ適合する。この位置で、図14並びに図15に示されているように、弾性、若しくはソフトなデュロメーターの内側部材112は、汚染保護手段110のボアとハウジング12のボア26とを通って挿入される筒部54の外面に密着状態に係合されるように位置される。この結果、ハウジング12の開成した状態の第1の端部18は、汚染物が入らないようにシールされる。
【0052】
前記内側部材112の内径面126が、ハウジング12中への筒部54の挿入と完全な装着との間に、筒部54の外面にぴったりと係合されながら、リテイナー62の機能が、筒部54をハウジング12中に着脱可能にラッチするのをスムーズにすることに注意するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】流体クイックコネクタの一態様を示している分解斜視図である。
【図2A】図1に示され、予め組合わされた状態で示されている流体クイックコネクタのハウジングの長手方向の断面斜視図である。
【図2B】クイックコネクタハウジングのリセスを形成するためのプロセスの側断面図である。
【図2C】クイックコネクタハウジングのリセスを形成するためのプロセスの側断面図である。
【図3A】図1に示された流体クイックコネクタハウジングの異なる末端部を示している部分的な長軸方向の断面斜視図である。
【図3B】図1に示された流体クイックコネクタハウジングの異なる末端部を示している部分的な長軸方向の断面斜視図である。
【図4A】第1の位置と第2の位置との間のリテイナーの移動を示している拡大側方断面図である。
【図4B】第1の位置と第2の位置との間のリテイナーの移動を示している拡大側方断面図である。
【図5】組合わされた状態で示された図1の流体クイックコネクタの長軸方向の断面斜視図である。
【図6】図5に示され組合わされた流体クイックコネクタを外側からみた斜視図である。
【図7】本発明の流体クイックコネクタの他の態様を示している長軸方向の断面斜視図である。
【図8】本発明の解除工具の動作を示している長軸方向の断面図である。
【図9】流体クイックコネクタのための汚染保護カバーの一態様を示している分解斜視図である。
【図10】図9に示されたクイックコネクタハウジングの長手方向の断面図である。
【図11】図9に示された汚染保護カバーの拡大分解斜視図である。
【図12】図11に示され組合わされた汚染保護カバーの端面斜視図である。
【図13】図12に示された汚染保護カバーの長手方向の断面図である。
【図14】図12並びに図13の汚染保護カバーの図9並びに図10のクイックコネクタハウジングへの組み合わせを示している長軸方向の断面図である。
【図15】組合わされた汚染保護カバーと図9並びに図14に示された流体クイックコネクタとの長手方向の断面斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部と、この端部から延びているボアとを有しているハウジングと、
このハウジングの前記ボア中へと前記第1の端部を通って挿入された筒部を着脱可能にラッチするための、前記ハウジング内に装着されているリテイナーと、
前記ハウジングのボア中へと前記第1の端部を通って挿入された前記筒部にシール係合するための、前記ハウジングに装着可能な汚染保護カバー手段とを具備する流体クイックコネクタ。
【請求項2】
前記第1の端部にエンドフランジをさらに具備しており、前記汚染保護カバー手段は、このエンドフランジに装着される請求項1の流体クイックコネクタ。
【請求項3】
前記汚染保護カバー手段は、ソフトなデュロメーターの環状の第1の部材と、
この第1の部材を前記ハウジングに保持させるように前記第1の部材に装着可能な硬質のデュロメーターの第2の部材とを有しており、前記第1の部材は、この第1の部材を前記ハウジングに装着させるための装着手段を有し、また、筒部とのシール係合可能な部分を有している請求項1の流体クイックコネクタ。
【請求項4】
前記第1の部材と前記第2の部材とを結合させるための結合手段をさらに具備している請求項3のクイックコネクタ。
【請求項5】
前記結合手段は、前記第1の部材と第2の部材との対面部分に形成されたインターロック式の突出部とスロットとを具備している請求項4のクイックコネクタ。
【請求項6】
前記第1の部材は、前記筒部とシール係合可能なシール面を有している請求項3の流体クイックコネクタ。
【請求項7】
前記第1の部材は、径方向内方に延びたリップを有しており、前記シール面は、このリップに支持される請求項6の流体クイックコネクタ。
【請求項8】
流体クイックコネクタのハウジングに、このハウジングの開口端部を通って挿入された筒部とシール係合するようように装着可能な汚染保護カバーであって、
ソフトなデュロメーターの第1の部材と、
この第1の部材を前記ハウジングに保持させるように、前記第1の部材に装着可能な硬質のデュロメーターの第2の部材とを具備し、前記第1の部材は、この第1の部材を前記ハウジングのエンドフランジに装着させるための装着手段を有し、また、筒部とのシール係合可能な部分を有している汚染保護カバー。
【請求項9】
前記第1の部材と前記第2の部材とを結合させるための結合手段をさらに具備している請求項8の汚染保護カバー。
【請求項10】
前記結合手段は、前記第1の部材と第2の部材との対面部分に形成されたインターロック式の突出部とスロットとを有している請求項9の汚染保護カバー。
【請求項11】
前記第1の部材は、前記筒部とシール係合可能なシール面を有している請求項8の汚染保護カバー。
【請求項12】
前記第1の部材は、径方向内方に延びたリップを有しており、前記シール面は、このリップに支持されている請求項7の汚染保護カバー。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−220302(P2006−220302A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−31018(P2006−31018)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(596029797)アイティーティー・マニュファクチャリング・エンタープライジズ・インコーポレーテッド (34)
【Fターム(参考)】