説明

流体バリヤー用途に於いて有用な、安定化され、動的加硫された熱可塑性エラストマー組成物

安定化され、動的に加硫された熱可塑性エラストマー組成物は、ハロゲン化イソブチレン含有エラストマーからなる少なくとも1種の第一のエラストマー又はゴムの分散された動的に加硫された粒子及びポリアミドと反応することができ、そしてポリアミドにグラフト化することができる少なくとも1個の官能基からなる少なくとも1種の第二のエラストマー又はゴムの分散された粒子を含み、少なくとも1種の第一のエラストマー及び少なくとも1種の第二のエラストマーの粒子は、少なくとも1種のナイロンホモポリマー、ナイロンコポリマー又はこれらの混合物からなる連続熱可塑性ポリアミド又はナイロン樹脂マトリックス中に分散され、この組成物又はこの少なくとも1種の第一のエラストマーは化学線、特に紫外線への曝露によって誘導される分解に対する少なくとも1種の安定剤を更に含む。この組成物は、好ましくは混合押出機内で製造され、車両タイヤインナーライナー及びホースのような工業的物品に有用である、耐久性、可撓性、熱可塑性エラストマー流体バリヤーフィルム又は層を製造するのに適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ及びその他の工業的ゴム用途に特に有用な熱可塑性エラストマー組成物並びにそのような組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、空気入りタイヤに於けるガスバリヤー層として優れている、低透過性熱可塑性エラストマー組成物が開示されている。この熱可塑性エラストマー組成物は、低透過性熱可塑性マトリックス、例えばポリアミド又はポリアミドのブレンドを含み、そこに低透過性ゴム、例えば臭素化ポリ(イソブチレン−共−パラメチルスチレン)(以下、BIMSとして参照する)が分散されている。特許文献2及び特許文献3には、熱可塑性マトリックスと分散したゴム相との粘度比が、体積分率比の関数としてともに特定され、そして、熱可塑性相中に分散した小さい粒子サイズの加硫されたゴム粒子の高い濃度を作るために、独立に、1の値に近づけられている。特許文献3には、特に、このような組成物が、空気入りタイヤのインナーライナーとして使用されることを意図する場合、得られる組成物の受け入れ得る耐久性を達成するために、熱可塑性樹脂マトリックス中に分散された小さい粒子サイズのゴムが重要であったことが更に開示されている。
【0003】
熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂系ブレンド、例えば高密度ポリエチレン樹脂とナイロン6又はナイロン66(HDPE/PA6.66)、ポリエチレンテレフタレートと芳香族ナイロン(PET/MXD6)、ポリエチレンテレフタレートとビニルアルコール−エチレンコポリマー(PET/EVOH)から構成された低ガス透過性能を示す(即ちガスバリヤーとして機能する)組成物(ここで、1種の熱可塑性樹脂は、他の層の上に層状に重ねられて、成形によって複数の層を形成する)及びその製造方法。タイヤのインナーライナー層としてのこのような組成物の使用に関する用途は、特許文献4に開示されている。しかしながら、これらの材料は、熱可塑性樹脂/熱可塑性樹脂ブレンドであるので、これらはガスバリヤー性能に於いて優れているが、これらは可撓性に欠け、従って、このようなフィルムは、これらが、顕著な応力及び屈曲に付される、車両タイヤ中に使用される場合に、破断する傾向がある。
【0004】
更に、インナーライナーとして又はタイヤ中に使用するための、ゴム及び熱可塑性樹脂を含む熱可塑性エラストマーの使用の例も存在する(特許文献5参照)が、一般的に、この文献に開示された種類の、優れた耐久性を有する可撓性材料は、低い耐熱性を有する。マトリックスとしてタイヤ加硫温度よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂を使用する熱可塑性エラストマーで、タイヤ加硫サイクルの終わりに、タイヤ加硫ブラダー(bladder)が外されるとき、タイヤ内側表面は、熱可塑性樹脂が加硫ブラダーに粘着するか又は加硫ブラダーと擦れるために、外観欠陥を受ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第722850B1号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第857761A1号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第969039A1号明細書
【特許文献4】日本特許出願第7−55929号明細書
【特許文献5】日本特許出願第8−183683号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特にエラストマー相中のカーボンブラックの使用を回避する場合に、ナイロン及びエラストマーをベースにする動的に加硫された熱可塑性バリヤーフィルムの安定性及び特性を改良するための継続するニーズが存在する。
【0007】
熱可塑性マトリックス中に分散された小粒子サイズゴムドメインを含む望ましい組成物の改良された性能、タイヤ及びホース用途に於いて使用するのに適している、改良されたガス又は流体バリヤー特性並びに強度及び耐久性の望ましいレベルを示す組成物を達成するための先行技術アプローチの制限は、本発明の方法の使用によって達成されたような改良についての継続するニーズが存在することを示唆している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
安定化され、動的に加硫された熱可塑性エラストマー組成物は、ハロゲン化イソブチレン含有エラストマーを含む少なくとも1種の第一のエラストマー又はゴムの分散された粒子及びポリアミドと反応することができ且つポリアミドにグラフト化することができる少なくとも1個の官能基を含む少なくとも1種の第二のエラストマー又はゴムの分散された粒子を含んでなり、少なくとも1種の第一のエラストマー及び少なくとも1種の第二のエラストマーの粒子は、少なくとも1種のナイロンホモポリマー、ナイロンコポリマー又はこれらの混合物を含む連続熱可塑性ポリアミド又はナイロン樹脂マトリックス中に分散され、前記組成物又は少なくとも1種の第一のエラストマーは、化学線放射への曝露(即ち紫外線曝露)によって誘導される分解に対する少なくとも1種の安定剤を更に含み、この安定剤は、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノン及び任意的に置換されたヒドロキシ安息香酸のエステル、これらの誘導体及び二量体からなる群から選択される。
【0009】
前記組成物は、好ましくは、上昇した温度でポリマー及びエラストマー成分に剪断を適用することができる、適切なミキサー、好ましくは混合押出機、更に好ましくは二軸スクリュー押出機内で実施される動的加硫方法であって、(1)硬化剤を実質的に均一に分散させるためには充分であるが、上昇した温度及び剪断の条件下でナイロンに添加したとき、その次の流動及び分散を妨げるハロゲン化エラストマーの実質的な架橋を起こすためには不充分である、剪断条件、混合時間及び温度を使用して、ハロゲン化エラストマー中に、このハロゲン化エラストマーを架橋するために適している少なくとも1種の硬化剤及び任意的に少なくとも1種の第二のエラストマー又は両方を分散させ、そして更に、このハロゲン化エラストマー中に、少なくとも1種の紫外線分解に対する安定剤(この安定剤は、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノン及び任意的に置換されたヒドロキシ安息香酸のエステル、並びにこれらの誘導体及びそれらの二量体からなる群から選択される)を分散させて、予備配合されたハロゲン化エラストマー組成物を得;(2)少なくとも1種のナイロンホモポリマー又はコポリマー及び任意的に少なくとも1種のナイロン熱安定剤若しくは酸化安定剤又は両方を、ミキサーの中に導入し、そして充分な剪断及び熱を適用して、ナイロンを溶融及び流動させ、任意的な安定剤をナイロンの中に分散させて、ナイロン混合物を形成し;(3)少なくとも1種のナイロン可塑剤を、好ましくは、ナイロン混合物の粘度を、予備配合されたハロゲン化エラストマーの粘度に実質的に適合させるために充分な量で、ミキサー内に存在する温度で及び剪断条件下で導入し;(4)予備配合されたハロゲン化エラストマーをミキサーの中に導入し、そしてハロゲン化エラストマーの動的加硫を開始するために充分な量で熱及び剪断を適用し;(5)第二のエラストマーを導入し、加熱及び剪断を継続して、第二のエラストマーを実質的に分散させ、ハロゲン化エラストマーの動的加硫を実質的に完結させ;そして動的に加硫された熱可塑性エラストマー組成物をミキサーから取り出す各工程を含んでなる方法に従って製造される。
【0010】
前記動的加硫方法は、好ましくは、二軸スクリュー混合押出機内で、押出機スクリューに沿った位置で押出機の中に導入される組成物のエラストマー(単数又は複数)及び他の成分(単数又は複数)のそれぞれが、ナイロンマトリックス中の成分の最適な反応及び/又は分散を可能にするような、熱及び剪断の制御された条件下で実施する。一つの態様に於いて、第一のエラストマー又はゴムは、好ましくはナイロン成分(単数又は複数)の可塑化の後で、第二のエラストマー又はゴムの導入の前に、導入される。この方法は、加硫されたエラストマーの安定な小さい粒子を含有する好ましい形態を有する、動的加硫された組成物を効率的に製造する。
【0011】
好ましい態様に於いて、紫外線安定剤は3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸,ヘキサデシルエステル;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−[4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール;メチル 3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0012】
更に他の好ましい態様に於いて、この動的に加硫された組成物は、1種又はそれ以上のUV吸収剤又は安定剤に加えて、1種又はそれ以上のフリーラジカルスカベンジャーを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は典型的な安定剤を含有するBIMSについてのMDR硬化応答曲線を示す。
【図2】図2は本発明のUV吸収剤及び比較安定剤を含有するBIMSについてのMDR硬化応答曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好ましい用途は、タイヤインナーライナー及びバリヤーフィルム用の熱可塑性エラストマー組成物、更に詳しくは優れた耐久性並びに流体、例えば空気及び液体に対する不透過性を示す、熱可塑性エラストマー組成物に関する。好ましい組成的構成は、連続ポリアミド熱可塑性マトリックス中に分散した、加硫された粒子の形での、分散したハロゲン化、好ましくは臭素化イソブチレンエラストマーの増大化された又は最大化された含有量に指向している。更に、本発明の特に好ましい面は、ドメインが、非常に伸長性であり、そして弾性でもありながら、小さいサイズの粒子を含むゴムドメインを与えることができる熱可塑性エラストマー組成物を製造するために適している効率的な混合方法に関する。更に、本発明は、上記の組成物を使用する空気入りタイヤ及びホースの製造方法を含む。好ましいエラストマーは、低透過性を示し、好ましくはハロゲン化イソブチレン含有エラストマーのようなポリマーであり、臭素化エラストマー、特に、臭素化パラメチルスチレン−共−イソブチレンポリマーが特に好ましく、後で示す構造の高い含有量を示すブロモブチルエラストマーが特に好ましく、市販のブロモブチルエラストマー又はこれと1種又はそれ以上の上記の臭素化エラストマーとの、互いとの又は他のポリマーとのこれらのブレンドも好ましい。
【0015】
本明細書で使用するとき、周期律表族についての新しい番号付け体系は、Chemical and Engineering News、第63(5)巻、第27頁(1985年)に開示されている通りである。全ての分子量は、他に特定しない限り、重量平均である。
【0016】
特許請求の範囲を含む、全明細書を通して、下記の用語は、示した意味を有するものとする。
【0017】
ポリマーはホモポリマー、コポリマー、共重合体、ターポリマー等を指すために使用することができる。同様に、コポリマーは、任意的に他のモノマーを含む、少なくとも2種のモノマーを含むポリマーを指すことができる。
【0018】
ポリマーがモノマーを含んでなるものとして参照されるとき、このモノマーは、ポリマー中に、モノマーの重合した形で又はモノマーの誘導体形で存在する。しかしながら、参照の容易性のために、句「(それぞれの)モノマーを含む」等を、略記として使用する。同様に、触媒成分を、成分の中性の安定形を含むものとして記載するとき、成分の活性形が、モノマーと反応してポリマーを製造する形であることが、当業者によってよく理解されている。
【0019】
イソオレフィンは、同じ炭素上に2個の置換基を有する任意のオレフィンモノマーを指す。
【0020】
マルチオレフィンは、2個の二重結合を有する任意のモノマーを指す。好ましい態様に於いて、マルチオレフィンは、2個の共役二重結合を含む任意のモノマー、例えばイソプレンのような共役ジエンである。
【0021】
本明細書で使用する、エラストマー又はエラストマー類は、ASTM D1566の定義と一致する任意のポリマー又はポリマーの組成物を指す。この用語は、用語「ゴム(単数又は複数)」と互換的に使用することができる。
【0022】
「置換された」は、化学化合物又は構成物の少なくとも1個の水素の置換を指す。
【0023】
本明細書中で参照されるポリマー及び/又はエラストマーを参照して、用語「硬化された」、「加硫された」又は「架橋された」は、例えば鎖延長又はポリマー若しくはエラストマーを構成するポリマー鎖の間の架橋の間に、このようなプロセスを受けているエラストマーが、タイヤを使用に供するとき、硬化反応からもたらされる必要な機能特性を与えることができる程度まで結合を形成することを含む化学反応を指す。本発明の目的のために、このような硬化反応の絶対的完結は、エラストマー含有組成物が、「硬化された」、「加硫された」又は「架橋された」と考えられるために必要ではない。例えば本発明の目的のために、本発明に基づくインナーライナー層組成物を含むタイヤは、それが成分であるタイヤが、製造の間及び後に、必要な製品仕様試験に合格するとき充分に硬化されており、車両に使用するとき満足できるように性能を発揮する。更に、追加の硬化時間が、追加の架橋を作ることができるとしても、この組成物は、タイヤを使用に供することができるとき、満足できるほど、充分に又は実質的に硬化、加硫又は架橋されている。
【0024】
第一のエラストマー
本発明は少なくとも1種のハロゲン化イソブチレン含有ゴムを含む。典型的には、これは、以下に記載する熱可塑性樹脂と共に、約55/45〜80/20、好ましくは約60/40〜約75/25、更に好ましくは約65/35〜約75/25の、ゴム対樹脂の重量比で、組成物中に存在する。ハロゲン化ゴムは、少なくとも約0.1モル%のハロゲン(ハロゲンは、臭素、塩素及びヨウ素からなる群から選択される)を有するゴムとして定義される。本発明に於いて有用である好ましいハロゲン化ゴムは、ハロゲン化イソブチレン系ホモポリマー又はコポリマーを含む。これらのポリマーは、C4〜C7イソモノオレフィン誘導単位、例えばイソブチレン誘導単位と少なくとも1種の他の重合性単位とのランダムコポリマーとして記載することができる。本発明の一つの態様に於いて、ハロゲン化イソブチレン系コポリマーは、ブチル型ゴム又は枝分かれしたブチル型ゴム、特に、これらのエラストマーの臭素化体である。
【0025】
ブチルゴムは、典型的には、モノマーの混合物を反応させることによって製造され、この混合物は少なくとも(1)C4〜C12イソオレフィンモノマー成分、例えばイソブチレンを(2)マルチオレフィン、モノマー成分と共に有する。このイソオレフィンは、一つの態様に於いて、全モノマー混合物の重量基準で70〜99.5重量%の範囲内であり、別の態様に於いて、85〜99.5重量%の範囲内である。このマルチオレフィン成分は、モノマー混合物中に、一つの態様に於いて、30〜0.5重量%、別の態様に於いて、15〜0.5重量%で存在する。更に別の態様に於いて、モノマー混合物の8〜0.5重量%はマルチオレフィンである。イソオレフィンは、好ましくはC4〜C12化合物であり、その非限定例はイソブチレン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ブテン、2−ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン及び4−メチル−1−ペンテンのような化合物である。マルチオレフィンはC4〜C14マルチオレフィン、例えばイソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン及びピペリレンである。他の重合性モノマー、例えばスチレン及びジクロロスチレンも、ブチルゴムでの単独重合又は共重合のために適している。本発明に於いて有用なブチルゴムポリマーの一つの態様は、95〜99.5重量%のイソブチレンを、0.5〜8重量%のイソプレン又は更に別の態様に於いて0.5重量%〜5.0重量%のイソプレンと反応させることによって得られる。
【0026】
ハロゲン化ブチルゴムは、上記のブチルゴム生成物のハロゲン化によって製造される。ハロゲン化は、任意の手段によって実施することができ、本発明はここではハロゲン化方法によっては限定されない。一つの態様に於いて、ブチルゴムは、ヘキサン希釈剤中で、4〜60℃で、ハロゲン化剤として臭素(Br2)又は塩素(Cl2)を使用してハロゲン化される。米国特許第4,288,575号に開示されているように、後処理したハロゲン化ブチルゴムを使用することもできる。このハロゲン化ブチルゴムは、典型的には、約20〜約70のムーニー粘度(125℃でのML1+8)、例えば別の態様では、約25〜約55のムーニー粘度を有する。ハロゲン含有量は、典型的には、ハロゲン化ブチルゴムの重量基準で約0.1〜10重量%、例えば約0.5〜5重量%、或いは約0.8〜約2.5重量%、例えば約1〜約2重量%である。
【0027】
ブチルゴムの別の有用な態様は、ハロゲン化され、枝分かれした又は「星状枝分かれした」ブチルゴムである。一つの態様に於いて、星状枝分かれしたブチルゴム(「SBB」)は、ブチルゴム及びポリジエン又はブロックコポリマーを含む組成物である。ポリジエン、ブロックコポリマー又は枝分かれ剤(以下「ポリジエン」)は、典型的には、カチオン的に反応性であり、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムの重合の間に存在するか又はブチルゴムとブレンドして、SBBを形成することができる。枝分かれ剤又はポリジエンは、任意の適切な枝分かれ剤であってよく、本発明はSBBを製造するのに使用されるポリジエン又は枝分かれ剤の種類に制限されない。
【0028】
使用されるSBBはハロゲン化されていてよい。一つの態様に於いて、ハロゲン化され、星状枝分かれしたブチルゴム(「HSBB」)はハロゲン化された又はされていないブチルゴム及びハロゲン化された又はされていないポリジエン又はブロックコポリマーを含む。一つの態様に於いて、HSBBは、典型的には、上記のようなハロゲン化ブチルゴム並びにスチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリピペリレン、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン及びスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーからなる群から選択されたポリジエン及び部分的に水素化されたポリジエンのコポリマーを含む組成物である。ポリジエンは、重量%での全モノマー含有量基準で、典型的には約0.3重量%よりも多く、或いは約0.3〜約3重量%又は約0.4〜2.7重量%で存在してよい。
【0029】
別の有用なブチルゴムはC4〜C7イソオレフィン、例えばイソブチレン及びハロメチルスチレンを含むランダムコポリマーを含むイソオレフィン/パラアルキルスチレンコポリマーである。このハロメチルスチレンはオルト−、メタ−又はパラ−アルキル置換スチレンであってよい。一つの態様に於いて、ハロメチルスチレンは少なくとも80重量%、更に好ましくは少なくとも90重量%のパラ異性体を含有するp−ハロメチルスチレンである。「ハロ」基は、任意のハロゲン、望ましくは塩素又は臭素、最も好ましくは臭素であってよい。このコポリマーは、スチレンモノマー単位上に存在するアルキル置換基の少なくともいくつかが、ベンジル性ハロゲン又は後で更に記載する別の官能基を含有する、官能化された共重合体を含んでいてもよい。これらの共重合体は、本明細書に於いて、「ハロメチルスチレンを含むイソオレフィンコポリマー」又は単に「イソオレフィンコポリマー」として参照する。
【0030】
好ましいイソオレフィンコポリマーは、イソブチレン又はイソブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ブテン、2−ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン及び4−メチル−1−ペンテンからなる群から選択されたモノマーを含んでいてよい。好ましいイソオレフィンコポリマーは、マルチオレフィン、好ましくはC4〜C14マルチオレフィン、例えばイソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン及びピペリレンを更に含んでいてもよい。イソオレフィンコポリマー中の望ましいスチレン系モノマーは、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、メトキシスチレン、インデン及びインデン誘導体並びにこれらの組合せを含む。
【0031】
このようなイソブチレンとp−メチルスチレンとのコポリマーの最も有用なものは、0.5〜20モル%のp−メチルスチレンを含有するもの(但し、ベンジル環上に存在するメチル置換基の60モル%以下は、臭素又は塩素原子、好ましくは臭素原子を含有する(p−ブロモメチルスチレン))及びそれらの酸又はエステル官能化体(但し、ハロゲン原子は、無水マレイン酸により又はアクリル酸若しくはメタクリル酸官能基によって置換されている)である。これらの共重合体は、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−共−p−メチルスチレン)又は臭素化ポリ(イソブチレン−共−p−メチルスチレン)(BIMS)と命名され、商品名EXXPRO(登録商標)エラストマー(エクソンモービル ケミカル カンパニー、テキサス州ヒューストン)で市販されている。用語「ハロゲン化」又は「臭素化」の使用は、コポリマーのハロゲン化の方法に制限されず、単に、イソブチレン誘導単位、p−メチルスチレン誘導単位及びp−ハロメチルスチレン誘導単位を含むコポリマーの説明である。
【0032】
これらの官能化されたポリマーは、好ましくはポリマーの少なくとも95重量%が、ポリマーの平均p−アルキルスチレン含有量の10%以内のp−アルキルスチレン含有量を有するように、実質的に均質な組成分布を有する。更に好ましいポリマーは、5よりも小さい、更に好ましくは2.5よりも小さい狭い分子量分布(Mw/Mn)、約200,000〜約2,000,000の範囲内の好ましい粘度平均分子量及びゲル浸透クロマトグラフィーによって決定したときに約25,000〜約750,000の範囲内の好ましい数平均分子量によっても特徴付けられる。
【0033】
好ましいハロゲン化ポリ(イソブチル−共−p−メチルスチレン)ポリマーは、一般的に、約0.1〜約5重量%のブロモメチル基を含有する臭素化ポリマーである。更に別の態様に於いて、ブロモメチル基の量は約0.2〜約2.5重量%である。別の方法で表すと、好ましいコポリマーは、ポリマーの重量基準で、約0.05〜約2.5モル%の臭素、更に好ましくは約0.1〜約1.25モル%の臭素を含有し、そして環ハロゲン又はポリマー主鎖中のハロゲンを実質的に含有しない。本発明の一つの態様に於いて、共重合体は、C4〜C7イソモノオレフィン誘導単位、p−メチルスチレン誘導単位及びp−ハロメチルスチレン誘導単位のコポリマーであり、ここでp−ハロメチルスチレン単位は、共重合体中に、共重合体基準で約0.4〜約1モル%存在する。別の態様に於いて、p−ハロメチルスチレンはp−ブロモメチルスチレンである。ムーニー粘度(1+8、125℃、ASTM D1646、修正)は、約30〜約60ムーニー単位である。
【0034】
第二のエラストマー
任意的に、他のゴム又はエラストマーを、このハロゲン化イソブチレン含有エラストマーと組み合わせて使用することができる。このような任意的なゴム成分は、高ジエンゴム及びそれらの水和物を含む。高ジエン含有量ゴム又はエラストマーは高ジエンモノマーゴムとも参照される。これは、典型的には、典型的に少なくとも50モル%、典型的に少なくとも約60モル%〜約100モル%、更に好ましくは少なくとも約70モル%〜約100モル%、更に好ましくは少なくとも約80モル%〜約100モル%のC4〜C12ジエンモノマーを含むゴムである。有用な高ジエンモノマーゴムは、オレフィン若しくはイソオレフィン及びマルチオレフィンのホモポリマー及びコポリマー又はマルチオレフィンのホモポリマーを含む。一般的に、本発明に於いて有用な他の任意的なゴムは、例えば天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化(epoxylated)天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)(高シスBR及び低シスBRを含む)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR、オレフィンゴム(例えばエチレンプロピレンゴム(EPDM及びEPMの両方を含む))、マレイン酸−変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレン及び芳香族ビニル又はジエンモノマーコポリマー、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー、他のハロゲン含有ゴム(例えばクロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、塩素化ポリエチレン(CM)、マレイン酸−変性塩素化ポリエチレン(M−CM))、シリコーンゴム(例えばメチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム)、硫黄含有ゴム(例えばポリスルフィドゴム)、フッ素ゴム(例えばフッ化ビニリデンゴム、フッ素含有ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレンゴム、フッ素含有シリコーンゴム、フッ素含有ホスファゲンゴム)、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン含有エラストマー、オレフィンエラストマー、エステルエラストマー、ウレタンエラストマー又はポリアミドエラストマー)並びにこれらの混合物を含む。
【0035】
高ジエンモノマーゴムの好ましい例は、ポリイソプレン、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム等を含み、これらは単独で又は組合せて、そして混合物で使用することができる。
【0036】
低温度弾性率を減少させる際にBIMSよりも一層有効である第二のゴム成分は、全組成物の低温度性能を改良するために有利であり得る。好ましくは、この第二のゴムは、好ましくは−30℃よりも低い低ガラス転移温度、Tgを示す官能化ゴムをベースにする。低いTgは、約−20℃以下の、このようなゴムを含有する製品、例えばタイヤインナーライナーの動作又は使用温度での第二のゴムの低下した弾性率(向上した軟度)に寄与する。適切な官能基は、無水マレイン酸、アシルラクタム又はポリアミド中に存在するアミン官能基と容易に反応することができる他のものを含む。このようなゴム中の化学的に反応性の官能基の存在は、ポリアミドマトリックス中のゴムの小粒子サイズ分散に至る第二のゴムとポリアミドとの間の反応的相溶化を更に促進し、この粒子は、約1ミクロン又はそれ以下、好ましくは約0.5ミクロンよりも小さい平均粒子サイズを示す。上記のように、小さい粒子の形でポリアミドマトリックス中に分散した第二のゴムは、任意的に、ハロゲン化した又はBIMSエラストマーに関して記載したように、部分的に、実質的に又は完全に、硬化、架橋又は加硫することができる。このような架橋は、ハロゲン化エラストマー成分に適用した同じ動的加硫方法を使用することによって、ポリアミドマトリックス中に第二のゴムを分散させる過程の間に達成することができる。動的加硫を使用する場合、ゴムの混合及び分散の間に加硫を実施するために、第二のゴム中に適切な硬化剤又は硬化システムを分散させることも必要である。その代わりに、第二のゴムが熱架橋を受け得る場合、動的加硫に相当する方法に於いて、混合及び分散の間に充分な熱エネルギーを適用することによって、それを加硫することができ又はそれが小さい粒子の形で分散された後、分散後のこのような架橋を達成するために充分な熱エネルギーを供給することによってそれを加硫することができる。いずれの場合に於いても、第二のゴムは、ポリアミドマトリックス中に、約0.1ミクロン〜約1ミクロン、例えば約0.1ミクロン〜約0.75ミクロン又は約0.1ミクロン〜約0.5ミクロンの平均粒子サイズを有する小さい粒子の形で分散されることが好ましい。
【0037】
熱可塑性樹脂
本発明の目的のために、有用な熱可塑性樹脂は、500MPaよりも大きいヤング率及び好ましくは60×10-12cc cm/cm2 sec cm Hg(30℃)よりも小さい空気透過係数及び好ましくは約170℃〜約230℃の融点を有し、これらに限定されないが、下記:
a)ポリアミド樹脂:ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン6,10(N610)、ナイロン6,12(N612)、ナイロン6/66コポリマー(N6/66)、ナイロン6/66/610(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T(N6T)、ナイロン6/6Tコポリマー、ナイロン66/PPコポリマー、ナイロン66/PPSコポリマー;
b)ポリエステル樹脂:ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEIコポリマー、ポリアクリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミド二酸/ポリブチレートテレフタレートコポリマー及びその他の芳香族ポリエステル;
c)ポリニトリル樹脂:ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレンコポリマー(AS)、メタクリロニトリル−スチレンコポリマー、メタクリロニトリル−スチレン−ブタジエンコポリマー;
d)ポリメタクリレート樹脂:ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート;
e)ポリビニル樹脂(例示、限定ではない):酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレンコポリマー(EVOA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニル/ポリビニリデンコポリマー、ポリ塩化ビニリデン/メタクリレートコポリマー;
f)セルロース樹脂:酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース;
g)フッ素樹脂:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロロフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレンコポリマー(ETFE);
h)ポリイミド樹脂:芳香族ポリイミド;
i)ポリスルホン;
j)ポリアセタール;
k)ポリアクトン;
l)ポリフェニレンオキシド及びポリフェニレンスルフィド;
m)スチレン−無水マレイン酸;
n)芳香族ポリケトン並びに
o)a)〜n)(a及びnを含む)の任意及び全ての混合物並びにa)〜n)(a及びnを含む)のそれぞれの例示的又は実例を挙げた熱可塑性樹脂の任意の混合物
の1種又はそれ以上を含む、任意の熱可塑性ポリマー、コポリマー又はこれらの混合物であるとして定義される。
【0038】
本発明の目的のために、この熱可塑性樹脂の定義は、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなオレフィンのポリマーを除外する。
【0039】
好ましい熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂及びこれらの混合物を含み、特に好ましい樹脂は、ナイロン6、ナイロン6/66コポリマー、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612及びこれらのブレンドを含む。本発明の代替の好ましい態様に従えば、熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂成分を使用して配合することができ、ここで、ナイロン樹脂成分は、約10/90〜約90/10、好ましくは約30/70〜約85/15の組成物の比(重量比)で、ナイロン11又はナイロン12及びナイロン6/66コポリマーを含む。ブレンドした樹脂に基づくこのような熱可塑性エラストマー組成物は、例えばタイヤインナーライナーの硬化した表面の優れた耐久性及び外観並びに優れた空気保持性質を有し並びにこれらの性質の良好なバランスを示す熱可塑性エラストマー組成物を提供することができる。
【0040】
他の成分
熱可塑性樹脂及びハロゲン化イソブチレン含有ゴムは、溶解度に於いて著しく異なっているので、これらのポリマーの相溶性を増強する目的のために、相溶化成分が有用であろう。更に、理論によって拘束されることは望まないで、本発明の組成物中の、得られた微細なゴム分散物は、部分的に、例えば混合の間に、潜在的にゴム成分と熱可塑性樹脂成分との間の表面張力を修正する、特に減少することによって形成された、分散したゴム粒子と熱可塑性樹脂との間の相境界での、BIMS中に存在するベンジル性臭素又はハロゲン化ブチル中のアリル性ハロゲンと、熱可塑性ポリアミド中の末端アミンとの間の化学反応(単数又は複数)の結果であろう。ブレンドの間の界面反応及び2種の非混和性ポリマーの同時反応の発生によって、小さい粒子サイズの分散したゴム相の凝集(coalescence)が回避され、それによって、ゴム相の特に微細な分散物に至ることが助けられる。同時に、これらの反応的相溶化された非混和性システムに於ける界面安定性のために、より高い濃度、より低い粘度のポリマーブレンド成分であるゴム相の転相は、界面相溶化の安定化効果の結果として阻害される。
【0041】
第二のポリマーは、相溶化剤として機能することができ、エチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系高飽和コポリマーゴム(HNBR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、NBR、ヒドリンゴム、アクリルゴム及びこれらの混合物を含むことができる。他の相溶化剤は、熱可塑性樹脂及びゴムポリマーの両方若しくは片方の構造又は熱可塑性樹脂若しくはゴムポリマーと反応することができる、エポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミン基、マレイン化基、オキサゾリン基、ヒドロキシ基等を有するコポリマーの構造を有するもののようなコポリマーを含む。第二のゴムは、混合される熱可塑性樹脂ポリマー及びゴムポリマーの種類に基づいて選択することができる。このような有用な第二のゴムは、無水マレイン酸グラフト化ゴム、例えば無水マレイン酸グラフト化アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、無水マレイン酸グラフト化エチレン−プロピレン−ジエンゴム、無水マレイン酸グラフト化スチレン−エチレン/ブタジエン−スチレン等及びマレイン化エチレンコポリマーゴム、例えばマレイン化エチレン−プロピレン(EPM)、マレイン化エチレン−ブテン、マレイン化エチレン−ヘキセン、マレイン化エチレン−オクテン、マレイン化エチレン−デセン、マレイン化エチレン−プロピレン−ジエン、マレイン化エチレン−酢酸ビニル、マレイン化エチレン−アクリル酸メチル、マレイン化エチレン−アクリル酸エチル、マレイン化エチレン−アクリル酸等並びにこれらの混合物を含む。また、潜在的に有用なゴムは、EPDM/スチレン、EPDM/アクリロニトリルグラフトコポリマー及びそれらのマレイン酸変性体;スチレン/マレイン酸コポリマー;反応性フェノキシ熱可塑性樹脂並びにこれらの混合物を含む。
【0042】
第二のゴム中に存在する有用な、好ましい官能性グループの例は、カルボニル結合を含む化合物、例えばカルボン酸、カルボン酸のエステル、酸無水物、ジエステル、塩、アミド及びイミドが含まれる。芳香族ビニル化合物、加水分解性不飽和シラン化合物、飽和ハロゲン化炭化水素及び不飽和ハロゲン化炭化水素も使用することができる。特に好ましい官能性グループの例は、これらに限定するものではないが、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2−クロロマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物及び4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、クロトン酸、ビシクロ(2.2.2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、1,2,3,4,5,8,9,10−オクタヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−オキサ−1,3−ジケトスピロ(4.4)ノン−7−エン、ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレオピマル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ノルボルン−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ナド酸無水物、メチルナド酸無水物、無水ハイミック酸、メチルヒム酸無水物及びx−メチル−ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物(XMNA)が含まれる。
【0043】
ここで有用な官能化ポリマーを製造するために適しているポリマーは、エチレンポリマー及びプロピレンポリマーを含む。特に好ましいポリマーは、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ブタクリル酸又は酢酸ビニルの1種又はそれ以上と共重合されたエチレンのポリマーを含む。好ましくは、このようなエチレンポリマーはマレイン酸又は無水マレイン酸によって変性される。特に好ましいポリマーの別の種類は、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、ブタクリル酸又は酢酸ビニルの1種又はそれ以上と共重合されたプロピレンのポリマーを含む。好ましくは、このようなプロピレンポリマーはマレイン酸又は無水マレイン酸によって変性される。
【0044】
好ましい態様に於いて、官能化されるポリマーは、このポリマーの主鎖ポリマー鎖に無水マレイン酸が共有結合されるように、無水マレイン酸によってグラフト化される。ポリマー上にグラフト化された無水物官能基は、無水物として留まることができ、酸官能基に酸化されることができ及び/又は他の官能基、例えばアミド、アミン、アルコール等を導入するための当該技術分野で公知の方法によって更に反応させることができる。
【0045】
特に好ましいポリマーの別の種類は、イソプレン、イソブチレンの1種又はそれ以上と共重合されたC4〜C7イソオレフィン(例えばイソブチレン)のポリマーを含む。好ましくは、このようなイソブチレンポリマーはマレイン酸又は無水マレイン酸によって変性されている。特に好ましい官能化ポリマーは、イソブチレンとイソプレンとのマレイン化コポリマー、イソブチレンとパラメチルスチレンとのマレイン化コポリマー、マレイン化ハロブチル型コポリマー、マレイン化SBB型コポリマー及びマレイン化BIMS型コポリマーを含む。ポリマーを官能化するために使用することができる種々の方法が当該技術分野に於いて公知である。これらは、これらに限定するものではないが、選択的酸化、フリーラジカルグラフト化、オゾン分解、エポキシ化等を含む。
【0046】
好ましくは、官能化ポリマーは、約:50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%及び2重量%よりも少ない無水マレイン酸からなる群から選択された濃度で存在する無水マレイン酸を含む。また、好ましくは、ポリマー−g−MA中の無水マレイン酸(MA)のレベルは、約0.1重量%よりも大きく、好ましくは約0.5重量%よりも大きく、また、約1重量%よりも大きい無水マレイン酸であってよい。好ましい態様に於いて、官能化ポリマーは約0.1〜約10重量%の無水マレイン酸、好ましくは約0.25〜約5重量%、更に好ましくは約0.5〜約4重量%、なお更に好ましくは約0.75〜約3.5重量%、例えば約1.5〜約2.5重量%の無水マレイン酸を含んでいてよい。グラフト化ポリマーの官能基含有量は、その絶対官能基含有量が決定されている標準物質との較正をベースにする、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法によって決定することができる。
【0047】
別のゴムを有することによって、BIMSゴム及び少なくとも1種の第二のゴムを含めた総ゴム含有量を、ポリアミドマトリックス中のゴム成分の小粒子サイズ分散体を含む望ましい形態を維持しながら、熱可塑性エラストマー組成物中で増加させることができる。最大ゴム含有量に於ける増加は、特に、非混和性の第二のゴムが存在するとき、BIMS粒子の制限された凝集を考慮して実現できる。更に、前記のような低い又は少ないレベルで第二のゴム濃度の量を制御することによって、その凝集を実質的に回避又は防止するために第二のゴムを硬化又は加硫する必要性を回避することが可能である。このことは、第二のゴムが、ポリアミドの存在下で、ポリアミドと反応性であり、実質的に動けなくなるので、特に真実である。第二のゴムに硬化剤を添加する必要が無く、それで、第二のゴムを硬化剤と予備混合又は予備配合することが不必要であり(しかしながら、硬化剤を任意的に添加し、BIMSについてと同じ技術を使用して第二のゴムを動的に加硫することができる)、押出機ミキサーへの第二のゴムの直接添加が、押出混合の間に実現可能であり、第二のゴムは、好ましくはペレット形状で供給される。更に、大部分の官能化ゴム、例えばマレイン化エチレンコポリマーゴム及び無水マレイン酸グラフト化ゴムは、かなり透過性であるので、第二のゴム濃度を低く、全組成物の全重量基準で、典型的には約20重量%以下、好ましくは約1重量%〜20重量%、更に好ましくは約1重量%〜約10重量%以下に維持することが望ましい。ブレンドされた第二の官能化相溶化剤ゴムの量は、典型的には約20重量%以下、好ましくは約10重量%よりも低く、一般的には約0.5重量%〜約20重量%、例えば約5重量%〜約15重量%、例えば約7.5重量%〜約12.5重量%である。
【0048】
一般的に、ポリマー組成物、例えばタイヤを製造するために使用されるものは、完成したタイヤ製品内で架橋される。架橋又は加硫は、硬化剤及び/又は促進剤の含有によって達成され、このような薬剤の総合混合物は、典型的には、硬化「系(system)」として参照される。特に、高ジエンゴム及びより低い反応性のエラストマーの混合物が使用される場合に、有利な効果のために、典型的に1種より多い硬化剤が利用されるので、硬化系が使用される。
【0049】
例えば高度に不透過性の層又はフィルムを形成するための、熱可塑性樹脂の存在下での動的加硫の目的のために、飽和又は不飽和ハロゲン化ポリマーを加硫することができる任意の一般的な硬化システムを使用して、少なくともC4〜C7イソモノオレフィン及びパラ−アルキルスチレンのエラストマー性ハロゲン化コポリマーを加硫することができる。1種又はそれ以上の熱可塑性樹脂が、過酸化物の存在下で、それ自体架橋して、過度に硬化された非熱可塑性組成物になるような熱可塑性樹脂が存在するとき、過酸化物硬化剤が、本発明の実施から特別に排除される。架橋又は硬化剤には、例えば硫黄、酸化亜鉛及び脂肪酸並びにこれらの混合物の少なくとも1種が含まれる。一般的に、ポリマー組成物は、硬化剤、例えば硫黄、金属酸化物(即ち酸化亜鉛、ZnO)、有機金属化合物、ラジカル開始剤等を添加すること及び組成物又は混合物を加熱することにより、架橋することができる。下記、即ちZnO、CaO、MgO、Al23、CrO3、FeO、Fe23及びNiOは、本発明に於いて機能し得る一般的な硬化剤である。これらの金属酸化物は、対応する金属ステアリン酸塩錯体(例えばZn、Ca、Mg及びAlのステアリン酸塩)又はステアリン酸及び硫黄化合物若しくはアルキルペルオキシド化合物と連係して使用することができる。本発明のエラストマー性ハロゲン化コポリマー成分のための適切な硬化剤系には、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸と組み合わせた酸化亜鉛並びに任意的に下記の促進剤又は加硫剤、即ち硫黄と組み合わせて使用される、Permalux、ホウ酸ジカテコールのジ−オルト−トルイルグアニジン塩;HVA−2、m−フェニレンビスマレイミド;Zisnet、2,4,6−トリメルカプト−5−トリアジン;ZDEDC、亜鉛ジエチルジチオカルバメート及び本発明の目的のために他のジチオカルバメートも含む;Tetrone A、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド;Vultac5、アルキル化フェノールジスルフィド;SP1045、フェノールホルムアルデヒド樹脂;SP1056、臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂;DPPD、ジフェニルフェニレンジアミン;サリチル酸、オルト−ヒドロキシ安息香酸;木材ロジン、アビエチン酸並びにTMTDS、テトラメチルチウラムジスルフィドの1種又はそれ以上が含まれる。
【0050】
硬化促進剤はアミン、グアニジン、チオウレア、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、スルフェンイミド、チオカルバメート、キサンテート等を含む。硬化工程の促進は、この組成物に、或る量の促進剤を添加することによって達成できる。ゴムの促進された加硫のメカニズムには、硬化剤、促進剤、活性化剤及びポリマーの間の複雑な相互作用が含まれる。理想的には、利用可能な硬化剤の全部が、個々のポリマー鎖を互いに結合し、ポリマーマトリックスの全体強度を増強する、有効な架橋の形成に消費される。多数の促進剤が当該技術分野で公知であり、これには、これらに限定するものではないが、下記、即ちステアリン酸、ジフェニルグアニジン(DPG)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、4,4’−ジチオジモルホリン(DTDM)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、2,2’−ベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ヘキサメチレン−1,6−ビスチオ硫酸二ナトリウム塩二水和物、2−(モルホリノチオ)ベンゾチアゾール(MBS又はMOR)、90%のMORと10%のMBTSとの組成物(MOR90)、N−第三級ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)及びN−オキシジエチレンチオカルバミル−N−オキシジエチレンスルホンアミド(OTOS)、2−エチルヘキサン酸亜鉛(ZEH)、N,N’−ジエチルチオウレアが含まれる。それらが、1種又はそれ以上の架橋性ポリマーで有用である一部である、硬化剤、促進剤及び硬化系は当該技術分野で公知である。
【0051】
硬化系は、適切な濃度で、ゴム成分(このゴム成分は、任意的に、1種又はそれ以上の充填材、増量剤及び/又は可塑剤を含む)の中に、例えばこのような目的のためにゴム工業に於いて一般的に使用される任意の混合装置、例えば2本ロールゴムミル、バンバリーミキサー、混合押出機等を使用して、ゴム含有組成物を熱可塑性樹脂に添加する前のプロセス工程に於いて、ゴムと硬化系成分とを混合することによって、分散させることができる。このような混合は、一般的に、ゴム組成物を「促進する」として参照される。その代わりに、ゴム組成物を、動的加硫を実施する前の、混合押出機の段階で促進することができるが、これは商業的、実際的、統合プロセスに於いて制御することが困難であり、あまり望ましくはない。硬化系を、ゴム相内で又は任意的に、1種又はそれ以上の充填材、増量剤及び意図される最終用途のための他の一般的な成分を含有するゴム組成物中でも分散させ、その後に、動的加硫を実施することが意図される混合装置内で、ゴムを熱可塑性樹脂(単数又は複数)に添加することが特に好ましい。このようにすることによって、予備配合したゴム組成物を、下記に説明するような、動的加硫装置、好ましくは混合押出機への一層効率的で有効な供給のために、ペレット化することができる。
【0052】
本発明の一つの態様に於いて、少なくとも1種の硬化剤が、典型的には、約0.1〜約15phr、或いは約0.5〜約10phrで存在する。
【0053】
硬化剤、硬化変性剤及び促進剤の有用な組合せは、下記のように例示することができる。一般的ゴム加硫剤としては、例えば硫黄加硫剤、粉末化硫黄、沈殿硫黄、高分散硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄、ジモルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド及びこれらの混合物。このような化合物は約0.5phr〜約4phr(エラストマー成分100重量部当たりの重量部)の量で使用することができる。或いは、このような材料の使用が、他のポリマー及び樹脂成分を考慮して実施可能な場合、有機過酸化物加硫剤である、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)及びこれらの混合物が存在する。使用するとき、このような硬化剤は、約1phr〜約20phrのレベルで存在してよい。他の有用な硬化剤には、フェノール樹脂加硫剤、例えばアルキルフェノール樹脂の臭化物又は塩化第一スズ、クロロプレン若しくは別のハロゲン供与体及びアルキルフェノール樹脂を含有する混合架橋剤システム並びにこれらの混合物が含まれる。このような薬剤は、約1phr〜約20phrのレベルで使用することができる。或いは、他の有用な硬化剤、硬化変性剤及び有用なレベルには、酸化亜鉛及び/又はステアリン酸亜鉛(約0.05phr〜約5phr)、ステアリン酸(約0.1phr〜約5phr)、酸化マグネシウム(約0.5phr〜約4phr)、リサージ(10phr〜20phr)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(約0.5phr〜約10phr)、メチレンジアニリン(約0.05phr〜約10phr)及びこれらの混合物が含まれる。更に、所望する又は必要な場合、例えばアルデヒド−アンモニア、グアニジン、チアゾール、スルフェンアミド、チウラム、ジチオ酸塩、チオウレア及びこれらの混合物を含む、1種又はそれ以上の架橋促進剤を、例えば約0.1phr〜約5phr又はそれ以上の量で、加硫剤と組み合わせて添加することができる。
【0054】
特に、BIMS成分を含有する、本発明に於いて有用なエラストマー成分は、低濃度のフリーラジカル吸収酸化防止剤を含有していてよいが、このようなエラストマーは、特に、製品が、ナイロン成分との改良された相溶性のための形で製造される場合に、これ無しで製造することもできる。フリーラジカル吸収添加剤は、典型的には、UV吸収剤又はUV安定剤としては参照されないが、紫外光への曝露が、フリーラジカルの生成になる場合には、フリーラジカル吸収添加剤の存在は、組成物の安定性を改良することができることが注目される。フリーラジカル吸収添加剤は、本発明の主要添加剤であるUV吸収剤と組み合わせて使用することができる。有用な商業的フリーラジカル酸化防止剤の例には、立体障害フェノール性化合物、例えばN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド、ペンタエリスリトール テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)等及びこれらの混合物が含まれる。本発明のUV吸収剤と組み合わせて使用されるとき、フリーラジカル吸収剤は、典型的には、ゴム100部当たり、約0.05〜約1.0部(phr)、好ましくは約0.1〜約0.9phr、更に好ましくは約0.2〜約0.8phr、なお更に好ましくは約0.25〜約0.7phr、例えば約0.3〜約0.6phr又は約0.25〜約0.50phr又は約0.25〜約0.35phrの濃度で使用される。或いは、本発明の組成物中に、少なくとも1種の酸化防止剤がUV吸収剤と組み合わせて使用されるとき、このような酸化防止剤は、phrで、約:0.05、0.1、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.90、1.0及び1.1からなる群から選択された濃度で存在する。更に、1種又はそれ以上の酸化防止剤は、上記の値の任意の2個から選択された範囲内の濃度で使用することができる。
【0055】
本発明に於いて有用なエラストマー、特にBIMS成分は、典型的には、紫外線又はUV安定剤を含有していない。また、本発明の組成物が置かれるべき使用は、典型的には、タイヤ(インナーライナー)及びホースのような物品の内側表面を含むので、この組成物は、典型的には、紫外線又は光に対して曝露されないか又は最小でのみ曝露されるので、このような組成物は典型的にはUV安定剤を含有しないであろう。従って、このような組成物中の少なくとも1種(例えば1種又はそれ以上)のUV吸収剤又は安定剤の使用は、典型的ではないであろう。或いは、カーボンブラックを含有する組成物が製造される場合、カーボンブラックはUV吸収剤として機能することができ、従って、この機能を果たすための化学添加剤についての更なる必要性を回避することが、一般的に受け入れられる。しかしながら、カーボンブラックが、強化を与える濃度で、換言すると強化充填材として使用されるとき、組成物の粘度も増加させ、これは本発明のエラストマー成分(単数又は複数)の分散に負の影響を与えるので、カーボンブラックの添加は他の意義を有する。従って、前記検討したものと同様の組成物中にUV安定剤を含有させることは、予想されないか又は標準ではないが、このような材料の使用は、特に、バリヤーフィルムの改良された長期間性能例えばフィルムの表面での減少した亀裂及び減少した粘着性の点に於いて、動的に加硫された組成物の流動、成形、強度及び流体バリヤー特性を維持しながら、得られる薄いフィルム、流体又は空気バリヤー組成物の性能の点に於ける予想外の利点を提供することが見出された。本発明に従って、UV安定剤又は吸収剤は、エラストマー及び/又は熱可塑性樹脂に、熱可塑性エラストマーの予備配合、配合又は混合の間の任意の点で添加することができる。
【0056】
種々のUV安定剤又は吸収剤が市販されており、有用で有り得る。これらの材料は、このような材料を使用することの効果が、得られる組成物の安定性を改良することであるので、UV「吸収剤」及び「安定剤」の両方として参照することができる。このような吸収剤の幾つかの種類が好ましい。それは、これらが、より低い塩基性であり、ハロゲン化エラストマー成分、特にBIMSエラストマーの硬化又は架橋反応を殆ど妨害しない傾向があるからである。更に、これに関して、ポリマー組成物に於いて典型的に使用されるUV吸収剤の一種類、即ちヒンダードアミン光安定剤(当該技術分野に於いて、頭字語HALSによって知られている)は、本発明に於いて使用するために適しておらず、本発明に於ける好ましい吸収剤ではないことが、注目されるべきである。一つの態様に於いて、HALSは、本発明の組成物中には存在せず、その使用は、このような態様に於いて、具体的に、意図的に排除される。更に、本発明の好ましいUV吸収剤添加剤は、動的加硫プロセスの前にエラストマー又はBIMS成分に添加されたとき、中にそれが存在する流体バリヤーフィルムを含有するタイヤ又はホースの続く硬化の間に、動的に加硫されたエラストマー相中に分散されたままである傾向であるものである。
【0057】
特に好ましいUV吸収剤及び安定剤は、それらの誘導体、二量体及び混合物を含む、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノン及び任意的に置換されたヒドロキシ安息香酸のエステルとして化学的に同定される化合物からなる群から選択される。ヒドロキシ安息香酸化合物は、本発明に於いて使用するための適切な添加剤であるが、これらは、典型的には、UV吸収剤として特徴付けられない。その代わりに、これらは、フリーラジカルが、UV光を含む化学線への曝露によって組成物中で発生し得る場合には、このようなフリーラジカルと反応し、フリーラジカルを破壊する化合物であると理解され、ときにはフリーラジカルスカベンジャーとして参照される。この種類の適切なフリーラジカルスカベンジャー、吸収剤又は安定剤は、それらが、エラストマー、特にBIMSエラストマーの硬化応答を、動的加硫プロセスが、この組成物を製造するために使用されるプロセス条件下で抑制される程度及び/又はバリヤーフィルムが、それが置かれる用途のために不充分な強度若しくはUV耐性を有する程度まで妨害しないことをベースにして選択することができる。従って、適切なフリーラジカルスカベンジャーは、芳香族アミン、ヒンダードアミン光安定剤又はHALS及び反応性アミン又はアミド基を含有するフェノール性フリーラジカルスカベンジャーを含まない。本発明に於いて使用するために適しているUV吸収剤及び光安定剤の幾つかの種類は、米国特許第5,021,478号明細書(この開示を、許容される範囲まで本明細書中に含める)に開示されている。
【0058】
ベンゾトリアゾール化合物の種類は、多数の商業的化合物を含み、特に好ましい。ベンゾトリアゾールは、下記の式:
【0059】
【化1】

【0060】
(式中、独立に、XはH又はClであり、R1はH又はアルキルであり、R2はアルキルであり、それぞれの例に於いて、アルキルは、線状の又は枝分かれした、置換された又は置換されていないC1〜C12(その上のフェニル置換基を含む)である)
によって示されるこれらの化合物を含む。
【0061】
この種類の他の適切な化合物は、2−(2‘−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、例えば5’−メチルー、3’,5’−ジ−tert−ブチル−、5’−tert−ブチル−、5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−、5−クロロ−3’,5’−ジ−tert−ブチル−、5−クロロ−3’−tert−ブチル−5’−メチル−、3’−sec−ブチル−、5’−tert−ブチル−、4’−オクトキシ、3’,5’−ジ−tert−アミル−、3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)、3’−tert−ブチル−5’−(2−(ω−ヒドロキシオクタ−(エチレンオキシ)カルボニル−エチル)−、3’−ドデシル−5’−メチル−及び3’−tert−ブチル−5’−(2−オクチルオキシカルボニル)エチル−及びドデシル化−5’−メチル誘導体等並びにこれらの混合物を含む。適切な市販の例には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(Cyasorb(登録商標)UV5411;Cytec Industries)及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(Cyasorb(登録商標)UV2337;Cytec Industries)が含まれる。適切なUV吸収剤製品には、メチル 3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールとの反応生成物(TINUVIN(登録商標)213;CIBA Specialty Chemicals);2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(TINUVIN(登録商標)234;CIBA Specialty Chemicals);2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール(TINUVIN(登録商標)320;CIBA Specialty Chemicals);2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−メチルフェノール(TINUVIN(登録商標)326;CIBA Specialty Chemicals);2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール(TINUVIN(登録商標)327;CIBA Specialty Chemicals);2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール(TINUVIN(登録商標)328;CIBA Specialty Chemicals);2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN(登録商標)329;CIBA Specialty Chemicals);2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(tert−ブチル)−6−(sec−ブチル)フェノール(TINUVIN(登録商標)350;CIBA Specialty Chemicals);2,2’−メチレンビス(6−(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(TINUVIN(登録商標)360;CIBA Specialty Chemicals);2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール、分枝鎖及び直鎖(TINUVIN(登録商標)571;CIBA Specialty Chemicals)及び2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール[2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4−メチル−フェノールとしても参照される](TINUVIN(登録商標)P;CIBA Specialty Chemicals)等並びにこれらの混合物も含まれる。
【0062】
有用なベンゾフェノンは、下記の構造:
【0063】
【化2】

【0064】
(式中、RはH又はアルキルである)
によって示される化合物を含む。
【0065】
この種類の他の適切な化合物は、2−ヒドロキシ−ベンゾフェノン、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクトキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4’−トリヒドロキシ−及び2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体を含む。適切な市販の例には、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Cyasorb(登録商標)UV−9)、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(Cyasorb(登録商標)UV−24);2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(Cyasorb(登録商標)UV−531);ポリ−4−2−アクリルオキシエトキシ)−2−ヒドロキシベンゾフェノン(Cyasorb(登録商標)UV−2126);2−ヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(メタノン、2−ヒドロキシ−4−オクチル−フェニルとしても参照される)(Chimassorb(登録商標)81)等及びこれらの混合物が含まれ、上記の化合物のそれぞれは、Cytec Industries、ニュージャージー州West Patersonから入手可能である。
【0066】
有用なトリアジンは、これに限定するものではないが、下記の構造:
【0067】
【化3】

【0068】
によって例示される化合物(Tinuvin(登録商標)1577;CIBA Specialty Chemicalsとして市販されている)を含む。この種類中の他の適切な化合物は、ヒドロキシフェニル−s−トリアジン、例えば2,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン;2,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−s−トリアジン;2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン:2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン:2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−フェニル−s−トリアジン:2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジン:2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−(4−ブロモフェニル)−s−トリアジン:2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−(2−アセトキシエトキシ)フェニル]−6−(4−クロロフェニル)−s−トリアジン:2,4−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−s−トリアジンを含む。他の適切な市販の例には、2−[4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール(Cyasorb(登録商標)UV1164)等及びこれらの混合物が含まれる。
【0069】
有用なヒドロキシ安息香酸は、これらに限定するものではないが、下記の構造:
【0070】
【化4】

【0071】
によって例示される化合物、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル(Cyasorb(登録商標)2908、Cytec Industriesとして市販されている)を含む。この種類の他の適切な化合物には、任意的に置換された安息香酸のエステル、例えばサリチル酸フェニル、サリチル酸4−tert−ブチルフェニル、サリチル酸オクチルフェニル、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス−(4−tert−ブチルベンゾイル)−レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−tert−ブチル−フェニルエステル及び3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル等並びにこれらの混合物が含まれる。
【0072】
他のUV吸収剤も、R.T.Vanderbilt Company,Inc.から、ブランド名Songlight(登録商標)及びSongsorb(登録商標)で種々のグレードとして入手可能である。
【0073】
UV吸収剤は、この組成物中に使用されるハロゲン化エラストマー(単数又は複数)及び第二エラストマー(単数又は複数)のために適した量で使用することができ、その量は、エラストマー(単数又は複数)の架橋を、最も少なく若しくは許容できるレベルまで妨害する又は全く妨害しない、安定剤の種類及び量を同定するための、本明細書中に記載されたような標準硬化応答試験を使用して決定することができる。換言すると、選択された安定剤(単数又は複数)と、動的加硫及びその他の方法のために、例えば第二のエラストマーを任意的に硬化させるために使用される硬化剤との組合せは、満足できる物理的特性、例えばバリヤーフィルムの、引張強度並びに安定性、例えば老化強度及び表面状態になる硬化の状態を与えなくてはならない。典型的には、1種の吸収剤又は吸収剤群の混合物は、約10phr、8.0phr、7.5phr、6phr、5phr、3.5phr、2.0phr、1.75phr、1.5phrの最大値及び約0.1phr、0.2phr、0.3phr、0.5phr、0.75phr、1.0phr、1.5phr、1.175phrの最小値の濃度で有用であり、適切な範囲は、上記最小値のいずれか一つと組み合わせて、上記最大値のいずれか一つを含む範囲である。適切な範囲には、これらに限定するものではないが、0.1〜約10phr、約0.1〜8.0phr、0.1〜約7.5phr、0.1〜約5.0phr、0.1〜約3.5phr、約0.2〜約6.5phr、約0.25〜約5.0phr、約0.25〜約3.5phr、例えば約0.25〜約2.0phr又は約0.25〜約1.75phr又は約0.25〜約1.5phrが含まれる。更に、1種又はそれ以上の吸収剤を、上記の値の任意の2個から選択された範囲内の濃度で使用することができる。
【0074】
本明細書中に記載された組成物は、1種又はそれ以上の充填材成分、例えば炭酸カルシウム、クレイ、雲母、シリカ及びケイ酸塩、タルク、二酸化チタン、デンプン及び他の有機充填材、例えば木粉並びにカーボンブラックを有していてよい。適切な充填材料はカーボンブラック、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、変性カーボンブラック、例えばシリカ処理した又はシリカコーティングしたカーボンブラック等を含む。強化グレードカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの特に有用なグレードは、三菱カーボンブラックグレートMA600(中級色ファーネスブラックとしても同定される)である。しかしながら、カーボンブラックは、仮に使用する場合には、典型的には、約5部/ゴム100部(phr)以下、好ましくは約4phr未満、更に好ましくは約3phr未満、最も好ましくは約2phr未満、例えば約1phr又はそれ以下、例えば約0.1〜約1.5phr、例えば約0.25〜約1.0phrである。或いは、有用な組成物は、カーボンブラック無しで製造することができる。充填材は、他の強化材又は非強化材、例えばシリカ、クレイ、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン等を含むこともできる。充填材は、組成物中に存在するゴムの0〜約5重量%、例えば約0.5〜約4重量%又は約1.0〜約3重量%、例えば約1〜約2重量%のレベルで存在してよい。
【0075】
プロセスオイル又は可塑剤オイルが、空気バリヤー組成物中に存在してよい。このようなオイルは、主として、層の製造の間の組成物の加工、例えば混合、カレンダー加工等を改良するために使用される。一般的に、プロセスオイルは、パラフィン系オイル、芳香族系オイル、ナフテン系オイル及びポリブテンオイルから選択することができる。ゴムプロセスオイルは、それらが、パラフィン、ナフテン又は芳香族炭化水素系プロセスオイルのクラスに入るか否かに依存するASTM名称も有する。利用されるプロセスオイルの種類は、エラストマー成分の種類と連係させて習慣的に使用されるものであり、熟練したゴム化学者は、特定の用途に於いて特定のゴムと共に、どの種類のオイルを利用すべきであるかを認識しているであろう。熱可塑性エラストマー組成物のために、オイルは、全組成物の0〜約20重量%のレベルで存在してよく、好ましくは組成物の不透過性を最大にするために、オイルは含まれない。
【0076】
混合及び/又は加工の間の、ゴム又はBIMS成分と熱可塑性樹脂又はナイロン成分との間の粘度差を最小にするか又は減少させることによって、均一な混合及び微細なブレンド形態、換言すると加硫されたゴムの小さい分散された粒子(これは、良好なブレンドメカニカル及び所望の透過性特性を著しく増強する)が増強される。しかしながら、BIMSポリマーの典型的な特徴である流動活性化及び剪断減粘性特徴の結果として、上昇した温度でのBIMSポリマーの低下した粘度値及び混合の間に遭遇する剪断速度は、BIMSポリマーと典型的にブレンドされる熱可塑性樹脂成分の粘度における低下よりも遙かに顕著である。従って、高い剪断速度及び温度でのBIMSのより低い粘度を考慮して、ゴムのものと同様であるようなナイロン成分(単数又は複数)の粘度を得るために、より低い粘度を有する低分子量グレードのナイロン若しくは可塑剤と組み合わせた1種若しくはそれ以上のナイロン又は両方のアプローチの組合せを選択して、混合の間に所望の粘度を達成することが有用である。BIMSポリマー相のものに合致する又は近づくナイロン樹脂相粘度を有することによって、動的加硫されたBIMS及びナイロンブレンドの分散した粒子サイズ及び全体形態を改良することができる。しかしながら、ポリマー選択又は変性の性質に依存して、これらの代替は、例えばより低い分子量ナイロンの使用の結果として望ましくない機械的特性になり得並びに/又は使用する可塑剤の量及び種類に依存する、典型的なナイロン可塑剤の使用の結果としてより高い透過度になり得る。
【0077】
ナイロン相の粘度を低下させるための代替アプローチは、可塑剤としての低分子量ポリアミドポリマーを使用する。この方法に於いて、中及び高分子量ナイロンを使用し、得られる加硫されたBIMS及びナイロン動的加硫ブレンドの機械的特性を維持することが可能であり、更に、低分子量ポリアミドは比較的低い透過性を示すので、得られる動的に加硫されたブレンドは、著しく低下したそれらの透過性特性を有しない。このような材料は、典型的には、約20,000ダルトンよりも小さい、例えば約1,000〜約18,000ダルトン、好ましくは約3,000〜約17,000ダルトンの分子量を有し、約250℃よりも高い引火点、約−20℃よりも低い脆化温度及び約180℃よりも低い軟化温度を有する。更に、有用な低分子量アミドは、約15パスカル−秒(Pa−s)よりも小さい、その代わりに約0.05〜約12Pa−s、好ましくは約0.2〜約10Pa−sの、200℃での粘度を示す。
【0078】
更に、可塑剤、例えば有機エステル及び他の合成可塑剤を使用することができる。DVA組成物中で使用するための特に好ましい可塑剤はN−ブチルスルホンアミド又はポリアミドに適している他の可塑剤である。ナイロン可塑剤は、これらに限定するものではないが、ラクタム、例えばカプロラクタム及びラウリルラクタム並びにスルホンアミド、例えばo,p−トルエンスルホンアミド、n−エチル o,p−トルエンスルホンアミド、トリメリト酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステル並びにグリコール酸エステルを含む。例示的可塑剤はフタル酸エステル可塑剤、アジピン酸エステル可塑剤、リン酸エステル可塑剤、グリコール酸エステル可塑剤、スルホンアミド可塑剤、トリメリト酸エステル可塑剤及びポリマー可塑剤、特に低分子量ナイロンからなる群から選択することができる。好ましい可塑剤はフタル酸エステル可塑剤、アジピン酸エステル可塑剤及びスルホンアミド可塑剤からなる群から選択される。適切な可塑剤の例には、フタル酸ジブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジウンデシル、混合C7〜C11ジアルキルフタレート、ブチルベンジルフタレート、フタル酸ベンジル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、混合C7〜C9ジアルキルアジペート、リン酸トリブトキシエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸2−エチルヘキシルジフェニル、リン酸イソデシルジフェニル、グリコール酸ブチルフタリルブチル、グリコール酸メチルフタリルエチル及び混合C7〜C9アルキルトリメリテートが含まれる。例えばN−ブチルベンジルスルホンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド、o,p−トルエンスルホンアミド、N−エチル−o,p−トルエンスルホンアミド及びN−エチル−o−トルエンスルホンアミドを含むスルホンアミド可塑剤は、ポリアミド用の可塑剤の好ましい種類を構成する。別の態様に於いて、ゴムプロセスオイル、例えばナフテン系、芳香族系又はパラフィン系増量剤オイルが、約1〜約5phrで存在してよい。更に別の態様に於いて、ナフテン系、脂肪族系、パラフィン系及び他の芳香族系オイルは、組成物中に実質的に不存在である。「実質的に不存在」によって、ナフテン系、脂肪族系、パラフィン系及び他の芳香族系オイルが、存在したとしても、組成物中に2phr以下の程度まで存在し得ることを意味する。
【0079】
前記の説明に従って取られる工程の結果として、ナイロン含有相及び特にその中にBIMSが存在するエラストマー含有相は、動的加硫の上昇した温度及び剪断条件下で、互いの約35%以内、好ましくは互いの約30%以内、更に好ましくは互いの約25%以内、なお更に好ましくは互いの約20%以内、最も好ましくは互いの約15%以内、例えば互いの約10%又はそれ以下以内、例えば互いの約1、3、5、7又は8%以内である粘度を有し、理想的には、動的加硫条件下でのこれらの粘度は同じものである。
【0080】
好ましいポリマー成分は、加硫性成分(単数又は複数)としてのハロゲン化イソブチレン含有コポリマー、例えばハロゲン化ブチル、例えば塩素化ブチル又は臭素化ブチル及び臭素化イソブチレン−p−メチルスチレンコポリマー(BIMSコポリマー)並びに熱可塑性ポリマー、例えばナイロン又は種々のナイロンポリマーのブレンドを含む。本発明の動的に加硫された組成物は、熱可塑性樹脂の連続マトリックス中の分散した、実質的に完全に硬化された、小さい粒子サイズの形でのハロゲン化ゴム成分(単数又は複数)を含むことが特に好ましい。この動的に加硫されたハロゲン化ゴム成分は、好ましくはポリアミドマトリックス中に、約0.1ミクロン〜約1ミクロン、例えば約0.1ミクロン〜約0.75ミクロン又は約0.1ミクロン〜約0.5ミクロンの平均粒子サイズを有する小さい粒子の形で分散されている。粒子サイズは、タッピング相原子力顕微鏡法(tapping phase atomic force microscopy)(AFM)を含む当該技術分野で公知の方法によって決定することができる。
【0081】
本発明の目的のために、BIMS成分は、低グラフト化効率エラストマーとも参照され、第二のゴムは高グラフト化効率ゴムとも参照される。それぞれの場合に、グラフト化は、組成物中に存在するポリアミド(単数又は複数)上へのグラフト化を指す。この効率に於ける差異及びポリマーの性能を測定するための方法を、以下更に説明する。
【0082】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中で有用である成分のそれぞれを説明して、下記のパラグラフは、このような組成物を製造する効率的な方法を説明する。
【0083】
「動的加硫(dynamic vulcanization)」として知られている方法を使用するとき、以下に説明するような硬化系を分散する方法。一般的に、用語「動的加硫」は、熱可塑性樹脂及び少なくとも1種の加硫性ゴムを、このゴム(単数又は複数)のための硬化剤又は硬化システムの存在下で、高い剪断及び上昇した温度の条件下で混合する加硫プロセスを示すために使用される。その結果、ゴムは、同時に架橋され、粒子として、好ましくはミクロゲルの形で、連続マトリックスを形成する又は連続マトリックスとして存在する樹脂の中に分散される。得られる組成物は、「動的に加硫されたアロイ」又はDVAとして当該技術分野で知られている。典型的には、動的加硫は、成分を、ゴムの硬化温度又はそれ以上である温度で且つ樹脂の溶融温度又はそれ以上である温度で混合することによって実施される。動的に加硫された又は硬化された組成物の独特の特性は、ゴムが硬化されているという事実にもかかわらず、組成物を、一般的な熱可塑性樹脂加工技術、例えば押出、射出成形、圧縮成形等によって、加工及び再加工することができることである。スクラップ及び/又はフラッシングも、回収し、再加工することができる。典型的な動的加硫プロセスに於いて、硬化剤添加は、少なくとも1種の加硫性ゴム、エラストマー又はポリマー及び少なくとも1種の加硫性成分のための加硫剤(単数又は複数)を使用して加硫することができない少なくとも1種のポリマー又は樹脂を含む組成物中の、少なくとも1種の加硫性成分を、実質的に同時に混合し、そして加硫又は架橋するように変えられる。しかしながら、この動的加硫プロセスは下記のように修正されて、更なる利点を達成することができる。
【0084】
加硫性ゴム、典型的には第一のゴム、例えばハロゲン化イソブチレンエラストマー、例えばBIMS(又はこのようなゴムの混合物)は、硬化系、時間及び温度に基づいて、それが可能である硬化の最大状態の少なくとも50%まで硬化され、典型的には、このようなゴムの硬化状態は、最大硬化の50%を超えるであろうことが認められるであろう。第二のゴムも加硫性ゴムを含んでいてよいので、このような第二のゴムが、例えば本明細書に記載したような動的加硫技術に従って加硫される場合、これも典型的には、その硬化剤又は硬化系並びにそれが処理される時間及び温度に基づいて、それが可能である硬化の最大状態の少なくとも50%まで硬化されるであろう。一方、本明細書中で説明したようにそのような第二のゴムは硬化剤があってもなくてもポリアミド樹脂にグラフト化、結合、相互作用を及ぼすことができるため、加硫状態の制限はなく、非常に小さな粒径で十分な分散をさせることができ、この組成物の用途に望まれる特性を与えることができる。反対に、ゴム粒子を、ゴムが可能である硬化の最大状態よりも低くまで硬化させて、例えばゴム成分(単数又は複数)のヤング率によって測定したとき、可撓性が、組成物が供される最終用途、例えばタイヤインナーライナー又はホース成分のための適切なレベルであるようにすることが望ましいであろう。従って、組成物中に使用されるゴム(単数又は複数)の硬化の状態を、前記のように、それらが可能である最大の硬化度の約95%と等しいか、それ未満であるように制御することが望ましいであろう。
【0085】
動的加硫は、バンバリー(登録商標)内部ミキサー、ロールミキサー及び混合押出機を含む、ゴム及びプラスチックス工業に於いて一般的に利用可能な種々の形式の商業的装置内で実施することができる。好ましい混合装置は、かみ合いスクリューを備えた二軸スクリュー押出機である。混合は一般に分散ゴム粒子、特に第一のゴム成分がナイロン中に硬化または相互作用を持った形で分散し、混合が終わった際の粒子の凝集を避けられるだけの安定性を維持するのに必要な時間、温度の元で行われる。動的加硫温度の適切な範囲は、典型的には、樹脂(単数又は複数)のほぼ溶融温度から約300℃未満までであり、例えばこの温度は、マトリックス樹脂(単数又は複数)のほぼ溶融温度から約275℃まで、好ましくは約230℃〜約265℃、或いは約235℃〜約260℃、例えば約240℃〜約260℃、例えば約230℃〜約250℃の範囲であってよい。或いは、動的加硫は、マトリックス樹脂の溶融温度よりも約10℃〜約50℃高い、更に好ましくは、ポリアミド又は混合ポリアミド熱可塑性マトリックスの溶融温度よりも約20℃〜約40℃高い温度範囲で実施することができる。混合押出機は、典型的には、それらのそれぞれが制御された温度であってよい複数のバレル区画を含み、それぞれの機能は、例えば供給区画、混合区画、冷却区画、溶融区画等として変化し得る。その結果、それぞれの区画内の温度は、上流に又はそれぞれの区画内に供給される成分の、溶融、混合、分散及び硬化のための最も適切な条件を達成するように制御することができる。例えば最も上流の区画内の温度を、典型的には押出機の第一区画(単数又は複数)に供給される、ポリアミド(単数又は複数)並びにポリアミド安定剤及び可塑剤の加熱、溶融及び分散を促進するために、例えば約230℃〜約250℃に上昇させることができる。これに続いて、BIMS含有成分の混合、分散及び動的加硫のために適した温度、例えば約200℃〜約230℃にし、その後、第二のエラストマーの混合及び分散のために並びに混合押出機からの混合された組成物の排出のために適した温度、例えば約190℃〜約220℃にすることができる。これらの温度は、例示のみの目的のためである。それは、特定の値は、特別のポリアミド種類(単数又は複数)及びグレード(単数又は複数)、BIMS又は他のハロゲン化イソブチレン含有成分を動的に加硫するために使用される特別の硬化系並びに第二のゴムの特定の種類、その活性及びそれが動的に加硫されるか又は動的加硫無しに分散されるか否かに基づいて、選択することができるからである。
【0086】
本発明の一つの態様に於いて、加硫された分散相を形成するように望まれるエラストマー成分(単数又は複数)を架橋することができる架橋剤を、エラストマー成分の中に、硬化系を実質的に活性化するためには不充分な低い乃至中度の温度で混合することによって、架橋剤(単数又は複数)又は硬化系の必要又は適切な量をエラストマー成分(単数又は複数)の中に分散させ、その後、混合物の動的加硫を実施する目的のために、このようにして配合された又は促進されたエラストマー成分(単数又は複数)を樹脂成分(単数又は複数)と接触させる。この方法によって、架橋剤はゴムと実質的に反応せず、これは熱可塑性樹脂と部分的に反応して、分子量低下又は樹脂の架橋を起こす機会も有しない。更に、エラストマー成分の架橋速度及び架橋の程度の制御は、一層容易に達成される。従って、本発明の組成物は改良された性質を示す。
【0087】
例えば混合装置、例えばバンバリーミキサー、2本ロールゴムミル等を使用して、ハロゲン化エラストマーを含むエラストマー成分を予定量の架橋剤又は「系」(後者は、特に、架橋剤と促進剤との組合せが使用される場合に、硬化剤の多成分混合物を指す)と、実質的に均一な分散物が得られるまで予備混合又は予備配合する。更に、好ましい態様に於いて、少なくとも1種の紫外線安定剤も、ハロゲン化エラストマー中に分散される。この時点で、エラストマー成分は、所望であればそれに添加された、適切な量の任意の充填材、例えばカーボンブラック若しくは変性カーボンブラック、クレイ若しくは変性クレー、油及び/又は可塑剤を有することができる。前記のように、この混合の段階の間に、ゴム相成分を有効に分散させ、そしてエラストマーの早すぎる架橋を回避するために、温度を、選択された特別のエラストマー(単数又は複数)のために充分に低いレベルで、硬化系の活性を考慮に入れて制御する。硬化剤又は硬化系を分散させるための混合工程の間の有用な温度は約120℃よりも低くてよい。
【0088】
1種又はそれ以上のポリアミド、加硫性BIMSエラストマー及び少なくとも1種の第二のゴムを含む、熱可塑性エラストマー組成物中に存在する幾つかの成分を有すると、充分に分布し、分散した混合及び動的加硫をもたらすために、全プロセス中に複数の混合工程又は段階を含めることが、通常必要であろう。典型的には、BIMSゴムを、内部ミキサー、例えばバンバリー又はゴムミルを使用して硬化剤及びUV安定剤(単数又は複数)と予備配合し、これをペレット化する。先行技術プロセスに於いて、それぞれの個々のポリアミド成分は、典型的には、二軸スクリュー押出機を使用して、可塑剤及び安定剤と予備混合され、そしてペレット化される。最後に、予備配合されたBIMSゴムペレット、予備ブレンドされたポリアミドペレット及び第二のゴムペレットが、押出混合及び動的加硫のために、二軸スクリュー押出機の中に計量又は供給される。このような多工程混合及び中間冷却並びにペレット化工程は、費用が掛かり、製造間違いを起こし、製造の間の中間段階に於いて顕著な在庫に至る。
【0089】
反対に、本発明の動的加硫プロセスは、このような典型的な先行技術プロセスから修正されている。本発明の一態様に於いて、タイヤインナーライナー及びバリヤーフィルムを使用する他の工業的用途のような用途のために優れた形態を有する、本発明の安定化された熱可塑性エラストマー組成物を製造するために必要な混合工程の数に於ける減少が提供される。特に、混合は、好ましくは、前記のように、ポリアミドと、BIMSエラストマー、第二のエラストマー及びUV安定剤(単数又は複数)を含有する反応性相溶化エラストマーとのブレンドをベースにする熱可塑性エラストマー組成物を製造するために、二軸スクリュー押出混合プロセス、特に1工程二軸スクリュー混合プロセスを利用する。
【0090】
本発明の方法に於いて、混合及び動的加硫は、好ましくは二軸スクリュー押出機内で実施され、その商業的例は、容易に入手可能であり、当該技術分野で公知である。混合の時点での剪断速度は、典型的には約500秒-1より大きく、好ましくは約500〜約7500秒-1、或いは約1000〜約7500秒-1、例えば約2000〜約7500秒-1である。このような押出機は、全組成物の種々の成分に対応する複数の供給ポート及び以下詳細に説明する制限を可能にするように装備されることのみを必要とする。更に、動的加硫を、選択されたポリマー成分及びBIMS加硫剤又は硬化系を使用して、実施し、所望される程度まで完結させることができるように、混合スクリューは、供給ポートのそれぞれに従った混合領域及び成分の全ての導入に従った適切な長さを提供するように適合されることのみを必要とし、このような構成は、本明細書中の教示に基づいて限られた実験によって、当業者により容易に決定される。その代わりに、混合及び動的加硫を、種々の成分を導入し、混合することができ、そこで動的加硫を実施することができる、任意の適切な混合装置内で実施することができる。例えば成分のそれぞれ又は成分の混合物を受け、これらを混合し、分散させることができるようにするために、バンバリー内部ミキサーを使用することができ、このような混合装置は、上昇した温度で動的加硫を実施するために使用することができる。便利さ及び効率的加工のために、押出機、更に好ましくは、本明細書中の教示と一致する、適切な供給、混合、冷却及び排出ゾーンを含む二軸スクリュー共回転かみ合い混合押出機を使用することが好ましい。
【0091】
好ましい混合順序に於いて、ポリアミド成分(単数又は複数)、これらの安定剤及び可塑剤を、押出機の上流供給ポートの中に導入することができ、これらの成分を、予備混合又は予備ブレンドする必要はない。ポリアミド相中の安定剤及び可塑剤の混合及び分散を可能にするために、スクリューに沿った充分な長さを設けるべきである。混合変形、例えば安定剤(単数又は複数)をナイロンと共に添加すること又は安定剤(単数又は複数)をナイロン可塑剤(後者を使用する場合)と共に分散させ、そして安定剤と可塑剤の混合物を、その混合が始まった後にナイロンに添加することを利用することができる。必要な場合、ポリアミドの粘度が、それをBIMSと混合する前に、望ましくなく低くなるようなポリアミドの過剰の加熱を回避するために、冷却ゾーンを設けることができる。換言すると、前記のように、ポリアミド中のBIMSの効率的混合及び分散のために、ポリアミド並びにその安定剤及び可塑剤と、BIMS並びにその硬化剤及び充填剤及び可塑剤(存在する場合)とのこれらの粘度は、それらが互いに混合され、動的加硫が開始される時点で、ほぼ同じである(実質的に「適合している」)ことが好ましい。前記のように、BIMSゴムは、典型的には、例えば内部ミキサー、例えばバンバリー又はゴムミルを使用して、その中に分散されたUV安定剤(単数又は複数)を有する硬化剤と予備混合され(「促進される」としても参照される)、そして供給又は計量の容易性のために、これは典型的にはペレット化される。前記のように、温度は、低すぎる温度及びポリマー混合物の得られる高い粘度並びに付随する電力必要量を回避するように制御すべきである。同様に、高すぎる温度は、特にポリアミド混合物の過度に低い粘度及び可能性のある分解並びにBIMS組成物との劣った混合になるであろう。有用な温度範囲は、約230℃〜約250℃で、好ましくは約210℃よりも低くなく又は約275℃よりも高くない。
【0092】
BIMS供給ポートの下流には、ペレット化された形での第二のゴム(第二のゴムは高グラフト化効率ゴムとも参照される)のための供給ポートが設けられている。特に好ましいのは押出機中での不用意なゴムの粗大化を防ぐため、2つのゴムを一緒に押出機にフィードしないことである。更に、BIMSゴムは、より低いグラフト化効率を示すので、その動的加硫、分散及び硬化反応と同時にポリアミドへのグラフト化のための追加の時間を与えるために、これは最初に供給される。反対に、より高いグラフト化効率を示す第二のゴムは、これは一層急速に反応し、ポリアミドに一層容易にグラフト化するので、更に下流で、押出機の出口により近い点で供給することができる。
【0093】
動的加硫のための混合の全時間は約30秒間〜約8分間、例えば約45秒間〜約6分間、例えば約1分間〜約4分間であってよい。しかしながら、混合時間は、適切に小さく安定なエラストマー粒子サイズ(単数又は複数)を示す動的に加硫された組成物及び使用される第一のゴム及び第二のゴムに基づく目標物理的及び/又は透過性特性を示す全組成物を製造するために必要なとき並びに前記のように第二のゴムが動的に加硫されたか否かを考慮もして調節することができ、好ましくは調節すべきである。前記のように、種々の成分の添加を伴うプロセスの全体又はそれぞれの部分若しくは段階での混合時間の選択は、本明細書中に示される原理及び詳細な情報に基づいて、ポリマー混合、特に押出混合に於ける当業者によって容易に決定される。
【0094】
このようにして得られた熱可塑性エラストマー組成物は、連続相を形成するナイロン樹脂のマトリックス中の分散相(ドメイン)として分散している不連続相を形成するエラストマー成分によって構成されている。動的加硫の結果として、この組成物は熱可塑性を保留し、この組成物のフィルム、層又はシート状構造体は、通常の成形、押出又はカレンダー加工を使用して形成することができる。
【0095】
単軸スクリュー押出機の末端で、Tシート押出ダイ、ストレート若しくはクロスヘッド構造チューブ押出ダイ、インフレーション成形円筒形ダイ等を使用して又はカレンダー加工により、得られた熱可塑性エラストマー組成物をシート、フィルム又はチューブに成形することによって、この組成物を、空気入りタイヤの空気透過防止層、例えばインナーライナーとして及びホースのコンポーネント又は層として等で使用することが可能である。本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、一度ストランドにし、ペレットにし、次いで樹脂用に典型的に使用される単軸スクリュー押出機を使用することによって成形することができる。
【0096】
このようにして得られたシート又はチューブ状成形物品は、空気入りタイヤのインナーライナー層又は低いガス透過性ホースのホースチューブ若しくはホースカバーのために、有効に使用することができる。更に、この組成物の低い透過性特性は、流体と直接接触している層が、取り扱われる流体に対する適切な耐性を有しているという条件で、気体以外の流体、例えば液体、例えば水、油圧流体、ブレーキ流体、熱移動流体等で使用するために適している。
【実施例】
【0097】
実施例で使用した成分のために、下記の市販製品を使用した。
【0098】
【表1】

【0099】
表2中の成分を含有する、後でBIMSマスターバッチとして参照される標準組成物を、これらの成分を、バンバリー内部ミキサー内で、BIMSの早すぎる硬化を起こさないが、成分(これらは組み合わさって、エラストマーのための硬化系を構成する)を分散させる、温度及び時間で分散させることによって製造した。
【0100】
【表2】

【0101】
表2の組成物の硬化応答(二重に試験した)を、ムービングダイレオメーター(Moving Die Rheometer)(MDR、Alpha Technologies)を使用し、±1°ダイ振動振幅を適用して評価した。更に、二重サンプルを、硬化応答について試験し、そこで、酸化防止剤及びHALS UV吸収剤を、個々に又は組合せで評価した。組成物を下記の表3に要約し、図1に示す。
【0102】
【表3】

【0103】
酸化防止剤及びHALS添加剤を、ブラベンダー(登録商標)ミキサーを使用して、160〜165℃、60RPM、窒素でガスシールした混合チャンバーで、BIMSマスターバッチのサンプル中に分散させた。
【0104】
図1中で判るように、フェノール性酸化防止剤の添加は、硬化の遅延した開始(トルク曲線が、その最低よりも上に上昇し始める時間)になったが、達成された最大値は、未変性組成物のものと同様である。反対に、単独で又は酸化防止剤との組合せでの、HALSの導入は、硬化の遅延した開始のみならず、達成されるトルクのレベルに於ける顕著な低下になり、特に、評価した濃度での、架橋の減少した速度及び架橋の減少した状態の両方を示唆した。一般的に、フェノール性酸化防止剤は、有効なUV吸収剤又は安定剤であるとは考えられないが、これは、1種又はそれ以上の、本発明に於いて記載した適切なUV吸収剤と組み合わせて使用するとき、有用な補助的添加剤で有り得る。
【0105】
表2のBIMSマスターバッチを使用して、異なったUV吸収剤、安定剤及び酸化防止剤を含有する組成物のマスターバッチの硬化応答への影響を評価した。表4中の組成物の硬化応答を、ムービングダイレオメーター(MDR、Alpha Technologies)を使用し、±1°ダイ振動振幅を適用して評価した。
【0106】
【表4】

【0107】
安定剤を、ミキサーを使用して、160℃、60RPM、窒素でガスシールした混合チャンバーで、BIMSマスターバッチ中に分散させた。BIMSを2分間混練(masticate)し、その後、添加剤を添加し、次いでこの組成物を更に3分間混合した。
【0108】
BIMSの硬化応答への安定剤の影響を、前記報告したのと同じ試験方法を使用して210℃での硬化応答の試験に基づいて、図2に示す。それぞれの組成物の硬化応答が示すように、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)及びアミン官能化フリーラジカルスカベンジャーは、これらが、BIMS(これは、動的加硫方法の間に実質的に完全に加硫されなくてはならない)の硬化状態を低下させるので、適切ではない。理論によって結び付けられることは望まないで、硬化応答への負の影響は、これらの材料の基本的性質及びBIMSの硬化反応との得られる干渉に起因すると考えられる。
【0109】
サンプルを調製し、SAE J1960中に特定された試験条件下で、1875kJ/m2で及び340nmで10日間UV曝露した後の表面粘着性について評価した。粘着性は、未曝露サンプルに対して比較した主観的評価(ここで、1=最良(最小の粘着性)及び10=最悪(最大の粘着性))によって決定した。表面粘着性は、吸収されたUVエネルギーに起因するポリマー分解の結果であると考えられる。これらの結果を、下記の表5に要約する。
【0110】
【表5】

【0111】
カーボンブラックの使用は、望ましい(低い)表面粘着性結果を与えたが、特に、このスクリーニング試験に於けるレベルでのカーボンブラックの含有は、ナイロンマトリックス中の動的に加硫されたエラストマー成分の粒子サイズ及び分散の均一性の両方に、有害に影響を与えると予想される。更に、バリヤーフィルム組成物中のカーボンブラックの使用は、このようなバリヤーフィルムの他の着色を不可能にするであろう。この試験に於けるその使用は、主として、参照又は対照の目的のためであった。カーボンブラック含有サンプル以外は、ブレンドされたUV吸収剤は、HALS3と比較して直接的に改良された、UV吸収剤1での最良の表面粘着性性能になり、より高い濃度はより良い結果を与えた。
【0112】
ブレンドされたUV吸収剤を含有する組成物を製造し、UV老化後の引張強度及び低温度耐屈曲性について試験した。組成を、下記の表6に示す。
【0113】
【表6】

【0114】
動的に加硫したサンプルを、410°F(210℃)で10分間(1トン圧力で2分間及び15トン圧力で8分間の組合せを使用する)成形し、続いて15分間冷却した。成形したプラックを半分に切断した。一方の半分を対照として保存し、第二の半分を老化させた。老化後、全てのサンプルを、湿度チャンバー(90%RH、50℃)内に24時間置いた。全てのサンプルを、約68°F(20℃)で24時間コンディショニングし、その後、試験した。5個のサンプルの中間値。
【0115】
UV老化条件:SAE J1960に従って340nmで1875kJ/m2
【0116】
低温度疲労(LTF):試験は、上島製作所によって製作された定応力/定ひずみ疲労試験機を使用して実施する。試験片は、JIS#3ダイ;150℃で16時間乾燥した材料を使用した、1mm厚さの押出キャストフィルムから切断する。合計10個の試験片を、一度に、−35℃、5Hz振動数、40%合計変位で試験する。この機械は、試験片が破壊するサイクルの数を記録する。Weibull分布分析からの特徴サイクル数(63%百分位数)を、低温度疲労値として報告する。
【0117】
追加の配合物を、表7に示されたようにして製造した。
【0118】
【表7】

【0119】
前記の明細書又は後記の特許請求の範囲に於いて列挙した数値の任意の範囲、例えば性質、測定の単位、条件、物理的状態又はパーセントの特定のセットを表すものは、このように列挙された任意の範囲内に組み込まれる数値又は範囲の任意のサブセットを含む、このような範囲内に入る任意の数値を、参照又は他の方法によって、本明細書中に明らかに文字通り含めることを意図する。
【0120】
本明細書中に記載した全ての文献は、任意の特許出願及び/又は試験手順を含めて、それらが本件特許出願及び特許請求の範囲と矛盾しない範囲まで、本明細書に参照して含める。本発明の原理、好ましい態様及び操作のモードを、明細書に記載した。本明細書中に本発明を特別の態様を参照して記載したが、これらの態様は、本発明の原理及び応用の単なる例示であることが理解されるべきである。従って、付属する特許請求の範囲によって定義されたような、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、例示態様に対して多数の修正を行うことができること及び他の配置を案出できることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化イソブチレン含有エラストマーと含む少なくとも1種の第一のエラストマーの分散された粒子と、熱可塑性樹脂と反応することができ且つ熱可塑性樹脂にグラフト化することができる、少なくとも1個の官能基を有する少なくとも1種の第二のエラストマーの分散された粒子とを含んでなり、該少なくとも1種の第一のエラストマー及び該少なくとも1種の第二のエラストマーの粒子が、少なくとも1種の樹脂ホモポリマー、コポリマー又はこれらの混合物を含む連続熱可塑性樹脂中に分散された、熱可塑性エラストマー組成物であって、該組成物又は該少なくとも1種の第一のエラストマーが、紫外線への曝露によって誘導される分解に対する少なくとも1種の安定剤を更に含み、該安定剤がベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノン及び任意的に置換されたヒドロキシ安息香酸のエステル(これらの誘導体及びこれらの二量体を含む)からなる群から選択される、熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項2】
前記安定剤が、前記ハロゲン化エラストマー中に又は前記ハロゲン化エラストマーが熱可塑性樹脂中に分散される前に前記熱可塑性樹脂中に、動的に加硫される手段により又は前記ハロゲン化エラストマーの動的加硫の間に、分散されている請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記エラストマーが、前記ハロゲン化エラストマーを架橋するために適している、少なくとも1種の硬化剤又は硬化系を更に含む請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ハロゲン化エラストマーが、前記熱可塑性樹脂マトリックス中に、約0.1ミクロン〜約1.0ミクロンの平均サイズを有する粒子の形で分散されており、前記第二のエラストマーが、前記熱可塑性樹脂マトリックス中に、約0.1ミクロン〜約1.0ミクロンの平均サイズを有する粒子として分散されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第二のエラストマーがエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系高飽和コポリマーゴム、エポキシ化天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、ヒドリンゴム、アクリルゴム、無水マレイン酸グラフト化アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、無水マレイン酸グラフト化エチレン−プロピレン−ジエンゴム、無水マレイン酸グラフト化スチレン−エチレン/ブタジエン−スチレンゴム、マレイン化エチレン−プロピレンコポリマーゴム、マレイン化エチレン−ブテンゴム、マレイン化エチレン−ヘキセンゴム、マレイン化エチレン−オクテンゴム、マレイン化エチレン−デセンゴム、マレイン化エチレン−酢酸ビニルコポリマー、マレイン化エチレン−アクリル酸メチルコポリマー、マレイン化エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、マレイン化エチレン−アクリル酸コポリマー、EPDM/スチレンコポリマー、マレイン酸変性EPDM/スチレンコポリマー、EPDM/アクリロニトリルグラフトコポリマー、マレイン酸変性EPDM/アクリロニトリルグラフトコポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、反応性フェノキシ熱可塑性樹脂、マレイン化イソブチレン−イソプレンコポリマー、マレイン化イソブチレン−パラメチルスチレンコポリマー、マレイン化ハロゲン化イソブチレン−イソプレンコポリマー、マレイン化星状枝分かれブチル(SBB)コポリマー、マレイン化BIMSコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第二のエラストマーが約:50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%及び2重量%よりも少ない無水マレイン酸からなる群から選択された量で存在する無水マレイン酸を含む請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記第二エラストマーが20重量%以下、1〜20重量%、0.5〜約20重量%、1〜10重量%、5〜15重量%及び7.5〜12.5重量%からなる群から選択された範囲内の量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記安定剤が約0.1〜約10phr、約0.1〜約8.0phr、0.1〜約7.5phr、0.1〜約5.0phr、0.1〜約3.5phr、約0.2〜約6.5phr、約0.25〜約5.0phr、約0.25〜約3.5phr、約0.25〜約2.0phr又は約0.25〜約1.75phr及び約0.25〜約1.5phrからなる群から選択された濃度で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の安定剤が紫外線(UV)吸収剤、フリーラジカルスカベンジャー及びUV吸収剤とフリーラジカルスカベンジャーとの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記紫外線吸収剤が3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸,ヘキサデシルエステル;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−[4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール;2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノール;メチル 3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコール300との反応生成物及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の立体障害フェノール性酸化防止剤を更に含む請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記酸化防止剤がN,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド、ペンタエリスリトール テトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)及び2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)からなる群から選択される請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記熱可塑性樹脂がナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン6/66コポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種のハロゲン化イソブチレン含有エラストマーがハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化イソオレフィン/パラ−アルキルスチレンコポリマー、ハロゲン化イソブチレン−パラメチルスチレン−イソプレンコポリマー、ハロゲン化ポリ(イソブチレン−共−p−メチルスチレン)コポリマー、ハロゲン化枝分かれブチルゴム及びハロゲン化星状枝分かれブチルゴムからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記ポリマー及びエラストマー成分に上昇した温度で剪断を適用することができる適切なミキサー内で実施される動的加硫方法であって、該方法が、
(1)前記硬化剤を実質的に均一に分散させるためには充分であるが、前記ハロゲン化エラストマーの実質的な架橋を起こすためには不充分である、剪断条件、混合時間及び温度を使用して、前記ハロゲン化エラストマー中に、前記ハロゲン化エラストマーを架橋するために適している少なくとも1種の硬化剤を分散させて、予備配合されたハロゲン化エラストマー組成物を得;
(2)前記少なくとも1種の熱可塑性樹脂を前記ミキサーの中に導入し、そして充分な剪断及び熱を適用して、該熱可塑性樹脂を溶融及び流動させ、熱可塑性樹脂混合物を形成し;
(3)少なくとも1種の熱可塑性樹脂可塑剤を、前記熱可塑性樹脂混合物の粘度を、前記予備配合されたハロゲン化エラストマーの粘度に実質的に適合させるために充分な量で、前記ミキサー内に存在する温度及び剪断条件下で導入し;
(4)前記予備配合されたハロゲン化エラストマーを前記ミキサーの中に導入し、そして前記ハロゲン化エラストマーの動的加硫を開始するために充分な量で熱及び剪断を適用し;
(5)前記第二のエラストマーを導入し、加熱及び剪断を継続して、前記第二のエラストマーを実質的に分散させ、前記ハロゲン化エラストマーの前記動的加硫を実質的に完結させ;そして
(6)前記動的に加硫された熱可塑性エラストマー組成物を前記ミキサーから取り出す
工程を含んでなり、
少なくとも1種の安定剤を、工程(1)又は工程(2)に於いて、ハロゲン化エラストマー又は熱可塑性樹脂ホモポリマー若しくはコポリマーのいずれかに添加する方法に従って製造される請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記ハロゲン化エラストマーがポリアミドマトリックス中に約0.1ミクロン〜約1.0ミクロンの平均サイズを有する粒子の形で分散されており、前記第二のエラストマーが前記ポリアミドマトリックス中に約0.1ミクロン〜約1.0ミクロンの平均サイズを有する粒子として分散されている請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第二のエラストマーがエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系高飽和コポリマーゴム、エポキシ化天然ゴム、ニトリルブタジエンゴム、ヒドリンゴム、アクリルゴム、無水マレイン酸グラフト化アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム、無水マレイン酸グラフト化エチレン−プロピレン−ジエンゴム、無水マレイン酸グラフト化スチレン−エチレン/ブタジエン−スチレンゴム、マレイン化エチレン−プロピレンコポリマーゴム、マレイン化エチレン−ブテンゴム、マレイン化エチレン−ヘキセンゴム、マレイン化エチレン−オクテンゴム、マレイン化エチレン−デセンゴム、マレイン化エチレン−酢酸ビニルコポリマー、マレイン化エチレン−アクリル酸メチルコポリマー、マレイン化エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、マレイン化エチレン−アクリル酸コポリマー、EPDM/スチレンコポリマー、マレイン酸変性EPDM/スチレンコポリマー、EPDM/アクリロニトリルグラフトコポリマー、マレイン酸変性EPDM/アクリロニトリルグラフトコポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、反応性フェノキシ熱可塑性樹脂、マレイン化イソブチレン−イソプレンコポリマー、マレイン化イソブチレン−パラメチルスチレンコポリマー、マレイン化ハロゲン化イソブチレン−イソプレンコポリマー、マレイン化星状枝分かれブチルコポリマー、マレイン化BIMSコポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリアミドがナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/12コポリマー、ナイロン6/66コポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記少なくとも1種のハロゲン化イソブチレン含有エラストマー又はゴムが臭素化ブチルゴム、臭素化イソオレフィン/パラ−アルキルスチレンコポリマー、臭素化ポリ(イソブチレン−共−p−メチルスチレン)コポリマー、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン−イソプレンコポリマー、臭素化枝分かれブチルゴム及び臭素化星状枝分かれブチルゴムからなる群から選択される請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−512304(P2012−512304A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542093(P2011−542093)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/087147
【国際公開番号】WO2010/071642
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(505335740)エクソンモービル ケミカル パテンツ,インコーポレイティド (17)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】