説明

流体処理装置および流体処理方法

【課題】 高速均一化を可能にする、且つ大量生産に非常に適した流体処理装置を提供する。
【解決手段】 固定ディスク59に対して、モータ65の回転手段を連結した回転ディスク60を相対するように配し、該ディスクにより形成させる反応空間に、少なくとも二つの流体を上流下流の相対的位置関係で流体A流入口56と流体B流入口57より相独立して該プロセス空間に導入し、混合・反応を均一濃度空間で行えるようにした強制混合型流体処理装置。本強制混合型流体処理装置は、回転ディスク60の回転運動から誘発される流体の円形流れにより、流体の装置内滞留時間に影響を与えること無く、流体の均一混合を瞬間的に作り出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体処理装置および流体処理方法に関する。特に、強制混合型微小間隙式流体処理装置および微小間隙を用いる流体処理方法に適用可能な装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に微小流路式混合器、微小流路式反応器、微小流路式熱交換器等の微小間隙式流体処理装置は、数十μm〜数mmの微細流路構造体に流体を流し流路内部で混合・反応・熱交換・抽出等の化学反応の基本操作を行う装置として総称される。微小間隙式流体処理装置は、従来のmm単位からcm単位以上の混合器、反応器、熱交換器と比較すると、マクロからミクロな化学反応へ転換し、化学合成の技術を大きく変革するのである。その基本的な特徴は、化学反応に関与する物質がマクロな均一化からミクロな均一化を達成することで、濃度と温度の均一化と反応条件の制御性を向上する効果が得られることである。
【0003】
微小間隙式流体処理装置による反応は、これまでのマクロ反応と比較すると、次の様なマクロ反応系では得られなかった特徴を実現できることにある。
1.微粒子の生成に関して、平均粒径の小さな且つ粒度分布の狭い微粒子を製造できる。2.副生成物の抑制で反応収率が向上する。
3.異性体等の生成比率がことなり、目的とする異性体を高収率で生成できる。4.混合の促進、若しくは反応温度を高くすることができ、反応を高速化できる。
【0004】
微小間隙式流体処理装置の典型的な構成は、数十ミクロンから場合によっては数ミリの間隙で形成される空間領域若しくは流路構造体である。かかる空間での流体の挙動は、比較的流速の遅い層流領域から流速の早い乱流領域での挙動を示すことが知られている。層流領域では、流れ方向に垂直な方向への応力が作用しないことから、流体の混合は主に拡散に依存する。一方、乱流領域では、流れ方向に垂直な応力による混合が作用するので、液体の混合は液体の拡散の他に乱流成分による寄与が大きくなる。しかしながら、混合性の優れた速度の速い乱流領域では、微小間隙式流体処理装置内での滞留時間が短くなる為に、早い流速を補うためには装置を大型化して滞留時間を長くしなければならないために、微小間隙式流体処理装置としての特徴の一つである小型化の特徴を失うことになる。従って、微小間隙式流体処理装置においては、均一な混合が極めて重要な課題となっている。
【0005】
かかる課題の改善を目的として、此れまでに次の発明がなされている。
特許文献1においては、微細流路構造体の流体の流れ方向に直角に連続状凸部を設け、該凸部での流れ方向の向きが変化するときの内外の曲率の変化、若しくは流れの乱れにより、流体の混合を促進するものである。
【0006】
特許文献2においては、流路構造体の一部に回転攪拌子を収納し、該攪拌子で液の均一化をより高めるようにしている。
特許文献3においては、互いに反応しない気体と液体を回転体を用いて十分に混合する方法が記載されている。
【0007】
しかしながら、上記発明においても依然として、次の課題が解決されていない。
特許文献1においては、流れの速度に混合状態が依存する事になり、レイノルズ数の低い領域の流速では、高速混合あるいは均一混合が困難となる可能性がある。
【0008】
また、特許文献2による回転攪拌子による混合では、混合性は改善されているが、さらなる高速混合と均一化処理が可能なプロセスとしては不十分である。すなわち、攪拌子による攪拌を受けずに攪拌領域をすり抜ける構造となっている。また攪拌が微小間隙式流動反応構造体の一部での攪拌に限定されており、該攪拌領域を通過した後は、攪拌効果がさほど期待できない構造となっている。さらに、回転攪拌子を収納する空間で攪拌を受ける結果、経過時間の短いものが先に後方流路に排出される逆転現象を生じ、後方流路で未反応液と反応液、若しくは反応経過時間の異なる状態の反応液が入り混じった純度の低い状態を作り出す可能性がある。
特許文献3に記載された回転体を用いた混合では、相互に反応性がない液体と気体を用いている為に流路内部での流体の滞留は混合処理にさほど影響を与えないが、相互に反応する系では重要となる。従って、特許文献3に記載された発明についても更に改善の余地がある。
【0009】
【特許文献1】特開2002−346355号公報
【特許文献2】特開2004−321063号公報
【特許文献3】特開平3−68439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上、従来例に見られる微小間隙式流体処理装置は相対する流体の混合を、拡散・若しくは流体の流れを曲げること、あるいは部分的な攪拌等による混合により行うもので、外力による積極的な混合を主として行っていないことからパッシブ型微小間隙式流動反応装置と称することができる。反応を速やかに、且つ積極的に均一化を図り、微小流路式反応器本来の特徴を引き出すこと、もしくは反応に適した構造の改善が未だ不十分である。
【0011】
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、第一の目的は、微小流路式反応器若しくは微小間隙式流動反応装置に適用可能な流体処理装置であって、従来の技術とは異なる、流体の高速混合もしくは高速均一化を可能にし、且つ大量生産に適した流体処理装置を提供することであり、また、流体処理方法を提供することである。
【0012】
本発明の第二の目的は、反応液の化学量論的反応空間(反応から規定される過不足ない濃度で均一に混合されている状態)を形成する極めて優れた強制混合型微小間隙式流体処理装置に適用可能な流体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明により提供される流体処理装置は、少なくとも二つの流体を混合若しくは反応させる流体処理装置において、少なくとも二つの流体を上流下流なる相対的位置関係で導入して混合若しくは反応させる処理空間と、該処理空間を形成する相対する壁面と、該壁面を相対的に変位させる変位手段とを有することを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明により提供される流体処理方法は、少なくとも二つの流体を混合若しくは反応させる流体処理方法において、少なくとも二つの流体を上流下流なる相対的位置関係をもって、処理空間に導入する工程と、該処理空間を形成する相対する壁面を相対的に変位させて、前記少なくとも二つの流体を混合若しくは反応させる工程と、を有することを特徴とするものである。
【0015】
本発明においては、前記相対する壁面の相対的変位を、流体の注入口から排出口に向かう流れに対して独立した方向の相対的変位とすることができる。
前記相対する壁面を円盤状の固定壁面及び変位壁面で構成し、該変位壁面の変位を回転運動とすることができる。
【0016】
前記固定壁面及び該変位壁面が同軸の対称軸を有し、該変位壁面が同軸の対称軸を中心とする回転運動により変位するようにすることができる。
前記プロセス空間への流体の導入口を固定壁面に設けることができる。
【0017】
前記壁面に熱制御手段を設けて処理空間の流体の熱制御を行うことができる。
また、前記壁面に処理空間内の流体の状態を観測するモニターを設けることもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、微小流路式反応器若しくは微小間隙式流動反応装置に適用可能で、流体の高速混合もしくは高速均一化が可能で、且つ大量生産に適した流体処理装置および流体処理方法が提供される。
【0019】
また、本発明は、反応液の化学量論的反応空間を形成するのに極めて優れた強制混合型流体処理装置および流体処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の流体処理装置は、少なくとも二つの流体を混合若しくは反応させる流体処理装置において、少なくとも二つの流体を上流下流なる相対的位置関係で導入して混合若しくは反応させる処理空間と、該処理空間を形成する相対する壁面と、該壁面を相対的に変位させる変位手段とを有することを特徴としている。
以下では、本発明の流体処理装置を主に強制混合型微小間隔式流体処理装置に適用した例に基づいて説明するが、本発明は、強制混合型微小間隔式流体処理装置に限定されるものではない。
【0021】
先ず、従来例に見られる非攪拌型微小間隙式流動反応プロセスでの二種類の液体における混合状態を図13に示す。図13は相溶性にきわめて優れる液体をY型微小流路で混合するものであるが、M液およびN液の二液が均一な状態に混合できずに、夫々が分離して流れを形成し、接触する面で界面4を形成する。従って、極めて混合され難い状況で存在する。この界面4での二液の夫々の濃度分布を測定した結果を図14に示す。分子レベルで見ると、夫々の物質の分布は濃度勾配を持っており、時間を如何に長くしても均一な分布は大変難しいことが判明する。例えば界面からの距離±200ミクロンメータの領域で、経過時間20秒を例にとると、夫々15%から85%の範囲で分布することになる。従って分子レベルでの濃度分布は、未だ均一化が達成されていないことになる。以上の状況から従来例に見られる非攪拌型微小間隙式流動反応においては、微小間隙式流動反応、即ち化学量論的な均一状態下での反応により本質的な特徴が未だ十分に発揮しえない状況であることが理解できる。
【0022】
これに対して、本発明は、互に独立する少なくとも二つ以上の流体を、相対する壁面で相対的に変位する該壁面が形成する処理空間に、独立に上流下流の相対的位置関係で該流体を流入させる。そして、相対的に変位する壁面からの接触流体へのせん断応力若しくは法線応力により、流体本体の流入から排出方向への流れ以外の新たな流れを発生させ、それにより流体の攪拌・混合を行う。該壁面の相対変位による攪拌・混合の流れの形成は、本発明がはじめて実現したものであり、瞬間的な分子レベルの均一化が実現できる。
【0023】
図1を用いて説明すると、移動壁面5と固定壁面6により囲まれる処理空間100に、移動壁面5に接する流体A7及び固定壁面に接する流体B8が流体の処理空間入口101から出口102に向けの最短距離に沿った流体流れ10の基本的なマクロ流れに対し、移動壁面の壁面移動方向9に沿った壁面誘起流れ11を新たに生ずる。この壁面誘起流れの作用により、流体A及び流体Bの分子レベルの瞬間的な混合が可能になる。
【0024】
かかる作用により、従来の非攪拌型微小間隙式流動反応装置では得られなかった次の効果が得られる。
1.反応等の処理を行う上での理想的な状態、すなわち物質・熱の偏りの無い理想的な状態が、非攪拌型微小間隙式流動反応装置よりも優れた状態で実現できる。
2.非攪拌型微小間隙式流動反応装置よりも物質・熱の偏りが無いので、更に副反応が抑制でき、収率の向上がみとめられる。
3.非攪拌型微小間隙式流動反応装置よりも異性体等の余分な成分の派生が抑制され、生成物の生成分布がより異なった特徴を有してくる。
4.非攪拌型微小間隙式流動反応装置よりも反応温度を高くすることが出来、より反応時間が短く出来る。
【0025】
以上は本発明から得られる効果の一例である。本発明の本質的な作用である濃度・熱の急速な均一化による作用から生ずる効果としては、前述の効果に限定されるのもではない。
【0026】
次に、本発明のその他の構成要件を次にのべる。
[壁面の相対的変位]
本発明における壁面の相対的変位は、相対する該壁面の間隔を広げるまたは狭める方向での繰り返しの縦型相対変位、もしくは該空間の間隔を一定に保持し該壁面に平行に変位させる横型相対変位、該平面内での繰返しの往復による横型相対変位、若しくはそれらを組み合わせた複合変位により構成される。
【0027】
相対変位の方向によっては、流体の流出方向への速度に影響を与え、流出時間を短くした長くしたりすることがあるので、プロセスを通過する時間を変化させる方向での該壁面の変位は、プロセス条件を変化させることになるので、あまり望ましくは無い。特に望ましい該壁面における相対変位は相対する壁面を、プロセスの入り口から出口に向けた流体の流れ方向に対し、概ね直行する向きでの変位である。其れにより流体の流れは、該壁面の変位から受けるせん断応力により様々な混合流を新たに生ずることになる。特にプロセスの通過時間は、全体としてはプロセスの入り口から出口に向けた流速によるものであるから、直行方向の相対変位は流体の流速を早めることも無く、遅くすることも無いので、プロセスを進める上では好都合である。
【0028】
特に壁面の相対的変位が回転運動による壁面の変位は、入り口から出口に向けた流体の平均的な排出時間に対して、影響を与えない混合流速を形成しやすいこと、また高速の変位を該流体に印加できるので、特に望ましい変位方法である。
【0029】
また、壁面の相対的変位の速度は、該壁面の間隔以外に、対象とする流体の粘度・流速・変位速度・必要な混合速度・温度・該壁面の表面状態・流体の化学的特性等に依存することになるが、概ね前述の特性に合わせて流体の混合が促進される速度に設定される。望ましくは数cm/秒から数十m/秒の範囲に設定される。特に、流体がプロセスを通過する時間に影響を与えない壁面の相対変位であるので、相対変位の機構的なデメリットが無ければ、変位速度は速いほうが望ましい。
【0030】
壁面も相対的な変位については、双方の壁面が相反する方向に変位する相対変位、若しくは一方が固定、一方が変位の方法等を用いることが可能である。とりわけ一方を固定壁面、一方を変位壁面とする方法は、装置の全体的な構成の簡略化、流体の流入手段が簡便に設けることが出来る、熱制御手段あるいは観察手段を簡便に設けられる等々の理由で好ましい。
【0031】
壁面の縦・横方向の変位は、直接的もしくは間接的な変位手段によって行われる。直接的な変位方法としては、圧電素子による方法、あるいはバイプレータ等による振動変位等、各種のアクチュエータ等、その他の一般的に知られる各種の変位素子が使用される。また間接的な変位手段では、電磁場による変位、あるいは超音波等での変位、その他一般的に知られる変位手段を用いる事が出来る。
【0032】
また回転変位については、モータ等の回転運動体を調節に接続することで直接的な変位が可能である。また電磁スターラのようなものでの間接的な回転変位を付与する事も可能である。その他の一般的に知られる回転付与装置を用いることもできる。
【0033】
[壁面の間隔]
相対する該壁面の間隔は、対象とする流体の粘度・流速・変位速度・必要な混合速度・温度・該壁面の表面状態・流体の化学的特性等により関係する点もあるが、概ね数μmから数mmの範囲に設定される。従来例に見られる非攪拌型微小間隙式流動反応装置の流路間隔と比較すると、本発明は変位壁面の積極な均一化作用により、壁面間隔を広く設定でき、プロセス条件の安定性・大量の処理を可能にする等の特徴を有する。
【0034】
[壁面の形態]
相対向する壁面が形成するプロセス空間は、対象とする流体の粘度・流速・変位速度・必要な混合速度・温度・該壁面の表面状態・流体の化学的特性等により関係するが、概ね流路状、平板、円筒状・円錐状等のの形態にすることが好ましい。
【0035】
特に、壁面を円型ディスクで形成する方法は、流体の入口から出口にむけて空間間隔を一定に維持し、プロセス空間を徐々に拡大できることにより新たな効果が発現できる。入口から出口に向けた流速をディスクの半径の逆数に比例して遅く出来ること、また壁面の変位速度がディスクの半径に比例して速くできることの二つの特徴により、混合がより加速される。
【0036】
具体的には、φ100mmの円型ディスクを400μmの間隔、プロセス流量500ml/分、ディスク回転数5000rpmなる条件下での挙動を図2(A)および図2(B)に示す。プロセス流速は回転中心付近で約200cm/秒から最外周部での7cm/秒迄、半径に逆比例して低下する。一方回転ディスクの回転速度は、100cm/秒から3000cm/秒に高速化される。その結果、プロセス流れとディスク回転速度の差は、0.5倍から400倍程の速度程の速度差を生じている。一方プロセス時間は、中心付近では0.006秒/cmから最外周部で0.15秒/cmとなり、ディスクによる作用を受け易い状態になる事がわかる。このことはディスクを利用した回転型の強制混合型微小間隙式流動反応装置においては、液の流入口を設ける場所によりプロセスを起動する二液の混合状態を各種設定できる特徴を有する。
【0037】
かかる構成の強制混合型微小間隙式流動反応装置は、本発明で初めて実現されたプロセス及び装置であり、極めて優れた特性を示すものである。
【0038】
[壁面の形成素材と壁面の表面状態]
壁面については、壁面を形成できる素材であれば本発明の目的を達成することが出来る。例えば鉄・銅・クロム・ニッケル・シリコン等の金属素材、あるいはステンレス・SMS−HB、SMS―HC、SMS−HX・SMS−600、SMS−X700、SMS−IN等の合金材、あるいはルビー材、メノー材、大理石材、御影石材等の石材、あるいはガラス、窒化珪素、アルミナ、ジルコニア等のセラミック材等々が使用される。
【0039】
特に材質により本発明の本質的な作用及び効果が影響を受けるものではない。壁面を作成するには、該壁面により形成される空間の精度を要求される場合においては、研磨により平面精度を高くすることが望ましい。また壁面の表面状態は、凹凸・溝・バンクによる表面微細構造とする等の処理が望ましい。あるいはスパッタリング処理・エッチング処理・蒸着処理・CVD処理等の表面処理を施すことで、本発明の本質的な作用・効果を高めることも出来る。
【0040】
[反応]
少なくとも二種類以上の流体については、反応空間に入る前に接触して一つにすると望ましくない状態に遷移することがある。相対する壁面が構成する空間で初めて接触することが重要である。其れにより先行する混合による望ましくない遷移を完全に除外することが可能になる。又反応空間への流体の導入は流体の流れに対して滞留する状態を形成させないようにすることが反応を行う上で極めて重要である。つまり滞留箇所ができるとその部分の混合状態および反応時間に異常をきたし、反応の制御ができなくなる。この視点から流体を上流下流の相対的位置関係で反応空間に導きいれる事は、該空間で反応を行う上での極めて重要な条件の一つである。
【0041】
該反応として、複数の流体の混合、混合の結果生ずる反応・若しくは状態変化(液体状態から固体状態への相変化等)、あるいは加熱・冷却の熱制御等、及びこれらを複合したものを総称するものである。
【0042】
[熱制御機構]
反応において冷却・加熱・定温等の熱制御を要する場合があるが、筐体からの熱制御に加えて、反応空間を形成する壁面材により熱制御する事が、すなわち反応空間を直接構成する壁面を介しての効率的な制御を可能にしている。この効果は、変位壁面が誘起する流れによりプロセス空間を充填する流体に瞬間的に熱拡散を可能にする作用によるものである。
【0043】
[観測系]
此れは壁面材に観測系、光学ファイバー等を介してのCCDによる状態観察、各種分光器による分光観察、弾性波等による粘性観察等の各種の観察手段により、プロセス条件を直接もしくは間接に観察する観測系を設けることで、より直接的なプロセス状態の制御を可能にする。
【0044】
以下本発明について実施態様例に基づきより詳しく説明する。
図3に二液分離流入タイプの強制混合型微小間隙式流動反応プロセスを例示する。固定ディスク(固定壁面材)15の中央から流体A13を流入し、流体B14は固定ディスク15の中心から離れた部分に貫通穴を設け、プロセス空間に注入する。中心から周辺に向けてのプロセス流れに加え、回転壁面材17の回転運動により円周方向の流れを発生させることが可能になる。ここでは、流体A流入口13が上流側に位置しており、流体B流入口14が下流側に位置している。
【0045】
図4に固定壁面材15を示す。流体Bの流入口を4ヶ所設け、プロセス空間への出口に流入口を連通させる溝を設けてある。流入口の数・位置・口径・連通溝等は、プロセス内容、対象とする流体の粘度・流速・変位速度・必要な混合速度・温度・該壁面の表面状態・流体等の条件により設定する。またプロセス空間への流体流入口の出口に関するR加工等のエッジ処理は、対象とする流体の粘度・流速・変位速度・必要な混合速度・温度・該壁面の表面状態・流体の化学的特性等の条件により設定する。
【0046】
図5は、図3を基本として、熱制御系24と観測系25を備え付けた強制混合型微小間隙式流動反応プロセスである。
図6は、流体の注入を同軸管を中央に配し、二液を独立して中央から注入するようにしたものであり、図3を基本に変形したものである。
【0047】
図7および図8は、三流体に対応するもので、二流体の流入口を中心から離して設置している。此れは流体C38により反応過程の中で複数の過程を行うことを目的にするものである。流体B及び流体Cの流入口の設置は、複数の反応条件に合わせて設定する。
【0048】
図9は、処理(反応)空間を平面から軸中心を有する円柱にしたものである。幅400μm、深さ200μmの流路で流体Aと流体Bの流路を、半割の筐体50の表面に設ける。φ10mmの回転壁面子を納め、筐体内表面と回転壁面子の間隙が400μmのプロセス空間を確保する半割の収納空間を加工する。該空間にφ10mmの回転壁面子を納め、半割の筐体を結合したものである。図9の装置においては、流体A流入口66が上流側に位置しており、流体B流入口67が下流側に位置していることになる。
【0049】
図10は反応空間を円柱から円錐にしたものである。
図11は、図3を基本に、封止材・封止装置により筐体に納め、圧力付与装置・モータを取り付け、二流体分離注入型の円盤回転式強制攪拌型流体処理装置の一例である。
【0050】
固定ディスク59は、外形Φ100mmで厚み15mmの成型ガラス材を基に、中心に4mmの貫通穴を設け、回転ディスク60と対向する出口を10Rの面取り加工を施す。ここにφ6mmのフッ素樹脂管を接続し、第一系統の流体配管とする。中心から10mm離し2mmの貫通穴を等間隔に四穴あけ、回転ディスク60と対向する出口に幅3mm、深さ200μmの連通溝を設ける。ここに外形4mmのフッ素樹脂管を接続し、4本をまとめ第二系統の流体配管とする。固定ディスクと対向する回転面は、表面研磨を行い表面凹凸0.5μm以内の精度の平面研磨を行う。
【0051】
回転ディスクは、外形φ100mmで厚み10mmの成型ガラス材を基に、固定ディスクと対向する回転面は表面研磨を行い表面凹凸0.5μm以内の精度の平面研磨を行い、仕上げる。
【0052】
固定ディスクは回転軸を取り付け、モータ65と接続し、モータによる回転を行う。
ディスクの周辺での流体の密封を行うために、固定ディスクはOリンク型の封止材63、また回転ディスクは回転型封止装置64を取り付け、固定ディスク・回転ディスクを筐体に収める。回転ディスクと固定ディスクの間隔設定の為、固定ディスクと筐体の間にφ2mmの加圧液体注入のステンレス管を接続する。これらの条件は一例であり、本発明を限定するものではない。
【0053】
図12は、図10を基に、筐体に磁性回転体を取り付け回転壁面子を回転させる、二流体分離流入タイプの円錐回転子強制混合型流体処理装置の一例である。
【実施例】
【0054】
以下、本発明を実施例等を用いて更に詳細に述べる。なお、部は重量基準を示す。
実施例1
析出反応の実施例を示す。図11に示す二液分離流入タイプの強制混合型流体処理装置を用いて、銅フタロシアニンの濃硫酸溶液を水に希釈析出する、所謂酸ペースト法と称される再結晶化による結晶生成を行う。
【0055】
中央の第一系統から水を500ml/分の流量で流し、第二系統から98%の濃硫酸に1%濃度で溶解した銅フタロシアニン溶液を500ml/分の流量で流す。固定ディスクと回転ディスクの間隔は400μmで、回転ディスクは5000rpmの回転数とする。尚、強制混合型流体処理装置から析出液を取り出した後、10%アンモニア水で中和し、粒度分布を測定する。
【0056】
実施例2
実施例1と同じ液組成と流量で、以下の通り条件を変えて同様の反応を行う。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:20μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0057】
実施例3
実施例1と同じ液組成と流量で、以下の通り条件を変えて同様の反応を行う。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:2000μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0058】
実施例4
実施例1と同じ液組成と流量で、以下の通り条件を変えて同様の反応を行う。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :2000rpm
【0059】
実施例5
実施例1と同じ液組成と流量で、以下の通り条件を変えて同様の反応を行う。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :7500rpm
【0060】
実施例6
実施例1と同じ液組成で98%の濃硫酸に1%濃度で溶解した銅フタロシアニン溶液を1000ml/分、水を10000ml/分とし、以下の通り条件を変えて同様の反応を行う。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0061】
実施例7
実施例1と同じ液組成で98%の濃硫酸に1%濃度で溶解した銅フタロシアニン溶液を1000ml/分、水を500ml/分とし、以下の条件で反応を行う。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0062】
実施例8
実施例―1において、98%濃硫酸に銅フタロシアニンを5wt%で溶解し、同じ500ml/分の流量で結晶生成を行う。尚、装置の条件は、以下とする。固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0063】
比較例1
実施例1で用いた強制混合型流体処理装置で回転をさせないことで従来型のパッシブ型流体処理装置として転用し、実施例1で用いた銅フタロシアニン1%濃硫酸溶液と水を混合することで銅フタロシアニン結晶を再沈殿させる。尚流量は夫々500ml/分とする。
【0064】
比較例2
実施例7で用いた銅フタロシアニン5%濃硫酸溶液と水を混合することで銅フタロシアニン結晶を再沈殿させる。流体処理装置の条件は、比較例1と同じである。
【0065】
以下に実施例1〜実施例8、及び比較例1,2の銅フタロシアニンの粒径データを表1に示す。
生成結晶の平均粒径サイズ(D50:体積が50%となる粒径)と粒子の分布幅(D10:体積が10%となる粒径、及びD90:体積が90%となる粒径)を測定した。
【0066】
尚、実施例1〜実施例8で得られる銅フタロシアニンは、比較例1及び比較例2で得られるものよりも、顔料としての発色性は何れも優れている。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例9
15部の2,2′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノビフェニルを、250部の水と、15部の35%塩酸中に投入、30分撹拌後、更に24部の35%塩酸を追加して30分攪拌を行い、ジアミンヒドロクロライドを得る。この反応液に、7部の亜硝酸ソーダを15部の水に溶解した亜硝酸ソーダ水溶液を加え0〜10℃でジアゾ化する。ジアゾ化が終了した後に、過剰な亜硝酸を1.36部のスルファミン酸で分解した後濾過し、カップリング用のジアゾ液とする。
【0069】
次に、20部のN−アセトアセチル−2,4−ジメチルアニリンを300部の水に加えて撹拌し、0.2部のジメチルラウリルアミンを添加してカップラーを分散する。次いで10%塩酸にてpHを3.6に調整し、これをカップラー液とする。
【0070】
実施例1で用いた強制混合型流体処理装置の第一系統から前述のカップラー液500ml/分の流量で、また前述のジアゾ液を第二系統から500ml/分の流量で注入し、室温にて反応を行う。流体処理装置から排出された液は完全に反応を終了しており、C.I.ピグメントイエロー81の顔料を得る。ディスク間隔は400μm、回転ディスクの回転数は5000rpmの条件である。
【0071】
実施例10
実施例9と同じ液組成と流量で、流体処理装置の条件を以下とする。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:20μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0072】
実施例11
実施例9と同じ液組成と流量で、流体処理装置の条件を以下とする。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:2000μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0073】
実施例12
実施例9と同じ液組成と流量で、流体処理装置の条件を以下とする。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :2000rpm
【0074】
実施例13
実施例9と同じ液組成と流量で、流体処理装置の条件を以下とする。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :7500rpm
【0075】
実施例14
実施例9と同じ液組成で流量を1000ml/分とし、流体処理装置の条件を以下とする。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0076】
実施例15
15部の2,2′,5,5′−テトラクロロ−4,4′−ジアミノビフェニルを、125部の水と、15部の35%塩酸中に投入、30分撹拌後、更に24部の35%塩酸を追加して30分攪拌を行い、ジアミンヒドロクロライドを得る。この反応液に、7部の亜硝酸ソーダを15部の水に溶解した亜硝酸ソーダ水溶液を加え0〜10℃でジアゾ化する。ジアゾ化が終了した後に、過剰な亜硝酸を1.4部のスルファミン酸で分解した後濾過し、実施例9の倍濃度カップリング用ジアゾ液とする。
【0077】
次に20部のN−アセトアセチル−2,4−ジメチルアニリンを150部の水に加えて撹拌し、0.2部のジメチルラウリルアミンを添加してカップラーを分散する。次いで10%塩酸にてpHを3.6に調整し、これを実施例9の倍濃度カップラー液とする。これらの倍濃度ジアゾ液及び倍濃度カップラー液を用いて、実施例9と同様の手順で反応を行う。流体処理装置から排出される液は反応を完全に終了しており、C.I.ピグメントイエロー81の顔料を得る。
【0078】
尚、強制混合型流体処理装置の稼動は、以下の条件で行う。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0079】
比較例3
比較例1の流体処理装置を用い同条件下で、実施例9で用いたジアゾ液とカップラー液夫々100ml/分の流量でマイクロに送り込み、反応を行う。装置から取り出された分散液をさらに90℃で30分加温し、C.I.ピグメントイエロー81を得る。
【0080】
比較例4
比較例1の流体処理装置を用い同条件下で、実施例15で用いた倍濃度ジアゾ液と倍濃度カップラー液夫々を100ml/分の流量で微小流路式混合器に送り込み、反応を行う。装置から取り出された分散液をさらに90℃で30分加温し、C.I.ピグメントイエロー81を得る。
【0081】
実施例9〜実施例15においても、流体処理装置から排出された液は完全に反応を終了しており、C.I.ピグメントイエロー81の顔料を得ることができる。
尚、実施例8〜実施例15で得られるC.I.ピグメントイエロー81は、比較例3及び比較例4で得られるものよりも、顔料としての発色性は何れも優れている。
【0082】
以下に実施例9〜実施例15、及び比較例3〜比較例4の粒径データを表2に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
実施例16
図11に示す二液分離流入タイプの強制混合型流体処理装置を用いて、銅フタロシアニンの濃硫酸溶液を水に希釈し、銅フタロシアニンの析出反応を行う。
【0085】
中央の第一系統から分散剤としてアンモニアで中和したポリスチレンスルホン酸(PSSと略記)を1wt%溶解した水を500ml/分の流量で流し、第二系統から98%の濃硫酸に1%濃度で溶解した銅フタロシアニン溶液を500ml/分の流量で流す。固定ディスクと回転ディスクの間隔は400μmで、回転ディスクは5000rpmの回転数とする。尚、強制混合型流体処理装置から析出液を取り出した後、10%アンモニア水で中和し、粒度分布を測定する。
【0086】
実施例17
実施例16で用いたPSS1wt%添加の水を第一系統から500ml/分、第二系統から98%の濃硫酸に1%濃度で溶解した銅フタロシアニン溶液を1000ml/分の流量で流す。強制混合型流体処理装置の条件は、以下とし、その他は実験例16に順ずる。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0087】
実施例18
実施例16で第二系統の流量を2000ml/分で流す。その他は、実施例16に順ずる。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0088】
実施例19
実施例16で用いたPSS1wt%添加の水を第一系統から500ml/分、第二系統から98%の濃硫酸に9%濃度で溶解した銅フタロシアニン溶液を500ml/分の流量で流す。強制混合型流体処理装置の条件は、以下とし、その他は実験例16に順ずる。
固定ディスクと回転ディスクの間隔:400μm
回転ディスクの回転数 :5000rpm
【0089】
比較例5
実施例1で用いた強制混合型流体処理装置で回転をさせないことで従来型のパッシブ型流体処理装置として転用し、実施例16で用いた銅フタロシアニン1%濃硫酸溶液と分散剤1wt%添加の水を混合することで銅フタロシアニン結晶を再沈殿させる。尚流量は夫々500ml/分とする。
【0090】
比較例6
実施例19で用いた銅フタロシアニン9%濃硫酸溶液と分散剤1wt%を添加した水を混合することで銅フタロシアニン結晶を再沈殿させる。流体処理装置の条件は、比較例5と同じである。
【0091】
以下に実施例16〜実施例19、及び比較例5〜比較例6の銅フタロシアニンの粒径データを表3に示す。
尚、実施例16〜実施例19で得られる銅フタロシアニンは、比較例5及び比較例5で得られるものよりも、顔料としての発色性は何れも優れている。
【0092】
【表3】

【0093】
本発明の処理装置は、従来例では見られない次の優れた効果を奏する。
1.粒径を格段に小さくできること、およびその分布をより単分散に近づけることを可能にする。
2.反応液処理量を格段に増加でき、かつ安定に長時間の反応を可能にし、量産が可能な大量生産性に極めて優れた強制攪拌式微小間隙式流動反応装置を提供する。
3.従来例よりも反応空間の壁間距離を大きく設定でき、装置の加工の簡略化、大量生産性に極めて優れている。
【0094】
これ以外にも本発明が目的とする瞬間的な均一混合により次の効果が得られる。
4.副生成物の抑制で反応収率が向上
5.異性体等の生成比率がことなり、目的とする異性体を高収率で生成
6.混合の促進、若しくは反応温度を高くすることができ、反応の高速化
これらの優れた特徴はほんの一例であり、本発明の効果はこれらの特徴に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の強制攪拌型微小間隙式流動反応装置は、流体の高速混合もしくは高速均一化を可能にし、且つ大量生産に適しているので、実施例に記載する銅フタロシアニンのナノ顔料生成以外にも各種ナノ顔料の合成・生成、白金バナジウム等の各種金属系のナノ粒子合成・生成、酸化インジウム等のナノ酸化物の合成・生成等において粒径の微細化・粒度分布の狭小化・高純度化・収率の向上・結晶形態の制御・反応時間の短時間化等の効果が得られている。
【0096】
また非析出系の反応(反応空間で生成物が析出しない反応系)、例えば鈴木カップリング反応・光延反応・ウイティヒ反応・ベックマン転移反応等においても、反応温度の緩和・反応時間の短時間化・異性体の生成抑制・収率の向上等の効果が得られている。
これらの効果は本発明により得られる効果の一例であり、本発明はこれらに限定される物ではない。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の基本的な作用である、壁面の変位による流体の攪拌混合を司る流体の速度変化と進行方向を示す概略図である。
【図2(A)】本発明における回転ディスクを用いた時の強制混合型流体処理装置のマクロ流体挙動を示すグラフである。
【図2(B)】本発明における回転ディスクを用いた時の強制混合型流体処理装置のマクロ流体挙動を示すグラフである。
【図3】本発明のプロセス例である流入口分離タイプの強制混合型流体処理プロセスを示す概略図である。
【図4】図3のプロセス例に用いられる回転型円形壁面形成部材(流入口分離タイプで二種類の流体対応)を示す概略図である。
【図5】本発明のプロセスの改良として熱制御系及び観察系を有する流入口分離タイプの強制混合型流体処理プロセス(二種類の流体対応)を示す概略図である。
【図6】本発明のプロセス形態の一つである二種類の流体に対応する同軸流入口タイプの強制混合型流体処理プロセスを示す概略図である。
【図7】本発明のプロセス形態の一つである三種類の流体に対応する流入口分離タイプの強制混合型流体処理プロセスを示す概略図である。
【図8】図7のプロセス例に用いられる回転型円形壁面形成部材(流入口分離タイプで三種類の流体対応)を示す概略図である。
【図9】本発明のプロセス形態の一つである円筒回転壁面子タイプの強制混合型流体処理プロセス(二種類の流体対応)を示す概略図である。
【図10】本発明のプロセス形態の一つである円錐回転壁面子タイプの強制混合型流体処理プロセス(二種類の流体対応)を示す概略図である。
【図11】本発明の流体処理装置の一つである二液分離流入タイプの円盤回転式強制混合型流体処理装置を示す概略図である。
【図12】本発明の流体処理装置の一つである二液分離流入タイプの円錐回転子強制混合型流体処理装置を示す概略図である。
【図13】従来例におけるパッシブ型流体処理装置での流体の混合状態を示す概略図である。
【図14】図13の従来例における二種類の液体の相互の混合状態を、二種類の液体が接触する境界面における濃度分布の状態を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
1 M液及び流れ方向
2 N液及び流れ方向
3 流路幅400μmのY型流路
4 M液/N液の界面
5 移動壁面
6 固定壁面
7 流体A
8 流体B
9 壁面変位方向
10 流入排出流れ
11 壁面誘起流れ
12 流体流れ方向
13 流体A流入口
14 流体B流入口
15 固定壁面材
16 固定壁面
17 回転壁面材
18 回転壁面
19 流体A流入口貫通穴
20 流体B流入口貫通穴
21 流体B流入貫通穴連通溝
22 流体A流入口
23 流体B流入口
24 熱制御系
25 観察系
26 固定壁面材
27 固定壁面
28 回転壁面材
29 回転壁面
30 流体A流入口
31 流体B流入口
32 固定壁面材
33 固定壁面
34 回転壁面材
35 回転壁面
36 流体A流入口
37 流体B流入口
38 流体C流入口
39 固定壁面材
40 固定壁面
41 回転壁面材
42 回転壁面
43 流入A流入貫通穴
44 流体B流入貫通穴
45 流体B流入貫通穴連通溝
46 流体C流入口
47 流体C流入貫通穴連通溝
48 流体A流入口
49 流体B流入口
50 筐体(固定壁面材)
51 回転壁面子
52 流体A流入口
53 流体B流入口
54 筐体(固定壁面材)
55 回転壁面子
56 流体A流入口
57 流体B流入口
58 流体B連通溝
59 固定ディスク
60 回転ディスク
61 筐体
62 固定ディスク加圧流体注入口
63 Oリング型封止材
64 回転型封止材
65 モータ
66 流体A流入口
67 流体B流入口
68 筐体(固定壁面材)
69 回転壁面子
70 磁性回転体
100 処理(反応)空間
101 入口
102 出口
103 貫通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの流体を混合若しくは反応させる流体処理装置において、少なくとも二つの流体を上流下流なる相対的位置関係で導入して混合若しくは反応させる処理空間と、該処理空間を形成する相対する壁面と、該壁面を相対的に変位させる変位手段とを有することを特徴とする流体処理装置。
【請求項2】
前記相対する壁面の相対的変位が、流体の注入口から排出口に向かう流れに対して独立した方向の相対的変位であることを特徴とする請求項1記載の流体処理装置。
【請求項3】
前記相対する壁面が円盤状の固定壁面及び変位壁面からなり、該変位壁面の変位が回転運動であることを特徴とする請求項1または2に記載の流体処理装置。
【請求項4】
前記固定壁面及び該変位壁面が同軸の対称軸を有し、該変位壁面が同軸の対称軸を中心とする回転運動により変移することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の流体処理装置。
【請求項5】
前記処理空間への流体の導入口が固定壁面に設けるられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の流体処理装置。
【請求項6】
前記壁面に熱制御手段を設けて前記処理空間の流体の熱制御を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の流体処理装置。
【請求項7】
前記壁面に前記処理空間内の流体の状態を観測するモニターが設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の流体処理装置。
【請求項8】
少なくとも二つの流体を混合若しくは反応させる流体処理方法において、少なくとも二つの流体を上流下流なる相対的位置関係をもって、処理空間に導入する工程と、該処理空間を形成する相対する壁面を相対的に変位させて、前記少なくとも二つの流体を混合若しくは反応させる工程と、を有することを特徴とする流体処理方法。
【請求項9】
前記相対する壁面の相対的変位が、流体の注入口から排出口に向かう流れに対して独立した方向の相対的変位であることを特徴とする請求項8記載の流体処理方法。
【請求項10】
前記相対する壁面が円盤状の固定壁面及び変位壁面からなり、該変位壁面の変位が回転運動であることを特徴とする請求項8または9に記載の流体処理方法。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−341232(P2006−341232A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171429(P2005−171429)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】