説明

流体切断装置およびその使用方法

【課題】比較的に一貫している切断の噴射性能を提供する流体噴射切断システムを提供する。
【解決手段】このシステムは、流体の入口および流体の出口を有する、流体を加圧するための流体ポンプ12を含んでいる。このポンプは、エンド・エフェクター20に流体を介して連通している送達管18に加圧された流体を送達する。さらに、このエンド・エフェクターは組織に加圧された流体を送達するためのオリフィス21を含んでいる。上記のポンプに送達される電力は所望の流体の切断用の噴射を作るために制御される。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
高圧流体の流れは外科処置中に組織を切断する一つの方法を提供している。このような「流体噴射切断」は、多様な範囲の組織を、切断する、ドリルで穴をあける、穴をあける、穿孔する、はがす、薄い層に裂く、溶かす、除去する、および/または形づくる、ために用いられている。例えば、流体の噴射は目のレンズ組織を崩壊させて形づくるため、静脈または動脈から付着物を除去するため、そして半月板組織を除去するか形づくるために用いられている。
【0002】
使用において、流体は加圧されて、流体の流れが外科用ハンドピースの中の小さな噴射オリフィスを通して移動する時に、細い切断用のビームが形成される。外科医は、行なわれる外科処置の種類に応じて、流体の圧力および/または外科用ハンドピースを変更できる。例えば、噴流の圧力の選択的な変化(例えば、1〜50,000p.s.i.(6.9×103 〜3.5×108 パスカル))は、外科医が、硬質の骨、軟質の骨、軟骨および組織、を切断すること、組織をはがして下層の器官または脈管を露出させること、または単に外科処置によって生み出された血液および破片を洗い流すことを可能にする。
【0003】
一例の流体切断噴射システムがムタフィス(Moutafis)他に付与された米国特許第6,216,573号において開示されており、この特許は、その全体において、参照により本明細書に組み入れられている。この流体切断噴射システムは、高圧流体の噴射を発生させるために圧力可変のポンプを含む。使用において、使用者は、ダイアルまたはボタンを調節することにより、このポンプをオンにし、そのポンプの圧力を増減させることができる。
【0004】
上記のような流体切断噴射システムの存在にもかかわらず、改善された切断性能を提供できる流体噴射切断システムに対する要望が、依然として存在している。すなわち、従来の切断システムは、流体切断噴射システム内の変化を補償できるロバスト制御装置を欠いている場合が多い。このような制御装置は安全の点において最大の圧力を制限できるだけである。例えば、単純なオン/オフ制御装置が、過剰な圧力の状況においてポンプを非作動化している。
【0005】
一方、上記の参照されている特許において開示されているような、別の制御装置は、使用者がシステムをオンにして、ポンプの圧力を増減させること、を可能にしている。しかしながら、このシステムは、製造の裕度の範囲内で様々である可能性のある、寸法の異なった外科切断用のワンドおよび/またはオリフィスの使用に対して補償することができない。この結果として、その切断性能(すなわち、切断の深さ)は所与の圧力設定に対して一貫していない。したがって、ロバスト制御装置を欠いていることは、切断噴射システムの特性により大きく変わる可能性のある、一貫していない切断を生じる。
【0006】
〔発明の概要〕
本明細書において、改善された切断性能を提供する流体切断噴射制御システムが開示されている。一例の態様において、この制御システムは切断用の流れの噴射力を制御することにより、改善された性能を達成している。このようにして作られた切断用の流れは、例えば、製造の裕度の範囲内においておよび/またはエンド・エフェクターの種類により変動する寸法等のような変化に対して、比較的に影響を受けない。
【0007】
一例の態様において、流体切断噴射システムは、流体の入口および流体の出口を含む流体を加圧するための流体ポンプ、を含んでいる。さらに、制御コンソールがそのポンプに連絡していて、そのポンプの設定を操作することにより、流体の切断用の流れの噴射力を制御するよう構成されている。例えば、上記の制御コンソールは、使用者からの入力を受け取って上記のポンプを制御するための出力信号を送るプロセッサ、を含むことができる。例えば、使用者は切断の設定点を入力することができ、上記の制御コンソールは適正なポンプの設定を示す信号を送信する。
【0008】
別の態様において、上記の制御コンソールはポンプ・モーターの出力量を制御する。例えば、ポンプ・モーターが電気的なモーターである場合に、上記の制御コンソールはそのポンプに送達される電力を制御できる。
【0009】
上記のプロセッサはまた、センサーからフィードバック信号を受け取って、そのフィードバック信号に応じて出力信号を変えることができる。1個以上の例示的なセンサーを、上記のシステムの至る所に置くことができる。例えば、流量および/または圧力を測定するために、1個以上のセンサーをエンド・エフェクターの上/中に置くことができる。さらに、代替または追加のセンサーが、例えば、ポンプ・モーターに送達される電力等のような、ポンプに関連しているデータを、上記の制御コンソールに供給することができる。
【0010】
別の態様において、流体の切断用の噴射を制御するための方法が開示されている。一例の実施形態において、この方法は、流体を加圧するための流体ポンプを有する流体切断噴射システムを供給する過程、を含んでいる。このポンプは、当該ポンプを駆動させるためのポンプ・モーターと、このポンプ・モーターに接続されていて、このポンプ・モーターの出力量を変えるよう構成された制御コンソールと、加圧された流体を組織に送達するためのノズルを含むエンド・エフェクターと、を含んでいる。上記の方法は、所与の設定点を入力する過程と、その設定点に応じてポンプ・モーターの出力量を変える過程と、をさらに含んでいる。一例の態様において、上記の設定点は流体の噴射力を表している。
【0011】
上記の方法は、可変のシステムをモニターするために置かれている少なくとも1個のセンサーから上記の制御コンソールにフィードバック信号を供給する過程、をさらに含むことができる。これにより、そのフィードバック信号に応じて、制御コンソールはポンプ・モーターの出力量を変えることができる。
【0012】
本発明は、以下の、添付図面に基づいている詳細な説明により、さらに完全に理解できる。
【0013】
〔発明の詳細な説明〕
本明細書において、改善された切断性能を提供する流体噴射切断制御システムが開示されている。このシステムは、流体の流れをエンド・エフェクターに送達するポンプ、を含んでいる。その後、この流体は、外科手術の切開部分を作るために使用できる切断用の流れとして、エンド・エフェクターから出る。一例の態様において、この改善されたシステムの性能は、上記の切断用の流れの噴射力を制御することにより達成される。また、別の態様において、ポンプの出力は上記の切断用の流れの噴射力を制御するために操作される。
【0014】
図1は、流体供給源16から流体を受け取り、送達管18を介して、エンド・エフェクター20に流体を送達するポンプ12を含む例示的な流体切断噴射システム10、を示している。流体がポンプ12により加圧されると、その流体はエンド・エフェクター20を通り抜けて、オリフィス21を通過する。コンソール14は、使用者が、オリフィス21から出ていく流体の強度を変えることを可能にしている。例えば、このコンソール14は、外科医が流体の切断用の噴射の切断速度を制御すること、を可能にしている。
【0015】
ポンプ12は、流体を加圧するためにポンプ組立体24を駆動させるポンプ・モーター22、を含むことができる。一例の態様において、上記ポンプは容積式のピストン・ポンプであるが、当業者は、種々の他のポンプも利用可能であることを、認めるであろう。例えば、空気増圧器等のような別のポンプ機構を替わりに使用することも可能である。
【0016】
流体が送達される送達管18は、好ましくは、エンド・エフェクター20がポンプ12から独立して移動できるように、柔軟で耐圧性である。一例の実施形態において、送達管18は、異なるエンド・エフェクターがシステム10と共に使用可能になるように、エンド・エフェクター20に対して分離可能に接続することにも適している。例えば、この送達管18の端部における高圧の簡易接続機構が、エンド・エフェクター20に対する分離可能な接続を可能にする。
【0017】
エンド・エフェクター20は、送達管18に流体を介して連通している手持型または機械制御型の外科手術用の噴射器具とすることができる。例えば、エンド・エフェクター20は、基端側のハンドル部分23、内腔(図示されていない)、および軸方向または横方向に配置された1個以上の先端側の噴射用のオリフィス21、を含むことができる。加えて、エンド・エフェクター20は、使用者が噴射用の先端部分を、所望の形態または所与の角度に整形するか曲げることができる選択的に成型可能な先端部分25、を有することができ、これによって切断部位における位置決めを容易にしている。なお、当業者は種々の噴射形成用エンド・エフェクターの形態が使用可能であることを認めるであろう。
【0018】
エンド・エフェクター20は、外科部位からの流体の除去のための流体排出経路をさらに含むことができる。例えば、流体送達用のオリフィスの近くに位置決めされている出口用のオリフィスが、流体による切断により生じた破片ならびに切断用の流体を受容できる。その後、これらの除去された破片および流体は、出口用のオリフィスに流体を介して連通している出口用の内腔27を通して移動できる。一例の態様において、破片および流体の除去を補助するために吸引を用いることができるが、これらの流出物は重力排出することも可能である。
【0019】
エンド・エフェクター20からの切断用の流体の流れは、好ましくは、コンソール14により制御される。この場合に、使用者はコンソール14に所与の設定を入力することができ、このコンソールは制御データを出力できる。例えば、この制御コンソール14は、使用者が、オリフィス21を出る流体の噴射力等のような、システムの設定を変更できるように、コントロール28を含むことができる。このコントロール28はまた、フット・スイッチ(図1において示されていない)を介するなどして、コンソール14から遠隔に置くことも可能である。
【0020】
コンソール14は、好ましくは、ポンプ12の制御を容易にするために、このポンプ12に対して電気を介して連絡している。図1はコンソール14とポンプ12との間の電気的な接続部分13を示している。なお、熟練者はこの接続部分が無線および/または電線のいずれでもよいことを認めるであろう。加えて、図示のコンソール14はポンプ12から分離して収容されているが、これらのコンソール14およびポンプ12は、以下において説明されているように、単一の本体部分の中に配置できる。
【0021】
一例の実施形態において、プロセッサ30は使用者および/またはセンサーからの入力に応じてポンプ12を制御する。例えば、使用者が切断の設定点を入力すると、上記の制御装置は適切なポンプ・モーターの設定を決定して、ポンプを制御する出力信号を送る。プロセッサ30は、例えば、個別電子部品、集積回路の半導体、マイクロコントローラー(例えば、独立形演算ユニット)、およびこれらの組み合わせ物、を含むことができる。なお、当業者は、上記システム10の動作を補助するために、種々の既知のプロセッサが使用可能であることを認めるであろう。加えて、制御システムが用いられる場合に、種々の制御装置が使用可能である。例えば、この制御装置は、アナログ(連続的)またはデジタル(不連続的)、開ループまたは閉ループ、のいずれでもよく、単一または複数の変数を組み入れることができる。例示的な制御装置は、PI制御装置、PID制御装置、およびIMC利用PID制御装置、を含む。また、オン/オフ制御装置等のような、単純な制御システムも使用可能である。なお、当業者は上記システム10において種々の他の制御システムが実装可能であることを認めるであろう。
【0022】
プロセッサ30はシステム10の至る所に位置決めされている1つ以上のセンサーから信号を受け取ることができる。図1において示されているように、センサー32は種々の位置に置くことができる。一例の実施形態において、センサー32はポンプ12をモニターするために置かれている。例えば、センサー32は、ポンプの出力、ポンプの速度、ポンプの流量、および/またはその他のポンプの特性、に関するデータを集めることができる。
【0023】
加えて、あるいは上記の代わりに、システム10は、流体の流量および/または流体の圧力等のような、流体の噴射特性を測定するための別のセンサーを含むことができる。一例の態様において、センサーは切断用の流体の変数および/または出口の流量を測定するために、エンド・エフェクター20の中に置かれている。例えば、これらのセンサーはエンド・エフェクター20の内腔の中の流量および/または圧力を計測できる。センサーのその他の位置は、流体噴射用のオリフィス21のすぐ近くの位置、およびコンソール14内を含み、さらに/または、センサーはエンド・エフェクター20から離れて手術領域の中に置かれている。
【0024】
センサー32は、好ましくは、プロセッサ30に連絡していて、電線または無線によりデータを電子的に転送できる。例えば、点線33は、センサー32に電子的に連絡しているコンソール14を示している。
【0025】
図2は制御コンソール14およびポンプの少なくとも一部分(すなわち、ポンプ・モーター)が同一の構造体の中に収容されている、流体噴射切断システム10の別の例示的な実施形態を示している。図示のように、ハウジング15はコンソール・コントロール28およびポンプ・モーター(図示されていない)を収容している。このポンプはフット・スイッチ29によっても制御可能である。使用において、流体供給源16(生理食塩水のバッグ)からの切断用の流体はポンプの中に引き込まれて、エンド・エフェクター20に送達される。さらに、エンド・エフェクター20a,20bおよび20cは、送達管18に分離可能に嵌め合わせることができる。システム10はまた、流体および破片が廃棄物容器31に排出できるように、出口用の内腔27も含むことができる。
【0026】
ポンプを通る流体の流れの汚染に対して保護して、滅菌を容易にするために、ポンプ・モーターはレセプタクル・カートリッジ26を介して流体を駆動できる。一例の態様において、カートリッジ26は流体の経路を含んでいる。ポンプ組立体24はカートリッジ26に作用して、このポンプ組立体が流体に接触することなく、切断用の流体をポンプ輸送することができる。さらに、それぞれの使用の後に、このカートリッジは取り替えることができる。
【0027】
上記のシステム10は一貫した切断用の噴射の性能を提供できる。一例の実施形態において、この改善された性能は、流体の切断用の流れから所望の噴射力を達成するために、システムの変数を調節または制御することにより得られる。この結果として生じる切断用の流れは一貫した切断の深さを与えることができ、システムの変化の影響を比較的に受けない。例えば、製造の裕度の範囲内で変動する寸法およびエンド・エフェクターを別のものに取り替えることは、システム10の切断性能に比較的に影響しない。これらの結果は正確で精密な流体の切断用の噴射を生じる。
【0028】
噴射力は流体の切断用の噴射の圧力および体積流量に依存している。以下の式1において示されているように、噴射力は圧力および流量の積である。
噴射力=圧力×体積流量(式1)
【0029】
一定の噴射力において、一つの変数(圧力または流量)における変化は、別の変数の逆の変化により相殺される。例えば、システムの圧力が低下すれば、切断用の流体の流量の増大がこれを相殺することになる。
【0030】
上記のように、噴射力に基づいて噴射切断システム10を制御する利点が、図3において示されている。図示のように、一連の実験が、流体噴射切断システム10を用いて、ポリウレタンにおける流体の流れの切断性能をモニターして、行なわれている。この流体噴射切断システムにより送達される流体の流れの噴射力は、x軸において示されており、所与の噴射力の結果として生じる流体の流れの切断の深さは、y軸において示されている。この噴射力は、流体の流れの圧力および流体の流れの体積流量を測定することにより決定されている。さらに、本特許出願人は0.005インチ(0.127mm)のノズルおよび0.007インチ(0.178mm)のノズルによる、ポリウレタンにおける流体の流れの切断の深さを測定することにより、この実験を行なっている。線40は0.005インチ(0.127mm)のノズルの開口部を用いて作られたデータの点に対応しており、線42は0.007インチ(0.178mm)のノズルに対応するデータの点に対応している。これらの線40,42はほとんど同一線上にあることが分かっている。
【0031】
比較的に小さいノズルの寸法(0.005インチ(0.127mm))において、圧力は増加するが、体積流量は減少しており、比較的に大きなノズルの寸法は体積流量の増加を生じるが、圧力を減少させる。しかしながら、図3において示されているように、切断性能は、概して、全体の噴射力が同一である限り、ノズルの直径(圧力と流量における変化)に無関係であった。したがって、噴射力を一定に保つことは、圧力と流量に無関係に、全般的に同一の効果を有する切断用の流れを作る。
【0032】
一例の実施形態において、システム10の噴射力は、図1において示されているセンサー32等のような圧力および流量のセンサーにより、直接的に測定される。その後、この噴射力の変数はプロセッサ30にフィードバックされ、このプロセッサ30はこれらの変数を用いて適正なポンプの設定を計算する。したがって、システム10は、システムの変化に無関係に、一貫した出力(および切断の深さ)を提供する。
【0033】
別の実施形態において、噴射力は間接的に制御される。例えば、本特許出願人はポンプ・モーターに送達される電力(例えば、電力のワット数)が、所望の噴射力を達成するために制御可能であることを発見した。流体の圧力および流量を直接的に測定することは面倒である可能性があり、したがって、ポンプ・モーターの出力を制御することはシステム10の制御を容易にする。図4は、制御装置の設定点としてポンプの出力を用いることが、システム10を制御するための効率的な方法を与えること、を示している。本特許出願人は、約110ワット〜約600ワットの範囲に及ぶポンプ・モーターの出力の結果として、システム10により作られる噴射力を測定している。この場合に、一つの組の測定は約0.005インチ(0.127mm)のノズルの直径により行なわれており、第2の組の測定は0.007インチ(0.178mm)のノズルの直径により行なわれている。線44は0.007インチ(0.178mm)のノズルの直径により作られたデータに対応しており、線46は0.005インチ(0.127mm)のノズルの直径により作られたデータに対応している。図示のように、流量および圧力の変化を生じるシステムの変化の作用は、所与のポンプ・モーターの出力の結果としての噴射力に、最小限の影響しか与えていない。
【0034】
流体の切断用の噴射を制御するためにポンプの出力を使用することは、従来の流体噴射制御システムに優る利点を与えている。実際に、本特許出願人は、流体の流れがポンプの速度を制御することにより制御される先行技術のシステムと比べて、ポンプの出力が制御の変数として用いられる場合には、流体切断噴射システムの変化が、切断の性能においてより小さい変化しか生じないことを発見した。例えば、図5は、ポンプの速度が固定されている場合(グラフの左側の各棒)の、3種類の異なるノズルの大きさにおける切断の深さを、ポンプの出力が固定されている場合(グラフの右側の各棒)の、前者の場合と同じ3種類のノズルの大きさにおける切断の深さと比較して示している。この結果、ポンプの速度により制御されているシステムにおける切断の深さは、ポンプの出力により制御されているシステムよりも、ノズルの直径の変化に伴って、より大きな程度で変化している。従って、これらの測定は、ポンプの出力が流体の切断用の流れを制御するために用いられる場合に、システム10における変化(例えば、ノズルの大きさ)が、切断の性能(例えば、切断の深さ)における変化を少なくすること、を示している。
【0035】
図6は線形のグラフの形態で上記と同一の概念を示している。このグラフは一定のポンプの出力および一定のポンプの速度での3種類のノズルの大きさ(0.005インチ(0.127mm)、0.006インチ(0.152mm)、および0.007インチ(0.178mm))における切断の深さの変化を示している。線48は一定のポンプの速度におけるデータに対応しており、線50は一定のポンプの出力におけるデータに対応している。この場合に、線50ははるかに浅い傾斜を有していて、異なるノズルの直径に対応する切断の深さの変化が一定のポンプの出力において少ないことを示していることに注目されたい。
【0036】
それゆえ、一例の実施形態において、本特許出願人はポンプの出力を制御することによりシステム10を制御している。この結果、使用者がコンソール14に設定点を入力すると、プロセッサ30は適正なポンプの出力を決定して、所望の切断の性能を達成するためにそのポンプの出力を制御する。
【0037】
さらに、上記のポンプの出力の制御を補助するために、フィードバック制御システムを用いることができる。一例の実施形態において、プロセッサ30はシステムのフィードバック制御を補助するために、ポンプの出力を表すデータを受け取る。また、一例の実施形態において、ポンプ・モーター22および/またはポンプ組立体24に置かれているセンサーは、プロセッサ30にフィードバック入力を供給できる。このような入力は、非限定的な例として、ポンプ・モーターに送達される実際の電力(例えば、送達される電力のワット数)、ポンプの活動度(例えば、ポンプ・モーターのrpmまたはポンプ・ピストンの速度)、切断用の流体の流量、および/または流体の流出用のポンプ12の圧力、とすることができる。このような、センサー32により送達されるデータに基づいて、コントローラ30はポンプ12に送達される電力を微調整できる。別の実施形態において、システム制御を補助するために、別のフィードバック・データをプロセッサ30に送ることができる。例えば、プロセッサ30は噴射力に関連している別の変数を表すデータ(例えば、圧力および/または流量のデータ)を受け取ることができる。
【0038】
当業者は上述の実施形態に基づいて本発明のさらに他の特徴および利点を認識するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の各請求項により示されている内容を除いて、特定的に図示および説明されている内容により限定されない。また、本明細書において引用されている、全ての刊行物および参考文献は、それぞれの内容全体において、参照により本明細書に明示的に組み入れられている。
【0039】
〔実施の態様〕
(1)流体噴射切断システムにおいて、
流体の入口および流体の出口を含んでいる、流体を加圧するための流体ポンプであって、このポンプを駆動させるためのポンプ・モーターを有する、流体ポンプと、
前記流体ポンプに流体を介して連通していて、組織に対して加圧された流体を送達するためのオリフィスを含んでいるエンド・エフェクターと、
前記ポンプ・モーターに電気を介して接続されていて、そのポンプ・モーターの出力量を制御するよう構成された制御コンソールと、を備えている、流体噴射切断システム。
(2)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記制御コンソールは、使用者からの入力を受け取り、前記ポンプ・モーターの出力量を制御するための出力信号を送るよう構成されたプロセッサを含んでいる、システム。
(3)実施態様(2)に記載のシステムにおいて、
前記プロセッサは、センサーからフィードバック信号を受け取ることができ、そのフィードバック信号に応じて前記出力信号を変更できる、システム。
(4)実施態様(3)に記載のシステムにおいて、
前記センサーは前記ポンプをモニターするために置かれている、システム。
(5)実施態様(4)に記載のシステムにおいて、
前記センサーは前記ポンプに送達される電力を測定する、システム。
【0040】
(6)実施態様(3)に記載のシステムにおいて、
前記センサーは前記エンド・エフェクターに置かれている、システム。
(7)実施態様(3)に記載のシステムにおいて、
前記センサーは流量を測定する、システム。
(8)実施態様(3)に記載のシステムにおいて、
前記センサーは圧力を測定する、システム。
(9)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記ポンプ・モーターは電気モーターであり、
前記制御コンソールは前記ポンプに送達される電力を変える、システム。
(10)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記ポンプから加圧された流体を受け取り、その流体を前記エンド・エフェクターに送達するための送達管を含んでいる、システム。
【0041】
(11)実施態様(10)に記載のシステムにおいて、
前記エンド・エフェクターは前記送達管に分離可能に接続されている、システム。
(12)実施態様(10)に記載のシステムにおいて、
複数のエンド・エフェクターを含んでいる、システム。
(13)実施態様(1)に記載のシステムにおいて、
前記エンド・エフェクターは、切断用の流体を除去するための出口用の内腔を含んでいる、システム。
(14)流体による切断用の噴射を制御する方法において、
流体を加圧するための流体ポンプであって、このポンプを駆動させるためのポンプ・モーターを有している、ポンプと、そのポンプ・モーターに電気を介して接続されていて、そのポンプ・モーターの出力量を変更するよう構成された制御コンソールと、組織に加圧された流体を送達するためのノズルを含んでいるエンド・エフェクターと、を含んでいる流体切断噴射システムを供給する過程と、
設定点を入力する過程と、
前記設定点に応じて前記ポンプ・モーターの出力量を制御する過程と、を含んでいる、方法。
(15)実施態様(14)に記載の方法において、
前記設定点が流体の噴射力を表す、方法。
【0042】
(16)実施態様(14)に記載の方法において、
前記制御コンソールは、前記設定点を受け取って、前記ポンプ・モーターの出力量を設定する出力信号を送る、プロセッサを含んでいる、方法。
(17)実施態様(14)に記載の方法において、
前記流体切断噴射システムのシステム変数をモニターするために置かれている少なくとも1個のセンサーから前記制御コンソールにフィードバック信号を供給する過程を含む、方法。
(18)実施態様(17)に記載の方法において、
前記フィードバック信号に応じて前記ポンプ・モーターの出力量を変更する過程を含む、方法。
(19)流体噴射切断制御システムにおいて、
流体の入口および流体の出口を含んでいる、流体を加圧するための流体ポンプであって、このポンプを駆動させるためのポンプ・モーターを有する、流体ポンプと、
前記流体ポンプから加圧された流体を受け取り、その流体をエンド・エフェクターに送達するための送達管と、
前記ポンプ・モーターに電気を介して接続されていて、前記ポンプのパラメータを変更することにより、流体切断用の流体の噴射力を制御するよう構成された制御コンソールと、を備えている、流体噴射切断制御システム。
(20)実施態様(19)に記載のシステムにおいて、
前記制御コンソールが、使用者からの入力を受け取り、前記ポンプ・モーターの出力量を制御するための出力信号を送ることができるプロセッサを含んでいる、システム。
【0043】
(21)実施態様(20)に記載のシステムにおいて、
前記プロセッサがセンサーからフィードバック信号を受け取ることができ、そのフィードバック信号に応じて前記出力信号を変更できる、システム。
(22)実施態様(21)に記載のシステムにおいて、
前記センサーが流量を測定する、システム。
(23)実施態様(21)に記載のシステムにおいて、
前記センサーが圧力を測定する、システム。
(24)実施態様(21)に記載のシステムにおいて、
前記センサーが前記ポンプに送達される電力を測定する、システム。
(25)実施態様(19)に記載のシステムにおいて、
前記ポンプ・モーターが電気モーターであり、前記制御コンソールが前記ポンプに送達される電力を変える、システム。
【0044】
(26)実施態様(19)に記載のシステムにおいて、
複数のエンド・エフェクターを含んでいる、システム。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】流体噴射切断システムの例示的な実施形態の概略図である。
【図2】流体噴射切断システムの別の例示的な実施形態の斜視図である。
【図3】流体切断システムにおける噴射力と切断の深さとの関係を示しているグラフ図である。
【図4】流体噴射切断システムにおけるポンプの出力と噴射力との関係を示しているグラフ図である。
【図5】ポンプの出力を制御することにより作られた流体の切断用の噴射と、ポンプの速度を制御することにより作られた流体の切断用の噴射と、の性能の変化を比較しているグラフ図である。
【図6】図5において示されているデータの別のグラフ図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体噴射切断システムにおいて、
流体の入口および流体の出口を含んでいる、流体を加圧するための流体ポンプであって、このポンプを駆動させるためのポンプ・モーターを有する、流体ポンプと、
前記流体ポンプに流体を介して連通していて、組織に対して加圧された流体を送達するためのオリフィスを含んでいるエンド・エフェクターと、
前記ポンプ・モーターに電気を介して接続されていて、そのポンプ・モーターの出力量を制御するよう構成された制御コンソールと、
を備えている、流体噴射切断システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記制御コンソールは、使用者からの入力を受け取り、前記ポンプ・モーターの出力量を制御するための出力信号を送るよう構成されたプロセッサを含んでいる、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記プロセッサは、センサーからフィードバック信号を受け取ることができ、そのフィードバック信号に応じて前記出力信号を変更できる、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記センサーは前記ポンプをモニターするために置かれている、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、
前記センサーは前記ポンプに送達される電力を測定する、システム。
【請求項6】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記センサーは前記エンド・エフェクターに置かれている、システム。
【請求項7】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記センサーは流量を測定する、システム。
【請求項8】
請求項3に記載のシステムにおいて、
前記センサーは圧力を測定する、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記ポンプ・モーターは電気モーターであり、
前記制御コンソールは前記ポンプに送達される電力を変える、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記ポンプから加圧された流体を受け取り、その流体を前記エンド・エフェクターに送達するための送達管を含んでいる、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、
前記エンド・エフェクターは前記送達管に分離可能に接続されている、システム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムにおいて、
複数のエンド・エフェクターを含んでいる、システム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記エンド・エフェクターは、切断用の流体を除去するための出口用の内腔を含んでいる、システム。
【請求項14】
流体による切断用の噴射を制御する方法において、
流体を加圧するための流体ポンプであって、このポンプを駆動させるためのポンプ・モーターを有している、ポンプと、そのポンプ・モーターに電気を介して接続されていて、そのポンプ・モーターの出力量を変更するよう構成された制御コンソールと、組織に加圧された流体を送達するためのノズルを含んでいるエンド・エフェクターと、を含んでいる流体切断噴射システムを供給する過程と、
設定点を入力する過程と、
前記設定点に応じて前記ポンプ・モーターの出力量を制御する過程と、を含んでいる、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記設定点が流体の噴射力を表す、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、
前記制御コンソールは、前記設定点を受け取って、前記ポンプ・モーターの出力量を設定する出力信号を送る、プロセッサを含んでいる、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、
前記流体切断噴射システムのシステム変数をモニターするために置かれている少なくとも1個のセンサーから前記制御コンソールにフィードバック信号を供給する過程を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において、
前記フィードバック信号に応じて前記ポンプ・モーターの出力量を変更する過程を含む、方法。
【請求項19】
流体噴射切断制御システムにおいて、
流体の入口および流体の出口を含んでいる、流体を加圧するための流体ポンプであって、このポンプを駆動させるためのポンプ・モーターを有する、流体ポンプと、
前記流体ポンプから加圧された流体を受け取り、その流体をエンド・エフェクターに送達するための送達管と、
前記ポンプ・モーターに電気を介して接続されていて、前記ポンプのパラメータを変更することにより、流体切断用の流体の噴射力を制御するよう構成された制御コンソールと、
を備えている、流体噴射切断制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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