説明

流体力学的多層シースフロー構造

シースフローを生成するための、微細加工されたシースフロー構造は、シース流体を運ぶための一次シースフローチャネル、一次シースフローチャネル内のシース流体に試料を注入するための試料注入口、シース流体中の試料を集束させるための一次集束領域、および、シース流体中の試料のさらなる集束を提供するための二次集束領域を含む。二次集束領域は、追加のシース流体を選択された方向で一次シースフローチャネルに注入するため、一次シースフローチャネルと交差するフローチャネルにより形成されてもよい。シースフローシステムは、マイクロ流体チップ上で並列に作動する複数のシースフロー構造を含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、フローチャネル内にシースフローを生成するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本発明は、マイクロ流体装置のマイクロチャネル内にシースフローを生成するためのシステムおよび方法に関する。
【0002】
関連出願
本発明は、その内容が参照により明示的に本明細書に組み入れられる、2003年10月30日に提出された米国特許仮出願第60/516,033号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
シースフローは、1層の流体(または粒子)の1つより多い側面が別の流体の層に囲まれている、特定の種類の層流である。流体中に粒子流を閉じ込める過程は「シースフロー」構成とよばれる。例えば、シースフロー中において、シース流体は、いくつかの粒子を含む試料流体を包囲および挟み込みしてもよい。その中に浮遊粒子を含むシース流体の流れは、シース流体の中心において、ほぼ粒子の外径まで狭めることが可能である。このようにして生じるシースフローは、オリフィスまたはチャネルの中を層流状態で流れ、これにより、粒子が整列し一列となってオリフィスまたはチャネルを正確に通過する。
【0004】
シースフローは、例えば粒子を空気から保護する必要がある用途など、粒子または流体をシース流体の層で保護することが好ましい多数の用途で用いられている。例えば、粒子選別システム、フローサイトメーター、および試料を分析するためのその他のシステムにおいて、選別または分析対象の粒子は、通常、粒子を含まない液体シースに囲まれた中央の流体流の中の測定位置に供給される。
【0005】
シースフローは、センサーまたは他の構成要素に対して粒子を位置決めできること、および、シース流体で囲まれた中央の流体中の粒子がフローチャネルの側面に接触することを防止でき、ひいてはチャネルの目詰まりを防止できることから、有用である。シースフローにより、試料物質の流速およびスループットを高めることが可能となる。シース流体がフローチャネルの壁面の剪断力から細胞を保護するため、中央の流体中の細胞を破砕することなく流速を高めることができる。
【0006】
シースフローを実現するために採用されている従来の装置は、設計が比較的複雑であり、且つ、作成が比較的困難である。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明は、粒子選別システムまたは他のマイクロ流体システム用にシースフローを生成するための、微細加工されたシースフロー構造を提供する。シースフロー構造は、一次シースフローチャネルにシース流体を導入するためのシース注入口と、試料を同構造に導入するための試料注入口とを含む、2層構造を含んでいてもよい。試料は、試料注入口を介して一次シースフローチャネル内のシース流体に導入され、その中に浮遊する。上部シースチャネル内にフローを生成するため、一次シースフローチャネルは、試料注入口の上流の位置で分岐していてもよい。一次シースフローチャネルは、試料注入口に接続された試料チャネルの近傍でシース流体を加速するための一次集束領域を形成する。試料チャネルは、粒子がシース流体中に閉じ込められるよう、注入された試料を加速領域に提供する。一次集束領域は試料周囲のシース流体をさらに集束させる。シースフローは次に、上部シースチャネルを一次シースフローチャネルに接続する一次加速領域の下流の二次シース領域へと流れ、これにより、シース流体中の試料をさらに集束させる。このようにして得られたシースフローは、チャネル内で、集束した試料のコアを形成する。
【0008】
シースフロー構造を並列化して、単一のシステム内で並列に作動する複数のシースフロー構造を提供してもよい。並列システムは、システムの各一次シースフローチャネルに試料を注入するための複数の試料チャネルへと分岐する、単一の試料注入口を有していてもよい。試料注入口はシース注入口の上流に設けられていてもよい。または、並列システムは、複数の試料注入口を有していてもよい。並列シースフロー構造は、一次シースフローチャネルおよび/もしくは二次シースチャネルのすべてにシース流体を提供するための単一のシース流体注入口を有していてもよく、または、一次シースフローチャネルおよび/もしくは二次シースチャネルに個別にシース流体を提供するための複数のシース流体注入口を有していてもよい。
【0009】
本発明の第一の局面においては、シース流体中に粒子を浮遊させるためのシースフロー構造が提供される。シースフロー構造は、シース流体を運ぶための一次シースフローチャネル、一次シースフローチャネルを通って運ばれたシース流体中に粒子を注入するための試料注入口、粒子周囲のシース流体を少なくとも第一の方向に集束させるための一次集束領域、および、一次集束領域の下流に提供される二次集束領域を含む。二次集束領域は、粒子周囲のシース流体を、第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に集束させる。
【0010】
本発明の別の局面において、シース流体中に粒子を浮遊させるためのシースフロー構造は、シース流体を運ぶための一次シースフローチャネルを含む第一の基質層、および、第一の基質層に積層された第二の基質層を含む。第二の基質層は、シース流体を一次シースフローチャネルに導入するための第一のシース注入口、および、一次集束領域内の一次シースフローチャネルに粒子を提供し、これにより、少なくとも1つの側面がシース流体に囲まれた粒子を含むシースフローを形成するための、第一のシース注入口の下流の試料注入口を含む。一次シースフローチャネルと連絡する第一または第二の基質層に第一の二次シースチャネルが形成される。第一の二次シースチャネルは、シース流体の一部を一次シースフローチャネルから分流させる。
【0011】
本発明のさらに別の局面においては、シースフロー装置のチャネル内のシース流体中に浮遊する粒子を集束させるための集束領域が提供される。集束領域は、シース流体中に浮遊する粒子を運ぶための一次フローチャネル、および、シース流体を粒子の上方から一次フローチャネルに注入し、これにより、一次フローチャネルの上壁から離れるように粒子を集束させるための、一次流路と交差する第一の二次フローチャネルを含む。
【0012】
本発明の別の局面において、粒子の少なくとも2つの側面をシース流体で囲むための方法は、分岐したシースチャネルにシース流体の一部を分流させながら、シース流体を一次シースフローチャネルに注入する段階;一次シースフローチャネルに粒子を注入してシース流体中に粒子を浮遊させ、これによりシースフローを形成する段階;および、シース流体の分流された一部をシースフローに注入し、これによりシース流体中の粒子を集束させる段階を含む。
【0013】
本発明の別の局面において、粒子の少なくとも2つの側面をシース流体で囲むための方法は、一次シースフローチャネルを通してシース流体を運ぶ段階;一次シースフローチャネルを通して運ばれたシース流体に粒子を注入する段階;粒子周囲のシース流体を少なくとも第一の方向に集束させる段階;および、粒子周囲のシース流体を、第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に集束させる段階を含む。
【0014】
本発明のさらに別の局面においては、基質上で並列に作動する複数のシースフロー構造を含むシースフローシステムが提供される。各シースフロー構造は、シース流体を運ぶための一次シースフローチャネル、一次シースフローチャネルを通って運ばれたシース流体中に粒子を注入するための試料チャネル、粒子周囲のシース流体を少なくとも第一の方向に集束させるための一次集束領域、および、粒子周囲のシース流体を、第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に集束させるための、一次集束領域の下流に提供される二次集束領域を含む。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、マイクロチャネルなどのフローチャネル内にシースフローを生成するためのシステムおよび方法を提供する。以降、例示的態様と関連付けながら本発明を説明する。本発明は、多数の異なる用途および態様において実施可能であり、その用途において、本明細書に示す特定の態様に具体的に限定されることはない。このことは当業者に理解されるものと思われる。
【0016】
本明細書において「マイクロ流体」という用語は、流体試料を取扱い、処理、排出、および/または分析するためのシステムまたは装置であって、マイクロスケールの寸法を有する少なくとも1つのチャネルを含むシステムまたは装置を意味する。
【0017】
本明細書において「チャネル」および「フローチャネル」という用語は、媒質の中にまたは媒質を通って形成される経路であって、液体または気体などの流体の移動を許容する経路を意味する。「マイクロチャネル」とは、マイクロ流体システム内のチャネルであって、好ましくは、断面寸法が約1.0〜約500μm、好ましくは約25〜約250μm、最も好ましくは約50〜約150μmの範囲であるチャネルを意味する。当業者であれば、フローチャネルの適切な容積および長さを決定できると思われる。範囲は、前記の値を上限および下限として含むものと意図される。フローチャネルは、例えば線形または非線形の構成およびU字型の構成など、選択された任意の形状または配置であってよい。
【0018】
図1に、本発明の例示的態様に係る、微細加工されたシースフロー構造10を示す。粒子選別システムまたは他のマイクロ流体システムで使用するため、シースフロー構造10を用いて、シース流体フローの流れの中に粒子を浮遊させてもよい。シースフロー構造10は、シースフロー構造10を通してシース流体を運ぶための一次シースフローチャネル12を含む。1つまたは複数のポンプなど当技術分野において公知の任意の手段により、一次シースフローチャネル12を通してフローを誘導してもよい。シースフロー構造10は、試料(1つまたは複数の粒子など)が、流れているシース流体によって囲まれるよう、一次シースフローチャネル12を通って流れるシース流体に試料を導入するための試料注入口15をさらに含む。試料注入口15は、一次シースフローチャネル12と連絡する、チャネル、リザーバ、または他の好適な構成要素を含んでいてもよい。
【0019】
1つの態様において、微細加工シースフロー構造はマイクロ流体チップ上に形成され、そこに形成された一次シースフローチャネルおよび他のフローチャネルは、マイクロスケールの寸法を有するマイクロチャネルである。または、シースフロー構造は、これより大きな寸法を有していてもよく、且つ、断面寸法が500μmより大きいフローチャネルを用いて形成されてもよく、このことは当業者に理解されるものと思われる。例示的なシースフロー構造は、微細加工、射出成形/スタンピング、機械加工、または他の好適な作製技術を用いて、ガラス、プラスチック、金属、または他の任意の好適な材料で作製できる。
【0020】
試料がシース流体に導入された後、一次集束領域17が、注入された試料の周囲のシース流体を加速および集束させる。好ましくは、一次集束領域17は、試料の側面および下面から離れるようにシース流体を集束させる。一次集束領域が一次集束を行った後、一次シースフローチャネルに沿って一次集束領域17の下流に配置された二次集束領域19が、試料周囲のシース流体のさらなる集束を提供する。好ましくは、二次集束領域19は、試料の上方から垂直方向に試料を集束させる。
【0021】
ひとつの例示的態様において、一次集束領域17と二次集束領域19との組合せは、試料周囲のシース流体の3次元集束を提供する。こうして得られるシースフローは、試料の全側面において一次シースフローチャネル12の壁から離れて流体力学的に試料の周りに集束されたものとなり、試料が、チャネルのほぼ中央で、集束されたコアとして浮遊する。
【0022】
二次集束領域19は、一次シースフローチャネル12で生じたシースフローを、二次集束領域19のアウトレット19aと流体接触する粒子選別システムまたは他のマイクロ流体システムもしくは構成要素へと渡す。シースフローを受けるためのマイクロ流体システムは、シースフロー構造と同じチップもしくは基質上に形成されていてもよく、または、シースフロー構造10と流体接触する異なる基質上に形成されていてもよい。
【0023】
ひとつの態様において、シースフロー構造は、積層された複数の層を用いて形成されていてもよい。例えば、図2A〜図2Cに、本発明のひとつの態様に基づきシースフローを生成するための2層シースフロー構造100を示す。図1および図2A〜図2Cにおいて、同様の部品は同じ参照番号で示されている。図に示すシースフロー構造100は、下部基質層10bと、下部基質層10bに積層された上部基質層10aとを含む2層構造を有する。当業者には、任意の好適な数の層を使用できることが理解されるものと思われる。上部基質層10aの中には、シース流体を一次シースフローチャネル12に導入するためのシース注入口11、および、試料をシースフロー構造に導入するための試料注入口15が形成されていてもよい。構造を通してシース流体を運ぶための一次シースフローチャネル12は、2層シースフロー構造100の下層10bの中に形成される。図に示すように、試料注入口15は試料チャネル16に接続する。試料チャネル16は、一次シースフローチャネル12を流れるシース流体中に試料(粒子の流れなど)を注入するため、シース注入口11の下流の一次シースフローチャネル12と交差する。
【0024】
例示的な2層シースフロー構造100では、シースフローおよび試料粒子を構造の上面から注入するが、当業者には、シース注入口11および試料注入口15は任意の好適な位置に設けられていてよく、且つ、任意の好適な大きさおよび構成を有していてよいことが理解されるものと思われる。
【0025】
図2A〜図2Cの2層シースフロー構造100の一次集束領域17は、図2Bに示すように、一次シースフローチャネル12を、比較的広い幅Wから、試料チャネル16と一次シースフローチャネル12との交点より下流のより狭い幅W'までテーパさせることによって形成してもよい。チャネルの高さは、チャネルの長さに渡って実質的に一定であってもよく、または、シース流体中の試料の集束を促すため変化していてもよい。
【0026】
図2Aに示す態様において、一次集束領域17は、試料注入口15より上流で一次シースフローチャネル12を2つのサブチャネル12a、12bに分けることによって形成される。分岐するサブチャネル12a、12bは、その間に、試料注入島50を形成する。試料注入島50の下流端において、サブチャネル12a、12bは合流して一次集束領域17を形成する。試料フローチャネル16は一次集束領域17の中へと突出し、これにより、試料粒子がシース流体中に浮遊するよう、提供された試料粒子を、試料注入口15を介して一次集束領域17に運ぶ。または、サブチャネル12a、12bの各々が個別の注入口を有していてもよく、個別の注入口が一次集束領域17内で収束してもよい。
【0027】
一次集束領域17において、シースフローに注入された試料粒子は、シースフローの側面および下面から離れるように集束される。図に示すように、試料フローチャネル16のアウトレットは、注入された粒子の両側がサブチャネルから流れるシース流体によって囲まれ、且つ、粒子がシース流体フロー中の中央に位置するように、サブチャネル12a、12bのアウトレットの間で、一次集束領域17の実質的に中央に位置する。一次集束領域のシースフローチャネル12は、次に、サブチャネル12a、12bのアウトレット部の比較的広い幅Wから、より狭い幅W'までテーパし、これにより、浮遊する試料粒子の周囲へとシース流体を押しやる。
【0028】
試料粒子を浮遊させた後、シースフローはシースフローチャネル12を通って一次集束領域17から流出し、これにより、一次集束領域17の下流で二次集束領域19を形成する。例示的態様において、二次集束領域19は、一次集束領域17により提供される最初の収束の後、シース流体を利用して、垂直方向にシースフローの二次集束を提供する。例えば図2A〜図2Cに示すように、二次集束領域19は、二次集束領域19内で一次シースフローチャネル12と交差する二次シースチャネル13a、13bにより形成されていてもよい。二次シースチャネル13a、13bはシース流体を流して一次シースフローチャネル12へと注入し、これにより、シース流体中の試料を集束させる。
【0029】
図に示すように、二次シースチャネル13a、13bの注入口は、シース注入口11と試料チャネル16のアウトレットとの間の中間上流領域で一次シースフローチャネル12と交差していてもよい。分岐点24a、24bは、二次シースチャネル13a、13bの各々を一次チャネル12に接続し、これにより、一次シースフローチャネルからのシース流体の一部を二次シースチャネル13a、13bの各々に分流する。分流されたシースフローは、二次シースチャネル13a、13bのアウトレットが一次シースフローチャネル12と交差する二次集束領域19へと流れる。好ましくは、両二次シースチャネルのアウトレットは、二次集束領域19の付近において、一次シースフローチャネル12の流体フローの上方に且つこれと実質的に平行に伸びる。この様式により、二次シースチャネル13a、13bからの二次シース流体は、試料と同じ側面から一次シースフローチャネル12に流入し、浮遊した試料をチャネル12の上壁から離れるように(すなわち、粒子周囲の流体の主要なシースと反対方向に)押し付ける。
【0030】
例示的態様において、分岐点24a、24bは、一次シースフローチャネルに対して実質的に横断方向または垂直方向にわたり、分岐点24a、24bにそれぞれ接続するシースチャネル13a、13bは一次シースフローチャネル12に対して実質的に平行にわたる。二次集束領域19においてシースチャネル13a、13bをそれぞれ一次シースフローチャネルに接続する接続分岐25a、25bは、分岐点24a、24bを通る流路の方向と実質的に逆方向の流路を形成するため分岐点24a、24bに平行であってもよく、一方、アウトレットは、一次シースフローチャネル12内の流体フローの上方に位置し且つ実質的にこれと平行な経路に沿って、二次シース流体を注入する。
【0031】
図2A〜図2Cの態様において、二次シースチャネル13a、13bは、上部基質層10aに形成され、且つ、上部基質層10aが下部基質層の上に積層されたときに下部基質層10b内の一次シースフローチャネル12と連絡するように配置される。しかし、本発明の別の態様においては、任意の好適な方向からの集束を提供するため、二次シースチャネルの一方または両方が下部基質層に形成されていてもよい。
【0032】
例示的態様は、一次シースフローチャネル12の互いに反対側にわたる二次シースフローチャネル13a、13bにそれぞれ接続する2つの分岐点24a、24bを含むが、本発明のシースフロー構造は、任意の好適な大きさ、位置、および構成を有する任意の好適な数の二次シースチャネルを含んでいてもよく、このことは当業者に理解されるものと思われる。
【0033】
図2Cは、積層された上部基質層および下部基質層を含むシースフロー構造100の側方断面図である。図に示すように、一次シースフローチャネルは、下部基質層10bの上面に開チャネルとして形成されていてもよい。シース注入口11および試料注入口15はそれぞれ、上部基質層10aのひとつの表面102から反対側の表面103まで、上部基質層10aを通ってわたる。上部基質層10aが下部基質層10bに積層されたとき、シース注入口11および試料注入口15は、一次シースフローチャネル12と連絡するように配置される。上部基質層10aの下面103はさらに、2つの基質層を一緒に積層したときに一次シースフローチャネル12を閉鎖するように機能してもよい。図に示すように、上部基質層を積層することにより、二次シースチャネル13a、13bの各々の注入口およびアウトレットが、一次シースフローチャネル12と連絡するように配置される。
【0034】
基質層10a、10bを機械加工、成形、またはエッチングすることにより、チャネル、注入口、および集束領域を形成してもよい。基質10a、10bを形成するための好適な材料としては、シリコンウェーハ、プラスチック、ガラス、および当技術分野において公知の他の材料があるが、それに限定されるわけではない。
【0035】
図3は、本発明の教示に基づくシースフロー構造に注入された試料粒子の経路を示す、シースフロー構造100の断面図である。図4Aは、シースフロー生成の各段階におけるシース流体および浮遊粒子を示す、シースフロー構造100の斜視断面図である。図4B〜図4Dは、シースフロー生成の各段階における一次フローチャネル12の断面詳細図である。図4Bに示すように、試料注入口15からの試料160は、試料注入口15に接続された試料チャネル16を通って一次集束領域17に入り、そして、一次集束領域17において二次シースチャネルからシースチャネル12へと流れるシース流体120を加速することによって、3つの側面から集束される。得られた、中に粒子が浮遊する集束フロー170は、二次集束領域19へと移動する。図4Cに詳しく示すように、さらなるシース流体130が二次集束領域19内のコネクタを通って一次シースフローチャネル12に入り、これにより、浮遊粒子を4番目の側面から集束させて、中心コア190を形成する。得られたシースフロー200は、図4Dに示すように、チャネル中央部で、壁から離れ、すべての側面から流体力学的に試料の周りに集束された層流である。望ましいコアフローの位置は、二次シースフロー構造の下流において、一次シースフローチャネルの中心にあってもよく、または中心になくてもよい。
【0036】
例示的態様においては、コアを下流シースフローチャネル内の特定の領域に配置するため、一次シースフローチャネル12と分岐した二次シースチャネル13a、13bとの流動抵抗比が較正される。望ましいコアフローの位置は、下流チャネルの中心にあってもよく、または中心になくてもよい。
【0037】
図5A〜図5C(同様の部品は同様の参照番号で示されている)に示す本発明の別の態様において、試料は、試料注入口15bから、分岐点24a、24bの下流でシースチャネル12の幅を広げることによって形成された一次集束領域17'に、直接注入されてもよい。一次シースフローチャネル12はシース流体を一次集束領域17に直接運び、試料粒子は試料フローの中心に直接注入されてその中に閉じ込められる。この態様において、一次シースフローチャネルはサブチャネルへと分岐せず、シース流体を加速することおよび注入された粒子を浮遊させることは、一次シースフローチャネルの形状を好適な様式にすることにより実現してもよい。
【0038】
図6に、一次シースフロー用と、二次集束領域19においてシースフローに添加されるシース流体(二次シース流体)用との、別々のシース注入口を含む、本発明の別の態様に基づくシースフロー構造100を示す。図に示すように、図5のシースフロー構造100は、一次シースフローを提供して、注入された試料粒子を浮遊させるための一次シース注入口11a、および、二次シースフローを提供して、二次集束領域において一次シース流体中の粒子を集束させるための二次シース注入口11cを含む。図5に示す態様において、一次シース注入口11cは上部基質層10aに形成され、二次シース注入口11cは第二の基質層10bに形成されるが、当業者には、本発明がこの構成に限定されるわけではないことが理解されるものと思われる。
【0039】
図7Aおよび7Bに示す本発明の別の態様において、試料注入口15は、シース注入口の上流または後に提供されていてもよい。この態様において、一次シースフローチャネル12の上流部分は、一次集束領域17で収束する2つの別々のサブチャネル12a、12bを含む。各サブチャネル12a、12bは、シース流体をそれぞれのサブチャネルに導入するための別々の注入口11a、11bを有する。図7Aおよび7Bの態様は、二次シースチャネル13a、13b用の別々のシース注入口11c、11dをさらに含む。前述したように、二次シースチャネルは二次集束領域内で一次シースフローチャネル12と交差し、これにより、一次シースフローチャネル12内を流れるシース流体中の試料の集束を提供する。図7Aおよび7Bの例示的なシースフロー構造の設計は、単一のマイクロ流体チップ上でシース流体インジェクターのアレイに複数の試料チャネル16を供給することができるため、シースフロー処理の並列化に好適である。
【0040】
図7の態様には、一次フローチャネルの各サブチャネルおよび各二次シースフローチャネルに対する個別のシース注入口が示されているが、図2A〜図2C、図5A〜図5C、および図6に示すように一次シースフローチャネルは単一の注入口を有していてもよく、このことは当業者に理解されるものと思われる。図2A〜図2Cおよび図6について説明したように、一次シースフローチャネルは、注入された粒子を浮遊させるために収束するサブチャネルを含んでいてもよい。または、図5A〜図5Cについて説明したように、一次シースフローチャネルは、注入された粒子を囲むために幅が広くなるような形状および構成であってもよい。さらに、図7の態様では、二次シースフローチャネルが一次シースフローチャネルとは別に成形されるものとして示されているが、一次シースフローチャネル内のシース流体の一部を1つまたは複数の二次フローチャネルに分流するように1つまたは複数の二次シースフローチャネル13a、13bを形成し、これにより個別のシース注入口の必要性をなくしてもよく、このことも当業者に理解されるものと思われる。
【0041】
図8A〜図8Bは、本発明の別の態様に基づき、単一のマイクロ流体チップ800上にシースフロー構造10a〜10hのアレイを形成してもよいことを示した図である。マイクロ流体チップ800は、上部基質層を下部基質層に積層したときにシースフロー構造のアレイが形成されるように、各シースフロー構造の選択された構成要素を含む上部基質層、および、各シースフロー構造の選択された構成要素を含む下部基質層を含んでいてもよい。図8は、図7の後部試料注入方式を採用した、8つの並列3次元シースフロー構造10a〜10hのアレイを示している。図に示すように、単一の試料注入口15を用いて、一次シースフローチャネル12a〜12hの各々に試料を注入してもよい。このシステムは、微細加工設計により、試料注入口に提供された入力試料を8つの個別の試料チャネル16a〜16hに正確に分けることが可能である。試料チャネルは、次に、試料を一次シースフローチャネルに注入する。シース注入口の上流の試料注入口15を用いることにより、単一の統合システム内に複数のシースフロー構造を並列化することが容易となる。または、シースフロー注入口の上流に設けられる試料注入口は、各一次シースフローチャネルに対して個別に設けられていてもよい。
【0042】
各シースフロー構造に対する各チャネル注入口11a、11b、11c、または11dは、図8Aおよび8Bに示すように揃っていてもよく、または互い違いであってもよい。さらに、図8の並列システム内の各シースフロー構造の1つもしくは複数の一次シースフローチャネルおよび/もしくは二次シースチャネルに対して単一の注入口を提供してもよく、または、前述したように、チャネルが注入口を共用してもよい。
【0043】
図8Bに示す態様において、一次シースフローチャネル12a〜12hは、その中で生成されるシースフローが再合流し単一のアウトレット812を通ってチップから流出するよう、二次集束領域の下流で収束してもよい。または、各一次シースフローチャネルは個別にチップから流出してもよい。
【0044】
本発明の実施例:
図8の並列化シースフロー構造800をマイクロ流体チップ上に形成し、シースフローの生成に用いた。800ミクロン間隔で8つの一次シースフローチャネルを形成し、関連する試料チャネル、二次シースフローチャネル、および他の構成要素もチップ上に並列に形成した。3M Corporationから入手可能な300LSE接着剤でチップを固定具に接着し、72時間硬化させた。Spherotechから入手した6ミクロンの黄色ビーズの10:1希釈液を試料として使用し、DakoCytomationシース緩衝液をシース流体として使用した。シース流体と試料の比は45:1であった。選択した一次シースフローチャネルを通過するビーズの数が1秒当たり約750個となるように流速を生成した。注入された試料を8つの試料チャネルに分け、各試料チャネル内の試料分画を、その試料チャネルに関連する一次シースフローチャネルを流れるDakoCytomationシース緩衝液中に注入した。シースフローは、まず、各一次シースフローチャネルの試料の周囲の一次集束領域で、チャネルの側面および下面から集束された。一次集束後、試料は二次集束領域へと流れ、そこで、二次シースチャネルからのシース流体が注入され、これにより試料が垂直方向に集束されて、各一次シースフローチャネル内で試料のコアが形成された。
【0045】
次に、得られたシースフローを、蛍光顕微鏡を用いて約8秒間観察した。その結果を図9A〜図10に示す。図9Aは図8のシステムの一次シースフローチャネル12のひとつの像であり、チャネル12の側壁111、112を示している。図9Bは、チャネル内の試料の二次集束後に蛍光顕微鏡を用いて撮影した、図9Aと同じ領域のチャネルの蛍光顕微鏡像である。側壁は、図9Bでははっきり視認できないが、図9Aの側壁111、112とほぼ同じ図中の位置にある。輝点は、200ミクロンのチャネル12のコア部10ミクロンにある試料の蛍光ビーズ160の濃度を示している。図10は、図9Bの像の軸-A-A-上のヒストグラムであり、シースフロー構造により生成されたきれいなコアフローを示している。ヒストグラム中のピークの大きさは、対応するチャネル内の各位置で観察された蛍光の量を反映している。これらの図が明確に示しているように、本発明の例示的態様のシースフロー構造800は、試料の周りに集束された流体力学的なシースフローを生成して、中央に位置する集束された試料160のコアをチャネル12内に形成する。
【0046】
図11は、図8の並列化シースフロー構造の8つすべての試料において得られた各シースフローのコアを比較したヒストグラムである。図が示しているように、各チャネルは、シース流体中で実質的に同様の試料の中心コアを生成する。コアは、各一次シースフローチャネル内の実質的に同じ位置に生成される。チャネルの側壁のおよその位置を参照番号111、112により示す。
【0047】
図12は、図8の試験システムの単一の8つの一次シースフローチャネルによるコアサイズの分布を示したものである。図が示しているように、前述のシースフロー生成法を用いて全チャネルで生成されたコアは、コア幅8.8 +/- 0.7ミクロンの範囲内に入る。
【0048】
本発明の例示的態様のシースフロー構造は、先行技術のシースフロー構造では見られない重大な利点を提供する。この例示的なシースフロー構造は、単一のシース流体注入口を用いて、三次元の流体力学的集束を提供する。この例示的なシースフロー構造は、製造しやすさのために設計されたコンパクトな構造を有し、作製に要する構造層は2つのみである。シースフローチャネルへの入口が必要であるのは構造の1つの側面のみであるため、流体の入力/出力構造を単純化することができる。さらに、隣接チャネル間の幾何学的な(リソグラフィックな)抵抗比によってコアフローの垂直位置を制御できる。この例示的なシースフロー構造に必要なアライメントは、隣接する層の構成要素が同じ中心線に沿うように保つことのみであるため、このシースフロー構造は、隣接する層間のアライメントに対する感受性が非常に低い、正確な結果をもたらす。したがって、試料の注入より下流の再入フローは対称的である。さらに、分岐する上部シースチャネル13a、13bの経路長が長いため、中心線のアライメントずれによる2つの分枝間の抵抗比(ひいては流速比)のずれは無視できるものとなる。
【0049】
以上、例示的態様に関連して本発明を説明した。本発明の範囲から逸脱することなく、前述の構成に特定の変更を行うことが可能であるため、前述の説明に含まれるまたは添付の図面に示されているすべての事項は、例示のためのものであり制限的なものではないものとして解釈されることが意図される。
【0050】
添付の特許請求の範囲は、本明細書に説明されている本発明の一般的および具体的なすべての特徴、ならびに、本発明の範囲のすべての言明であり言語の問題としてその間に入るといえるものを包含する、ということも理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の例示的態様に係るシースフロー構造を示す。
【図2】図2A〜図2Bは、本発明の例示的態様に係る多層シースフロー構造を示す。図2Cは、図2Aのシースフロー構造の中心線における断面図である。構造を通る、注入された粒子の経路を示している。
【図3】図2A〜図2Cの多層シースフロー構造を通る粒子の経路を示す。
【図4】図4Aは、図2A〜図2Cのシースフロー構造の作動中における、一次集束領域および二次集束領域内のフロープロフィールを示す。図4B〜図4Dは、図2A〜図2Cのシースフロー構造の作動中における、各ステージの一次シースフローチャネル内のフロープロフィールを示す詳細断面図である。
【図5】図5A〜図5Cは、試料が集束領域に直接注入される、本発明の別の態様に係る多層シースフロー構造を示す。
【図6】本発明の別の態様に係るシースフロー構造の斜視図である。
【図7】図7A〜図7Bは、本発明の別の態様に係る、シースフロー注入口の上流に設けられた試料注入口を含むシースフロー構造を示す。
【図8】図8A〜図8Bは、本発明の別の態様に係る、複数の並列チャネル内でシースフローを生成するための並列シースフローシステムを示す。
【図9】図9Aは、図8Aおよび図8Bの並列シースフローシステムの、二次集束領域より下流の一次シースフローチャネルの蛍光顕微鏡像である。図9Bは、試料を集束させた後の、図9Aの一次シースフローチャネル内の試料を撮影した蛍光顕微鏡像である。
【図10】図9Bの軸-A-A-で観察されたチャネル内の蛍光の測定値をグラフ化したヒストグラムである。
【図11】図8A〜図8Bのシステムにおける8つ全部の一次シースフローチャネルの蛍光測定値を重ね合わせたヒストグラムである。
【図12】図8A〜図8Bのシステムの一次シースフローチャネルで生成されたシースフローのコアサイズの分布を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、シース流体中に粒子を浮遊させるためのシースフロー構造:
該シース流体を運ぶための一次シースフローチャネル;
該一次シースフローチャネルを通って運ばれる該シース流体中に該粒子を注入するための試料注入口;
該粒子周囲の該シース流体を少なくとも第一の方向に集束させるための一次集束領域;および
該粒子周囲の該シース流体を、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に集束させるための、該一次集束領域より下流に設けられた二次集束領域。
【請求項2】
一次集束領域が、シース流体および粒子を、一次シースフローチャネルの第一の側壁、第二の側壁、および第三の側壁から離れるように集束させる、請求項1記載のシースフロー構造。
【請求項3】
二次集束領域が、シース流体および粒子を、一次シースフローチャネルの第四の側壁から離れるように集束させる、請求項2記載のシースフロー構造。
【請求項4】
第四の側面が一次シースフローチャネルの上壁である、請求項3記載のシースフロー構造。
【請求項5】
流体が中を流れる方向に沿って一次シースフローチャネルをテーパさせることによって一次集束領域が形成される、請求項1記載のシースフロー構造。
【請求項6】
二次集束領域がシース流体を一次シースフローチャネルに注入し、これにより粒子周囲のシース流体を集束させる、請求項1記載のシースフロー構造。
【請求項7】
二次集束領域が、二次シース流体を運ぶための第一の二次シースチャネルを含む、請求項6記載のシースフロー構造。
【請求項8】
二次集束領域が、二次シース流体を運ぶための第二の二次シースチャネルをさらに含み、第一の二次シースチャネルが一次シースフローチャネルの第一の側面に設けられ、且つ、該第二の二次シースチャネルが該一次シースフローチャネルの第二の側面に設けられる、請求項7記載のシースフロー構造。
【請求項9】
第一の二次シースチャネルが、一次シースフローチャネル内のシース流体の一部を該第一の二次シースチャネルに分流させるための、該一次シースフローチャネルと交差する注入口を有する、請求項7記載のシースフロー構造。
【請求項10】
第一の二次シースチャネルが、一次シースフローチャネルとは別の注入口を有する、請求項7記載のシースフロー構造。
【請求項11】
一次シースフローチャネルが一次集束領域の上流で第一のサブチャネルと第二のサブチャネルとに分かれる、請求項1記載のシースフロー構造。
【請求項12】
一次集束領域に注入された粒子をシース流体で囲むため、第一のサブチャネルおよび第二のサブチャネルが該一次集束領域で収束する、請求項11記載のシースフロー構造。
【請求項13】
一次シースフローチャネルがマイクロチャネルである、請求項1記載のシースフロー構造。
【請求項14】
シースフロー構造がマイクロ流体装置である、請求項1記載のシースフロー構造。
【請求項15】
以下を含む、シース流体中に粒子を浮遊させるためのシースフロー構造:
該シース流体を運ぶための一次シースフローチャネルを含む第一の基質層;
該第一の基質層に積層された第二の基質層であって、該一次シースフローチャネルに該シース流体を導入するための第一のシース注入口、および、一次集束領域内の該一次シースフローチャネルに該粒子を提供して、少なくとも1つの側面が該シース流体で囲まれた該粒子を含むシースフローを形成するための、該第一のシース注入口より下流の試料注入口を含む、第二の基質層;ならびに
該第一の基質層および該第二の基質層のうちひとつに形成された、該一次シースフローチャネルと連絡する第一の二次シースチャネルであって、該シース流体の一部を該一次シースフローチャネルから分流する第一の二次シースチャネル。
【請求項16】
第一の二次シースチャネルが、第一のシース注入口と試料注入口との間の領域で一次シースフローチャネルと交差する、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項17】
第一の二次シースチャネルが、シース流体の分流された一部を一次集束領域より下流の二次集束領域に提供し、該シース流体の該分流された一部が一次シースフローチャネルに再入してシースフロー中の粒子を集束させる、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項18】
第一の二次シースチャネルが第二の基質層に形成される、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項19】
一次シースフローチャネルからシース流体の別の一部を分流させるための第二の二次シースチャネルをさらに含み、第一の二次シースチャネルが該一次シースフローチャネルの第一の側面に提供され、且つ、該第二の二次シースチャネルが該一次シースフローチャネルの第二の側面に提供される、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項20】
粒子周囲のシースフローを集束させるための二次集束領域をさらに含む、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項21】
流体が中を流れる方向に沿って一次シースフローチャネルをテーパさせることによって一次集束領域が形成される、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項22】
試料注入口が、一次シースフローチャネルの比較的幅の広い部分と交差する、請求項21記載のシースフロー構造。
【請求項23】
一次シースフローチャネルが一次集束領域の上流で第一のサブチャネルと第二のサブチャネルとに分かれる、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項24】
一次集束領域に注入された粒子をシース流体で囲むため、第一のサブチャネルおよび第二のサブチャネルが該一次集束領域で収束する、請求項21記載のシースフロー構造。
【請求項25】
一次シースフローチャネルがマイクロチャネルである、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項26】
シースフロー構造がマイクロ流体装置である、請求項15記載のシースフロー構造。
【請求項27】
以下を含む、シースフロー装置のチャネル内のシース流体中に浮遊する粒子を集束させるための集束領域:
該シース流体中に浮遊する該粒子を運ぶための一次フローチャネル;および
該粒子の上方から該一次フローチャネルに該シース流体を注入して、該一次フローチャネルの上壁から離れるように該粒子を集束させるための、該一次フローチャネルと交差する第一の二次フローチャネル。
【請求項28】
以下をさらに含む、請求項27記載の集束領域:
シース流体を注入して一次フローチャネル内の粒子を集束させるための、第一の二次フローチャネルと反対側で該一次フローチャネルと交差する第二の二次フローチャネル。
【請求項29】
一次フローチャネル内のシース流体に試料を注入して、該シース流体の一部を第一の二次フローチャネルに分流させるため、該第一の二次フローチャネルが試料注入口より上流の領域で該一次フローチャネルと交差する、請求項27記載の集束領域。
【請求項30】
一次フローチャネルがマイクロチャネルである、請求項27記載のシースフロー構造。
【請求項31】
粒子の少なくとも2つの側面をシース流体で囲む方法であって、以下の段階を含む方法:
該シース流体を一次シースフローチャネルに注入する段階;
該シース流体の一部を、分岐するシースチャネルに分流させる段階;
該粒子を該一次シースフローチャネルに注入し、これにより該シース流体中に該粒子を浮遊させてシースフローを形成する段階;および
該シース流体の該分流された一部を該シースフローに注入して該シース流体中の該粒子を集束させる段階。
【請求項32】
粒子の少なくとも2つの側面をシース流体で囲む方法であって、以下の段階を含む方法:
一次シースフローチャネルを通して該シース流体を運ぶ段階;
該一次シースフローチャネルを通して運ばれた該シース流体に該粒子を注入する段階;
該粒子周囲の該シース流体を少なくとも第一の方向に集束させる段階;および
該粒子周囲の該シース流体を、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に集束させる段階。
【請求項33】
以下を含むシースフローシステム:
基質上で並列に作動する複数のシースフロー構造であって、各々が以下を含むシースフロー構造:
シース流体を運ぶための一次シースフローチャネル;
該一次シースフローチャネルを通して運ばれた該シース流体に該粒子を注入するための試料チャネル;
該粒子周囲の該シース流体を少なくとも第一の方向に集束させるための一次集束領域;および
該粒子周囲の該シース流体を、該第一の方向と異なる少なくとも第二の方向に集束させるための、該一次集束領域より下流に設けられた二次集束領域。
【請求項34】
複数のシースフロー構造の各試料チャネルに少なくとも1つの粒子を提供するための試料注入口をさらに含む、請求項1記載のシースフローシステム。
【請求項35】
システムの各一次シースフローチャネルにシース流体を提供するため複数の分枝へと分岐するシース注入口をさらに含む、請求項33記載のシースフローシステム。
【請求項36】
少なくとも1つの一次シース流体チャネルにシース流体を提供するための少なくとも1つのシース流体注入口をさらに含み、且つ、試料注入口が該シース流体注入口の上流に設けられる、請求項34記載のシースフローシステム。
【請求項37】
各シースフロー構造が、一次シースフローチャネルにシース流体を提供するためのシース注入口をさらに含む、請求項33記載のシースフローシステム。
【請求項38】
2つのマイクロ流体チップを一緒に積層することによって形成される、請求項33記載のシースフローシステム。
【請求項39】
少なくとも1つの一次シースフローチャネルが第一のサブチャネルおよび第二のサブチャネルを含む、請求項33記載のシースフローシステム。
【請求項40】
一次集束領域内に注入された粒子をシース流体中に浮遊させるため、第一のサブチャネルおよび第二のサブチャネルが一次集束領域で収束する、請求項39記載のシースフローシステム。
【請求項41】
各二次集束領域が二次シース流体を一次シースフローチャネルに注入して粒子を集束させる、請求項33記載のシースフローシステム。
【請求項42】
関連する一次シースフローチャネル内のシース流体の一部を、二次集束領域で該一次シースフローチャネルと交差する二次シースチャネルに分流させることによって、二次シース流体が提供される、請求項41記載のシースフローシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−514522(P2007−514522A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538448(P2006−538448)
【出願日】平成16年11月1日(2004.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/036548
【国際公開番号】WO2005/042137
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(501063508)サイトノーム インコーポレーテッド (5)
【Fターム(参考)】