流体加熱装置
【課題】流体加熱装置の最適設計をすることができ、これにより高効率化、サイズダウン、コストダウンを図る。
【解決手段】燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置と、この燃焼装置からの熱エネルギーで流体を加熱する流体加熱装置において、燃焼装置によって燃料が燃焼する空間である燃焼室と、この燃焼室の下流に近接して設けられた加熱器とを含み、この加熱器が間隙を保ってプレートを積層したプレート部からなり、このプレートの間隙を燃焼後の熱エネルギーを有する流体と被加熱流体が交互に流れ、被加熱流体が加熱されるように構成した流体加熱装置であって、熱エネルギーは加熱器１のプレート部に下部から入って上方に流れ、被加熱流体はプレート部に下部及び横部のいずれかから入って上方に流れるようになっており、燃焼装置で燃料が水平方向に燃焼して、燃焼火炎は水平に流れた後、上方に屈曲してプレート部を上方に向かって流れる。
【解決手段】燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置と、この燃焼装置からの熱エネルギーで流体を加熱する流体加熱装置において、燃焼装置によって燃料が燃焼する空間である燃焼室と、この燃焼室の下流に近接して設けられた加熱器とを含み、この加熱器が間隙を保ってプレートを積層したプレート部からなり、このプレートの間隙を燃焼後の熱エネルギーを有する流体と被加熱流体が交互に流れ、被加熱流体が加熱されるように構成した流体加熱装置であって、熱エネルギーは加熱器１のプレート部に下部から入って上方に流れ、被加熱流体はプレート部に下部及び横部のいずれかから入って上方に流れるようになっており、燃焼装置で燃料が水平方向に燃焼して、燃焼火炎は水平に流れた後、上方に屈曲してプレート部を上方に向かって流れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、燃料を燃焼させて燃焼ガスにより液体等の流体を加熱する装置、詳しくは燃焼室（燃焼スペース）と加熱器を備え、プレートを積層して熱エネルギーを有する流体と被加熱流体とを交互に流すようにした部位を一部又は全部の加熱部に適用した装置、詳しくは燃焼火炎を水平に流した後、上方に屈曲させて流し、被加熱流体も上方に流すようにしたＬ字配置の流体加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、燃料の燃焼部に収熱部と呼ばれる円管や異形管などの伝熱管群を配置し、その後流に熱回収部の伝熱管群を配置した構成が知られている。
伝熱管群を用いる場合、形状の制約、及び管ピッチが溶接しろの制約を受けるなど、最適設計ができないという欠点があった。また製作の複雑なことによるコストアップ、最適形状が得られないことによるサイズアップの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特許第２９４８１８０号公報
【特許文献２】特開２００４−３２４９１１号公報
【特許文献３】特開２００１−１５３３０２号公報
【特許文献４】特開２００３−１８５２９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
解決しようとする問題点は、流体加熱装置を設計するに際し、形状が嵩張ってコンパクトな最適形状に設計できない点である。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、流体加熱装置の最適設計を行うために、燃焼室での燃焼による熱エネルギーで流体を加熱する加熱器を、間隔を保ってプレートを積層したプレート部（プレート積層体）とし、燃焼火炎を水平に流した後、上方に屈曲させて流し、被加熱流体も上方に流すようにすることを最も主要な特徴としている。
【０００６】
本発明の流体加熱装置は、燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置と、この燃焼装置からの熱エネルギーで流体を加熱する加熱器からなる流体加熱装置において、この流体加熱装置は燃焼装置によって燃料が燃焼する空間である燃焼室と、この燃焼室の下流に近接して設けられた加熱器とを含み、この加熱器が間隙を保ってプレートを積層したプレート部からなり、これらのプレートの間隙を燃焼後の熱エネルギーを有する流体と被加熱流体が交互に流れ、被加熱流体が加熱されるように加熱部と被加熱部とを構成した流体加熱装置であって、熱エネルギーは前記加熱器のプレート部に下部から入って上方に流れ、被加熱流体はプレート部に下部及び横部のいずれかから入って上方に流れるようになっており、燃焼装置で燃料が水平方向に燃焼して、燃焼火炎は水平に流れた後、上方に屈曲してプレート部を上方に向かって流れるようにしたことを特徴としている。
【０００７】
この装置において、プレート間の間隙が加熱部と被加熱部で異なるように構成することがある。この場合、各加熱部におけるプレート間の間隙が燃焼ガス流速及び燃焼ガス圧力損失の少なくともいずれかを均一に近づけるように決められていることが望ましい。また、加熱部のプレート間の間隙が被加熱部のプレート間の間隙より大きくなっているように構成する。
【０００８】
これらの装置において、プレート部が熱エネルギーの流れに沿って複数のプレート群に分かれているように構成することがある。この場合、複数のプレート群において、それぞれのプレート群の積層が下流になるほど密になっているように構成することが望ましい。
【０００９】
また、加熱部のプレート間の間隙が下流方向に行くにつれて狭まり、被加熱部が下流方向に行くにつれて広くなっているように構成する場合がある。燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置として、多孔プレートを用いた面燃焼バーナや、耐熱金属繊維を用いた面燃焼バーナ等が用いられる。
【００１０】
また、本発明の装置は、熱エネルギーで流体を加熱する加熱器と、この加熱器の下側部の燃焼室を囲んで外箱が設置され、この加熱器及び燃焼室と外箱の間に被加熱流体が充墳されているとともに、被加熱流体のプレートの間隙が外箱と連通しており、燃焼火炎後に置かれるプレート部の外側に被加熱流体が流れるように構成される。
【００１１】
この装置において、被加熱流体は流体加熱装置の外部より、外箱の上部及び下部のいずれかに設けられた被加熱流体供給管を経て流入し、プレート部の下部に流入して、外箱の上部より流出するようにした構成とすることが望ましい。
【００１２】
また、これらの装置において、燃焼火炎後に置かれるプレート部の被加熱部の上部の側方に、被加熱部に連通する気液分離器を備えた気液分離室が設けられ、この気液分離室の上部及び上側部のいずれかに蒸気出口が設けられて、被加熱流体は加熱され沸騰して蒸気を発生し、蒸気と液は燃焼火炎後に置かれるプレート部より気液分離室に流入し、気液分離器で蒸気が液流体と分離されて蒸気が外部へ流出し、液は気液分離室の下部より流出するようにした構成とする場合がある。
【００１３】
また、この装置において、気液分離室の下部の内側及び外側のいずれかに、液流体出口を備えた液溜りを設け、この液溜りに液面検知器を設けて液面検知部を構成し、被加熱流体供給管の液流体入口に流量制御弁を設け、この弁と前記液面検知器とを接続して、被加熱部の下部の内側及び外側のいずれかに流出する流体の液面を検知し、この液面が一定になるように被加熱部に流入する流体流量を調節するようにした構成とすることがある。
【００１４】
これらの装置において、被加熱流体が吸収液であり、流体加熱装置が吸収式冷凍機の再生器であるように構成する場合がある。
【発明の効果】
【００１５】
本発明の流体加熱装置は、従来の水管部をプレート式にすることにより、自由に燃焼ガス流路を設定でき、かつ、プレート部をセットするだけであるので、構造が簡単になり、製作容易でコストダウンを図ることができる。また、最適設計することができ、これにより、無駄なスペースがなくサイズダウンを図ることができるという利点がある。
また、燃焼ガスの流速又は圧力損失を均一に近づけるように構成する場合は、効率の良い熱交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】図１は本発明の流体加熱装置の要部を示す斜視説明図である。
【図２】図２は図１におけるプレート部まわりの一例を示す説明図である。
【図３】図３は加熱部と被加熱部の一例を示す説明図である。
【図４】図４は加熱部と被加熱部の他の例を示す説明図である。
【図５】図５は燃焼火炎後に置かれるプレート部を分割した一例を示す説明図である。
【図６】図６は加熱部と被加熱部のさらに他の例を示す説明図である。
【図７】図７は燃焼装置の一例を示す説明図である。
【図８】図８は本発明の流体加熱装置の一例を示す説明図である。
【図９】図９は図８に示す流体加熱装置の断面説明図である。
【図１０】図１０は本発明の流体加熱装置の他の例を示す説明図である。
【図１１】図１１は図１０に示す流体加熱装置の断面説明図である。
【図１２】図１２は本発明の流体加熱装置の他の例を示す断面説明図である。
【図１３】図１３は本発明の流体加熱装置のさらに他の例を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
流体加熱装置をコンパクトかつ安価に設計するという目的を、流体を加熱する加熱器の一部又は全部をプレート積層体とすることにより実現した。
【実施例】
【００１８】
以下、本発明の実施例について図１〜図１３に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施できるものである。
図１は、本発明の流体加熱装置の要部を示している。１は加熱器で、加熱部２と被加熱部３とからなっている。この加熱器１の下側部（上流）に隣接して燃焼装置（図示せず）が配置された燃焼室（図示せず）が形成されている。
【００１９】
加熱器１は、間隔を保ってプレート４を積層したプレート部からなり、これらのプレート４の間隙を熱エネルギーを有するガス体等の流体と、被加熱流体が交互に流れて、被加熱流体が加熱されるように構成されている。図１は、燃焼装置（図示せず）において燃料が水平方向に燃焼し、発生した燃焼ガスが加熱器１のプレート部の下部に入って上方に流れ、被加熱流体が下方から入って上方へ流れるように構成されている。すなわち、燃焼ガスの流れと被加熱流体の流れが、プレート部では平行になっている。
【００２０】
図２に示すように、加熱器１は、燃焼火炎５の側方上部に配置され、燃焼火炎５は水平に流れた後、上方に屈曲してプレート部を上方に向かって流れる。一方、被加熱流体はプレート部の下部から入って上方に流れるように構成されている。
【００２１】
図３は、プレート４の間隙が加熱部２と被加熱部３とで異なるようにした場合、例えば加熱部２の間隙を被加熱部３の間隙より広くした場合を示している。
また、図４に示すように、加熱部のプレート間隙は、燃焼ガス流速又は燃焼ガス圧力損失がほぼ均一になるように決定されるように設計することが望ましい。
【００２２】
図５は、燃焼火炎後に置かれるプレート部が、熱エネルギー（燃焼ガス）の流れに沿って複数のプレート群、例えば３つのプレート群１０、１１、１２に分割されて配置された場合を示している。この場合、それぞれのプレート群１０、１１、１２のプレートの積層が、下流に（上方に）行くほど密になるように構成することが好ましい。
【００２３】
図６は、加熱部２のプレート間の間隙が、下流方向に行くにつれて狭くなり、被加熱部３のプレート間の間隙が下流方向に行くにつれて広くなるように構成した場合を示している。
【００２４】
燃料を燃焼させて熱エネルギー（燃焼ガス）を発生させる燃焼装置としては、図７に示すような、多孔プレート１３を用いた面燃焼バーナ１４や、耐熱金属繊維を用いた面燃焼バーナ（図示せず）等が用いられる。
【００２５】
図８及び図９は、加熱器を外箱及び燃焼室（燃焼スペース）で囲む場合を示している。すなわち、熱エネルギーで流体を加熱する加熱器１と、この加熱器の下側部の燃焼室１９を囲んで外箱１５が設置され、この加熱器１及び燃焼室１９と外箱１５の間に被加熱流体が充墳されているとともに、被加熱流体のプレートの間隙が外箱と連通しており、燃焼火炎後に置かれる加熱器１のプレート部の外側に被加熱流体が流れるように構成されている。
【００２６】
この場合、図１０及び図１１に示すように、被加熱流体は流体加熱装置の外部より、外箱１５の上部及び下部のいずれかに設けられた被加熱流体供給管１６、１７を経て流入し、加熱器１のプレート部の下部に流入して、外箱１５の上部より流出するように構成することが好ましい。
【００２７】
図１２は、気液分離室を備えた加熱器の一例を示している。すなわち、燃焼火炎後に置かれる加熱器１のプレート部の被加熱部の上部の側方に、被加熱部に連通する気液分離器２０を備えた気液分離室２１が設けられ、この気液分離室２１の上部及び上側部のいずれかに蒸気出口２２が設けられて、被加熱流体は加熱され沸騰して蒸気を発生し、蒸気と液は燃焼火炎後に置かれる加熱器１のプレート部より気液分離室２１に流入し、気液分離器２０で蒸気が液流体と分離されて蒸気が外部へ流出し、液は気液分離室２１の下部より流出するように構成されている。
【００２８】
さらに、図１３に示すように、気液分離室２１の下部の内側及び外側のいずれかに、液流体出口２３を備えた液溜り２４を設け、この液溜り２４に液面検知器２５を設けて液面検知部２６を構成し、被加熱流体供給管１７の液流体入口２７に流量制御弁２８を設け、この弁２８と前記液面検知器２５とを接続して、被加熱部の下部の内側及び外側のいずれかに流出する流体の液面を検知し、この液面が一定になるように被加熱部に流入する流体流量を調節するように構成することがある。２９は制御器である。
【００２９】
上記の構成において、被加熱流体が吸収式冷凍機（冷温水機を含む）の吸収液であり、流体加熱装置が吸収式冷凍機（冷温水機を含む）の再生器であるように構成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【００３０】
加熱流体として、燃料をバーナで燃焼させた燃焼ガスを用い、被加熱流体として吸収液を用いることにより、吸収式冷凍機又は吸収式冷温水機（単に吸収式冷凍機と記している場合もある）の再生器として用いることができる。
【符号の説明】
【００３１】
１ 加熱器
２ 加熱部
３ 被加熱部
４ プレート
５ 燃焼火炎
１０、１１、１２ プレート群
１３ 多孔プレート
１４ 面燃焼バーナ
１５ 外箱
１６、１７ 被加熱流体供給管
１９ 燃焼室（燃焼スペース）
２０ 気液分離器
２１ 気液分離室
２２ 蒸気出口
２３ 液流体出口
２４ 液溜り
２５ 液面検知器
２６ 液面検知部
２７ 液流体入口
２８ 液流体入口の流量制御弁
２９ 制御器
【技術分野】
【０００１】
本発明は、燃料を燃焼させて燃焼ガスにより液体等の流体を加熱する装置、詳しくは燃焼室（燃焼スペース）と加熱器を備え、プレートを積層して熱エネルギーを有する流体と被加熱流体とを交互に流すようにした部位を一部又は全部の加熱部に適用した装置、詳しくは燃焼火炎を水平に流した後、上方に屈曲させて流し、被加熱流体も上方に流すようにしたＬ字配置の流体加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、燃料の燃焼部に収熱部と呼ばれる円管や異形管などの伝熱管群を配置し、その後流に熱回収部の伝熱管群を配置した構成が知られている。
伝熱管群を用いる場合、形状の制約、及び管ピッチが溶接しろの制約を受けるなど、最適設計ができないという欠点があった。また製作の複雑なことによるコストアップ、最適形状が得られないことによるサイズアップの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特許第２９４８１８０号公報
【特許文献２】特開２００４−３２４９１１号公報
【特許文献３】特開２００１−１５３３０２号公報
【特許文献４】特開２００３−１８５２９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
解決しようとする問題点は、流体加熱装置を設計するに際し、形状が嵩張ってコンパクトな最適形状に設計できない点である。
【課題を解決するための手段】
【０００５】
本発明は、流体加熱装置の最適設計を行うために、燃焼室での燃焼による熱エネルギーで流体を加熱する加熱器を、間隔を保ってプレートを積層したプレート部（プレート積層体）とし、燃焼火炎を水平に流した後、上方に屈曲させて流し、被加熱流体も上方に流すようにすることを最も主要な特徴としている。
【０００６】
本発明の流体加熱装置は、燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置と、この燃焼装置からの熱エネルギーで流体を加熱する加熱器からなる流体加熱装置において、この流体加熱装置は燃焼装置によって燃料が燃焼する空間である燃焼室と、この燃焼室の下流に近接して設けられた加熱器とを含み、この加熱器が間隙を保ってプレートを積層したプレート部からなり、これらのプレートの間隙を燃焼後の熱エネルギーを有する流体と被加熱流体が交互に流れ、被加熱流体が加熱されるように加熱部と被加熱部とを構成した流体加熱装置であって、熱エネルギーは前記加熱器のプレート部に下部から入って上方に流れ、被加熱流体はプレート部に下部及び横部のいずれかから入って上方に流れるようになっており、燃焼装置で燃料が水平方向に燃焼して、燃焼火炎は水平に流れた後、上方に屈曲してプレート部を上方に向かって流れるようにしたことを特徴としている。
【０００７】
この装置において、プレート間の間隙が加熱部と被加熱部で異なるように構成することがある。この場合、各加熱部におけるプレート間の間隙が燃焼ガス流速及び燃焼ガス圧力損失の少なくともいずれかを均一に近づけるように決められていることが望ましい。また、加熱部のプレート間の間隙が被加熱部のプレート間の間隙より大きくなっているように構成する。
【０００８】
これらの装置において、プレート部が熱エネルギーの流れに沿って複数のプレート群に分かれているように構成することがある。この場合、複数のプレート群において、それぞれのプレート群の積層が下流になるほど密になっているように構成することが望ましい。
【０００９】
また、加熱部のプレート間の間隙が下流方向に行くにつれて狭まり、被加熱部が下流方向に行くにつれて広くなっているように構成する場合がある。燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置として、多孔プレートを用いた面燃焼バーナや、耐熱金属繊維を用いた面燃焼バーナ等が用いられる。
【００１０】
また、本発明の装置は、熱エネルギーで流体を加熱する加熱器と、この加熱器の下側部の燃焼室を囲んで外箱が設置され、この加熱器及び燃焼室と外箱の間に被加熱流体が充墳されているとともに、被加熱流体のプレートの間隙が外箱と連通しており、燃焼火炎後に置かれるプレート部の外側に被加熱流体が流れるように構成される。
【００１１】
この装置において、被加熱流体は流体加熱装置の外部より、外箱の上部及び下部のいずれかに設けられた被加熱流体供給管を経て流入し、プレート部の下部に流入して、外箱の上部より流出するようにした構成とすることが望ましい。
【００１２】
また、これらの装置において、燃焼火炎後に置かれるプレート部の被加熱部の上部の側方に、被加熱部に連通する気液分離器を備えた気液分離室が設けられ、この気液分離室の上部及び上側部のいずれかに蒸気出口が設けられて、被加熱流体は加熱され沸騰して蒸気を発生し、蒸気と液は燃焼火炎後に置かれるプレート部より気液分離室に流入し、気液分離器で蒸気が液流体と分離されて蒸気が外部へ流出し、液は気液分離室の下部より流出するようにした構成とする場合がある。
【００１３】
また、この装置において、気液分離室の下部の内側及び外側のいずれかに、液流体出口を備えた液溜りを設け、この液溜りに液面検知器を設けて液面検知部を構成し、被加熱流体供給管の液流体入口に流量制御弁を設け、この弁と前記液面検知器とを接続して、被加熱部の下部の内側及び外側のいずれかに流出する流体の液面を検知し、この液面が一定になるように被加熱部に流入する流体流量を調節するようにした構成とすることがある。
【００１４】
これらの装置において、被加熱流体が吸収液であり、流体加熱装置が吸収式冷凍機の再生器であるように構成する場合がある。
【発明の効果】
【００１５】
本発明の流体加熱装置は、従来の水管部をプレート式にすることにより、自由に燃焼ガス流路を設定でき、かつ、プレート部をセットするだけであるので、構造が簡単になり、製作容易でコストダウンを図ることができる。また、最適設計することができ、これにより、無駄なスペースがなくサイズダウンを図ることができるという利点がある。
また、燃焼ガスの流速又は圧力損失を均一に近づけるように構成する場合は、効率の良い熱交換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】図１は本発明の流体加熱装置の要部を示す斜視説明図である。
【図２】図２は図１におけるプレート部まわりの一例を示す説明図である。
【図３】図３は加熱部と被加熱部の一例を示す説明図である。
【図４】図４は加熱部と被加熱部の他の例を示す説明図である。
【図５】図５は燃焼火炎後に置かれるプレート部を分割した一例を示す説明図である。
【図６】図６は加熱部と被加熱部のさらに他の例を示す説明図である。
【図７】図７は燃焼装置の一例を示す説明図である。
【図８】図８は本発明の流体加熱装置の一例を示す説明図である。
【図９】図９は図８に示す流体加熱装置の断面説明図である。
【図１０】図１０は本発明の流体加熱装置の他の例を示す説明図である。
【図１１】図１１は図１０に示す流体加熱装置の断面説明図である。
【図１２】図１２は本発明の流体加熱装置の他の例を示す断面説明図である。
【図１３】図１３は本発明の流体加熱装置のさらに他の例を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
流体加熱装置をコンパクトかつ安価に設計するという目的を、流体を加熱する加熱器の一部又は全部をプレート積層体とすることにより実現した。
【実施例】
【００１８】
以下、本発明の実施例について図１〜図１３に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施できるものである。
図１は、本発明の流体加熱装置の要部を示している。１は加熱器で、加熱部２と被加熱部３とからなっている。この加熱器１の下側部（上流）に隣接して燃焼装置（図示せず）が配置された燃焼室（図示せず）が形成されている。
【００１９】
加熱器１は、間隔を保ってプレート４を積層したプレート部からなり、これらのプレート４の間隙を熱エネルギーを有するガス体等の流体と、被加熱流体が交互に流れて、被加熱流体が加熱されるように構成されている。図１は、燃焼装置（図示せず）において燃料が水平方向に燃焼し、発生した燃焼ガスが加熱器１のプレート部の下部に入って上方に流れ、被加熱流体が下方から入って上方へ流れるように構成されている。すなわち、燃焼ガスの流れと被加熱流体の流れが、プレート部では平行になっている。
【００２０】
図２に示すように、加熱器１は、燃焼火炎５の側方上部に配置され、燃焼火炎５は水平に流れた後、上方に屈曲してプレート部を上方に向かって流れる。一方、被加熱流体はプレート部の下部から入って上方に流れるように構成されている。
【００２１】
図３は、プレート４の間隙が加熱部２と被加熱部３とで異なるようにした場合、例えば加熱部２の間隙を被加熱部３の間隙より広くした場合を示している。
また、図４に示すように、加熱部のプレート間隙は、燃焼ガス流速又は燃焼ガス圧力損失がほぼ均一になるように決定されるように設計することが望ましい。
【００２２】
図５は、燃焼火炎後に置かれるプレート部が、熱エネルギー（燃焼ガス）の流れに沿って複数のプレート群、例えば３つのプレート群１０、１１、１２に分割されて配置された場合を示している。この場合、それぞれのプレート群１０、１１、１２のプレートの積層が、下流に（上方に）行くほど密になるように構成することが好ましい。
【００２３】
図６は、加熱部２のプレート間の間隙が、下流方向に行くにつれて狭くなり、被加熱部３のプレート間の間隙が下流方向に行くにつれて広くなるように構成した場合を示している。
【００２４】
燃料を燃焼させて熱エネルギー（燃焼ガス）を発生させる燃焼装置としては、図７に示すような、多孔プレート１３を用いた面燃焼バーナ１４や、耐熱金属繊維を用いた面燃焼バーナ（図示せず）等が用いられる。
【００２５】
図８及び図９は、加熱器を外箱及び燃焼室（燃焼スペース）で囲む場合を示している。すなわち、熱エネルギーで流体を加熱する加熱器１と、この加熱器の下側部の燃焼室１９を囲んで外箱１５が設置され、この加熱器１及び燃焼室１９と外箱１５の間に被加熱流体が充墳されているとともに、被加熱流体のプレートの間隙が外箱と連通しており、燃焼火炎後に置かれる加熱器１のプレート部の外側に被加熱流体が流れるように構成されている。
【００２６】
この場合、図１０及び図１１に示すように、被加熱流体は流体加熱装置の外部より、外箱１５の上部及び下部のいずれかに設けられた被加熱流体供給管１６、１７を経て流入し、加熱器１のプレート部の下部に流入して、外箱１５の上部より流出するように構成することが好ましい。
【００２７】
図１２は、気液分離室を備えた加熱器の一例を示している。すなわち、燃焼火炎後に置かれる加熱器１のプレート部の被加熱部の上部の側方に、被加熱部に連通する気液分離器２０を備えた気液分離室２１が設けられ、この気液分離室２１の上部及び上側部のいずれかに蒸気出口２２が設けられて、被加熱流体は加熱され沸騰して蒸気を発生し、蒸気と液は燃焼火炎後に置かれる加熱器１のプレート部より気液分離室２１に流入し、気液分離器２０で蒸気が液流体と分離されて蒸気が外部へ流出し、液は気液分離室２１の下部より流出するように構成されている。
【００２８】
さらに、図１３に示すように、気液分離室２１の下部の内側及び外側のいずれかに、液流体出口２３を備えた液溜り２４を設け、この液溜り２４に液面検知器２５を設けて液面検知部２６を構成し、被加熱流体供給管１７の液流体入口２７に流量制御弁２８を設け、この弁２８と前記液面検知器２５とを接続して、被加熱部の下部の内側及び外側のいずれかに流出する流体の液面を検知し、この液面が一定になるように被加熱部に流入する流体流量を調節するように構成することがある。２９は制御器である。
【００２９】
上記の構成において、被加熱流体が吸収式冷凍機（冷温水機を含む）の吸収液であり、流体加熱装置が吸収式冷凍機（冷温水機を含む）の再生器であるように構成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【００３０】
加熱流体として、燃料をバーナで燃焼させた燃焼ガスを用い、被加熱流体として吸収液を用いることにより、吸収式冷凍機又は吸収式冷温水機（単に吸収式冷凍機と記している場合もある）の再生器として用いることができる。
【符号の説明】
【００３１】
１ 加熱器
２ 加熱部
３ 被加熱部
４ プレート
５ 燃焼火炎
１０、１１、１２ プレート群
１３ 多孔プレート
１４ 面燃焼バーナ
１５ 外箱
１６、１７ 被加熱流体供給管
１９ 燃焼室（燃焼スペース）
２０ 気液分離器
２１ 気液分離室
２２ 蒸気出口
２３ 液流体出口
２４ 液溜り
２５ 液面検知器
２６ 液面検知部
２７ 液流体入口
２８ 液流体入口の流量制御弁
２９ 制御器
【特許請求の範囲】
【請求項１】
燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置と、この燃焼装置からの熱エネルギーで流体を加熱する加熱器からなる流体加熱装置において、この流体加熱装置は燃焼装置によって燃料が燃焼する空間である燃焼室と、この燃焼室の下流に近接して設けられた加熱器とを含み、この加熱器が間隙を保ってプレートを積層したプレート部からなり、これらのプレートの間隙を燃焼後の熱エネルギーを有する流体と被加熱流体が交互に流れ、被加熱流体が加熱されるように加熱部と被加熱部とを構成した流体加熱装置であって、熱エネルギーは前記加熱器のプレート部に下部から入って上方に流れ、被加熱流体はプレート部に下部及び横部のいずれかから入って上方に流れるようになっており、燃焼装置で燃料が水平方向に燃焼して、燃焼火炎は水平に流れた後、上方に屈曲してプレート部を上方に向かって流れるようにしたことを特徴とする流体加熱装置。
【請求項２】
プレート間の間隙が加熱部と被加熱部で異なるようにした請求項１記載の流体加熱装置。
【請求項３】
各加熱部におけるプレート間の間隙が燃焼ガス流速及び燃焼ガス圧力損失の少なくともいずれかを均一に近づけるように決められている請求項２記載の流体加熱装置。
【請求項４】
加熱部のプレート間の間隙が被加熱部のプレート間の間隙より大きくなっている請求項２又は３記載の流体加熱装置。
【請求項５】
プレート部が熱エネルギーの流れに沿って複数のプレート群に分かれている請求項１〜４のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項６】
複数のプレート群において、それぞれのプレート群の積層が下流になるほど密になっている請求項５記載の流体加熱装置。
【請求項７】
加熱部のプレート間の間隙が下流方向に行くにつれて狭まり、被加熱部が下流方向に行くにつれて広くなっている請求項１記載の流体加熱装置。
【請求項８】
燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置が、多孔プレートを用いた面燃焼バーナである請求項１〜７のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項９】
燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置が、耐熱金属繊維を用いた面燃焼バーナである請求項１〜７のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項１０】
熱エネルギーで流体を加熱する加熱器と、この加熱器の下側部の燃焼室を囲んで外箱が設置され、この加熱器及び燃焼室と外箱の間に被加熱流体が充墳されているとともに、被加熱流体のプレートの間隙が外箱と連通しており、燃焼火炎後に置かれるプレート部の外側に被加熱流体が流れるようにした請求項１〜９のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項１１】
被加熱流体は流体加熱装置の外部より、外箱の上部及び下部のいずれかに設けられた被加熱流体供給管を経て流入し、プレート部の下部に流入して、外箱の上部より流出するようにした請求項１０記載の流体加熱装置。
【請求項１２】
燃焼火炎後に置かれるプレート部の被加熱部の上部の側方に、被加熱部に連通する気液分離器を備えた気液分離室が設けられ、この気液分離室の上部及び上側部のいずれかに蒸気出口が設けられて、被加熱流体は加熱され沸騰して蒸気を発生し、蒸気と液は燃焼火炎後に置かれるプレート部より気液分離室に流入し、気液分離器で蒸気が液流体と分離されて蒸気が外部へ流出し、液は気液分離室の下部より流出するようにした請求項１０又は１１記載の流体加熱装置。
【請求項１３】
気液分離室の下部の内側及び外側のいずれかに、液流体出口を備えた液溜りを設け、この液溜りに液面検知器を設けて液面検知部を構成し、被加熱流体供給管の液流体入口に流量制御弁を設け、この弁と前記液面検知器とを接続して、被加熱部の下部の内側及び外側のいずれかに流出する流体の液面を検知し、この液面が一定になるように被加熱部に流入する流体流量を調節するようにした請求項１２記載の流体加熱装置。
【請求項１４】
被加熱流体が吸収液であり、流体加熱装置が吸収式冷凍機の再生器である請求項１〜１３のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項１】
燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置と、この燃焼装置からの熱エネルギーで流体を加熱する加熱器からなる流体加熱装置において、この流体加熱装置は燃焼装置によって燃料が燃焼する空間である燃焼室と、この燃焼室の下流に近接して設けられた加熱器とを含み、この加熱器が間隙を保ってプレートを積層したプレート部からなり、これらのプレートの間隙を燃焼後の熱エネルギーを有する流体と被加熱流体が交互に流れ、被加熱流体が加熱されるように加熱部と被加熱部とを構成した流体加熱装置であって、熱エネルギーは前記加熱器のプレート部に下部から入って上方に流れ、被加熱流体はプレート部に下部及び横部のいずれかから入って上方に流れるようになっており、燃焼装置で燃料が水平方向に燃焼して、燃焼火炎は水平に流れた後、上方に屈曲してプレート部を上方に向かって流れるようにしたことを特徴とする流体加熱装置。
【請求項２】
プレート間の間隙が加熱部と被加熱部で異なるようにした請求項１記載の流体加熱装置。
【請求項３】
各加熱部におけるプレート間の間隙が燃焼ガス流速及び燃焼ガス圧力損失の少なくともいずれかを均一に近づけるように決められている請求項２記載の流体加熱装置。
【請求項４】
加熱部のプレート間の間隙が被加熱部のプレート間の間隙より大きくなっている請求項２又は３記載の流体加熱装置。
【請求項５】
プレート部が熱エネルギーの流れに沿って複数のプレート群に分かれている請求項１〜４のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項６】
複数のプレート群において、それぞれのプレート群の積層が下流になるほど密になっている請求項５記載の流体加熱装置。
【請求項７】
加熱部のプレート間の間隙が下流方向に行くにつれて狭まり、被加熱部が下流方向に行くにつれて広くなっている請求項１記載の流体加熱装置。
【請求項８】
燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置が、多孔プレートを用いた面燃焼バーナである請求項１〜７のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項９】
燃料を燃焼させて熱エネルギーを発生させる燃焼装置が、耐熱金属繊維を用いた面燃焼バーナである請求項１〜７のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項１０】
熱エネルギーで流体を加熱する加熱器と、この加熱器の下側部の燃焼室を囲んで外箱が設置され、この加熱器及び燃焼室と外箱の間に被加熱流体が充墳されているとともに、被加熱流体のプレートの間隙が外箱と連通しており、燃焼火炎後に置かれるプレート部の外側に被加熱流体が流れるようにした請求項１〜９のいずれかに記載の流体加熱装置。
【請求項１１】
被加熱流体は流体加熱装置の外部より、外箱の上部及び下部のいずれかに設けられた被加熱流体供給管を経て流入し、プレート部の下部に流入して、外箱の上部より流出するようにした請求項１０記載の流体加熱装置。
【請求項１２】
燃焼火炎後に置かれるプレート部の被加熱部の上部の側方に、被加熱部に連通する気液分離器を備えた気液分離室が設けられ、この気液分離室の上部及び上側部のいずれかに蒸気出口が設けられて、被加熱流体は加熱され沸騰して蒸気を発生し、蒸気と液は燃焼火炎後に置かれるプレート部より気液分離室に流入し、気液分離器で蒸気が液流体と分離されて蒸気が外部へ流出し、液は気液分離室の下部より流出するようにした請求項１０又は１１記載の流体加熱装置。
【請求項１３】
気液分離室の下部の内側及び外側のいずれかに、液流体出口を備えた液溜りを設け、この液溜りに液面検知器を設けて液面検知部を構成し、被加熱流体供給管の液流体入口に流量制御弁を設け、この弁と前記液面検知器とを接続して、被加熱部の下部の内側及び外側のいずれかに流出する流体の液面を検知し、この液面が一定になるように被加熱部に流入する流体流量を調節するようにした請求項１２記載の流体加熱装置。
【請求項１４】
被加熱流体が吸収液であり、流体加熱装置が吸収式冷凍機の再生器である請求項１〜１３のいずれかに記載の流体加熱装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２０１１−２２０６２２（Ｐ２０１１−２２０６２２Ａ）
【公開日】平成２３年１１月４日（２０１１．１１．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−９１２５１（Ｐ２０１０−９１２５１）
【出願日】平成２２年４月１２日（２０１０．４．１２）
【出願人】（０００１９９８８７）川重冷熱工業株式会社 (59)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１１月４日（２０１１．１１．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年４月１２日（２０１０．４．１２）
【出願人】（０００１９９８８７）川重冷熱工業株式会社 (59)
【Ｆターム（参考）】
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