説明

流体噴射装置、及び、流体噴射方法

【課題】 媒体を周面にて保持しながら回転する回転体を備えた流体噴射装置により、回転体の回転方向における前記媒体の端部まで画像を印刷する縁無し印刷を実施する。
【解決手段】 媒体に向けて流体を噴射する流体噴射部と、周面を前記流体噴射部に対向させながら回転する回転体であって、前記回転体の軸方向に沿った開口を備え、前記回転体の回転方向における媒体の端部が前記開口上に位置した状態で、該媒体を前記周面にて保持しながら回転する回転体と、を有する流体噴射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置及び流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を噴射する流体噴射装置は、既に知られており、その一例としては、媒体にインク等の流体を噴射して画像を印刷するインクジェットプリンタ(以下、プリンタ)が挙げられる。プリンタの印刷処理の一つとして、媒体の端部まで画像を印刷する処理(所謂、縁無し印刷)がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
縁無し印刷では、媒体の端部まで画像を印刷するために当該端部に向けてインクを噴射する。この際、当該端部からはみ出してしまうインクが発生する場合がある。このため、縁無し印刷を実施するためには、端部からはみ出すインクにより媒体やプリンタ内が汚れないような措置を講じる必要がある。
【0004】
ところで、プリンタの中には、媒体に流体を噴射する流体噴射部と、周面にて媒体を保持した状態で該周面を前記流体噴射部に対向させながら回転する回転体とを有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−103761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そして、上記構成のプリンタを用いて、回転体の周面に保持された媒体の、前記回転方向における端部まで画像を印刷する縁無し印刷を実施する要望がある。
【0007】
そこで、本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、媒体を周面にて保持しながら回転する回転体を備えた流体噴射装置により、回転体の回転方向における前記媒体の端部に画像を印刷する縁無し印刷を実施することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、主たる発明は、(A)媒体に向けて流体を噴射する流体噴射部と、(b1)周面を前記流体噴射部に対向させながら回転する回転体であって、(b2)前記回転体の軸方向に沿った開口を備え、前記回転体の回転方向における媒体の端部が前記開口上に位置した状態で、該媒体を前記周面にて保持しながら回転する回転体と、(C)を有することを特徴とする流体噴射装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】プリンタ1の主要部の構成を示した図である。
【図2】プリンタ1の全体構成を示すブロック図である。
【図3】ドラムユニット30、ヘッドユニット40、UV照射ユニット50、及び吸収体ユニット60の断面構造を示した図である。
【図4】図4Aは、ヘッドユニット40を示した斜視図であり、図4Bは、図4Aの矢印Fで示す方向からヘッド42を見たときの図である。
【図5】ドラムユニット30及び吸収体ユニット60を示す図である。
【図6】縁無し印刷における用紙Sとヘッド42の位置関係を示す図である。
【図7】回転ドラム31の周壁34を展開した状態で示した図である。
【図8】用紙Sの直交方向端部からはみ出たはみ出しインクを吸収体61に吸収させる様子を示す図である。
【図9】用紙Sの紙幅方向端部からはみ出たはみ出しインクを吸収体61に吸収させる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
【0011】
先ず、本発明に係る流体噴射装置は、(A)媒体に向けて流体を噴射する流体噴射部と、(b1)周面を前記流体噴射部に対向させながら回転する回転体であって、(b2)前記回転体の軸方向に沿った開口を備え、前記回転体の回転方向における媒体の端部が前記開口上に位置した状態で、該媒体を前記周面にて保持しながら回転する回転体と、を有する。かかる流体噴射装置であれば、回転体の回転方向における媒体の端部に画像を印刷する縁無し印刷を実施することが可能である。
【0012】
また、上記の流体噴射装置において、前記回転体は、中空状の回転ドラムであり、 前記流体噴射部は、前記周面上の媒体の前記端部に余白が形成されないように、該媒体に向けて流体を噴射し、前記開口は、前記回転ドラムの周壁に形成された、前記流体噴射部から噴射された流体のうち、前記端部からはみ出た流体を前記回転ドラムの内部に進入させるためのスリットであり、前記スリットは、前記流体噴射部が前記端部に向けて流体を噴射する際に、該流体噴射部に対向することとしても良い。かかる流体噴射装置であれば、媒体の端部からはみ出た流体を、上記スリットを通じて回転ドラム内に収めることにより、当該流体による汚染を防止し、以って、縁無し印刷を適切に実施することが可能となる。
【0013】
また、上記の流体噴射装置において、前記流体噴射部は、前記周面上の媒体の、前記回転方向における両端部に余白が形成されないように、該媒体に向けて流体を噴射し、前記回転方向において間隔をあけて並んだ一対の前記スリットが前記周壁に形成され、前記回転ドラムは、前記回転方向における両端部が前記スリット上に位置した状態で、媒体を前記周面にて保持しながら回転することとしても良い。かかる流体噴射装置であれば、周面上の媒体の、前記回転方向における両端部に余白が形成されないような縁無し印刷を実施することが可能になる。
【0014】
また、上記の流体噴射装置において、前記流体噴射部は、前記周面上の媒体の前記回転方向における両端部、及び、該媒体の前記軸方向における両端部に余白が形成されないように、該媒体に向けて流体を噴射し、一対の前記スリットとしての一対の軸方向スリットと、前記軸方向スリットと交差し、前記軸方向において間隔をあけて並んだ一対の交差スリットであって、前記流体噴射部から噴射された流体のうち、前記周面上の媒体の、前記軸方向における端部からはみ出た流体を前記回転ドラムの内部に進入させるための一対の交差スリットとが前記周壁に形成され、前記交差スリットは、前記流体噴射部が前記周面上の媒体の前記軸方向における端部に向けて流体を噴射する際に、該流体噴射部に対向し、前記回転ドラムは、前記回転方向における両端部が前記軸方向スリット上に位置し、かつ、前記軸方向における両端部が前記交差スリット上に位置した状態で、媒体を前記周面にて保持しながら回転することとしても良い。かかる流体噴射装置であれば、媒体の4辺全ての端部に余白が形成されないような縁無し印刷を実施することが可能になる。
【0015】
また、上記の流体噴射装置において、一対の前記スリットとしての一対の第1スリット及び一対の第2スリットが前記周壁に形成され、前記回転方向における前記第2スリット間の間隔は、前記第1スリット間の該間隔よりも長く、前記回転ドラムは、第1媒体、及び、前記回転方向における長さが前記第1媒体よりも長い第2媒体を前記周面にて保持し、前記第1媒体を保持する際には、該第1媒体の前記回転方向における両端部が前記第1スリット上に位置した状態で、該第1媒体を前記周面にて保持し、前記第2媒体を保持する際には、該第2媒体の前記回転方向における両端部が前記第2スリット上に位置した状態で、該第2媒体を前記周面にて保持することとしても良い。かかる流体噴射装置であれば、互いにサイズが異なる2種類の媒体のそれぞれに対して縁無し印刷を実施することが可能となり、以って、汎用性が高い流体噴射装置が実現される。
【0016】
また、上記の流体噴射装置において、前記回転ドラム内に配置され、流体を吸収する吸収体を有し、前記吸収体は、該吸収体の前記スリットにより露出した露出部分にて、前記端部からはみ出た流体を吸収することとしても良い。かかる流体噴射装置であれば、媒体の端部からはみ出た流体を適切に処理することが可能になる。
【0017】
また、上記の流体噴射装置において、前記吸収体は、該吸収体の軸方向が前記回転ドラムの軸方向に沿った状態で、前記回転ドラムとは独立して回転可能であり、前記吸収体を回転させるための吸収体駆動機構を有することとしても良い。かかる流体噴射装置であれば、媒体の端部からはみ出た流体を吸収体に適切に吸収させることが可能になる。
【0018】
さらに、(A)回転する回転体であって、該回転体の軸方向に沿った開口を備える回転体の、周面に媒体を保持する際に、該回転体の回転方向における媒体の端部が前記開口上に位置した状態で、該媒体を前記周面に保持することと、(B)前記周面を流体噴射部に対向させながら、前記周面上の媒体の、前記回転方向における前記端部に余白が形成されないように、該流体噴射部から前記周面上の媒体に向けて流体を噴射することと、(C)を有する流体噴射方法も実現可能である。かかる流体噴射方法であれば、回転体の回転方向における媒体の端部に画像を印刷する縁無し印刷を実施することが可能になる。
【0019】
===本発明に係る流体噴射装置について===
以下、本発明に係る流体噴射装置の一例としてのインクジェットプリンタ(以下、プリンタ1)について説明する。
【0020】
先ず、図1を参照しながら、プリンタ1の概要を説明する。図1は、プリンタ1の主要部の構成を示した図である。なお、図1には、媒体の一例としての単票状の用紙Sが図示されており、以降の説明でも、上記用紙Sを媒体として画像を印刷するプリンタ1について説明する。
【0021】
プリンタ1は、図1に示すように、回転体の一例としての回転ドラム31と、流体噴射部の一例としてのヘッド42とを有する。回転ドラム31は、その周面33に用紙Sを保持しながら回転する。このとき、用紙Sは、紙幅方向(用紙Sの短手方向)と回転ドラム31の軸方向が一致するように周面33に保持され、回転ドラム31は、前記周面33をヘッド42に対向させながら回転する。回転ドラム31の回転中、周面33上の用紙Sに向けて、ヘッド42がインクを噴射する。このヘッド42から噴射されたインクが周面33上の用紙Sに着弾する結果、画像が用紙Sに印刷される。
【0022】
なお、印刷用のインクは流体の一例であり、本実施形態では紫外線を受けて硬化する紫外線硬化型インク(以下、UVインク)である。但し、インクについては、非紫外線硬化型のインク(すなわち、一般的な水性インク及び油性インク)であっても良い。
【0023】
また、プリンタ1は、周面33上の用紙Sの端部まで画像を印刷する処理(所謂、縁無し印刷)を実施することが可能である。すなわち、ヘッド42は、上記端部に余白が形成されないように、用紙Sに向けてインクを噴射する。なお、本実施形態では、用紙Sにおける4辺全ての端部に余白が形成されないような縁無し印刷を実施することが可能である(詳しくは後述の縁無し印刷についての項で説明する)。
【0024】
<<プリンタ1の構成>>
次に、図2〜図5Bを参照しながら、プリンタ1の構成について説明する。図2は、プリンタ1の全体構成を示すブロック図である。図3は、ドラムユニット30、ヘッドユニット40、UV照射ユニット50、及び吸収体ユニット60の断面構造を示した図である。図4Aは、ヘッドユニット40を示した斜視図であり、図4Bは、図4Aの矢印Fで示す方向からヘッド42を見たときの図である。図5は、ドラムユニット30及び吸収体ユニット60をヘッド42側から見た図である。
【0025】
プリンタ1は、図2に示すように、コントローラ10、給排紙ユニット20、ドラムユニット30、ヘッドユニット40、UV照射ユニット50、及び吸収体ユニット60を有している。
【0026】
コントローラ10は、プリンタ1に内蔵された制御装置であり、インターフェース11を介してホストコンピュータ110から送信される印刷データを受信し、メモリ13に格納されたプログラムに従って、CPU12によりユニット制御回路14を介して上記の各ユニット20、30、40、50、60を制御する。この結果、印刷データに応じた画像が用紙Sに印刷される。なお、プリンタ1内の状況は検出器群80に監視され、その検出結果に基づいて、コントローラ10が各ユニット20、30、40、50、60を制御する。
【0027】
給排紙ユニット20は、用紙Sの給紙及び排紙を行うものであり、給紙トレイ21と排紙トレイ22を有する(図1参照)。給紙トレイ21内の用紙Sは、一枚ずつドラムユニット30へ給紙される。排紙トレイ22には、画像が印刷された用紙Sが送り込まれる。なお、本実施形態では、用紙サイズが異なる複数種類の用紙Sが給紙(排紙)され、用紙Sの種類別に給紙トレイ21及び排紙トレイ22が設けられている(図1では、図の簡略化のため、各トレイ21、22を1個ずつ図示する)。具体的に説明すると、A3サイズの用紙S用のトレイ21、22と、A2サイズの用紙S用のトレイ21、22がそれぞれ設けられている。
【0028】
ドラムユニット30は、図2に示すように、既述の回転ドラム31と、回転ドラム31を回転させる回転体駆動機構としてのドラム駆動機構35を有する。回転ドラム31は、中空状であり、その回転軸32が一対のフレーム36に回転自在に支持されている(図1参照)。ドラム駆動機構35は、回転ドラム31を回転させるものであり、図5に示すように、ドラムモータ35aと、ギア輪列等の伝達機構35bとを備える。ドラムモータ35aの回転が伝達機構35b介して回転ドラム31の回転軸32に伝達されると、回転ドラム31は、図3に矢印にて示す回転方向に回転軸32と一体的に回転する。
【0029】
また、本実施形態では、給紙される用紙Sのサイズが2種類(具体的には、A3サイズとA2サイズ)有り、何れのサイズの用紙Sが給紙されるかは、印刷データに応じて変わる。つまり、回転ドラム31は、互いにサイズが異なる2種類の用紙Sを、それぞれ、周面33にて保持する。ここで、2種類の用紙Sのうち、紙幅方向と直交する直交方向(用紙Sの長手方向であり、換言すると、周面33上の用紙Sの、回転ドラム31の回転方向における長さ)がより短いA3サイズの用紙Sが第1媒体に相当し、上記長さがより長いA2サイズの用紙Sが第2媒体に相当する。
【0030】
さらに、回転ドラム31の周壁34には、図5に示すように、回転ドラム31の軸方向に沿う軸方向スリット36と、該軸方向スリット36と交差する(略直交する)交差スリット37とが形成されている。
【0031】
ヘッドユニット40は、図3に示すように、ヘッドキャリッジ41を有する。ヘッドキャリッジ41は、一対のガイド軸46、47に支持され、回転ドラム31の軸方向に沿って往復移動する。ヘッドキャリッジ41にはヘッド42が搭載されている。ヘッド42は、複数のノズルが形成されたノズル面44を有し、ヘッドキャリッジ41の移動によって回転ドラム31の周面33上の用紙Sと対向するようになる。この間に、ヘッド42は、ノズルから用紙Sに向けてUVインクを噴射する。なお、本実施例では、噴射するUVインクの色が互いに異なる5個のヘッド42a〜42e(図4A参照)が設けられている。
【0032】
UV照射ユニット50は、図3に示すように、照射部キャリッジ51を有する。この照射部キャリッジ51は、一対のガイド軸56、57に支持され、回転ドラム31の軸方向に沿って往復移動する。照射部キャリッジ51には、照射部52が搭載されている。照射部52は、回転ドラム31の回転方向においてヘッド42よりも下流側に位置し、該回転方向に沿って整列された複数のランプ53を有する。そして、照射部52は、ランプ53から発せられる紫外線(UV)を用紙Sに向けて照射する。これにより、用紙Sに着弾したUVインクが硬化し、用紙Sに定着する。
【0033】
吸収体ユニット60は、縁無し印刷の際に発生する発生するはみ出しインク(図6参照)を吸収するものである。はみ出しインクとは、ヘッド42から噴射されたUVインクのうち、回転ドラム31の周面33上の用紙Sの端部からはみ出たUVインクである。なお、はみ出しインクの発生に関しては後述する。
【0034】
吸収体ユニット60は、図3に示すように、円筒状の吸収体61を有している。吸収体61は、吸収体ユニット60の主要部材であり、スポンジ等からなる外周部63を有する。吸収体61は、回転ドラム31と同心円状に配置されるように、回転ドラム31内に備えられている。そして、吸収体61は、軸方向スリット36や交差スリット37を通過して回転ドラム31の内部に進入したはみ出しインクを、前記外周部63にて吸収する。より詳しく説明すると、吸収体61は、該吸収体61(より詳しくは外周部63)の、軸方向スリット36や交差スリット37により露出した露出部分64にて、はみ出しインクを受けて吸収する。なお、以下では、露出部分64のうち、軸方向スリット36により露出した露出部分については露出部分64aとし(図8参照)、交差スリット37により露出した露出部分については露出部分64bとする(図9参照)。
【0035】
更に、本実施形態の吸収体61は、回転ドラム31とは独立して回転することが可能である。具体的に説明すると、吸収体61は、その軸方向が回転ドラム31の軸方向に沿った状態で回転自在に支持されている。なお、回転ドラム31の回転軸32には、その軸方向に沿う軸挿入孔32a(図3参照)が形成されており、この軸挿入孔32aに、吸収体61の回転軸62が遊びを持たせた状態で挿入されている。一方、吸収体ユニット60には、吸収体61を回転させるための吸収体駆動機構65が備えられており、当該吸収体駆動機構65は、吸収体モータ65aと、ギア輪列等の伝達機構65bを備える(図5参照)。吸収体モータ68aの回転が伝達機構68b介して吸収体61の回転軸62に伝達されると、吸収体61は、図3に矢印にて示す回転方向に回転軸62と一体的に回転する。
【0036】
以上のように、本実施形態では、回転ドラム31及び吸収体61の各々に対して、別個の駆動機構35、65が設けられており、回転ドラム31及び吸収体61を、それぞれ個別に回転させることが可能である。
【0037】
<<プリンタ1の動作例>>
次に、上記構成のプリンタ1の動作例としての印刷動作について説明する。なお、印刷動作は、本実施形態に係る流体噴射方法に相当する。
【0038】
コントローラ10は、ホストコンピュータ110から印刷データを受信すると、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニット20、30、40、50、70を制御する。これにより、先ず、ドラム駆動機構35が回転ドラム31を回転させるとともに、照射部52のランプ53が点灯する。かかる状態で、給紙トレイ21内の用紙Sが、回転ドラム31に向かって給紙される。回転ドラム31に給紙された用紙Sは、周面33に巻き付けられることによって保持され、回転ドラム31と共に回転する。
【0039】
用紙Sの回転中、ヘッドは、用紙Sと対向しながらUVインクを用紙Sに向けて噴射する。これにより、用紙Sの紙幅方向一端側に、回転ドラム31の回転方向に沿った画像片(画像の断片)が印刷される。その後、回転ドラム31の回転に伴い、照射部52のランプ53が、用紙Sのうち、上記画像片が印刷された部分と対向するようになる。これにより、画像片を構成するUVインクが紫外線を受けて硬化し、画像片が用紙Sに定着する。
【0040】
画像片の定着後、回転ドラム31が1回転すると、ヘッドキャリッジ41がヘッド42と共にガイド軸46、47の一端側から他端側に所定距離だけ移動する(照射部キャリッジ51も、同様にガイド軸56、57の一端側から他端側に所定距離だけ移動する)。そして、上述の工程(ヘッド42によるUVインクの噴射工程と、照射部52による紫外線照射工程)が再度行われる。以後、回転ドラム31が1回転する毎に、ヘッドキャリッジ41が移動し、上述の工程が繰り返される。この結果、用紙Sの紙幅方向一端側から他端側に掛けて、順次、画像片が印刷され、最終的に、完成像としての画像が形成されることになる。その後、画像が印刷された用紙Sは、回転ドラム31から剥離されて、排紙トレイ22に送り込まれる。これにより、印刷動作が終了する。
【0041】
<<縁無し印刷について>>
プリンタ1は、上述の印刷動作により画像を印刷する処理として縁無し印刷を実施する。縁無し印刷では、回転ドラム31の周面33に保持された用紙Sの端部まで画像を印刷するために、ヘッド42が当該端部に向けてUVインクを噴射する。このとき、図6に示すように、ヘッド42(詳しく説明すると、ノズル面44)は、その一部が上記端部よりも外側に幾分はみ出した状態で、上記端部と対向する。かかる状態において、ヘッド42が上記端部に向けてUVインクを噴射するので、同図に示すように、ヘッド42から噴射されるUVインクのうちの一部は、用紙Sに着弾せずに打ち捨てられる。この打ち捨てられるUVインクがはみ出しインクである。図6は、縁無し印刷における用紙Sとヘッド42の位置関係を示す図であり、図を簡略化するため、ヘッド42を1個のみ図示している。
【0042】
なお、本実施形態では、前述したように、周面33上の用紙Sにおける4辺全ての端部に余白が形成されないような縁無し印刷が実施可能である。つまり、ヘッド42は、用紙Sの紙幅方向の両端部、及び、用紙Sの紙幅方向と直交する直交方向の両端部のそれぞれに向けてUVインクを噴射する。そして、はみ出しインクは、ヘッド42が用紙Sの端部に向けてUVインクを噴射する度に発生する。
【0043】
一方、背景技術の項で説明したように、はみ出しインクを放置すると、用紙Sやプリンタ1内がはみ出しインクによって汚染されてしまう。そこで、本実施形態では、はみ出しインクを回転ドラム31の内部に進入させ、該回転ドラム31内に備えられた吸収体61にはみ出しインクを吸収させることにより、はみ出しインクによる汚染の防止を図っている。以下、はみ出しインクによる汚染に対する防止策について説明する。
【0044】
<<はみ出しインクによる汚染に対する防止策>>
本実施形態では、図7に示すように、回転ドラム31の周壁34に、該回転ドラム31の回転方向において間隔をあけて並んだ一対の軸方向スリット36と、回転ドラム31の軸方向において間隔をあけて並んだ一対の交差スリット37とが、それぞれ2組ずつ形成されている。各軸方向スリット36は、矩形状をなし、その長手方向が回転ドラム31の軸方向に沿っている。各交差スリット37も矩形状をなし、その長手方向が回転ドラム31の回転方向に沿っている。図7は、回転ドラム31の周壁34を展開した状態で示した図である。なお、図7中には、回転ドラム31の周面33上における用紙Sの保持位置を示すため、各サイズの用紙Sを併せて図示している。
【0045】
以下、2組形成された一対の軸方向スリット36のうちの一方を一対の第1軸方向スリット36a(第1スリットに相当する)と呼び、他方を一対の第2軸方向スリット36b(第2スリットに相当する)と呼ぶ。同様に、2組形成された一対の交差スリット37のうちの一方を一対の第1交差スリット37aと呼び、他方を一対の第2交差スリット37bと呼ぶ。
【0046】
図7に示すように、回転ドラム31の回転方向における第2軸方向スリット36b間の間隔は、第1軸方向スリット36a間の該間隔よりも長くなっている。具体的に説明すると、第1軸方向スリット36a間の間隔は、A3サイズの用紙Sの紙幅よりもやや短く、第2軸方向スリット36b間の間隔は、A2サイズの用紙Sの紙幅よりもやや短くなっている。また、図7に示すように、回転ドラム31の軸方向における第2交差スリット37b間の間隔は、第1交差スリット37a間の該間隔よりも長くなっている。具体的に説明すると、第1交差スリット37a間の間隔は、A3サイズの用紙Sの直交方向長さよりもやや短く、第2交差スリット37b間の間隔は、A2サイズの用紙Sの直交方向長さよりもやや短くなっている。
【0047】
そして、回転ドラム31がA3サイズの用紙Sを保持する際には、該用紙Sの直交方向両端部(回転ドラム31の回転方向における両端部)が第1軸方向スリット36a上に位置し、該用紙Sの紙幅方向両端部(回転ドラム31の軸方向における両端部)が第1交差スリット37a上に位置するようになる(図7参照)。換言すると、回転ドラム31は、直交方向両端部が第1軸方向スリット36a上に位置し、かつ、紙幅方向両端部が第1交差スリット37a上に位置した状態で、A3サイズの用紙Sを周面33にて保持しながら回転する。
【0048】
一方、回転ドラム31がA2サイズの用紙Sを保持する際には、該用紙Sの直交方向両端部が第2軸方向スリット36b上に位置し、該用紙Sの紙幅方向両端部が第2交差スリット37b上に位置するようになる(図7参照)。換言すると、回転ドラム31は、直交方向両端部が第2軸方向スリット36b上に位置し、かつ、紙幅方向両端部が第2交差スリット37b上に位置した状態で、A2サイズの用紙Sを周面33にて保持しながら回転する。
【0049】
以上の結果、ヘッド42が各用紙Sの直交方向端部(回転ドラム31の回転方向における端部)に余白が形成されないように当該直交方向端部に向けてUVインクを噴射する際、当該直交方向端部の直下に位置する軸方向スリット36が、ヘッド42(具体的に説明すると、ノズル面44の、上記直交方向端部よりも外側にはみ出た部分)に対向するようになる。このときにヘッド42から噴射されるUVインクのうち、上記直交方向端部からはみ出たはみ出しインクは、軸方向スリット36を通過して回転ドラム31の内部に進入することになる。つまり、軸方向スリット36は、周面33上の用紙Sの直交方向端部からはみ出たはみ出しインクを回転ドラム31内に進入させるためのスリットである。
【0050】
なお、軸方向スリット36を通過して回転ドラム31内に進入したはみ出しインクについては、図8に示すように、吸収体61が備える外周部63のうち、軸方向スリット36により露出した露出部分64aに受け取られ、当該露出部分64aに吸収される。図8は、用紙Sの直交方向端部からはみ出たはみ出しインクを吸収体61に吸収させる様子を示した図である。
【0051】
同様に、ヘッド42が各用紙Sの紙幅方向端部(回転ドラム31の軸方向における端部)に余白が形成されないように当該紙幅方向端部に向けてUVインクを噴射する際、当該紙幅方向端部の直下に位置する交差スリット37が、ヘッド42(具体的に説明すると、ノズル面44の、上記紙幅方向端部よりも外側にはみ出た部分)に対向するようになる。このときにヘッド42から噴射されるUVインクのうち、上記紙幅方向端部からはみ出たはみ出しインクは、交差スリット37を通過して回転ドラム31の内部に進入することになる。つまり、交差スリット37は、周面33上の用紙Sの紙幅方向端部からはみ出たはみ出しインクを回転ドラム31内に進入させるためのスリットである。
【0052】
なお、交差スリット37を通過して回転ドラム31内に進入したはみ出しインクについては、図9に示すように、吸収体61が備える外周部63のうち、交差スリット37により露出した露出部分64bに受け取られ、当該露出部分64bに吸収される。図9は、用紙Sの紙幅方向端部からはみ出たはみ出しインクを吸収体61に吸収させる様子を示した図である。
【0053】
以上のように、本実施形態では、縁無し印刷の実施に伴ってはみ出しインクが発生したとしても、当該はみ出しインクを回転ドラム31内に留めておく。さらに、本実施形態では、回転ドラム31内に進入したはみ出しインクを、該回転ドラム31内に設けられた吸収体61にはみ出しインクを吸収させ、該吸収体61内に保持させておく。
【0054】
===本実施形態のプリンタ1の有効性について===
以上までに説明してきた通り、本実施形態のプリンタ1は、用紙Sの直交方向一端部(回転ドラム31の回転方向における一端部)に画像を印刷する縁無し印刷を実施することが可能である。つまり、本実施形態のプリンタ1であれば、直交方向端部からはみ出たはみ出しインクが発生したとしても、スリット36(開口の一例)を通じてはみ出しインクを回転ドラム31内に収容しておくことにより、はみ出しインクによる汚染を防止することが可能である。
【0055】
また、本実施形態では、回転ドラム31の周壁34には、回転ドラム31の回転方向において間隔をあけて並んだ一対の軸方向スリット36が形成され、用紙Sの直交方向両端部が軸方向スリット36上に位置した状態で、回転ドラム31が該用紙Sを周面33にて保持しながら回転する。つまり、本実施形態のプリンタ1は、用紙Sの直交方向両端部に余白が形成されないような縁無し印刷を実施することが可能である。
【0056】
さらに、本実施形態では、一対の軸方向スリット36と、回転ドラム31の軸方向において間隔をあけて並んだ一対の交差スリット37と、が周壁34に形成されている。そして、直交方向両端部が軸方向スリット36上に位置し、かつ、紙幅方向両端部が交差スリット37上に位置した状態で、回転ドラム31が用紙Sを周面33にて保持しながら回転する。このような構成により、本実施形態では、用紙Sの4辺全ての端部に余白が形成されないような縁無し印刷を実施することが可能である。
【0057】
また、本実施形態では、一対の第1軸方向スリット36a(第1スリットに相当)、及び、第2軸方向スリット36b(第2スリットに相当)が周壁34に形成されている。そして、回転ドラム31は、A3サイズの用紙S(第1媒体に相当)を保持する際には、該用紙Sの直交方向両端部が第1軸方向スリット36a上に位置した状態で、該用紙Sを周面33にて保持し、A2サイズの用紙(第2媒体に相当)を保持する際には、該用紙Sの直交方向両端部が第2軸方向スリット36b上に位置した状態で、該用紙Sを周面33にて保持する。この結果、本実施形態では、サイズ(特に直交方向における長さ)が互いに異なる2種類の用紙Sの各々に対して、直交方向両端部に余白が形成されないような縁無し印刷を実施することが可能である。
【0058】
以上のように、用紙Sのサイズの種類に応じた数だけ一対の軸方向スリット36を周壁34に形成し、そのスリット間隔を各用紙Sのサイズに合わせて設定すれば、縁無し印刷を実施するプリンタ1として、汎用性が高いプリンタ1が実現されることになる。かかる点を鑑みると、本実施形態のように2組の一対の軸方向スリット36が形成されている形態に限定されず、3組以上の一対の軸方向スリット36が形成されていても良い。
【0059】
また、本実施形態では、回転ドラム31内に吸収体61が備えられ、吸収体61は、外周部63のうち、軸方向スリット36や交差スリット37により露出した露出部分64a、64bにてはみ出しインクを吸収する。このように回転ドラム31内に進入したはみ出しインクを吸収体61に吸収させれば、はみ出しインクに対する処理(例えば、はみ出しインクをプリンタ1内から取り除く処理)を適切に行うことが可能になる。
【0060】
さらに、本実施形態の吸収体61は、該吸収体61の軸方向が回転ドラム61の軸方向に沿った状態で、該回転ドラム31とは独立して回転可能である。その上で、吸収体61を回転させるための吸収体駆動機構65が備えられている。これにより、はみ出しインクを吸収体61に適切に吸収させることが可能である。
【0061】
分かり易く説明すると、仮に回転ドラム31と吸収体61とが一体的に回転する場合を想定すると、吸収体61によるインク吸収に伴って回転ドラム31の回転状態が変化する(例えば、重量バランスが変化する)虞がある。このような回転ドラム31の回転状態の変化は、印刷される画像の画質に影響を及ぼす可能性がある。これに対し、本実施形態では、回転ドラム31と吸収体61が互いに干渉せずに回転する。すなわち、回転ドラム31は、吸収体61のインク吸収による影響を受けずに回転する。このため、回転ドラム31の回転状態は、吸収体61のインク吸収の前後で変化することがない。
【0062】
また、吸収体61が回転することにより、上記露出部分64a、64bにおいて実際にインクを吸収する領域(インク吸収領域)が切り替わる。この結果、インク吸収領域の局在化を抑制し、吸収体61の周方向の広範囲に亘って、はみ出しインクを吸収させることが可能になる。すなわち、吸収体61に効率良くはみ出しインクを吸収させ、以って、吸収性能の持続を図ることが可能になる。なお、インク吸収領域を的確に切替えるためには、回転ドラム31の回転中、吸収体61が回転ドラム31とは異なる角速度にて回転するように、吸収体駆動機構65が吸収体61を回転させるのが望ましい(より好ましくは、回転ドラム31の角速度と吸収体61の角速度とが互いに素であれば良い)。
【0063】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施形態に基づき、本発明に係る流体噴射装置の一例としてのプリンタ1、及び、流体噴射方法の一例としてのプリンタ1による印刷動作について説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0064】
また、上記実施形態では、ヘッドキャリッジ41の移動に伴って回転ドラム31の軸方向に移動するヘッド42、を備えたプリンタ1(所謂シリアルプリンタ)について説明した。但し、これに限定されるものではない。例えば、移動せずに所定位置に固定されたヘッド42を有し、紙幅分のドットを一度に形成するようにインクを噴射するプリンタ(所謂ラインプリンタ)であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、流体噴射装置の一例として、インクを噴射するプリンタ1を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような液状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して噴射できる固体)を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する流体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する流体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ジェルを噴射する流体噴射装置、トナー等の粉体を例とする固体を噴射する流体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 プリンタ、10 コントローラ、11 インターフェース、12 CPU、13 メモリ、14 ユニット制御回路、20 給排紙ユニット、21 給紙トレイ、22 排紙トレイ、30 ドラムユニット、31 回転ドラム、32 回転軸、32a 軸挿入孔、33 周面、34 周壁、35 ドラム駆動機構、35a ドラムモータ、35b 伝達機構、36 軸方向スリット、36a 第1軸方向スリット、36b 第2軸方向スリット、37 交差スリット、37a 第1交差スリット、37b 第2軸方向スリット、40 ヘッドユニット、41 ヘッドキャリッジ、42,42a〜42e ヘッド、44 ノズルプレート、46 ガイド軸、47 ガイド軸、50 UV照射ユニット、51 照射部キャリッジ、52 照射部、53 ランプ、56 ガイド軸、57 ガイド軸、60 吸収体ユニット、61 吸収体、62 回転軸、63 外周部、64,64a,64b 露出部分、65 吸収体駆動機構、65a 吸収体モータ、65b 伝達機構、80 検出器群、110 ホストコンピュータ、S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に向けて流体を噴射する流体噴射部と、
周面を前記流体噴射部に対向させながら回転する回転体であって、
前記回転体の軸方向に沿った開口を備え、前記回転体の回転方向における媒体の端部が前記開口上に位置した状態で、該媒体を前記周面にて保持しながら回転する回転体と、
を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置において、
前記回転体は、中空状の回転ドラムであり、
前記流体噴射部は、前記周面上の媒体の前記端部に余白が形成されないように、該媒体に向けて流体を噴射し、
前記開口は、前記回転ドラムの周壁に形成された、前記流体噴射部から噴射された流体のうち、前記端部からはみ出た流体を前記回転ドラムの内部に進入させるためのスリットであり、
前記スリットは、前記流体噴射部が前記端部に向けて流体を噴射する際に、該流体噴射部に対向することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の流体噴射装置において、
前記流体噴射部は、前記周面上の媒体の、前記回転方向における両端部に余白が形成されないように、該媒体に向けて流体を噴射し、
前記回転方向において間隔をあけて並んだ一対の前記スリットが前記周壁に形成され、
前記回転ドラムは、前記回転方向における両端部が前記スリット上に位置した状態で、媒体を前記周面にて保持しながら回転することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流体噴射装置において、
前記流体噴射部は、前記周面上の媒体の前記回転方向における両端部、及び、該媒体の前記軸方向における両端部に余白が形成されないように、該媒体に向けて流体を噴射し、
一対の前記スリットとしての一対の軸方向スリットと、
前記軸方向スリットと交差し、前記軸方向において間隔をあけて並んだ一対の交差スリットであって、前記流体噴射部から噴射された流体のうち、前記周面上の媒体の、前記軸方向における端部からはみ出た流体を前記回転ドラムの内部に進入させるための一対の交差スリットとが前記周壁に形成され、
前記交差スリットは、前記流体噴射部が前記周面上の媒体の前記軸方向における端部に向けて流体を噴射する際に、該流体噴射部に対向し、
前記回転ドラムは、前記回転方向における両端部が前記軸方向スリット上に位置し、かつ、前記軸方向における両端部が前記交差スリット上に位置した状態で、媒体を前記周面にて保持しながら回転することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4のいずれかに記載の流体噴射装置において、
一対の前記スリットとしての一対の第1スリット及び一対の第2スリットが前記周壁に形成され、
前記回転方向における前記第2スリット間の間隔は、前記第1スリット間の該間隔よりも長く、
前記回転ドラムは、第1媒体、及び、前記回転方向における長さが前記第1媒体よりも長い第2媒体を前記周面にて保持し、
前記第1媒体を保持する際には、該第1媒体の前記回転方向における両端部が前記第1スリット上に位置した状態で、該第1媒体を前記周面にて保持し、
前記第2媒体を保持する際には、該第2媒体の前記回転方向における両端部が前記第2スリット上に位置した状態で、該第2媒体を前記周面にて保持することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の流体噴射装置において、
前記回転ドラム内に配置され、流体を吸収する吸収体を有し、
前記吸収体は、該吸収体の前記スリットにより露出した露出部分にて、前記端部からはみ出た流体を吸収することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項7】
請求項6に記載の流体噴射装置において、
前記吸収体は、該吸収体の軸方向が前記回転ドラムの軸方向に沿った状態で、前記回転ドラムとは独立して回転可能であり、
前記吸収体を回転させるための吸収体駆動機構を有することを特徴とする流体噴射装置。
【請求項8】
回転する回転体であって、該回転体の軸方向に沿った開口を備える回転体の、周面に媒体を保持する際に、該回転体の回転方向における媒体の端部が前記開口上に位置した状態で、該媒体を前記周面に保持することと、
前記周面を流体噴射部に対向させながら、前記周面上の媒体の、前記回転方向における前記端部に余白が形成されないように、該流体噴射部から前記周面上の媒体に向けて流体を噴射することと、
を有することを特徴とする流体噴射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−179533(P2010−179533A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24182(P2009−24182)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】