説明

流体噴射装置、流体噴射装置におけるクリーニング方法及びプログラム

【課題】複数段のクリーニングを行うクリーニング手段を備えた流体噴射装置において、流体消費量計数手段の流体消費量計数値と、実際の流体消費量とのずれを小さく抑えることができる流体噴射装置、流体噴射装置におけるクリーニング方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】初期充填、カートリッジ交換クリーニング、マニュアルクリーニング、タイマークリーニングに応じたクリーニング種類をCLA、CLBに設定する(S10〜S80)。そして、CLA、CLBを複数段(2段)で実行する場合(ノズル列情報(黒、カラー)=(1、1)かつCLB≠0の場合)(S90及びS120で肯定判定)は、CLA、CLBのクリーニング種類に応じたインク消費量を該当色のインク消費量カウンターに加算した(S100,S130)後、CLA、CLBを実行する(S110,S140)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の流体を噴射する流体噴射手段のノズルから流体を排出させるクリーニング手段を備え、ノズルで消費された流体消費量を計数する機能を備えた流体噴射装置、流体噴射装置におけるクリーニング方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、インクを噴射する記録ヘッド(流体噴射手段)を備えたプリンター(流体噴射装置)が開示されている。このプリンターは、記録ヘッドのノズルの目詰まりを予防又は解消する目的で、ノズルからインクを強制的に吸引排出して記録ヘッドをクリーニングするメンテナンス装置(クリーニング装置)を備えている。また、このプリンターには、レーザー光を利用してノズルの目詰まりを検査するノズル検査装置が設けられていた。このノズル検査装置は、レーザー光が記録ヘッドのノズルから噴射したインク滴に遮られればインク滴が正常に噴射されたと判断し、一方、レーザー光が遮られなければインク滴を正常に噴射できないノズル目詰まりと判断する。
【0003】
また、特許文献1のメンテナンス装置は、記録ヘッドの全ノズルを複数のグループ(群)に分割した各ノズル群を個別にキャッピング可能な複数のキャップ部を備えていた。そして、ノズル検査装置がノズル目詰まりを検出したノズルの属するノズル群をキャップ部でキャッピングし、この状態で吸引ポンプを駆動してそのキャップ内を負圧にすることで、ノズル群毎のクリーニングが可能になっていた。
【0004】
また、プリンターは、インクカートリッジのインク残量を検出し、インクが残り少なくなったニアエンド状態や、インクが無くなったインクエンド状態になると、その旨をホスト装置に報知することで、ユーザーにインクカートリッジの交換を促すようにしている。例えば特許文献2には、インク消費量を検出する方法の一つとして、記録ヘッドのインク噴射回数(ドット数)をドットカウンターで計数することによってインク消費量を間接的に算出する方法が開示されている。インク噴射によるインク消費量と、クリーニングで排出されたインク消費量は、インク色毎にインク消費量カウンターに計数される。そして、このインク消費量を満充填インク量(初期値)から減算することによって、各インク色のインク残量を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−79693号公報(例えば明細書段落[0115]、[0122]等)
【特許文献2】特開平11−221932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来、クリーニングによるインク消費量のインク消費量カウンターへの加算(計数)は、クリーニングを行う前に事前に行っていた。これは、クリーニング後にインク消費量を加算する構成にすると、例えばクリーニングの終了直前でユーザーが電源を遮断した場合や停電時に、そのインク消費量が加算されず、インク消費量カウンターの計数値が実際のインク消費量より少なくなって、インクカートリッジがインクエンドであるにも関わらずその旨が通知されない事態を回避するためである。
【0007】
例えば、特許文献1に記載されたメンテナンス装置のように各キャップ部で独立してクリーニングが可能な構成においては、各キャップ部間で異なる強さのクリーニングを行う方が適切な場合がある。例えば、クリーニング強度が同じであれば、キャップ部毎のクリーニングを一緒に行い、クリーニングの実施前に各キャップ部でのインク消費量をインク消費量カウンターに加算すればよい。しかし、クリーニング強度が異なる場合、複数のキャップ部は吸引ポンプが共通のため、キャップ部毎のクリーニングを一緒に行うことができない。そのため、クリーニング強度の異なるキャップ部毎のクリーニングの実施時期をずらし、多段(複数段)のクリーニングで行う必要がある。
【0008】
このように多段のクリーニングを行う場合、インク消費量を事前にインク消費量カウンターに加算すると、複数段のクリーニングの途中で、ユーザーが電源を遮断した場合や停電時に、例えば1段目のクリーニングが終わった時点で2段目のクリーニングが行われないままクリーニングが終了されてしまう。しかし、インク消費量カウンターには予め複数段分のインク消費量が加算されているので、実際のインク消費量とインク消費量カウンターの計数値とがずれるという問題が発生する。この場合、インクカートリッジにインクがまだ残っているにも関わらず、インクエンドの旨が報知されるなどの問題を招く。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数段のクリーニングを行うクリーニング手段を備えた流体噴射装置において、流体消費量計数手段の流体消費量計数値と、実際の流体消費量とのずれを小さく抑えることができる流体噴射装置、流体噴射装置におけるクリーニング方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、流体を噴射する複数のノズルを有する流体噴射手段を備え、前記流体噴射手段を介して消費された流体供給源の流体消費量を計数する流体噴射装置であって、前記流体噴射手段における複数のノズルをクリーニング対象別に複数の群に分割した各ノズル群のクリーニングを実施時期をずらして複数段で行うクリーニング手段と、流体供給源毎に設けられると共に前記複数段のクリーニングによる各流体消費量を前記クリーニング手段が実施するクリーニングの一段毎に分けて計数する流体消費量計数手段とを備えたことを要旨とする。
【0011】
この発明によれば、複数段でクリーニングを行う場合、流体供給源毎の流体消費量計数手段への複数段のクリーニングによる各流体消費量の計数は、クリーニングの一段毎に分けて行われる。このため、複数段のうち後段側のクリーニングが流体噴射装置の電源遮断などの原因で実施されなかったことに起因し、実際の流体消費量と、流体消費量計数手段の流体消費量計数値との間のずれを小さく抑えることができる。
【0012】
本発明の流体噴射装置では、前記クリーニング手段によるクリーニングは、複数回の流体排出動作を含み、前記流体消費量計数手段は、前記クリーニング中の流体排出動作毎に流体消費量を計数することが好ましい。
【0013】
この発明によれば、流体排出動作によるインク消費量を流体排出動作毎に流体消費量計数手段に計数する。このため、クリーニングの途中で流体噴射装置の電源が遮断されてクリーニングが中断された場合、実施された流体排出動作の流体消費量は計数され、未実施の流体排出動作の流体消費量が計数されない頻度が増すので、実際の流体消費量と、流体消費量計数手段の流体消費量計数値との間のずれを一層小さく抑えることができる。
【0014】
本発明の流体噴射装置では、前記クリーニング対象のノズル群に対するクリーニング条件を決定するクリーニング条件決定手段を更に備え、クリーニング条件の異なる複数のノズル群のクリーニングは複数段で行い、クリーニング条件が同じ複数のノズル群のクリーニングは一段で一緒に行うことが好ましい。
【0015】
この発明によれば、クリーニング条件が同じ複数のノズル群のクリーニングは一緒に行うので、一度のクリーニングで済む。一方、クリーニング条件の異なる複数のノズル群のクリーニングは複数段で行う。よって、複数のノズル群のクリーニングを共通のクリーニング手段を用いて行うことができる。そのうえ、複数段でクリーニングを行う場合、クリーニングによる流体消費量を、クリーニング毎に、対応する流体供給源の流体消費量計数手段に計数するので、流体供給源の流体消費量と、流体消費量計数手段の流体消費量との間に大きなずれが発生することを回避できる。
【0016】
本発明の流体噴射装置では、前記クリーニング対象のノズル群を選択する選択手段と、前記選択手段が選択した複数のノズル群をクリーニング対象として前記クリーニング手段を動作させて複数段のクリーニングを行わせる制御手段とを更に備えていることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、選択手段によりクリーニング対象のノズル群が複数選択され、かつこれら複数のノズル群のクリーニングが複数段で行われる場合、前記クリーニング手段が各ノズル群のクリーニングを行う度ごとに当該クリーニングによる流体消費量が流体消費量計数手段に計数される。この結果、流体供給源の流体消費量と、流体消費量計数手段の流体消費量との間に大きなずれが発生することを回避できる。
【0018】
本発明の流体噴射装置では、前記選択手段は、操作手段の操作で指示されたノズル群をクリーニング対象として選択する構成であり、前記制御手段は、前記クリーニング手段を動作させて前記クリーニング対象の前記ノズル群のマニュアルクリーニングを行わせる構成であり、ノズル群毎に前記マニュアルクリーニングの実施回数に応じた計数値を計数する計数手段を更に備え、前記クリーニング条件決定手段は、前記計数手段の計数による実施回数が多いほどクリーニング強度を強くするようにクリーニング条件を決定することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、ユーザーが操作手段の操作で選択したノズル群に対してマニュアルクリーニングを行うことができる。このとき、マニュアルクリーニングの実施回数が多いほどより強力なクリーニングが行われる。このため、複数のノズル群をクリーニングする場合、ノズル群間でクリーニング条件が異なり、複数段のクリーニングが行われることになっても、流体消費量の計数がクリーニング一段毎に行われるので、実際の流体消費量と、流体消費量計数手段による流体消費量計数値とのずれを小さく抑えることができる。
【0020】
本発明の流体噴射装置では、前記選択手段は、流体噴射不良ノズルの有無を検査するノズル検査手段を備え、前記ノズル検査手段により検出された流体噴射不良ノズルを含むノズル群を、前記クリーニング手段の前記クリーニング対象として選択することが好ましい。
【0021】
この発明によれば、ノズル検査手段による流体噴射不良ノズルが属するノズル群のクリーニングを行うので、不良ノズルの無いノズル群のクリーニングを回避して流体排出量を節約できる。この場合、クリーニングを複数段で行う場合、各クリーニング毎に流体消費量を流体消費量計数手段に計数するので、実際の流体消費量と、流体消費量計数手段による流体消費量計数値とのずれを小さく抑えることができる。
【0022】
本発明は、流体を噴射する複数のノズルを有する流体噴射手段を備えた流体噴射装置において前記流体噴射手段のノズルをクリーニングする流体噴射装置におけるクリーニング方法であって、前記流体噴射手段の複数のノズルをクリーニング対象毎に複数の群に分割した複数のノズル群のうち二以上のノズル群をクリーニング対象とする複数のクリーニングを実施時期をずらして複数段で行う場合、1段目のクリーニングの流体消費量を対応する流体供給源の流体消費量計数手段に計数する第1計数ステップと、クリーニング手段が前記1段目のクリーニングを実行する第1クリーニング実行ステップと、前記2段目のクリーニングの流体消費量を対応する流体供給源の流体消費量計数手段に計数する第2計数ステップと、クリーニング手段が前記2段目のクリーニングを実行する第2クリーニング実行ステップと、を備え、以下、クリーニングがN段目(Nは2以上の自然数)まである場合、第N計数ステップと、第Nクリーニング実行ステップとを終えるまで、各段の計数ステップと、クリーニング実行ステップとを順番に繰り返すことを要旨とする。この発明によれば、上記流体噴射装置に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【0023】
本発明は、流体を噴射する流体噴射手段を有する流体噴射装置が備えるコンピューターが前記流体噴射手段のクリーニングを行うためのクリーニング処理を実行するためのプログラムであって、前記流体噴射手段の複数のノズルを複数の群に分割した複数のノズル群のうち二以上のノズル群をクリーニング対象とする複数のクリーニングを実施時期をずらして複数段で行う場合、コンピューターが1段目のクリーニングの流体消費量を演算し、当該演算した流体消費量を流体消費量計数手段に計数する第1計数ステップと、コンピューターがクリーニング手段を制御して前記1段目のクリーニングを実行する第1クリーニング実行ステップと、コンピューターが前記2段目のクリーニングの流体消費量を演算し、当該演算した前記流体消費量計数手段に計数する第2計数ステップと、コンピューターが前記クリーニング手段を制御して前記2段目のクリーニングを実行する第2クリーニング実行ステップと、を備え、以下、クリーニングがN段目(Nは2以上の自然数)まである場合、コンピューターが第N計数ステップと、第Nクリーニング実行ステップとを実行し終えるまで、各段の計数ステップと、クリーニング実行ステップとを順番に繰り返すように実行することを要旨とする。この発明によれば、上記流体噴射装置に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態におけるプリンターの斜視図。
【図2】メンテナンス装置の模式側断面図。
【図3】バルブユニットの選択動作を説明する模式平断面図。
【図4】(a),(b)バルブユニットのチューブを潰す様子を示す模式側面図。
【図5】(a)〜(c)バルブユニットの各切換位置を示す模式正断面図。
【図6】プリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図7】クリーニングシーケンスのタイミングチャート。
【図8】マニュアル用判定テーブルを示す図。
【図9】タイマー用判定テーブルを示す図。
【図10】インク消費量参照テーブルを示す図。
【図11】マニュアルクリーニング時のCL管理カウンター値の一例を示すテーブル図。
【図12】クリーニング処理ルーチンを示すフローチャート。
【図13】第2実施形態におけるノズル検査装置を示す模式側断面図。
【図14】クリーニングシーケンスのタイミングチャート。
【図15】インク消費量参照テーブルを示す図。
【図16】クリーニング処理ルーチンを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明をインクジェット式プリンターに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1に示すように、流体噴射装置としてのインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター11」という)は、例えばホスト装置100と通信可能に接続されて用いられる。ホスト装置100は、その本体101内にプリンタードライバーPDを備える。プリンタードライバーPDは、ユーザーが入力装置102を操作して入力した印刷条件に基づいて例えばモニター103に表示された画像を印刷対象としてその画像データに対して、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理等の各種処理を順次施して、CMYK表色系の印字データ(イメージデータ)を生成する。そして、プリンタードライバーPDは、印字データに印刷制御コマンドをヘッダーとして付した印刷データをプリンター11へ送信する。プリンター11はホスト装置100から受信した印刷データに基づき画像等の印刷を行う。
【0027】
図1に示すプリンター11はシリアルプリンターであり、略矩形箱状をなすフレーム12を備えている。フレーム12内の下部には、その長手方向である主走査方向Xに沿ってプラテン13が延設されている。プラテン13上には、フレーム12の背面下部に設けられた紙送りモーター14の駆動に基づき、図示しない紙送り機構により記録用紙Pが後方側から前方側に向かう副走査方向Yへ給送されるようになっている。
【0028】
フレーム12内におけるプラテン13の上方には、該プラテン13の長手方向に沿ってガイド軸15が架設されている。ガイド軸15には、該ガイド軸15の軸線方向に沿って往復移動可能にキャリッジ16が支持されている。すなわち、キャリッジ16の支持孔16aにガイド軸15が挿通されることにより、キャリッジ16がガイド軸15によって主走査方向Xに往復移動可能に支持されている。
【0029】
フレーム12の後壁内面におけるガイド軸15の両端部と対応する位置には、駆動プーリー17a及び従動プーリー17bが回転自在に支持されている。駆動プーリー17aにはキャリッジ16を往復移動させる際の駆動源となるキャリッジモーター18の出力軸が連結されており、これら一対のプーリー17a,17b間には一部がキャリッジ16に連結された無端状のタイミングベルト17が掛装されている。従って、キャリッジ16は、ガイド軸15にガイドされながら、キャリッジモーター18の駆動力により無端状のタイミングベルト17を介して主走査方向Xに移動可能になっている。
【0030】
キャリッジ16の下面には流体噴射手段としての記録ヘッド19が設けられており、キャリッジ16上には記録ヘッド19に対して流体としての複数色(本実施形態では、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色)のインクをそれぞれ供給するためのインクカートリッジ20K,20C,20M,20Yが着脱可能に装着されている。
【0031】
図2に示すように、記録ヘッド19の下面には、複数(例えば180個)のノズル22が副走査方向Yに1列又は千鳥配置で並んでなる複数列(本実施形態では4列)のノズル列23A〜23Dが主走査方向Xに並設されている。各ノズル列23A〜23Dは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの各インクを噴射するためのものである。
【0032】
そして、各インクカートリッジ20K,20C,20M,20Yから記録ヘッド19内へ供給されたインクは、記録ヘッド19内にノズル22毎に1つずつ設けられた図示しない噴射駆動素子の駆動により、それぞれ対応するインク色のノズル列23A〜23Dの各ノズル22からそれぞれ噴射されるようになっている。なお、噴射駆動素子は、例えば圧電駆動素子又は静電駆動素子を採用するが、サーマル方式の記録ヘッドに適用する場合はノズル通路内のインクを加熱するヒーターでもよい。
【0033】
また、図1に示すように、プリンター11には、キャリッジ16の移動距離に比例する数のパルスを出力するリニアエンコーダー24がガイド軸15に沿って延びるように架設されている。リニアエンコーダー24の出力パルスを用いて求められるキャリッジ16の移動位置、移動方向及び移動速度に基づいて、キャリッジ16の速度制御及び位置制御は行われる。
【0034】
そして、キャリッジ16を主走査方向Xに往復動させながら記録ヘッド19のノズル22から記録用紙Pに向けてインクを噴射する印字動作と、記録用紙Pを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する紙送り動作とを略交互に繰り返すことで、記録用紙Pに文字や画像等の印刷が施されるようになっている。この場合、ノズル列23A,23B,23C,23Dを構成する各ノズル22からは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの各インクが噴射される。なお、以下の説明において、インクカートリッジ20K,20C,20M,20Yの色を特に区別する必要のない場合には、インクカートリッジ20と記すことにする。
【0035】
また、フレーム12内のプラテン13の配置領域にほぼ対応する印刷領域に対し主走査方向Xに外側へ外れた一端部(図1では右端部)に位置する非印刷領域が、メンテナンス領域MAになっている。このメンテナンス領域MAには、記録ヘッド19のノズルの目詰まり等を予防・解消するためのクリーニング等を行うメンテナンス装置25が設けられている。
【0036】
図1に示すメンテナンス装置25は、記録ヘッド19のノズル内のインクの増粘や乾燥を防止する蓋体として機能するキャップ26と、キャップ26を昇降させる昇降機構27と、クリーニングの対象とするノズル列を選択するバルブユニット28とを備える。キャップ26は、キャリッジ16が印刷を行っていないときに待機するホーム位置(ホームポジション)に位置した際のその直下に位置している。キャップ26は、昇降機構27の駆動により、記録ヘッド19の下面に当接するキャッピング位置と、記録ヘッド19から離間する退避位置との間を昇降駆動される。昇降機構27は、本例ではキャリッジ16がホーム位置へ移動する過程で係合し押し込む力で後述のスライダーを斜め上方へ移動させることでその上面に配置されたキャップ26を上昇させ、キャリッジ16がホーム位置から離れると、バネの付勢力によりスライダーが元の位置へ復帰することでキャップ26が下降する機械式を採用する。もちろん、昇降機構27は、紙送りモーター14などの動力源を利用してキャップ26を昇降駆動させる電動式でもよい。
【0037】
図2は、メンテナンス装置の構成を説明する模式断面図である。図2に示すメンテナンス装置25は、キャップ26が記録ヘッド19のノズル形成面19aをキャップした状態でキャップ26内に吸引力を及ぼしてその内部空間を負圧にすることで、ノズル22からインクを強制的に吸引排出させるクリーニングを行う。このクリーニングは、キャップ26内を負圧にしてノズル22からインクを吸引排出させる吸引動作と、キャップ26内を大気に開放した状態でキャップ26内に吸引力を及ぼしてキャップ26内に溜まった廃インクを排出する空吸引動作とを含む。吸引動作及び空吸引動作によりキャップ26から吸引された廃インクはプラテン13(図1参照)の下側に配置された廃液タンク29へ排出される。
【0038】
図2に示すように、キャップ26は、隔壁30を挟んで区画された第1キャップ部31と第2キャップ部32とを有している。キャップ26が記録ヘッド19に当接した状態において、第1キャップ部31が黒(K)用のノズル列23Aを囲みながら記録ヘッド19との間で第1キャップ内空間31aを形成すると共に、第2キャップ部32がカラー用の3色(シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))のノズル列23B〜23Dを囲みながら記録ヘッド19との間で第2キャップ内空間32aを形成するようになっている。なお、本実施形態では、第1キャップ部31によりキャッピングされる黒用のノズル列23Aを黒ノズル列23Aと称し、第2キャップ部32によりキャッピングされるカラー3色のノズル列23B〜23Dをまとめてカラーノズル列23Lと称する場合がある。また、黒ノズル列23Aに属するノズル22を黒ノズル22A、カラーノズル列23Lに属するノズル22をカラーノズル22Lとそれぞれ称する場合がある。なお、本実施形態では、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lとがそれぞれノズル群に相当する。
【0039】
第1キャップ部31の底壁から下方に向かって突設された第1管部26aに接続された第1排出チューブ33と、第2キャップ部32の底壁から下方に向かって突設された第2管部26bに接続された第2排出チューブ34は、バルブユニット28に挿通されている。これら2本の排出チューブ33,34は、バルブユニット28より下流側の中間部で1本に合流し、その合流した1本の第2排出チューブ34の合流点Gよりも下流側の位置には吸引ポンプ35が配設されている。本実施形態では、吸引ポンプ35はチューブポンプにより構成されており、その内部の不図示のローラーが転動しながらポンプ内を周回して、第2排出チューブ34を一方向に沿って扱くことで、キャップ26側から廃液タンク29側へ向かってチューブ内の空気を追い出すことにより吸引動作を行う。よって、吸引ポンプ35が駆動された場合、両排出チューブ33,34内が同時に吸引されるようになっている。吸引ポンプ35は、チューブポンプに限定されず、例えばギヤポンプ、ベローズ式ポンプ、ダイヤフラム式ポンプ、ピストン式ポンプ等の他の駆動方式のポンプを採用してもよい。なお、廃液タンク29内には、図3に示すように、廃インクを吸収して保持する廃インク吸収材29aが収容されている。また、図2においては、理解を容易にするために、キャップ26に対してバルブユニット28を少し主走査方向X(図2における右側)へずらして描いている。
【0040】
本実施形態では、バルブユニット28により両排出チューブ33,34のうち一方の閉塞が可能になっている。バルブユニット28は、両排出チューブ33,34を挿通された状態で支持するベース本体41と、このベース本体41に対してその上部を主走査方向Xに沿ってスライド可能に組み付けられたスライダー42と、スライドしたスライダー42にベース本体41の略真上で重なる待機位置へ復帰するための付勢力を与えるコイルばね43とを有している。スライダー42の上面においてキャリッジ16のホーム位置へ向かう移動方向先側となる一端部にはロッド状の係合部42aが上方へ延びるように突出している。キャリッジ16はホーム位置へ移動する過程で係合部42aと係合することで、スライダー42を主走査方向Xにコイルばね43の付勢力に抗してスライドさせることが可能になっている。
【0041】
印刷領域PAからホーム位置に移動して停止したキャリッジ16を、印刷領域PA側へ戻る方向を往路としてメンテナンス領域MA内を主走査方向Xに往復移動させることにより、スライダー42を往復移動させることが可能となっている。このスライダー42の往復移動回数によって両排出チューブ33,34のうち一方を閉塞する選択が可能になっている。詳しくは、キャリッジ16を印刷領域PA側から移動させてホーム位置に停止させたとき(つまりスライダー42を主走査方向Xにおける一方向へ移動させただけのとき)は、両排出チューブ33,34が共に開放される。また、この状態からキャリッジ16が一往復移動してスライダー42の往復移動回数が「1回」のときは、第1排出チューブ33が閉塞されると共に第2排出チューブ34が開放される。さらに、この状態からキャリッジ16がさらに一往復移動して(つまり2回往復移動して)スライダー42の往復移動回数が「2回」のときは、第1排出チューブ33が開放されると共に第2排出チューブ34が閉塞されるようになっている。
【0042】
そして、キャップ26が記録ヘッド19に当接した状態で吸引ポンプ35を駆動することで、両排出チューブ33,34のうち開放された少なくとも1本のチューブに連通するキャップ部の内部空間が負圧になる。各ノズル列23A〜23Dのうち内部空間が負圧になったキャップ部で囲まれたノズル列の各ノズル22(図2参照)からその負圧により増粘したインクや気泡等が吸引排出される。
【0043】
図3は、バルブユニットのスライダーを外したベース本体41を示す平面図である。図3におけるピン部45は、スライダー42の内底面上に水平面内での揺動が可能な状態で支持されたアーム部材46(図4、図5を参照)の揺動先端部から下方に向かって突出しているものである。
【0044】
ベース本体41の上面側には、ピン部45を案内するための凹部50が形成されている。凹部50は、互いに平行に並んで主走査方向Xに沿って延びる3本の凹状の袋小路部51,52,53を有している。スライダー42がコイルばね43の付勢力で戻った待機位置にあるときに、ピン部45は凹部50内の図3における待機位置Wに配置される。
【0045】
凹部50内において各袋小路部51,52の待機位置W側近傍には、各袋小路部51,52と対応するように、平面視で平行四辺形状をなすと共に袋小路部51,52の幅とほぼ等しい間隔(間隙)を隔てた柱状の第1誘導部55及び第2誘導部56がそれぞれ突設されている。
【0046】
各誘導部55,56における袋小路部51,52と対向する側面は、図3における平面視で左斜め上方へ向かって延びるカム面55a,カム面56aになっている。3本の袋小路部51〜53を隔てる2つの隔壁の各端面は、図3における平面視で右斜め上方へ向かって延びる斜面に形成されたカム面57,58となっている。また、図3において、凹部50における両誘導部55,56に対して待機位置W側となる壁面は、待機位置Wに向かって斜めの斜面になったカム面59となっている。
【0047】
袋小路部52,53の底壁のほぼ全体が下方に開口している。ベース本体41には、袋小路部52の開口に相当する下側の位置に第1押圧部材61が配置され、袋小路部53の開口に相当する下側の位置に第2押圧部材62が配置されている。袋小路部52,53内には各押圧部材61,62の上部に形成された突出部63が開口から上方(図3では紙面手前方向)へ突出した状態にある。
【0048】
キャリッジ16が印刷領域PAからホーム位置に移動したとき、スライダー42のピン部45は待機位置Wから非閉塞位置Aに配置される。この状態からスライダー42が一往復移動すると、ピン部45は袋小路部51から外側へ出てカム面55a、57に案内されて袋小路部52に入ることで閉塞位置Bに配置される。さらに、この状態からスライダー42が一往復移動すると、ピン部45は袋小路部52から外側へ出てカム面56a、58に案内されて袋小路部53に入ることで閉塞位置Cに配置される。
【0049】
図4は、アーム部材及び押圧部材を示す側面図である。図4(a)はピン部が袋小路部の外側に位置するときの状態、図4(b)はキャリッジがホーム位置に停止しピン部が袋小路部内に位置するときの状態を示している。
【0050】
図4に示すように、両押圧部材61,62は、ブロック状の本体部65を備えており、その本体部65の上部には前述の突出部63がそれぞれ形成されている。突出部63の上面63aは水平になっており、該上面63aの図4における左側には該上面63aと隣接すると共に上面63aに向かって上昇する斜面63bが形成されている。また、本体部65の下面には、下方に向かって突出する凸条66が設けられている。第1押圧部材61の凸条66は第1排出チューブ33の上面にほぼ当接し、第2押圧部材62の凸条66は第2排出チューブ34の上面にほぼ当接している。
【0051】
図4(a)に示す状態からスライダー42が同図における矢印方向へ移動すると、ピン部45が第1押圧部材61(又は第2押圧部材62)の突出部63の斜面63bを摺動し、ピン部45はその摺動に伴って徐々に第1押圧部材61(又は第2押圧部材62)を下方に向かって押し下げる。そして、図4(b)に示すようにピン部45が突出部63の上面63aに乗り上げた状態では、ピン部45が完全に第1押圧部材61(又は第2押圧部材62)を押し下げている。この状態では、第1押圧部材61(又は第2押圧部材62)の凸条66が第1排出チューブ33(又は第2排出チューブ34)を完全に押し潰してこれを閉塞している。
【0052】
図5は、一対の押圧部材が排出チューブの閉塞を選択する構成を説明する模式正面図である。図5(a)に示すように、ピン部45が袋小路部51内の非閉塞位置Aにあるときは、ピン部45は第1押圧部材61と第2押圧部材62とのいずれとも係合せず、両押圧部材61,62は共に上方位置に保持されているので、両排出チューブ33,34は共に開放状態とされる。
【0053】
図5(b)に示すように、ピン部45が袋小路部52内の閉塞位置Bにあるときは、ピン部45が第1押圧部材61の突出部63の上面63aに乗り上げてこれを押し下げているため、第1押圧部材61の凸条66が第1排出チューブ33を完全に押し潰しこれを閉塞している。このため、ピン部45が閉塞位置Bにあるときは、第1排出チューブ33が閉塞されると共に第2排出チューブ34が開放される。
【0054】
さらに、図5(c)に示すように、ピン部45が袋小路部53内の閉塞位置Cにあるときは、ピン部45が第2押圧部材62の突出部63の上面63aに乗り上げてこれを押し下げているため、第2押圧部材62の凸条66が第2排出チューブ34を完全に押し潰しこれを閉塞している。このため、ピン部45が閉塞位置Cにあるときは、第1排出チューブ33が開放されると共に第2排出チューブ34が閉塞される。なお、ピン部45が袋小路部52,53から離脱すると、それまでピン部45に押し下げられていた押圧部材61又は62は、弾性復元力によって元の形状に復元する排出チューブ33又は34によって押し上げられて元の位置に戻るようになっている。
【0055】
次に、プリンター11の電気的構成について説明する。図6は、プリンターの電気的構成を示すブロック図である。図6に示すように、プリンター11はコントローラー70を備える。コントローラー70は、コンピューター71(マイクロコンピューター)、ヘッド駆動回路72、モーター駆動回路73,74を備える。また、コンピューター71には、電源スイッチ等を含む操作部76及びリニアエンコーダー24などの入力系と、表示部77などの出力系とが接続されている。コンピューター71は、CPU、ROM、RAM及び不揮発性メモリーなどを備え、必要に応じてASIC(Application Specific IC(特定用途向けIC))を備える。
【0056】
図6では、コンピューター71の機能構成を示している。すなわち、コンピューター71は、主制御部81、クリーニング条件判定部82、演算部83、表示制御部84、不揮発性メモリー85及びイメージバッファー86を備える。さらに、コンピューター71は、黒用及びカラー用の各クリーニング管理カウンター(以下、CL管理カウンター87,88と記す)、黒用及びカラー用の各クリーニングタイマー89,90及び各色(黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y))のインク消費量カウンター91〜94をそれぞれ備える。
【0057】
図6に示す主制御部81、クリーニング条件判定部82、演算部83及び表示制御部84は、ROM又は不揮発性メモリー85に記憶されたプログラムをCPUが実行することにより構成される機能部分である。このプログラムには、図12にフローチャートで示すクリーニング処理ルーチンのプログラムや、紙送りモーター14、キャリッジモーター18及び記録ヘッド19を駆動制御する各種制御プログラム(ファームウェア等)なども含まれる。また、不揮発性メモリー85には、クリーニング条件判定部82がクリーニング条件を判定するために参照するテーブルデータ(図8、図9等)や、演算部83がインク消費量の算出のための各種演算を行う際に参照するテーブルデータ(図10等)が記憶されている。
【0058】
主制御部81は、プリンター11における各種制御を司り、操作パネル系、通信系、給紙系、搬送系、記録系及びメンテナンス系の各種の制御を行う。主制御部81は、例えばホスト装置100(例えばパーソナルコンピューター)(図1参照)から受信した印刷データ中の印字データ(イメージデータ)をヘッド駆動回路72へ出力することで記録ヘッド19の印字動作を制御する。このとき、記録ヘッド19に内蔵された不図示の各噴射駆動素子が印字データに基づき駆動されることで対応するノズル22からインク滴が噴射される。イメージバッファー86は、印字データを展開及び蓄積するためメモリー領域であり、例えばRAMの一部のメモリー領域が使用される。ヘッド駆動回路72へ出力(転送)される印字データはこのイメージバッファー86に一旦蓄積される。
【0059】
また、主制御部81は、モーター駆動回路73を介してキャリッジモーター18を駆動制御する。さらに主制御部81は、モーター駆動回路74を介して紙送りモーター14を駆動制御する。紙送りモーター14が正転駆動されると、給送系や搬送系の各種ローラーが回転駆動して用紙Pの給紙・紙送り・排紙が行われ、紙送りモーター14が逆転駆動されると、吸引ポンプ35のポンプピング動作が行われる。なお、吸引ポンプ35と給送系・搬送系との動力源は別々に設けてもよい。
【0060】
図6に示すCL管理カウンター87,88は、ホスト装置100のモニター103に表示させた印刷設定画面で、ユーザーが入力装置102を操作してヘッドクリーニングを指示した際、あるいはユーザーが操作部76を操作してヘッドクリーニングを指示した際に行われるマニュアルクリーニングの実施回数を計数するためのものである。ここで、本実施形態では、黒ノズル22Aのクリーニングとカラーノズル22Lのクリーニングとのうち少なくとも一方を選択操作してクリーニングを指示することが可能になっている。黒用CL管理カウンター87は黒ノズル22Aのクリーニング実施回数を計数し、カラー用CL管理カウンター88はカラーノズル22Lのクリーニング実施回数を計数する。但し、各CL管理カウンター87,88は、所定時間内に連続的に実施されたマニュアルクリーニングの実施回数を計数するものであり、所定時間が経過するとその計数値が初期値の「1」にリセットされるようになっている。さらにCL管理カウンター87,88の計数可能な実施回数は最大値(本例では「3」)までとなっており、その最大値の次はその計数値が初期値「1」に戻るようになっている。
【0061】
図6に示すクリーニングタイマー89,90は、前回のクリーニング(インク吸引動作)終了時点からの経過時間tを計時し、その計時時間tが複数(本例では例えば3つ)の設定時間のうち一つに達すると、主制御部81にその設定時間に達した旨を通知する。そして、その通知を受け付けた主制御部81は、その達した設定時間に応じた強さのクリーニング(タイマークリーニング)を実施する。このとき、黒用クリーニングタイマー89は黒ノズル列23Aのクリーニングに関する経過時間tを計時し、カラー用クリーニングタイマー90はカラーノズル列23Lのクリーニングに関する経過時間tを計時する。本実施形態では、3つの設定時間T1,T2,T3が、例えば1日〜20日の範囲内においてT1<T2<T3の関係を満たすようにそれぞれ設定されている。
【0062】
主制御部81は、ホスト装置100からの通信又は操作部76からの操作信号によりマニュアルクリーニングの指示を受け付けたとき、あるいはクリーニングタイマー89,90のうち少なくとも一方から設定時間に達した旨の通知を受け付けたときに、クリーニング条件判定部82にクリーニング条件の判定を指示する。
【0063】
クリーニング条件判定部82は、マニュアルクリーニングの場合と、タイマークリーニングの場合とで、別々の判定方法によって、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの各クリーニングに適用すべきクリーニング種類(クリーニング強度)を判定する。
【0064】
図8は、マニュアルクリーニング時のクリーニング種類を決めるために参照するマニュアル用判定テーブルである。クリーニング条件判定部82は、CL管理カウンター87,88の計数値に基づき図8に示すマニュアル用判定テーブルMTを参照してクリーニング種類を決定する。このマニュアル用判定テーブルMTは、CL管理カウンター87,88の計数値(CL管理カウンター値)とクリーニング種類との関係を示すテーブルデータである。クリーニング条件判定部82は、CL管理カウンター87,88の計数値が「1」であれば、マニュアル用判定テーブルMTを参照し、適用すべきクリーニング種類を「弱クリーニング(CL1)」と判定する。同様に、クリーニング条件判定部82は、CL管理カウンター87,88の計数値が「2」であれば、適用すべきクリーニング強度を「中クリーニング(CL2)」と判定し、さらにその計数値が「3」であれば、適用すべきクリーニング強度を「強クリーニング(CL3)」と判定する。つまり、所定時間内におけるマニュアルクリーニングの実施回数が多くなるほど、クリーニング強度が高くなるように設定されている。但し、CL管理カウンター87,88は最大値「3」の次に初期値に戻るので、クリーニング強度を徐々に高くしつつ連続3回のマニュアルクリーニングを実施した後は、弱クリーニングに戻るようになっている。
【0065】
図9は、タイマークリーニング時のクリーニング種類を決めるために参照するタイマー用判定テーブルである。図9に示すように、タイマー用判定テーブルTTは、経過時間tが達した設定時間T1,T2,T3とクリーニング種類CL1,CL2,CL3との関係を示すテーブルデータである。クリーニング条件判定部82は、経過時間tが達した設定時間がT1(T1≦t<T2)であれば、タイマー用判定テーブルTTを参照し、適用すべきクリーニング種類を「弱クリーニング(CL1)」と判定する。同様に、クリーニング条件判定部82は、経過時間tが達した設定時間がT2(T2≦t<T3)であれば、適用すべきクリーニング種類を「中クリーニング(CL2)」と判定し、さらに経過時間tが達した設定時間がT3(T3≦t)であれば、適用すべきクリーニング種類を「強クリーニング(CL3)」と判定する。つまり、クリーニング条件判定部82は、前回のクリーニング終了時点からの経過時間tが長くなるほど段階的に強いクリーニングを適用する。
【0066】
主制御部81は、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lのうちクリーニングを行うべきノズル列を決める。主制御部81は、マニュアルクリーニングの際は、ホスト装置100からユーザーにより指示されたノズル列を、クリーニングを行うべきノズル列と決める。また、主制御部81は、タイマークリーニングの際は、黒用とカラー用のクリーニングタイマー89,90のうち、経過時間tが設定時間に達したものと対応する色(黒とカラー)のノズル列を、クリーニングを行うべきノズル列と決める。このとき、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの両方をクリーニング対象ノズル列と決めた場合、両ノズル列23A,23Lのクリーニング種類(強度)が同じであれば、主制御部81は両クリーニングを一緒に1段で行う。一方、両ノズル列23A,23Lのクリーニング種類が異なる場合は、各ノズル列23A,23Lのクリーニングを各々の実施時期をずらして複数段(本例では2段)で行う。
【0067】
本実施形態では、1段目のクリーニングをCLAとし、2段目のクリーニングをCLBとしている。そして、主制御部81は、CLAには1段目のクリーニング種類を設定し、CLBには2段目のクリーニング種類を設定する。主制御部81は、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lが同じクリーニング種類である場合、CLAにそのクリーニング種類を設定する。そして、主制御部81は、キャリッジモーター18を駆動制御してキャリッジ16にピン部45を非閉塞位置Aに配置する選択動作を行わせた後、CLAのクリーニングのみ実施する。この処理の結果、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの両クリーニングが、CLAに設定されたクリーニング種類で一緒に1段で行われる。
【0068】
また、カラーノズル列23Lのクリーニングのみを実施する場合は、CLAにそのクリーニング種類を設定し、キャリッジ16にピン部45を閉塞位置Bに配置する選択動作を行わせた後、CLAのクリーニングを実施する。この処理の結果、CLAに設定されたクリーニング種類でカラーノズル列23Lのクリーニングのみ行われる。さらに、黒ノズル列23Aのクリーニングのみを実施する場合は、CLAにそのクリーニング種類を設定し、キャリッジ16にピン部45を閉塞位置Cに配置する選択動作を行わせた後、CLAのクリーニングを実施する。この処理の結果、CLAに設定されたクリーニング種類で黒ノズル列23Aのクリーニングのみ行われる。
【0069】
また、主制御部81は、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの各クリーニング種類が異なる場合、CLAにカラーノズル列23Lのクリーニング種類を設定すると共に、CLBに黒ノズル列23Aのクリーニング種類を設定する。そして、主制御部81は、まずキャリッジ16にピン部45を閉塞位置Bに配置する選択動作を行わせた後、CLAに設定されたクリーニング種類でクリーニングを実施し、次にキャリッジ16にピン部45を閉塞位置Cに配置する選択動作を行わせた後、CLBに設定されたクリーニング種類でクリーニングを実施する。この処理の結果、1段目にカラーノズル列23LのクリーニングがCLAに設定されたクリーニング種類で行われ、2段目に黒ノズル列23AのクリーニングがCLBに設定されたクリーニング種類で行われる。
【0070】
また、インク消費量カウンター91〜94は、インク色の異なるノズル列23A〜23D毎のインク消費量をそれぞれ計数する。つまり、インク消費量カウンター91〜94は、インク色の異なるインクカートリッジ20K,20C,20M,20Y毎のインク消費量を計数する。
【0071】
演算部83は、所定のタイミング毎に各色のインク消費量の演算を行う。演算部83は、記録ヘッド19の噴射によるインク消費量と、記録ヘッド19に対するクリーニングによるインク消費量とを演算する。詳しくは、演算部83は、色別のドットカウンター(図示省略)を内蔵し、各ドットカウンターの計数値に基づいて色別にインク消費量を演算する。各ドットカウンターはイメージバッファー86の色別の領域に格納された対応する色の印字データ(イメージデータ)を入力可能に構成され、入力したデータ値(0/1)に応じてドットの数を計数する計数処理を行う。本実施形態の印字データは、記録ヘッド19が大・中・小の3種類のドットを形成できるように、大ドットが「11」、中ドットが「10」、小ドットが「01」、無ドットが「00」の値をとる。各ドットカウンターは、小ドット、中ドット、大ドットを個別に計数する。そして、演算部83は、ドットカウンターの計数値を所定のタイミング毎に読み出し、ドットサイズ別の各計数値に、ドットサイズ別の係数をそれぞれ乗じることでドットサイズ毎のインク消費量を演算し、これらをインク色別に全て加算して各インク色のインク消費量を演算する。そして、演算部83は、各インク色のインク消費量をインク消費量カウンター91〜94に加算する。
【0072】
また、演算部83は、メンテナンス装置25がクリーニングを行うとき、そのクリーニング種類に応じたインク消費量を求める。このとき、演算部83は、図10に示すインク消費量参照テーブルCTを参照してクリーニング種類に応じたインク消費量を求める。図10に示すように、インク消費量参照テーブルCTは、クリーニング種類とインク消費量との対応関係を示すテーブルデータであり、例えば実験やシミュレーションなどによって予め求められている。図10に示すように、クリーニング種類には、弱クリーニング、中クリーニング、強クリーニング、カートリッジ交換クリーニング、初期充填があり、それぞれに対応するインク消費量Q1,Q2,Q3,Q4,Q5が設定されている。
【0073】
ここで、「初期充填」とは、はじめてプリンター11を使用する際にインクカートリッジ20と記録ヘッド19のノズルとの間のインク流路にインクを充填させることを目的として行われるインク吸引動作である。また、「インクカートリッジ交換クリーニング」とは、インクカートリッジ20を交換する際に交換口からインク中に混入した虞のある気泡等をインク流路から除去する目的で行われるクリーニングである。なお、初期充填及びカートリッジ交換クリーニングの各判定条件情報は、予め不揮発性メモリー85に記憶されており、クリーニング条件判定部82がこれらの判定条件に基づいて、初期充填を行うべきか、あるいはインクカートリッジ交換クリーニングを行うべきかをそれぞれ判定する。
【0074】
演算部83は、メンテナンス装置25がクリーニングを行う前に主制御部81からクリーニング対象のノズル列とクリーニング種類の情報を取得する。そして、演算部83は、クリーニング種類に応じたインク消費量を、図10に示すインク消費量参照テーブルCTを参照して取得し、その取得したインク消費量Qを、インク消費量カウンター91〜94のうちクリーニング対象の色のインク消費量カウンターに加算する。こうして、インク消費量カウンター91〜94は、各色のインクカートリッジ20K,20C,20M,20Yのインク消費量をそれぞれ計数する。
【0075】
なお、インク消費量カウンター91〜94の計数値であるインク消費量は、プリンター11の電源オフ時に、主制御部81によって、不揮発性メモリー85と各インクカートリッジ20の側面に実装された不図示のカスタマーサービス用ICのメモリーとに書き込まれる。そして、プリンター11の電源オン時には、主制御部81によって、各インクカートリッジ20のカスタマーサービス用ICのメモリーから読み出されたインク消費量の値が、インク消費量カウンター91〜94の計数値としてセットされる。このため、インクカートリッジ20が交換されても、インク消費量カウンター91〜94は交換後のインクカートリッジ20のインク消費量を計数できる。
【0076】
ホスト装置100からインク残量通知要求があると、主制御部81は、演算部83に各色のインク残量を演算させて、その演算させたインク残量をホスト装置100に通知する。このとき、演算部83は、インクカートリッジ20の満充填インク量からインク消費量カウンター91〜94の計数値を減算することで、各インクカートリッジ20のインク残量を演算する。主制御部81は、その演算したインク残量をホスト装置100に送信する。ホスト装置100のプリンタードライバーPDは、モニター103にインク残量を表示させる。
【0077】
主制御部81は、メンテナンス装置25(詳細は紙送りモーター14及びキャリッジモーター18)を駆動制御し、複数の工程を所定の順番で実施するクリーニングシーケンスを実行する。図7は、通常クリーニングのクリーニングシーケンスを示す。図7において横軸は時間、縦軸が吸引ポンプ駆動速度である。1回のクリーニングは主制御部81がクリーニングシーケンスを1回実行することで行われる。図7に示すのは、通常のクリーニング(弱(CL1)・中(CL2)・強(CL3)の3種類のクリーニング)のクリーニングシーケンスであり、本吸引動作→空吸引動作→微量吸引動作→空吸引動作を含む。主制御部81はこれらの一連の動作をクリーニングシーケンスによって実行することにより、弱・中・強の各クリーニングを実施する。ここで、クリーニングシーケンスは、クリーニング種類ごとに設定されており、クリーニング種類に応じた吸引ポンプ35の駆動速度及び駆動時間(駆動速度プロファイル)が設定されている。例えば、本吸引動作と微量吸引動作の各インク消費量Qm,Qsは、クリーニング強度が弱・中・強と高くなるほど、両者の比率を保ったまま増えるように設定されている。また、初期充填のクリーニングシーケンスは、一例として、本吸引(2回)→空吸引となっている。カートリッジ交換クリーニングのクリーニングシーケンスは、一例として、本吸引→空吸引となっている。なお、初期充填の他の例として、初期充填用のクリーニングシーケンスを2種類用意し、黒・カラー別々に各クリーニングシーケンスを実行して合計4段のクリーニングを行う構成も採用できる。例えば、本吸引(1回)→空吸引のシーケンスを更に追加し、4段のクリーニングにより、カラー本吸引(2回)→空吸引(1段目)→黒本吸引(2回)→空吸引(2段目)→カラー本吸引(1回)→空吸引(3段目)→黒本吸引(1回)→空吸引(4段目)の順で初期充填を行ってもよい。
【0078】
図6に示すように、メンテナンス装置25はスライダー方式の昇降機構27を備える。この昇降機構27は、フレーム96と、このフレーム96の傾斜した経路に沿ってスライド可能に支持されたスライダー97とを備え、このスライダー97上にキャップ26が支持されている。スライダー97の両側面から突設するガイドピン98はフレーム96に形成された斜状案内孔96aに移動自在に係入されている。また、スライダー97は斜め下方へ向かう方向へ引張りバネ99により付勢されている。スライダー97には、キャリッジ16から下方へ延出する係合部16bと係合可能な係合レバー97aが突設されており、キャリッジ16がホーム位置に戻る途中で係合部16bが係合レバー97aを主走査方向X(図6では右方向)に押すことにより、スライダー97は図6における右方へスライドしつつ上昇する。一方、キャリッジ16がホーム位置から印刷領域PA側へ移動すると、スライダー97が引張りバネ99の付勢力により図6における左方へスライドしつつ下降する。よって、メンテナンス装置25のキャップ26は、キャリッジ16がホーム位置に戻ると、記録ヘッド19に当接するキャッピング位置へ上昇し、キャリッジ16がホーム位置から離れると、記録ヘッド19から離間する退避位置へ下降する。
【0079】
また、キャリッジ16がホーム位置に到達する過程で、係合部42aを図6における右方へ押すことにより、バルブユニット28のスライダー42がベース本体41に対して図6における右方へスライドする。その後、必要に応じてキャリッジ16を、キャップ26をキャッピング高さに保持しうる範囲内のストロークで主走査方向Xに往復移動させることにより、バルブユニット28の切り換え(選択動作)が行われる。
【0080】
図6に示すリニアエンコーダー24は、キャリッジ16の軌道に沿って張設されると共に多数の光学的なスリットが一定ピッチで穿孔されたテープ状の符号板24Aと、キャリッジ16と共に移動しつつ符号板24Aに向けて略垂直に投光する投光器及びスリットを通過した光を受光する受光器を有する光学センサー24Bとを備える。リニアエンコーダー24は、キャリッジ16の移動量に応じた数のパルスをもつ位相の異なる2種類の検出信号(パルス信号)をコンピューター71に出力する。コンピューター71は、リニアエンコーダー24からの2種類のパルス信号を比較してキャリッジ16の移動方向(往動か復動か)を認識する。そして、コンピューター71は、リニアエンコーダー24からの各パルス信号のパルスエッジの数をキャリッジ16の往動時にインクリメント、復動時にデクリメントする位置カウンター(図示せず)を備え、この位置カウンターの計数値に基づき、キャリッジ16の原点位置(例えばホーム位置)を基準とする主走査方向Xにおける位置を把握する。そして、クリーニング時におけるバルブユニット28の選択動作を行うときのキャリッジ16の位置制御は、主制御部81が位置カウンターの計数値に基づきキャリッジモーター18を駆動制御することで行われる。
【0081】
主制御部81は、クリーニング実施前にそのクリーニングの予測されるインク消費量をインク消費量カウンター91〜94に事前に加算した後、そのクリーニングを実行する。ここでいうクリーニングは、クリーニングシーケンス1回分のクリーニングである。このため、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの各クリーニングを2段で行う場合は、インク消費量カウンター91〜94への予測されるインク消費量の加算処理は、1段毎のクリーニングの実施前に行う。例えば、黒ノズル列23Aのクリーニングを行うときには、そのときのクリーニング種類に応じたインク消費量Qを事前に黒用のインク消費量カウンター91に加算する。また、カラーノズル列23Lのクリーニングを行うときには、そのときのクリーニング種類に応じたインク消費量Qを事前にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用の各インク消費量カウンター92〜94にそれぞれ加算する。
【0082】
そして、主制御部81は、インク消費量カウンター91〜94へのクリーニング種類に応じたインク消費量の加算の後、そのクリーニング種類に応じたクリーニングシーケンスを実行する。主制御部81は、クリーニング種類に応じて設定された駆動速度プロファイルに従って紙送りモーター14を駆動制御することで、吸引ポンプ35を駆動制御する。ここで、吸引ポンプ35の駆動速度が高速になるほど吸引力は強くなり、駆動時間が長くなるほど吸引量が多くなる。例えば、弱クリーニングは吸引力が小さく吸引時間も短い。強クリーニングは吸引力が大きく吸引時間も長い。そして、中クリーニングは、吸引力と吸引時間とが、弱クリーニングと強クリーニングとの間の値に設定されている。そのため、クリーニング実行時に、主制御部81は、吸引ポンプ35がクリーニング強度に応じた回転速度及び駆動時間で吸引ポンプ35が駆動されるように、その動力源である紙送りモーター14を駆動制御する。
【0083】
コンピューター71(特に主制御部81)は、プリンター11の電源オン中において、所定時間間隔毎に図12に示すクリーニング処理ルーチンを実行する。以下、クリーニング処理について図12に従って説明する。ここで、クリーニングタイマー89,90の経過時間tが設定時間に達すると、クリーニングタイマー89,90から主制御部81へその旨が通知される。また、ユーザーがホスト装置100の入力装置102を操作して、あるいは操作部76を操作してマニュアルクリーニングを指示した際は、主制御部81はそのマニュアルクリーニングの指示を受け付ける。このとき、主制御部81は、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lのうちユーザーがマニュアルクリーニングの対象として選択したノズル列の情報(ノズル列情報)も通知される。
【0084】
まずステップS10では、初期充填を行うべきか否かを判断する。初期充填を行うべきと判断した場合(肯定判定の場合)はステップS20に進み、一方、初期充填を行うべきではないと判断した場合(否定判定の場合)はステップS30に進む。
【0085】
ステップS20では、初期充填をCLA、CLBに設定する。
一方、ステップS30では、カートリッジ交換クリーニングを行うべきか否かを判断する。カートリッジ交換クリーニングを行うべきと判断した場合(肯定判定の場合)はステップS40に進み、一方、カートリッジ交換クリーニングを行うべきではないと判断した場合(否定判定の場合)はステップS50に進む。
【0086】
ステップS40では、カートリッジ交換クリーニングをCLA、CLBに設定する。ここで、カートリッジ交換クリーニングの場合は、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lのうち、交換されたインクカートリッジ20のインク色が属するノズル列がクリーニング対象として決定される。カートリッジ交換クリーニングのクリーニングシーケンスは一例として、本吸引→空吸引となっている。なお、カートリッジ交換クリーニングの場合、黒とカラーの両方が対象の場合も、黒とカラー各色とでインク消費量は同じなので、1段のクリーニングが行われることになる。
【0087】
ステップS50では、マニュアルクリーニングの指示があったか否かを判断する。マニュアルクリーニングの指示があればステップS60に進み、その指示がなければステップS70に進む。
【0088】
ステップS60では、CL管理カウンター87,88の値に応じたクリーニング種類を、CLA、CLBに設定する。すなわち、主制御部81に指示されたクリーニング条件判定部82が、CL管理カウンター87,88の値を取得し、図8に示すマニュアル用判定テーブルMTを参照して、その取得したCL管理カウンター値に応じたクリーニング種類を判定(決定)する。例えばCL管理カウンター値が「1」であれば弱クリーニングと決定し、CL管理カウンター値が「2」であれば中クリーニングと決定し、さらにCL管理カウンター値が「3」であれば強クリーニングと決定する。このとき、本実施形態では、ユーザーはクリーニング対象のノズル列を選択してマニュアルクリーニングを行えるので、CL管理カウンター87,88の各値は同じであることもあれば異なることもある。このため、ユーザーが黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの両方を選択した場合、両者のクリーニング種類が同じ場合もあれば異なる場合もある。
【0089】
図11は、黒とカラーの各CL管理カウンター値の推移の一例を示し、同図の左側部分に、ユーザーがマニュアルクリーニングの対象として選択したノズル列の内容を示すノズル列情報(黒、カラー)が示されている。このノズル列情報(黒、カラー)は、マニュアルクリーニングの対象ノズル列が、黒(1、0)か、カラー(0、1)か、黒・カラーの両方(1、1)かを示している。そして、図11のその右側部分に、黒のCL管理カウンター値とその値に対応するクリーニング種類、及びカラーのCL管理カウンター値とその値に対応するクリーニング種類とが示されている。なお、図11は、同表の上からの順番の時系列で3回のマニュアルクリーニングを行った例である。
【0090】
図11に示すように、1回目のクリーニングで、黒・カラーの両ノズル列(ノズル列情報(1、1))を選択してマニュアルクリーニングを指示した場合、黒・カラーの各CL管理カウンター値が共に「1」なので、黒・カラー共にクリーニング種類が弱クリーニング(CL1)に決定される。このとき、黒・カラーでクリーニング種類が同じなので、黒・カラーの両クリーニングは一緒に1段で行われる。このため、(CLA,CLB)=(CL1,0)に設定される。このクリーニングの実施後、CL管理カウンター値に「1」が加算されるので、黒用とカラー用の各CL管理カウンター値は、共に「2」となる。
【0091】
次に2回目のクリーニングで、黒のみ(ノズル列情報(1、0))を選択して指示した場合、黒のCL管理カウンター値が「2」なので、黒が中クリーニング(CL2)に決定される。このため、(CLA,CLB)=(CL2,0)に設定される。このクリーニングの実施後、黒のCL管理カウンター値に「1」が加算される。その結果、2回目のクリーニング終了時点では、黒のCL管理カウンター値が「3」になり、カラーのCL管理カウンター値は「2」のままである。
【0092】
そして、3回目のクリーニングで、黒・カラーの両ノズル列(ノズル列情報(1、1))を選択して指示した場合、黒のCL管理カウンター値が「3」、カラーのCL管理カウンター値が「2」なので、黒が強クリーニング(CL3)、カラーが中クリーニング(CL2)にそれぞれ決定される。このとき、黒・カラーのクリーニング種類が異なるので、黒の強クリーニングとカラーの中クリーニングは別々に2段で行われる。このため、(CLA,CLB)=(CL3,CL2)に設定される。このクリーニングの実施後、黒・カラーの各CL管理カウンター値に「1」ずつ加算されるので、黒用のCL管理カウンター値は初期値の「1」に戻り、カラー用のCL管理カウンター値は「3」となる。このように、黒とカラーのノズル列を選択できることから、図11の例における3回目のクリーニングのように、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの各クリーニングでクリーニング種類(強度)が異なる場合が起こりうる。クリーニング種類の異なる2つのクリーニングは、実施時期をずらして複数段(2段)で実施される。
【0093】
ステップS60では、このようにマニュアルクリーニングの指示受け付け時に一緒に通知されるノズル列情報(黒、カラー)を参照しつつCL管理カウンター87,88の各値に基づいて、CLA、CLBにクリーニング種類を設定する。図11における1回目のクリーニングの例では、ノズル列情報(黒、カラー)=(1、1)であるので、両クリーニングを実施するが、各CL管理カウンター値が共に「1」で同じクリーニング種類(強度)なので、黒・カラーの両クリーニングを一緒に1段で行うことになる。この結果、CLAにCL1(弱クリーニング)を設定し(CLA=CL1)、CLBには何も設定しない(CLB=0)。また、図11における2回目のクリーニングの例では、ノズル列情報(黒、カラー)=(1、0)であるので、黒のクリーニングのみ実施し、黒のCL管理カウンター値が「2」なので、CLAにCL2(中クリーニング)を設定し(CLA=CL2)、CLBには何も設定しない(CLB=0)。さらに、図11における3回目のクリーニングの例では、ノズル列情報(黒、カラー)=(1、1)であるので、両クリーニングを実施するが、黒のCL管理カウンター値が「3」で、カラーのCL管理カウンター値が「2」であり、クリーニング種類(強度)が異なるので、黒・カラーの両クリーニングを2段に分けて行うことになる。この場合、CLAにCL2(中クリーニング)を設定し(CLA=CL2)、CLBにCL3(強クリーニング)を設定する(CLA=CL3)。
【0094】
ステップS70では、クリーニングタイマー89,90がタイムアップしたか否かを判断する。クリーニングタイマー89,90のうち一方でもタイムアップした場合は、肯定判定になり、この場合、ステップS80に進む。一方、クリーニングタイマー89,90のうちいずれもタイムアップしなかった場合は、否定判定になり、この場合、クリーニングを実施しない結論になるので、当該ルーチンを終了する。
【0095】
ステップS80では、タイムアップした設定時間に応じたクリーニング種類をCLA、CLBに設定する。本実施形態では、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lのうち一方のみを選択してマニュアルクリーニングが行われた際に、このマニュアルクリーニングの終了時点で、その選択されたノズル列に対応する一方のクリーニングマイマーの計時処理のみが開始される。このため、その後、黒・カラーのクリーニングタイマー89,90の各計時時間tが共に設定時間に達した場合、その達した設定時間が両者で異なる場合もある。このような場合は、CLAとCLBにそれぞれ異なるクリーニング種類が設定されることになる。
【0096】
以上(S10〜S80)でクリーニング条件に応じたクリーニング種類をCLA、CLBに設定する処理が終了する。
そして、ステップS90では、CLAを実行するか否かを判断する。ここで、CLAを実行するか否かの判断は、例えばCLA≠0であれば実行すると判断し、CLA=0であれば実行しないと判断する。CLAを実行する場合はステップS100に進む。一方、CLAを実行しない場合は、クリーニングを1段も実行しないことになるので、当該ルーチンを終了する。但し、図12のルーチンではCLA=0は原則起こり得ず、CLA=0のときはエラー時となる。
【0097】
ステップS100では、CLAのインク消費量を、インク消費量カウンターに加算する。詳しくは、CLAとは1段目のクリーニングを指すので、黒のみ又はカラーのみのクリーニングを行う場合と、黒とカラーの両クリーニングを同じ強度で一緒に行う場合とがある。そのため、ノズル列情報(黒、カラー)を参照する。そして、CLAに設定されたクリーニング種類に応じたインク消費量を、(黒、カラー)=(1、0)であれば黒のインク消費量カウンター91のみに加算し、(黒、カラー)=(0、1)であればカラーのインク消費量カウンター92〜94のみに加算する。また、(黒、カラー)=(1、1)かつCLB=0であれば黒とカラーを一緒に1段のクリーニングで行うことになるので、CLAに設定されたクリーニング種類に応じたインク消費量を、全色のインク消費量カウンター91〜94に加算する。さらに、(黒、カラー)=(1、1)かつCLB≠0であれば2段でクリーニングを行うことになるので、CLAに設定されたクリーニング種類に応じたインク消費量を、黒のインク消費量カウンター91のみに加算する。
【0098】
ここで、インク消費量Qは、CLAに設定されたクリーニング種類に基づき図10に示すインク消費量参照テーブルCTを参照して取得する。CLAに設定されたクリーニング種類が、例えば弱クリーニングであればインク消費量Q1を取得し、中クリーニングであればインク消費量Q2を取得し、さらに強クリーニングであればインク消費量Q3を取得する。また、初期充填は、1回のクリーニングシーケンスが本吸引(2回)→空吸引となっており、黒とカラーを別々に2段のクリーニングで行う(CLA≠0かつCLB≠0)。この場合、本吸引2回分を合計したインク消費量を、図10における初期充填のインク消費量Q5として取得する。よって、初期充填の場合は、カラー各色のインク消費量カウンター92〜94のみにインク消費量Q5を加算する。また、カートリッジ交換クリーニングの場合は、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lのうち、交換されたインクカートリッジ20のインク色が属するノズル列がクリーニング対象になるので、そのクリーニング対象のノズル列に対応する色のインク消費量カウンターにインク消費量Q4を加算する。このとき、カラー1色のインクカートリッジが交換されただけでも、カラー各色のインク消費量カウンター92〜94にインク消費量Q4を加算する。なお、複数段でクリーニングを行う場合におけるステップS100の処理が、第1計数ステップに相当する。
【0099】
次のステップS110では、CLAを実行する。このCLAは、ノズル列情報(黒、カラー)と、CLA、CLBに設定されたクリーニング種類の情報とに基づいて実行する。詳しくは、主制御部81は、ノズル列情報(黒、カラー)=(0、1)であれば、カラーのキャップ部32のみ吸引可能な閉塞位置Bにピン部45が配置されるようにバルブユニット28の選択動作を行う。さらに、(黒、カラー)=(1、0)であれば、黒のキャップ部31のみ吸引可能な閉塞位置Cにピン部45を配置するようにバルブユニット28の選択動作を行う。さらに、主制御部81は、(黒、カラー)=(1、1)であれば、CLBの設定情報も参照する。この場合、参照した設定情報がCLB=0であれば、黒とカラーを1段のクリーニングで一緒に行うことを意味するので、黒とカラーのキャップ部31,32を共に吸引可能な現在位置(非閉塞位置A(図3、図5参照))のままでよいので、バルブユニット28の選択動作は行わない。また、CLB≠0であれば、黒とカラーを2段のクリーニングで別々に行うことを意味するので、カラーのキャップ部32のみ吸引可能な閉塞位置B(図3、図5参照)にピン部45が配置されるようにバルブユニット28の選択動作を行う。
【0100】
そして、バルブユニット28の開閉状態が決まったら、主制御部81は紙送りモーター14を駆動(逆転駆動)させることで、吸引ポンプ35を動作させる。このとき、主制御部81は、CLAに設定されたクリーニング種類(強度)に応じた駆動速度プロファイルで紙送りモーター14を駆動制御し、1回のクリーニングシーケースを実行する。なお、複数段でクリーニングを行う場合におけるステップS110の処理が、第1クリーニング実行ステップに相当する。
【0101】
ステップS120では、CLBを実行するか否かを判断する。ここで、CLBを実行するか否かの判断は、例えばCLB≠0であれば実行すると判断し、CLB=0であれば実行しないと判断する。CLBを実行する場合はステップS130に進み、CLBを実行しない場合は当該ルーチンを終了する。
【0102】
ステップS130では、CLBのインク消費量を、黒のインク消費量カウンター91に加算する。本例では、CLBとは2段目に行われる黒ノズル列23Aのクリーニングを指す。そのため、CLBに設定されたクリーニング種類に応じたインク消費量を、図10に示すインク消費量参照テーブルCTを参照して取得し、その取得したインク消費量を黒のインク消費量カウンター91に加算する。CLBに設定されたクリーニング種類が、例えば弱クリーニングであればインク消費量Q1を取得し、中クリーニングであればインク消費量Q2を取得し、さらに強クリーニングであればインク消費量Q3を取得する。また、初期充填の場合は、黒のインク消費量カウンター91にインク消費量Q5を加算する。さらに、カートリッジ交換クリーニングの場合は、黒のインク消費量カウンター91にインク消費量Q4を加算する。なお、このステップS130の処理が、第2計数ステップに相当する。
【0103】
次のステップS140では、CLBを実行する。主制御部81は、黒のキャップ部31のみ吸引可能な閉塞位置C(図3、図5参照)にピン部45が配置されるようにバルブユニット28の選択動作を行う。そして、バルブユニット28の開閉状態が決まったら、主制御部81は紙送りモーター14を駆動(逆転駆動)させることで、吸引ポンプ35を動作させる。このとき、主制御部81は、CLBに設定されたクリーニング種類(強度)に応じた駆動速度プロファイルで紙送りモーター14を駆動制御し、1回のクリーニングシーケースを実行する。なお、ステップS140の処理が、第2クリーニング実行ステップに相当する。
【0104】
このように本実施形態では、クリーニングを複数段(2段)で行う場合は、1段目のクリーニング実施前に予めカラーのインク消費量をカラー各色のインク消費量カウンター92〜94にそれぞれ加算すると共に、2段目のクリーニング実施前に予め黒のインク消費量を黒のインク消費量カウンター91に加算する。このため、クリーニングの途中でユーザーが誤ってプリンター11の電源スイッチをオフ操作したとき、電源プラグがコンセントから抜けたとき、停電時などに、クリーニングが1段目と2段目との間で中断されても、インク消費量カウンター91〜94にはほぼ正しいインク消費量が保存される。
【0105】
このため、ユーザーがホスト装置100のモニター103にプリンター11の各インクカートリッジ20K,20C,20M,20Yのインク残量を表示させた際に、そのインク残量の情報が実際のインク残量に近い値で表示される。この結果、インクカートリッジにまだインクが残っているにも関わらずインクエンドと表示されてユーザーが早過ぎるインクカートリッジ交換を行ってしまうことを回避できる。
【0106】
以上詳述したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)クリーニングを複数段で行う場合、一段分のインク消費量を一段のクリーニング毎にインク消費量カウンター91〜94のうち対応するインク消費量カウンターに加算する。このため、複数段のクリーニングの実施途中で、ユーザーによる電源スイッチのオフ操作、電源プラグ抜け、停電等によって、プリンター11の電源が遮断され、クリーニングが1段目と2段目の間で停止されてしまっても、インク消費量カウンター91〜94にほぼ正しいインク消費量を保持できる。このため、ユーザーになるべく正しいインク残量を報知できるので、例えばインクがまだ残っているにも関わらずインクエンドと報知されてしまうことに起因する、早過ぎるインクカートリッジ交換を回避できる。よって、インクカートリッジ20のインクをなるべく最後まで使い切ることができる。
【0107】
(2)複数段のクリーニングを行う場合、一段分のインク消費量をインク消費量カウンター91〜94のうち対応するインク消費量カウンターに加算するタイミングを、一段毎のクリーニングの実施前とした。このため、一段毎のインク消費量を、必ず該当するインク消費量カウンターに計数できる。例えば一段毎のクリーニング終了時にインク消費量を計数する構成では、一段のクリーニング終了前又は直後に電源が遮断された場合、その分のインク消費量が加算されないので、インクエンド報知時期が適切な報知時期より遅れる虞がある。これに対して、一段毎のクリーニング実施前のタイミングであれば、電源遮断時でも、その分のインク消費量が確実に加算され、インク消費量カウンター91〜94の計数値が実際のインク消費量よりも多くなる傾向にあるので、インクエンド報知時期の遅れを回避できる。例えばインクエンド報知時期の遅れにより印刷途中でインク切れとなる事態を回避できる。
【0108】
(3)クリーニング条件判定部82が、複数のノズル列23A,23Lに対するクリーニング条件(クリーニング種類)が同じであると判定すれば、複数のノズル列23A,23Lのクリーニングを一段で一緒に行うので、一度のクリーニングで済む。一方、クリーニング条件判定部82が、複数のノズル列23A,23Lに対するクリーニング条件が異なれば、そのクリーニングはノズル列23A,23L毎に別々の複数段で行う。よって、ノズル列23A,23L毎のクリーニングを異なる条件でも行える構成を採用しても、ノズル列23A,23L毎のクリーニングを共通の吸引ポンプ35を用いて行うことができる。
【0109】
(4)キャリッジ16によるバルブユニット28(選択手段)の選択動作によって、複数のノズル列23A,23L(ノズル群)のうちクリーニング対象のノズル列を選択する構成なので、その選択状態で、主制御部81(制御手段)がメンテナンス装置25(クリーニング手段)の吸引ポンプ35を駆動させれば、ノズル列23A,23L毎の選択クリーニングを実現できる。よって、ノズル列を選択する選択動作を行うためのモーター等の動力源の追加が不要であり、プリンター11の構成を比較的簡素にできる。そして、共通の吸引ポンプ35を使用してノズル列23A,23L毎のクリーニングを異なる条件で行えるように、クリーニングを複数段で行える構成を採用した。クリーニングが複数段で行われるときに、一段毎にインク消費量を加算するので、クリーニングが1段目と2段目の間で中断されも、インクカートリッジ20(流体供給源)のインク消費量と、インク消費量カウンター91〜94(流体消費量計数手段)の計数値とが比較的大きくずれることを回避できる。
【0110】
(5)ユーザーが入力装置102又は操作部76の操作でノズル列を選択してマニュアルクリーニングを行う場合、マニュアルクリーニングの実施回数に応じてノズル列23A,23L毎に適用すべきクリーニング種類を決定する。そして、共通の吸引ポンプ35を使用する構成で、両ノズル列23A,23Lのマニュアルクリーニングの実施回数の違いによってそれぞれに適用すべきクリーニング種類が異なっても、ノズル列23A,23L毎のクリーニングを別々に複数段で行うことで対応できる。このとき、インク消費量の加算がクリーニング一段毎に行われるので、実際のインク消費量と、インク消費量カウンター91〜94のインク消費量計数値とのずれを小さく抑えることができる。
【0111】
(第2実施形態)
この第2実施形態では、ノズル目詰まりの有無を検査するノズル検査装置を備え、ノズル検査装置による検査結果に基づき黒とカラーとで異なるクリーニング種類が決定された場合に、クリーニングを複数段で行う構成である。この場合、ノズル検査結果から、黒とカラーの各ノズル列でクリーニング種類が同じであれば、両ノズル列のクリーニングを一緒に一段で行う。さらに、この実施形態では、ノズル列毎の1回のクリーニングに含まれる複数回の吸引動作(流体排出動作)毎にその吸引動作によるインク消費量の加算する点にも特徴がある。
【0112】
なお、第2実施形態はプリンターの構成は第1実施形態と同様であり、ノズル検査装置を備えた点及びインク消費量の加算タイミングが異なるのみなので、前記第1実施形態と共通の構成については説明を省略し、特に異なる点について詳細に説明する。
【0113】
図13は、プリンターに備えられたノズル検査装置を示す。プリンター11には、ノズル目詰まり(不良ノズル)の有無を検査(検出)するための図13に示すノズル検査装置110が設けられている。
【0114】
図13に示すように、このノズル検査装置110は、キャップ26内に収容されたインク吸収材26cの上面を覆う金属製の網材111と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間に電圧を印加するための電圧印加回路112を備えている。網材111は、両キャップ部31,32に渡って配置されると共に、キャップ26の底部中央に配置されたプラス側の端子111aと電気的に接続されている。
【0115】
ノズル検査装置110は、網材111からの検出信号を積分して出力する積分回路113と、該積分回路113から出力された信号を反転増幅して出力する反転増幅回路114と、該反転増幅回路114から出力された信号をA/D変換して制御装置116へ出力するA/D変換回路115とを備えている。なお、本実施形態では、積分回路113、反転増幅回路114、及びA/D変換回路115によって、網材111と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間の電圧値の変化を検出する電圧検出装置117が構成されている。
【0116】
電圧印加回路112は、図13に示すように、網材111が正極になるとともに記録ヘッド19のノズル形成面19aが負極になるように、直流電源(例えば400V)と抵抗素子(例えば1MΩ)とを備えている。そのため、網材111の上面には、正の電荷が帯電することになる一方で、記録ヘッド19のノズル形成面19aには、負の電荷が帯電することになる。
【0117】
次に、ノズル22からインク滴がキャップ26内の網材111上に噴射されて行われるノズル検査の原理を図13に基づき以下説明する。なお、ノズル検査は1ノズルずつ順番に行われる。
【0118】
さて、検査対象のノズル22に対応する噴射駆動素子118を駆動させてその一つのノズル22からインク滴が噴射されると、ノズル22から噴射されたインク滴には、負の電荷が帯電する。そして、負の電荷が帯電するインク滴が網材111に接近するに連れて、網材111上では、静電誘導によって正の電荷が次第に増加する。その結果、網材111と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間の電位差は、静電誘導に基づく誘導電圧により、ノズル22からインク滴が噴射されない場合に比して大きくなる。
【0119】
そして、ノズル22から吐出されたインク滴が網材111上に着弾すると、網材111上の正の電荷の一部が、インク滴に帯電していた負の電荷によって中和される。その結果、網材111と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間の電位差(電圧)は、ノズル22からインク滴が噴射されない場合に比して小さくなる。その後、網材111と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間の電位差は、当初の大きさに戻る。
【0120】
また、ノズル検査装置110によるノズル22の検査時には、複数ショット(例えば3〜10ショットのうちの所定ショット)分のインク滴をノズル22から噴射し、該インク滴の検出信号が積分回路113に入力されるようになっている。1ノズルにつき複数ショットずつインク滴を噴射するのは、検査精度を高めるためである。そして、積分回路113に入力された検出信号は、積分回路113、反転増幅回路114及びA/D変換回路115を介して制御装置116に入力される。
【0121】
そして、図13に示すように、制御装置116は、電圧検出装置117から入力された検出信号の振幅Vd(網材111と記録ヘッド19のノズル形成面19aとの間の電圧値の変化量)を演算により検出し、この検出した振幅Vdが予め設定された振幅閾値KVd以上であるか否かを判定する。この振幅閾値KVdは、電圧検出装置117からの検出信号に基づきインクの噴射量(排出量)を推定し、適切な量のインクが噴射されているか否かを判断するための値であって、実験やシミュレーションなどによって予め求められる。
【0122】
そして、制御装置116は、電圧検出装置117から入力された検出信号の振幅Vdが振幅閾値KVd以上である場合には、ノズル22に目詰まりが発生していないことを検知する。一方、制御装置116は、電圧検出装置117から入力された検出信号の振幅Vdが振幅閾値KVdよりも小さい場合には、ノズル22に目詰まりが発生していることを検知する。ノズル検査装置110は、このようなノズル検査を全ノズルに対して行う。制御装置116による検査結果は、コントローラー70内のコンピューター71へ出力される。
【0123】
例えば、ノズル22の目詰まりの程度を段階的に検知できるように、振幅閾値KVdよりも小さな値の振幅閾値を複数設定してもよい。すなわち、振幅閾値KVdには、正常なインク量とみなしうる振幅Vdの最小値を設定する。そして、振幅Vdが振幅閾値KVd未満でインク量が不足している振幅範囲内に、2つの振幅閾値KVd1,KVd2(KVd1>KVd2)を設定する。振幅Vdが振幅閾値KVd未満でかつ振幅閾値KVd1以上(KVd1≦Vd<KVd)の場合は、インク量がやや不足気味であると判定できる。振幅Vdが振幅閾値KVd1未満でかつ振幅閾値KVd2以上(KVd2≦Vd<KVd1)の場合は、インク量がかなり不足していると判定できる。さらに、振幅Vdが振幅閾値KVd2未満(Vd<KVd2)の場合は、インク量が噴射されていないと判定できる。なお、ノズル検査に用いるインク滴受容器は、キャップ26に替えてフラッシングボックスでもよい。
【0124】
本実施形態では、コンピューター71内の主制御部81は、ノズル検査装置110の検査結果に基づいて、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lのうち、ノズル目詰まりと検出された不良ノズル(Vd<KVdのノズル)が属するノズル列をクリーニング対象として決定する。すなわち、主制御部81は、ノズル検査装置110から取得した不良ノズルの番号が、どのノズル列に属するかを不揮発性メモリー85に記憶された不図示のノズル対応テーブルを参照して、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lのうち不良ノズルの属するノズル列を取得する。
【0125】
クリーニング条件判定部82は、ノズル検査装置110の検査結果に基づきクリーニング対象に決定されたノズル列に適用すべきクリーニング種類(強度)を決定する。クリーニング条件判定部82は、例えば不良ノズルのノズル目詰まりの程度と不良ノズルの割合(不良ノズル数/ノズル列の全ノズル数の割合)に応じてクリーニング種類を決定する。すなわち、KVd1≦Vd<KVdの場合でかつ不良ノズル数の割合が所定値D1未満と低い場合は、クリーニング種類を弱クリーニング(CL1)とする。また、KVd1≦Vd<KVdの場合でも不良ノズル数の割合が所定値D1以上と高い場合や、KVd2≦Vd<KVd1の場合でかつ不良ノズル数の割合が所定値D1未満と低い場合、Vd<KVd2の場合でかつ不良ノズル数の割合が所定値D2(<D1)未満と極めて低い場合は、クリーニング種類を中クリーニング(CL2)とする。さらに、KVd2≦Vd<KVd1の場合でかつ不良ノズル数の割合が所定値D1以上と高い場合、Vd<KVd2の場合でかつ不良ノズル数の割合が所定値D1以上と高い場合は、クリーニング種類を強クリーニング(CL3)とする。
【0126】
また、ノズル検査装置110は、クリーニング実施後、ノズル目詰まりの解消を確認するため再度ノズル検査を実行する。そして、ノズル目詰まりが解消されなければ、主制御部81は、次に前回より1段階強力なクリーニング種類でクリーニングを実施する。これはマニュアルクリーニング時と同様にCL管理カウンター87,88を計数し、実施回数が増えるほどより強いクリーニングを実施する。そして、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの両方のクリーニングを行う場合であって、かつ両者のクリーニング種類が異なる場合、主制御部81は黒・カラーの各ノズル列23A,23Lのクリーニングを実施時期をずらして複数段で行う。
【0127】
本実施形態では、マニュアルクリーニング時とタイマークリーニング時において、ノズル検査を実施するか否かの選択をユーザーが入力装置102又は操作部76の操作で予め設定しておくことが可能である。そして、マニュアルクリーニング時とタイマークリーニング時においてノズル検査を行ったときには、前述の手順に従って、そのノズル検査結果に応じたノズル列情報(黒、カラー)を生成すると共に、ノズル検査結果に応じたクリーニング種類をCLA、CLBに設定する構成となっている。
【0128】
図14は、本実施形態におけるクリーニングシーケンスを示す。図14に示すように、クリーニングシーケンス中の本吸引動作と微量吸引動作ごとにインク消費量Qm,Qsの加算を行う。詳しくは、本吸引動作の実施前にその分のインク消費量Qmをインク消費量カウンターに加算すると共に、微量吸引動作の実施前にその分のインク消費量Qsをインク消費量カウンターに加算する。もちろん、初期充填及びカートリッジ交換クリーニングを実施するときも、同様にそれらのクリーニングシーケンス中の吸引動作ごとにその分のインク消費量を加算する。つまり、本実施形態では、第1実施形態よりもさらにクリーニングを細分した吸引動作毎にその分のインク消費量を加算する。
【0129】
図15は、本実施形態におけるインク消費量参照テーブルを示す。図15に示すように、本例のインク消費量参照テーブルCT2は、クリーニング種類と、クリーニングシーケンスを構成する各吸引動作のインク消費量との対応関係を示すものである。本例では、弱・中・強の3つのクリーニングの他、初期充填及びカートリッジ交換クリーニングも、2つの吸引動作(第1吸引動作と第2吸引動作)を含んでいる。演算部83は、このインク消費量参照テーブルCT2を参照することにより、1回のクリーニングを構成する複数(本例では2つ)の吸引動作毎のインク消費量Qm,Qsを個々に取得可能になっている。詳しくは、演算部83は、第1吸引動作と第2吸引動作の各インク消費量(Qm,Qs)として、弱クリーニングであれば(Q1m,Q1s)、中クリーニングであれば(Q2m,Q2s)、強クリーニングであれば(Q3m,Q3s)、カートリッジ交換クリーニングであれば(Q4m,Q4s)、初期充填であれば(Q5m,Q5s)をそれぞれ取得する。ここで、第1吸引動作と第2吸引動作の各インク消費量Qm,Qsの和は、クリーニング1回分の総インク消費量に等しい(Qm+Qs=Q)。
【0130】
以下、本実施形態におけるクリーニング処理ルーチンを図16に基づいて説明する。なお、図16では、初期充填とカートリッジ交換クリーニングに関するCLA、CLBの設定処理(図12におけるステップS10〜S40の処理)は省略している。また、ユーザーは操作部76の操作で、マニュアルクリーニングとタイマークリーニングのうち少なくとも一方を選択してその選択したクリーニングに対してノズル検査を行うか否かを予め選択している。主制御部81は、ノズル検査が選択されたときには検査実施判定フラグを「1」にする。
【0131】
このため、図16に示すように、マニュアルクリーニングの指示があったとき(S210で肯定判定)と、クリーニングタイマーがタイムアップしたときは(S240で肯定判定)、それぞれノズル検査が選択されているか否かを判断する(ステップS220,S250)。詳しくは、主制御部81は検査実施判定フラグが「1」であればノズル検査が選択されていると判断し、フラグが「0」であればノズル検査が選択されていないと判断する。
【0132】
マニュアルクリーニングの指示を受け付けた場合にノズル検査非選択であったときは(ステップS220で否定判定)、ステップS230において、CL管理カウンター87,88の値に応じたクリーニング種類をCLA、CLBに設定する。これは、図12におけるステップS60と同様の処理である。
【0133】
一方、クリーニングタイマーがタイムアップした場合にノズル検査非選択であったときは(ステップS250で否定判定)、ステップS260において、タイムアップした設定時間に応じたクリーニング種類をCLA、CLBに設定する。これは、図12におけるステップS80と同様の処理である。
【0134】
そして、ノズル検査選択であった場合は(S220又はS250で肯定判定)、ステップS270に進んで、ノズル検査を行う。すなわち、主制御部81はノズル検査装置110を動作させると共に、記録ヘッド19の各ノズルから検査順に従って1ノズルずつインク滴を噴射させる。ノズル検査装置110によるノズル検査結果は、その制御装置116からコンピューター71が受信する。
【0135】
そして、次のステップS280では、ノズル検査結果に応じたクリーニング種類をCLA、CLBに設定する。すなわち、主制御部81がノズル検査結果に応じてクリーニング対象のノズル列を示すノズル列情報(黒、カラー)を生成すると共に、クリーニング条件判定部82がノズル検査結果に応じてクリーニングに適用すべきクリーニング種類を判定(決定)する。
【0136】
上記の各処理(S230,S260,S280)により、CLA、CLBにクリーニング種類が設定されると、ステップS290において、CLAを実行するか否かを判断する。この判断処理は、図12におけるステップS90と同様である。CLAを実行する場合はステップS300に進み、CLAを実行しない場合は当該ルーチンを終了する。なお、CLAを実行しない例としては、ノズル検査結果から不良ノズルが検出されなかった場合が挙げられる。
【0137】
ステップS300では、CLAの第1吸引動作のインク消費量を、インク消費量カウンターに加算する。この処理は、主制御部81から指示を受けた演算部83が、インク消費量参照テーブルCT2(図15参照)を参照して、CLAに設定されたクリーニング種類に対応する第1吸引動作のインク消費量Qmを取得する。このとき、ノズル列情報(黒、カラー)を参照し、ノズル列情報(黒、カラー)=(1、0)であれば、第1吸引動作のインク消費量Qmを黒のインク消費量カウンター91のみに加算する。また、ノズル列情報(黒、カラー)=(0、1)であれば、第1吸引動作のインク消費量Qmをカラー各色のインク消費量カウンター92〜94のみに加算する。さらに、ノズル列情報(黒、カラー)=(1、1)かつCLB=0であれば、第1吸引動作のインク消費量Qmを全色のインク消費量カウンター91〜94に加算する。ノズル列情報(黒、カラー)=(1、1)かつCLB≠0であれば、第1吸引動作のインク消費量Qmをカラー各色のインク消費量カウンター92〜94に加算する。
【0138】
次のステップS310では、CLAの第1吸引動作を実行する。まず主制御部81は、ノズル列情報(黒、カラー)とCLBの設定情報とに基づいてバルブユニット28におけるピン部45を配置すべき位置(ピン部配置位置)を取得する。詳しくは、ノズル列情報(黒、カラー)=(1、1)かつCLB=0であればピン部配置位置を非閉塞位置Aに決め、(黒、カラー)=(1、1)かつCLB≠0、又は(黒、カラー)=(0、1)であればピン部配置位置を閉塞位置Bに決め、(黒、カラー)=(1、0)であればピン部配置位置を閉塞位置Cに決める。主制御部81は、必要に応じてキャリッジモーター18を駆動制御して、キャリッジ16によるバルブユニット28の選択動作を行って、ピン部45を決めた配置位置に配置させる。この選択動作処理は、図12におけるステップS110で行われる選択動作処理と同様である。
【0139】
そして、バルブユニット28の開閉状態が決まったら、主制御部81は紙送りモーター14を逆転駆動させることで、吸引ポンプ35を駆動させる。このとき、主制御部81は、CLAに設定されたクリーニング種類の第1吸引動作に応じた駆動速度プロファイルで紙送りモーター14を駆動制御し、クリーニングシーケンス中の第1吸引動作をまず実行する。
【0140】
次のステップS320では、CLAの第2吸引動作のインク消費量を、インク消費量カウンターに加算する。主制御部81は、CLAに設定されたクリーニング種類を基に、インク消費量参照テーブルCT2を参照して第2吸引動作のインク消費量Qsを取得する。そして、上記ステップS300の処理と同様の手順で判断した1段目のクリーニングに対応する色のインク消費量カウンターに第2吸引動作のインク消費量Qsを加算する。
【0141】
次のステップS330では、CLAの第2吸引動作を実行する。このCLAの第2吸引動作の実行時は、バルブユニット28は既に第1吸引動作実行時に選択済みであって、その選択動作は不要である。そのため、主制御部81は、バルブユニット28の選択動作を行うことなく、CLAに設定されたクリーニング種類の第2吸引動作に応じた駆動速度プロファイルで紙送りモーター14を逆転駆動し、クリーニングシーケンス中の第2吸引動作を実行する。
【0142】
ステップS340では、CLBを実行するか否かを判断する。この判断処理は、図12におけるステップS120と同様で、CLB≠0であれば、CLBを実行すると判断する。CLBを実行する場合はステップS350に進み、CLBを実行しない(CLB=0)場合は当該ルーチンを終了する。
【0143】
ステップS350では、CLBの第1吸引動作のインク消費量Qmを、黒のインク消費量カウンター91に加算する。主制御部81は、CLBに設定されたクリーニング種類を基にインク消費量参照テーブルCT2を参照して、そのクリーニング種類に対応する第1吸引動作のインク消費量Qmを取得する。そして、このインク消費量Qmを黒のインク消費量カウンター91に加算する。
【0144】
次のステップS360では、CLBの第1吸引動作を実行する。ここで、このCLBは、黒ノズル列23Aのクリーニングであるので、主制御部81は、キャリッジモーター18を駆動制御し、ピン部45を黒のキャップ部31のみ吸引可能な閉塞位置Cに配置するようにキャリッジ16によるバルブユニット28の選択動作を行う。そして、バルブユニット28の選択動作終了後、主制御部81は紙送りモーター14を、CLBに設定されたクリーニング種類の第1吸引動作に応じた駆動速度プロファイルで駆動制御し、クリーニングシーケース中の第1吸引動作をまず実行する。
【0145】
次のステップS370では、CLBの第2吸引動作のインク消費量Qsを、黒のインク消費量カウンター91に加算する。主制御部81は、CLBに設定されたクリーニング種類を基にインク消費量参照テーブルCT2を参照して、そのクリーニング種類に対応する第2吸引動作のインク消費量Qsを取得する。そして、このインク消費量Qsを黒のインク消費量カウンター91に加算する。
【0146】
次のステップS380では、CLBの第2吸引動作を実行する。このCLBの第2吸引動作の実行時は、バルブユニット28は第1吸引動作実行時に既に選択済みであって、その選択動作は不要である。そのため、主制御部81は紙送りモーター14をCLBに設定されたクリーニング種類の第2吸引動作に応じた駆動速度プロファイルで駆動制御し、クリーニングシーケンス中の第2吸引動作を実行する。
【0147】
なお、本例では、初期充填は、カラー本吸引(2回)→空吸引(1段目)→黒本吸引(2回)→空吸引(2段目)の順で行われる。この場合、カラーの吸引動作毎にインク消費量Q5m,Q5sをカラー各色のインク消費量カウンター92〜94にそれぞれ加算すると共に、黒の吸引動作毎にインク消費量Qm(=Q5m,Q5s)を黒のインク消費量カウンター91に2回加算する。また、カートリッジ交換クリーニングの場合は、黒とカラーのうち、交換されたインクカートリッジ20に対応するインク色が属するノズル列に対してクリーニングを行うので、第1吸引動作のインク消費量Q4mと第2吸引動作のインク消費量Q4sを、黒とカラー各色とのうち対応するインク消費量カウンターにそれぞれ加算する。
【0148】
よって、第2実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(6)複数段(2段)のクリーニングを行う場合は、各段のクリーニングで複数回ずつ行われる吸引動作毎にその分のインク消費量Qm,Qsをインク消費量カウンターに加算する。このため、例えばユーザーによる電源スイッチのオフ操作、電源プラグ抜け、停電などに起因して、クリーニングが第1吸引動作と第2吸引動作との間で中断されても、インク消費量カウンター91〜94にはほぼ正しいインク消費量が保存される。この場合、クリーニングの段毎にインク消費量を加算する第1実施形態の構成に比べ、段毎のクリーニング中に複数回含まれる吸引動作毎にインク消費量を加算するので、インク消費量カウンター91〜94に一層正しいインク消費量を保存できる。従って、インクカートリッジにまだインクが残っているにも関わらずインクエンドと表示されてユーザーが早過ぎるインクカートリッジ交換を行ってしまうことをより一層確実に回避できる。
【0149】
(7)不良ノズルの有無を検査するノズル検査装置110(ノズル検査手段)を備え、ノズル列23A,23Lのうちノズル検査装置110により検出された不良ノズルを含むノズル列を、キャリッジ16によるバルブユニット28の選択動作により、メンテナンス装置25のクリーニング対象として選択する。このため、不良ノズルの無いノズル列のクリーニングをなるべく回避して、クリーニングによるインク排出量を節約できる。そして、ノズル検査結果からクリーニングを複数段で行う場合、各段のクリーニング毎、さらには各段のクリーニングに複数回含まれる吸引動作毎にその分のインク消費量をインク消費量カウンターに加算するので、実際のインク消費量とインク消費量カウント値とのずれを小さく抑えることができる。
【0150】
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・実施形態において、全ノズルを黒とカラーのノズル群に分けた黒とカラーの各ノズル群のクリーニングを複数段で行うのに替えて、1色毎のノズル群の各クリーニングを複数段で行う構成としてもよい。例えば黒、シアン、マゼンタ、イエローの4色の場合、各色のノズル列を個別にキャッピング可能な複数のキャップ部を有するキャップを設け、各色のクリーニングを複数段(最大4段)で行う構成とする。もちろん、色数は4色に限らず、5色以上であってもよい。さらに同一色の複数のノズル列が複数のキャップ部で別々にクリーニング可能な構成の場合は、同一色(例えば黒)の各ノズル列のクリーニングを複数段で行ってもよい。つまり、複数のノズル群をそれぞれ個別に選択吸引可能なキャップ部毎のクリーニングを複数段で行う構成であれば、全ノズルを複数のノズル群に分ける分け方は適宜設定してよい。
【0151】
・実施形態において、クリーニングによるインク消費量を加算するタイミングは、各段のクリーニング実施前に限定されず、各段のクリーニング中又は各段のクリーニング終了後でもよい。要するに、クリーニングを複数段で行う場合に、各段のクリーニング毎にインク消費量を加算すれば足りる。例えば2段クリーニングの場合、2段分の総消費量を最初に加算する従来構成では、1段目のみで中断された場合、2段目分の消費量が余分に加算されてしまう。しかし、クリーニング毎にインク消費量を加算する構成であれば、1段目分のインク消費量が加算された後、2段目が中止されても、2段目分のインク消費量は加算前なので、実際のインク消費量とインク消費量計数値との間のずれを小さく抑えられる。
【0152】
・実施形態において、クリーニング条件(クリーニング種類)が同じである場合でも、複数のノズル列23A,23Lの各クリーニングを複数段で行ってもよい。例えば図2に示すキャップ26のように、第1キャップ内空間31aと第2キャップ内空間32aの両容積に差のある構成では、共通の吸引ポンプ35で同時にクリーニングを行うと、ノズル22からのインク吸引排出を開始しうる負圧に達するまでの所要時間が、小容積の第1キャップ部31の方が大容積の第2キャップ部32よりも短く済む。この所要時間の違いの分だけ、第2キャップ部32よりも第1キャップ部31側でインク吸引排出時間が相対的に長くなり、その結果、黒ノズル列23Aとカラーノズル列23Lの実質的なクリーニング強度が異なってしまう。このようなキャップ容積の差に起因する実質的なクリーニング強度の違いを回避するため、同じクリーニング条件(クリーニング種類)でも、黒とカラーの各ノズル列23A,23Lのクリーニングを、カラーより黒の方を吸引動作時間を少し短くして複数段で行う。この構成によれば、容積の異なるキャップ部間で実質的なクリーニング強度を同じにでき、しかも、各段のクリーニング毎にインク消費量を加算することにより実際のインク消費量とインク消費量計数値とのずれを小さく抑えられる。
【0153】
・実施形態において、選択手段はバルブユニット28に限定されない。例えば各キャップ部にそれぞれ接続した大気開放チューブの途中に開閉弁をそれぞれ設け、各開閉弁の開閉の選択によりノズル列23A,23L毎の選択クリーニングが可能な構成でもよい。さらに、流体噴射手段の全ノズルを複数の群に分割した各ノズル群を個別にキャッピング可能に隔壁によって複数のキャップ部に仕切られた1つのキャップを備えた構成であったが、ノズル群毎に個別にキャッピング可能な複数のキャップを備えてもよい。この場合、複数のキャップは共通のキャップホルダーに支持されていてもよいし、それぞれ独立したキャップホルダーに支持されて、各キャップがそれぞれ独立して記録ヘッドのノズル形成面に対して当接・離間可能に移動できる構成とすることもできる。例えば複数のキャップが独立して移動可能な構成の場合、キャッピングするか否かによって、ノズル群の選択クリーニングを行う構成としてもよい。この場合、複数のキャップを独立して移動可能な移動機構(例えば昇降機構)が選択手段に相当する。
【0154】
・流体消費量計数手段は、カウンターに限定されない。流体消費量を計数できればよく、例えばメモリー(記憶手段)に流体消費量の累積値を記憶し、一段毎のクリーニングのインク消費量を演算手段がその累積値に加算した値をメモリーに書き替える構成でもよい。
【0155】
・ユーザーが入力装置102又は操作部76の操作により、クリーニング対象のノズル群と、そのノズル群に適用するクリーニング種類(強度)との両方を選択指示できる構成も採用できる。
【0156】
・実施形態において、吸引ポンプによりノズルに負圧を付与してノズルからインクを吸引排出する吸引方式のクリーニング手段に替え、ノズルと連通するインク流路の上流側(例えばインクカートリッジ)から加圧ポンプによりインクを加圧してノズルからインクを強制的に加圧排出させる加圧方式のクリーニング手段を採用してもよい。この場合、インク流路の途中に開閉弁を設け、開閉弁の切り換えによりクリーニング対象のノズル群を選択する選択機構を設ければよい。
【0157】
・流体供給源はインクタンクでもよい。
・流体消費量計数手段は、インクカートリッジ(流体供給源)の満充填時のインク量が初期値として設定され、以後、インクが消費されるに連れてインク消費量を減算する計数を行うインク残量カウンター(流体残量カウンター)でもよい。
【0158】
・前記各実施形態では、インクジェット式のプリンター11が採用されているが、インク以外の他の流体を噴射したり吐出したりする流体噴射装置を採用してもよい。また、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。この場合、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態を言い、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状体、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。また、流体は、トナーなどの粉粒体でもよい。なお、本明細書でいう流体には、気体のみからなるものは含まないものとする。
【0159】
本明細書において使用の文言は以下のように定義される。
「複数段のクリーニングによる各流体消費量を当該クリーニングの一段毎に分けて計数する」とは、その計数するタイミングは、各段のクリーニングの実施前ごと、実施中ごと、実施終了ごとを含む。要するに、複数段のクリーニングが途中で中断されても、複数段分の流体消費量をまとめて1回計数する構成に比べ、流体消費量計数値と実際の値とのずれを小さく抑えることができるクリーニングの一段毎であれば足りる。例えばM段目(M=1,2,…,N−1)のクリーニング開始から、M+1段目のクリーニングの開始までの間に、M段目のクリーニングの流体消費量を流体消費量計数手段に計数するか、あるいはM+1段目のクリーニングの流体消費量を流体消費量計数手段に計数する構成であればよい。例えばM段目のクリーニングの実施前に流体消費量を計数する場合は、M段目の開始からM+1段目の開始までの間にM+1段目のクリーニングの流体消費量のみが計数される。また、M段目のクリーニングの実施中に流体消費量を計数する場合は、M段目の開始からM+1段目の開始までの間にM段目のクリーニングの流体消費量のみが計数される。さらにM段目のクリーニングの実施終了毎に流体消費量を計数する場合は、M段目の開始からM+1段目の開始まで間にM段目のクリーニングの流体消費量のみが計数される。さらに、M段目の流体消費量をクリーニング実施前に加え、M+1段目の流体消費量をクリーニング終了後に加えてもよい。よって、例えばM段目の開始からM+1段目の開始までの間に、M段目とM+1段目の両方のクリーニングの流体消費量が共に計数される構成は除外される。つまり、複数段のクリーニングの各流体消費量を当該クリーニングの一段毎に計数するとは、M段目のクリーニング実施前、実施中、実施後のいずれかに2段分以上の流体消費量を計数することが除外されている構成をいう。
【0160】
上記実施形態及び変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記クリーニング手段(25)はノズルから流体を排出させるための負圧又は正圧を付与するクリーニング用のポンプ(35)を備え、前記ポンプの圧力が付与されるクリーニング対象のノズル群を選択する選択動作を行う選択機構(28)を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。この発明によれば、共通のポンプを使用して複数のノズル群のクリーニングを行うことができ、選択機構を選択動作させることでクリーニング対象のノズル群を選択できる。このため、クリーニング条件の異なる複数のノズル群のクリーニングを、ノズル群を1つずつ選択して複数段で行うことで実現できる。
【0161】
(ロ)前記クリーニング手段は、前記流体噴射手段の複数のノズル群(23A,23L)を個別にキャッピング可能な複数のキャップ部(31,32)を有するキャップ手段(26,27)と、キャッピング状態の前記キャップ部を通じてノズル群に負圧を付与する負圧ポンプ(35)とを備え、前記選択機構(28)は、前記負圧ポンプと前記複数のキャップ部とを連通する複数の流路(33,24)の開閉の組合せを切り換え可能に構成されていることを特徴とする技術的思想(イ)に記載の流体噴射装置。この発明によれば、選択機構で流路の開閉の組合せを切り換えて複数のノズル群のクリーニングを複数段で行う場合、クリーニングの一段毎に流体消費量が計数されるので、実際の流体消費量と、流体消費量計数手段による流体消費量計数値とのずれを小さく抑えることができる。
【符号の説明】
【0162】
11…流体噴射装置としてのプリンター、14…クリーニング手段を構成する紙送りモーター、16…キャリッジ、18…キャリッジモーター、19…流体噴射手段としての記録ヘッド(流体噴射ヘッド)、20,20K,20C,20M,20Y…流体供給源としてのインクカートリッジ、22…ノズル、22A…黒ノズル、22L…カラーノズル、23A…ノズル群としての黒ノズル列、23B〜23D…ノズル群を構成するノズル列、23L…ノズル群としてのカラーノズル列、25…クリーニング手段としてのメンテナンス装置、26…クリーニングを構成するキャップ、27…昇降機構、28…選択機構を構成するバルブユニット、30…隔壁、31…キャップ部としての第1キャップ部、31a…第1キャップ内空間、32…キャップ部としての第2キャップ部、32a…第2キャップ内空間、33…第1排出チューブ(流路)、34…第2排出チューブ(流路)、35…クリーニング手段を構成すると共にポンプとしての吸引ポンプ(負圧ポンプ)、45…ピン部、46…アーム部材、50…凹部、51…袋小路部、52…袋小路部、53…袋小路部、55…第1誘導部、55a…第1カム面、56…第2誘導部、56a…第2カム面、57…第3カム面、58…第4カム面、59…第5カム面、61…第1押圧部材、62…第2押圧部材、63…突出部、63a…上面、63b…斜面、65…本体、66…凸条、70…コントローラー、71…コンピューター、72…ヘッド駆動回路、73…モーター駆動回路、74…モーター駆動回路、76…選択手段を構成すると共に操作手段としての操作部、81…主制御部、82…クリーニング条件決定手段としてのクリーニング条件判定部、83…演算部、84…表示制御部、85…不揮発性メモリー、86…イメージバッファー、87…計数手段としての黒用CL管理カウンター、88…計数手段としてのカラー用CL管理カウンター、89…黒用クリーニングタイマー、90…カラー用クリーニングタイマー、91〜94…インク消費量カウンター、100…ホスト装置、101…本体、102…操作手段といての入力装置、103…モニター、110…選択手段を構成すると共にノズル検査手段としてのノズル検査装置、111…網材、112…電圧印加回路、113…積分回路、114…反転増幅回路、115…A/D変換回路、116…制御装置、117…電圧検出装置、P…記録用紙(ターゲット)、PD…プリンタードライバー、A…非閉塞位置、B,C…閉塞位置、CT…インク消費量参照テーブル、MT…マニュアル用判定テーブル、TT…タイマー用判定テーブル、CL1…弱クリーニング、CL2…中クリーニング、CL3…強クリーニング、CL4…カートリッジ交換リーニング、CL5…初期充填。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を噴射する複数のノズルを有する流体噴射手段を備え、前記流体噴射手段を介して消費された流体供給源の流体消費量を計数する流体噴射装置であって、
前記流体噴射手段における複数のノズルをクリーニング対象別に複数の群に分割した各ノズル群のクリーニングを実施時期をずらして複数段で行うクリーニング手段と、
前記流体供給源毎に設けられると共に前記複数段のクリーニングによる各流体消費量を前記クリーニング手段が実施するクリーニングの一段毎に分けて計数する流体消費量計数手段と
を備えたことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
前記クリーニング手段によるクリーニングは、複数回の流体排出動作を含み、
前記流体消費量計数手段は、前記クリーニング中の流体排出動作毎に流体消費量を計数することを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
【請求項3】
前記クリーニング対象のノズル群に対するクリーニング条件を決定するクリーニング条件決定手段を更に備え、
クリーニング条件の異なる複数のノズル群のクリーニングは複数段で行い、クリーニング条件が同じ複数のノズル群のクリーニングは一段で一緒に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体噴射装置。
【請求項4】
前記クリーニング対象のノズル群を選択する選択手段と、
前記選択手段が選択した複数のノズル群をクリーニング対象として前記クリーニング手段を動作させて複数段のクリーニングを行わせる制御手段とを更に備えたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項5】
前記選択手段は、操作手段の操作で指示されたノズル群をクリーニング対象として選択する構成であり、
前記制御手段は、前記クリーニング手段を動作させて前記クリーニング対象の前記ノズル群のマニュアルクリーニングを行わせる構成であり、
ノズル群毎に前記マニュアルクリーニングの実施回数に応じた計数値を計数する計数手段を更に備え、
前記クリーニング条件決定手段は、前記計数手段の計数による実施回数が多いほどクリーニング強度を強くするようにクリーニング条件を決定することを特徴とする請求項4に記載の流体噴射装置。
【請求項6】
前記選択手段は、流体噴射不良ノズルの有無を検査するノズル検査手段を備え、前記ノズル検査手段により検出された流体噴射不良ノズルを含むノズル群を、前記クリーニング手段の前記クリーニング対象として選択することを特徴とする請求項4に記載の流体噴射装置。
【請求項7】
流体を噴射する複数のノズルを有する流体噴射手段を備えた流体噴射装置において前記流体噴射手段のノズルをクリーニングする流体噴射装置におけるクリーニング方法であって、
前記流体噴射手段の複数のノズルをクリーニング対象毎に複数の群に分割した複数のノズル群のうち二以上のノズル群をクリーニング対象とする複数のクリーニングを実施時期をずらして複数段で行う場合、1段目のクリーニングの流体消費量を対応する流体供給源の流体消費量計数手段に計数する第1計数ステップと、
クリーニング手段が前記1段目のクリーニングを実行する第1クリーニング実行ステップと、
2段目のクリーニングの流体消費量を対応する流体供給源の流体消費量計数手段に計数する第2計数ステップと、
クリーニング手段が前記2段目のクリーニングを実行する第2クリーニング実行ステップと、
を備え、
以下、クリーニングがN段目(Nは2以上の自然数)まである場合、第N計数ステップと、第Nクリーニング実行ステップとを終えるまで、各段の計数ステップと、クリーニング実行ステップとを順番に繰り返すことを特徴とする流体噴射装置におけるクリーニング方法。
【請求項8】
流体を噴射する流体噴射手段を有する流体噴射装置が備えるコンピューターが前記流体噴射手段のクリーニングを行うためのクリーニング処理を実行するためのプログラムであって、
前記流体噴射手段の複数のノズルを複数の群に分割した複数のノズル群のうち二以上のノズル群をクリーニング対象とする複数のクリーニングを実施時期をずらして複数段で行う場合、コンピューターが1段目のクリーニングの流体消費量を演算し、当該演算した流体消費量を流体消費量計数手段に計数する第1計数ステップと、
コンピューターがクリーニング手段を制御して前記1段目のクリーニングを実行する第1クリーニング実行ステップと、
コンピューターが2段目のクリーニングの流体消費量を演算し、当該演算した前記流体消費量計数手段に計数する第2計数ステップと、
コンピューターが前記クリーニング手段を制御して前記2段目のクリーニングを実行する第2クリーニング実行ステップと、
を備え、
以下、クリーニングがN段目(Nは2以上の自然数)まである場合、コンピューターが第N計数ステップと、第Nクリーニング実行ステップとを実行し終えるまで、各段の計数ステップと、クリーニング実行ステップとを順番に繰り返すように実行することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−93245(P2011−93245A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251024(P2009−251024)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】