説明

流体圧シリンダ

【課題】シリンダ内径に制約されることがなく、ピストンロッドを配置できる流体圧シリンダを提供すること。
【解決手段】ピストン27,28の往復方向においてピストン27,28の外周側面には、径方向外側へ突出する突出部42,43が設けられ、当該突出部42,43にピストンロッド29,30の基端が固定される。そして、当該ピストン27,28及び突出部42,43の移動に応じてピストンロッド29,30が移動するように構成した。これによれば、貫通孔13,14の内径(すなわち、シリンダ内径又はピストン27,28の外径)にかかわらず、ピストン27,28の外径よりも外側の位置であれば、ピストンロッド29,30の位置を任意に設定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧シリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体圧シリンダは、流体圧の供給に基づいて、ピストンが直線的に移動され、そのピストンの移動に伴い、ワーク搬送用のテーブルが直線的に移動される。このような流体圧シリンダでは、直線状に形成されたピストンの中心線上にピストンロッドが取り付けられ、当該ピストンロッドの先にワーク搬送用のテーブルが取り付けられるのが一般的である(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−257003号公報
【特許文献2】特開昭63−48002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように構成された流体圧シリンダの場合、ピストンロッドは、製造の容易さからピストンの中心線上に設けられており、且つ、推進力を維持するために、シリンダ内径(すなわち、ピストンの外径)は予め決められていた。このため、ピストンロッドの配置は、シリンダ内径によって規制されることがあり、設計の自由度が減っていた。例えば、流体圧シリンダが壁に平行に取り付けられる場合、最低限シリンダ内径(すなわち、ピストンの外径)よりも離れた位置にしかピストンロッドを設定することができず、より壁側に近い位置でピストンロッドを動かすことができなかった。また、例えば、シリンダを2つ隣接させる場合、ピストンロッドは、ピストンの中心に沿って取り付けられるため、ピストンロッドの間の距離は、少なくともシリンダ内径(すなわち、ピストン外径)以上の距離を空ける必要があった。このため、流体圧シリンダの設計やワークの設計などのスペース状の制約ができ、設計が難しくなる可能性があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、シリンダ内径に制約されることがなく、ピストンロッドを配置できる流体圧シリンダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、シリンダ内にて往復運動可能に収容されたピストンと、ピストンと係合することにより、ピストンと共に往復運動すると共に、先端がシリンダボディから突出するように配置されるピストンロッドとを有する流体圧シリンダにおいて、前記ピストンの往復方向において前記ピストンの側面には、外側へ突出する突出部が設けられ、当該突出部にピストンロッドの基端が係合され、当該突出部の移動に応じてピストンロッドが移動することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、シリンダボディに複数のシリンダが設けられ、前記ピストンの往復方向において各ピストンの側面には、それぞれ外側へ突出する突出部が設けられ、当該突出部にそれぞれピストンロッドの基端が係合され、前記突出部におけるピストンロッドの係合位置の間隔が、シリンダ内径よりも短い間隔となるように設定されたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ピストンの側面には、外側へ突出する突出部が複数設けられ、当該突出部にそれぞれピストンロッドの基端が係合されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、シリンダ内径に制約されることがなく、ピストンロッドを配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態におけるエアシリンダを示す断面図。
【図2】A−A線における断面図。
【図3】エンドカバー側を示す上面図。
【図4】(a)及び(b)は、別例におけるエンドカバー側を示す上面図。
【図5】別例におけるエアシリンダを示す断面図。
【図6】(a)〜(c)は、別例におけるピストンを示す上面図。
【図7】別例におけるピストンを示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を流体圧シリンダとしてのエアシリンダに具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、エアシリンダ11の外郭を形成する直方体のシリンダボディ12内には、シリンダとしての二つの貫通孔13,14がシリンダボディ12の軸方向に沿って互いに平行に延びるように形成されている。各貫通孔13,14の一端(図1の右端)はヘッドカバー15,16が固設されることにより閉塞されるとともに、他端(図1の左端)の内側にはエンドカバー17,18が固設されることにより閉塞される。
【0012】
シリンダボディ12におけるヘッドカバー15,16近傍には、給排孔としての第1給排孔12a及び第2給排孔12bが形成されている。第1給排孔12aは一方の貫通孔13に連通するとともに、第2給排孔12bは他方の貫通孔14に連通している。また、シリンダボディ12におけるエンドカバー17,18近傍には、給排孔としての第3給排孔12c及び第4給排孔12dが形成されている。第3給排孔12cは一方の貫通孔13に連通するとともに、第4給排孔12dは他方の貫通孔14に連通している。
【0013】
各貫通孔13,14内において、各ヘッドカバー15,16と各エンドカバー17,18とにより区画された空間によってシリンダ室25,26がそれぞれ区画形成されている。各シリンダ室25,26には、流体としての空気によりシリンダボディ12の軸方向に沿って移動可能な円柱状をなすピストン27,28が収容されている。そして、一方のシリンダ室25は、ピストン27によりヘッドカバー15側の圧力作用室としての第1圧力作用室25aと、エンドカバー17側の圧力作用室としての第2圧力作用室25bとに区画されている。また、他方のシリンダ室26は、ピストン28によりヘッドカバー16側の圧力作用室としての第3圧力作用室26aと、エンドカバー18側の圧力作用室としての第4圧力作用室26bとに区画されている。
【0014】
各ピストン27,28の外周面には、ゴム製のシール部材としての第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35が装着されている。なお、第1シール部材32,33は、各ピストン27,28の左側端部近傍に設けられている。また、第2シール部材34,35は、各ピストン27,28の右側端部近傍に設けられている。そして、第1シール部材32は、第2圧力作用室25bが他の領域と区切られるようにシールしている。同様に、第1シール部材33は、第4圧力作用室26bが他の領域と区切られるようにシールしている。同様に、第2シール部材34は、第1圧力作用室25aが他の領域と区切られるようにシールしている。同様に、第2シール部材35は、第3圧力作用室26aが他の領域と区切られるようにシールしている。
【0015】
また、各貫通孔13,14の長手方向中央付近において、図1及び図2に示すように、貫通孔13,14の貫通方向と直交する方向に沿って収容部40,41が凹設されている。本実施形態において、収容部40は、シリンダボディ12の中心に向かって、すなわち、貫通孔13に形成される収容部40は、貫通孔14に向かって凹設されている。同様に、収容部41は、シリンダボディ12の中心に向かって、すなわち、貫通孔14に形成される収容部41は、貫通孔13に向かって凹設されている。そして、この収容部40,41には、ピストン27,28の外周側面から径方向外側(本実施形態では、シリンダボディ12の中心側)へ突出するように形成された突出部42,43が収容されるようになっている。
【0016】
なお、この突出部42は、ピストン27がエンドカバー17又はヘッドカバー15に当接したとしても、収容部40と干渉しないように、収容部40及び突出部42が形成されている。同様に、突出部42は、ピストン28がエンドカバー18又はヘッドカバー16に当接したとしても、収容部41と干渉しないように、収容部41及び突出部43が形成されている。すなわち、突出部42,43の往復移動の範囲は、ピストン27,28の往復方向において収容部40,41の大きさの範囲内に収まるようになっている。また、突出部42,43は、貫通孔13,14の長手方向において、第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35の間に位置するように、配置されている。また、収容部40,41は、ピストン27,28がエンドカバー17,18又はヘッドカバー15,16に当接したとしても、貫通孔13,14の長手方向(図1の左右方向)において、第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35と位置が一致しないように配置されている。つまり、収容部40,41は、貫通孔13,14の長手方向において、ピストン27,28が移動したとしても常に第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35の間に位置するように、配置されている。これにより、第1圧力作用室25a,第2圧力作用室25b、第3圧力作用室26a、第4圧力作用室26bが収容部40,41と繋がらないようになっている。すなわち、第1圧力作用室25a,第2圧力作用室25b、第3圧力作用室26a、第4圧力作用室26bは、第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35により常にシールされる。
【0017】
そして、収容部40,41の側面(図1において左側側面)には、ピストン27,28の往復方向に沿って貫通するロッド用貫通孔44,45が貫通形成されている。棒状に形成されたピストンロッド29,30は、このロッド用貫通孔44,45の内側を通過してシリンダボディ12に出没可能となっている。また、各ピストンロッド29,30の基端は、突出部42,43に固定されるようになっている。これにより、ピストンロッド29,30は、それぞれピストン27,28の動きに連動して往復移動するようになっている。
【0018】
また、ピストンロッド29,30の基端が突出部42,43に固定される位置は、図3に示すように、ピストンロッド29,30間の距離がシリンダ(貫通孔13,14)内径(すなわち、ピストン27,28の外径)よりも短くなるように、設定されている。なお、それに伴い、突出部42,43の突出距離及び収容部40,41の大きさ(径方向の深さ)が設定されている。このように構成することにより、図3に示すように、ピストンロッド29,30間の距離をシリンダ(貫通孔13,14)内径(すなわち、ピストン27,28の外径)よりも短くすることができる。
【0019】
そして、ピストンロッド29がシリンダボディ12に没入してピストン27がヘッドカバー15の端面に当接した状態において、第2シール部材34は第1給排孔12aよりもエンドカバー17側に位置している。同様に、ピストンロッド30がシリンダボディ12に没入してピストン28がヘッドカバー16の端面に当接した状態において、第2シール部材35は第2給排孔12bよりもエンドカバー18側に位置している。すなわち、第1給排孔12a及び第2給排孔12bが位置するシリンダボディ12におけるヘッドカバー15,16近傍とは、両ピストンロッド29,30がシリンダボディ12に没入して両ピストン27,28がヘッドカバー15,16の端面に当接した状態において、ヘッドカバー15,16の端面と第2シール部材34,35との間の範囲のことをいう。
【0020】
また、ピストンロッド29がシリンダボディ12から突出してピストン27がエンドカバー17の端面に当接した状態において、第1シール部材32は第3給排孔12cよりもヘッドカバー15側に位置している。ピストンロッド30がシリンダボディ12から突出してピストン28がエンドカバー18の端面に当接した状態において、第1シール部材33は第4給排孔12dよりもヘッドカバー16側に位置している。すなわち、第3給排孔12c及び第4給排孔12dが位置するシリンダボディ12におけるエンドカバー17,18近傍とは、両ピストンロッド29,30がシリンダボディ12から突出して両ピストン27,28がエンドカバー17,18の端面に当接した状態において、エンドカバー17,18の端面と第1シール部材32,33との間の範囲のことをいう。
【0021】
第1給排孔12a〜第4給排孔12dには第1スピードコントローラ51〜第4スピードコントローラ54がそれぞれ設けられている。第1スピードコントローラ51〜第4スピードコントローラ54はシリンダボディ12に対して外付けされている。以下、第1スピードコントローラ51の構成について説明する。
【0022】
第1スピードコントローラ51は、第1給排孔12aに接続される第1絞り流路51aを有するとともに、この第1絞り流路51aは、空気の供給源(図示せず)に接続されている。また、第1スピードコントローラ51は、第1絞り流路51aを流れる空気の流量を絞る絞り部としての第1絞り弁51bを有している。また、第1スピードコントローラ51は、第1絞り流路51aから分岐して第1絞り弁51bを迂回する第1分岐流路51cを有するとともに、第1分岐流路51cには第1逆止弁51dが設けられている。この第1逆止弁51dは、供給源から第1分岐流路51cを介して第1給排孔12aへの空気の流れを許容するとともに、第1給排孔12aから第1分岐流路51cを介した外部への空気の流れを阻止するようになっている。
【0023】
なお、第2スピードコントローラ52、第3スピードコントローラ53、第4スピードコントローラ54を構成する第2絞り流路52a〜第4絞り流路54a、第2絞り弁52b〜第4絞り弁54b、第2分岐流路52c〜第4分岐流路54c、及び第2逆止弁52d〜第4逆止弁54dは、第1スピードコントローラ51を構成する各々と構成が同じであるため、その説明を省略する。なお、各絞り弁51b,52b,53b,54bにより、各絞り流路51a,52a,53a,54aの絞り量を調節することで、両ピストン27,28の移動速度が調節されるようになっている。
【0024】
次に、上記構成のエアシリンダ11の作用について説明する。
ピストンロッド29,30がシリンダボディ12から突出されている状態において、まず、供給源から第3スピードコントローラ53の第3分岐流路53c及び第3絞り流路53aを介して第3給排孔12cから第2圧力作用室25bに空気が供給される。また、供給源から第4スピードコントローラ54の第4分岐流路54c及び第4絞り流路54aを介して第4給排孔12dから第4圧力作用室26bに空気が供給される。すると、第2圧力作用室25b及び第4圧力作用室26bに供給された空気により両ピストン27,28が押圧されてヘッドカバー15,16に向けて移動するとともに、ピストンロッド29,30がシリンダボディ12に没入する方向へ移動する。
【0025】
そして、第1圧力作用室25a内の空気は、第1給排孔12aから第1絞り流路51aに排出されるとともに第1絞り弁51bを介して外部へ排出され、第3圧力作用室26a内の空気は、第2給排孔12bから第2絞り流路52aに排出されるとともに第2絞り弁52bを介して外部へ排出される。その後、各ピストン27,28におけるヘッドカバー15,16側の端面がヘッドカバー15,16の端面に当接するまで各ピストン27,28が移動すると、各ピストン27,28におけるヘッドカバー15,16側への移動が停止される。
【0026】
なお、上記説明では、第3給排孔12c及び第4給排孔12dから空気を供給して、両ピストン27,28を没入方向へ移動させる場合について説明したが、第1給排孔12a及び第2給排孔12bから空気を供給して、両ピストン27,28を突出方向へ移動させる場合についての説明も、上記説明と概ね共通しているため、その説明を省略する。また、ピストン27,28をそれぞれ独立して移動させても良く、その際の説明も上記説明と概ね共通しているため、その説明を省略する。
【0027】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)ピストン27,28の往復方向においてピストン27,28の外周側面には、径方向外側へ突出する突出部42,43が設けられ、当該突出部42,43にピストンロッド29,30の基端が固定され、当該突出部42,43の移動に応じてピストンロッド29,30が移動するように構成した。これによれば、貫通孔13,14の内径(すなわち、シリンダ内径又はピストン27,28の外径)にかかわらず、突出部42,43の長さ及び取り付け位置を変更することにより、ピストン27,28の外径よりも外側においてピストンロッド29,30の位置を自由に設定することができる。従って、ピストン27,28の推進力を維持しつつ、ピストンロッド29,30の配置を任意にすることができ、例えば、突出部42,43の長さ及び取り付け位置を変更することにより、ピストン27,28の外径よりも壁側に近い距離にピストンロッド29,30を配置することもできる。このため、エアシリンダ11の設計が容易に行うことができる。
【0028】
(2)ピストン27,28の往復方向において各ピストン27,28の側面に、それぞれ外径方向へ突出する突出部42,43を設け、当該突出部42,43にそれぞれピストンロッド29,30の基端を固定した。そして、突出部42,43におけるピストンロッド29,30の固定位置の間隔が、貫通孔13,14の内径(シリンダ内径)よりも短い間隔となるように設定した。これにより、ピストン27,28の推進力を維持しつつ、貫通孔13,14の内径に関係なく、ピストンロッド29,30間の距離を短くすることができる。これにより、ピストンロッド29,30間の距離を任意に設定することができ、設計の自由度を得ることができる。
【0029】
(3)収容部40,41を、貫通孔13,14の長手方向において、ピストン27,28が移動したとしても常に第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35の間に位置するように配置した。このように配置することにより、第1圧力作用室25a,第2圧力作用室25b、第3圧力作用室26a、第4圧力作用室26bが収容部40,41を介してロッド用貫通孔44,45と繋がらないようになっている。すなわち、第1圧力作用室25a,第2圧力作用室25b、第3圧力作用室26a、第4圧力作用室26bは、第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35により常にシールすることができる。
【0030】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、スピードコントローラは、上記のような構成にする必要はなく、任意に変更しても良い。
【0031】
・上記実施形態において、各ピストン27,28は四角環状に形成されていてもよく、各ピストン27,28の形状は特に限定されるものではない。そして、各ピストン27,28の外面にシール部材が設けられる。
【0032】
・上記実施形態において、シリンダボディ12に貫通孔13,14(シリンダ)を3つ以上形成してもよい。
・上記実施形態において、スピードコントローラ51,52,53,54は、シリンダボディ12に対して外付けされていたが、これに限らず、シリンダボディ12に内蔵されていてもよい。
【0033】
・上記実施形態において、空気以外の流体を用いて二つのピストン27,28を移動させてピストンロッド29,30を出没可能にするものに適用してもよい。
・上記実施形態において、突出部42,43を収容する収容部を形成する際、貫通孔13,14の貫通方向と直交する方向(図1において矢印方向)を貫通させて、収容部を形成しても良い。このように収容部を形成したとしても、収容部は、貫通孔13,14の長手方向(貫通方向)において、ピストン27,28が移動したとしても常に第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35の間に位置するように配置される。このため、第1圧力作用室25a,第2圧力作用室25b、第3圧力作用室26a、第4圧力作用室26bは、第1シール部材32,33及び第2シール部材34,35により常にシールすることができる。そして、このように形成する場合、容易に収容部を形成することができる。
【0034】
・上記実施形態では、図3に示すように、ピストン27,28と、ピストンロッド29,30は、一直線上に並べて配置されていたが、ピストン27,28及び突出部42,43が干渉しないのであれば、配置を任意に変更しても良い。例えば、図4(a)に示すように、ピストン27(貫通孔13)及びピストンロッド29が配置される直線と、ピストン28(貫通孔14)及びピストンロッド30が配置される直線とが、鋭角をなすように配置しても良い。このようにすれば、ピストンロッド29,30をよりシリンダボディ12の短手方向端部に近づけて配置できる。すなわち、短手方向端部に壁が配置されたとしても、ピストンロッド29,30を、ピストン27,28の外径(シリンダ内径)よりも壁側に近づけて配置できる。
【0035】
また、例えば、図4(b)に示すように、ピストン27(貫通孔13)及びピストンロッド29が配置される直線と、ピストン28(貫通孔14)及びピストンロッド30が配置される直線とが、鋭角をなすように配置すると共に、突出部42,43の長さが異なるようにしても良い。このようにすれば、ピストン27,28を結ぶ直線と、ピストンロッド29,30を結ぶ直線が直交するように配置することが可能となる。以上のように、ピストンロッド29,30は、ピストン27,28の周りであれば自由に配置することができ、設計が容易となる。
【0036】
・上記実施形態において、図5に示すように、ピストンロッド29,30の先端を連結部材100により連結させてピストンロッド29,30の推進力を高めても良い。
・上記実施形態では、ピストン27,28の側面にそれぞれ1つずつ突出部42,43を設け、当該突出部42,43に1つずつピストンロッド29,30を固定させた。この別例として、図6に示すように、ピストンの側面に、外径方向へ突出する突出部を複数設け、当該突出部にそれぞれピストンロッドの基端を固定しても良い。例えば、図6(a)に示すように、ピストン200の180度反対側に1つずつ、合計2箇所に突出部201,202を設け、それぞれピストンロッド203,204を固定しても良い。また、図6(b)に示すように、ピストン300の120度ずつ離れた位置に1つずつ、合計3箇所に突出部301,302,303を設け、それぞれピストンロッド304,305,306を固定しても良い。また、図6(c)に示すように、ピストン400の180度離れた位置に1つずつ、合計2箇所に突出部401,402を設け、一方の突出部401には、ピストンロッド403を1つ固定し、他方の突出部402にはピストンロッド404,405を2つ固定しても良い。これにより、1つのピストン400の駆動により、複数のピストンロッド403〜405を効率的に作動させることができる。ピストンロッド403〜405間の距離を任意に設定することもできる。
【0037】
・上記実施形態では、図2において、ピストン27,28の突出部42,43の左面のみにピストンロッド29,30を固定した。この別例として、図7に示すように、突出部500の両面にピストンロッド501,502を固定し、ピストン503の往復方向に沿ってそれぞれ突出するようにしてもよい。
【0038】
・上記実施形態では、ピストン27,28の突出部42,43に、ピストンロッド29,30が固定されていたが、少なくとも係合すれば、固定されていなくても良い。例えば、突出部42,43がピストンロッド29,30と係合するように配置されており、突出部42,43の動きにより、ピストンロッド29,30が係合して押し出されるようにしてもよい。
【0039】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)ピストンの往復方向において、シリンダの側面には、ピストンから突出形成された突出部が収容されると共に、ピストンの移動に伴って突出部の移動を許容する収容部が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の流体圧シリンダ。
【0040】
(ロ)前記収容部には、ピストンロッドが通過するロッド用貫通孔が形成されていることを特徴とする技術的思想(イ)に記載の流体圧シリンダ。
(ハ)ピストンの往復方向において、ピストン外周面の両端部には、シリンダの内径と密接してシリンダ内の領域を区切るようにシールするシール部材がそれぞれ備えられ、ピストンの往復方向において、前記収容部の大きさは、両端のシール部材の間に収まる大きさであることを特徴とする技術的思想(イ)又は(ロ)に記載の流体圧シリンダ。
【符号の説明】
【0041】
11…流体圧シリンダとしてのエアシリンダ、12…シリンダボディ、12a〜12d…給排孔としての第1〜第4給排孔、13,14…貫通孔、15,16…ヘッドカバー、17,18…エンドカバー、25,26…シリンダ室、25a…第1圧力作用室、25b…第2圧力作用室、26a…第3圧力作用室、26b…第4圧力作用室、27,28…ピストン、29,30…ピストンロッド、32,33…第1シール部材、34,35…第2シール部材、40,41…収容部、42,43…突出部、51b〜54b…第1〜第4絞り弁、51c〜54c…第1〜第4分岐通路、51d〜54d…逆止弁。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内にて往復運動可能に収容されたピストンと、
ピストンと係合することにより、ピストンと共に往復運動すると共に、先端がシリンダボディから突出するように配置されるピストンロッドとを有する流体圧シリンダにおいて、
前記ピストンの往復方向において前記ピストンの側面には、外側へ突出する突出部が設けられ、当該突出部にピストンロッドの基端が係合され、当該突出部の移動に応じてピストンロッドが移動することを特徴とする流体圧シリンダ。
【請求項2】
シリンダボディに複数のシリンダが設けられ、
前記ピストンの往復方向において各ピストンの側面には、それぞれ外側へ突出する突出部が設けられ、当該突出部にそれぞれピストンロッドの基端が係合され、
前記突出部におけるピストンロッドの係合位置の間隔が、シリンダ内径よりも短い間隔となるように設定されたことを特徴とする請求項1に記載の流体圧シリンダ。
【請求項3】
前記ピストンの側面には、外側へ突出する突出部が複数設けられ、
当該突出部にそれぞれピストンロッドの基端が係合されることを特徴とする請求項1に記載の流体圧シリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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