説明

流体活性化装置

【課題】安価で、かつ効果的に流体を活性化させることができる流体活性化装置を提供する。
【解決手段】パイプ1に流れる流体を活性化させるために、パイプ1の外周には、2個一対の組立体2A、2Bが配設されている。組立体2A、2Bは、カバー10と、カバー10内にエポキシ樹脂30で一体的に固定された流体活性体20とからなる。流体活性体20は、複種類の金属酸化物の粉体を高温で焼結させた黒体放射焼結体21と、黒体放射焼結体21より放射される電磁波を一定の波長に収束させる電磁波収束体22とからなる。2個のカバー10をパイプ1の外周に配設し、カバー10の両側に形成された固定部13をそれぞれ締め付け具(31、32と33と434)で一体的に固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ内を流れる流体をイオン化して活性化させる流体活性化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体活性化装置は、パイプの外側に永久磁石又は核磁気共鳴エネルギー発生体等が配設された構成となっている(例えば特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特公平5−18635号公報
【特許文献2】特開2000−9290号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
流体の活性化をより促進させるには、磁性体の磁力密度が大きいほど好ましい。しかし、特許文献1で使用される磁性体は磁力密度に限界があり、十分な効果を得ることが期待できない。これに対して特許文献2は、NMR磁気共鳴理論に基づいているので、パイプ内の流体を非常に効率良く活性化させることができる。しかし、特許文献2は特殊な磁性体を用いるので、非常にコスト高になるという問題があった。
【0004】
本発明の課題は、安価で、かつ効果的に流体を活性化させることができる流体活性化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の請求項1は、パイプに流れる流体を活性化させるために、パイプの外周に配設される流体活性体を備えた流体活性化装置において、前記流体活性体は、複種類の金属酸化物の粉体を高温で焼結させた黒体放射焼結体と、この黒体放射焼結体より放射される電磁波を一定の波長に収束させる電磁波収束体とからなることを特徴とする。
【0006】
上記課題を解決するための本発明の請求項2は、パイプに流れる流体を活性化させるために、パイプの外周に配設される流体活性体を備えた流体活性化装置において、パイプの外周に配設される2個一対の組立体とからなり、組立体は、カバーと、このカバー内に樹脂で一体的に固定された流体活性体とからなり、前記流体活性体は、複種類の金属酸化物の粉体を高温で焼結させた黒体放射焼結体と、この黒体放射焼結体より放射される電磁波を一定の波長に収束させる電磁波収束体とからなり、前記2個のカバーをパイプの外周に配設し、このカバーの両側に形成された固定部をそれぞれ締め付け具で一体的に固定することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の請求項3は、前記請求項1又は2において、前記電磁波収束体は、6個以上の磁石をN極とS極が互いに交互に配置して積層し、これらの積層された磁石を貫通する電磁波通過穴が形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の請求項4は、前記請求項1又は2において、黒体放射焼結体の原料は、次の7種の原料であるコバルト(Cobalt)、ニッケル(Nickel)、マンガン(Manganese)、銅(Copper)、鉄(Iron)、ボロン(Boron)、アルミニウム(Aluminium)を主成分とし、これらに次のネオジウム(Neodymium)、プラセオジウム(Praseodymium)、イットリウム(Yttrium)、ランサニウム(Lanthanum)、セリウム(Cerium)、サマリウム(Samarium)、ユウロピウム(Europium)、ガドリニウム(Gadolinium)、テルビウム(Terbium)、ディスプロシウム(Dysprosium)、ホルミウム(Holmium)、エルビウム(Erbium)、ツリウム(Thulium)、イッテルビウム(Ytterbium)、ルテチウム(Lutetium)、クロミウム(Chromium)の内の5種の金属酸化物を混合、即ち計12種の金属酸化物を混合して形成されていることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の請求項5は、前記請求項3において、前記核磁石は非磁性体被覆で一体的に結合されていることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の請求項6は、前記請求項3において、前記電磁波通過穴は、直径1mm以下の微細穴よりなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
黒体放射焼結体は、幅広い波長の電磁波を発生させている。この幅広い波長の電磁波は、位相間の相互作用により、電磁波が減衰すると同時に物質の透過性がなくなる。しかし、黒体放射焼結体より放射された電磁波は、電磁波収束体で収束されて波長の位相が揃えられ、特定のレーザー的マイクロ波が得られる。このレーザー的マイクロ波はパイプを透過し、パイプ内に流れる水を活性化させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の流体活性化装置の第1実施の形態を図1及び図2により説明する。パイプ1の外周には、2個一対の組立体2A、2Bが配設されている。組立体2Aと2Bは同じ構造よりなるので、同じ部材又は部分には同一番号を付し、かつ符号A、Bは省略し、必要に応じて番号の後に符号A、Bを付して説明する。
【0013】
組立体2A、2Bは、ステンレス製のカバー10内に固定された複数個の流体活性体20を有している。この流体活性体20の構成については後記する。カバー10は、円弧状の外壁部11と、この外壁部11の両側端よりパイプ1側に伸びた側壁部12と、この側壁部12よりパイプ1より外側に直角に伸びた固定部13とから形成されている。流体活性体20は、エポキシ樹脂30でカバー10に一体的に固定されている。このような構成よりなる組立体2A、2Bは、パイプ1の外周に配設され、固定部13にボルト31、32を通し、ナット33、34で締め付けることにより組立体2A、2Bはパイプ1に固定される。
【0014】
流体活性体20は、黒体放射焼結体21と、この黒体放射焼結体21より発生した電磁波を特定の波長に収束させる電磁波収束体22とからなっている。
【0015】
黒体放射焼結体21は、複種類の金属酸化物を粉体化し、1000〜1400°Cで焼結処理して形成されている。前記金属酸化物の原料としては、次の7種の原料であるコバルト(Cobalt)、ニッケル(Nickel)、マンガン(Manganese)、銅(Copper)、鉄(Iron)、ボロン(Boron)、アルミニウム(Aluminium)を主成分としている。そして、これらに次のネオジウム(Neodymium)、プラセオジウム(Praseodymium)、イットリウム(Yttrium)、ランサニウム(Lanthanum)、セリウム(Cerium)、サマリウム(Samarium)、ユウロピウム(Europium)、ガドリニウム(Gadolinium)、テルビウム(Terbium)、ディスプロシウム(Dysprosium)、ホルミウム(Holmium)、エルビウム(Erbium)、ツリウム(Thulium)、イッテルビウム(Ytterbium)、ルテチウム(Lutetium)、クロミウム(Chromium)の内の5種の金属酸化物を混合、即ち計12種の金属酸化物を混合して形成する。
【0016】
電磁波収束体22は、図2に示すように、リング状の磁石23を2つに分割した分割磁石23a、23bとなっており、この分割磁石23a、23bを多層(実施の形態は8層)に積層して形成されている。磁石23は、N極とS極を互いに交互に配置し、各磁石23は非磁性体被覆24で一体的に結合されている。これにより、電磁波収束体22の中央には、直径1mm以下の微細な電磁波通過穴25が形成されている。
【0017】
次に作用について説明する。黒体放射焼結体21は、幅広い波長の電磁波を発生させている。この幅広い波長の電磁波は、位相間の相互作用により、電磁波が減衰すると同時に物質の透過性がなくなる。従って、黒体放射焼結体21を直接水に接触させれば、水を活性化させることができるが、黒体放射焼結体21の電磁波は、パイプ1を透過しないので、パイプ1内に流れる水を活性化させることができない。本実施の形態においては、黒体放射焼結体21より放射された電磁波は、N極とS極を互いに交互に配置した磁石23の電磁波通過穴25を通過させることにより、波長の位相が揃えられ、特定のレーザー的マイクロ波が得られる。このレーザー的マイクロ波はパイプ1を透過し、パイプ1内に流れる水を活性化させることができる。水が活性化すると、周知の如く、パイプ1内壁の赤錆が黒錆化され、パイプ1の閉塞率が改善され、赤錆腐食劣化は防止される。
【0018】
このように、流体活性体20は、金属酸化物を焼結した黒体放射焼結体21と、この黒体放射焼結体21より発生した電磁波を特定の波長に収束させる磁石23よりなる電磁波収束体22とからなるので、特許文献2に用いる特殊の核磁気共鳴エネルギー発生体に比べて大幅なコスト低減が図れる。
【0019】
本発明の第2実施の形態を図3及び図4により説明する。なお、前記実施の形態と同じ又は相当部材には同一番号を付し、その詳細な説明は省略する。電磁波収束体22は、前記実施の形態と同様に、磁石23が多層(実施の形態は8層)に積層して形成されている。磁石23は、N極とS極を互いに交互に配置し、各磁石23は非磁性体被覆24で一体的に結合されている。電磁波収束体22には多数の直径1mm以下微細なな電磁波通過穴26が貫通して形成されている。
【0020】
本実施の形態においても、前記実施の形態と同様に、黒体放射焼結体21より放射された電磁波は、N極とS極を互いに交互に配置した磁石23の電磁波通過穴26を通過させることにより、波長の位相が揃えられ、特定のレーザー的マイクロ波が得られる。このレーザー的マイクロ波はパイプ1を透過し、パイプ1内に流れる水を活性化させることができる。
【0021】
なお、上記各実施の形態においては、8個の磁石23を積層させた場合について説明したが、6個以上を積層してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の流体活性化装置の第1の実施の形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】図1の電磁波収束体を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図3】本発明の流体活性化装置の第2の実施の形態を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図4】図3の電磁波収束体を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 パイプ
2A、2B 組立体
10 カバー
13 固定部
20 流体活性体
21 黒体放射焼結体
22 電磁波収束体
23 磁石
23a、23b 分割磁石
24 非磁性体被覆
25、26 電磁波通過穴
30 エポキシ樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプに流れる流体を活性化させるために、パイプの外周に配設される流体活性体を備えた流体活性化装置において、前記流体活性体は、複種類の金属酸化物の粉体を高温で焼結させた黒体放射焼結体と、この黒体放射焼結体より放射される電磁波を一定の波長に収束させる電磁波収束体とからなることを特徴とする流体活性化装置。
【請求項2】
パイプに流れる流体を活性化させるために、パイプの外周に配設される流体活性体を備えた流体活性化装置において、パイプの外周に配設される2個一対の組立体とからなり、組立体は、カバーと、このカバー内に樹脂で一体的に固定された流体活性体とからなり、前記流体活性体は、複種類の金属酸化物の粉体を高温で焼結させた黒体放射焼結体と、この黒体放射焼結体より放射される電磁波を一定の波長に収束させる電磁波収束体とからなり、前記2個のカバーをパイプの外周に配設し、このカバーの両側に形成された固定部をそれぞれ締め付け具で一体的に固定することを特徴とする流体活性化装置。
【請求項3】
前記電磁波収束体は、6個以上の磁石をN極とS極が互いに交互に配置して積層し、これらの積層された磁石を貫通する電磁波通過穴が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流体活性化装置。
【請求項4】
黒体放射焼結体の原料は、次の7種の原料であるコバルト(Cobalt)、ニッケル(Nickel)、マンガン(Manganese)、銅(Copper)、鉄(Iron)、ボロン(Boron)、アルミニウム(Aluminium)を主成分とし、これらに次のネオジウム(Neodymium)、プラセオジウム(Praseodymium)、イットリウム(Yttrium)、ランサニウム(Lanthanum)、セリウム(Cerium)、サマリウム(Samarium)、ユウロピウム(Europium)、ガドリニウム(Gadolinium)、テルビウム(Terbium)、ディスプロシウム(Dysprosium)、ホルミウム(Holmium)、エルビウム(Erbium)、ツリウム(Thulium)、イッテルビウム(Ytterbium)、ルテチウム(Lutetium)、クロミウム(Chromium)の内の5種の金属酸化物を混合、即ち計12種の金属酸化物を混合して形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流体活性化装置。
【請求項5】
前記核磁石は非磁性体被覆で一体的に結合されていることを特徴とする請求項3記載の流体活性化装置。
【請求項6】
前記電磁波通過穴は、直径1mm以下の微細穴よりなることを特徴とする請求項3記載の流体活性化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−68621(P2006−68621A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254157(P2004−254157)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(598030238)日本システム企画株式会社 (16)
【Fターム(参考)】