流体混合器
【課題】異なる流体を効率よく混合させることにより、流体同士の接触反応が効率的に行われる流体混合器を提供する。
【解決手段】開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニット12を、充填塔内部に配置した流体混合器10であって、複数の流体混合ユニット12は、その軸方向の向きが互いに異なるように配置されている流体混合器を構成する。
【解決手段】開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニット12を、充填塔内部に配置した流体混合器10であって、複数の流体混合ユニット12は、その軸方向の向きが互いに異なるように配置されている流体混合器を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種以上の流体を混合する、充填材が充填された気液接触型の流体混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
充填材を用いる気液接触型の流体混合器は、垂直円筒内に充填材を規則的又は不規則的に充填することによって構成されている。そして、この円筒内に液体を投入すると、混合器内に充填された充填材によって分散され、充填材の表面を伝わって、膜状に円筒内を流下する。
一方、気体は、この円筒内に上方又は下方から供給され、充填材の間隙を移動する。
これにより、円筒内において、充填材の表面付近で液体と気体とが接触し、気液接触が行われて、ガス冷却、ガス吸収、集塵、蒸留等が行われる。
【0003】
上述の充填材の適当な条件としては、表面積が大きく、尚且つ流体の圧力損失が少ないこと等が挙げられる。そして、これらの特性を有するものとして、例えば、ラシヒリング(Rasching ring)や、くら型(Berl saddle)の充填材が従来から用いられていた。
【0004】
また、さらに大きな表面積を有し、気液接触の効率を向上させることができる充填材として、充填塔内に並行に配置され、波形溝及び小孔の列を有する複数の薄層物によって構成された充填材を用いた流体混合器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この流体混合器によれば、液を塔内の全断面において均一に分布させることができる。
【0005】
【特許文献1】特開平7−080279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流体混合器での反応は、気液接触部である充填材の表面における気体と液体との接触反応であるため、充填材の表面積の大きさが、流体混合器の処理能力に大きな影響を与える。
このため、流体混合器において高い処理の能力を得るためには、充填材の表面積をできるだけ大きくする必要がある。
【0007】
しかしながら、従来の充填材では、気液接触の効率を上げるために表面積を大きくしすぎると、気液接触界面積を確保することはできるが、流体の流通を妨げることになるため、流体の圧力損失が大きくなることが避けられない。
また、気液接触の効率を上げるため、気体又は液体の流量を大きくした場合、充填材による圧力損失が大きくなる。さらに、フラッディングが発生し、安定に操作できなくなる。
このため、従来の流体混合器では、気液接触の効率を向上させることが困難であった。
【0008】
上述した問題の解決のため、本発明においては、異なる流体を効率よく混合させることにより、流体同士の接触反応が効率的に行われる流体混合器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の流体混合器は、開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、複数の流体混合ユニットは、その軸方向の向きが互いに異なるように、不規則的に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の流体混合器は、開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、複数の流体混合ユニットを、その軸方向が前記充填塔の直径方向に対して垂直となる方向に、規則的に隣接させて配置したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の流体混合器は、開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、充填塔内部を流れる流体の向きと垂直となる方向に、複数の流体混合ユニットを隣接配置させることにより流体混合ユニット群を構成し、充填塔内部を流れる流体の向きに沿って、流体混合ユニット群を多層状に配置したことを特徴とする。
【0012】
本発明の流体混合器によれば、充填材として混合部を有する流体混合ユニットを用いる。そして、この流体混合ユニットの混合部において内部を流通する気体及び液体が混合されるため、充填材表面における接触反応だけでなく、流体混合ユニット内を通過した気体と液体とが混合されることによる接触反応が起こる。
従って、充填材の表面積の大きさに係らず、気体と液体との接触を行うことができるため、気液接触を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の流体混合器によれば、気液接触が効率よく行われることにより、気体と液体との接触反応を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の流体混合器の斜視断面図である。
【0015】
流体混合器10は、充填塔11と、この充填塔11内に充填された流体混合ユニット12とによって構成される。
【0016】
充填塔11は円筒状部材で構成され、内部を流体が流通できる構成である。
そして、この充填塔11内に、充填材として複数の流体混合ユニット12が不規則充填され、その軸方向の向きが互いに異なるように不規則に充填されている。
【0017】
充填塔11内に充填された流体混合ユニット12は、開口部14及び流体混合部17が設けられている。
開口部14は、流体混合ユニット12を形成する筒状の通路管13の両端に設けられる。そして、混合部17は、通路管13の内部に形成される。
【0018】
図1に示した流体混合器10は、例えば、充填塔11の円筒内部に、グリッド板等を設置し、充填塔11の上方から、必要な量の流体混合ユニット12を投入し、不規則充填することにより形成することができる。
流体混合器の大きさは必要に応じて、例えば、直径方向の長さが200mm〜2000mm程度で構成される。
【0019】
次に、上述の流体混合器10に充填される流体混合ユニット12について、図2(a),(b)、及び、図3(a)〜(h)を用いて説明する。図2(a),(b)は、流体混合器10に充填される流体混合ユニット12の一例を示す斜視図であり、図3(a)〜(h)は流体混合ユニット12の一例を示す平面図である。
流体混合器10に充填される流体混合ユニット12は、図3(a)〜(h)に示すように、8種類の異なる形態で構成される。
【0020】
図2(a),(b)に示す流体混合ユニット12A,Bは、開口部14及び混合部17によって構成される。
【0021】
開口部14は、流体混合ユニット12A,Bを形成する筒状の通路管13の両端に設けられる。そして、混合部17は、通路管13内に形成された螺旋状の羽根体15A,B及び流体通路16によって形成される。
【0022】
図2(a),(b)に示す流体混合ユニット12A,Bの羽根体15A,Bは、通路管13の内壁に約180度の間隔をおいて設けられた2枚の羽根体によって形成されている。
そして、図2(a)に示す流体混合ユニット12Aの羽根体15Aは、通路管13の長手方向の一端部から他端部に向けて時計方向(右方向)に約90度捻られて構成される。
また、図2(b)に示す流体混合ユニット12Bの羽根体15Bは、反時計方向(左方向)に、約90度捻られて構成されている。
これらの時計方向及び反時計方向に捻られた羽根体15A,Bは、通路管13の中心部で2つに分離されている。そして、この羽根体15A,Bが2枚に分離されることにより、通路管12の全長にわたって連通した形状の流体通路16が、開口部14同士を通じて形成される。
【0023】
次に、図3(a)は、上述の図2(a)に示した流体混合ユニット12Aの平面図であり、図3(b)は、上述の図2(b)に示した流体混合ユニット12Bの平面図である。
また、図3(c)〜(h)に示す流体混合ユニット12C〜Hは、上述の流体混合ユニット12A,Bの羽根体15A,Bを、異なる形態の羽根体15C〜Hによって形成している。
なお、図3(a)〜(h)において、流体混合ユニットの開口部14について符号及び説明を省略しているが、図2(a),(b)に示す流体混合ユニット12A,Bと同じ構成である。
【0024】
図3(c),(d)に示す流体混合ユニット12C,Dの羽根体15C,Dは、通路管13の内壁の中で一体成形されて一枚の羽根体が形成されている。
そして、図3(c)に示す流体混合ユニット12Cの羽根体15Cは、通路管13の長手方向の一端部から他端部に向けて時計方向(右方向)に約90度捻られて構成される。
また、図3(d)に示す流体混合ユニット12Dの羽根体15Dは、反時計方向(左方向)に、約90度捻られて構成されている。
これらの時計方向に捻られた羽根体15C,Dは、通路管13中で一体成形されることにより、この羽根体15C,Dによってそれぞれ流体通路16が、通路管13中で二つに分離されて形成される。
【0025】
図3(e),(f)に示す流体混合ユニット12E,Fの羽根体15E,Fは、通路管13の内壁に約120度ずつ間隔を置いて設けられた、3枚の羽根体が通路管13の中心部で3つに分離されて形成されている。
そして、図3(e)に示す流体混合ユニット12Eの羽根体15Eは、通路管13の長手方向の一端部から他端部に向けて時計方向(右方向)に約60度捻られて構成される。
また、図3(f)に示す流体混合ユニット12Fの羽根体15Fは、反時計方向(左方向)に、約60度捻られて構成されている。
これらの時計方向及び反時計方向に捻られた羽根体15E,Fは、通路管13の中心部で3つに分離されることにより、通路管12の全長にわたって連通した形状の流体通路16が、開口部14同士を通じて形成される。
【0026】
図3(g),(h)に示す流体混合ユニット12G,Hの羽根体15G,Hは、通路管13の内壁に約120度ずつ間隔を置いて設けられた、3枚の羽根体が、通路管13の中心部で一体に形成されている。
そして、図3(g)に示す流体混合ユニット12Gの羽根体15Gは、通路管13の長手方向の一端部から他端部に向けて時計方向(右方向)に約60度捻られて構成される。
また、図3(h)に示す流体混合ユニット12Hの羽根体15Hは、反時計方向(左方向)に、60度捻られて構成されている。
これらの時計方向に捻られた羽根体15G,Hは、通路管13中で一体成形されることにより、流体通路16が、それぞれ通路管13中で3つに分離されて形成される。
【0027】
このような流体混合ユニット12の混合部17を、異なる2種類の流体(例えば気体と液体)が向流又は並流で通流することにより、流体の一部が羽根体15に沿って、螺旋状に回転し、右向き又は左向きの旋回流になる。これにより、異なる流体同士が、混合、撹拌される。
また、流体の一部は、羽根体15によりせん断されて複数に分割して微細化される。
このように、流体が流体混合ユニット12の混合部17を通過することにより、混合部17において、流体が回転、せん断、分割を繰り返し、2種類の流体が混合、撹拌して、効率よく接触する。
【0028】
このように、本実施の形態の流体混合ユニット12は、内部を通過する流体が混合部17において、効率よく接触することができる特性を有している。
このような特性を有した充填材を使用することにより、気液接触の界面積を増加させるだけでなく、流体混合ユニット12自体の有する上述の特性によって異なる流体を混合等できることにより、流体同士を効率よく接触させることができる。
このため、流体混合器の充填材として流体混合ユニット12を用いると、流体同士が混合されるため、気液接触による液体への気体の溶解、吸収等の接触反応が促進される。
【0029】
さらに、流体混合ユニット12は、流体通路16を有し、内部を流体が通過することができる構成であるため、圧力損失を低くすることができる。
このため、動力費及び保守管理費を低減することができると共に、装置内の気体の流速(空筒速度)を速くすることができ、流体混合器を小さくすることが可能である。
【0030】
また、上述の流体混合器10において使用する流体混合ユニット12は、任意に選択することができる。例えば、流体混合ユニット12A〜Hのうち、同一形状の流体混合ユニットのみを使用して流体混合器10を構成してもよく、また、異なる形状の複数種類の流体混合ユニット12を同時に使用して流体混合器10を構成してもよい。
【0031】
このとき、羽根体15が時計方向(右方向)に捻られた流体混合ユニット12A,C,E,Gと、羽根体15が反時計方向(左方向)に捻られた流体混合ユニット12B,D,F,Hとを組み合わせて使用することにより、異なる流体同士を効率よく混合等でき、流体の接触効率を向上させることができる。
【0032】
なお、流体混合ユニット12において、通路管13の直径方向の幅及び軸方向の長さ、開口部14の面積、さらに、羽根体15A〜Hの直径方向の幅及び軸方向の長さ等は使用目的に合せて任意に設計することができる。
また、羽根体15A〜Hの捻りの角度は、約90度に限らず、約45度、約60度、約180度などの任意に設定することができる。
ただし、流体混合ユニット12A〜Dにおいては、捻りの角度が90度を超えると射出成型法による製造ができず、また、流体混合ユニット12E〜Hにおいては、捻りの角度が60度を超えると射出成型法による製造ができない。このため、羽根体15A〜Hの捻りの角度は、流体混合ユニット12A〜Dにおいては90度以下、又は、流体混合ユニット12E〜Hにおいては60度以下とすることが好ましい。
【0033】
これらの流体混合ユニット12は、ステンレス、チタン、鉄、銅等の金属材料、プラスチック材料、セラミック材料、及び、これら材料の複合材料等から構成され、射出成形法、押出成形法、ロストワックス鋳造法、金属塑性加工法、粉末成形法等によって容易に製造することができる。
【0034】
次に、図4に、本発明の第2の実施の形態の流体混合器20の斜視断面図を示す。
図4は、図1で示した流体混合器10において、流体混合ユニット12を異なる充填方法によって充填した場合の流体混合器20の様子を示す。
なお、図4に示した流体混合器において、流体混合ユニット12の充填方法を除く各構成、及び、充填される流体混合ユニット12は、図1に示した流体混合器10と同様の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
図4に示した流体混合器20は、図1に示した流体混合器10の流体混合ユニット12が不規則に充填されていたのに対し、流体混合ユニット12を軸方向の向きが前記充填塔の直径方向に対して垂直となるように、規則的に隣接させて配置し、平面状の流体混合ユニット群を形成している。
流体混合ユニット12は、流体混合器20内に、流体混合ユニット12の長手方向を鉛直にして配置する。つまり、流体混合ユニット12の開口部14が、流体混合器20内を流れる流体の向きに合わせて配置される。
【0036】
そして、この層状の流体混合ユニット群を積層して多層状に配列することにより、流体混合器20内に流体混合ユニット12が充填される。このとき、各層ごとの、流体混合ユニット12は、上下する層において、開口部14の位置をずらして積層される。
このため、流体混合ユニット群の各層における流体混合ユニット12の数は、上下する流体混合ユニット群の各層において異なるように構成される。
【0037】
図4に示した流体混合器20は、流体混合ユニット12を軸方向が垂直になるように隣接させて積層し、規則充填させたものである。
混合流体ユニット12は、複数の流体混合ユニット12を、それぞれ通路管13の外壁同士を接続することにより、流体混合ユニット12を平面状に並べた構成の流体混合ユニット群を形成する。
そして、平面状の流体混合ユニット群を、流体混合ユニット12の開口部14をずらして積層することにより、多層状の流体混合ユニット群を構成している。
【0038】
上述の流体混合ユニット12が規則充填された流体混合器20では、図1に示した不規則充填された流体混合器10に比べ、内部を通過する流体の流通が妨げられない構成となる。これは、内部を流体が通過することができる構成の流体混合ユニット12を、流体の流れる向きに沿って開口部14及び流体通路16を合わせて設置して、上述の流体混合器20を構成しているためである。
このため、流体混合器内で流体の圧力損失を低くすることができ、動力費及び保守管理費を低減することができると共に、装置内の気体の流速(空筒速度)を早くすることができ、流体混合器を小さくすることが可能である。
【0039】
また、上述の流体混合器20では、上下する流体混合ユニット群において、開口部14をずらして積層することにより、一つの層で流体混合ユニット12同士の間の空隙を通過した流体であっても、異なる層の流体混合ユニット12の内部を通過する。
このため、流体混合ユニット12により、流体が混合されて流体の接触効率を高めることができる。
【0040】
上述の流体混合器20に使用する流体混合ユニット12の形状は、適宜選択することができる。例えば、同一形状の流体混合ユニット12を使用して構成してもよく、また、形状の異なる複数の種類の流体混合ユニット12を同時に使用して構成してもよい。
また、流体混合ユニット12に設けられた羽根体15の形状は、同一でも異なっていてもよい。
また、羽根体15がそれぞれ異なる向きに捻られている形状の流体混合ユニット12同士を組み合わせて使用することにより、異なる流体同士を効率よく混合等でき、流体の接触効率を向上させることができる。
【0041】
なお、図4に示した流体混合器20では、多層状の流体混合ユニット群を構成する各層の流体混合ユニット12の数を異ならせて構成した。しかし、上下する各層において、流体混合ユニット12の開口部14の位置をずらして構成すれば、例えば、流体混合ユニット群を構成する流体混合ユニット12の数は、各層において同数で構成してもよい。
この場合、流体混合器20の内部において密に充填することができるように、層状の流体混合ユニット群を構成する各層の流体混合ユニット12の数を設計することが好ましい。
【0042】
図4に示した流体混合器20は、例えば、充填塔11の断面積に合わせて流体混合ユニット12の通路管13の外壁同士を接着して層状の流体混合ユニット群を複数形成する。そして、充填塔11内部の図示していないグリッド板上にこの層状の流体混合ユニット群を設置し、所定の高さまでこの流体混合ユニット群を積層することによって形成することができる。
【0043】
また、例えば、流体混合ユニット12の直径に合わせて穴が設けられた固定板を用意し、この固定板に流体混合ユニット12を挿し込むことにより、層状の流体混合ユニット群を形成してもよい。
そして、所定の高さまで固定板ごと流体混合ユニット群を積層して多層状に配列することにより、流体混合器20内に流体混合ユニット12を充填してもよい。さらに、通路管13の端縁同士を接合して充填してもよい。
【0044】
次に、図5に、本発明の第3の実施の形態の流体混合器30の斜視断面図を示す。
図5は、図4で示した流体混合器20とは異なる規則で流体混合ユニット12を充填した場合の流体混合器30の様子を示す。
なお、図5に示した流体混合器30において、流体混合ユニット12の充填方法を除く各構成、及び、充填される流体混合ユニット12は、図1及び図4に示した流体混合器10,20と同様の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図5に示した流体混合器30は、図4に示した流体混合器20と同様に、流体混合ユニット12を規則充填させたものである。
混合流体ユニット12は、それぞれの開口部14が合うように通路管13の端縁同士が接続され、長手方向に連結されている。これにより複数の流体混合ユニット12同士が、開口部14及び流体通路16を相互に連通し、筒状の流体混合ユニット群を形成している。そして、この筒状の流体混合ユニット群を、軸方向の向きが前記充填塔の直径方向に対して垂直となる方向で規則的に隣接させて配列されている。
この筒状の流体混合ユニット群を多数配列することにより、流体混合器30内に流体混合ユニット12が充填される。
【0046】
上述の流体混合器30に使用する筒状の流体混合ユニット群は、流体混合ユニット12の開口部14同士が接続されているため、流体が、最上部若しくは最下部の流体混合ユニット12の開口部14から流体混合ユニット12、及び、流体混合ユニット群の内部を通過する。このため、流体混合ユニット12の混合部17及び開口部14において、連続的に流体の混合を行うことができ、接触効率を向上させることができる。
また、内部を流体が通過することができる流体通路16を有する流体混合ユニット12が連通している構成のため、不規則充填に比べて内部を通過する流体の流通が妨げられない構成となる。
このため、流体混合器内で流体の圧力損失を低くすることができ、動力費及び保守管理費を低減することができると共に、装置内の気体の流速(空筒速度)を、より早くすることができ、流体混合器を小さくすることが可能である。
【0047】
上述の流体混合器30において、筒状の流体混合ユニット群を構成する場合には、同一形状の流体混合ユニット12のみを使用して構成してもよく、また、形状の異なる複数の種類の流体混合ユニット12を同時に使用して構成してもよい。
また、流体混合ユニット12に設けられた羽根体の向きは、同一の向きとすることも、異なる向きとすることもできる。
また、羽根体15がそれぞれ異なる向きに捻られている形状の流体混合ユニット12同士を組み合わせて使用することにより、異なる流体同士を効率よく混合等でき、流体の接触効率を向上させることができる。
【0048】
図5に示した流体混合器30は、例えば、流体混合ユニット12の開口部14同士をあわせて、通路管13の端縁部分を長手方向に接着し、所定の高さの筒状の流体混合ユニット群を複数形成する。そして、充填塔11内部の図示していないグリッド板上にこの筒状の流体混合ユニット群を隣接させて並べることによって形成することができる。
【0049】
また、例えば、流体混合ユニット12の直径に合わせて穴が設けられた固定板を用意し、この固定板に流体混合ユニット12を挿し込むことにより、層状の流体混合ユニット群を形成してもよい。
そして、上下する層において流体混合ユニット12の開口部14同士が合うように、所定の高さまでこの固定板ごと流体混合ユニット群を積層して多層状に配列することにより、流体混合器20内に流体混合ユニット12を充填してもよい。
【0050】
また、固定板を用いて積層する場合には、流体混合器20内において、隣接する流体混合ユニット12間の間隙を固定板により埋めることができる。
このため、流体混合器30に供給された流体は、流体混合ユニット12間の間隙を通過せず、流体混合ユニット12の内部を通過する構成となるため、流体の接触効率を高くすることができる。
【0051】
次に、図6及び図7に、本発明の流体混合器を適用し、気体と液体との接触反応に用いる流体混合装置の一例の模式図を示す。
図6は、流体混合器を気液接触に用いる場合の流体混合装置40の模式図であり、図7は、この流体混合装置40内での流体混合器41を示す模式図である。
なお、図6及び図7において、破線の矢印は液体の流れを示し、実線の矢印は気体の流れを示す。
【0052】
図6に示す流体混合装置40は、充填塔11及び流体混合ユニット12(図1参照)により構成された流体混合器41が配設されている。
【0053】
また、流体混合装置40には、上部に配置されたスプレイノズル43から、吸収液44が装置内に噴射され、また、流体混合器41の下方であって、流体混合装置40の側面から原気体45が装置内に供給される構成である。
この吸収液44及び原気体45は、流体混合器41を通過する際に、上述した流体混合器41の作用により接触反応が行われる。そして、吸収液44は、流体混合装置40の下部から排出され、また、原気体45は、流体混合装置40の上部から処理気体46として排出される。
【0054】
これにより、流体混合装置40は、流体混合器41において、原気体45と、吸収液44とを接触させることができる。そして、この流体混合装置40は例えば、反応吸収、物理吸収、冷却、乾燥、除塵などに用いることができる。
また、流体混合装置40、及び、流体混合器41を用いて吸収塔、充填塔、蒸留塔等を構成することにより、排ガスの除害、回収・精製、脱臭、除塵(集塵)、蒸留、精製などを行うことができる。
【0055】
吸収液44は、任意に選択することができる。例えば、NaOH,MgOH2,Ca2CO3,CaCl2等のアルカリ性水溶液、H2SO4,HCl等の酸性水溶液、水道水、海水、純水等を用いることができる。
また、吸収液44は、原気体45に含まれる処理物質に応じて、選択することができる。例えば、吸収反応において、原気体45に酸性を示す気体が含まれている場合には、アルカリ性水溶液を吸収液44として用いることにより、吸収効率を向上させることができる。また、原気体45にアルカリ性を示す気体が含まれている場合には、吸収液44として酸性水溶液を用いることにより、吸収効率を向上することができる。
【0056】
次に、図7に示すように流体混合器41は、流体混合装置40内において流体混合装置40と同一径の充填塔11を連結することによって配置されている。
ここで用いる流体混合器41としては、図1、図4、図5においてそれぞれ示した、流体混合ユニット12が不規則充填、又は、規則充填された構成の流体混合器10,20,30のいずれを使用することもできる。
【0057】
そして、流体混合装置40において、流体混合器41に対して、流体混合器41の上部から吸収液44が流入し、流体混合器41の下部から原気体45が流入する。つまり、流体混合装置40は、向流接触型の気液接触を行う流体混合装置である。
【0058】
次に、図6及び図7に示した流体混合装置40の動作について説明する。
まず、流体混合装置40において処理する気体としての原気体45を装置の下部から供給する。そして、この処理において原気体45を接触反応させるため、吸収液44を装置の上部から供給する。これら原気体45及び吸収液44は、所定の割合で流体混合装置40に供給する。
このとき、装置上部から供給される吸収液44には位置エネルギーが付加される。そして、この位置エネルギーが付加された流体が下方に設けられた流体混合器41に導入される。また、装置下部から供給される原気体45は装置内を上昇して、流体混合器41に供給される。
【0059】
これにより、原気体45と吸収液45が流体混合器41内で混合接触され、充分な気液接触が行われる。そして、流体混合器41において、気液接触により、原気体45中に含まれる物質の分離や、吸収液44中への溶解、又は、化学反応の進行等の接触反応が行われる。
【0060】
このように、流体混合装置40において、流体混合器41の上部から供給された吸収液44と、流体混合器41の下部から供給された原気体45とは、流体混合器41内で、分割、合流、せん断作用を繰り返しながら、混合、撹拌、接触が行われる。
【0061】
この後、上述の接触反応により処理された原気体45は、処理気体46として流体混合処理装置40の上部から排出又は回収される。また、吸収液45は、流体混合装置40の下部から排出又は回収される。
【0062】
なお、流体混合装置40への吸収液44の供給方法は、スプレイノズルを用いて噴霧する方法に限られず、他の方法を用いることもできる。
上述の流体混合装置40において、装置内上部にスプレイノズルを用いて吸収液44を噴霧することにより、流体混合器41内で吸収液44が均一に分散され、気液接触を効率よく行うことができる。
【0063】
次に、図8に、図6で示した本発明の流体混合器41を適用した、気体と液体との接触反応を行うための流体混合装置40の一例において、流体混合器41が複数用いられた場合の、流体混合装置内での流体混合器41A,Bの模式図を示す。
なお、図8において、図6及び図7と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図8において、流体混合装置40は、流体混合器41A,Bの上部から吸収液44が流入し、流体混合器41A,Bの下部から原気体45が流入する。つまり、向流接触型の気液接触を行う流体混合装置である。
【0065】
流体混合装置40内において流体混合器41A,Bは、流体混合装置40と同一径の充填塔11を連結することによって配置されている。
ここで用いる流体混合器41A,Bとしては、図1、図4、図5においてそれぞれ示した、流体混合ユニット12が不規則充填、又は、規則充填された構成の流体混合器10,20,30のいずれを使用することもできる。
また、流体混合器41A,Bは、それぞれ任意に構成を選択することができ、例えば、同一の構成の流体混合器10,20,30を用いることも、また、異なる構成の流体混合器10,20,30を使用することもできる。
【0066】
上述の流体混合器41が2つ用いられた構成の流体混合装置40によれば、吸収液44と原気体45とが、それぞれ異なる位置に設けられた流体混合器41A,B内で、向流接触する。このため、気体と液体とを混合接触できる構成を複数有することにより、気体と液体との接触効率を向上させることができる。
このように、流体混合装置40において流体混合器41を複数設けることにより、気液接触反応を効率よく行うことができる。
また、流体混合器41Aと流体混合器41Bとの間に空間部を設けてもよい。さらに、その空間部に、吸収液44を供給するためのスプレイノズルを設けてもよい。
【0067】
次に、図9に、図6で示した本発明の流体混合器を適用した、気体と液体との接触反応を行うための流体混合装置の一例について、気体と液体とを並流接触させる場合における、流体混合装置内での流体混合器41の模式図を示す。
なお、図9において、図6〜8と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
流体混合装置40内において流体混合器41は、流体混合装置40と同一径の充填塔11を連結することによって配置されている。
ここで用いる流体混合器41としては、図1、図4、図5においてそれぞれ示した、流体混合ユニット12が不規則充填、又は、規則充填された構成の流体混合器10,20,30を用いることができる。
【0069】
流体混合装置40において、流体混合器41の上部から吸収液44及び原気体45が流入する。そして、この吸収液44及び原気体45は、流体混合器41を通過する際に上述の接触反応が行われる。そして、吸収液44及び処理気体46は、流体混合装置40の下部から排出される。
つまり、流体混合装置40は、並流接触型の気液接触を行う流体混合装置である。
【0070】
このとき、上部から供給される吸収液44には、位置エネルギーが付加される。そして、この位置エネルギーが付加された流体が、気体を巻き込みながら下方に設けられた流体混合器41に導入される。このため、吸収液44と原気体45とが流体混合装置内を通過させて、流体の混合、撹拌、接触を行うことができる。
【0071】
これにより、原気体45と吸収液44とが流体混合器41内で混合接触され、充分な気液接触が行われる。そして、流体混合器41において、気液接触により、原気体45中に含まれる物質の分離や、吸収液44中への溶解、又は、化学反応の進行等の接触反応が行われる。
【0072】
ここで用いる流体混合器41としては、図1、図4、図5においてそれぞれ示した、流体混合ユニット12が不規則充填、又は、規則充填された構成の流体混合器10,20,30のいずれを使用することもできる。
【0073】
また、並流接触型の気液接触を行う流体混合装置40では、装置の上部から液体を噴霧、供給することにより、気体を巻き込みながら流体混合器41の内部を通過させることで、混合、撹拌、接触して、処理が行われる。このため、無動力で気体を供給できると共に、混合、撹拌、接触操作を行うことができる。
このため、気体を供給するための動力手段が不要となり、低コスト、省エネルギーとなる流体混合装置を構成することができる。
【0074】
なお、上述の並流接触を行う場合においても、図8に示した流体混合装置と同様に、流体混合器41を2つ設けて流体混合装置40を構成してもよい。流体混合装置40において流体混合器41を複数設けることにより、気液接触反応を効率よく行うことができる。
【0075】
以下、本発明の流体混合器について実施例を用いて説明する。
本実施例では、向流接触型の流体混合装置と、並流接触型の流体混合装置とに、上述の流体混合器を適用して実験を行った。
【0076】
(向流接触型の流体混合装置)
まず、本実施例に使用した向流接触型の流体混合装置について図面を用いて説明する。
図10は、後述の実施例1及び比較例1で使用した流体混合装置50のブロック図である。この流体混合装置50は、流体混合器52が設けられた吸収塔(充填塔)51と、排ガス源53と、循環液槽54とから構成される向流接触型の流体混合装置である。
排ガス源53からの排ガス(原気体)は排風機59により、流体混合器52が設けられた吸収塔(充填塔)51を配置した流体混合装置50内に下部から供給される。そして、流体混合装置50からの浄化された排出ガス(処理気体)は、吸収塔(充填塔)51の上部からミストセパレータ55を介して大気中に放出される。
流体混合装置50には、その下方に配設された循環液槽54が連結されている。
循環液槽54内の水溶液は、適宜バルブ56を開いて排水処理等に排出されると共に、適宜循環液槽54内に新液が補給される。
流体混合装置50には、その頭部にスプレイノズル57が配設され、このノズル57には循環液ポンプ58により循環液槽54内の液体が供給される。
従って、循環液槽54内の液体はノズル57により吸収塔51に噴射され、次いで循環液槽54内に集められた後、循環液ポンプ58によってノズル57に供給されるというように、循環使用されている。
【0077】
(並流接触型の流体混合装置)
次に、本実施例で使用した並流接触型の流体混合装置について図面を用いて説明する。
図11は、後述の実施例2及び実施例3で使用した流体混合装置60のブロック図である。この流体混合器60は、流体混合器62が設けられた吸収塔(充填塔)61と、排ガス源63と、循環液槽64とから構成される並流接触型の流体混合装置である。
排ガス源63からの排ガス(原気体)は、流体混合器62が設けられた吸収塔(充填塔)61を配置した流体混合装置60内に上部から供給される。
流体混合装置60には、その下方に配設された循環液槽64が連結されている。そして、流体混合装置60からの浄化された排出ガス(処理気体)が排風機69により、大気中に放出される。
循環液槽64内の水溶液は、適宜バルブ66を開いて排水処理工程等に排出されると共に、適宜循環液槽64内に新液が補給される。
流体混合装置60には、その頭部にスプレイノズル67が配設されており、このノズル67には循環液ポンプ68により循環液槽64内の液体が供給される。
従って、循環液槽64内の液体はノズル67により吸収塔61に噴射され、次いで循環液槽64内に集められた後、循環液ポンプ68によってノズル67に供給されるというように、循環使用される。
【0078】
(実施例1)
上述の向流接触型の流体混合装置50において、流体混合器52の構成を、図1に示した、流体混合ユニット12を不規則充填した構成の流体混合器10と同様の構成とした。
そして、この流体混合器52に、図2(a)及び図2(b)に示した流体混合ユニット12A,12Bと同様の構成の流体混合ユニット2種類を混合して充填した。流体混合ユニット12A,12Bは、螺旋状に形成された2枚の羽根体がそれぞれ約90度、右又は左に捻られた形状を有し、外径62mm、内径52mm、高さ40mmである。
流体混合ユニット12Aと流体混合ユニット12Bとは、容積比が50:50となるように充填した。
以上の条件によって実施例1の流体混合器を構成し、向流接触型の流体混合装置50に適用した。
【0079】
(実施例2)
上述の並流接触型の流体混合装置60において、流体混合器62の構成を、図4に示した、流体混合ユニット12を規則充填した構成の流体混合器20と同様の構成とした。
そして、この流体混合器62に、図2(a)及び図2(b)に示した流体混合ユニット12A,12Bと同様の構成の流体混合ユニットを充填した。流体混合ユニット12A,12Bは、螺旋状に形成された2枚の羽根体がそれぞれ約90度、右又は左に捻られた形状を有し、外径62mm、内径52mm、高さ40mmである。
流体混合ユニット12Aと流体混合ユニット12Bとは、容積比50:50で充填した。
以上の条件によって実施例2の流体混合器を構成し、並流接触型の流体混合装置60に適用した。
【0080】
(実施例3)
上述の並流接触型の流体混合装置60において、流体混合器62の構成を、図5に示した、流体混合ユニット12を規則充填した構成の流体混合器30と同様の構成とした。
そして、この流体混合器62に、図2(a)及び図2(b)に示した流体混合ユニット12A,12Bと同様の構成の流体混合ユニットを充填した。流体混合ユニット12A,12Bは、螺旋状に形成された2枚の羽根体がそれぞれ約90度、右又は左に捻られた形状を有し、外径62mm、内径52mm、高さ40mmである。
流体混合ユニット12Aと流体混合ユニット12Bとは、容積比50:50で充填した。
以上の条件によって実施例3の流体混合器を構成し、並流接触型の流体混合装置60に適用した。
【0081】
(比較例1)
上述の向流接触型の流体混合装置50において、流体混合器52の構成を、充填材として充填物S型テラレット(日鉄化工機株式会社製)を用いて不規則充填した構成とした。
以上の条件によって比較例1の流体混合器を構成し、向流接触型の流体混合装置50に適用した。
【0082】
上述の実施例1〜3及び比較例1で構成した流体混合器を適用した流体混合装置50,60において、循環液(吸収液)として3wt%のNaOH水溶液を使用して、排ガス中に含まれるHClを循環液(吸収液)に吸収させる実験を行った。
実験では、上述の実施例1〜3及び比較例1で作製した流体混合装置50,60において、排ガスに含まれるHClガスが、装置の入口での濃度が100ppmであり、装置の出口での濃度が3ppmとなるように、それぞれの装置を設計した。
【0083】
なお、向流接触型の流体混合装置50では、排ガス中に含まれるHClガス濃度は、排風機59の入口で測定した。また、流体混合装置50において、循環液(吸収液)を向流接触した後の処理気体のHClガス濃度は、吸収塔51の出口で測定した。
また、並流接触型の流体混合装置60では、排ガス中に含まれるHClガス濃度は、吸収塔(充填塔)61の入口で測定した。また、流体混合装置60において、循環液(吸収液)を向流接触した後の処理気体のHClガス濃度は、排風機69の入口で測定した。
【0084】
表1に、上述の実験において作製した実施例1〜3及び比較例1の吸収塔51,61及び流体混合器52,62の設計条件を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示したように、実施例1で構成した吸収塔51及び流体混合器52は、比較例1よりも塔径が約30%小さく、充填高さが約20%低く、圧力損失が約30%低い構成であるが、HCl濃度において、同一の結果を得ることができた。
また、実施例1の構成によれば、比較例1の構成に比べてガス流量が同じであっても、塔内ガス速度を高くすることができ、圧力損失を小さくできることがわかる。
【0087】
また、実施例2,3において、流体混合器62の充填材の充填高さを、実施例1及び比較例1に比べて、1/3程度に小さくすることができた。
これは、吸収塔内の充填材が規則充填されていることにより、塔内ガス速度を大きくすることができ、気液接触を効率的に行うことができるためである。
また、規則充填の方法として、実施例2の構成に比べ、実施例3の構成のほうが、塔内ガス速度を大きくすることができた。これは、実施例3では、充填材として用いた流体混合ユニットの開口部同士を合わせて接続されているため、流体の流通が妨げられずに装置内を通過することができるためである。
このため、実施例2,3の構成では、充填塔を小さくすることができ、また、使用する充填材の量を減少させることができる。
【0088】
なお、実施例2,3において、圧力損失が実施1及び比較例1よりも高くなっているが、これは、気体の流速が大きくなるに従い圧力損失が大きくなるためである。このため、実施例2,3において、実施例1及び比較例1と同じ塔内ガス速度とした場合には、実施例2,3が実施例1及び比較例1よりも圧力損失を小さくできると推測できる。
【0089】
上述のように、流体混合器として実施例1〜3の構成を用いることにより、省エネルギー、省スペースであり、流体の混合効率に優れた流体混合器を構成することができる。
また、並流接触型の流体混合器を使用することで、フラッディングの発生も無く、大きな液ガス比L/Gで処理することが可能となる。例えば、液ガス比10L/m3以上での処理が可能となり、HClガス濃度1vol%以上の含有排ガスを容易に処理可能となる。
【0090】
本発明は、上述の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態の流体混合器を示す斜視断面図である。
【図2】(a),(b) 流体混合器に充填される流体混合ユニットを示す斜視図である。
【図3】(a)〜(h) 流体混合器に充填される流体混合ユニットを示す平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の流体混合器を示す斜視断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の流体混合器を示す斜視断面図である。
【図6】流体混合器を用いた流体混合装置を示す模式図である。
【図7】流体混合装置内の流体混合器の様子を示す模式図である。
【図8】流体混合装置内の流体混合器の様子を示す模式図である。
【図9】流体混合装置内の流体混合器の様子を示す模式図である。
【図10】実施例で使用した向流接触型の流体混合装置のブロック図である。
【図11】実施例で使用した並流接触型の流体混合装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
10,20,30,41,41A,41B,52,62 流体混合器、11 充填塔、12,12A,12B,12C,12D,12E,12F,12G,12H 流体混合ユニット、13 通路管、14 開口部、15,15A,15B,15C,15D,15E,15F,15G,15H 羽根体、16 流体通路、17 混合部、40,50,60 流体混合装置、43,57,67 スプレイノズル、44 吸収液、45 原気体、46 処理気体、51,61 吸収塔(充填塔)、53、63 排ガス源、54,64 循環液槽、55 ミストセパレータ、56,66 バルブ、58,68 循環液ポンプ、59,69 排風機
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種以上の流体を混合する、充填材が充填された気液接触型の流体混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
充填材を用いる気液接触型の流体混合器は、垂直円筒内に充填材を規則的又は不規則的に充填することによって構成されている。そして、この円筒内に液体を投入すると、混合器内に充填された充填材によって分散され、充填材の表面を伝わって、膜状に円筒内を流下する。
一方、気体は、この円筒内に上方又は下方から供給され、充填材の間隙を移動する。
これにより、円筒内において、充填材の表面付近で液体と気体とが接触し、気液接触が行われて、ガス冷却、ガス吸収、集塵、蒸留等が行われる。
【0003】
上述の充填材の適当な条件としては、表面積が大きく、尚且つ流体の圧力損失が少ないこと等が挙げられる。そして、これらの特性を有するものとして、例えば、ラシヒリング(Rasching ring)や、くら型(Berl saddle)の充填材が従来から用いられていた。
【0004】
また、さらに大きな表面積を有し、気液接触の効率を向上させることができる充填材として、充填塔内に並行に配置され、波形溝及び小孔の列を有する複数の薄層物によって構成された充填材を用いた流体混合器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この流体混合器によれば、液を塔内の全断面において均一に分布させることができる。
【0005】
【特許文献1】特開平7−080279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流体混合器での反応は、気液接触部である充填材の表面における気体と液体との接触反応であるため、充填材の表面積の大きさが、流体混合器の処理能力に大きな影響を与える。
このため、流体混合器において高い処理の能力を得るためには、充填材の表面積をできるだけ大きくする必要がある。
【0007】
しかしながら、従来の充填材では、気液接触の効率を上げるために表面積を大きくしすぎると、気液接触界面積を確保することはできるが、流体の流通を妨げることになるため、流体の圧力損失が大きくなることが避けられない。
また、気液接触の効率を上げるため、気体又は液体の流量を大きくした場合、充填材による圧力損失が大きくなる。さらに、フラッディングが発生し、安定に操作できなくなる。
このため、従来の流体混合器では、気液接触の効率を向上させることが困難であった。
【0008】
上述した問題の解決のため、本発明においては、異なる流体を効率よく混合させることにより、流体同士の接触反応が効率的に行われる流体混合器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の流体混合器は、開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、複数の流体混合ユニットは、その軸方向の向きが互いに異なるように、不規則的に配置されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の流体混合器は、開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、複数の流体混合ユニットを、その軸方向が前記充填塔の直径方向に対して垂直となる方向に、規則的に隣接させて配置したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の流体混合器は、開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、充填塔内部を流れる流体の向きと垂直となる方向に、複数の流体混合ユニットを隣接配置させることにより流体混合ユニット群を構成し、充填塔内部を流れる流体の向きに沿って、流体混合ユニット群を多層状に配置したことを特徴とする。
【0012】
本発明の流体混合器によれば、充填材として混合部を有する流体混合ユニットを用いる。そして、この流体混合ユニットの混合部において内部を流通する気体及び液体が混合されるため、充填材表面における接触反応だけでなく、流体混合ユニット内を通過した気体と液体とが混合されることによる接触反応が起こる。
従って、充填材の表面積の大きさに係らず、気体と液体との接触を行うことができるため、気液接触を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の流体混合器によれば、気液接触が効率よく行われることにより、気体と液体との接触反応を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の流体混合器の斜視断面図である。
【0015】
流体混合器10は、充填塔11と、この充填塔11内に充填された流体混合ユニット12とによって構成される。
【0016】
充填塔11は円筒状部材で構成され、内部を流体が流通できる構成である。
そして、この充填塔11内に、充填材として複数の流体混合ユニット12が不規則充填され、その軸方向の向きが互いに異なるように不規則に充填されている。
【0017】
充填塔11内に充填された流体混合ユニット12は、開口部14及び流体混合部17が設けられている。
開口部14は、流体混合ユニット12を形成する筒状の通路管13の両端に設けられる。そして、混合部17は、通路管13の内部に形成される。
【0018】
図1に示した流体混合器10は、例えば、充填塔11の円筒内部に、グリッド板等を設置し、充填塔11の上方から、必要な量の流体混合ユニット12を投入し、不規則充填することにより形成することができる。
流体混合器の大きさは必要に応じて、例えば、直径方向の長さが200mm〜2000mm程度で構成される。
【0019】
次に、上述の流体混合器10に充填される流体混合ユニット12について、図2(a),(b)、及び、図3(a)〜(h)を用いて説明する。図2(a),(b)は、流体混合器10に充填される流体混合ユニット12の一例を示す斜視図であり、図3(a)〜(h)は流体混合ユニット12の一例を示す平面図である。
流体混合器10に充填される流体混合ユニット12は、図3(a)〜(h)に示すように、8種類の異なる形態で構成される。
【0020】
図2(a),(b)に示す流体混合ユニット12A,Bは、開口部14及び混合部17によって構成される。
【0021】
開口部14は、流体混合ユニット12A,Bを形成する筒状の通路管13の両端に設けられる。そして、混合部17は、通路管13内に形成された螺旋状の羽根体15A,B及び流体通路16によって形成される。
【0022】
図2(a),(b)に示す流体混合ユニット12A,Bの羽根体15A,Bは、通路管13の内壁に約180度の間隔をおいて設けられた2枚の羽根体によって形成されている。
そして、図2(a)に示す流体混合ユニット12Aの羽根体15Aは、通路管13の長手方向の一端部から他端部に向けて時計方向(右方向)に約90度捻られて構成される。
また、図2(b)に示す流体混合ユニット12Bの羽根体15Bは、反時計方向(左方向)に、約90度捻られて構成されている。
これらの時計方向及び反時計方向に捻られた羽根体15A,Bは、通路管13の中心部で2つに分離されている。そして、この羽根体15A,Bが2枚に分離されることにより、通路管12の全長にわたって連通した形状の流体通路16が、開口部14同士を通じて形成される。
【0023】
次に、図3(a)は、上述の図2(a)に示した流体混合ユニット12Aの平面図であり、図3(b)は、上述の図2(b)に示した流体混合ユニット12Bの平面図である。
また、図3(c)〜(h)に示す流体混合ユニット12C〜Hは、上述の流体混合ユニット12A,Bの羽根体15A,Bを、異なる形態の羽根体15C〜Hによって形成している。
なお、図3(a)〜(h)において、流体混合ユニットの開口部14について符号及び説明を省略しているが、図2(a),(b)に示す流体混合ユニット12A,Bと同じ構成である。
【0024】
図3(c),(d)に示す流体混合ユニット12C,Dの羽根体15C,Dは、通路管13の内壁の中で一体成形されて一枚の羽根体が形成されている。
そして、図3(c)に示す流体混合ユニット12Cの羽根体15Cは、通路管13の長手方向の一端部から他端部に向けて時計方向(右方向)に約90度捻られて構成される。
また、図3(d)に示す流体混合ユニット12Dの羽根体15Dは、反時計方向(左方向)に、約90度捻られて構成されている。
これらの時計方向に捻られた羽根体15C,Dは、通路管13中で一体成形されることにより、この羽根体15C,Dによってそれぞれ流体通路16が、通路管13中で二つに分離されて形成される。
【0025】
図3(e),(f)に示す流体混合ユニット12E,Fの羽根体15E,Fは、通路管13の内壁に約120度ずつ間隔を置いて設けられた、3枚の羽根体が通路管13の中心部で3つに分離されて形成されている。
そして、図3(e)に示す流体混合ユニット12Eの羽根体15Eは、通路管13の長手方向の一端部から他端部に向けて時計方向(右方向)に約60度捻られて構成される。
また、図3(f)に示す流体混合ユニット12Fの羽根体15Fは、反時計方向(左方向)に、約60度捻られて構成されている。
これらの時計方向及び反時計方向に捻られた羽根体15E,Fは、通路管13の中心部で3つに分離されることにより、通路管12の全長にわたって連通した形状の流体通路16が、開口部14同士を通じて形成される。
【0026】
図3(g),(h)に示す流体混合ユニット12G,Hの羽根体15G,Hは、通路管13の内壁に約120度ずつ間隔を置いて設けられた、3枚の羽根体が、通路管13の中心部で一体に形成されている。
そして、図3(g)に示す流体混合ユニット12Gの羽根体15Gは、通路管13の長手方向の一端部から他端部に向けて時計方向(右方向)に約60度捻られて構成される。
また、図3(h)に示す流体混合ユニット12Hの羽根体15Hは、反時計方向(左方向)に、60度捻られて構成されている。
これらの時計方向に捻られた羽根体15G,Hは、通路管13中で一体成形されることにより、流体通路16が、それぞれ通路管13中で3つに分離されて形成される。
【0027】
このような流体混合ユニット12の混合部17を、異なる2種類の流体(例えば気体と液体)が向流又は並流で通流することにより、流体の一部が羽根体15に沿って、螺旋状に回転し、右向き又は左向きの旋回流になる。これにより、異なる流体同士が、混合、撹拌される。
また、流体の一部は、羽根体15によりせん断されて複数に分割して微細化される。
このように、流体が流体混合ユニット12の混合部17を通過することにより、混合部17において、流体が回転、せん断、分割を繰り返し、2種類の流体が混合、撹拌して、効率よく接触する。
【0028】
このように、本実施の形態の流体混合ユニット12は、内部を通過する流体が混合部17において、効率よく接触することができる特性を有している。
このような特性を有した充填材を使用することにより、気液接触の界面積を増加させるだけでなく、流体混合ユニット12自体の有する上述の特性によって異なる流体を混合等できることにより、流体同士を効率よく接触させることができる。
このため、流体混合器の充填材として流体混合ユニット12を用いると、流体同士が混合されるため、気液接触による液体への気体の溶解、吸収等の接触反応が促進される。
【0029】
さらに、流体混合ユニット12は、流体通路16を有し、内部を流体が通過することができる構成であるため、圧力損失を低くすることができる。
このため、動力費及び保守管理費を低減することができると共に、装置内の気体の流速(空筒速度)を速くすることができ、流体混合器を小さくすることが可能である。
【0030】
また、上述の流体混合器10において使用する流体混合ユニット12は、任意に選択することができる。例えば、流体混合ユニット12A〜Hのうち、同一形状の流体混合ユニットのみを使用して流体混合器10を構成してもよく、また、異なる形状の複数種類の流体混合ユニット12を同時に使用して流体混合器10を構成してもよい。
【0031】
このとき、羽根体15が時計方向(右方向)に捻られた流体混合ユニット12A,C,E,Gと、羽根体15が反時計方向(左方向)に捻られた流体混合ユニット12B,D,F,Hとを組み合わせて使用することにより、異なる流体同士を効率よく混合等でき、流体の接触効率を向上させることができる。
【0032】
なお、流体混合ユニット12において、通路管13の直径方向の幅及び軸方向の長さ、開口部14の面積、さらに、羽根体15A〜Hの直径方向の幅及び軸方向の長さ等は使用目的に合せて任意に設計することができる。
また、羽根体15A〜Hの捻りの角度は、約90度に限らず、約45度、約60度、約180度などの任意に設定することができる。
ただし、流体混合ユニット12A〜Dにおいては、捻りの角度が90度を超えると射出成型法による製造ができず、また、流体混合ユニット12E〜Hにおいては、捻りの角度が60度を超えると射出成型法による製造ができない。このため、羽根体15A〜Hの捻りの角度は、流体混合ユニット12A〜Dにおいては90度以下、又は、流体混合ユニット12E〜Hにおいては60度以下とすることが好ましい。
【0033】
これらの流体混合ユニット12は、ステンレス、チタン、鉄、銅等の金属材料、プラスチック材料、セラミック材料、及び、これら材料の複合材料等から構成され、射出成形法、押出成形法、ロストワックス鋳造法、金属塑性加工法、粉末成形法等によって容易に製造することができる。
【0034】
次に、図4に、本発明の第2の実施の形態の流体混合器20の斜視断面図を示す。
図4は、図1で示した流体混合器10において、流体混合ユニット12を異なる充填方法によって充填した場合の流体混合器20の様子を示す。
なお、図4に示した流体混合器において、流体混合ユニット12の充填方法を除く各構成、及び、充填される流体混合ユニット12は、図1に示した流体混合器10と同様の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
図4に示した流体混合器20は、図1に示した流体混合器10の流体混合ユニット12が不規則に充填されていたのに対し、流体混合ユニット12を軸方向の向きが前記充填塔の直径方向に対して垂直となるように、規則的に隣接させて配置し、平面状の流体混合ユニット群を形成している。
流体混合ユニット12は、流体混合器20内に、流体混合ユニット12の長手方向を鉛直にして配置する。つまり、流体混合ユニット12の開口部14が、流体混合器20内を流れる流体の向きに合わせて配置される。
【0036】
そして、この層状の流体混合ユニット群を積層して多層状に配列することにより、流体混合器20内に流体混合ユニット12が充填される。このとき、各層ごとの、流体混合ユニット12は、上下する層において、開口部14の位置をずらして積層される。
このため、流体混合ユニット群の各層における流体混合ユニット12の数は、上下する流体混合ユニット群の各層において異なるように構成される。
【0037】
図4に示した流体混合器20は、流体混合ユニット12を軸方向が垂直になるように隣接させて積層し、規則充填させたものである。
混合流体ユニット12は、複数の流体混合ユニット12を、それぞれ通路管13の外壁同士を接続することにより、流体混合ユニット12を平面状に並べた構成の流体混合ユニット群を形成する。
そして、平面状の流体混合ユニット群を、流体混合ユニット12の開口部14をずらして積層することにより、多層状の流体混合ユニット群を構成している。
【0038】
上述の流体混合ユニット12が規則充填された流体混合器20では、図1に示した不規則充填された流体混合器10に比べ、内部を通過する流体の流通が妨げられない構成となる。これは、内部を流体が通過することができる構成の流体混合ユニット12を、流体の流れる向きに沿って開口部14及び流体通路16を合わせて設置して、上述の流体混合器20を構成しているためである。
このため、流体混合器内で流体の圧力損失を低くすることができ、動力費及び保守管理費を低減することができると共に、装置内の気体の流速(空筒速度)を早くすることができ、流体混合器を小さくすることが可能である。
【0039】
また、上述の流体混合器20では、上下する流体混合ユニット群において、開口部14をずらして積層することにより、一つの層で流体混合ユニット12同士の間の空隙を通過した流体であっても、異なる層の流体混合ユニット12の内部を通過する。
このため、流体混合ユニット12により、流体が混合されて流体の接触効率を高めることができる。
【0040】
上述の流体混合器20に使用する流体混合ユニット12の形状は、適宜選択することができる。例えば、同一形状の流体混合ユニット12を使用して構成してもよく、また、形状の異なる複数の種類の流体混合ユニット12を同時に使用して構成してもよい。
また、流体混合ユニット12に設けられた羽根体15の形状は、同一でも異なっていてもよい。
また、羽根体15がそれぞれ異なる向きに捻られている形状の流体混合ユニット12同士を組み合わせて使用することにより、異なる流体同士を効率よく混合等でき、流体の接触効率を向上させることができる。
【0041】
なお、図4に示した流体混合器20では、多層状の流体混合ユニット群を構成する各層の流体混合ユニット12の数を異ならせて構成した。しかし、上下する各層において、流体混合ユニット12の開口部14の位置をずらして構成すれば、例えば、流体混合ユニット群を構成する流体混合ユニット12の数は、各層において同数で構成してもよい。
この場合、流体混合器20の内部において密に充填することができるように、層状の流体混合ユニット群を構成する各層の流体混合ユニット12の数を設計することが好ましい。
【0042】
図4に示した流体混合器20は、例えば、充填塔11の断面積に合わせて流体混合ユニット12の通路管13の外壁同士を接着して層状の流体混合ユニット群を複数形成する。そして、充填塔11内部の図示していないグリッド板上にこの層状の流体混合ユニット群を設置し、所定の高さまでこの流体混合ユニット群を積層することによって形成することができる。
【0043】
また、例えば、流体混合ユニット12の直径に合わせて穴が設けられた固定板を用意し、この固定板に流体混合ユニット12を挿し込むことにより、層状の流体混合ユニット群を形成してもよい。
そして、所定の高さまで固定板ごと流体混合ユニット群を積層して多層状に配列することにより、流体混合器20内に流体混合ユニット12を充填してもよい。さらに、通路管13の端縁同士を接合して充填してもよい。
【0044】
次に、図5に、本発明の第3の実施の形態の流体混合器30の斜視断面図を示す。
図5は、図4で示した流体混合器20とは異なる規則で流体混合ユニット12を充填した場合の流体混合器30の様子を示す。
なお、図5に示した流体混合器30において、流体混合ユニット12の充填方法を除く各構成、及び、充填される流体混合ユニット12は、図1及び図4に示した流体混合器10,20と同様の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
図5に示した流体混合器30は、図4に示した流体混合器20と同様に、流体混合ユニット12を規則充填させたものである。
混合流体ユニット12は、それぞれの開口部14が合うように通路管13の端縁同士が接続され、長手方向に連結されている。これにより複数の流体混合ユニット12同士が、開口部14及び流体通路16を相互に連通し、筒状の流体混合ユニット群を形成している。そして、この筒状の流体混合ユニット群を、軸方向の向きが前記充填塔の直径方向に対して垂直となる方向で規則的に隣接させて配列されている。
この筒状の流体混合ユニット群を多数配列することにより、流体混合器30内に流体混合ユニット12が充填される。
【0046】
上述の流体混合器30に使用する筒状の流体混合ユニット群は、流体混合ユニット12の開口部14同士が接続されているため、流体が、最上部若しくは最下部の流体混合ユニット12の開口部14から流体混合ユニット12、及び、流体混合ユニット群の内部を通過する。このため、流体混合ユニット12の混合部17及び開口部14において、連続的に流体の混合を行うことができ、接触効率を向上させることができる。
また、内部を流体が通過することができる流体通路16を有する流体混合ユニット12が連通している構成のため、不規則充填に比べて内部を通過する流体の流通が妨げられない構成となる。
このため、流体混合器内で流体の圧力損失を低くすることができ、動力費及び保守管理費を低減することができると共に、装置内の気体の流速(空筒速度)を、より早くすることができ、流体混合器を小さくすることが可能である。
【0047】
上述の流体混合器30において、筒状の流体混合ユニット群を構成する場合には、同一形状の流体混合ユニット12のみを使用して構成してもよく、また、形状の異なる複数の種類の流体混合ユニット12を同時に使用して構成してもよい。
また、流体混合ユニット12に設けられた羽根体の向きは、同一の向きとすることも、異なる向きとすることもできる。
また、羽根体15がそれぞれ異なる向きに捻られている形状の流体混合ユニット12同士を組み合わせて使用することにより、異なる流体同士を効率よく混合等でき、流体の接触効率を向上させることができる。
【0048】
図5に示した流体混合器30は、例えば、流体混合ユニット12の開口部14同士をあわせて、通路管13の端縁部分を長手方向に接着し、所定の高さの筒状の流体混合ユニット群を複数形成する。そして、充填塔11内部の図示していないグリッド板上にこの筒状の流体混合ユニット群を隣接させて並べることによって形成することができる。
【0049】
また、例えば、流体混合ユニット12の直径に合わせて穴が設けられた固定板を用意し、この固定板に流体混合ユニット12を挿し込むことにより、層状の流体混合ユニット群を形成してもよい。
そして、上下する層において流体混合ユニット12の開口部14同士が合うように、所定の高さまでこの固定板ごと流体混合ユニット群を積層して多層状に配列することにより、流体混合器20内に流体混合ユニット12を充填してもよい。
【0050】
また、固定板を用いて積層する場合には、流体混合器20内において、隣接する流体混合ユニット12間の間隙を固定板により埋めることができる。
このため、流体混合器30に供給された流体は、流体混合ユニット12間の間隙を通過せず、流体混合ユニット12の内部を通過する構成となるため、流体の接触効率を高くすることができる。
【0051】
次に、図6及び図7に、本発明の流体混合器を適用し、気体と液体との接触反応に用いる流体混合装置の一例の模式図を示す。
図6は、流体混合器を気液接触に用いる場合の流体混合装置40の模式図であり、図7は、この流体混合装置40内での流体混合器41を示す模式図である。
なお、図6及び図7において、破線の矢印は液体の流れを示し、実線の矢印は気体の流れを示す。
【0052】
図6に示す流体混合装置40は、充填塔11及び流体混合ユニット12(図1参照)により構成された流体混合器41が配設されている。
【0053】
また、流体混合装置40には、上部に配置されたスプレイノズル43から、吸収液44が装置内に噴射され、また、流体混合器41の下方であって、流体混合装置40の側面から原気体45が装置内に供給される構成である。
この吸収液44及び原気体45は、流体混合器41を通過する際に、上述した流体混合器41の作用により接触反応が行われる。そして、吸収液44は、流体混合装置40の下部から排出され、また、原気体45は、流体混合装置40の上部から処理気体46として排出される。
【0054】
これにより、流体混合装置40は、流体混合器41において、原気体45と、吸収液44とを接触させることができる。そして、この流体混合装置40は例えば、反応吸収、物理吸収、冷却、乾燥、除塵などに用いることができる。
また、流体混合装置40、及び、流体混合器41を用いて吸収塔、充填塔、蒸留塔等を構成することにより、排ガスの除害、回収・精製、脱臭、除塵(集塵)、蒸留、精製などを行うことができる。
【0055】
吸収液44は、任意に選択することができる。例えば、NaOH,MgOH2,Ca2CO3,CaCl2等のアルカリ性水溶液、H2SO4,HCl等の酸性水溶液、水道水、海水、純水等を用いることができる。
また、吸収液44は、原気体45に含まれる処理物質に応じて、選択することができる。例えば、吸収反応において、原気体45に酸性を示す気体が含まれている場合には、アルカリ性水溶液を吸収液44として用いることにより、吸収効率を向上させることができる。また、原気体45にアルカリ性を示す気体が含まれている場合には、吸収液44として酸性水溶液を用いることにより、吸収効率を向上することができる。
【0056】
次に、図7に示すように流体混合器41は、流体混合装置40内において流体混合装置40と同一径の充填塔11を連結することによって配置されている。
ここで用いる流体混合器41としては、図1、図4、図5においてそれぞれ示した、流体混合ユニット12が不規則充填、又は、規則充填された構成の流体混合器10,20,30のいずれを使用することもできる。
【0057】
そして、流体混合装置40において、流体混合器41に対して、流体混合器41の上部から吸収液44が流入し、流体混合器41の下部から原気体45が流入する。つまり、流体混合装置40は、向流接触型の気液接触を行う流体混合装置である。
【0058】
次に、図6及び図7に示した流体混合装置40の動作について説明する。
まず、流体混合装置40において処理する気体としての原気体45を装置の下部から供給する。そして、この処理において原気体45を接触反応させるため、吸収液44を装置の上部から供給する。これら原気体45及び吸収液44は、所定の割合で流体混合装置40に供給する。
このとき、装置上部から供給される吸収液44には位置エネルギーが付加される。そして、この位置エネルギーが付加された流体が下方に設けられた流体混合器41に導入される。また、装置下部から供給される原気体45は装置内を上昇して、流体混合器41に供給される。
【0059】
これにより、原気体45と吸収液45が流体混合器41内で混合接触され、充分な気液接触が行われる。そして、流体混合器41において、気液接触により、原気体45中に含まれる物質の分離や、吸収液44中への溶解、又は、化学反応の進行等の接触反応が行われる。
【0060】
このように、流体混合装置40において、流体混合器41の上部から供給された吸収液44と、流体混合器41の下部から供給された原気体45とは、流体混合器41内で、分割、合流、せん断作用を繰り返しながら、混合、撹拌、接触が行われる。
【0061】
この後、上述の接触反応により処理された原気体45は、処理気体46として流体混合処理装置40の上部から排出又は回収される。また、吸収液45は、流体混合装置40の下部から排出又は回収される。
【0062】
なお、流体混合装置40への吸収液44の供給方法は、スプレイノズルを用いて噴霧する方法に限られず、他の方法を用いることもできる。
上述の流体混合装置40において、装置内上部にスプレイノズルを用いて吸収液44を噴霧することにより、流体混合器41内で吸収液44が均一に分散され、気液接触を効率よく行うことができる。
【0063】
次に、図8に、図6で示した本発明の流体混合器41を適用した、気体と液体との接触反応を行うための流体混合装置40の一例において、流体混合器41が複数用いられた場合の、流体混合装置内での流体混合器41A,Bの模式図を示す。
なお、図8において、図6及び図7と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図8において、流体混合装置40は、流体混合器41A,Bの上部から吸収液44が流入し、流体混合器41A,Bの下部から原気体45が流入する。つまり、向流接触型の気液接触を行う流体混合装置である。
【0065】
流体混合装置40内において流体混合器41A,Bは、流体混合装置40と同一径の充填塔11を連結することによって配置されている。
ここで用いる流体混合器41A,Bとしては、図1、図4、図5においてそれぞれ示した、流体混合ユニット12が不規則充填、又は、規則充填された構成の流体混合器10,20,30のいずれを使用することもできる。
また、流体混合器41A,Bは、それぞれ任意に構成を選択することができ、例えば、同一の構成の流体混合器10,20,30を用いることも、また、異なる構成の流体混合器10,20,30を使用することもできる。
【0066】
上述の流体混合器41が2つ用いられた構成の流体混合装置40によれば、吸収液44と原気体45とが、それぞれ異なる位置に設けられた流体混合器41A,B内で、向流接触する。このため、気体と液体とを混合接触できる構成を複数有することにより、気体と液体との接触効率を向上させることができる。
このように、流体混合装置40において流体混合器41を複数設けることにより、気液接触反応を効率よく行うことができる。
また、流体混合器41Aと流体混合器41Bとの間に空間部を設けてもよい。さらに、その空間部に、吸収液44を供給するためのスプレイノズルを設けてもよい。
【0067】
次に、図9に、図6で示した本発明の流体混合器を適用した、気体と液体との接触反応を行うための流体混合装置の一例について、気体と液体とを並流接触させる場合における、流体混合装置内での流体混合器41の模式図を示す。
なお、図9において、図6〜8と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
流体混合装置40内において流体混合器41は、流体混合装置40と同一径の充填塔11を連結することによって配置されている。
ここで用いる流体混合器41としては、図1、図4、図5においてそれぞれ示した、流体混合ユニット12が不規則充填、又は、規則充填された構成の流体混合器10,20,30を用いることができる。
【0069】
流体混合装置40において、流体混合器41の上部から吸収液44及び原気体45が流入する。そして、この吸収液44及び原気体45は、流体混合器41を通過する際に上述の接触反応が行われる。そして、吸収液44及び処理気体46は、流体混合装置40の下部から排出される。
つまり、流体混合装置40は、並流接触型の気液接触を行う流体混合装置である。
【0070】
このとき、上部から供給される吸収液44には、位置エネルギーが付加される。そして、この位置エネルギーが付加された流体が、気体を巻き込みながら下方に設けられた流体混合器41に導入される。このため、吸収液44と原気体45とが流体混合装置内を通過させて、流体の混合、撹拌、接触を行うことができる。
【0071】
これにより、原気体45と吸収液44とが流体混合器41内で混合接触され、充分な気液接触が行われる。そして、流体混合器41において、気液接触により、原気体45中に含まれる物質の分離や、吸収液44中への溶解、又は、化学反応の進行等の接触反応が行われる。
【0072】
ここで用いる流体混合器41としては、図1、図4、図5においてそれぞれ示した、流体混合ユニット12が不規則充填、又は、規則充填された構成の流体混合器10,20,30のいずれを使用することもできる。
【0073】
また、並流接触型の気液接触を行う流体混合装置40では、装置の上部から液体を噴霧、供給することにより、気体を巻き込みながら流体混合器41の内部を通過させることで、混合、撹拌、接触して、処理が行われる。このため、無動力で気体を供給できると共に、混合、撹拌、接触操作を行うことができる。
このため、気体を供給するための動力手段が不要となり、低コスト、省エネルギーとなる流体混合装置を構成することができる。
【0074】
なお、上述の並流接触を行う場合においても、図8に示した流体混合装置と同様に、流体混合器41を2つ設けて流体混合装置40を構成してもよい。流体混合装置40において流体混合器41を複数設けることにより、気液接触反応を効率よく行うことができる。
【0075】
以下、本発明の流体混合器について実施例を用いて説明する。
本実施例では、向流接触型の流体混合装置と、並流接触型の流体混合装置とに、上述の流体混合器を適用して実験を行った。
【0076】
(向流接触型の流体混合装置)
まず、本実施例に使用した向流接触型の流体混合装置について図面を用いて説明する。
図10は、後述の実施例1及び比較例1で使用した流体混合装置50のブロック図である。この流体混合装置50は、流体混合器52が設けられた吸収塔(充填塔)51と、排ガス源53と、循環液槽54とから構成される向流接触型の流体混合装置である。
排ガス源53からの排ガス(原気体)は排風機59により、流体混合器52が設けられた吸収塔(充填塔)51を配置した流体混合装置50内に下部から供給される。そして、流体混合装置50からの浄化された排出ガス(処理気体)は、吸収塔(充填塔)51の上部からミストセパレータ55を介して大気中に放出される。
流体混合装置50には、その下方に配設された循環液槽54が連結されている。
循環液槽54内の水溶液は、適宜バルブ56を開いて排水処理等に排出されると共に、適宜循環液槽54内に新液が補給される。
流体混合装置50には、その頭部にスプレイノズル57が配設され、このノズル57には循環液ポンプ58により循環液槽54内の液体が供給される。
従って、循環液槽54内の液体はノズル57により吸収塔51に噴射され、次いで循環液槽54内に集められた後、循環液ポンプ58によってノズル57に供給されるというように、循環使用されている。
【0077】
(並流接触型の流体混合装置)
次に、本実施例で使用した並流接触型の流体混合装置について図面を用いて説明する。
図11は、後述の実施例2及び実施例3で使用した流体混合装置60のブロック図である。この流体混合器60は、流体混合器62が設けられた吸収塔(充填塔)61と、排ガス源63と、循環液槽64とから構成される並流接触型の流体混合装置である。
排ガス源63からの排ガス(原気体)は、流体混合器62が設けられた吸収塔(充填塔)61を配置した流体混合装置60内に上部から供給される。
流体混合装置60には、その下方に配設された循環液槽64が連結されている。そして、流体混合装置60からの浄化された排出ガス(処理気体)が排風機69により、大気中に放出される。
循環液槽64内の水溶液は、適宜バルブ66を開いて排水処理工程等に排出されると共に、適宜循環液槽64内に新液が補給される。
流体混合装置60には、その頭部にスプレイノズル67が配設されており、このノズル67には循環液ポンプ68により循環液槽64内の液体が供給される。
従って、循環液槽64内の液体はノズル67により吸収塔61に噴射され、次いで循環液槽64内に集められた後、循環液ポンプ68によってノズル67に供給されるというように、循環使用される。
【0078】
(実施例1)
上述の向流接触型の流体混合装置50において、流体混合器52の構成を、図1に示した、流体混合ユニット12を不規則充填した構成の流体混合器10と同様の構成とした。
そして、この流体混合器52に、図2(a)及び図2(b)に示した流体混合ユニット12A,12Bと同様の構成の流体混合ユニット2種類を混合して充填した。流体混合ユニット12A,12Bは、螺旋状に形成された2枚の羽根体がそれぞれ約90度、右又は左に捻られた形状を有し、外径62mm、内径52mm、高さ40mmである。
流体混合ユニット12Aと流体混合ユニット12Bとは、容積比が50:50となるように充填した。
以上の条件によって実施例1の流体混合器を構成し、向流接触型の流体混合装置50に適用した。
【0079】
(実施例2)
上述の並流接触型の流体混合装置60において、流体混合器62の構成を、図4に示した、流体混合ユニット12を規則充填した構成の流体混合器20と同様の構成とした。
そして、この流体混合器62に、図2(a)及び図2(b)に示した流体混合ユニット12A,12Bと同様の構成の流体混合ユニットを充填した。流体混合ユニット12A,12Bは、螺旋状に形成された2枚の羽根体がそれぞれ約90度、右又は左に捻られた形状を有し、外径62mm、内径52mm、高さ40mmである。
流体混合ユニット12Aと流体混合ユニット12Bとは、容積比50:50で充填した。
以上の条件によって実施例2の流体混合器を構成し、並流接触型の流体混合装置60に適用した。
【0080】
(実施例3)
上述の並流接触型の流体混合装置60において、流体混合器62の構成を、図5に示した、流体混合ユニット12を規則充填した構成の流体混合器30と同様の構成とした。
そして、この流体混合器62に、図2(a)及び図2(b)に示した流体混合ユニット12A,12Bと同様の構成の流体混合ユニットを充填した。流体混合ユニット12A,12Bは、螺旋状に形成された2枚の羽根体がそれぞれ約90度、右又は左に捻られた形状を有し、外径62mm、内径52mm、高さ40mmである。
流体混合ユニット12Aと流体混合ユニット12Bとは、容積比50:50で充填した。
以上の条件によって実施例3の流体混合器を構成し、並流接触型の流体混合装置60に適用した。
【0081】
(比較例1)
上述の向流接触型の流体混合装置50において、流体混合器52の構成を、充填材として充填物S型テラレット(日鉄化工機株式会社製)を用いて不規則充填した構成とした。
以上の条件によって比較例1の流体混合器を構成し、向流接触型の流体混合装置50に適用した。
【0082】
上述の実施例1〜3及び比較例1で構成した流体混合器を適用した流体混合装置50,60において、循環液(吸収液)として3wt%のNaOH水溶液を使用して、排ガス中に含まれるHClを循環液(吸収液)に吸収させる実験を行った。
実験では、上述の実施例1〜3及び比較例1で作製した流体混合装置50,60において、排ガスに含まれるHClガスが、装置の入口での濃度が100ppmであり、装置の出口での濃度が3ppmとなるように、それぞれの装置を設計した。
【0083】
なお、向流接触型の流体混合装置50では、排ガス中に含まれるHClガス濃度は、排風機59の入口で測定した。また、流体混合装置50において、循環液(吸収液)を向流接触した後の処理気体のHClガス濃度は、吸収塔51の出口で測定した。
また、並流接触型の流体混合装置60では、排ガス中に含まれるHClガス濃度は、吸収塔(充填塔)61の入口で測定した。また、流体混合装置60において、循環液(吸収液)を向流接触した後の処理気体のHClガス濃度は、排風機69の入口で測定した。
【0084】
表1に、上述の実験において作製した実施例1〜3及び比較例1の吸収塔51,61及び流体混合器52,62の設計条件を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示したように、実施例1で構成した吸収塔51及び流体混合器52は、比較例1よりも塔径が約30%小さく、充填高さが約20%低く、圧力損失が約30%低い構成であるが、HCl濃度において、同一の結果を得ることができた。
また、実施例1の構成によれば、比較例1の構成に比べてガス流量が同じであっても、塔内ガス速度を高くすることができ、圧力損失を小さくできることがわかる。
【0087】
また、実施例2,3において、流体混合器62の充填材の充填高さを、実施例1及び比較例1に比べて、1/3程度に小さくすることができた。
これは、吸収塔内の充填材が規則充填されていることにより、塔内ガス速度を大きくすることができ、気液接触を効率的に行うことができるためである。
また、規則充填の方法として、実施例2の構成に比べ、実施例3の構成のほうが、塔内ガス速度を大きくすることができた。これは、実施例3では、充填材として用いた流体混合ユニットの開口部同士を合わせて接続されているため、流体の流通が妨げられずに装置内を通過することができるためである。
このため、実施例2,3の構成では、充填塔を小さくすることができ、また、使用する充填材の量を減少させることができる。
【0088】
なお、実施例2,3において、圧力損失が実施1及び比較例1よりも高くなっているが、これは、気体の流速が大きくなるに従い圧力損失が大きくなるためである。このため、実施例2,3において、実施例1及び比較例1と同じ塔内ガス速度とした場合には、実施例2,3が実施例1及び比較例1よりも圧力損失を小さくできると推測できる。
【0089】
上述のように、流体混合器として実施例1〜3の構成を用いることにより、省エネルギー、省スペースであり、流体の混合効率に優れた流体混合器を構成することができる。
また、並流接触型の流体混合器を使用することで、フラッディングの発生も無く、大きな液ガス比L/Gで処理することが可能となる。例えば、液ガス比10L/m3以上での処理が可能となり、HClガス濃度1vol%以上の含有排ガスを容易に処理可能となる。
【0090】
本発明は、上述の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施の形態の流体混合器を示す斜視断面図である。
【図2】(a),(b) 流体混合器に充填される流体混合ユニットを示す斜視図である。
【図3】(a)〜(h) 流体混合器に充填される流体混合ユニットを示す平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の流体混合器を示す斜視断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の流体混合器を示す斜視断面図である。
【図6】流体混合器を用いた流体混合装置を示す模式図である。
【図7】流体混合装置内の流体混合器の様子を示す模式図である。
【図8】流体混合装置内の流体混合器の様子を示す模式図である。
【図9】流体混合装置内の流体混合器の様子を示す模式図である。
【図10】実施例で使用した向流接触型の流体混合装置のブロック図である。
【図11】実施例で使用した並流接触型の流体混合装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
10,20,30,41,41A,41B,52,62 流体混合器、11 充填塔、12,12A,12B,12C,12D,12E,12F,12G,12H 流体混合ユニット、13 通路管、14 開口部、15,15A,15B,15C,15D,15E,15F,15G,15H 羽根体、16 流体通路、17 混合部、40,50,60 流体混合装置、43,57,67 スプレイノズル、44 吸収液、45 原気体、46 処理気体、51,61 吸収塔(充填塔)、53、63 排ガス源、54,64 循環液槽、55 ミストセパレータ、56,66 バルブ、58,68 循環液ポンプ、59,69 排風機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、
前記複数の流体混合ユニットは、その軸方向の向きが互いに異なるように、不規則的に配置されている
ことを特徴とする流体混合器。
【請求項2】
開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、
前記複数の流体混合ユニットを、その軸方向が前記充填塔の直径方向に対して垂直となる方向に、規則的に隣接させて配置した
ことを特徴とする流体混合器。
【請求項3】
開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、
充填塔内部を流れる流体の向きと垂直となる方向に、前記複数の流体混合ユニットを隣接配置させることにより流体混合ユニット群を構成し、
充填塔内部を流れる流体の向きに沿って、前記流体混合ユニット群を多層状に配置した
ことを特徴とする流体混合器。
【請求項4】
前記流体混合ユニット群を構成する流体混合ユニットの数が、各層で等しいことを特徴とする請求項3に記載の流体混合器。
【請求項5】
前記流体混合ユニット群を構成する流体混合ユニットの数が、隣接する層で互いに異なることを特徴とする請求項3に記載の流体混合器。
【請求項6】
前記流体混合ユニットは、円筒状の通路管内に、少なくとも1以上の螺旋状の羽根体と、少なくとも1以上の流体通路とを有していることを特徴とする請求項1乃至5に記載の流体混合器。
【請求項7】
前記複数の流体混合ユニットの形状は同一であることを特徴とする請求項1乃至6に記載の流体混合器。
【請求項1】
開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、
前記複数の流体混合ユニットは、その軸方向の向きが互いに異なるように、不規則的に配置されている
ことを特徴とする流体混合器。
【請求項2】
開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、
前記複数の流体混合ユニットを、その軸方向が前記充填塔の直径方向に対して垂直となる方向に、規則的に隣接させて配置した
ことを特徴とする流体混合器。
【請求項3】
開口部及び混合部を有する複数の流体混合ユニットを、充填塔内部に配置した流体混合器であって、
充填塔内部を流れる流体の向きと垂直となる方向に、前記複数の流体混合ユニットを隣接配置させることにより流体混合ユニット群を構成し、
充填塔内部を流れる流体の向きに沿って、前記流体混合ユニット群を多層状に配置した
ことを特徴とする流体混合器。
【請求項4】
前記流体混合ユニット群を構成する流体混合ユニットの数が、各層で等しいことを特徴とする請求項3に記載の流体混合器。
【請求項5】
前記流体混合ユニット群を構成する流体混合ユニットの数が、隣接する層で互いに異なることを特徴とする請求項3に記載の流体混合器。
【請求項6】
前記流体混合ユニットは、円筒状の通路管内に、少なくとも1以上の螺旋状の羽根体と、少なくとも1以上の流体通路とを有していることを特徴とする請求項1乃至5に記載の流体混合器。
【請求項7】
前記複数の流体混合ユニットの形状は同一であることを特徴とする請求項1乃至6に記載の流体混合器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−183501(P2008−183501A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18377(P2007−18377)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(502432637)株式会社アネモス (14)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(502432637)株式会社アネモス (14)
【Fターム(参考)】
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