流体清浄装置
【課題】 本体内に導入された流体のうち、清浄化されることなく素通りする流体の量を極力減少させることにより清浄化効果を促進しうる流体清浄装置を提供すること。
【解決手段】 流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体1の内部にフィルター6を配置すると共に、紫外線発生装置20を、紫外線がフィルターに照射されるように配置し、フィルター6は流体の通過可能なる保持部材7にて粒状の光触媒シリカゲル8を保持して構成し、本体内部に、流体が実質的にフィルター6を介して移動するように配置した。
【解決手段】 流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体1の内部にフィルター6を配置すると共に、紫外線発生装置20を、紫外線がフィルターに照射されるように配置し、フィルター6は流体の通過可能なる保持部材7にて粒状の光触媒シリカゲル8を保持して構成し、本体内部に、流体が実質的にフィルター6を介して移動するように配置した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体清浄装置に関し、特に光触媒作用を有する二酸化チタンを含む光触媒物質を利用した清浄装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光触媒の材料としては二酸化チタンが、物質として安定しており安全性も高いという理由からよく用いられている。
二酸化チタンの光触媒反応については、例えば380nm付近の紫外線が二酸化チタンに照射されることにより生じたOHラジカルやスーパーオキサイドアニオンなどの活性酸素種が汚染物質を酸化分解する。
このようなメカニズムにより空気や水などの浄化を行うことができ、さらには、活性酸素が細菌にアタックすることにより抗菌性能を、又、基材表面の汚れを分解することによりセルフクリーニング性能を持たせることができる。
【0003】
例えば図12には、このような光触媒作用を利用した清浄装置が提案されている。この装置は次のように構成されている。即ち、同図において、Aは円筒状の金属製の本体であって、それの一方の側壁には空気の導入部Bが形成されている。本体Aの一方の内部にはファンCが、本体内部に固定されたホルダーDに固定されている。又、ホルダーDの上方部分には互いに離隔した一対のホルダーE,Eが本体内部に固定されており、このホルダーE,Eの中央部分には380nm付近の紫外線を放射する直管状の紫外線ランプFが貫通した状態で支持されている。この紫外線ランプFには複数のフィルターGが、その周縁部分と本体Aの内面との間に隙間Hが形成されるように貫通して固定されている。尚、フィルターGは、例えば竹炭と二酸化チタンとを混合した上で薄い円板状にプレス加工して構成されている。
【0004】
この清浄装置は、次のように動作する。まず、この装置を清浄化したい室内空間に配置し、ファンCを駆動させると、本体Aの一方に形成された導入部Bから汚染された空気が本体内に導入され、図示矢印のように他方(上方)の開口部分から室内空間部に強制的に吐出される。
本体Aの内部に導入された汚染された空気はそれぞれのフィルターGに接触しながらやがて隙間Hを介して、或いは隙間Hを介して直接的に他方の開口部から室内空間に再び吐出される。導入された空気がフィルターGに接触した際に、一部の汚染物質がフィルターGに付着(或いは吸着)されたりする。
フィルターGに付着した汚染物質は紫外線ランプFからの紫外線が二酸化チタンに照射されることによる光触媒反応に基づいて分解される。そして、汚染物質の除去された空気(清浄化された空気)は、隙間Hを素通りする汚染空気と一緒に上方開口部から室内空間に吐出される。このような動作を繰り返すことによって徐々に室内空間の空気が清浄化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし乍ら、上述の装置では、室内空間における汚染空気の清浄化が可能なるものの、フィルターGと本体Aとの間に隙間Hが形成されているために、本体Aの上方開口部からは清浄化された空気と汚染されたままの空気とが混在状態で室内空間に吐出される。このために、室内空間の空気の清浄化には長時間を要するという問題がある。
かといって、隙間Hを小さくしても同様の問題が残る。即ち、フィルターGは竹炭の粉末と二酸化チタンの粉末とを混合して薄い円板状にプレス加工して製造されるために、竹炭が多孔質であることからフィルター自身も多孔質となるものの、空気が通り抜けるような透過性(通過性)は有しない。
このために、本体Aの内部における空気の流れは隙間H部分に集中するようになり、汚染空気がフィルターGに接触する機会は若干増え、光触媒反応による清浄化もある程度促進されるものの、空気の流れが抑制される分、室内空間への吐出量が減少する結果、室内空間の清浄化には長時間を要することになる。
【0006】
その上、フィルターGは上述のように竹炭及び二酸化チタンの粉末を混合してプレス加工されている関係で、機械的な衝撃に弱く、組立作業における取り扱いによって破損し易く、生産性が損なわれるという問題もある。
それ故に、本発明の目的は、本体に導入された流体の移動流量を適量に維持しつつ清浄化効果を促進しうる流体清浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は上述の目的を達成するために、流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体の内部に配置した紫外線発生装置とを具備し、前記フィルターは流体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置したことを特徴とする。
【0008】
又、本発明の第2の発明は、流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体の内部に配置した紫外線発生装置と、本体の一方及び/又は他方に、流体を本体の一方から導入し、他方から吐出するように配置したファンとを具備し、前記フィルターは流体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置したことを特徴とする。
【0009】
又、本発明の第3の発明は、フィルターは流体の通過可能な保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持し、湾曲状に構成したことを特徴とし、第4の発明は、フィルターの保持部材は粒状の光触媒シリカゲルの保持機能を有し、かつ流体の通過孔を有するメッシュ,パンチングメタルなどにて構成したことを特徴とし、第5の発明は、フィルターは流体の通過孔を有する一対の保持部材の間に粒状の光触媒シリカゲルを収容し周縁部分を封止して構成したことを特徴とする。
【0010】
又、本発明の第6の発明は、紫外線発生装置は、光触媒作用を呈する領域、例えば380nm近辺の紫外線を放射する紫外線ランプで構成すると共に、本体のほぼ中央部分にフィルターを貫通するように配置したことを特徴とし、第7の発明は、紫外線発生装置は、光触媒作用を呈する領域、例えば380nm近辺の紫外線を放射する複数の発光ダイオードで構成すると共に、本体の内部に、フィルターに紫外線が照射されるように配置したことを特徴とし、第8の発明は、フィルターの前面側(流体のフィルターへの導入側)に流体の流れを乱す副フィルターを離隔して配置したことを特徴とする。
【0011】
又、本発明の第9の発明は、気体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体のほぼ中央部分にフィルターを貫通するように配置した紫外線ランプと、本体の一方及び/又は他方に、気体を本体の一方から導入し、他方から吐出するように配置したファンとを具備し、前記フィルターは気体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、気体が実質的にフィルターを介して移動するように配置し、かつ本体の一方の側壁に気体の導入用の開口部を形成したことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の第10の発明は、フィルターはそれの湾曲凹部が気体の導入側となるように配置したことを特徴とし、第11の発明は、フィルターの湾曲凹部側から離隔した部分には気体の流れを乱す副フィルターを配置したことを特徴とし、第12の発明は、本体の内面に光触媒の層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、本体の内部に配置されたフィルターは粒状のシリカゲルの表層と内部に二酸化チタンが含まれてなる粒状の光触媒シリカゲルを流体の通過可能な保持部材にて保持して構成されているために、流体は必ずフィルターを介して移動することになり、その際に、流体に含まれる汚染物質などをフィルターに効率よく吸着・捕捉させることができる。このために、光触媒反応によって汚染物質を効率よく分解させることができる。
特に、光触媒シリカゲルは紫外線の透過性を有するために、流体の導入側における光触媒シリカゲルの表層部分のみならず、反対側の表層部における二酸化チタンにも紫外線が照射されることによって光触媒反応が生ずる結果、フィルターのほぼすべての表層部での汚染物質の分解を効率よく行うことができる。
その上、光触媒シリカゲルは多孔性を有することから、表層部のみならず内部の多孔部にも二酸化チタンが含まれるために、内部の多孔部に吸着・捕捉された汚染物質も光触媒反応によって確実に分解させることができる。
又、フィルターを湾曲状に構成し、その中央部分に管状の紫外線発生装置を配置すれば、紫外線の照射強度が強い湾曲部分に、より多くの流体が誘導されて通過・移動するために、同部分での光触媒効果が大きくなり、汚染物質の分解も効率的に行われる。
さらに、フィルターは本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置されているために、本体から全く清浄化されていない流体が吐出される割合は極めて低く、例えば清浄化すべき空間の清浄化を能率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の第1の実施例について図1〜図2を参照して説明する。同図において、1は一方から他方に向けて流体、例えば空気などの気体が移動可能なるように構成された筒状の本体であって、図示例はステンレスなどの金属部材にて円筒状に構成されている。尚、本体1の内面には酸化チタンなどの光触媒が層状に被着されているが、省略することも可能である。本体1の一方の端部1aには、例えば清浄化するための室内空間の気体を導入するために複数の開口状の導入部2が形成されており、他方の端部1bには導入部2から導入された気体を室内空間に再び放出する吐出部3が形成されている。尚、本体1は金属部材の他、樹脂,陶器などにて構成することもできる。
上述した本体1における一方の端部1aの内部には、例えば気体の通過孔(図示せず)を有するほぼ円板状のホルダー4が固定されている。このホルダー4の中央部分にはファン5が固定されており、室内空間の気体はファン5の駆動により導入部2を介して本体1の内部に導入される。
【0015】
本体1の内部には、例えば湾曲状に構成された複数のフィルター6,6・・・が、その周縁部が本体内面にほぼ密着するように配置されている。このフィルター6は、図2に示すように、例えば中央部分に支持孔7A,7Aを有し、かつ全体的に気体の通過性を有する湾曲状の保持部材7,7と、保持部材7,7の間に保持された粒状(例えば直径が0.5〜5mm、好ましくは2mm程度)の光触媒シリカゲル8と、保持部材7,7の周縁開口部及び支持孔7A,7Aの周縁開口部を封止(閉塞)する第1,第2の封止部材9,10と、保持部材7,7の外周縁部分に装着された弾力性を有する断面がほぼC字状の支持部材11とから構成されている。かかるフィルター6は本体1の内部に、支持部材11が本体内面にほぼ密着するように配置されており、本体1の内部に導入された気体はそれぞれのフィルター6を通過して吐出部3から室内空間に吐出される。
尚、フィルター6において、保持部材7は、例えば10〜100メッシュ、好ましくは30メッシュ程度の金属メッシュが好適するが、後述する紫外線発生装置からの紫外線によって劣化しないもの、或いは紫外線劣化対策されているものであれば、樹脂なども使用しうる。又、保持部材7による光触媒シリカゲル8の保持機能(流体の通過孔)は光触媒シリカゲル8の大きさに応じてほぼ決定される。
上述のように、フィルター6に保持されている粒状の光触媒シリカゲル8は紫外線に対する透過性を有する粒状のシリカゲルと二酸化チタンの粉末とを混合し、例えば600〜1000℃の高温で焼成することによって製造される。完成状態において、光触媒シリカゲル8は粒状のシリカゲルの表層部分に高濃度の二酸化チタンが含まれると共に、内部にも含まれる傾斜材料に構成されている。シリカゲルは多孔質で大きな比表面積を有しており、吸着作用もあるために、気体に含まれる汚染物質を吸着・捕捉させることができる。
又、本体1の内部には紫外線発生装置20が、フィルター6に紫外線を照射するように配置されている。図示例では紫外線発生装置20は、例えば380nm付近の紫外線を放射する直管状の紫外線ランプであって、それぞれのフィルター6の支持孔7Aを貫通して本体1の軸線に沿うように配置・固定されている。
【0016】
次に、本発明にかかる流体清浄装置の動作について説明する。まず、図1〜図2に示す本発明装置を、例えば空気の清浄化が必要な室内空間に直立した状態で配置する。次に、図示しない電源スイッチをオン状態にすると、ファン5は回転・駆動されると共に、紫外線ランプ(紫外線発生装置)20は点灯し、380nm付近の紫外線が放射される。ファン5の駆動によって室内空間の汚染された空気は本体1の一方の端部(下部)1aに形成された導入部2から本体内に図示矢印のように導入され、複数のフィルター6を通過し吐出部3から再び室内空間に吐出される。尚、本体内の空気の移動流量は、例えば最大で1分当たり1立方メートル程度が望ましいが、室内環境などに応じて適宜に増減できる。導入された空気がフィルター6を通過する際に、光触媒シリカゲル8のシリカゲルに空気中の汚染物質が吸着・捕捉される。
一方、紫外線ランプ20は点灯によって紫外線が本体内に放射されるために、フィルター6における光触媒シリカゲル8にも照射される。紫外線が光触媒シリカゲル8の二酸化チタンに照射されると、光触媒反応によって生じたOHラジカルやスーパーオキサイドアニオンなどの活性酸素種が、シリカゲルに吸着・捕捉されている汚染物質を分解する。
【0017】
特に、フィルター6は本体内に、図示のように湾曲凹部6Aが導入空気の導入側となるように配置されている関係で、導入空気がフィルター6を通過する際の挙動は紫外線ランプ20に近い湾曲部分の通過量が多く、本体1の内面に近い周辺部分ほど通過量が少なくなるという分布を呈する。一般に、紫外線ランプ20からの紫外線強度は距離の2乗に反比例することから、紫外線ランプ20の位置する中央部分のフィルター6には強度の強い紫外線が照射されることになり、効率的な光触媒反応が生ずる。
しかも、光触媒シリカゲル8の構成要素たるシリカゲルは紫外線の透過性を有することから、紫外線が透過する際に、シリカゲルの内部にも傾斜存在する二酸化チタンにも照射される。このために、シリカゲルの表層部分のみならず内部の多孔部でも光触媒反応が生じる結果、優れた光触媒効果が得られる。
従って、フィルター6の紫外線ランプ20に近い部分での導入空気の通過量が多いことから、同部分の光触媒シリカゲル8に捕捉される汚染物質も増加することになり、望ましい光触媒効果が得られ、汚染物質の分解も促進される。
そして、フィルター6が多段に配置されていることから、仮に第1段のフィルター6で汚染物質の捕捉が不十分であっても第2段,第3段・・などのフィルター6で吸着・捕捉され、それぞれのフィルター6にて光触媒反応によって適切に分解・除去される。その結果、本体の吐出部3からは清浄化された空気が室内空間に吐出される。以下、この動作を繰り返すことによって室内空間の汚れた空気は徐々に清浄化される。
尚、光触媒反応は、光触媒シリカゲル8に吸着された物質にのみ作用するものではなく、フィルター中を移動する空気に含まれる汚染物質に対しても作用するものである。
【0018】
次に、本発明者は、上述の本発明装置を用いてホルムアルデヒドに対する清浄効果についての確認実験を行った。
まず、直径が600mm,高さが600mmの有底筒状のステンレスケース(本体1に相当)に図1に示す本発明装置を直立した状態で配置し、ケースの開口部を蓋にて密閉する。次に、ケース内に汚染物質として37%溶液のホルムアルデヒドを0.06ml混入し、ケース内を揮発性有機化合物の毒性指標としての室内濃度指針値0.3ppmに設定する。そして、本発明装置を動作させることによって混合されたホルムアルデヒドが20時間後にどの程度にまで減少するかを測定する。尚、測定には新コスモス電機株式会社製のXP−3293なる「匂いセンサ」を使用した。又、本発明装置のフィルターは5層と2層の二種類を用い、5層の場合のみ吐出部にもファンを増設した(後述する図6の構成を参照)。さらに、ファンはスタイル電子製のDCモータVFA−8018−BH10を用いた。
実験の結果は、図13に示す。尚、図の数値は、本発明装置の動作前の状態を100%とした相対値で示してある。又、比較のために、図14に示す清浄装置(フィルターは2層)を従来例とした。
同図より明らかなように、図1に示す構成の本発明装置(シングルファン)では20時間連続稼動後にホルムアルデヒドが初期値の55%まで減少しており、後述する図6に示す構成の本発明装置(ダブルファン)では47%までも減少しているのに対し、従来例では73%までしか減少しておらず、本発明装置が優れた清浄効果を呈することを示している。
尚、アセトアルデヒド,アンモニア,ニコチンなどの汚染物質についても光触媒作用によって清浄効果を呈することを別の実験により確認している。
【0019】
次に、本発明にかかるフィルターの第1の製造方法について図3を参照して説明する。
まず、同図(a)に示すように、中央部分に紫外線ランプ20の支持孔7Aを有する湾曲状でメッシュよりなる一方の保持部材7を水平に位置させる。次に、この保持部材7の支持孔7Aの周縁部分にリング状の第1の封止部材9を、外周縁部分に一部に切り欠き部Pを有するほぼリング状の第2の封止部材10をそれぞれ配置する。
次に、同図(b)に示すように、中央部分に紫外線ランプ20の支持孔7Aを有する湾曲状でメッシュよりなる他方の保持部材7を重ね合わせると共に、それぞれの保持部材7,7と第1,第2の封止部材9,10とを固定する。
次に、同図(c)に示すように、第2の封止部材10の欠落部(切り欠き部)Pから内部空間に粒状の光触媒シリカゲル8を充填する。充填後、欠落部Pを第2の封止部材10と同一の封止部材にて封止・閉塞することによりフィルター6が完成する。
尚、このフィルター6の外周縁部に図2に示すように弾力性を有する支持部材11を装着することもできる。又、それぞれの保持部材7には平坦なものを用い、光触媒シリカゲル8の充填後に、プレス加工により湾曲状に形成することもできる。
【0020】
次に、本発明にかかるフィルターの第2の製造方法について図4を参照して説明する。
まず、予め湾曲状に構成された一方の保持部材7を水平に位置させ、支持孔7Aの周縁部分に及び外周縁部分にリング状の第1,第2の封止部材9,10を配置する。次に、保持部材7と第1,第2の封止部材9,10とによって形成された空間に粒状の光触媒シリカゲル8を、ほぼ同じような厚みとなるように配置する。次に、この上に、予め湾曲状に構成された他方の保持部材7を配置し、それぞれの保持部材7と第1,第2の封止部材9,10を固定することによりフィルター6が完成する。
尚、予め一方の保持部材7と第1,第2の封止部材9,10を固定しておくことが望ましい。
【0021】
次に、本発明にかかるフィルターの第3の製造方法について図5 を参照して説明する。
まず、支持孔7Aを有する一対の保持部材7,7を重ね合わせ、支持孔7Aの内周縁部分7aを溶接12によって固定すると共に、一部Pを除いて外周縁部分7bを溶接12によって固定する。次に、未溶接部Pを開口して粒状の光触媒シリカゲル8を内部空間に、ほぼ同じ厚みとなるように充填する。充填後、未溶接部(注入部)Pを溶接することによりフィルター6が完成する。
尚、保持部材7,7は、予め湾曲状に構成されたものを利用する他、光触媒シリカゲル8の注入後にプレス加工によって所望の曲率の湾曲状に成形することもできる。又、保持部材7,7の外周縁部分にリング状の金属板を介在させて固定することもできる。この構成によれば、金属板の介在によってフィルターを通過する流体の流量分布を、中央部分がより多くなるようにすることもできる。
【0022】
次に、本発明にかかる清浄装置の第2の実施例について図6を参照して説明する。
この実施例の基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じであり、異なる点は、本体1の他方の端部1bにホルダー4を固定し、このホルダー4に流体(例えば空気)の吐出を補助するためのファン5Aを配置したことである。
この実施例によれば、室内空間の空気はファン5によって導入部2を介して本体1の内部に導入され、導入された空気はファン5の駆動によって圧送されると同時に、ファン5Aによる強制的な吸い出し作用との相乗効果によって吐出部3から室内空間に効率よく吐出される。
このために、空気中の汚染物質はそれぞれのフィルター6への吸着・捕捉が促進されると同時に、紫外線ランプ20からの紫外線による光触媒反応によって分解が促進され、室内空間の清浄化が確実に行われる。
【0023】
図7は本発明にかかる清浄装置の第3の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、それぞれのフィルター6を、本体1の内面に固定された支持具13に載置・支持するように構成したことである。尚、支持具13は断面がほぼL形のリング状に構成されており、本体1にネジ止め,溶接などによって固定されているが、L形部材を複数個所に分散・固定して代用することもできる。
この実施例によれば、フィルター6を本体1の所望部分に正確に支持できる上、振動などによる位置ずれも防止できる。
【0024】
図8は本発明にかかる清浄装置の第4の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、それぞれのフィルター6における湾曲凹部6Aの前面側(空気の導入側)に副フィルター14を、フィルター6に対して離隔して逆向きに配置したことと、副フィルター14の湾曲凸部側における本体1の内面部分に紫外線発生装置20Aを配置したことである。尚、紫外線発生装置20Aは管径の小さな紫外線ランプや紫外線を放射する発光ダイオードなどが好適するが、これらに限定されない。
この副フィルター14はフィルター6と同じ大きさで、かつ逆方向に湾曲した形状に構成されており、フィルター6とほぼ同一構造に構成することが望ましいが、フィルター6より小さく構成することもできる。又、副フィルター14は流体の通過性を有しない金属板などによって構成することもできるが、この場合はフィルター6より小径にする必要がある。
この実施例によれば、本体内に導入された汚染物質を含む空気は副フィルター14によって、紫外線発生装置20Aからの紫外線強度の強い副フィルター14の外周部分により多くの空気が誘導されるために、副フィルター14との接触する機会が増加する。さらに、副フィルター14を通過した空気はフィルター6との接触機会を増やしながら、その多くが紫外線ランプ20からの紫外線強度の強い湾曲凹部6Aに誘導される。このために、導入された空気は紫外線ランプ20及び紫外線発生装置20Aに近いフィルター部分でより多くの空気が通過するために、光触媒シリカゲル8に汚染物質の吸着・捕捉が促進され易くなる。従って、光触媒反応による分解も促進されることになり、室内空間の清浄化も効率よく行われる。
【0025】
図9は本発明にかかる清浄装置の第5の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、紫外線発生装置としての紫外線ランプ20を、380nm付近の紫外線を放射する発光ダイオード15に変更し、本体1の内壁部分に配列したことと、フィルター6を本体内部に、それの湾曲凹部6Aが吐出部3側となるように配置したことと、フィルター6の中央部分に空気の通過を抑制する抑制部16を設けたことである。
特に、発光ダイオード15は、図示のように、フィルター6の湾曲凸部側(湾曲凹部6Aの反対側で空気の導入側)における本体1の内壁部分に、それぞれの発光ダイオード15から放射される紫外線がフィルター6に照射されるように配置されている。
尚、フィルター6の本体1への支持は、例えば図7に示すような支持具13を利用することもできるし、その他の支持手段を採用することもできる。
この実施例によれば、本体1に複数の発光ダイオード15を、放射される紫外線がフィルター6に効率よく照射されるように配置することができるために、光触媒効果を充分に高めることができる。
又、フィルター6は、その湾曲凹部6Aが吐出部側となるように配置されていることから、空気の通過量は紫外線の照射強度の強いフィルター周辺部分が多くなり、一層の光触媒効果が期待できる。
尚、この実施例において、発光ダイオード15に代えて紫外線ランプ20を本体1の中央部分に図1と同様に配置することもできる。又、図8に示す副フィルター14を併設することもできる。
【0026】
図10は本発明にかかる清浄装置の第6の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、ファン5が省略されていることと、紫外線ランプ20の上下部分が、本体1に固定されたホルダー4,4に支持されていることである。
この実施例の清浄装置は主として水道など流体の清浄化に適用されるもので、例えば水道管などの内部に配置して使用される。尚、紫外線ランプ20は防水構造に構成されている。
本体1の一方の開口部(導入部)2から圧送・導入された水などの流体はそれぞれのフィルター6を通過して他方の開口部(吐出部)3から吐出される。流体がフィルター6を通過する際に、流体に含まれている汚染物質は光触媒シリカゲル8に吸着・捕捉され、光触媒反応によって分解され、清浄化された流体が吐出部3から吐出される。
特に、フィルター6は湾曲凹部6Aが流体の導入側になるように配置されている関係で、流体は紫外線強度の強い湾曲凹部6Aの付近でより多く通過することから、より望ましい光触媒効果が得られる。
【0027】
図11は本発明にかかる清浄装置の第7の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、フィルター6の外周部分(本体1に隣接する部分)に流体の通過を抑制する抑制部17を設けたことである。
この抑制部17は、例えば金属板にてほぼリング状に形成されており、フィルター6の外周部分の内部に配置して構成されているが、フィルター6の外側に金属リングを溶接などにより固定したり、フィルター6の外周部分における保持部材を金属リングに置き換えたりすることもできる。
この実施例によれば、本体内に導入された流体は抑制部17の存在により、紫外線強度の強いフィルター6の湾曲凹部6Aにより多くが誘導されるために、より望ましい光触媒効果が得られる。
【0028】
図12は本発明にかかる清浄装置の第8の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、本体1を四角筒状に構成し、その内部に角形でギザギザ状に湾曲させたフィルター6を、フィルター6を介して流体が移動するように配置したことと、フィルター6の湾曲凹部6Aに紫外線発生装置、例えば紫外線ランプ20を、本体1の軸方向に対してほぼ直角に配置したことである。
この実施例によれば、本体内を移動する流体は、紫外線強度の強いフィルター6の湾曲凹部6Aにより多くが誘導されるために、同部分に吸着・捕捉された汚染物質を光触媒反応によって効果的に分解できる。
特に、同図において、点線で示すように逆形態のフィルターを適宜に配置すれば、より一層の清浄効果を期待することができる。
【0029】
尚、本発明は何ら上記実施例にのみ制約されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜に変更することが可能である。例えばフィルターは湾曲状に構成することが望ましいが、平坦状に構成することもできるし、本体内に配置するフィルター数も適宜に増減できる。又、湾曲状,平坦状などのフィルターを適宜に組み合わせて配置したり、湾曲状のフィルターを、湾曲凹部の方向を同一方向に統一することなく、ランダムに配置したりすることもできる。又、フィルターの本体への支持は本体内を移動するほぼすべての流体がフィルターを介して移動するような構造であれば、弾性的な接触支持や支持金具などによる支持構造に限定されない。又、本体は円筒状が望ましいが、角筒状など適宜の形状に設定できる。さらに、紫外線発生装置は光触媒反応を生じさせるものであれば、紫外線ランプ,発光ダイオードなどに限定されないし、特に紫外線ランプを適用する場合、複数本を利用したり、本体の中央部分以外の部分に配置したりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施例を示す側断面図である。
【図2】図1に示すフィルターの拡大断面図である。
【図3】本発明にかかるフィルターの第1の製造方法を説明するための図であって、同図(a)は平面図、同図(b)は側断面図、同図(c)は光触媒シリカゲルを充填する開口部分の状態を示す要部断面図である。
【図4】本発明にかかるフィルターの第2の製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明にかかるフィルターの第3の製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施例を示す側断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例を示す要部の側断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例を示す要部の側断面図である。
【図9】本発明の第5の実施例を示す要部の側断面図である。
【図10】本発明の第6の実施例を示す側断面図である。
【図11】本発明の第7の実施例を示す要部の側断面図である。
【図12】本発明の第8の実施例を示す要部の側断面図である。
【図13】本発明装置による清浄効果の実験結果を示す図である。
【図14】従来例を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 本体
1a 一方の端部
1b 他方の端部
2 導入部(開口部)
3 吐出部
4 ホルダー
5 ファン
5A ファン
6 フィルター
6A 湾曲凹部
7 保持部材
7A 支持孔
8 光触媒シリカゲル
9 第1の封止部材
10 第2の封止部材
11 支持部材
12 溶接部
13 支持具
14 副フィルター
15 発光ダイオード
16 抑制部
17 抑制部
20 紫外線発生装置
20A 紫外線発生装置
P 欠落部(注入部)
【技術分野】
【0001】
本発明は流体清浄装置に関し、特に光触媒作用を有する二酸化チタンを含む光触媒物質を利用した清浄装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光触媒の材料としては二酸化チタンが、物質として安定しており安全性も高いという理由からよく用いられている。
二酸化チタンの光触媒反応については、例えば380nm付近の紫外線が二酸化チタンに照射されることにより生じたOHラジカルやスーパーオキサイドアニオンなどの活性酸素種が汚染物質を酸化分解する。
このようなメカニズムにより空気や水などの浄化を行うことができ、さらには、活性酸素が細菌にアタックすることにより抗菌性能を、又、基材表面の汚れを分解することによりセルフクリーニング性能を持たせることができる。
【0003】
例えば図12には、このような光触媒作用を利用した清浄装置が提案されている。この装置は次のように構成されている。即ち、同図において、Aは円筒状の金属製の本体であって、それの一方の側壁には空気の導入部Bが形成されている。本体Aの一方の内部にはファンCが、本体内部に固定されたホルダーDに固定されている。又、ホルダーDの上方部分には互いに離隔した一対のホルダーE,Eが本体内部に固定されており、このホルダーE,Eの中央部分には380nm付近の紫外線を放射する直管状の紫外線ランプFが貫通した状態で支持されている。この紫外線ランプFには複数のフィルターGが、その周縁部分と本体Aの内面との間に隙間Hが形成されるように貫通して固定されている。尚、フィルターGは、例えば竹炭と二酸化チタンとを混合した上で薄い円板状にプレス加工して構成されている。
【0004】
この清浄装置は、次のように動作する。まず、この装置を清浄化したい室内空間に配置し、ファンCを駆動させると、本体Aの一方に形成された導入部Bから汚染された空気が本体内に導入され、図示矢印のように他方(上方)の開口部分から室内空間部に強制的に吐出される。
本体Aの内部に導入された汚染された空気はそれぞれのフィルターGに接触しながらやがて隙間Hを介して、或いは隙間Hを介して直接的に他方の開口部から室内空間に再び吐出される。導入された空気がフィルターGに接触した際に、一部の汚染物質がフィルターGに付着(或いは吸着)されたりする。
フィルターGに付着した汚染物質は紫外線ランプFからの紫外線が二酸化チタンに照射されることによる光触媒反応に基づいて分解される。そして、汚染物質の除去された空気(清浄化された空気)は、隙間Hを素通りする汚染空気と一緒に上方開口部から室内空間に吐出される。このような動作を繰り返すことによって徐々に室内空間の空気が清浄化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし乍ら、上述の装置では、室内空間における汚染空気の清浄化が可能なるものの、フィルターGと本体Aとの間に隙間Hが形成されているために、本体Aの上方開口部からは清浄化された空気と汚染されたままの空気とが混在状態で室内空間に吐出される。このために、室内空間の空気の清浄化には長時間を要するという問題がある。
かといって、隙間Hを小さくしても同様の問題が残る。即ち、フィルターGは竹炭の粉末と二酸化チタンの粉末とを混合して薄い円板状にプレス加工して製造されるために、竹炭が多孔質であることからフィルター自身も多孔質となるものの、空気が通り抜けるような透過性(通過性)は有しない。
このために、本体Aの内部における空気の流れは隙間H部分に集中するようになり、汚染空気がフィルターGに接触する機会は若干増え、光触媒反応による清浄化もある程度促進されるものの、空気の流れが抑制される分、室内空間への吐出量が減少する結果、室内空間の清浄化には長時間を要することになる。
【0006】
その上、フィルターGは上述のように竹炭及び二酸化チタンの粉末を混合してプレス加工されている関係で、機械的な衝撃に弱く、組立作業における取り扱いによって破損し易く、生産性が損なわれるという問題もある。
それ故に、本発明の目的は、本体に導入された流体の移動流量を適量に維持しつつ清浄化効果を促進しうる流体清浄装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は上述の目的を達成するために、流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体の内部に配置した紫外線発生装置とを具備し、前記フィルターは流体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置したことを特徴とする。
【0008】
又、本発明の第2の発明は、流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体の内部に配置した紫外線発生装置と、本体の一方及び/又は他方に、流体を本体の一方から導入し、他方から吐出するように配置したファンとを具備し、前記フィルターは流体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置したことを特徴とする。
【0009】
又、本発明の第3の発明は、フィルターは流体の通過可能な保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持し、湾曲状に構成したことを特徴とし、第4の発明は、フィルターの保持部材は粒状の光触媒シリカゲルの保持機能を有し、かつ流体の通過孔を有するメッシュ,パンチングメタルなどにて構成したことを特徴とし、第5の発明は、フィルターは流体の通過孔を有する一対の保持部材の間に粒状の光触媒シリカゲルを収容し周縁部分を封止して構成したことを特徴とする。
【0010】
又、本発明の第6の発明は、紫外線発生装置は、光触媒作用を呈する領域、例えば380nm近辺の紫外線を放射する紫外線ランプで構成すると共に、本体のほぼ中央部分にフィルターを貫通するように配置したことを特徴とし、第7の発明は、紫外線発生装置は、光触媒作用を呈する領域、例えば380nm近辺の紫外線を放射する複数の発光ダイオードで構成すると共に、本体の内部に、フィルターに紫外線が照射されるように配置したことを特徴とし、第8の発明は、フィルターの前面側(流体のフィルターへの導入側)に流体の流れを乱す副フィルターを離隔して配置したことを特徴とする。
【0011】
又、本発明の第9の発明は、気体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体のほぼ中央部分にフィルターを貫通するように配置した紫外線ランプと、本体の一方及び/又は他方に、気体を本体の一方から導入し、他方から吐出するように配置したファンとを具備し、前記フィルターは気体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、気体が実質的にフィルターを介して移動するように配置し、かつ本体の一方の側壁に気体の導入用の開口部を形成したことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の第10の発明は、フィルターはそれの湾曲凹部が気体の導入側となるように配置したことを特徴とし、第11の発明は、フィルターの湾曲凹部側から離隔した部分には気体の流れを乱す副フィルターを配置したことを特徴とし、第12の発明は、本体の内面に光触媒の層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
このように本発明によれば、本体の内部に配置されたフィルターは粒状のシリカゲルの表層と内部に二酸化チタンが含まれてなる粒状の光触媒シリカゲルを流体の通過可能な保持部材にて保持して構成されているために、流体は必ずフィルターを介して移動することになり、その際に、流体に含まれる汚染物質などをフィルターに効率よく吸着・捕捉させることができる。このために、光触媒反応によって汚染物質を効率よく分解させることができる。
特に、光触媒シリカゲルは紫外線の透過性を有するために、流体の導入側における光触媒シリカゲルの表層部分のみならず、反対側の表層部における二酸化チタンにも紫外線が照射されることによって光触媒反応が生ずる結果、フィルターのほぼすべての表層部での汚染物質の分解を効率よく行うことができる。
その上、光触媒シリカゲルは多孔性を有することから、表層部のみならず内部の多孔部にも二酸化チタンが含まれるために、内部の多孔部に吸着・捕捉された汚染物質も光触媒反応によって確実に分解させることができる。
又、フィルターを湾曲状に構成し、その中央部分に管状の紫外線発生装置を配置すれば、紫外線の照射強度が強い湾曲部分に、より多くの流体が誘導されて通過・移動するために、同部分での光触媒効果が大きくなり、汚染物質の分解も効率的に行われる。
さらに、フィルターは本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置されているために、本体から全く清浄化されていない流体が吐出される割合は極めて低く、例えば清浄化すべき空間の清浄化を能率よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の第1の実施例について図1〜図2を参照して説明する。同図において、1は一方から他方に向けて流体、例えば空気などの気体が移動可能なるように構成された筒状の本体であって、図示例はステンレスなどの金属部材にて円筒状に構成されている。尚、本体1の内面には酸化チタンなどの光触媒が層状に被着されているが、省略することも可能である。本体1の一方の端部1aには、例えば清浄化するための室内空間の気体を導入するために複数の開口状の導入部2が形成されており、他方の端部1bには導入部2から導入された気体を室内空間に再び放出する吐出部3が形成されている。尚、本体1は金属部材の他、樹脂,陶器などにて構成することもできる。
上述した本体1における一方の端部1aの内部には、例えば気体の通過孔(図示せず)を有するほぼ円板状のホルダー4が固定されている。このホルダー4の中央部分にはファン5が固定されており、室内空間の気体はファン5の駆動により導入部2を介して本体1の内部に導入される。
【0015】
本体1の内部には、例えば湾曲状に構成された複数のフィルター6,6・・・が、その周縁部が本体内面にほぼ密着するように配置されている。このフィルター6は、図2に示すように、例えば中央部分に支持孔7A,7Aを有し、かつ全体的に気体の通過性を有する湾曲状の保持部材7,7と、保持部材7,7の間に保持された粒状(例えば直径が0.5〜5mm、好ましくは2mm程度)の光触媒シリカゲル8と、保持部材7,7の周縁開口部及び支持孔7A,7Aの周縁開口部を封止(閉塞)する第1,第2の封止部材9,10と、保持部材7,7の外周縁部分に装着された弾力性を有する断面がほぼC字状の支持部材11とから構成されている。かかるフィルター6は本体1の内部に、支持部材11が本体内面にほぼ密着するように配置されており、本体1の内部に導入された気体はそれぞれのフィルター6を通過して吐出部3から室内空間に吐出される。
尚、フィルター6において、保持部材7は、例えば10〜100メッシュ、好ましくは30メッシュ程度の金属メッシュが好適するが、後述する紫外線発生装置からの紫外線によって劣化しないもの、或いは紫外線劣化対策されているものであれば、樹脂なども使用しうる。又、保持部材7による光触媒シリカゲル8の保持機能(流体の通過孔)は光触媒シリカゲル8の大きさに応じてほぼ決定される。
上述のように、フィルター6に保持されている粒状の光触媒シリカゲル8は紫外線に対する透過性を有する粒状のシリカゲルと二酸化チタンの粉末とを混合し、例えば600〜1000℃の高温で焼成することによって製造される。完成状態において、光触媒シリカゲル8は粒状のシリカゲルの表層部分に高濃度の二酸化チタンが含まれると共に、内部にも含まれる傾斜材料に構成されている。シリカゲルは多孔質で大きな比表面積を有しており、吸着作用もあるために、気体に含まれる汚染物質を吸着・捕捉させることができる。
又、本体1の内部には紫外線発生装置20が、フィルター6に紫外線を照射するように配置されている。図示例では紫外線発生装置20は、例えば380nm付近の紫外線を放射する直管状の紫外線ランプであって、それぞれのフィルター6の支持孔7Aを貫通して本体1の軸線に沿うように配置・固定されている。
【0016】
次に、本発明にかかる流体清浄装置の動作について説明する。まず、図1〜図2に示す本発明装置を、例えば空気の清浄化が必要な室内空間に直立した状態で配置する。次に、図示しない電源スイッチをオン状態にすると、ファン5は回転・駆動されると共に、紫外線ランプ(紫外線発生装置)20は点灯し、380nm付近の紫外線が放射される。ファン5の駆動によって室内空間の汚染された空気は本体1の一方の端部(下部)1aに形成された導入部2から本体内に図示矢印のように導入され、複数のフィルター6を通過し吐出部3から再び室内空間に吐出される。尚、本体内の空気の移動流量は、例えば最大で1分当たり1立方メートル程度が望ましいが、室内環境などに応じて適宜に増減できる。導入された空気がフィルター6を通過する際に、光触媒シリカゲル8のシリカゲルに空気中の汚染物質が吸着・捕捉される。
一方、紫外線ランプ20は点灯によって紫外線が本体内に放射されるために、フィルター6における光触媒シリカゲル8にも照射される。紫外線が光触媒シリカゲル8の二酸化チタンに照射されると、光触媒反応によって生じたOHラジカルやスーパーオキサイドアニオンなどの活性酸素種が、シリカゲルに吸着・捕捉されている汚染物質を分解する。
【0017】
特に、フィルター6は本体内に、図示のように湾曲凹部6Aが導入空気の導入側となるように配置されている関係で、導入空気がフィルター6を通過する際の挙動は紫外線ランプ20に近い湾曲部分の通過量が多く、本体1の内面に近い周辺部分ほど通過量が少なくなるという分布を呈する。一般に、紫外線ランプ20からの紫外線強度は距離の2乗に反比例することから、紫外線ランプ20の位置する中央部分のフィルター6には強度の強い紫外線が照射されることになり、効率的な光触媒反応が生ずる。
しかも、光触媒シリカゲル8の構成要素たるシリカゲルは紫外線の透過性を有することから、紫外線が透過する際に、シリカゲルの内部にも傾斜存在する二酸化チタンにも照射される。このために、シリカゲルの表層部分のみならず内部の多孔部でも光触媒反応が生じる結果、優れた光触媒効果が得られる。
従って、フィルター6の紫外線ランプ20に近い部分での導入空気の通過量が多いことから、同部分の光触媒シリカゲル8に捕捉される汚染物質も増加することになり、望ましい光触媒効果が得られ、汚染物質の分解も促進される。
そして、フィルター6が多段に配置されていることから、仮に第1段のフィルター6で汚染物質の捕捉が不十分であっても第2段,第3段・・などのフィルター6で吸着・捕捉され、それぞれのフィルター6にて光触媒反応によって適切に分解・除去される。その結果、本体の吐出部3からは清浄化された空気が室内空間に吐出される。以下、この動作を繰り返すことによって室内空間の汚れた空気は徐々に清浄化される。
尚、光触媒反応は、光触媒シリカゲル8に吸着された物質にのみ作用するものではなく、フィルター中を移動する空気に含まれる汚染物質に対しても作用するものである。
【0018】
次に、本発明者は、上述の本発明装置を用いてホルムアルデヒドに対する清浄効果についての確認実験を行った。
まず、直径が600mm,高さが600mmの有底筒状のステンレスケース(本体1に相当)に図1に示す本発明装置を直立した状態で配置し、ケースの開口部を蓋にて密閉する。次に、ケース内に汚染物質として37%溶液のホルムアルデヒドを0.06ml混入し、ケース内を揮発性有機化合物の毒性指標としての室内濃度指針値0.3ppmに設定する。そして、本発明装置を動作させることによって混合されたホルムアルデヒドが20時間後にどの程度にまで減少するかを測定する。尚、測定には新コスモス電機株式会社製のXP−3293なる「匂いセンサ」を使用した。又、本発明装置のフィルターは5層と2層の二種類を用い、5層の場合のみ吐出部にもファンを増設した(後述する図6の構成を参照)。さらに、ファンはスタイル電子製のDCモータVFA−8018−BH10を用いた。
実験の結果は、図13に示す。尚、図の数値は、本発明装置の動作前の状態を100%とした相対値で示してある。又、比較のために、図14に示す清浄装置(フィルターは2層)を従来例とした。
同図より明らかなように、図1に示す構成の本発明装置(シングルファン)では20時間連続稼動後にホルムアルデヒドが初期値の55%まで減少しており、後述する図6に示す構成の本発明装置(ダブルファン)では47%までも減少しているのに対し、従来例では73%までしか減少しておらず、本発明装置が優れた清浄効果を呈することを示している。
尚、アセトアルデヒド,アンモニア,ニコチンなどの汚染物質についても光触媒作用によって清浄効果を呈することを別の実験により確認している。
【0019】
次に、本発明にかかるフィルターの第1の製造方法について図3を参照して説明する。
まず、同図(a)に示すように、中央部分に紫外線ランプ20の支持孔7Aを有する湾曲状でメッシュよりなる一方の保持部材7を水平に位置させる。次に、この保持部材7の支持孔7Aの周縁部分にリング状の第1の封止部材9を、外周縁部分に一部に切り欠き部Pを有するほぼリング状の第2の封止部材10をそれぞれ配置する。
次に、同図(b)に示すように、中央部分に紫外線ランプ20の支持孔7Aを有する湾曲状でメッシュよりなる他方の保持部材7を重ね合わせると共に、それぞれの保持部材7,7と第1,第2の封止部材9,10とを固定する。
次に、同図(c)に示すように、第2の封止部材10の欠落部(切り欠き部)Pから内部空間に粒状の光触媒シリカゲル8を充填する。充填後、欠落部Pを第2の封止部材10と同一の封止部材にて封止・閉塞することによりフィルター6が完成する。
尚、このフィルター6の外周縁部に図2に示すように弾力性を有する支持部材11を装着することもできる。又、それぞれの保持部材7には平坦なものを用い、光触媒シリカゲル8の充填後に、プレス加工により湾曲状に形成することもできる。
【0020】
次に、本発明にかかるフィルターの第2の製造方法について図4を参照して説明する。
まず、予め湾曲状に構成された一方の保持部材7を水平に位置させ、支持孔7Aの周縁部分に及び外周縁部分にリング状の第1,第2の封止部材9,10を配置する。次に、保持部材7と第1,第2の封止部材9,10とによって形成された空間に粒状の光触媒シリカゲル8を、ほぼ同じような厚みとなるように配置する。次に、この上に、予め湾曲状に構成された他方の保持部材7を配置し、それぞれの保持部材7と第1,第2の封止部材9,10を固定することによりフィルター6が完成する。
尚、予め一方の保持部材7と第1,第2の封止部材9,10を固定しておくことが望ましい。
【0021】
次に、本発明にかかるフィルターの第3の製造方法について図5 を参照して説明する。
まず、支持孔7Aを有する一対の保持部材7,7を重ね合わせ、支持孔7Aの内周縁部分7aを溶接12によって固定すると共に、一部Pを除いて外周縁部分7bを溶接12によって固定する。次に、未溶接部Pを開口して粒状の光触媒シリカゲル8を内部空間に、ほぼ同じ厚みとなるように充填する。充填後、未溶接部(注入部)Pを溶接することによりフィルター6が完成する。
尚、保持部材7,7は、予め湾曲状に構成されたものを利用する他、光触媒シリカゲル8の注入後にプレス加工によって所望の曲率の湾曲状に成形することもできる。又、保持部材7,7の外周縁部分にリング状の金属板を介在させて固定することもできる。この構成によれば、金属板の介在によってフィルターを通過する流体の流量分布を、中央部分がより多くなるようにすることもできる。
【0022】
次に、本発明にかかる清浄装置の第2の実施例について図6を参照して説明する。
この実施例の基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じであり、異なる点は、本体1の他方の端部1bにホルダー4を固定し、このホルダー4に流体(例えば空気)の吐出を補助するためのファン5Aを配置したことである。
この実施例によれば、室内空間の空気はファン5によって導入部2を介して本体1の内部に導入され、導入された空気はファン5の駆動によって圧送されると同時に、ファン5Aによる強制的な吸い出し作用との相乗効果によって吐出部3から室内空間に効率よく吐出される。
このために、空気中の汚染物質はそれぞれのフィルター6への吸着・捕捉が促進されると同時に、紫外線ランプ20からの紫外線による光触媒反応によって分解が促進され、室内空間の清浄化が確実に行われる。
【0023】
図7は本発明にかかる清浄装置の第3の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、それぞれのフィルター6を、本体1の内面に固定された支持具13に載置・支持するように構成したことである。尚、支持具13は断面がほぼL形のリング状に構成されており、本体1にネジ止め,溶接などによって固定されているが、L形部材を複数個所に分散・固定して代用することもできる。
この実施例によれば、フィルター6を本体1の所望部分に正確に支持できる上、振動などによる位置ずれも防止できる。
【0024】
図8は本発明にかかる清浄装置の第4の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、それぞれのフィルター6における湾曲凹部6Aの前面側(空気の導入側)に副フィルター14を、フィルター6に対して離隔して逆向きに配置したことと、副フィルター14の湾曲凸部側における本体1の内面部分に紫外線発生装置20Aを配置したことである。尚、紫外線発生装置20Aは管径の小さな紫外線ランプや紫外線を放射する発光ダイオードなどが好適するが、これらに限定されない。
この副フィルター14はフィルター6と同じ大きさで、かつ逆方向に湾曲した形状に構成されており、フィルター6とほぼ同一構造に構成することが望ましいが、フィルター6より小さく構成することもできる。又、副フィルター14は流体の通過性を有しない金属板などによって構成することもできるが、この場合はフィルター6より小径にする必要がある。
この実施例によれば、本体内に導入された汚染物質を含む空気は副フィルター14によって、紫外線発生装置20Aからの紫外線強度の強い副フィルター14の外周部分により多くの空気が誘導されるために、副フィルター14との接触する機会が増加する。さらに、副フィルター14を通過した空気はフィルター6との接触機会を増やしながら、その多くが紫外線ランプ20からの紫外線強度の強い湾曲凹部6Aに誘導される。このために、導入された空気は紫外線ランプ20及び紫外線発生装置20Aに近いフィルター部分でより多くの空気が通過するために、光触媒シリカゲル8に汚染物質の吸着・捕捉が促進され易くなる。従って、光触媒反応による分解も促進されることになり、室内空間の清浄化も効率よく行われる。
【0025】
図9は本発明にかかる清浄装置の第5の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、紫外線発生装置としての紫外線ランプ20を、380nm付近の紫外線を放射する発光ダイオード15に変更し、本体1の内壁部分に配列したことと、フィルター6を本体内部に、それの湾曲凹部6Aが吐出部3側となるように配置したことと、フィルター6の中央部分に空気の通過を抑制する抑制部16を設けたことである。
特に、発光ダイオード15は、図示のように、フィルター6の湾曲凸部側(湾曲凹部6Aの反対側で空気の導入側)における本体1の内壁部分に、それぞれの発光ダイオード15から放射される紫外線がフィルター6に照射されるように配置されている。
尚、フィルター6の本体1への支持は、例えば図7に示すような支持具13を利用することもできるし、その他の支持手段を採用することもできる。
この実施例によれば、本体1に複数の発光ダイオード15を、放射される紫外線がフィルター6に効率よく照射されるように配置することができるために、光触媒効果を充分に高めることができる。
又、フィルター6は、その湾曲凹部6Aが吐出部側となるように配置されていることから、空気の通過量は紫外線の照射強度の強いフィルター周辺部分が多くなり、一層の光触媒効果が期待できる。
尚、この実施例において、発光ダイオード15に代えて紫外線ランプ20を本体1の中央部分に図1と同様に配置することもできる。又、図8に示す副フィルター14を併設することもできる。
【0026】
図10は本発明にかかる清浄装置の第6の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、ファン5が省略されていることと、紫外線ランプ20の上下部分が、本体1に固定されたホルダー4,4に支持されていることである。
この実施例の清浄装置は主として水道など流体の清浄化に適用されるもので、例えば水道管などの内部に配置して使用される。尚、紫外線ランプ20は防水構造に構成されている。
本体1の一方の開口部(導入部)2から圧送・導入された水などの流体はそれぞれのフィルター6を通過して他方の開口部(吐出部)3から吐出される。流体がフィルター6を通過する際に、流体に含まれている汚染物質は光触媒シリカゲル8に吸着・捕捉され、光触媒反応によって分解され、清浄化された流体が吐出部3から吐出される。
特に、フィルター6は湾曲凹部6Aが流体の導入側になるように配置されている関係で、流体は紫外線強度の強い湾曲凹部6Aの付近でより多く通過することから、より望ましい光触媒効果が得られる。
【0027】
図11は本発明にかかる清浄装置の第7の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、フィルター6の外周部分(本体1に隣接する部分)に流体の通過を抑制する抑制部17を設けたことである。
この抑制部17は、例えば金属板にてほぼリング状に形成されており、フィルター6の外周部分の内部に配置して構成されているが、フィルター6の外側に金属リングを溶接などにより固定したり、フィルター6の外周部分における保持部材を金属リングに置き換えたりすることもできる。
この実施例によれば、本体内に導入された流体は抑制部17の存在により、紫外線強度の強いフィルター6の湾曲凹部6Aにより多くが誘導されるために、より望ましい光触媒効果が得られる。
【0028】
図12は本発明にかかる清浄装置の第8の実施例を説明するものであって、基本的な構成は図1〜図2に示す実施例と同じである。異なる点は、本体1を四角筒状に構成し、その内部に角形でギザギザ状に湾曲させたフィルター6を、フィルター6を介して流体が移動するように配置したことと、フィルター6の湾曲凹部6Aに紫外線発生装置、例えば紫外線ランプ20を、本体1の軸方向に対してほぼ直角に配置したことである。
この実施例によれば、本体内を移動する流体は、紫外線強度の強いフィルター6の湾曲凹部6Aにより多くが誘導されるために、同部分に吸着・捕捉された汚染物質を光触媒反応によって効果的に分解できる。
特に、同図において、点線で示すように逆形態のフィルターを適宜に配置すれば、より一層の清浄効果を期待することができる。
【0029】
尚、本発明は何ら上記実施例にのみ制約されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜に変更することが可能である。例えばフィルターは湾曲状に構成することが望ましいが、平坦状に構成することもできるし、本体内に配置するフィルター数も適宜に増減できる。又、湾曲状,平坦状などのフィルターを適宜に組み合わせて配置したり、湾曲状のフィルターを、湾曲凹部の方向を同一方向に統一することなく、ランダムに配置したりすることもできる。又、フィルターの本体への支持は本体内を移動するほぼすべての流体がフィルターを介して移動するような構造であれば、弾性的な接触支持や支持金具などによる支持構造に限定されない。又、本体は円筒状が望ましいが、角筒状など適宜の形状に設定できる。さらに、紫外線発生装置は光触媒反応を生じさせるものであれば、紫外線ランプ,発光ダイオードなどに限定されないし、特に紫外線ランプを適用する場合、複数本を利用したり、本体の中央部分以外の部分に配置したりすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施例を示す側断面図である。
【図2】図1に示すフィルターの拡大断面図である。
【図3】本発明にかかるフィルターの第1の製造方法を説明するための図であって、同図(a)は平面図、同図(b)は側断面図、同図(c)は光触媒シリカゲルを充填する開口部分の状態を示す要部断面図である。
【図4】本発明にかかるフィルターの第2の製造方法を説明するための図である。
【図5】本発明にかかるフィルターの第3の製造方法を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施例を示す側断面図である。
【図7】本発明の第3の実施例を示す要部の側断面図である。
【図8】本発明の第4の実施例を示す要部の側断面図である。
【図9】本発明の第5の実施例を示す要部の側断面図である。
【図10】本発明の第6の実施例を示す側断面図である。
【図11】本発明の第7の実施例を示す要部の側断面図である。
【図12】本発明の第8の実施例を示す要部の側断面図である。
【図13】本発明装置による清浄効果の実験結果を示す図である。
【図14】従来例を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 本体
1a 一方の端部
1b 他方の端部
2 導入部(開口部)
3 吐出部
4 ホルダー
5 ファン
5A ファン
6 フィルター
6A 湾曲凹部
7 保持部材
7A 支持孔
8 光触媒シリカゲル
9 第1の封止部材
10 第2の封止部材
11 支持部材
12 溶接部
13 支持具
14 副フィルター
15 発光ダイオード
16 抑制部
17 抑制部
20 紫外線発生装置
20A 紫外線発生装置
P 欠落部(注入部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体の内部に配置した紫外線発生装置とを具備し、前記フィルターは流体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置したことを特徴とする流体清浄装置。
【請求項2】
流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体の内部に配置した紫外線発生装置と、本体の一方及び/又は他方に、流体を本体の一方から導入し、他方から吐出するように配置したファンとを具備し、前記フィルターは流体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置したことを特徴とする流体清浄装置。
【請求項3】
前記フィルターは流体の通過可能な保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持し、湾曲状に構成したことを特徴とする請求項1,2に記載の流体清浄装置。
【請求項4】
前記フィルターの保持部材は粒状の光触媒シリカゲルの保持機能を有し、かつ流体の通過孔を有するメッシュ,パンチングメタルなどにて構成したことを特徴とする請求項3に記載の流体清浄装置。
【請求項5】
前記フィルターは流体の通過孔を有する一対の保持部材の間に粒状の光触媒シリカゲルを収容し周縁部分を封止して構成したことを特徴とする請求項3,4に記載の流体清浄装置。
【請求項6】
前記紫外線発生装置は、光触媒作用を呈する領域、例えば380nm近辺の紫外線を放射する紫外線ランプであり、本体のほぼ中央部分にフィルターを貫通するように配置したことを特徴とする請求項1〜5に記載の流体清浄装置。
【請求項7】
前記紫外線発生装置は、光触媒作用を呈する領域、例えば380nm近辺の紫外線を放射する複数の発光ダイオードであり、本体の内部に、フィルターに紫外線が照射されるように配置したことを特徴とする請求項1〜5に記載の流体清浄装置。
【請求項8】
前記フィルターの前面側(流体のフィルターへの導入側)には流体の流れを乱す副フィルターを離隔して配置したことを特徴とする請求項1〜7に記載の流体清浄装置。
【請求項9】
気体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体のほぼ中央部分にフィルターを貫通するように配置した紫外線ランプと、本体の一方及び/又は他方に、気体を本体の一方から導入し、他方から吐出するように配置したファンとを具備し、前記フィルターは気体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、気体が実質的にフィルターを介して移動するように配置し、かつ本体の一方の側壁に気体の導入用の開口部を形成したことを特徴とする流体清浄装置。
【請求項10】
前記フィルターはそれの湾曲凹部が気体の導入側となるように配置されていることを特徴とする請求項9に記載の流体清浄装置。
【請求項11】
前記フィルターの湾曲凹部側から離隔した部分には気体の流れを乱す副フィルターを配置したことを特徴とする請求項9,10に記載の流体清浄装置。
【請求項12】
前記本体の内面に光触媒の層を形成したことを特徴とする請求項1〜11に記載の流体清浄装置。
【請求項1】
流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体の内部に配置した紫外線発生装置とを具備し、前記フィルターは流体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置したことを特徴とする流体清浄装置。
【請求項2】
流体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体の内部に配置した紫外線発生装置と、本体の一方及び/又は他方に、流体を本体の一方から導入し、他方から吐出するように配置したファンとを具備し、前記フィルターは流体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、流体が実質的にフィルターを介して移動するように配置したことを特徴とする流体清浄装置。
【請求項3】
前記フィルターは流体の通過可能な保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持し、湾曲状に構成したことを特徴とする請求項1,2に記載の流体清浄装置。
【請求項4】
前記フィルターの保持部材は粒状の光触媒シリカゲルの保持機能を有し、かつ流体の通過孔を有するメッシュ,パンチングメタルなどにて構成したことを特徴とする請求項3に記載の流体清浄装置。
【請求項5】
前記フィルターは流体の通過孔を有する一対の保持部材の間に粒状の光触媒シリカゲルを収容し周縁部分を封止して構成したことを特徴とする請求項3,4に記載の流体清浄装置。
【請求項6】
前記紫外線発生装置は、光触媒作用を呈する領域、例えば380nm近辺の紫外線を放射する紫外線ランプであり、本体のほぼ中央部分にフィルターを貫通するように配置したことを特徴とする請求項1〜5に記載の流体清浄装置。
【請求項7】
前記紫外線発生装置は、光触媒作用を呈する領域、例えば380nm近辺の紫外線を放射する複数の発光ダイオードであり、本体の内部に、フィルターに紫外線が照射されるように配置したことを特徴とする請求項1〜5に記載の流体清浄装置。
【請求項8】
前記フィルターの前面側(流体のフィルターへの導入側)には流体の流れを乱す副フィルターを離隔して配置したことを特徴とする請求項1〜7に記載の流体清浄装置。
【請求項9】
気体が一方から他方に向けて流動可能な筒状の本体と、本体の内部に配置したフィルターと、本体のほぼ中央部分にフィルターを貫通するように配置した紫外線ランプと、本体の一方及び/又は他方に、気体を本体の一方から導入し、他方から吐出するように配置したファンとを具備し、前記フィルターは気体の通過可能なる保持部材にて粒状の光触媒シリカゲルを保持して構成し、本体の内部に、気体が実質的にフィルターを介して移動するように配置し、かつ本体の一方の側壁に気体の導入用の開口部を形成したことを特徴とする流体清浄装置。
【請求項10】
前記フィルターはそれの湾曲凹部が気体の導入側となるように配置されていることを特徴とする請求項9に記載の流体清浄装置。
【請求項11】
前記フィルターの湾曲凹部側から離隔した部分には気体の流れを乱す副フィルターを配置したことを特徴とする請求項9,10に記載の流体清浄装置。
【請求項12】
前記本体の内面に光触媒の層を形成したことを特徴とする請求項1〜11に記載の流体清浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−69101(P2007−69101A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257597(P2005−257597)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(300074101)株式会社イマック (27)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(300074101)株式会社イマック (27)
【Fターム(参考)】
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