流体磁気処理装置及び磁石ユニット
【課題】製造コストが安価であり、しかも、磁気処理効果が高い流体磁気処理装置を提供する。
【解決手段】前面が正方形状の直方体状をなす磁石5をロ字形状に配列することにより、ハルバッハ型磁気回路を構成する磁石ユニットMが、複数個、前後方向に並設され、最前の磁石ユニットM1から数えてN番目の磁石ユニットMは、最前の前記磁石ユニットM1を、時計回りに90°×(N−1)だけ回転させたものと同じとされ、流路配置部3に流路が設けられている流体磁気処理装置1。
【解決手段】前面が正方形状の直方体状をなす磁石5をロ字形状に配列することにより、ハルバッハ型磁気回路を構成する磁石ユニットMが、複数個、前後方向に並設され、最前の磁石ユニットM1から数えてN番目の磁石ユニットMは、最前の前記磁石ユニットM1を、時計回りに90°×(N−1)だけ回転させたものと同じとされ、流路配置部3に流路が設けられている流体磁気処理装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水等の液体が流れる管の内壁面の腐食防止やスケール付着防止、液体の質向上等のために、また、空気等気体の活性化等のために、流体を磁気処理する流体磁気処理装置、及び、そのような流体磁気処理装置に用いられる磁石ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を磁気処理して、液体を活性化する液体磁気処理装置は、種々知られている。例えば、特許文献1記載の水処理装置は、磁石と金属板材を積層した積層柱を、横方向に隣接する磁石同士が異極になるように複数個並立させて、筒状ケーシングに組み込み、複数の異極磁石及び板材間に水を通過させることによって、水を繰り返し磁石の極間を直角に横切ることとして、水の磁気処理効果を高め得るようにしている。
【0003】
また、特許文献2記載の水処理装置は、磁性体からなるヨークで磁石を覆うことにより、磁力線の外部への漏洩を防止し、磁力線を水が流れるパイプに集中させている。
【0004】
また、液体だけではなく、空気を磁気処理して活性化させる装置も知られている。例えば、特許文献4記載の焼却炉は、対向した磁石の間の磁力線中に空気を通すことによって、空気中の酸素等を活性化して、乾留状態の有機物を燃焼させることなく化学反応によって熱分解させる装置である。
【0005】
また、特許文献5記載の有機物分解装置は、磁場発生器で発生した磁場を処理室内に導入することにより、処理室内の有機廃棄物を効率的に分解しようとするものである。
【0006】
また、液体磁気処理装置を含む流体磁気処理装置では、できるだけ均一な高磁界の中に液体を通すことが望ましく、かかる高磁界が得られる磁気回路としては、下記特許文献3に記載されているハルバッハ(Halbach)型磁気回路がある。この磁気回路は、複数個の直方体状永久磁石を磁極の方向を変化させてロ字形状に組み合わせたもので、磁石の残留密度以上の磁束密度を持ち比較的平行性の良い磁界を、得ることができる。ハルバッハ型磁気回路については、下記非特許文献1にも記載されている。
【特許文献1】特許2909891号公報
【特許文献2】特許3269774号公報
【特許文献3】特開平11−265819号公報
【特許文献4】特開2001−304520号公報
【特許文献5】特開2006−150295号公報
【非特許文献1】岩下芳久,外1名,「加速器科学の最先端と磁気物理・磁気材料」,日本応用磁気学会誌,2002年,第26巻,第3号,p.118‐127
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1記載の水処理装置は、組立工程が複雑であるため、製造コストが高いという問題があった。また、上記特許文献2記載の磁気水処置装置は、パイプ中を流れる水は一方向からのみ磁力を受けるため、磁気処理効果が劣るという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献4の焼却炉の空気活性化に使用された磁石ユニットは、同極又は異極磁石の単なる対向配置の構造のため、酸素等の活性化に対する磁石の全磁力線の効果が十分とは言えなかった。さらに、上記特許文献5の有機物分解装置にも、同様の問題があった。
【0009】
この発明は、上述した問題を解決するものであり、製造コストが安価であり、しかも、磁気処理効果が高い流体磁気処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の流体磁気処理装置は、前面が正方形状であって前記前面の一辺に沿う方向を着磁方向とする直方体状の永久磁石が、複数個、前記前面が面一をなすようにロ字形状に配列され、前記ロ字形状の配列の4つの隅角部には、それぞれ、1個の前記磁石が配置され、前記ロ字形状の配列の前記隅角部と前記隅角部との間の4つの中間部には、それぞれ、1個以上の前記磁石が同数ずつ配置されて、前記磁石に囲まれた正面視において正方形状をなす中央部分が流路配置部とされた磁石ユニットを備え、4つの前記隅角部を、正面視において、任意の前記隅角部から時計回りに、第1の隅角部、第2の隅角部、第3の隅角部、第4の隅角部とし、前記第1の隅角部と前記第2の隅角部との間の前記中間部を第1の中間部、前記第2の隅角部と前記第3の隅角部との間の前記中間部を第2の中間部、前記第3の隅角部と前記第4の隅角部との間の前記中間部を第3の中間部、前記第4の隅角部と前記第1の隅角部との間の前記中間部を第4の中間部とし、前記第1の隅角部の前記磁石の正面視における着磁方向を第1の方向としたときに、正面視において、前記第1の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向であり、前記第2の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向であり、前記第2の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向であり、前記第3の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向であり、前記第3の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向であり、前記第4の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向であり、前記第4の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第4の方向であり、複数個の前記磁石ユニットが、前記各磁石ユニットの前記流路配置部が正面視において一致するように、前後方向に並設され、前記並設された複数個の前記磁石ユニットにおける最前の前記磁石ユニットから数えてN番目の前記磁石ユニットは、最前の前記磁石ユニットを、前記流路配置部の中心軸を中心として、時計回りに(360°より小さい所定角度)×(N−1)だけ回転させたものと同じとされ、前記並設された複数個の前記磁石ユニットの前記流路配置部に、流体の流路が設けられていることを特徴とする。
【0011】
なお、磁石ユニットを並設するときに正面視において正方形状の流路配置部を一致させることから、360°より小さい所定角度とは、90°、180°、270°のいずれかとなる。
【0012】
但し、前記所定角度は90°、または、270°のいずれかであることが好ましい。
【0013】
また、前記流路配置部に、流体が流れる管が、前記管の中心軸を前記流路配置部の前記中心軸に一致させて、挿通されていることとしてもよい。
【0014】
そして、かかる場合、前記管が断面円形状であり、前記流路配置部に、前記管が挿通される断面円形状の挿通孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、着磁方向が前記流路配置部に向かう前記中間部(以下、「入力側中間部」という。)と、前記挿通孔との間に、形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記入力側中間部に対向する前記中間部(以下、「出力側中間部」という。)と、前記挿通孔との間に、形成され、前記第1の磁束誘導部は、前記流路配置部の前記中心軸に直交する面(以下、「軸直交面」という。)で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることが好ましい。
【0015】
さらに、前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなしていることが好ましい。
【0016】
さらに、前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記管の内径に一致していることが好ましい。
【0017】
また、前記管が断面正方形状であり、前記流路配置部に、前記管が挿通される断面正方形状の挿通孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第1の磁束誘導部と前記挿通孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第2の磁束誘導部と前記挿通孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることとしてもよい。
【0018】
また、前記流路配置部に、前記流路を形成する断面円形状の流路孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記流路孔との間に形成され、前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記流路孔との間に形成され、前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記流路孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記流路孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることとしてもよい。
【0019】
そして、かかる場合、前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記流路孔の内径に一致していることが好ましい。
【0020】
また、前記流路配置部に、前記流路を形成する断面正方形状の流路孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記流路孔との間に形成され、前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記流路孔との間に形成され、前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第1の磁束誘導部と前記流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第2の磁束誘導部と前記流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることとしてもよい。
【0021】
本発明の磁石ユニットは、前面が正方形状であって前記前面の一辺に沿う方向を着磁方向とする直方体状の永久磁石が、複数個、前記前面が面一をなすようにロ字形状に配列され、前記ロ字形状の配列の4つの隅角部には、それぞれ、1個の前記磁石が配置され、前記ロ字形状の配列の前記隅角部と前記隅角部との間の4つの中間部には、それぞれ、複数個の前記磁石が同数ずつ配置され、前記磁石に囲まれた正面視において正方形状をなす中央部分が、流路配置部とされ、前記流路配置部に、流体が流れる管が挿通される挿通孔が、その中心軸を前記流路配置部の中心軸に一致させて形成され、4つの前記隅角部を、正面視において、任意の前記隅角部から時計回りに、第1の隅角部、第2の隅角部、第3の隅角部、第4の隅角部とし、前記第1の隅角部と前記第2の隅角部との間の前記中間部を第1の中間部、前記第2の隅角部と前記第3の隅角部との間の前記中間部を第2の中間部、前記第3の隅角部と前記第4の隅角部との間の前記中間部を第3の中間部、前記第4の隅角部と前記第1の隅角部との間の前記中間部を第4の中間部とし、前記第1の隅角部の前記磁石の正面視における着磁方向を第1の方向としたときに、正面視において、前記第1の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向であり、前記第2の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向であり、前記第2の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向であり、前記第3の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向であり、前記第3の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向であり、前記第4の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向であり、前記第4の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第4の方向であり、入力側中間部と出力側中間部とを除く2つの前記中間部の互いに隣接する前記磁石を分離するとともに、前記挿通孔を軸方向に沿って2等分するような分割面で、2つの分割体に分割可能に構成されていることを特徴とする。
【0022】
ここで、前記管が断面円形状の場合には、前記挿通孔も断面円形状であって、前記流路配置部に、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、前記入力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記出力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることが好ましい。
【0023】
そして、前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなしていることが好ましい。
【0024】
さらに、前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記挿通孔に挿通される前記管の内径に一致していることが好ましい。
【0025】
なお、正方形状、直方体状、円形状、台形状等と言うときは、特に「略」と付けなくても、いずれも、略その形をなす場合を勿論含むものである。また、一致と言うときは、略一致する場合を含むものである。
【0026】
また、流体とは、気体及び液体のみならず気液混合体を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明の流体磁気処理装置は、ハルバッハ型磁気回路を用いた磁石ユニットの中を流体が流れるため、均一性の良い高磁界中で流体が磁気処理され、また、磁石ユニットを回転させつつ前後方向に並設しているため、流路内の磁束の方向が変化して、流体が複数の方向から磁力を受ける。このため、高い磁気処理効果が得られる。また、一方向に着磁された直方体状の磁石の組み合わせにより磁気回路部分が構成されるので、組立工程が簡単で製造コストが安価である。
【0028】
また、磁石ユニットを、時計回りに、90°ずつ、あるいは、270°ずつ回転させつつ前後方向に並設すれば、流路内の流体が種々の方向から磁力を受けることとなり、磁気処理効果がさらに高くなる。
【0029】
また、第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部とを設ければ、入力側中間部から第1の磁束誘導部を介して流路内に磁束が誘導され、流路内から第2の磁束誘導部を介して出力側中間部に磁束が誘導されるので、流路内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0030】
特に、挿通孔又は流路孔が断面円形状の場合には、第1の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ流路配置部と入力側中間部との境界から挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成し、第2の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ流路配置部と出力側中間部との境界から挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成すれば、挿通孔又は流路孔内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0031】
さらに、第1の磁束誘導部の断面が、流路配置部と入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔又は流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、第2の磁束誘導部の断面が、流路配置部と出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔又は流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなすように構成して、第1の磁束誘導部の第2の辺の長さと、第2の磁束誘導部の第2の辺の長さとを、いずれも管又は流路孔の内径に一致させれば、管内又は流路孔内に磁束をより集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0032】
また、挿通孔又は流路孔が断面正方形状の場合には、第1の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部と入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の磁束誘導部と挿通孔又は流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、第2の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部と出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第2の磁束誘導部と挿通孔又は流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなすように形成して、流路配置部の第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部以外の部分は、挿通孔又は流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とすれば、挿通孔又は流路孔内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0033】
本発明の磁石ユニットは、入力側中間部と出力側中間部とを除く2つの中間部の互いに隣接する磁石を分離するとともに、挿通孔を軸方向に沿って2等分するような分割面で、2つの分割体に分割可能に構成されているので、2つの分割体の間に管を挟んで、それらの分割体を互いに磁力で付けることにより、管を挿通した状態にでき、かかる磁石ユニットを順次回転させつつ並設すれば、既設の管を利用して、容易に、管内に回転磁場が形成された流体磁気処理装置を構成することができる。
【0034】
また、第1の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ流路配置部と入力側中間部との境界から挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成し、第2の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ流路配置部と出力側中間部との境界から挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成して、流路配置部の第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部以外の部分を、挿通孔を除いて非磁性体部とすれば、管内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0035】
さらに、第1の磁束誘導部の断面が、流路配置部と入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、第2の磁束誘導部の断面が、流路配置部と出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなすように構成して、第1の磁束誘導部の第2の辺の長さと、第2の磁束誘導部の第2の辺の長さとを、いずれも管の内径に一致させれば、管内に磁束をより集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
I. 以下、本発明の流体磁気処理装置の一実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態の流体磁気処理装置は、液体を磁気処理する液体磁気処理装置1(以下、「装置1」と略す。)として構成されている。図1は、装置1の斜視図であり、図2は、図1のII-II部位断面図である。
【0037】
図1に示すように、装置1は、前後方向に並設された4個の磁石ユニットMを備えている。なお、磁石ユニットMを区別するときは、最前のものから順に、M1、M2、M3、M4と符号を付ける。
【0038】
磁石ユニットMは、12個の永久磁石5を備えている。磁石5は、前面が正方形状の直方体状に形成されたプラスチック磁石(本実施形態では、ネオジウム粉末体と合成樹脂等を混合し成型したもの)であり、図2に示すように、前面の一辺に沿う方向が着磁方向とされている。図2では、白抜き矢印で着磁方向を示している。
【0039】
磁石ユニットMには、かかる磁石5が、12個、前面が面一をなすようにロ字形状に配列されている。隣接する磁石5同士は、接着剤等で、互いに固着される。
【0040】
詳しくは、磁石5のロ字形状の配列における4つの隅角部11、12、13、14には、それぞれ、1個の磁石5が配置されている。また、隅角部11、12の間の中間部21、隅角部12、13の間の中間部22、隅角部13、14の間の中間部23、隅角部14、11の間の中間部24には、それぞれ、2個の磁石5が配置されている。なお、正面視(図1のA矢視)において、隅角部11、12、13、14は、この順に時計回りに配置されている。
【0041】
そして、正面視において、隅角部11の着磁方向を第1の方向としたときに、中間部21の磁石5の着磁方向は、第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向とされ、隅角部12の磁石5の着磁方向は、第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向とされ、中間部22の磁石5の着磁方向は、第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向とされ、隅角部13の磁石5の着磁方向は、第1の方向とされ、中間部23の磁石5の着磁方向は、第2の方向とされ、隅角部14の磁石5の着磁方向は、第3の方向とされ、中間部24の磁石5の着磁方向は、第4の方向とされている。
【0042】
すなわち、磁石ユニットMは、ハルバッハ型磁気回路を構成している。
【0043】
磁石ユニットMの磁石5に囲まれた中央部分は、流路配置部3とされている。本実施形態では、流路配置部3には管6が配置されるので、流路配置部3を管配置部3と言う。管配置部3は、正面視において正方形状をなしている。管配置部3には、液体が流れる管6が挿通される挿通孔7が、その中心軸を管配置部3の中心軸X(図1中、2点鎖線で示す。)に一致させて形成されている。
【0044】
また、管配置部3には、いずれも磁性体からなる磁束誘導部31、32が設けられている。磁束誘導部31は、着磁方向が管配置部3に向かう中間部(以下、「入力側中間部」ともいう。)21と、挿通孔7との間に形成されている。磁束誘導部32は、入力側中間部21に対向する中間部(以下、「出力側中間部」ともいう。)23と、挿通孔7との間に形成されている。
【0045】
磁束誘導部31は、軸直交面(すなわち、中心軸Xに直交する面)で切断したときの断面が、管配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔7に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な台形状をなしている。
【0046】
磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔7に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な台形状をなしている。
【0047】
磁束誘導部31の第2の辺の長さと、磁束誘導部32の第2の辺の長さとは、いずれも管6の内径に一致している。
【0048】
管配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、挿通孔7を除いて、合成樹脂等の非磁性体からなる非磁性体部33とされている。
【0049】
また、磁力線の外部への漏洩を防ぐため、磁石ユニットMには、磁石5のロ字形状の配列の周囲を覆うように、磁性体(本実施形態では鉄)からなる角筒状のヨーク8が設けられている。
【0050】
装置1には、かかる磁石ユニットMが、4個、各磁石ユニットMの管配置部3が正面視において一致するように、前後方向(すなわち、中心軸X方向)に並設されている。なお、前後の磁石ユニットMは、互いの影響を排除するための非磁性体(本実施形態では、合成樹脂)からなる板部材4を間に挟んで、互いに固着される。板部材4には、管配置部3の挿通孔7と同様の大きさの挿通孔が設けられており、挿通孔7と板部材4の挿通孔とが重なるように、板部材4は磁石ユニットMに重ね合わされる。
【0051】
そして、このように並設された磁石ユニットMの管配置部3の挿通孔7に、管6が、その中心軸を管配置部3の中心軸Xに一致させて、挿通されている。管6は、管6に沿って磁気が流れて管6内の磁束が減少することを防ぐため、合成樹脂(本実施形態では、塩化ビニール)等の非磁性体で形成されている。
【0052】
図3は、磁石ユニットM1、M2、M3、M4の各磁石5の着磁方向、及び、管6内の磁束の実質的な方向を、白抜き矢印で示すものである。図3から分かるように、磁石ユニットM2、M3、M4は、最前の磁石ユニットM1を、順次、時計回りに90°ずつ回転させたものと同じである。詳しくは、磁石ユニットM1から数えてN番目の磁石ユニットMは、磁石ユニットM1を、中心軸Xを中心として、時計回りに90°×(N−1)だけ回転させたものと同じである。
【0053】
このように、磁石ユニットMを、時計回りに90°ずつ回転させつつ、管6の軸方向に沿って並設することにより、管6内の磁束の方向が時計回りに90°ずつ変わっていくこととなり、管6内には、言わば回転磁場が形成されることとなる。
【0054】
以上のように構成された装置1は、図4に示すように、磁気処理しようとする液体が流れる管Pの途中に、アタッチメント9、9を介して取り付けられる。アタッチメント9は、管Pと管6とを連結するものである。なお、管6は、管Pよりも小径とされる。管6内における流速を速くして、活性化効率を高めるためである。
【0055】
このように装置1を管Pの途中に配置することにより、管Pを流れる液体は、管6内の磁場により磁気処理される。このとき、装置1は、ハルバッハ型磁気回路を用いているため、均一性の良い高磁界中で液体が磁気処理され、また、管6内に回転磁場が形成されているため、液体が種々の方向から磁力を受けることから、高い磁気処理効果が得られる。
【0056】
また、上記特許文献1記載の水処理装置は、水の通り道に磁石の構造物があるため、圧損が大きくなるという問題があるが、装置1では、流路である管6内に磁石等の構造物が配置されていないので、圧損を防止できる。
【0057】
また、各磁石5は、直方体状に形成して一方向にのみ着磁すればよいので、製作が容易であり、製造コストが安価である。そして、装置1は、一方向に着磁された直方体状の磁石5の組み合わせにより磁気回路部分が構成されるので、組立工程が簡単で製造コストが安価である。
【0058】
また、上記のような形状の磁束誘導部31、32により管6内に磁束が誘導されるので、管6内に磁束を集中でき、磁気処理効果を高めることができる。特に、磁束誘導部31の第2の辺の長さと、磁束誘導部32の第2の辺の長さとを、いずれも管6の内径に一致させれば、磁束の無駄が減少し、より管6内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0059】
以下、変形例について説明する。
【0060】
装置1では、磁石ユニットMを、時計回りに90°ずつ回転させつつ並設したが、時計回りに270°ずつ(すなわち、反時計回りに90°ずつ)回転させつつ並設することとしても、管6内に回転磁場が形成されるので、高い磁気処理効果が得られる。
【0061】
また、図5に示すように、磁石ユニットMを、時計回りに180°ずつ回転させつつ並設することしてもよい。すなわち、最前の磁石ユニットM1から数えてN番目の磁石ユニットMが、磁石ユニットM1を、中心軸Xを中心として、時計回りに180°×(N−1)だけ回転させたものと同じになるように構成してもよい。かかる構成としても、磁束の方向が変化するので、磁気処理効果が高くなる。但し、90°あるいは270°ずつ回転させた方が、回転磁場が形成されるので、より磁気処理効果を高めることができる。
【0062】
また、1つの磁石ユニットM中の磁石5の数も変更可能であり、例えば8個配列することとしてもよいし、12個より多く配列することとしてもよい。
【0063】
また、管6を流れる流体を空気等の気体とすれば、装置1を気体磁気処理装置とすることもできる。
【0064】
また、図8に示すように、磁束誘導部31の断面形状における第2の辺の両端角部31a、31b、及び、磁束誘導部32の断面形状における第2の辺の両端角部32a、32bのそれぞれに、R(アール)を付けてもよい。すなわち、角部31a、31b、32a、32bを、それぞれ、丸くしてもよい。角部31a等にアールを付けることにより、磁束誘導がスムーズになるからである。
【0065】
また、図9に示すように、磁束誘導部31の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺31c、31d、及び、磁束誘導部32の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺32c、32dを、それぞれ、非磁性体部33側に膨出する円弧状乃至は曲線状としてもよい。
【0066】
また、図10に示すように、磁束誘導部31の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺31c、31d、及び、磁束誘導部32の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺32c、32dを、それぞれ、磁束誘導部31、32側に窪んだ円弧状乃至は曲線状としてもよい。
【0067】
さらに、図11に示すように、辺31c、31d、32c、32dを、それぞれ、磁束誘導部31、32側に窪んだ円弧状乃至は曲線状とし、角部31a、31b、32a、32bのそれぞれに、アールを付けてもよい。角部31a等にアールを付けることにより、磁束誘導がスムーズになるからである。
【0068】
また、図8〜図11に示した変形例は、いずれも、磁束誘導部31、32の断面形状は略台形状と言えるが、磁束誘導部31、32の断面形状を略台形状とは言えないものとしてもよい。
【0069】
かかる例を挙げれば、図12に示すように、磁束誘導部31、32の断面形状を、挿通孔7に接する弓形状(すなわち、円弧と弦とで囲まれた形状)とするものがある。詳しくは、図12の例では、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と入力側中間部21との境界線と、その境界線の両端を通って挿通孔7に接する円弧35とで囲まれた弓形状をなし、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と出力側中間部23との境界線と、その境界線の両端を通って挿通孔7に接する円弧37とで囲まれた弓形状をなしている。
【0070】
磁束は、磁束誘導部31、32の厚み(図2及び図8〜図13の紙面における上下方向の長さ)が厚い部分に集まり易いので、図12のように磁束誘導部31、32を形成すれば、磁束誘導部31の挿通孔7に接する部位から磁束誘導部32の挿通孔7に接する部位に向かう磁束の密度が高くなり、管6内においては中央部の磁束(図12の2点鎖線矢印参照)の密度が最も高くなる。すなわち、処理される液体の流量が多い中央部に近づく程、磁束密度が高くなるため、液体の磁気処理効果が高くなる。
【0071】
また、磁束誘導部31、32の断面形状は、図13に示すような形状であってもよい。但し、図13の例では、管6内において両側部の磁束密度(図13の2点鎖線矢印参照)が中央部の磁束密度よりも高くなるため、図2や図8〜図12に示す形状の方が望ましい。
【0072】
このように、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅W1を狭小としつつ管配置部3と入力側中間部21との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成され、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅W2を狭小としつつ管配置部3と出力側中間部23との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成されていればよく、種々の変形が可能である。なお、幅W1、W2とは、図2及び図8〜図13に示すように、入力側中間部21と出力側中間部23とを上下方向に配置したときの左右方向の幅を言う。
【0073】
但し、磁束誘導部31、32を、断面が上記のような略台形状をなすように形成すれば、管6内への磁束の集中効果を向上可能であるとともに、磁束誘導部31、32を他の形態とする場合に比べて、磁石ユニットMの製作が容易である。
【0074】
また、図14(a)に示すように、管6及び挿通孔7を断面正方形状としてもよい。かかる場合、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部31と挿通孔7との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなし、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部32と挿通孔7との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなすように構成し、管配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、挿通孔7を除いて、非磁性体からなる非磁性体部33とすることが好ましい。管6内への磁束の集中効果を高めることができるからである。
【0075】
さらに、図14(b)に示すように、磁束誘導部31の第2の辺の長さ、及び、磁束誘導部32の第2の辺の長さを、いずれも、それらの第2の辺に平行な方向における管6の内側の幅Wに一致させれば、さらに管6内への磁束の集中効果を高めることができる。
【0076】
II. 次に、本発明の磁石ユニットの一実施形態である磁石ユニットM′について説明する。なお、装置1と同じ部分については、適宜同じ符号を用いて、その説明を省略する。また、本実施形態でも、流路配置部3には管P′が配置されるので、流路配置部3を管配置部3と言う。磁石ユニットM′は、既設の管P′に取り付けて、液体磁気処理装置を構成するものである。なお、利用する管P′は合成樹脂等の非磁性体であることを要する。磁性体の場合には、管P′に沿って磁気が流れてしまい、管P′内に十分な強度の磁界が形成されないからである。本実施形態では、管P′は断面円形状であり、これに応じて、管P′が挿通される挿通孔7も断面円形状とする。
【0077】
図6及び図7に示すように、磁石ユニットM′は、2つの分割体41、42に分割可能に構成され、分割体41、42を互いに結合することにより、磁石ユニットMと同様に、12個の磁石5が、前面が面一をなすようにロ字形状に配列されることとなる。
【0078】
磁石ユニットM′を分割体41、42に分割するときの分割面は、入力側中間部21と出力側中間部23とを除く2つの中間部22、24の互いに隣接する磁石5、5を分離するとともに、挿通孔7を軸方向に沿って2等分するような平面である。この分割面によって、非磁性体部33も2等分され、また、ヨーク8も2等分される。
【0079】
また、挿通孔7の直径は、磁石ユニットM′を装着する管P′の外径に合致している。また、磁石ユニットM′の磁束誘導部31、32は、軸直交面で切断したときの断面が、磁石ユニットMと同じく台形状をなしており、その第2の辺(挿通孔7の接線をなす辺)は、管P′の内径に合致している。
【0080】
以上のように構成された磁石ユニットM′を用いて液体処理装置を構成するときは、図7に示すように、既設の管P′を両側から挟むようにして、分割体41、42を互いに接着剤等で固着する。このとき、中間部22、24の分離された磁石5、5の異極同士を付けることとなるので、磁力により分割体41、42が互いに引き付けられ、容易に、かつ、強固に固着することができる。
【0081】
そして、分割体41、42を結合した複数の磁石ユニットM′を、管P′の軸方向に沿って並設する。なお、隣接する磁石ユニットM′同士は、間に非磁性体からなる板部材4を挟んで、互いに固着する。また、最前の磁石ユニットM′から数えてN番目の磁石ユニットM′が、最前の磁石ユニットM′を、管配置部3の中心軸Xを中心として、時計回りに90°×(N−1)だけ回転させたものと同じになるように、分割体41、42を、中心軸Xを中心として、時計回りに90°ずつ回転させつつ管P′に装着していく。
【0082】
このように、磁石ユニットM′を並設することにより、管P′が装置1と同様の液体磁気処理装置に挿通された状態となり、管P′内には、均一性の良い高磁界の回転磁場が形成される。したがって、管P′内の液体を、効率よく磁気処理することができる。
【0083】
また、既設の管P′を利用するので、アタッチメント9が不要で、施工容易である。
【0084】
なお、磁石ユニットM′においても、時計回りに90°ずつ回転させる代わりに、270°ずつ回転させてもよいし、180°ずつ回転させてもよい。
【0085】
また、磁石ユニットM′中の磁石5の数も変更可能であるが、中間部22、24の磁石5の数は複数であることを要する。磁石ユニットM′を、中間部22、24内の互いに隣接する磁石5、5を分離する分割面で、分割するためである。この分割面は、平面とは限らず、中間部22、24内の磁石5の個数が奇数の場合には、屈曲面となる。
【0086】
また、磁石ユニットM′を、空気等の気体が流れる既設の管P′に取り付ければ、気体磁気処理装置を構成することができる。
【0087】
なお、磁束ユニットM′においても、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ管配置部3と入力側中間部21との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成され、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ管配置部3と出力側中間部23との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成されていればよく、種々の変形が可能である。
【0088】
また、管P′が断面正方形状である場合には、それに応じて、挿通孔7も分割体41、42の結合時に断面正方形状となるように構成する。かかる場合には、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部31と挿通孔7との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなし、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部32と挿通孔7との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなすように構成し、管配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、挿通孔7を除いて、非磁性体からなる非磁性体部33とすることが好ましい。そのように構成すれば、管P′内への磁束の集中効果が高くなるからである。
【0089】
III. 次に、本発明の流体磁気処理装置の他の実施形態である流体磁気処理装置100(以下、「装置100」と略す。)について、説明する。図15は、装置100の斜視図であり、図16は、図15のXVI-XVI部位断面図である。なお、装置1の構成要素と対応する装置100の構成要素については、同じ符号を用いて、その説明を適宜省略する。
【0090】
図15に示すように、装置100は、装置1と同様に、前後方向に並設された4個の磁石ユニットMを備えている。磁石ユニットMは、装置1と同様に、12個の永久磁石5を備えて構成され、各磁石5は、図16の白抜き矢印で示す方向を着磁方向としている。すなわち、磁石ユニットMは、ハルバッハ型磁気回路を構成している。
【0091】
磁石ユニットMの磁石5に囲まれた中央部分は、流路配置部3とされている。装置100では、流路配置部3には管6は配置されない。流路配置部3は、正面視において正方形状をなしており、流路配置部3には、流体の流路を形成する断面正方形状の流路孔10が、その中心軸を流路配置部3の中心軸X(図15中、2点鎖線で示す。)に一致させて形成されている。
【0092】
また、流路配置部3には、いずれも磁性体からなる磁束誘導部31、32が設けられている。磁束誘導部31は、入力側中間部21と流路孔10との間に形成されている。磁束誘導部32は、出力側中間部23と流路孔10との間に形成されている。
【0093】
図16に示すように、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部31と流路孔10との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な台形状をなしている。
【0094】
磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部32と流路孔10との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な台形状をなしている。
【0095】
流路配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、流路孔10を除いて、合成樹脂等の非磁性体からなる非磁性体部33とされている。
【0096】
また、磁石ユニットMには、角筒状のヨーク8が設けられている。
【0097】
装置100には、かかる磁石ユニットMが、4個、各磁石ユニットMの流路配置部3が正面視において一致するように、前後方向に並設されている。なお、前後の磁石ユニットMは、板部材4を間に挟んで、互いに固着される。板部材4には、流路孔10と同じ大きさの正方形状の孔が設けられており、その孔と流路孔10とが重なるように、板部材4は磁石ユニットMに重ね合わされる。
【0098】
このように、磁石ユニットMを、時計回りに90°ずつ回転させつつ前後方向に並設することにより、流路孔10内には、装置1の管6内と同様に、回転磁場が形成されることとなる。
【0099】
以上のように構成された装置100は、例えば、特許文献4に示された焼却炉の空気取入用管体として用いることができる。以下、特許文献4の符号に括弧を付けて引用しつつ説明すると、特許文献4に示された焼却炉(10)では、同文献の図2及び図3に示すように、炉内へ空気を吸入するための吸入孔(50)に金属筒体(48)が内嵌され、金属筒体(48)に空気取入用管体(62)が接続され、空気取入用管体(62)の外周面に一組の永久磁石(68、68)が取り付けられている。この空気取入用管体(62)の代りに、装置100を適宜のアタッチメントを用いて金属筒体(48)に接続し、空気が流路孔10を通過して金属筒体(48)内に入るようにすれば、流路孔10内を流れる空気は、回転磁場により種々の方向から磁力を受けるので、酸素等の活性化に対する磁石5の全磁力線の効果が十分に得られて、より活性化されて反応し易くなった酸素が炉内に取り入れられることとなって、被焼却物の熱分解が促進され、例えば700℃以下の低温燃焼でもダイオキシン類の生成を抑制可能となる。
【0100】
また、装置100は、組立工程が簡単で製造コストが安価であるのみならず、流路孔10を断面正方形状とし、流路孔10にそのまま流体を流すこととすれば、装置100の構造がさらにシンプルになるため、より製造容易となる。
【0101】
なお、図8に示す磁束誘導部31、32と同様に、装置100の磁束誘導部31、32においても、磁束誘導部31の断面形状における第2の辺の両端角部31a、31b、及び、磁束誘導部32の断面形状における第2の辺の両端角部32a、32bのそれぞれに、R(アール)を付けてもよい。
【0102】
また、図9に示す磁束誘導部31、32と同様に、装置100の磁束誘導部31、32においても、磁束誘導部31の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺31c、31d、及び、磁束誘導部32の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺32c、32dを、それぞれ、非磁性体部33側に膨出する円弧状乃至は曲線状としてもよい。
【0103】
また、図10に示す磁束誘導部31、32と同様に、装置100の磁束誘導部31、32においても、磁束誘導部31の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺31c、31d、及び、磁束誘導部32の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺32c、32dを、それぞれ、磁束誘導部31、32側に窪んだ円弧状乃至は曲線状としてもよい。
【0104】
さらに、図11に示す磁束誘導部31、32と同様に、装置100の磁束誘導部31、32においても、辺31c、31d、32c、32dを、それぞれ、磁束誘導部31、32側に窪んだ円弧状乃至は曲線状とし、角部31a、31b、32a、32bのそれぞれに、アールを付けてもよい。
【0105】
また、図17に示すように、流路孔10を断面円形状としても勿論よい。かかる場合には、磁束誘導部31を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ管配置部3と入力側中間部21との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成し、磁束誘導部32を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ管配置部3と出力側中間部23との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成し、流路配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、流路孔10を除いて、非磁性体からなる非磁性体部33とすることが好ましい。流路孔10内への磁束の集中効果を高めることができるからである。
【0106】
さらに、かかる場合、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が流路孔10に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなし、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が流路孔10に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなすように構成することが好ましい。流路孔10内への磁束の集中効果を向上可能であるとともに、磁束誘導部31、32を他の形態とする場合に比べて、磁石ユニットMの製作が容易であるからである。
【0107】
そして、さらに、かかる場合、磁束誘導部31の第2の辺、及び、磁束誘導部32の第2の辺を、いずれも流路孔10の内径に一致させることが好ましい。磁束の無駄を減少させて、磁束の集中効果をより高めることができるからである。
【0108】
また、流路孔10を流れる流体を水等の液体とすれば、装置100を液体磁気処理に用いることもできる。
【0109】
さらに、装置1、100を、気液混合体(気体と液体との混合流体)を磁気処理する流体磁気処理装置として用いることも可能であり、例えば、空気にガソリンの粒子や軽油の粒子を混合した燃料を磁気処理することにより、燃料を改質するための装置や、水に酸素やオゾン等の気体を混合したものを磁気処理することにより、水に効率よく気体を混合して高濃度の酸素水やオゾン水を生成するための装置として、用いることができる。
【0110】
すなわち、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、本発明は種々の構成を採り得る。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体磁気処理装置の斜視図である。
【図2】図1のII-II部位断面図である。
【図3】図1の液体磁気処理装置の各磁石ユニットにおける各磁石の着磁方向、及び、管内の磁束の実質的な方向を、白抜き矢印で示した図である。
【図4】図1の液体磁気処理装置の設置図である。
【図5】他の実施形態の液体磁気処理装置における各磁石ユニットにおける各磁石の着磁方向、及び、管内の磁束の実質的な方向を、白抜き矢印で示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る磁石ユニットを分割した状態の正面図である。
【図7】図6の磁石ユニットの各分割体を結合した状態の正面図である。
【図8】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第1の変形例を示す断面図である。
【図9】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第2の変形例を示す断面図である。
【図10】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第3の変形例を示す断面図である。
【図11】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第4の変形例を示す断面図である。
【図12】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第5の変形例を示す断面図である。
【図13】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第6の変形例を示す断面図である。
【図14】(a)は、本発明の一実施形態に係る液体磁気処理装置の他の変形例を示す断面図であり、(b)は、更なる変形例の要部断面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る流体磁気処理装置の斜視図である。
【図16】図15のXVI-XVI部位断面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る流体磁気処理装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0112】
1…液体磁気処理装置
3…管配置部
5…磁石
6…管
7…挿通孔
10…流路孔
11、12、13、14…隅角部
21、22、23、24…中間部
31…第1の磁束誘導部
32…第2の磁束誘導部
33…非磁性体部
100…流体磁気処理装置
41、42…分割体
M、M′…磁石ユニット
P、P′…管
【技術分野】
【0001】
本発明は、水等の液体が流れる管の内壁面の腐食防止やスケール付着防止、液体の質向上等のために、また、空気等気体の活性化等のために、流体を磁気処理する流体磁気処理装置、及び、そのような流体磁気処理装置に用いられる磁石ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を磁気処理して、液体を活性化する液体磁気処理装置は、種々知られている。例えば、特許文献1記載の水処理装置は、磁石と金属板材を積層した積層柱を、横方向に隣接する磁石同士が異極になるように複数個並立させて、筒状ケーシングに組み込み、複数の異極磁石及び板材間に水を通過させることによって、水を繰り返し磁石の極間を直角に横切ることとして、水の磁気処理効果を高め得るようにしている。
【0003】
また、特許文献2記載の水処理装置は、磁性体からなるヨークで磁石を覆うことにより、磁力線の外部への漏洩を防止し、磁力線を水が流れるパイプに集中させている。
【0004】
また、液体だけではなく、空気を磁気処理して活性化させる装置も知られている。例えば、特許文献4記載の焼却炉は、対向した磁石の間の磁力線中に空気を通すことによって、空気中の酸素等を活性化して、乾留状態の有機物を燃焼させることなく化学反応によって熱分解させる装置である。
【0005】
また、特許文献5記載の有機物分解装置は、磁場発生器で発生した磁場を処理室内に導入することにより、処理室内の有機廃棄物を効率的に分解しようとするものである。
【0006】
また、液体磁気処理装置を含む流体磁気処理装置では、できるだけ均一な高磁界の中に液体を通すことが望ましく、かかる高磁界が得られる磁気回路としては、下記特許文献3に記載されているハルバッハ(Halbach)型磁気回路がある。この磁気回路は、複数個の直方体状永久磁石を磁極の方向を変化させてロ字形状に組み合わせたもので、磁石の残留密度以上の磁束密度を持ち比較的平行性の良い磁界を、得ることができる。ハルバッハ型磁気回路については、下記非特許文献1にも記載されている。
【特許文献1】特許2909891号公報
【特許文献2】特許3269774号公報
【特許文献3】特開平11−265819号公報
【特許文献4】特開2001−304520号公報
【特許文献5】特開2006−150295号公報
【非特許文献1】岩下芳久,外1名,「加速器科学の最先端と磁気物理・磁気材料」,日本応用磁気学会誌,2002年,第26巻,第3号,p.118‐127
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1記載の水処理装置は、組立工程が複雑であるため、製造コストが高いという問題があった。また、上記特許文献2記載の磁気水処置装置は、パイプ中を流れる水は一方向からのみ磁力を受けるため、磁気処理効果が劣るという問題があった。
【0008】
また、上記特許文献4の焼却炉の空気活性化に使用された磁石ユニットは、同極又は異極磁石の単なる対向配置の構造のため、酸素等の活性化に対する磁石の全磁力線の効果が十分とは言えなかった。さらに、上記特許文献5の有機物分解装置にも、同様の問題があった。
【0009】
この発明は、上述した問題を解決するものであり、製造コストが安価であり、しかも、磁気処理効果が高い流体磁気処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の流体磁気処理装置は、前面が正方形状であって前記前面の一辺に沿う方向を着磁方向とする直方体状の永久磁石が、複数個、前記前面が面一をなすようにロ字形状に配列され、前記ロ字形状の配列の4つの隅角部には、それぞれ、1個の前記磁石が配置され、前記ロ字形状の配列の前記隅角部と前記隅角部との間の4つの中間部には、それぞれ、1個以上の前記磁石が同数ずつ配置されて、前記磁石に囲まれた正面視において正方形状をなす中央部分が流路配置部とされた磁石ユニットを備え、4つの前記隅角部を、正面視において、任意の前記隅角部から時計回りに、第1の隅角部、第2の隅角部、第3の隅角部、第4の隅角部とし、前記第1の隅角部と前記第2の隅角部との間の前記中間部を第1の中間部、前記第2の隅角部と前記第3の隅角部との間の前記中間部を第2の中間部、前記第3の隅角部と前記第4の隅角部との間の前記中間部を第3の中間部、前記第4の隅角部と前記第1の隅角部との間の前記中間部を第4の中間部とし、前記第1の隅角部の前記磁石の正面視における着磁方向を第1の方向としたときに、正面視において、前記第1の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向であり、前記第2の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向であり、前記第2の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向であり、前記第3の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向であり、前記第3の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向であり、前記第4の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向であり、前記第4の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第4の方向であり、複数個の前記磁石ユニットが、前記各磁石ユニットの前記流路配置部が正面視において一致するように、前後方向に並設され、前記並設された複数個の前記磁石ユニットにおける最前の前記磁石ユニットから数えてN番目の前記磁石ユニットは、最前の前記磁石ユニットを、前記流路配置部の中心軸を中心として、時計回りに(360°より小さい所定角度)×(N−1)だけ回転させたものと同じとされ、前記並設された複数個の前記磁石ユニットの前記流路配置部に、流体の流路が設けられていることを特徴とする。
【0011】
なお、磁石ユニットを並設するときに正面視において正方形状の流路配置部を一致させることから、360°より小さい所定角度とは、90°、180°、270°のいずれかとなる。
【0012】
但し、前記所定角度は90°、または、270°のいずれかであることが好ましい。
【0013】
また、前記流路配置部に、流体が流れる管が、前記管の中心軸を前記流路配置部の前記中心軸に一致させて、挿通されていることとしてもよい。
【0014】
そして、かかる場合、前記管が断面円形状であり、前記流路配置部に、前記管が挿通される断面円形状の挿通孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、着磁方向が前記流路配置部に向かう前記中間部(以下、「入力側中間部」という。)と、前記挿通孔との間に、形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記入力側中間部に対向する前記中間部(以下、「出力側中間部」という。)と、前記挿通孔との間に、形成され、前記第1の磁束誘導部は、前記流路配置部の前記中心軸に直交する面(以下、「軸直交面」という。)で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることが好ましい。
【0015】
さらに、前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなしていることが好ましい。
【0016】
さらに、前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記管の内径に一致していることが好ましい。
【0017】
また、前記管が断面正方形状であり、前記流路配置部に、前記管が挿通される断面正方形状の挿通孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第1の磁束誘導部と前記挿通孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第2の磁束誘導部と前記挿通孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることとしてもよい。
【0018】
また、前記流路配置部に、前記流路を形成する断面円形状の流路孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記流路孔との間に形成され、前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記流路孔との間に形成され、前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記流路孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記流路孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることとしてもよい。
【0019】
そして、かかる場合、前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記流路孔の内径に一致していることが好ましい。
【0020】
また、前記流路配置部に、前記流路を形成する断面正方形状の流路孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記流路孔との間に形成され、前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記流路孔との間に形成され、前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第1の磁束誘導部と前記流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第2の磁束誘導部と前記流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることとしてもよい。
【0021】
本発明の磁石ユニットは、前面が正方形状であって前記前面の一辺に沿う方向を着磁方向とする直方体状の永久磁石が、複数個、前記前面が面一をなすようにロ字形状に配列され、前記ロ字形状の配列の4つの隅角部には、それぞれ、1個の前記磁石が配置され、前記ロ字形状の配列の前記隅角部と前記隅角部との間の4つの中間部には、それぞれ、複数個の前記磁石が同数ずつ配置され、前記磁石に囲まれた正面視において正方形状をなす中央部分が、流路配置部とされ、前記流路配置部に、流体が流れる管が挿通される挿通孔が、その中心軸を前記流路配置部の中心軸に一致させて形成され、4つの前記隅角部を、正面視において、任意の前記隅角部から時計回りに、第1の隅角部、第2の隅角部、第3の隅角部、第4の隅角部とし、前記第1の隅角部と前記第2の隅角部との間の前記中間部を第1の中間部、前記第2の隅角部と前記第3の隅角部との間の前記中間部を第2の中間部、前記第3の隅角部と前記第4の隅角部との間の前記中間部を第3の中間部、前記第4の隅角部と前記第1の隅角部との間の前記中間部を第4の中間部とし、前記第1の隅角部の前記磁石の正面視における着磁方向を第1の方向としたときに、正面視において、前記第1の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向であり、前記第2の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向であり、前記第2の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向であり、前記第3の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向であり、前記第3の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向であり、前記第4の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向であり、前記第4の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第4の方向であり、入力側中間部と出力側中間部とを除く2つの前記中間部の互いに隣接する前記磁石を分離するとともに、前記挿通孔を軸方向に沿って2等分するような分割面で、2つの分割体に分割可能に構成されていることを特徴とする。
【0022】
ここで、前記管が断面円形状の場合には、前記挿通孔も断面円形状であって、前記流路配置部に、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部とが設けられ、前記第1の磁束誘導部は、前記入力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記出力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされていることが好ましい。
【0023】
そして、前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなしていることが好ましい。
【0024】
さらに、前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記挿通孔に挿通される前記管の内径に一致していることが好ましい。
【0025】
なお、正方形状、直方体状、円形状、台形状等と言うときは、特に「略」と付けなくても、いずれも、略その形をなす場合を勿論含むものである。また、一致と言うときは、略一致する場合を含むものである。
【0026】
また、流体とは、気体及び液体のみならず気液混合体を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明の流体磁気処理装置は、ハルバッハ型磁気回路を用いた磁石ユニットの中を流体が流れるため、均一性の良い高磁界中で流体が磁気処理され、また、磁石ユニットを回転させつつ前後方向に並設しているため、流路内の磁束の方向が変化して、流体が複数の方向から磁力を受ける。このため、高い磁気処理効果が得られる。また、一方向に着磁された直方体状の磁石の組み合わせにより磁気回路部分が構成されるので、組立工程が簡単で製造コストが安価である。
【0028】
また、磁石ユニットを、時計回りに、90°ずつ、あるいは、270°ずつ回転させつつ前後方向に並設すれば、流路内の流体が種々の方向から磁力を受けることとなり、磁気処理効果がさらに高くなる。
【0029】
また、第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部とを設ければ、入力側中間部から第1の磁束誘導部を介して流路内に磁束が誘導され、流路内から第2の磁束誘導部を介して出力側中間部に磁束が誘導されるので、流路内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0030】
特に、挿通孔又は流路孔が断面円形状の場合には、第1の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ流路配置部と入力側中間部との境界から挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成し、第2の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ流路配置部と出力側中間部との境界から挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成すれば、挿通孔又は流路孔内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0031】
さらに、第1の磁束誘導部の断面が、流路配置部と入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔又は流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、第2の磁束誘導部の断面が、流路配置部と出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔又は流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなすように構成して、第1の磁束誘導部の第2の辺の長さと、第2の磁束誘導部の第2の辺の長さとを、いずれも管又は流路孔の内径に一致させれば、管内又は流路孔内に磁束をより集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0032】
また、挿通孔又は流路孔が断面正方形状の場合には、第1の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部と入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の磁束誘導部と挿通孔又は流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、第2の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部と出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第2の磁束誘導部と挿通孔又は流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなすように形成して、流路配置部の第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部以外の部分は、挿通孔又は流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とすれば、挿通孔又は流路孔内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0033】
本発明の磁石ユニットは、入力側中間部と出力側中間部とを除く2つの中間部の互いに隣接する磁石を分離するとともに、挿通孔を軸方向に沿って2等分するような分割面で、2つの分割体に分割可能に構成されているので、2つの分割体の間に管を挟んで、それらの分割体を互いに磁力で付けることにより、管を挿通した状態にでき、かかる磁石ユニットを順次回転させつつ並設すれば、既設の管を利用して、容易に、管内に回転磁場が形成された流体磁気処理装置を構成することができる。
【0034】
また、第1の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ流路配置部と入力側中間部との境界から挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成し、第2の磁束誘導部を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ流路配置部と出力側中間部との境界から挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成して、流路配置部の第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部以外の部分を、挿通孔を除いて非磁性体部とすれば、管内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0035】
さらに、第1の磁束誘導部の断面が、流路配置部と入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、第2の磁束誘導部の断面が、流路配置部と出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなすように構成して、第1の磁束誘導部の第2の辺の長さと、第2の磁束誘導部の第2の辺の長さとを、いずれも管の内径に一致させれば、管内に磁束をより集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
I. 以下、本発明の流体磁気処理装置の一実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態の流体磁気処理装置は、液体を磁気処理する液体磁気処理装置1(以下、「装置1」と略す。)として構成されている。図1は、装置1の斜視図であり、図2は、図1のII-II部位断面図である。
【0037】
図1に示すように、装置1は、前後方向に並設された4個の磁石ユニットMを備えている。なお、磁石ユニットMを区別するときは、最前のものから順に、M1、M2、M3、M4と符号を付ける。
【0038】
磁石ユニットMは、12個の永久磁石5を備えている。磁石5は、前面が正方形状の直方体状に形成されたプラスチック磁石(本実施形態では、ネオジウム粉末体と合成樹脂等を混合し成型したもの)であり、図2に示すように、前面の一辺に沿う方向が着磁方向とされている。図2では、白抜き矢印で着磁方向を示している。
【0039】
磁石ユニットMには、かかる磁石5が、12個、前面が面一をなすようにロ字形状に配列されている。隣接する磁石5同士は、接着剤等で、互いに固着される。
【0040】
詳しくは、磁石5のロ字形状の配列における4つの隅角部11、12、13、14には、それぞれ、1個の磁石5が配置されている。また、隅角部11、12の間の中間部21、隅角部12、13の間の中間部22、隅角部13、14の間の中間部23、隅角部14、11の間の中間部24には、それぞれ、2個の磁石5が配置されている。なお、正面視(図1のA矢視)において、隅角部11、12、13、14は、この順に時計回りに配置されている。
【0041】
そして、正面視において、隅角部11の着磁方向を第1の方向としたときに、中間部21の磁石5の着磁方向は、第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向とされ、隅角部12の磁石5の着磁方向は、第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向とされ、中間部22の磁石5の着磁方向は、第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向とされ、隅角部13の磁石5の着磁方向は、第1の方向とされ、中間部23の磁石5の着磁方向は、第2の方向とされ、隅角部14の磁石5の着磁方向は、第3の方向とされ、中間部24の磁石5の着磁方向は、第4の方向とされている。
【0042】
すなわち、磁石ユニットMは、ハルバッハ型磁気回路を構成している。
【0043】
磁石ユニットMの磁石5に囲まれた中央部分は、流路配置部3とされている。本実施形態では、流路配置部3には管6が配置されるので、流路配置部3を管配置部3と言う。管配置部3は、正面視において正方形状をなしている。管配置部3には、液体が流れる管6が挿通される挿通孔7が、その中心軸を管配置部3の中心軸X(図1中、2点鎖線で示す。)に一致させて形成されている。
【0044】
また、管配置部3には、いずれも磁性体からなる磁束誘導部31、32が設けられている。磁束誘導部31は、着磁方向が管配置部3に向かう中間部(以下、「入力側中間部」ともいう。)21と、挿通孔7との間に形成されている。磁束誘導部32は、入力側中間部21に対向する中間部(以下、「出力側中間部」ともいう。)23と、挿通孔7との間に形成されている。
【0045】
磁束誘導部31は、軸直交面(すなわち、中心軸Xに直交する面)で切断したときの断面が、管配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔7に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な台形状をなしている。
【0046】
磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が挿通孔7に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な台形状をなしている。
【0047】
磁束誘導部31の第2の辺の長さと、磁束誘導部32の第2の辺の長さとは、いずれも管6の内径に一致している。
【0048】
管配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、挿通孔7を除いて、合成樹脂等の非磁性体からなる非磁性体部33とされている。
【0049】
また、磁力線の外部への漏洩を防ぐため、磁石ユニットMには、磁石5のロ字形状の配列の周囲を覆うように、磁性体(本実施形態では鉄)からなる角筒状のヨーク8が設けられている。
【0050】
装置1には、かかる磁石ユニットMが、4個、各磁石ユニットMの管配置部3が正面視において一致するように、前後方向(すなわち、中心軸X方向)に並設されている。なお、前後の磁石ユニットMは、互いの影響を排除するための非磁性体(本実施形態では、合成樹脂)からなる板部材4を間に挟んで、互いに固着される。板部材4には、管配置部3の挿通孔7と同様の大きさの挿通孔が設けられており、挿通孔7と板部材4の挿通孔とが重なるように、板部材4は磁石ユニットMに重ね合わされる。
【0051】
そして、このように並設された磁石ユニットMの管配置部3の挿通孔7に、管6が、その中心軸を管配置部3の中心軸Xに一致させて、挿通されている。管6は、管6に沿って磁気が流れて管6内の磁束が減少することを防ぐため、合成樹脂(本実施形態では、塩化ビニール)等の非磁性体で形成されている。
【0052】
図3は、磁石ユニットM1、M2、M3、M4の各磁石5の着磁方向、及び、管6内の磁束の実質的な方向を、白抜き矢印で示すものである。図3から分かるように、磁石ユニットM2、M3、M4は、最前の磁石ユニットM1を、順次、時計回りに90°ずつ回転させたものと同じである。詳しくは、磁石ユニットM1から数えてN番目の磁石ユニットMは、磁石ユニットM1を、中心軸Xを中心として、時計回りに90°×(N−1)だけ回転させたものと同じである。
【0053】
このように、磁石ユニットMを、時計回りに90°ずつ回転させつつ、管6の軸方向に沿って並設することにより、管6内の磁束の方向が時計回りに90°ずつ変わっていくこととなり、管6内には、言わば回転磁場が形成されることとなる。
【0054】
以上のように構成された装置1は、図4に示すように、磁気処理しようとする液体が流れる管Pの途中に、アタッチメント9、9を介して取り付けられる。アタッチメント9は、管Pと管6とを連結するものである。なお、管6は、管Pよりも小径とされる。管6内における流速を速くして、活性化効率を高めるためである。
【0055】
このように装置1を管Pの途中に配置することにより、管Pを流れる液体は、管6内の磁場により磁気処理される。このとき、装置1は、ハルバッハ型磁気回路を用いているため、均一性の良い高磁界中で液体が磁気処理され、また、管6内に回転磁場が形成されているため、液体が種々の方向から磁力を受けることから、高い磁気処理効果が得られる。
【0056】
また、上記特許文献1記載の水処理装置は、水の通り道に磁石の構造物があるため、圧損が大きくなるという問題があるが、装置1では、流路である管6内に磁石等の構造物が配置されていないので、圧損を防止できる。
【0057】
また、各磁石5は、直方体状に形成して一方向にのみ着磁すればよいので、製作が容易であり、製造コストが安価である。そして、装置1は、一方向に着磁された直方体状の磁石5の組み合わせにより磁気回路部分が構成されるので、組立工程が簡単で製造コストが安価である。
【0058】
また、上記のような形状の磁束誘導部31、32により管6内に磁束が誘導されるので、管6内に磁束を集中でき、磁気処理効果を高めることができる。特に、磁束誘導部31の第2の辺の長さと、磁束誘導部32の第2の辺の長さとを、いずれも管6の内径に一致させれば、磁束の無駄が減少し、より管6内に磁束を集中させることができ、磁気処理効果を更に高めることができる。
【0059】
以下、変形例について説明する。
【0060】
装置1では、磁石ユニットMを、時計回りに90°ずつ回転させつつ並設したが、時計回りに270°ずつ(すなわち、反時計回りに90°ずつ)回転させつつ並設することとしても、管6内に回転磁場が形成されるので、高い磁気処理効果が得られる。
【0061】
また、図5に示すように、磁石ユニットMを、時計回りに180°ずつ回転させつつ並設することしてもよい。すなわち、最前の磁石ユニットM1から数えてN番目の磁石ユニットMが、磁石ユニットM1を、中心軸Xを中心として、時計回りに180°×(N−1)だけ回転させたものと同じになるように構成してもよい。かかる構成としても、磁束の方向が変化するので、磁気処理効果が高くなる。但し、90°あるいは270°ずつ回転させた方が、回転磁場が形成されるので、より磁気処理効果を高めることができる。
【0062】
また、1つの磁石ユニットM中の磁石5の数も変更可能であり、例えば8個配列することとしてもよいし、12個より多く配列することとしてもよい。
【0063】
また、管6を流れる流体を空気等の気体とすれば、装置1を気体磁気処理装置とすることもできる。
【0064】
また、図8に示すように、磁束誘導部31の断面形状における第2の辺の両端角部31a、31b、及び、磁束誘導部32の断面形状における第2の辺の両端角部32a、32bのそれぞれに、R(アール)を付けてもよい。すなわち、角部31a、31b、32a、32bを、それぞれ、丸くしてもよい。角部31a等にアールを付けることにより、磁束誘導がスムーズになるからである。
【0065】
また、図9に示すように、磁束誘導部31の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺31c、31d、及び、磁束誘導部32の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺32c、32dを、それぞれ、非磁性体部33側に膨出する円弧状乃至は曲線状としてもよい。
【0066】
また、図10に示すように、磁束誘導部31の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺31c、31d、及び、磁束誘導部32の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺32c、32dを、それぞれ、磁束誘導部31、32側に窪んだ円弧状乃至は曲線状としてもよい。
【0067】
さらに、図11に示すように、辺31c、31d、32c、32dを、それぞれ、磁束誘導部31、32側に窪んだ円弧状乃至は曲線状とし、角部31a、31b、32a、32bのそれぞれに、アールを付けてもよい。角部31a等にアールを付けることにより、磁束誘導がスムーズになるからである。
【0068】
また、図8〜図11に示した変形例は、いずれも、磁束誘導部31、32の断面形状は略台形状と言えるが、磁束誘導部31、32の断面形状を略台形状とは言えないものとしてもよい。
【0069】
かかる例を挙げれば、図12に示すように、磁束誘導部31、32の断面形状を、挿通孔7に接する弓形状(すなわち、円弧と弦とで囲まれた形状)とするものがある。詳しくは、図12の例では、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と入力側中間部21との境界線と、その境界線の両端を通って挿通孔7に接する円弧35とで囲まれた弓形状をなし、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と出力側中間部23との境界線と、その境界線の両端を通って挿通孔7に接する円弧37とで囲まれた弓形状をなしている。
【0070】
磁束は、磁束誘導部31、32の厚み(図2及び図8〜図13の紙面における上下方向の長さ)が厚い部分に集まり易いので、図12のように磁束誘導部31、32を形成すれば、磁束誘導部31の挿通孔7に接する部位から磁束誘導部32の挿通孔7に接する部位に向かう磁束の密度が高くなり、管6内においては中央部の磁束(図12の2点鎖線矢印参照)の密度が最も高くなる。すなわち、処理される液体の流量が多い中央部に近づく程、磁束密度が高くなるため、液体の磁気処理効果が高くなる。
【0071】
また、磁束誘導部31、32の断面形状は、図13に示すような形状であってもよい。但し、図13の例では、管6内において両側部の磁束密度(図13の2点鎖線矢印参照)が中央部の磁束密度よりも高くなるため、図2や図8〜図12に示す形状の方が望ましい。
【0072】
このように、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅W1を狭小としつつ管配置部3と入力側中間部21との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成され、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅W2を狭小としつつ管配置部3と出力側中間部23との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成されていればよく、種々の変形が可能である。なお、幅W1、W2とは、図2及び図8〜図13に示すように、入力側中間部21と出力側中間部23とを上下方向に配置したときの左右方向の幅を言う。
【0073】
但し、磁束誘導部31、32を、断面が上記のような略台形状をなすように形成すれば、管6内への磁束の集中効果を向上可能であるとともに、磁束誘導部31、32を他の形態とする場合に比べて、磁石ユニットMの製作が容易である。
【0074】
また、図14(a)に示すように、管6及び挿通孔7を断面正方形状としてもよい。かかる場合、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部31と挿通孔7との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなし、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部32と挿通孔7との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなすように構成し、管配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、挿通孔7を除いて、非磁性体からなる非磁性体部33とすることが好ましい。管6内への磁束の集中効果を高めることができるからである。
【0075】
さらに、図14(b)に示すように、磁束誘導部31の第2の辺の長さ、及び、磁束誘導部32の第2の辺の長さを、いずれも、それらの第2の辺に平行な方向における管6の内側の幅Wに一致させれば、さらに管6内への磁束の集中効果を高めることができる。
【0076】
II. 次に、本発明の磁石ユニットの一実施形態である磁石ユニットM′について説明する。なお、装置1と同じ部分については、適宜同じ符号を用いて、その説明を省略する。また、本実施形態でも、流路配置部3には管P′が配置されるので、流路配置部3を管配置部3と言う。磁石ユニットM′は、既設の管P′に取り付けて、液体磁気処理装置を構成するものである。なお、利用する管P′は合成樹脂等の非磁性体であることを要する。磁性体の場合には、管P′に沿って磁気が流れてしまい、管P′内に十分な強度の磁界が形成されないからである。本実施形態では、管P′は断面円形状であり、これに応じて、管P′が挿通される挿通孔7も断面円形状とする。
【0077】
図6及び図7に示すように、磁石ユニットM′は、2つの分割体41、42に分割可能に構成され、分割体41、42を互いに結合することにより、磁石ユニットMと同様に、12個の磁石5が、前面が面一をなすようにロ字形状に配列されることとなる。
【0078】
磁石ユニットM′を分割体41、42に分割するときの分割面は、入力側中間部21と出力側中間部23とを除く2つの中間部22、24の互いに隣接する磁石5、5を分離するとともに、挿通孔7を軸方向に沿って2等分するような平面である。この分割面によって、非磁性体部33も2等分され、また、ヨーク8も2等分される。
【0079】
また、挿通孔7の直径は、磁石ユニットM′を装着する管P′の外径に合致している。また、磁石ユニットM′の磁束誘導部31、32は、軸直交面で切断したときの断面が、磁石ユニットMと同じく台形状をなしており、その第2の辺(挿通孔7の接線をなす辺)は、管P′の内径に合致している。
【0080】
以上のように構成された磁石ユニットM′を用いて液体処理装置を構成するときは、図7に示すように、既設の管P′を両側から挟むようにして、分割体41、42を互いに接着剤等で固着する。このとき、中間部22、24の分離された磁石5、5の異極同士を付けることとなるので、磁力により分割体41、42が互いに引き付けられ、容易に、かつ、強固に固着することができる。
【0081】
そして、分割体41、42を結合した複数の磁石ユニットM′を、管P′の軸方向に沿って並設する。なお、隣接する磁石ユニットM′同士は、間に非磁性体からなる板部材4を挟んで、互いに固着する。また、最前の磁石ユニットM′から数えてN番目の磁石ユニットM′が、最前の磁石ユニットM′を、管配置部3の中心軸Xを中心として、時計回りに90°×(N−1)だけ回転させたものと同じになるように、分割体41、42を、中心軸Xを中心として、時計回りに90°ずつ回転させつつ管P′に装着していく。
【0082】
このように、磁石ユニットM′を並設することにより、管P′が装置1と同様の液体磁気処理装置に挿通された状態となり、管P′内には、均一性の良い高磁界の回転磁場が形成される。したがって、管P′内の液体を、効率よく磁気処理することができる。
【0083】
また、既設の管P′を利用するので、アタッチメント9が不要で、施工容易である。
【0084】
なお、磁石ユニットM′においても、時計回りに90°ずつ回転させる代わりに、270°ずつ回転させてもよいし、180°ずつ回転させてもよい。
【0085】
また、磁石ユニットM′中の磁石5の数も変更可能であるが、中間部22、24の磁石5の数は複数であることを要する。磁石ユニットM′を、中間部22、24内の互いに隣接する磁石5、5を分離する分割面で、分割するためである。この分割面は、平面とは限らず、中間部22、24内の磁石5の個数が奇数の場合には、屈曲面となる。
【0086】
また、磁石ユニットM′を、空気等の気体が流れる既設の管P′に取り付ければ、気体磁気処理装置を構成することができる。
【0087】
なお、磁束ユニットM′においても、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ管配置部3と入力側中間部21との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成され、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ管配置部3と出力側中間部23との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成されていればよく、種々の変形が可能である。
【0088】
また、管P′が断面正方形状である場合には、それに応じて、挿通孔7も分割体41、42の結合時に断面正方形状となるように構成する。かかる場合には、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部31と挿通孔7との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなし、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、管配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部32と挿通孔7との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなすように構成し、管配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、挿通孔7を除いて、非磁性体からなる非磁性体部33とすることが好ましい。そのように構成すれば、管P′内への磁束の集中効果が高くなるからである。
【0089】
III. 次に、本発明の流体磁気処理装置の他の実施形態である流体磁気処理装置100(以下、「装置100」と略す。)について、説明する。図15は、装置100の斜視図であり、図16は、図15のXVI-XVI部位断面図である。なお、装置1の構成要素と対応する装置100の構成要素については、同じ符号を用いて、その説明を適宜省略する。
【0090】
図15に示すように、装置100は、装置1と同様に、前後方向に並設された4個の磁石ユニットMを備えている。磁石ユニットMは、装置1と同様に、12個の永久磁石5を備えて構成され、各磁石5は、図16の白抜き矢印で示す方向を着磁方向としている。すなわち、磁石ユニットMは、ハルバッハ型磁気回路を構成している。
【0091】
磁石ユニットMの磁石5に囲まれた中央部分は、流路配置部3とされている。装置100では、流路配置部3には管6は配置されない。流路配置部3は、正面視において正方形状をなしており、流路配置部3には、流体の流路を形成する断面正方形状の流路孔10が、その中心軸を流路配置部3の中心軸X(図15中、2点鎖線で示す。)に一致させて形成されている。
【0092】
また、流路配置部3には、いずれも磁性体からなる磁束誘導部31、32が設けられている。磁束誘導部31は、入力側中間部21と流路孔10との間に形成されている。磁束誘導部32は、出力側中間部23と流路孔10との間に形成されている。
【0093】
図16に示すように、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部31と流路孔10との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な台形状をなしている。
【0094】
磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、磁束誘導部32と流路孔10との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な台形状をなしている。
【0095】
流路配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、流路孔10を除いて、合成樹脂等の非磁性体からなる非磁性体部33とされている。
【0096】
また、磁石ユニットMには、角筒状のヨーク8が設けられている。
【0097】
装置100には、かかる磁石ユニットMが、4個、各磁石ユニットMの流路配置部3が正面視において一致するように、前後方向に並設されている。なお、前後の磁石ユニットMは、板部材4を間に挟んで、互いに固着される。板部材4には、流路孔10と同じ大きさの正方形状の孔が設けられており、その孔と流路孔10とが重なるように、板部材4は磁石ユニットMに重ね合わされる。
【0098】
このように、磁石ユニットMを、時計回りに90°ずつ回転させつつ前後方向に並設することにより、流路孔10内には、装置1の管6内と同様に、回転磁場が形成されることとなる。
【0099】
以上のように構成された装置100は、例えば、特許文献4に示された焼却炉の空気取入用管体として用いることができる。以下、特許文献4の符号に括弧を付けて引用しつつ説明すると、特許文献4に示された焼却炉(10)では、同文献の図2及び図3に示すように、炉内へ空気を吸入するための吸入孔(50)に金属筒体(48)が内嵌され、金属筒体(48)に空気取入用管体(62)が接続され、空気取入用管体(62)の外周面に一組の永久磁石(68、68)が取り付けられている。この空気取入用管体(62)の代りに、装置100を適宜のアタッチメントを用いて金属筒体(48)に接続し、空気が流路孔10を通過して金属筒体(48)内に入るようにすれば、流路孔10内を流れる空気は、回転磁場により種々の方向から磁力を受けるので、酸素等の活性化に対する磁石5の全磁力線の効果が十分に得られて、より活性化されて反応し易くなった酸素が炉内に取り入れられることとなって、被焼却物の熱分解が促進され、例えば700℃以下の低温燃焼でもダイオキシン類の生成を抑制可能となる。
【0100】
また、装置100は、組立工程が簡単で製造コストが安価であるのみならず、流路孔10を断面正方形状とし、流路孔10にそのまま流体を流すこととすれば、装置100の構造がさらにシンプルになるため、より製造容易となる。
【0101】
なお、図8に示す磁束誘導部31、32と同様に、装置100の磁束誘導部31、32においても、磁束誘導部31の断面形状における第2の辺の両端角部31a、31b、及び、磁束誘導部32の断面形状における第2の辺の両端角部32a、32bのそれぞれに、R(アール)を付けてもよい。
【0102】
また、図9に示す磁束誘導部31、32と同様に、装置100の磁束誘導部31、32においても、磁束誘導部31の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺31c、31d、及び、磁束誘導部32の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺32c、32dを、それぞれ、非磁性体部33側に膨出する円弧状乃至は曲線状としてもよい。
【0103】
また、図10に示す磁束誘導部31、32と同様に、装置100の磁束誘導部31、32においても、磁束誘導部31の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺31c、31d、及び、磁束誘導部32の断面形状における第1の辺と第2の辺とを結ぶ両辺32c、32dを、それぞれ、磁束誘導部31、32側に窪んだ円弧状乃至は曲線状としてもよい。
【0104】
さらに、図11に示す磁束誘導部31、32と同様に、装置100の磁束誘導部31、32においても、辺31c、31d、32c、32dを、それぞれ、磁束誘導部31、32側に窪んだ円弧状乃至は曲線状とし、角部31a、31b、32a、32bのそれぞれに、アールを付けてもよい。
【0105】
また、図17に示すように、流路孔10を断面円形状としても勿論よい。かかる場合には、磁束誘導部31を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ管配置部3と入力側中間部21との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成し、磁束誘導部32を、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ管配置部3と出力側中間部23との境界から挿通孔7に接する位置まで及ぶように、形成し、流路配置部3の磁束誘導部31と磁束誘導部32以外の部分は、流路孔10を除いて、非磁性体からなる非磁性体部33とすることが好ましい。流路孔10内への磁束の集中効果を高めることができるからである。
【0106】
さらに、かかる場合、磁束誘導部31は、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部3と入力側中間部21との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が流路孔10に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなし、磁束誘導部32は、軸直交面で切断したときの断面が、流路配置部3と出力側中間部23との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が流路孔10に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い台形状をなすように構成することが好ましい。流路孔10内への磁束の集中効果を向上可能であるとともに、磁束誘導部31、32を他の形態とする場合に比べて、磁石ユニットMの製作が容易であるからである。
【0107】
そして、さらに、かかる場合、磁束誘導部31の第2の辺、及び、磁束誘導部32の第2の辺を、いずれも流路孔10の内径に一致させることが好ましい。磁束の無駄を減少させて、磁束の集中効果をより高めることができるからである。
【0108】
また、流路孔10を流れる流体を水等の液体とすれば、装置100を液体磁気処理に用いることもできる。
【0109】
さらに、装置1、100を、気液混合体(気体と液体との混合流体)を磁気処理する流体磁気処理装置として用いることも可能であり、例えば、空気にガソリンの粒子や軽油の粒子を混合した燃料を磁気処理することにより、燃料を改質するための装置や、水に酸素やオゾン等の気体を混合したものを磁気処理することにより、水に効率よく気体を混合して高濃度の酸素水やオゾン水を生成するための装置として、用いることができる。
【0110】
すなわち、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、本発明は種々の構成を採り得る。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の一実施形態に係る液体磁気処理装置の斜視図である。
【図2】図1のII-II部位断面図である。
【図3】図1の液体磁気処理装置の各磁石ユニットにおける各磁石の着磁方向、及び、管内の磁束の実質的な方向を、白抜き矢印で示した図である。
【図4】図1の液体磁気処理装置の設置図である。
【図5】他の実施形態の液体磁気処理装置における各磁石ユニットにおける各磁石の着磁方向、及び、管内の磁束の実質的な方向を、白抜き矢印で示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る磁石ユニットを分割した状態の正面図である。
【図7】図6の磁石ユニットの各分割体を結合した状態の正面図である。
【図8】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第1の変形例を示す断面図である。
【図9】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第2の変形例を示す断面図である。
【図10】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第3の変形例を示す断面図である。
【図11】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第4の変形例を示す断面図である。
【図12】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第5の変形例を示す断面図である。
【図13】図1に示す液体磁気処理装置において各磁束誘導部を変形した第6の変形例を示す断面図である。
【図14】(a)は、本発明の一実施形態に係る液体磁気処理装置の他の変形例を示す断面図であり、(b)は、更なる変形例の要部断面図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る流体磁気処理装置の斜視図である。
【図16】図15のXVI-XVI部位断面図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る流体磁気処理装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0112】
1…液体磁気処理装置
3…管配置部
5…磁石
6…管
7…挿通孔
10…流路孔
11、12、13、14…隅角部
21、22、23、24…中間部
31…第1の磁束誘導部
32…第2の磁束誘導部
33…非磁性体部
100…流体磁気処理装置
41、42…分割体
M、M′…磁石ユニット
P、P′…管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が正方形状であって前記前面の一辺に沿う方向を着磁方向とする直方体状の永久磁石が、複数個、前記前面が面一をなすようにロ字形状に配列され、前記ロ字形状の配列の4つの隅角部には、それぞれ、1個の前記磁石が配置され、前記ロ字形状の配列の前記隅角部と前記隅角部との間の4つの中間部には、それぞれ、1個以上の前記磁石が同数ずつ配置されて、前記磁石に囲まれた正面視において正方形状をなす中央部分が流路配置部とされた磁石ユニットを備え、
4つの前記隅角部を、正面視において、任意の前記隅角部から時計回りに、第1の隅角部、第2の隅角部、第3の隅角部、第4の隅角部とし、前記第1の隅角部と前記第2の隅角部との間の前記中間部を第1の中間部、前記第2の隅角部と前記第3の隅角部との間の前記中間部を第2の中間部、前記第3の隅角部と前記第4の隅角部との間の前記中間部を第3の中間部、前記第4の隅角部と前記第1の隅角部との間の前記中間部を第4の中間部とし、前記第1の隅角部の前記磁石の正面視における着磁方向を第1の方向としたときに、正面視において、前記第1の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向であり、前記第2の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向であり、前記第2の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向であり、前記第3の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向であり、前記第3の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向であり、前記第4の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向であり、前記第4の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第4の方向であり、
複数個の前記磁石ユニットが、前記各磁石ユニットの前記流路配置部が正面視において一致するように、前後方向に並設され、
前記並設された複数個の前記磁石ユニットにおける最前の前記磁石ユニットから数えてN番目の前記磁石ユニットは、最前の前記磁石ユニットを、前記流路配置部の中心軸を中心として、時計回りに(360°より小さい所定角度)×(N−1)だけ回転させたものと同じとされ、
前記並設された複数個の前記磁石ユニットの前記流路配置部に、流体の流路が設けられている
ことを特徴とする流体磁気処理装置。
【請求項2】
前記所定角度が90°、または、270°のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の流体磁気処理装置。
【請求項3】
前記流路配置部に、流体が流れる管が、前記管の中心軸を前記流路配置部の前記中心軸に一致させて、挿通されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流体磁気処理装置。
【請求項4】
前記管が断面円形状であり、
前記流路配置部に、前記管が挿通される断面円形状の挿通孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、着磁方向が前記流路配置部に向かう前記中間部(以下、「入力側中間部」という。)と、前記挿通孔との間に、形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記入力側中間部に対向する前記中間部(以下、「出力側中間部」という。)と、前記挿通孔との間に、形成され、
前記第1の磁束誘導部は、前記流路配置部の前記中心軸に直交する面(以下、「軸直交面」という。)で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項3記載の流体磁気処理装置。
【請求項5】
前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなしている
ことを特徴とする請求項4記載の流体磁気処理装置。
【請求項6】
前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記管の内径に一致していることを特徴とする請求項5記載の流体磁気処理装置。
【請求項7】
前記管が断面正方形状であり、
前記流路配置部に、前記管が挿通される断面正方形状の挿通孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、
前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、
前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第1の磁束誘導部と前記挿通孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第2の磁束誘導部と前記挿通孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項3記載の流体磁気処理装置。
【請求項8】
前記流路配置部に、前記流路を形成する断面円形状の流路孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記流路孔との間に形成され、
前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記流路孔との間に形成され、
前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記流路孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記流路孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項1または2記載の流体磁気処理装置。
【請求項9】
前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記流路孔の内径に一致している
ことを特徴とする請求項8記載の流体磁気処理装置。
【請求項10】
前記流路配置部に、前記流路を形成する断面正方形状の流路孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記流路孔との間に形成され、
前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記流路孔との間に形成され、
前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第1の磁束誘導部と前記流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第2の磁束誘導部と前記流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項1または2記載の流体磁気処理装置。
【請求項11】
前面が正方形状であって前記前面の一辺に沿う方向を着磁方向とする直方体状の永久磁石が、複数個、前記前面が面一をなすようにロ字形状に配列され、
前記ロ字形状の配列の4つの隅角部には、それぞれ、1個の前記磁石が配置され、
前記ロ字形状の配列の前記隅角部と前記隅角部との間の4つの中間部には、それぞれ、複数個の前記磁石が同数ずつ配置され、
前記磁石に囲まれた正面視において正方形状をなす中央部分が、流路配置部とされ、
前記流路配置部に、流体が流れる管が挿通される挿通孔が、その中心軸を前記流路配置部の中心軸に一致させて形成され、
4つの前記隅角部を、正面視において、任意の前記隅角部から時計回りに、第1の隅角部、第2の隅角部、第3の隅角部、第4の隅角部とし、前記第1の隅角部と前記第2の隅角部との間の前記中間部を第1の中間部、前記第2の隅角部と前記第3の隅角部との間の前記中間部を第2の中間部、前記第3の隅角部と前記第4の隅角部との間の前記中間部を第3の中間部、前記第4の隅角部と前記第1の隅角部との間の前記中間部を第4の中間部とし、前記第1の隅角部の前記磁石の正面視における着磁方向を第1の方向としたときに、正面視において、前記第1の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向であり、前記第2の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向であり、前記第2の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向であり、前記第3の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向であり、前記第3の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向であり、前記第4の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向であり、前記第4の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第4の方向であり、
入力側中間部と出力側中間部とを除く2つの前記中間部の互いに隣接する前記磁石を分離するとともに、前記挿通孔を軸方向に沿って2等分するような分割面で、2つの分割体に分割可能に構成されている
ことを特徴とする磁石ユニット。
【請求項12】
前記管と前記挿通孔とが、いずれも断面円形状であり、
前記流路配置部に、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、前記入力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記出力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、
前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項11記載の磁石ユニット。
【請求項13】
前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなしている
ことを特徴とする請求項12記載の磁石ユニット。
【請求項14】
前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記挿通孔に挿通される前記管の内径に一致していることを特徴とする請求項13記載の磁石ユニット。
【請求項1】
前面が正方形状であって前記前面の一辺に沿う方向を着磁方向とする直方体状の永久磁石が、複数個、前記前面が面一をなすようにロ字形状に配列され、前記ロ字形状の配列の4つの隅角部には、それぞれ、1個の前記磁石が配置され、前記ロ字形状の配列の前記隅角部と前記隅角部との間の4つの中間部には、それぞれ、1個以上の前記磁石が同数ずつ配置されて、前記磁石に囲まれた正面視において正方形状をなす中央部分が流路配置部とされた磁石ユニットを備え、
4つの前記隅角部を、正面視において、任意の前記隅角部から時計回りに、第1の隅角部、第2の隅角部、第3の隅角部、第4の隅角部とし、前記第1の隅角部と前記第2の隅角部との間の前記中間部を第1の中間部、前記第2の隅角部と前記第3の隅角部との間の前記中間部を第2の中間部、前記第3の隅角部と前記第4の隅角部との間の前記中間部を第3の中間部、前記第4の隅角部と前記第1の隅角部との間の前記中間部を第4の中間部とし、前記第1の隅角部の前記磁石の正面視における着磁方向を第1の方向としたときに、正面視において、前記第1の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向であり、前記第2の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向であり、前記第2の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向であり、前記第3の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向であり、前記第3の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向であり、前記第4の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向であり、前記第4の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第4の方向であり、
複数個の前記磁石ユニットが、前記各磁石ユニットの前記流路配置部が正面視において一致するように、前後方向に並設され、
前記並設された複数個の前記磁石ユニットにおける最前の前記磁石ユニットから数えてN番目の前記磁石ユニットは、最前の前記磁石ユニットを、前記流路配置部の中心軸を中心として、時計回りに(360°より小さい所定角度)×(N−1)だけ回転させたものと同じとされ、
前記並設された複数個の前記磁石ユニットの前記流路配置部に、流体の流路が設けられている
ことを特徴とする流体磁気処理装置。
【請求項2】
前記所定角度が90°、または、270°のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の流体磁気処理装置。
【請求項3】
前記流路配置部に、流体が流れる管が、前記管の中心軸を前記流路配置部の前記中心軸に一致させて、挿通されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流体磁気処理装置。
【請求項4】
前記管が断面円形状であり、
前記流路配置部に、前記管が挿通される断面円形状の挿通孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、着磁方向が前記流路配置部に向かう前記中間部(以下、「入力側中間部」という。)と、前記挿通孔との間に、形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記入力側中間部に対向する前記中間部(以下、「出力側中間部」という。)と、前記挿通孔との間に、形成され、
前記第1の磁束誘導部は、前記流路配置部の前記中心軸に直交する面(以下、「軸直交面」という。)で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項3記載の流体磁気処理装置。
【請求項5】
前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなしている
ことを特徴とする請求項4記載の流体磁気処理装置。
【請求項6】
前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記管の内径に一致していることを特徴とする請求項5記載の流体磁気処理装置。
【請求項7】
前記管が断面正方形状であり、
前記流路配置部に、前記管が挿通される断面正方形状の挿通孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、
前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、
前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第1の磁束誘導部と前記挿通孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第2の磁束誘導部と前記挿通孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項3記載の流体磁気処理装置。
【請求項8】
前記流路配置部に、前記流路を形成する断面円形状の流路孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記流路孔との間に形成され、
前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記流路孔との間に形成され、
前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記流路孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記流路孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項1または2記載の流体磁気処理装置。
【請求項9】
前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記流路孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記流路孔の内径に一致している
ことを特徴とする請求項8記載の流体磁気処理装置。
【請求項10】
前記流路配置部に、前記流路を形成する断面正方形状の流路孔と、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部及び第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、入力側中間部と前記流路孔との間に形成され、
前記第2の磁束誘導部は、出力側中間部と前記流路孔との間に形成され、
前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第1の磁束誘導部と前記流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、前記第2の磁束誘導部と前記流路孔との境界線を第1の辺に平行な第2の辺として、第1の辺より第2の辺が短い略台形状をなし、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記流路孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項1または2記載の流体磁気処理装置。
【請求項11】
前面が正方形状であって前記前面の一辺に沿う方向を着磁方向とする直方体状の永久磁石が、複数個、前記前面が面一をなすようにロ字形状に配列され、
前記ロ字形状の配列の4つの隅角部には、それぞれ、1個の前記磁石が配置され、
前記ロ字形状の配列の前記隅角部と前記隅角部との間の4つの中間部には、それぞれ、複数個の前記磁石が同数ずつ配置され、
前記磁石に囲まれた正面視において正方形状をなす中央部分が、流路配置部とされ、
前記流路配置部に、流体が流れる管が挿通される挿通孔が、その中心軸を前記流路配置部の中心軸に一致させて形成され、
4つの前記隅角部を、正面視において、任意の前記隅角部から時計回りに、第1の隅角部、第2の隅角部、第3の隅角部、第4の隅角部とし、前記第1の隅角部と前記第2の隅角部との間の前記中間部を第1の中間部、前記第2の隅角部と前記第3の隅角部との間の前記中間部を第2の中間部、前記第3の隅角部と前記第4の隅角部との間の前記中間部を第3の中間部、前記第4の隅角部と前記第1の隅角部との間の前記中間部を第4の中間部とし、前記第1の隅角部の前記磁石の正面視における着磁方向を第1の方向としたときに、正面視において、前記第1の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向から時計回りに90°変化した第2の方向であり、前記第2の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向から時計回りに90°変化した第3の方向であり、前記第2の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向から時計回りに90°変化した第4の方向であり、前記第3の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第1の方向であり、前記第3の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第2の方向であり、前記第4の隅角部の前記磁石の着磁方向は、前記第3の方向であり、前記第4の中間部の前記磁石の着磁方向は、前記第4の方向であり、
入力側中間部と出力側中間部とを除く2つの前記中間部の互いに隣接する前記磁石を分離するとともに、前記挿通孔を軸方向に沿って2等分するような分割面で、2つの分割体に分割可能に構成されている
ことを特徴とする磁石ユニット。
【請求項12】
前記管と前記挿通孔とが、いずれも断面円形状であり、
前記流路配置部に、いずれも磁性体からなる第1の磁束誘導部と第2の磁束誘導部とが設けられ、
前記第1の磁束誘導部は、前記入力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記出力側中間部と前記挿通孔との間に形成され、
前記第1の磁束誘導部は、軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記入力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記第2の磁束誘導部は、前記軸直交面で切断したときの断面が、次第に幅を狭小としつつ前記流路配置部と前記出力側中間部との境界から前記挿通孔に接する位置まで及ぶように、形成され、
前記流路配置部の前記第1の磁束誘導部と前記第2の磁束誘導部以外の部分は、前記挿通孔を除いて、非磁性体からなる非磁性体部とされている
ことを特徴とする請求項11記載の磁石ユニット。
【請求項13】
前記第1の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記入力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなし、
前記第2の磁束誘導部は、前記断面が、前記流路配置部と前記出力側中間部との境界線を第1の辺とし、第1の辺に平行な第2の辺が前記挿通孔に接する接線をなして、第1の辺より第2の辺が短い左右対称な略台形状をなしている
ことを特徴とする請求項12記載の磁石ユニット。
【請求項14】
前記第1の磁束誘導部の前記第2の辺の長さと、前記第2の磁束誘導部の前記第2の辺の長さとが、いずれも前記挿通孔に挿通される前記管の内径に一致していることを特徴とする請求項13記載の磁石ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−105723(P2007−105723A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215705(P2006−215705)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(593102921)ミズショー株式会社 (8)
【出願人】(505399915)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(593102921)ミズショー株式会社 (8)
【出願人】(505399915)
【Fターム(参考)】
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