説明

流体管路の閉止構造

【課題】シール性が高く、シール部材の取り付け又は交換が容易であると共にシール部材の脱落を防止できる流体管路の閉止構造を提供すること。
【解決手段】流体管路内に配置され、流体排出口の周縁部に設けられた弁座と、上記弁座に圧接しうる弁棒とを備え、上記弁棒を駆動操作することにより上記弁座に弁棒を圧接又は離間させて、上記流体排出口を開閉可能に閉止する流体管路の閉止構造であって、上記弁座は、単一の流体排出口の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記弁棒には上記複数の弁座に夫々当接しうるシール部材が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体管路の閉止構造に係り、特に、各種の液体製品を製造し処理するサニタリープラントにおける管路に使用される流体管路の閉止構造に関する。
【0002】
一般に、液体食品又は医薬品を製造するサニタリープラントにおいては、液体管路の開口部を開閉するために、上記開口部に設けられた弁座と、上記弁座を当接及び離間する弁棒が設けられている。
【0003】
従来、弁棒と弁座との間のシール性を向上させる観点から、弁棒は上記弁棒先端に設けられた2つのシール部材が夫々弁座に圧接するように構成され、1つのシール部材が破損した場合であっても、閉止された管路への各種液体製品の漏れを防止するような流体管路の閉止構造が従来より提案されている(特許文献1)。
図6に示すように、従来の二重シール弁棒を使用した流体管路の閉止構造は、先端に第一のシール部材81と第二のシール部材82を有する弁体83を有する弁棒80を備え、上記弁棒80を駆動操作することにより圧接しうる流体管路の開口部84の周縁部に下方側からばね材85の付勢力により上方へ付勢され、短小管86の先端に設けられ、上記第一のシール部材81が圧接しうる第一の弁座87と、上記流体管路の開口部84の周縁部に設けられた上記第二のシール部材82が圧接しうる第二の弁座88とにより構成されている。
上記弁棒80の駆動操作により流体管路の開口部84を閉止する場合には、図6に示すような流体管路の開口部84の開口状態から、上記弁棒80の駆動操作により、上記短小管86の先端に設けられた第一の弁座87に上記弁棒80の先端側のシール部材81を圧接させることにより上方へ付勢された上記短小管86を下方へ移動させる。
そして、図7に示すように、上記流体管路の開口部84の周縁部に設けられた第二の弁座88に上記弁棒80の後端側のシール部材82が圧接され、流体管路の開口部84は2つのシール部材81,82により閉止される。
このように構成された流体管路の閉止構造においては、2つのシール部材81,82のうちの一方が、弁座87,88に対する不完全な閉止状態となった場合であっても、他方が閉止することで汚染を防ぎ、漏れた液体は、上記短小管86の移動により形成された液体通路89を通り、排出口90を介して排出されるので、管路内を流通する液体の閉止状態にある他の管路への漏れを防止することができる。
【0004】
しかしながら、このような従来の流体管路の閉止構造では、ばね材85の付勢力により上記短小管86を付勢しているので、ばね材85の経年時における劣化や破損等により上記第一の弁座87に圧接されるシール部材81のシール効果が損なわれ、その結果、開口部84が完全には閉止されず、各種液体製品が漏れ、コンタミネーションが発生する可能性を有するという不具合が存していた。
【0005】
また、このようなシール部材81,82は、上記弁体83上に形成された凹溝91に嵌め込みうる環状に形成され、シール部材81,82の取り付け作業は、上記シール部材81,82を上記弁体83に嵌め込むことにより行っていた。
しかしながら、このような場合には、嵌め込み作業時に、上記シール部材81,82を嵌め込むための治具を必要とするため煩雑であり、また、交換作業が煩雑となり、嵌め込み作業時に上記シール部材81,82に損傷を与える可能性を有する不具合が存していた。
【0006】
このような不具合を解決するために、シール部材の弁体への嵌め込み作業を不要とする弁棒構造が従来より提案されている(特許文献2)。
図8に示すように、従来の弁棒92は、弁軸部93と、上記弁軸部93の基端部に設けられた基板部94とを有する弁棒本体95と、上記基板部94に当接して配置されるシール部材96と、上記シール部材96に当接して配置されるステム97とを有し、上記シール部材96と上記ステム97は単一の固定部材98により上記基板部94に対して着脱自在に固定されることにより構成されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1には、従来の二重シール効果を有する流体管路の閉止構造が開示されているが、上記ばね材85の劣化等により上記第一の弁座87に圧接される第一のシール部材81の閉止効果が損なわれる可能性を有するという不具合を解決した流体管路の閉止構造は開示されていない。
さらに、特許文献2には、二重シール効果を有する流体管路の閉止構造は開示されておらず、二重シール効果を有すると共に固定部材の締め付け操作のみで容易にシール部材の交換等ができる流体管路の閉止構造を開示した先行技術文献は見出すことができない。
【0008】
【特許文献1】特開昭55−94064号
【特許文献2】特開2006−46358号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本願発明の課題は、シール性が高く、シール部材の取り付け又は交換が容易であると共にシール部材の脱落を防止できる流体管路の閉止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような課題を解決するために、請求項1記載の発明は、流体管路内に配置され、流体排出口の周縁部に設けられた弁座と、上記弁座に圧接しうる弁棒とを備え、上記弁棒を駆動操作することにより上記弁座に弁棒を圧接又は離間させて、上記流体排出口を開閉可能に閉止する流体管路の閉止構造であって、上記弁座は、単一の流体排出口の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記弁棒には上記複数の弁座に夫々当接しうるシール部材が設けられていることを特徴とする。
【0011】
従って、請求項1記載の発明にあっては、上記弁座は、単一の流体排出口の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記弁棒には上記複数の弁座に夫々当接しうるシール部材が設けられているので、1つのシール部材がシール性を損なった場合であっても他のシール部材により流体管路を閉止できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、上記複数の弁座は、上記流体排出口における流路方向に沿って設けられ、第一弁座及び第二弁座により構成され、上記第二弁座は、上記第一弁座よりも流路内方へ突出形成されていると共に、上記シール部材は、上記第一弁座に圧接しうる第一のシール部材と、上記第二弁座に圧接しうる第二のシール部材とにより構成され、上記第二のシール部材は、上記第一のシール部材よりも小径に形成されていることを特徴とする。
【0013】
従って、請求項2記載の発明にあっては、上記複数の弁座は、上記流体排出口における流路方向に沿って設けられ、第一弁座及び第二弁座により構成され、上記第二弁座は、上記第一弁座よりも流路内方へ突出形成されていると共に、上記シール部材は、上記第一弁座に圧接しうる第一のシール部材と、上記第二弁座に圧接しうる第二のシール部材とにより構成され、上記第二のシール部材は、上記第一のシール部材よりも小径に形成されているので、上記流体排出口を開閉可能に閉止しうると共に、一方のシール部材がシール性を損なった場合であっても他方のシール部材により流体管路を閉止できる。
【0014】
請求項3記載の発明は、上記弁棒は、弁軸部と、上記弁軸部の基端部に設けられた基板部とを有する弁棒本体と、上記基板部に当接して配置される上記第一のシール部材と、上記第一のシール部材に当接して配置される上記第一のステムと、上記第一のステムに当接して反弁軸部側に配置される上記第二のシール部材と、上記第二のシール部材に当接して反弁軸部側に配置される第二のステムとを有し、上記第一のシール部材、上記第一のステム、上記第二のシール部材及び上記第二のステムは、単一の固定部材により上記基板部に対して着脱可能に固定されていることを特徴とする。
【0015】
従って、請求項3記載の発明にあっては、上記弁棒は、弁軸部と、上記弁軸部の基端部に設けられた基板部とを有する弁棒本体と、上記基板部に当接して配置される上記第一のシール部材と、上記第一のシール部材に当接して配置される上記第一のステムと、上記第一のステムに当接して反弁軸部側に配置される上記第二シール部材と、上記第二のシール部材に当接して反弁軸部側に配置される第二のステムとを有し、上記第一のシール部材、上記第一のステム、上記第二のシール部材及び上記第二のステムは、単一の固定部材により上記基板部に対して着脱可能に固定されているので、上記単一の固定部材により上記第一のシール部材及び上記第二のシール部材を上記弁棒に取り付けることができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、上記第一のステムは、上記第一のシール部材よりも小径であって、かつ上記第二のシール部材よりも大径に形成され、上記第二のステムは、上記第二のシール部材よりも小径に形成されていることを特徴とする。
【0017】
従って、上記第一のステムは、上記第一のシール部材よりも小径であって、かつ上記第二のシール部材よりも大径に形成され、上記第二のステムは、上記第二のシール部材よりも小径に形成されているので、上記弁棒に取り付ける場合に、径の大きい順に取り付けることができる。
【0018】
また、請求項5記載の発明は、上記弁軸部は、一軸で構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明に係る流体管路の閉止構造にあっては、上記弁座は、単一の流体排出口の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記弁棒には上記複数の弁座に夫々当接しうるシール部材が設けられており、1つのシール部材がシール性を損なった場合であっても他のシール部材により流体管路を閉止できるので、シール性が高く、液体製品のコンタミネーションを有効に防止しうる流体管路の閉止構造を提供することができる。
【0020】
請求項2記載の発明に係る流体管路の閉止構造にあっては、上記流体排出口を開閉可能に閉止しうると共に、一方のシール部材がシール性を損なった場合であっても他方のシール部材により流体管路を閉止できるので、シール性が高い流体管路の閉止構造を提供することができる。
【0021】
請求項3記載の発明に係る流体管路の閉止構造にあっては、上記単一の固定部材により上記第一のシール部材及び上記第二のシール部材を上記弁棒に取り付けることができるので、シール部材の取り付け又は交換が容易であると共にシール部材の脱落を防止できる流体管路の閉止構造を提供することができる。
【0022】
請求項4記載の発明に係る流体管路の閉止構造にあっては、上記第一のステムは、上記第一のシール部材よりも小径であって、かつ上記第二のシール部材よりも大径に形成され、上記第二のステムは、上記第二のシール部材よりも小径に形成されているので、上記弁棒に取り付ける場合に、径の大きい順に取り付けることができるので、シール部材の取り付け又は交換が容易であると共にシール部材の脱落を防止できる流体管路の閉止構造を提供することができる。
【0023】
請求項5記載の発明に係る流体管路の閉止構造にあっては、上記弁棒は、一軸で構成されており、上記弁棒をアクチュエータにより駆動操作する場合に、複数の弁棒で構成された閉止構造では弁棒を駆動するために複数のアクチュエータが必要であるが、一軸の弁棒を1つのアクチュエータにより駆動制御すればよいので、流体管路の閉止構造の構成を簡素化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る流体管路の閉止構造の第一の実施の形態について説明する。
図1又は図2に示すように、本発明に係る第一の実施の形態に係る流体管路の閉止構造10は、流体管路内に配置され、流体排出口11の周縁部に設けられた弁座12,13と、上記弁座12,13に圧接しうる弁棒14とを備え、上記弁棒14を駆動操作することにより上記弁座12,13に弁棒14を圧接又は離間させて、上記流体排出口11を開閉可能に閉止する流体管路の閉止構造10であって、上記弁座12,13は、単一の流体排出口11の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記弁棒14には上記複数の弁座12,13に夫々当接しうるシール部材15,16が設けられている。
【0025】
また、図1又は図2に示すように、上記複数の弁座12,13は、上記流体排出口11における流路方向に沿って設けられ、第一弁座12及び第二弁座13により構成され、上記第二弁座13は、上記第一弁座12よりも流路内方へ突出形成されていると共に、上記シール部材15,16は、上記第一弁座12に圧接しうる第一のシール部材15と、上記第二弁座13に圧接しうる第二のシール部材16とにより構成され、上記第二のシール部材16は、上記第一のシール部材15よりも小径に形成されている。
【0026】
また、図3及び図4に示すように、上記弁棒14は、弁軸部17と、上記弁軸部17の基端部に設けられた基板部18とを有する弁棒本体19と、上記基板部18に当接して配置される上記第一のシール部材15と、上記第一のシール部材15に当接して配置される上記第一のステム20と、上記第一のステム20に当接して反弁軸部17側に配置される上記第二のシール部材16と、上記第二のシール部材16に当接して反弁軸部17側に配置される第二のステム21とを有し、上記第一のシール部材15、上記第一のステム20、上記第二のシール部材16及び上記第二のステム21は、単一の固定部材22により上記基板部18に対して着脱可能に固定されている。
【0027】
また、図3〜図5に示すように、上記第一のステム20は、上記第一のシール部材15よりも小径であって、かつ上記第二のシール部材16よりも大径に形成され、上記第二のステム21は、上記第二のシール部材16よりも小径に形成されている。
また、図1〜図5に示すように、上記弁軸部17は、一軸で構成されている。
【実施例】
【0028】
以下に、図面を用いて本実施例について、詳細を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施例においては、弁座が、第一弁座12及び第二弁座13の2つの弁座により構成され、上記シール部材が、上記第一弁座12に圧接しうる第一のシール部材15と、上記第二弁座13に圧接しうる第二のシール部材16の2つのシール部材により構成される場合を例に説明する。
【0029】
図1及び図2に示すように、例えば、本実施例に係る液体管路は、夫々が断面略円形状の第一の管路23、上記第二の管路24及び第三の管路25とを有し、上記第一の管路23と上記第一の管路23に接続された第二の管路24により構成された平面略L字状に構成された管路と、上記第一の管路23と上記第二の管路24との接続部分に上記第一の管路23と上記第二の管路24とに互いに垂直になるように下方に向って接続されている第三の管路25とにより構成されている。
【0030】
また、図2に示すように、上記第三の管路25の流体排出口11の周縁部には、第一弁座12及び第二弁座13の2つの弁座が管路構成部材と一体に設けられており、第二弁座13が第一弁座12よりも流路内方へ段違いに突出形成されており、図2に示すように、上記第一の弁座12は流体排出口11の上部に形成された第一の凸部26上に形成され、上記第二の弁座13は流体排出口11の下部に形成された第二の凸部27上に形成されている。
上記第一の凸部26は、上端面28が上記第一の管路23に略平行に形成されると共に、側壁面30が上記上端面28に対して略垂直に形成され、上記上端面28と上記側壁面30が連設されることにより形成されている。
同様に、上記第二の凸部27は、上端面29が上記第一の管路23に略平行に形成されると共に、側壁面31が上記上端面29に対して略垂直に形成され、上記上端面29と上記側壁面31が連設されることにより形成されている。
また、第二の凸部27が第一の凸部26よりも流路内方へ段違いに突出形成されている。
また、上記第一弁座12及び第二弁座13は、第一のシール部材15が第一弁座、第二のシール部材16が第二弁座13に圧接される際に、弁棒14と弁座12,13との間をシールしうるように、上記第一の凸部26及び上記第二の凸部27の角部分が流路内方に傾斜するような環状斜面により形成されている。
【0031】
また、図1に示すように、上記第一の凸部27の上記側壁面30及び上記第二の凸部27の上端面29は、上記弁座12,13がシール部材15,16に圧接される時に第一のステム20は当接せず、上記側壁面30及び上記上端部29と第一のステム20との間に空間部32を有する。
また、上記空間部32には、図1に示すように、シール部材15,16のシール性が損なわれた場合に漏れた液体を排出しうる排出ドレーン33が連設され、排出ドレーン33は、サイド弁棒(図示せず)により適宜開閉しうるように構成されている。
【0032】
また、図3及び図5に示すように、弁棒本体19は、円柱状の弁軸部17と、上記弁軸部17の基端部に設けられた円板状の基板部18により構成され、上記基板部18の反弁軸部17側の外周縁に設けられた壁部34を有し、上記基板部18の中央部には、固定部材22を固定しうるネジ溝70を有する固定孔35が形成されている。
【0033】
また、図3及び図5に示すように、上記弁棒14にはシール部材15,16が設けられ、第一のシール部材15は、半径の略半分の径からなると共に上記第一のシール部材15の厚さ方向略半分の厚さからなる環状孔15aを有する平面略環状に形成され、第二のシール部材16よりも大径に形成され、弁棒本体19の基板部18の外径より小さな外径により形成され、図1に示すように、上記第一弁座12に圧接しうるように構成されている。
また、第一のシール部材15は、図3及び図5に示すように、厚さ方向一端部37が上記基板部18の下面部36に当接しうるように平面状に形成されると共に上記第一のシール部材15の厚さ方向一端部37の外周縁が上記弁棒本体19の基板部18の壁部34の内縁に当接しうるように形成されている。
また、図3に示すように、第一のシール部材15の厚さ方向他端部38は、山状に形成され、内方へ傾斜する傾斜壁部39aと外方へ傾斜する傾斜壁部39bを有している。
図3に示すように、第一のシール部材15の内周は、外周縁が上記傾斜壁部39aに連設されると共に内周縁が上記環状孔15aに連設された上記一端部37と平行な平面部40を上記第一のシール部材15の厚さ方向略中間部に有する段差構造により形成されている。
【0034】
また、図5に示すように、第一のステム20は、一方の短円筒部43と上記一方の短円筒部43に連設された上記一方の短円筒部43より大きい径からなる他方の短円筒部44により形成され、固定部材22を挿通しうるような挿通孔51が上記短円筒部43,44の中央に形成されている。
また、第一のステム20の厚さ方向一端部41は、図3に示すように、上記基板部18の下面部36に当接しうる形成され、上記厚さ方向一端部41から上記第一のステム20の厚さ方向略中央部に亘って形成された一方の短円筒部43は、上記第一のシール部材15の環状孔15aに当接しうるような外径を有し、上記第一のステム20の厚さ方向略中央部から上記第一のステム20の厚さ方向他端部42に亘って形成された他方の短円筒部44は、上記一方の短円筒部44より大きな外径を有すると共に上記第一のシール部材15の傾斜面部39aに当接しうる外周傾斜面部45と上記第一のシール部材15の平行面部40と当接しうる中間平面部46とを有している。
また、図3に示すように、上記第一のステム20の厚さ方向他端部42には、外周縁に外周壁部48と底面部50を有する凹部47が形成され、上記底面部50の外縁には、内周方向に段差形状に突出形成されている凸部49が形成されている。
【0035】
また、図3及び図5に示すように、第二のシール部材16は、半径の略半分の径からなると共に上記第二のシール部材16の厚さ方向略半分の厚さからなる環状孔16aを有する平面略環状に形成され、第一のシール部材15よりも小径に形成され、第一のステム20の外径より小さな外径により形成され、図1に示すように、上記第二弁座13に圧接しうるように構成されている。
また、第二のシール部材16は、図3に示すように、厚さ方向一端部52が上記第一のステム20の底面部50に当接しうるように平面状に形成されると共に上記厚さ方向一端部52の外周縁には上記第一のステム20の凸部49に当接しうるような凹部54が形成されている。
また、上記第二のシール部材16の外周縁は、上記第一のステム20の外周壁部48の内縁に当接しうるように形成されている。
また、図3に示すように、上記第二のシール部材16の厚さ方向他端部53は、山状に形成され、内方へ傾斜する傾斜壁部55aと外方へ傾斜する傾斜壁部55bを有している。
図3に示すように、第二のシール部材16の内周は、外周縁が上記傾斜壁部55aに連設されると共に内周縁が上記環状孔16aに連設された上記一端部52と平行な平面部56を上記第二のシール部材16の厚さ方向略中間部に有する段差構造により形成されている。
【0036】
また、図5に示すように、第二のステム21は、一方の円筒部57と上記一方の円筒部57に連設された上記一方の円筒部57より大きい径からなる他方の円筒部58により形成され、ボルト状の固定部材22を挿通しうるような挿通孔59が形成されている。
また、第二のステム21の厚さ方向一端部60は、図3に示すように、上記第一のステム20の底面部50に当接しうるように形成され、上記厚さ方向一端部60から上記第二のステム21の厚さ方向略中間部に亘って形成された一方の円筒部57は、上記第二のシール部材16の環状孔16aに当接しうるような外径を有し、上記第二のステム21の厚さ方向略中間部から上記第二のステム21の厚さ方向他端部61に形成された他方の円筒部58は、上記一方の円筒部57より大きな外径を有すると共に上記第二のシール部材16の傾斜面部55aに当接しうる外周傾斜面部62と上記第二のシール部材16の底面部50と当接しうる中間平面部63とを有している。
また、図3に示すように、上記第二のステム21の厚さ方向他端部61には、内方に傾斜する傾斜面部65が外周縁に設けられていると共に内周縁に平面部66を有する凹部64部が形成されている。
【0037】
また、図3に示すように、固定部材22は、軸部67と上記軸部67に連設された上記第二のステム21の平面部66に当接しうる係止部69と上記係止部69に連設された頭部68とを有し、上記軸部67には、上記弁棒本体19の基板部18に形成されたネジ溝70を有する上記固定孔35に固定しうるネジ溝71が形成されている。
また、図5に示すように、上記頭部68には、一般工具により上記固定部材22を着脱しうるように径方向両端に切り欠き部72,72が形成されている。
また、図3に示すように、上記第二のステム21の傾斜面部65と、上記係止部69の外周縁と、上記頭部68の軸部67側端面の外周縁に当接しうる環状のOリング73が設けられている。
【0038】
また、図1及び図2に示すように、流体管路の閉止構造10は、弁棒14の反基板部18にアクチュエータ(図示せず)が取り付けられ、アクチュエータ(図示せず)により上記弁棒14を駆動操作することにより、流体排出口11を開閉可能に閉止する。
【0039】
上記弁棒14を組み立てる場合には、図3及び図5に示すように、弁棒本体19の基板部18の下面部36に第一のシール部材15を当接させ配置する。
この場合、上記基板部18は円板状に形成され、上記第一のシール部材15は平面略環状に形成され、第一のシール部材15の厚さ方向一端部37が上記基板部18の下面部36に当接しうるように平面状に形成されると共に上記第一のシール部材15の厚さ方向一端部37の外周縁が上記弁棒本体19の基板部18の壁部34の内縁に当接されるように形成されているので、位置合わせを不要とし、弁棒本体19の基板部18の下面部36に第一のシール部材15を容易に配置できる。
【0040】
次に、図3に示すように、上記第一のシール部材15に第一のステム20を当接させ配置する。
この場合、上記第一のシール部材15は平面略環状に形成され、第一のステム20は円筒状に形成され、上記第一のステム20の厚さ方向一端部41が上記基板部18の下面部36に当接しうるように形成され、上記厚さ方向一端部41から上記第一のステム20の厚さ方向略中央部に亘って形成された一方の円筒部43は、上記第一のシール部材15の環状孔15aに当接しうるような外径を有し、上記第一のステム20の厚さ方向略中央部から上記第一のステム20の厚さ方向他端部42に亘って形成された他方の短円筒部44は、上記一方の短円筒部44より大きな外径を有すると共に上記第一のシール部材15の傾斜面部39aに当接しうる外周傾斜面部45と上記第一のシール部材15の平面部40と当接しうる中間平面部46とを有しているので、位置合わせを不要とし、上記第一のシール部材15に第一のステム20を容易に配置できる。
【0041】
次に、図3に示すように、上記第一のステム20の反弁軸部17側に第二のシール部材16を当接させ配置する。
この場合、第一のステム20は円筒状に形成され、上記第二のシール部材16は平面環状に形成され、第二のシール部材16の厚さ方向一端部52が上記第一のステム20の底面部50に当接しうるように平面状に形成されると共に
上記厚さ方向一端部52の外周縁には上記第一のステム20の凸部49に当接しうるような凹部54が形成され、上記第二のシール部材16の外周縁は、上記第一のステム20の外周壁部48の内縁に当接しうるように形成されているので、位置合わせを不要とし、上記第一のステム20の反弁軸部17側に第二のシール部材16を容易に配置できる。
【0042】
次に、図3に示すように、上記第二のシール部材16の反弁軸部17側に第二のステム21を当接させ配置する。
この場合、上記第二のシール部材16は平面略環状に形成され、上記第二のステム21は円筒状に形成され、第二のステム21の厚さ方向一端部60は、上記第一のステム20の底面部50に当接しうるように形成され、上記厚さ方向一端部60から上記第二のステム21の厚さ方向略中間部に亘って形成された一方の円筒部57は、上記第二のシール部材16の環状孔16aに当接しうるような外径を有し、上記第二のステム21の厚さ方向略中間部から上記第二のステム21の厚さ方向他端部61に形成された他方の円筒部58は、上記一方の円筒部57より大きな外径を有すると共に上記第二のシール部材16の傾斜面部55aに当接しうる外周傾斜面部62と上記第二のシール部材16の底面部50と当接しうる中間平面部63とを有しているので、位置合わせを不要とし、上記第二のシール部材16の反弁軸部17側に第二のステム21を容易に配置できる。
【0043】
次に、図3及び図5に示すように、上記第二のステム21の反軸部17側にOリング65を当接させ配置する。
この場合、上記第二のステム21は円筒状に形成され、上記Oリング65は環状に形成され、上記Oリング65は、上記第二のステム21の傾斜面部65に当接しうるように形成されているので、位置合わせを不要とし、上記第二のステム21の反軸部17側にOリング65を容易に配置できる。
【0044】
次に、図3及び図5に示すように、上記のように配置された上記第一のシール部材15、上記第一のステム20、上記第二のシール部材16、上記第二のステム21及び上記Oリング73を固定部材22により上記弁棒本体19の基板部18に固定する。
この場合、上記基板部18には固定部材22のネジ溝71により固定しうるネジ溝72を有する固定孔35が形成され、上記第一のステム20には固定部材22の軸部67を挿通しうる挿通孔51が形成され、上記第二のステム21には固定部材22の軸部67を挿通しうる挿通孔59が形成され、上記固定部材22の係止部69の外周縁に当接しうる環状のOリング73が配置されているので、固定部材22のネジ溝71を上記弁棒本体19の固定孔22のネジ溝70に嵌め込み固定することにより、図4に示すように、上記第一のシール部材15、上記第一のステム20、上記第二のシール部材16、上記第二のステム21及び上記Oリング73を固定部材22に挟み込み、容易に上記弁棒本体19の基板部18に固定することができる。
また、固定部材22の頭部68には、一般工具により上記固定部材22を着脱しうるように径方向両端に切り欠き部72,72が形成されているので固定作業が容易である。
【0045】
また、図4に示すように、上記第一のシール部材15、上記第一のステム20、上記第二のシール部材16、上記第二のステム21及び上記Oリング73を固定部材22に挟み込み固定された弁棒14を分解する場合には、上記頭部68に形成された切り欠き部72,72を一般工具を用いることにより、固定部材22のネジ溝71と上記弁棒本体19の固定孔22のネジ溝70との嵌合状態を緩める方向に回転させることで、上記固定部材22を容易に外すことができる。
従って、図5に示すように、上記固定部材22を外すことにより上記第一のシール部材15、上記第一のステム20、上記第二のシール部材16、上記第二のステム21及び上記Oリング73を夫々容易に分離することができ、シール部材15,16等の経年時における劣化や破損等が生じた場合であっても、固定部材22を外すことにより夫々の部材を容易に分離でき、かつ、上記のように位置合わせを必要とせず夫々の部材を固定部材22に挟み込むことより容易に弁棒14を組み立てることが可能であるので、経年時における劣化や破損等が生じた部材の交換を適宜容易に行うことができる。
【0046】
また、弁棒14は、上記第一のシール部材15、上記第一のステム20、上記第二のシール部材16、上記第二のステム21及び上記Oリング73を固定部材22に挟み込み固定する構成であり、図6及び図7に示すような弁体83上に形成された凹溝91に嵌め込みしうる環状のシール部材81,82を上記弁体84上に形成された凹溝91に嵌め込む構成ではないので、シール部材15,16を嵌め込むための治具を必要とすることなく、弁棒14の組み立て作業時にシール部材15,16へ損傷を与える可能性を低減でき、弁棒14からシール部材15,16の脱落を防止することができる。
【0047】
以下に、上記実施例の作用について説明する。
組み立てられた弁棒14は、図1及び図2に示すように、流体管路内に配置され、上記弁棒14の駆動操作により第一弁座12に第一のシール部材15を圧接又は離間させ、第二弁座13に第二のシール部材16を圧接又は離間させることにより流体排出口11を開閉する。
このような構成からなる流体管路の閉止構造10にあっては、図6及び図7に示すような従来の流体管路の閉止構造のようにばね材85の付勢力により弁座87が移動しうるような構成ではないことから、ばね材85の経年時における劣化や破損等によるシール効果が損なわれるという問題はない。
【0048】
また、図1及び図2に示すように、弁棒14の駆動操作により弁座12,13にシール部材15,16を圧接又は離間させることにより流体排出口11を開閉する流体管路の閉止構造であるので、圧接又は離間を繰り返し行うことによるシール部材15,16の経年時における劣化や損傷等によりシール効果が損なわれる可能性を有する。
このような場合であっても、図3に示すように、第一のシール部材15及び第二のシール部材16は、シール部材15,16の一部の傾斜壁部39b,55bをシール面として形成して他部を他の構成部材との圧着面とする厚みを有するように形成されているので、例えば断面径が小さい環状の表面全てがシール面として使用される簡易なシール部材と比して、圧接又は離間を繰り返し行うことによるシール部材15,16の経年時における劣化や損傷等によりシール効果が損なわれる可能性は軽減される。
【0049】
また、図1に示すように、本発明にあっては、第一のシール部材15及び第二のシール部材16による二重のシール構造を有するので、例えば第一のシール部材15が経年時における劣化や損傷等によりシール性を損なった場合であっても、第二弁座13にシール性を有する第二のシール部材16が当接することによるシール効果により、流体排出口11を閉止することができる。
また、第二のシール部材16が経年時における劣化や損傷等によりシール性を損なった場合であっても、第一弁座12にシール性を有する第一のシール部材15が当接することによるシール効果により、流体排出口11を閉止することができる。
従って、二重のシール構造を有するシール性の高い流体管路の閉止構造10を提供することができる。
【0050】
また、一つのシール部材がシール性を損なった場合であっても、図1に示すように、側壁面30及び上記第二の凸部27の上端面29と、第一のステム20との間に空間部32を有し、上記空間部32には、シール部材15,16のシール性が損なわれた場合に漏れた液体を排出しうる排出ドレーン33が連設されているので、排出ドレーン33から漏れた液体を適宜排出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、流体管路の閉止構造に広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る流体管路の閉止構造の一実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係る流体管路の閉止構造の一実施の形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係る流体管路の閉止構造の一実施の形態を示す弁棒の一部断面図である。
【図4】本発明に係る流体管路の閉止構造の一実施の形態を示す弁棒の斜視図である。
【図5】本発明に係る流体管路の閉止構造の一実施の形態を示す弁棒の分解斜視図である。
【図6】二重シール弁棒を使用した場合の従来の流体管路の閉止構造を示す断面図である。
【図7】二重シール弁棒を使用した場合の従来の流体管路の閉止構造を示す断面図である。
【図8】シール部材の弁体への嵌め込み作業を不要とする従来の弁棒を示す断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10 流体管路の閉止構造
11 流体排出口
12 第一弁座
13 第二弁座
14 弁棒
15 第一のシール部材
15a 環状孔
16 第二のシール部材
17 弁軸部
18 基板部
19 弁棒本体
20 第一のステム
21 第二のステム
22 固定部材
23 第一の管路
24 第二の管路
25 第三の管路
26 第一の凸部
27 第二の凸部
28 上端面
29 上端面
30 側壁面
31 側壁面
32 空間部
33 排出ドレーン
34 壁部
35 固定孔
36 基板部の下面部
37 第一のシール部材の一端部
38 第二のシール部材の他端部
39a 傾斜壁部
39b 傾斜壁部
40 平面部
41 第一のステムの一端部
42 第一のステムの他端部
43 第一のステムの一方の短円筒部
44 第一のステムの他方の短円筒部
45 外周傾斜面部
46 中間平面部
47 第一のステムの凹部
48 外周壁部
49 凸部
50 底面部
51 挿通孔
52 第二のシール部材の一端部
53 第二のシール部材の他端部
54 凹部
55a 傾斜壁部
55b 傾斜壁部
56 平面部
57 一方の円筒部
58 他方の円筒部
59 挿通孔
60 第二のステムの一端部
61 第二のステムの他端部
62 外周傾斜面部
63 中間平面部
64 凹部
65 傾斜面部
66 平面部
67 軸部
68 頭部
69 係止部
70 ネジ溝
71 ネジ溝
72 切り欠き部
73 Oリング
80 従来の弁棒
81 第一のシール部材
82 第二のシール部材
83 弁体
84 開口部
85 ばね部材
86 短小管
87 第一の弁座
88 第二の弁座
89 液体通路
90 排出口
91 凹溝
92 従来の弁棒
93 弁棒軸部
94 基板部
95 弁棒本体
96 シール部材
97 ステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管路内に配置され、流体排出口の周縁部に設けられた弁座と、上記弁座に圧接しうる弁棒とを備え、上記弁棒を駆動操作することにより上記弁座に弁棒を圧接又は離間させて、上記流体排出口を開閉可能に閉止する流体管路の閉止構造であって、
上記弁座は、単一の流体排出口の周縁部において管路構成部材と一体に複数設けられていると共に上記弁棒には上記複数の弁座に夫々当接しうるシール部材が設けられていることを特徴とする流体管路の閉止構造。
【請求項2】
上記複数の弁座は、上記流体排出口における流路方向に沿って設けられ、第一弁座及び第二弁座により構成され、
上記第二弁座は、上記第一弁座よりも流路内方へ突出形成されていると共に、
上記シール部材は、上記第一弁座に圧接しうる第一のシール部材と、上記第二弁座に圧接しうる第二のシール部材とにより構成され、
上記第二のシール部材は、上記第一のシール部材よりも小径に形成されていることを特徴とする請求項1記載の流体管路の閉止構造。
【請求項3】
上記弁棒は、弁軸部と、上記弁軸部の基端部に設けられた基板部とを有する弁棒本体と、上記基板部に当接して配置される上記第一のシール部材と、上記第一のシール部材に当接して配置される上記第一のステムと、上記第一のステムに当接して反弁軸部側に配置される上記第二のシール部材と、上記第二のシール部材に当接して反弁軸部側に配置される第二のステムとを有し、
上記第一のシール部材、上記第一のステム、上記第二のシール部材及び上記第二のステムは、単一の固定部材により上記基板部に対して着脱可能に固定されていることを特徴とする請求項2記載の流体管路の閉止構造。
【請求項4】
上記第一のステムは、上記第一のシール部材よりも小径であって、かつ上記第二のシール部材よりも大径に形成され、
上記第二のステムは、上記第二のシール部材よりも小径に形成されていることを特徴とする請求項3記載の流体管路の閉止構造。
【請求項5】
上記弁軸部は、一軸で構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の流体管路の閉止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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