説明

流出スクラビング及び湿分制御が向上した除去システム

本明細書では改善された流出物処理装置が提供される。幾つかの実施形態において、除去システムは、流出ストリームが貫通して流れる排出導管と、流出ストリームから非排出可能流出物を除去するために排出導管内に配置される複数の充填床と、流出ストリームから非排出可能流出物を除去するために流出処理剤を隣接する充填床間に提供する1つ又はそれ以上の噴霧ジェットと、最上充填床上で排出導管内に配置され、大きな液滴の流出処理剤を提供して、微細液滴を実質的に形成することなく最上充填床の上側表面から粒子状物質を湿潤させリンスするドリッパーと、を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年11月7日に出願された米国特許暫定出願シリアル番号61/112,679の利益を主張し、当該暫定出願は引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本出願の実施形態は全体的に、処理設備に関し、より詳細には流出物を処理するための除去システムに関する。
【背景技術】
【0003】
除去システムは、排出中の流出ストリームから環境に放出する前に粒子状物質及び/又は有害流出ストリームを除去するのに少なくとも部分的に利用される。例えば、除去システムにおいて、排出中の流出ストリームは、燃焼された後、粒子状物質及び/又は水溶性流出物を除去するために洗浄することができる。幾つかの除去システムでは、流出ストリームはスクラビング処理装置に通され、これを利用して当該ストリームから粒子状物質及び/又は有害流出物を除去することができる。
【0004】
しかしながら、本出願人は、一部の用途においては、スクラビング処理装置を用いた流出物の処理は、フッ化水素(HF)、シラン(SiH4)、テトラフルオロシラン(SiF4)、又は同様のものなどの有害ガス及び/又は粒子状物質を排出中の流出ストリームから十分に低減できない場合があることを発見した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本出願人は、有利には、流出ストリームからの有害ガス及び粒子状物質の低減を更に向上させることができる除去システムの改善を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では改善された流出物処理装置が提供される。幾つかの実施形態において、除去システムは、流出ストリームが貫通して流れる排出導管と、流出ストリームから非排出可能流出物を除去するために排出導管内に配置される複数の充填床と、流出ストリームから非排出可能流出物を除去するために流出処理剤を隣接する充填床間に提供する1つ又はそれ以上の噴霧ジェットと、最上充填床上で排出導管内に配置され、大きな液滴の流出処理剤を提供して、微細液滴を実質的に形成することなく最上充填床の上側表面から粒子状物質を湿潤させリンスするドリッパーと、を含むことができる。
【0007】
幾つかの実施形態において、除去システムは、流出ストリームが貫通して流れる排出導管と、流出ストリームから非排出可能流出物を除去するために排出導管内に軸方向に離間した関係で配置された3つの充填床と、流出ストリームから非排出可能流出物を除去するために流出処理剤を隣接する充填床間に提供する1つ又はそれ以上の噴霧ジェットと、最上充填床上で前記排出導管内に配置され、大きな液滴で且つ約200から2000ミクロンの間の平均直径を有する流出処理剤を提供し、最上充填床の上側表面から粒子状物質を湿潤させリンスするドリッパーと、を含むことができる。本発明のその他及び別の実施形態を以下で説明する。
【0008】
上記に要約され下記でより詳細に検討される本発明の実施形態は、添付図面に描かれた本発明の例示的な実施形態を参照することにより理解することができる。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態を単に例示しており、従って、本発明の範囲の限定とみなすべきではなく、本発明において同様に効果的な他の実施形態の存在を認めることができる点に留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の幾つかの実施形態による処理装置の概略側面図を示す。
【図2】本発明の幾つかの実施形態によるスクラビング処理装置の概略側面図を示す。
【図3A】本発明の幾つかの実施形態によるドリッパーの底面図を示す。
【図3B】本発明の幾つかの実施形態によるドリッパーの端面図を示す。
【図3C】本発明の幾つかの実施形態によるドリッパーの端面図を示す。
【図3D】本発明の幾つかの実施形態によるドリッパーの端面図を示す。
【図4A】本発明の幾つかの実施形態によるドリッパーの底面図を示す。
【図4B】本発明の幾つかの実施形態によるドリッパーの端面図を示す。
【図4C】本発明の幾つかの実施形態によるドリッパーの端面図を示す。
【図5】本発明の幾つかの実施形態による運動インパクタ及びモイスチャトラップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするために、各図面で共通の同じ要素を示す際に可能な限り同じ参照符号を使用している。図面は、縮尺通りに描かれておらず、明確にするために簡略化する場合がある。1つの実施形態の要素及び特徴は、別途記載のない限り他の実施形態に有利に導入することができる。
【0011】
本明細書では、流出物の改善された処理装置が提供される。本発明の装置は、有利には、排出中の流出ストリームからの粒子状物質の除去効率を維持及び/又は向上させながら、有害ガスの捕集を改善する。
【0012】
図1は、本発明の幾つかの実施形態による、処理システム100の概略側面図を描いている。例示的な処理システム100は、除去システム104に結合されたプロセスチャンバ102を含む。除去システム104は、残留流出物を環境に放出する前に、プロセスチャンバ102からの排出中の流出ストリームを処理して、流出物から粒子状物質及び/又は有害ガスを除去するよう構成される。
【0013】
プロセスチャンバ102は、半導体、フラットパネル、光起電素子、有機発光ダイオード(OLED)、微小電子機械システム(MEMS)、或いは他のシリコン又は薄膜処理システムの1つ又はそれ以上など、何れかの好適なプロセスチャンバとすることができる。プロセスチャンバ102は、前述の処理システムに関連するエッチング、堆積、プラズマ、又は何れかの好適なプロセスに合わせて構成することができる。例示的な非限定的プロセスチャンバは、カリフォルニア州Santa Clara所在のApplied Materialsから入手可能な太陽光用AKT(登録)60K、CVD用PRODUCER(登録)eHarp、又はエッチング用ENABLER(登録)E5を含むことができる。
【0014】
プロセスチャンバ102からの排出中の流出ストリームは、例えば、適切な導管、ポンプ、バルブ、又は同様のもの(図示せず)を介して除去システム104に配向される。除去システム104は、流出物からの有害ガス及び/又は粒子状物質など、流出物から望ましくない成分を除去することなどにより、流出物を環境に安全な材料に変換する。
【0015】
除去システム104は、例えば、プロセスチャンバ104であるプロセスチャンバからの流出物を受け取って処理する何らかの好適な除去システムとすることができる。除去システム104を利用して、単一のプロセスチャンバ又はツール、或いは複数のプロセスチャンバ及び/又はツールを排除することができる。除去システム104は、流出物の処理、並びに該流出物を毒性の少ない形態に変換するプロセスに、例えば、熱、湿式スクラビング、乾式スクラビング、触媒、プラズマ、及び/又は同様の手段を用いることができる。除去システム104は更に、プロセスチャンバ又は複数のプロセスチャンバから特定のタイプの流出物を処理する複数の除去システム、又は除去される流出物を有する他の処理設備を含むことができる。1つの例示的な除去システムは、カリフォルニア州Santa Clara所在のApplied Materialsから入手可能なMARATHON(登録)システムとすることができる。
【0016】
除去システム104は、熱反応器106(すなわち、燃焼反応器)、水クエンチング装置108、分離タンク110、及びスクラビング処理装置112を含むことができる。例えば、可燃物及び炭化水素、シラン、フッ化炭素、水素、ハロゲン、ドーパント、又は同様のものなどの流出物を含む流出ストリームは、プロセスチャンバ102からの排出時に除去システム104の熱反応器106に流入することができる。熱反応器106は、例えば、酸素(O2)のような酸素含有ガスの雰囲気中で飽和炭化水素のような流出物を燃焼させて、二酸化炭素(CO2)及び水を形成することができ、これらは環境に放出することができる。更に、熱反応器106は、同様の雰囲気中でシラン、炭化水素、ハロゲン、ドーパント、又は同様のものなどの流出物を燃焼させ、有害ガス(フッ素、塩素、塩化水素、フッ化水素(HF)、テトラフルオロシラン(SiF4)、二酸化ケイ素(SiO2)、金属酸化物、又は同様のものの1つ又はそれ以上など)及び/又は粒子状物質(シリカ(SiO2)、ガラス、金属酸化物、有機物、炭素、又は同様のものなど)などの非排出可能な流出物を形成する可能性があり、これらは、排出中の流出ストリームから除去して、環境に放出されないようにしなければならない。本明細書で使用する用語「非排出可能な流出物」とは、例えば、環境上及び/又は安全上の規制に起因して排出することが望ましくない流出物を意味し、排出できない流出物ではない。
【0017】
次に、熱反応器106により処理される流出ストリームは、水クエンチング装置108に流入することができ、ここで水噴霧又は同様のものなど、水との接触によって流出ストリームが冷却される。水クエンチング装置108は、炭化水素のように、水素(H2)及び燃料の燃焼により形成されるような蒸気をクエンチして液体水にするよう機能することができる。水クエンチング装置108は更に、約0.1マイクロメートルから約1ミリメートルのサイズの固体のような大型粒子を流出ストリームから除去するよう機能することができる。例えば、大型粒子は、シリカ(SiO2)、金属酸化物、又はメタルハイドライドを含むことができる。残留流出ストリーム(すなわち、水クエンチング装置108により除去されない流出物)は、水クエンチング装置108に結合されたタンク110に流入する。残留流出ストリームは、10ナノメートルから約10マイクロメートルから約1ミリメートルのサイズのもののような、微細粒子状物質及び液滴を含むことができる。これらの微細粒子状物質は、上記で検討した大型粒子状物質と同様の材料を含むことができる。
【0018】
タンク110は更に、残留流出ストリームからの粒子状物質の低減を助けることができる。例えば、幾つかの実施形態において、タンク110は、固体壁又は有孔壁(図示せず)により隔てられた第1のチャンバ及び第2のチャンバを含むことができる。各チャンバには、水が通過することなく又は凝縮可能な水蒸気により接触することなく、流出物が第1のチャンバから第2のチャンバに直接流れるのを防ぐのに十分なレベルまで水が部分的に充填される。
【0019】
第1及び第2のチャンバ間にブロア又は水インダクタ(図示せず)を結合し、第1のチャンバから残留流出ストリームのガス状部分を除去して、これを第2のタンクの水レベルを下回る水に直接噴射させるようにすることができる。ガス状部分は、ディフューザ(図示せず)を介して噴射することができ、該ディフューザは、残留流出ストリームのガス状部分を微細気泡の形態で第2のチャンバの水に放出する。この気泡により、ガス状部分が高表面積を水及び凝縮可能な水蒸気に接触させ、第2のチャンバの水レベルに到達する前に残留物のガス状部分に捕集される粒子状物質を効率的に除去することができる。第2のチャンバは更に、残留流出ストリームのガス状部分の気泡と水との混合を改善するための機械式ファン又は攪拌機(図示せず)を含むことができる。
【0020】
流出ストリームの残留ガス状部分は、タンク110から出てスクラビング処理装置112に流入し、工場排出システム又は環境に排出する前に排出ストリームの残留ガス状部分から何らかの粒子状物質及び/又は有害ガスを更に除去する。
【0021】
図2は、本発明の幾つかの実施形態によるスクラビング処理装置112の概略側面図を描いている。スクラビング処理装置112は、排出中の流出ストリーム204(タンク110から受け取った流出ストリームの残留ガス状部分)を貫流させる排出導管202を含む。排出導管202は、流出ストリームからの有害ガス及び/又は粒子状物質の効率的な除去を可能にする何れかの好適な形状とすることができる。例えば、排出導管202は円筒形とすることができる。排出導管202は、例えば、ステンレス鋼、ポリ塩化ビニール(PVC)、塩素化PVC(CPVC)、高ニッケル合金、ポリプロピレン、ポリビニリデン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又は同様のものなど、除去プロセスと適合する何れかの好適な材料を含むことができる。
【0022】
1つ又はそれ以上の充填床206は、流出ストリーム204からの非排出可能流出物を除去するための排出導管202内に配置することができる(図2には、例示的に3つの充填床206が示されている)。各充填床206は、図2に例示するように間隔を置いて配置することができる。幾つかの実施形態において、充填床206の数は、約2から約10の間とすることができる。排出導管202の中心軸線に沿って定められる各充填床206の長さ208は、約5と約30インチの間とすることができるが、特定の用途における必要又は所望に応じて他の寸法を用いてもよい。幾つかの実施形態において、最上充填床212は、最下充填床214の第2の長さよりも大きい第1の長さを有する。幾つかの実施形態において、最上充填床212の第1の長さは、約10から約15インチの範囲である。幾つかの実施形態において、最下充填床214の第2の長さは、約5から約8インチの間である。幾つかの実施形態において、最上充填床と最下充填床との間の何れかの充填床は、約5から約8インチの間の第3の長さを有する。第3の長さは、第2の長さよりも大きいか又は等しく、第1の長さよりも小さいか又は等しくすることができる(すなわち、最上充填床又は最下充填床の長さに等しいか、又はこれらの間の長さ)。
【0023】
各充填床206は更に、上側及び下側有孔プレート218、219間に配置された複数の非排出可能な流出封鎖物216を含む。非排出可能な封鎖物216は、流出ストリーム204用の蛇行経路を生成するのに必要なあらゆる好適なサイズ及び形状とすることができる。各封鎖物216の形状は、球形、多面体、不規則形、又は同様のものの1つ又はそれ以上を含むことができる。各封鎖物216のサイズは、約1/4インチから約2インチの間の少なくとも1つの寸法(近似的に球形状の平均直径など)を有することができる。各封鎖物216は、高表面積材料(例えば、ゼオライト、アルミナ、スピネル、ガラス、ニッケル、ステンレス鋼、高ニッケル合金、ポリプロピレン、ポリエチレン、PVC、CPVC、PVDF、セルロース、又は同様のもの)、或いはカーボンリング又は同様のものなどの他の材料のような非排出可能流出物を封鎖する何れかの好適な材料又は複数の材料を含むことができる。
【0024】
上側及び下側有孔プレート218、219は、排出導管202内の所定場所に封鎖物216を保持するよう機能することができる。有孔プレート218、219は、排出ストリーム204を貫通させるためにあらゆる好適なサイズ、形状、及びパターンの孔220を含むことができる。このサイズ、形状、及びパターンの孔220を利用して、各充填床における排出ストリームの滞留時間を制御し、スクラビング処理装置206の断面にわたって均一にガス流を分布させることができる。
【0025】
スクラビング処理装置112は更に、排出導管202(図示せず)の壁の内部又は周囲に配置され、或いは排出導管202(図示せず)の断面にわたって配置された複数の噴霧ジェット222を含む。幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の噴霧ジェット222は、各充填床206に隣接して又は各充填床222間に配置することができる。幾つかの実施形態において、1つ又はそれ以上の噴霧ジェット222は、最下充填床214の下に配置することができる。各噴霧ジェット222は、流出処理剤供給源223に結合され、排出中の流出ストリーム204と相互作用して非排出可能流出物をそこから除去する流出処理剤を提供する。流出処理剤は、水(H2O)、腐食剤、酸剤、イオン又は非イオン界面活性剤、凝集剤のうちの1つ又はそれ以上を含むことができる。幾つかの実施形態において、流出処理剤は、水、或いは腐食剤、酸剤、イオン又は非イオン界面活性剤、凝集剤のうちの1つ又はそれ以上が混合された水とすることができる。流出処理剤が水を含む幾つかの実施形態において、水は、真水(補給真水と呼ばれる場合もある)又はタンク110からの再循環水とすることができる。
【0026】
各噴霧ジェット222は、流出処理剤を分配するのに好適な何れかの形状又は構造とすることができる。例えば、各噴霧ジェット222は、噴霧、ミスト、又は同様のものとして流出処理剤を分配するノズル又は他の同様の装置を含むことができる。噴霧ジェット222は、流出ストリーム204との流出処理剤の相互作用を最大限にするのに適合した何らかの好適な構成で排出導管202の壁付近に向けることができる。例えば、図2に示すように、隣接する充填床206間の排出導管202の壁付近に複数の噴霧ジェット222を配置することができる。
【0027】
幾つかの実施形態において、噴霧ジェット222は、流出処理剤の噴霧の強さ又は流量を変えるよう調整可能とすることができる。幾つかのプロセスレシピにおいて、又はアイドルモード中に、例えば、再循環水の流量及び真水流の付加は、時間又はプロセスステップの関数として変えることができる。一部の動作条件において、微細ミスト又は代替的にスクラビング流体(例えば、流出処理剤)の大きな液滴は、導管に沿った種々の軸方向位置において用いることができる。給水圧を変化させることにより、噴霧パターンの形状を動的に制御することができる。幾つかの実施形態において、最下充填床214の上に配置される噴霧ジェット222は、微細ミストを提供するよう構成することができる。スクラビング処理装置112に沿って連続する充填床の上に配置される噴霧ジェットのセットは、徐々に増大する粗い(すなわちより大きい)平均液滴サイズを提供することができる。発明者らは、流出処理剤の微細ミスト又は何れかの高表面積分布がシリカ(SiO2)又は同様のものなどの微細粒子の流出ストリーム204からの封鎖を改善することを発見した。しかしながら、発明者らは更に、このような微細ミストは、望ましくないことに、流出ストリームに沿ってスクラビング処理装置112から出て大気へ、或いは、特にスクラビング処理装置112の下流側端部付近に設けられている場合には、他の除去後流出処理装置へ運ばれる可能性があることが分かった。従って、漸次的に粗くなる噴霧ジェットの構成では、噴霧液滴のより大きな質量に起因して、流出ストリームにおいてスクラビング処理装置112から外に運ばれる流出処理剤の可能性が低下することにより粒子状物質の低減を可能にすることができる。
【0028】
流出処理剤の液滴がスクラビング処理装置112から外に運ばれる可能性を低減するのを助けるために、幾つかの実施形態において、噴霧ジェット222を下流側に設けることなく最上充填床212をデミスタとして設けて用いることができる。幾つかの実施形態において、ドリッパー224は、最上充填床212の上に配置することができる。ドリッパー224は、最上充填床212の上の排出導管202に配置することができる。ドリッパー224は、流出ストリーム204の流れ方向と反対に流出処理剤を提供し、非排出可能流出物を除去することができる。ドリッパー224は、噴霧ジェット222により提供される微細ミスト又は粗い噴霧ではなく、流出処理剤の大きな液滴(例えば、ドリップ)を提供することができる。ドリッパー224からの大きな液滴は、上側充填床を覆い、噴霧からのミストを生成することなく湿潤表面を生成することができる。幾つかの実施形態において、噴霧又は微細ミストは、約0.1から10ミクロンの平均液滴サイズを有するものとして定義することができ、スクラビング処理装置の上部付近で使用される大きな液滴は、約200から2000ミクロンの範囲とすることができる。発明者らは、流出処理剤のより粗いドリップを提供することにより、流出ストリーム204からフッ化水素(HF)又はテトラフルオロシラン(SiH4)など、有害ガスの封鎖を更に改善すると同時に、反応器より下方で又はスクラビング処理装置112においてより低く(例えば、上流側)生成される微細ミストからの持ち越しが低減されることが分かった。
【0029】
幾つかの実施形態において、ドリッパー224は、排出導管202の壁から且つその直径にわたって延びる第2の導管226を含む。第2の導管226は、排出導管202にわたって完全に延びることができ(排出導管202の両側により支持することができる)、又は、排出導管202に片持ちにされ、排出導管202の片側のみで支持することができる(図2に示す)。第2の導管226を含むドリッパー224の実施形態は、図2及び図3A〜Bに示す。
【0030】
図3Aは、本発明の幾つかの実施形態による第2の導管226の底面図を描いている。第2の導管226は、接近する流出ストリームに面する第2の導管226の一方側304に配置された複数の出口302を含み、そこから流出処理剤を提供する。幾つかの実施形態において、出口302の少なくとも1つは、排出導管226の中心軸線210に対して角度が付けられる。
【0031】
複数の出口302、及びこれらの変化する直径及び幾何形状は、均一な液滴噴霧パターン及び排出導管226の形状におおよそ一致する位置関連の流体流量を提供するよう構成することができる。例えば、図3Aに示すように、複数の出口302は、第2の導管226の中心軸線に垂直に配置された複数の列306で構成することができる。各列306は、その側面304に面する流出ストリーム上で第2の導管226の外周に沿って部分的に延びることができる。
【0032】
出口の数及び/又は列306の出口302間の間隔は、所望の噴霧パターンを提供するように第2の導管226に沿った異なる列306間で変えることができる。例えば、出口の数及び/又は出口302間の間隔は、排出導管202の壁に近接する列306から、排出導管202の中心軸線210に近接する列306まで増大することができる。幾つかの実施形態において、図3Aに示すように、排出導管202の壁付近の列からその中心軸線210付近の列まで、各列306における出口302の数は増大し、各列306における各出口302間の間隔が増大する。
【0033】
各列306における出口302の間隔は、例えば、図3B〜Dに示すように、各列306における1つ又はそれ以上の出口302の角度を変化させることにより変えることができる。例えば、図3B〜Dは、ドリッパー224の異なる列306を貫通する線に沿った第2の導管226の断面図を描いている。
【0034】
図示のように、各列306は、例示的に、1つの出口(図3B)、2つの出口(図3C)、又は3つの出口(図3D)を含むことができる。列毎に又は第2の導管226に沿った他の数の出口又はその変形形態が企図される。1つの出口列は、排出導管226の中心軸線210に平行に向けられた1つの出口302を含むことができる。2つの出口列は、排出導管226の中心軸線210に対して対称的に角度が付けられた2つの出口302を含むことができる。幾つかの実施形態において、2つの出口列の各出口302は、排出導管の中心軸線に対して約45℃又はそれ未満の角度を付けることができる。3つの出口の列は、3つの出口を含むことができ、ここで1つの中心出口は、排出導管の中心軸線に対して平行に向けられ、排出導管の中心軸線に対して対称的に角度が付けられた2つの出口の間に配置される。幾つかの実施形態において、3つの出口列のうちの各角度付き出口は、排出導管の中心軸線に対して約30から約60度の間の角度を付けることができる。
【0035】
図4A〜Cは、本発明の幾つかの実施形態によるドリッパー224の代替の実施形態を描いている。例えば、図4Aにおいて、ドリッパー224は、最上充填床212の上の排出導管226に中心配置されたシャワーヘッド402を含む。第2の導管226と同様に、シャワーヘッド402は、例えば、排出導管226の形状に一致する、所望のパターンで流出ストリーム204の流れ方向と反対の所望の流量及び液滴サイズで流出処理剤を提供することができる。シャワーヘッド402は、そこから流出処理剤を提供するための複数の出口404を含む。幾つかの実施形態において、出口404の少なくとも一部は、排出導管226の中心軸線210の周りで半径方向に配置され、図4B〜Cのシャワーヘッド402の底面図及び側面図に示すように該中心軸線210に対して角度が付けられる。幾つかの実施形態において、少なくとも1つの出口404は、排出導管の中心軸線210に沿って且つこれに平行に半径方向で配置される。
【0036】
図2を参照すると、幾つかの実施形態において、湿分抑制装置228は、スクラビング処理装置112の排出導管202の出口に近接した最上充填床212(又は、存在する場合はドリッパー224)の下流側に配置することができる。湿分抑制装置228は、流出ストリームの湿気を完全に乾燥させ又は低減するために室内空気又は冷温乾燥空気を提供することができる。例えば、湿分抑制装置228は、1つ又はそれ以上の入口230を有することができ、該入口は、空気源232に結合され、空気を流出ストリーム204に提供することができる。上述のように、空気源232は、流出ストリーム204に室内空気又は冷温乾燥空気を提供することができる。
【0037】
作動時には、幾つかの実施形態において、図2を参照し、有害ガス及び/又は粒子状物質を含む排出中の流出ストリーム204は、排出導管202に流入し、最下充填床214の前に配置される複数の噴霧ジェット222により提供される流出物処理剤の噴霧及び/又はミストに曝される可能性がある。次いで、流出ストリーム204は、最下充填床214に流入し、ここで流出ストリーム204が流出封鎖物216の蛇行経路を通って移動し、ここで、有害ガス及び/又は粒子状物質が流出ストリーム204から除去される。流出ストリーム204は、最下充填床214から流出し、最上充填床212の上に配置された複数の噴霧ジェット222により提供される流出処理剤で再度処理される。幾つかの実施形態において、噴霧ジェット222により提供される流出処理剤の各連続する処理は、前の処理よりも粗い噴霧にし、流出ストリーム204に同伴される微細噴霧液滴の量を制限することができる。流出ストリーム204は、幾つかの実施形態においては、最上充填床212の上のドリッパー224により提供される流出処理剤の大きな液滴ドリップと合流するまでは、蛇行経路において複数の充填床206を通って上方に連続して流れる。ドリッパー224により提供される大きな液滴は更に、環境又は工場の排出システムに放出される前に流出ストリーム204から有害ガスの封鎖を助けることができ、流出ストリームの流れによってスクラビング処理装置112から外に運ばれる可能性がある流出処理剤の小滴を提供することもない。幾つかの実施形態において、湿分抑制装置228により室内空気又は低温乾燥空気を残留流出ストリームに提供し、流出ストリームを更に冷却及び乾燥させることができる。
【0038】
幾つかの実施形態において、流出ストリーム204は、環境又は工場の排出システムに放出される前に、スクラビング処理装置112の下流側(又は、スクラビング処理装置112の排出導管202の下流側端部、例えばドリッパー224(存在する場合)及び湿分抑制装置228(存在する場合)の下流側)に配置された任意選択のモイスチャトラップ500を通って流れることができる。図5は、本発明の幾つかの実施形態による運動インパクタ及びモイスチャトラップ500を描いている。運動インパクタ及びモイスチャトラップ500は、除去排出物とインラインで(例えば、スクラビング処理装置112の排出導管202とインラインで)配置された第1の導管501を含む。フランジ510は、設置及び取り外しを容易にするために第1の導管501の両端部に設けることができる。幾つかの実施形態において、第1の導管501、並びに運動インパクタ及びモイスチャトラップ500全体は、省スペースでの使用を可能にするよう垂直方向で小さな占有面積を有することができる。例えば、幾つかの実施形態において、第1の導管501は、約12インチの長さ512を有することができる。
【0039】
第2の導管502は、僅かに高い角度で第1の導管501に流体結合される。幾つかの実施形態において、第2の導管502は、約2から3フィートの間の長さを有することができる。中心ダイバータ隔壁504を第2の導管502内に配置し、長い/蛇行した流路の周りの流出ストリーム204を導管501に流出させることができる。隔壁504は、流出ストリーム204からの湿分(例えば、水蒸気)を凝縮させる表面を提供する。凝縮されると、捕集された湿分は、隔壁504と第2の導管502のベースとの交点に近接して該隔壁504内に配置されたドレイン506を介して排出導管202に流して戻すことができる。幾つかの実施形態において、フランジ508は、第2の導管502の外側端部(ベースと反対側)に設けることができる。フランジは、運動インパクタ及びモイスチャトラップ500の洗浄における検査及び/又は接続用のモイスチャトラップ500への視点を提供することができる。
【0040】
幾つかの実施形態において、モイスチャトラップを流れる流出物を冷却するために冷却ジャケット514を設けることができる。冷却ジャケットは、第2の導管502の表面から熱を除去するため、第2の導管502の周りに巻かれる冷却コイル516を含むことができ、その結果、流出物から第2の導管502の冷却表面への熱伝達を向上させることができる。
【0041】
以上のことから、本明細書では改善された流出物処理装置が提供される。本発明の装置は、有利には、排出中の流出ストリームからの粒子状物質の除去効率を維持しながら、有害ガスの捕集を改善する。
【0042】
上記では本発明の実施形態に関連していたが、その基本的範囲から逸脱することなく、本発明の他の実施形態及び別の実施形態を考案することができる。
【符号の説明】
【0043】
112:スクラビング処理装置
204:排出中の流出ストリーム
202:排出導管
206:充填床
208:充填床206の長さ
212:最上充填床
214:最下充填床
218、219:上側及び下側有孔プレート
216:非排出可能な流出封鎖物
222:噴霧ジェット
224:ドリッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流出ストリームが貫通して流れる排出導管と、
前記流出ストリームから非排出可能流出物を除去するために前記排出導管内に配置される複数の充填床と、
前記流出ストリームから非排出可能流出物を除去するために流出処理剤を隣接する前記充填床間に提供するよう構成された1つ又はそれ以上の噴霧ジェットと、
最上充填床上で前記排出導管内に配置され、大きな液滴の流出処理剤を提供して、微細液滴を実質的に形成することなく前記最上充填床の上側表面から粒子状物質を湿潤させリンスするドリッパーと、
を備えた除去システム。
【請求項2】
前記ドリッパーが更に、前記最上充填床上で前記排出導管内に配置され、前記流出処理剤を提供する複数の出口を有するシャワーヘッドを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記排出導管の壁から延びる第2の導管を更に備え、
前記第2の導管が、該第2の導管の上流側に面する側部上に配置されてそこから前記流出処理剤を提供する複数の出口を有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の出口が、前記排出導管の全体形状に一致する噴霧パターンを提供するよう構成される、
請求項2から3に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の出口が、前記第2の導管の長さに沿って複数の列で配置され、該各列は、前記上流側に面する側部上で前記第2の導管の外周に沿って部分的に延びており、前記列の数は、前記排出導管の壁に近接する位置と、前記排出導管の中心軸線に近接する位置との間で前記第2の導管の長さに沿って増大する、
請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記各列が、1つの出口、2つの出口、又は3つの出口を含み、前記各1つの出口の列が、前記排出導管の中心軸線に平行に向けられた1つの出口を有し、前記各2つの出口の列が、前記中心軸線に対して対称的に角度が付けられた2つの出口を有し、前記各3つの出口の列が、前記中心軸線に平行に向けられ、且つ前記中心軸線に対して対称的に角度が付けられた2つの出口の間に配置された1つの中心出口を有する、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記ドリッパーが、約200ミクロン以上の平均直径を有する流出処理剤の液滴を提供し、微細液滴が約0.1から10ミクロンの間の平均直径を有する、
請求項1から6の何れかに記載のシステム。
【請求項8】
前記ドリッパーが、約200から2000ミクロンの間の平均直径を有する流出処理剤の液滴を提供し、微細液滴が約0.1から10ミクロンの間の平均直径を有する、
請求項1から6の何れかに記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の充填床が、合計で約2から約10の数にすることができる、
請求項1から8の何れかに記載のシステム。
【請求項10】
前記各充填床の軸方向長さが約5から約30インチの間である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記最上充填床が、最下充填床の軸方向長さよりも大きい軸方向長さを有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記最上充填床の軸方向長さが、約10から約15インチの間であり、前記最下充填床の軸方向長さが、約5から約8インチの間である、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記流出処理剤が、水(H2O)、腐食剤、酸剤、イオン又は非イオン界面活性剤、凝集剤、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項1から12の何れかに記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の充填床が、前記排出導管内に軸方向に離間した関係で配置された3つの充填床であり、前記ドリッパーは、約200から2000ミクロンの間の平均直径を有する大きな液滴の流出処理剤を提供して、前記最上充填床の上側表面から粒子状物質を湿潤させリンスするよう構成される、
請求項1から13の何れかに記載のシステム。
【請求項15】
流出物を受けて燃焼するよう構成された燃焼チャンバと、
前記燃焼チャンバの下流側に配置され、前記燃焼チャンバから流れる流出物をクエンチするクエンチング装置と、
前記クエンチング装置の下流側に配置されて該クエンチング装置から流れる流出物を受ける分離タンクと、
を備え、
前記排出導管、前記複数の充填床、前記1つ又はそれ以上の噴霧ジェット、及び前記ドリッパーが、前記分離タンクから流れる流出物を受けるための前記分離タンクの下流側に配置されたスクラビング処理装置112の一部である、
請求項1から14の何れかに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−508105(P2012−508105A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535680(P2011−535680)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2009/063523
【国際公開番号】WO2010/054175
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】