説明

流動体流の相互衝突による流動体の噴霧化

本発明は1つまたは複数の流動体を噴霧化する分野に関する。流動体流の衝突が生じ、衝突が流動体の噴霧化を提供するように1つまたは複数の流動体流が流れるという、本発明の様々な態様が開示されてきた。噴霧化を提供するための様々なデバイスおよび方法が開示され、それらの少なくともいくつかは噴霧化される流動体の最大量と最小量の間の大きな範囲を提供する。流動体流は例えば衝突の前に0.1 mmオーダーの横断面を有してもよく、衝突後にもたらされる液滴は0.01 mmオーダーの横断面を有してもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流動体の噴霧化、および特にノズルから放出された流動体の噴霧化に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
流動体の噴霧化は例えば、噴霧化する流動体を気体と混合することによって行われる。噴霧化に気体を使用すれば、必然的にこの気体を噴霧化された流動体の流れに導入することになり、実際に実行する多くの場合、そのような流動体の混合は非常に望ましくない。尿素の噴霧化に関する本発明の局面の一つに関連して、噴霧化は以前は加圧した空気を用いて実施されてきた。これに関連して、空気の存在は、流路を遮断する傾向がある結晶の成長を開始するであろうことが見出されてきた。さらに不利な点は、空気の大量消費である。
【発明の開示】
【0003】
発明の概要
本発明の目的は、1つもしくは複数の流動体流の形態にある1つまたは複数の流動体、好ましくは液体を噴霧化することである。流動体流の衝突が生じ、衝突が流動体の噴霧化を提供するように1つまたは複数の流動体流が流れるという本発明の様々な局面および好ましい態様によって、この目的は達成されてきた。噴霧化とは、好ましくは流動体流が液滴などのより小さな単位に分解されることを意味する。流動体流は例えば衝突の前に0.1 mmオーダーの横断面を有してもよく、流動体流間の衝突後にもたらされる液滴は0.01 mmオーダーの横断面を有してもよい。しかしながら、記載される寸法のより小さな値およびより大きな値の両方が、本発明の範囲内で可能である。
【0004】
流動体は好ましくは、液体または気体を意味する。しかしながら、本発明の態様を用いて、固体粒子をより小さな粒子に分解してもよい。そのような態様について、「流動体流」は、より小さな単位に分解される「固体粒子の流れ」の意味を含むと理解されてもよい。
【0005】
本発明は第一の局面において、以下の段階を含む1つまたは複数の流動体の噴霧化の方法に関する:加圧された流動体がそれぞれ方向を持つ1つまたは複数の出口を通るよう導き、それによって1つまたは複数の出口から放出された流動体流が、1つまたは複数の出口からある程度距離をおいて衝突し、流動体の噴霧化を提供する段階。この表現が、出口を通って流れる流動体の流れが衝突するように、下流方向に円錐形および先細る流動体流を生成する出口もカバーすることを留意すべきである。
【0006】
好ましくは出口の1つまたは複数を、1つまたは複数の遮断バルブを含む流動システムに接続する。
【0007】
流動体は好ましくは、間欠的に、拍動様式で、連続的様式で、またはそれらの組み合わせで1つまたは複数の出口を通過する。これは、噴霧化された流動体の量を容易に制御し得るという利点を有する。
【0008】
好ましい態様において、流動体を間欠的および/または拍動的に1つまたは複数の出口を通過させることは、1つまたは複数の遮断バルブの開閉によって提供される。
【0009】
衝突およびそれによる噴霧化を確実にし得るように、流動体は好ましくは、同調性様式で1つまたは複数の出口を通過する。
【0010】
不均衡ではない噴霧化された流動体の噴霧を確実にするように、好ましくは、互いに衝突する流動体流は、実質的に同じ運動エネルギーを有する。加えてまたはそれに組み合わせて、互いに衝突する流動体流は好ましくは、実質的に同じ質量流および速度を有する。
【0011】
本発明の好ましい態様において、1つまたは複数の出口から出る少なくとも2つの流動体流は1つの平面上を流れる。これは、流動体流が互いに中央で衝突し得るような、効果的な噴霧化を提供し得る。
【0012】
本発明の方法は好ましくは、流動体を出口のいくつかまたは全てを通過させることによって、噴霧化された流動体の量を変化させる様式で、加圧した流動体を、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上の出口など複数の出口のいくつかまたは全てを選択的に通過させる段階を含んでもよい。それによって、噴霧化された流動体の量の制御を制御してもよい。
【0013】
1つまたは複数の出口を、好ましくは少なくとも2つの噴霧化された噴霧が提供されるように配置する。少なくとも2つの噴霧は好ましくは、平行または交差のいずれかの方向で進むように、出口の配向によって提供される。
【0014】
本発明の特に好ましい態様において、噴霧化は燃焼機関、好ましくはディーゼル燃焼機関またはガスタービンの排気システムにおいて実行され、この場合噴霧化される流動体は好ましくは尿素である。
【0015】
尿素の噴霧化により、尿素と排気ガスは、尿素が流体または大きな液滴など他の形態で供給される場合よりも、よりよく混合される。噴霧化は、尿素とNOxガスとの間の化学反応を改善することができ、それによって環境へのNOxガスの放出が最小限に抑えられることを意味する。
【0016】
本発明の第一の局面は、本発明の第二の局面による1つまたは複数のノズルによって有利に実施される。
【0017】
本発明は第二の局面において、1つまたは複数の流動体流の噴霧化のためのノズルに関し、ノズルは入口および1つまたは複数の出口を含み、1つまたは複数の出口から放出される流動体流が衝突するように1つまたは複数の出口を配置する。この表現が、出口を通って流れる流動体の流れが衝突するように、下流方向に円錐形および先細る流動体流を生成する出口もカバーすることを留意すべきである。流動体流は1つまたは複数の流動体ラインから供給してもよく、流動体の1つまたは複数は加圧されてもよい。流動体流が噴霧化の間または噴霧化後に混合されることが、流動体流間の衝突のさらなる目的であってもよい。
【0018】
好ましい態様にしたがって、ノズルは、出口の1つから放出される流動体流が別の出口から放出される流動体流と衝突するように配置された少なくとも2つの出口を含んでもよい。または、ノズルは少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5つの出口、少なくとも6つの出口を含んでもよい。
【0019】
全ての出口は、好ましくはノズルに入る流動体を分割し、出口へ導く中間流路によって入口と接続される。好ましくは中間流路は、実質的に均一な様式で流動体を出口へ導き、分割する。
【0020】
流路の横断面は、円形または正方形など任意の形状を有してよい。さらに横断面は、流路全体を通して同じであっても、形状および/またはサイズが異なっていてもよい。流路の横断面は、出口末端よりもノズルの入口におけるより広い総流路横断面積を有することによって、流動体に圧力を加えるように設計してもよい。
【0021】
出口は好ましくは、30〜100°、例えば70〜95°、好ましくは90°の角度で、少なくとも2つの出口から放出される流動体流が互いに衝突するよう配置される。しかしながら、流動体流の衝突を確実にする全ての角度が、本発明の範囲内で可能である。角度はノズルの全ての出口流路に対して同じであってよいが、出口流路は、いくつかの流動体流がある角度で衝突し、他の流動体流が少なくとももう1つの角度で衝突するよう配置してもよい。さらに角度は、固定されていても、または例えばそれによって出口流路のいくつかを遮断できる閉鎖手段をノズルに含めることにより確立される変化する角度によって変化してもよい。
【0022】
出口の1つまたは複数は好ましくは、入口と流体連結される出口流路を規定する穴の末端によって規定される。これらの出口流路は好ましくは、中間流路によって入口と接続されるか、または入口流路と流体連結されるノズルの腔に接続されてもよい。
【0023】
好ましくは、出口から放出される流動体流の横断面積は、0.005〜0.05 mm2の範囲、例えば0.01〜0.03 mm2の範囲、好ましくは0.02 mm2である。
【0024】
好ましい態様において、ノズルは少なくとも4つの出口を含み、そこから放出される流動体が第一の角度で衝突するように出口の2つが配置され、そこから放出される流動体が第二の角度で衝突するように出口の他の2つが配置され、第一と第二の角度は互いに異なる。しかしながら、そこから放出される流動体流が、対でまたは3以上の群で、任意の角度で衝突するように、ノズルは任意の数の配置された出口流路を含んでもよい。
【0025】
別の好ましい態様において、1つまたは複数の出口は、ノズルを出る流動体が流れの方向に先細る円錐形状を有する流動体流内へ出るよう配置されたスロットを含む。スロットは、円錐形の穴および穴内に配置した対応する円錐形要素として提供してもよい。要素の長軸方向の位置を調節することができ、それによってスロットのサイズを調節することができるように、円錐形要素を調節可能に配置してもよい。これは、ノズルを出る流動体量の調節の可能性を提供する。要素は追加の出口流路をさらに含んでもよい。
【0026】
好ましくは、本発明のノズルは、濾過手段および/または加熱手段を含んでもよい。これらの手段を用いて、ノズルを通過する1つまたは複数の流動体を濾過および/または加熱してもよい。
【0027】
本発明のノズルは、1つまたは複数のバルブ手段をさらに含んでもよい。そのようなバルブ手段は、出口の1つまたは複数を通る流れを遮断するよう適合され、噴霧化される流動体量を制御する、および/またはノズルを流れる流動体を完全に遮断してもよい。これによって、ノズルを通る拍動性および/または間欠的な流れを提供してもよい。
【0028】
本発明の第三の局面に従って、液体尿素を燃焼機関またはガスタービンからの排気ガスと混合するシステムを提供する。本局面による態様において、上記のノズルの使用によって、尿素は排気ガス内に添加され、噴霧化される。
【0029】
本発明の態様において、ノズルは燃焼機関またはガスタービンの排気システムの管の中央に配置してもよい。別の態様において、燃焼機関の排気システムの管壁に沿って、複数のノズルを円周上に分布してもよい。噴霧化した流動体を、流れの方向に、または流れの方向に垂直など排気ガスの他の任意の方向に送達するように、1つまたは複数のノズルを配置してもよい。1つまたは複数のノズルを、本発明の範囲内で排気システムの管に関して任意の位置に配置してもよい。
【0030】
好ましい態様の詳細な説明
図1は、流動体の2つの流れを衝突させることによって流動体を噴霧化する総体的な原理を図式化して示す。総体的な原理に従って、流動体はいくつもの流れに分けられ(図1に示す例では2つの流れに分けられる)、それぞれが運動エネルギーを与えられる。流れの実質的に逆方向性の速度成分が存在する状態で流れが衝突する場合、図中に点で示される小さな液滴のサイズを有する噴霧へと流れが離散するように、運動エネルギー量は流れに与えられる。これは、噴霧化に言及する本文脈における。可能な最良の噴霧化を提供することを目的とする場合、例えば流動体の2つの流れが平面内にある図1の例において、流動体の各流れが互いに中央で「ぶつかる」噴霧化プロセスに必須である。さらに流れの質量流と速度の間のバランスは、不均衡ではない噴霧を提供するために存在するべきである。
【0031】
逆方向性の速度成分の規模は、他の因子の中でも流動体流間の角度に依存する。例えば60°など角度が小さい場合、流動体流の噴霧化はより少なく、得られる噴霧は流動体流速度のベクトル和の方向に実質的な速度を有するであろう。例えば120°など角度が大きい場合、小さな液滴は流動体流の方向の上流に飛ばされる;これは図1に示される。流動体流がノズルによって提供される場合、飛ばされて戻る液滴は、結果として流体膜および/または液滴として、ノズル上の流動体の沈殿となり得る。
【0032】
図2は、2つの流動体流が2つの別個のしかし類似の、例えば同一のノズル1によって提供される図1に関連して開示されるシナリオを図式化して示す。2つのノズルは、流動体と共に1つの加圧された供給源(図示せず)から供給され、それによって2つのノズル1が、類似の、例えば等しい速度と共に、類似の、例えば等しい質量流を有する流動体流を提供することを容易に保証する。
【0033】
図3は、流出する流動体流が互いに衝突し、それによって流動体が噴霧化するよう配置された2つの流路に流動体の流れを通すことによって、流動体を噴霧化する総体的な原理を図式化して示す。流動体を、典型的に加圧された1つの流動体ラインから供給されるものとして図示する。しかしながら、本発明を用いて、異なる流動体供給源からノズルへ導かれる2つ以上の異なる流動体を噴霧化し、同時に混合してもよい。
【0034】
図3を参照すると、ノズル1は、噴霧化される流動体がそこを通ってノズル1へ流れ込む入口流路2を含む。入口流路2は、図3における位置aで2つの中間流路3aおよび3bに分岐し、それによって流動体が2つの異なる出口流路4aおよび4bへ導かれる。流路2、3、および4は、ノズル1の入口5からノズルの出口6aおよび6bへの流れを規定する流路を構成する。図3に示すように、出口流路4aおよび4bは、中間流路3aおよび3bと連続している。本発明にしたがって出口流路4aおよび4bは、互いに衝突するような流動体の流れの方向を提供する流路として概ね規定される。
【0035】
上記のように、不均衡でない噴霧を提供するために2つの流動体流間のバランスが存在すべきである。図3で開示したような態様において、分岐点aと出口6aおよび6bとの間の流動抵抗性を保証するために、それらの寸法はそれぞれ、2つの流路に対して等しく大きく作製される。これによって、2つの流動体流の速度および質量流は、同様、例えば等しくなるであろう。
【0036】
出口6aおよび6bを出る流動体は、図3において細い線で示され、それはノズルからある程度距離をおいて流動体が衝突し、その衝突が主に下流方向に伸びる扇形の点の集合により示されるように噴霧化をもたらすことを示す。
【0037】
ノズル内の流路の横断面は、ノズルを作製するのに用いられる実際の製造工程に関連し得る任意の形状を有してもよい。横断面は好ましくは円形であり、次いで以下に言及する寸法は横断面の直径を指す。他の形状について、寸法は正方形の横断面の辺長のような特性尺度を指す。
【0038】
流路2、3、および4の寸法は、ノズルの実際の使用およびそれによって噴霧化される流動体量にしたがって選択される。典型的な態様において、流路の横断面は0.1 mmオーダーの直径を有する円形である。
【0039】
しかしながら、ノズルを出る流動体量は大体において、出口6aおよび6bのサイズならびに出口6aおよび6bに渡る圧力差によって決定されるであろう。したがって、流路2、3、および4が出口より広い横断面を有し、出口6aおよび6bに渡る圧力差ならびにその横断面積によって決定される噴霧化される流動体量を提供し得ることが予想される。
【0040】
衝突する流動体流は、上記のように噴霧化されるために十分な運動エネルギーを有するべきである。本発明のいくつかの適用において、最小の質量流が最大質量流の1%の低さであり得るように、噴霧化される質量流は典型的に少なくとも1桁変動するであろう。低い質量流では、噴霧化が全く生じないかほとんど生じない程運動エネルギーは小さいだろう。特に、最大値の1%の質量流がノズルに持続的に供給された場合、流動体流に存在する質量単位ごとのエネルギー量は、最大質量流での流動体流に存在するエネルギー量の0.01%未満であろう。そのような少量のエネルギーは、流動体を噴霧化するのに不十分であろう。高い流速で共時性流動体流を間欠的にのみ提供することによる本発明によって、この問題は解決されてきた(図4を参照されたい)。そのような場合、分岐点aと出口6aおよび6bとの間の流動抵抗性ならびにそれらの寸法がそれぞれ、2つの流路に対して等しく大きく作製されることは十分ではない可能性がある。流動体流のパルスの開始および停止時の大きな液滴の形成を回避するために、例えば分岐点aと出口6aおよび6bとの間(図3を参照されたい)に限定される2つの一連の流動体の質量は、同様、例えば同一であることをさらに保証しようとすべきである。そうでなければ、一連の流動体の一方は他方より早く加速および減速する可能性があり、一連の流動体の一端がもう一方の一連の流動体とぶつからない図4bに示す状況が起こり得る。
【0041】
いくつかの態様において、本発明の1つまたは複数のノズルは、バルブ、典型的に電磁バルブを介して流動体の加圧された供給源に接続される。または、バルブはノズルに含まれる。供給源とノズルの出口の間の流路は概して、管、付属品、封着などにおける弾力性、および流路に存在する小さな気泡により理想的には固くない。例えば柔らかい接続部および大きな気泡により弾力性が大きすぎる場合、流動体の流れの終結時に流路内の圧力の低下が遅すぎ、流動体は流れ続けるが、噴霧化を提供するには運動エネルギーが小さすぎ、その結果ノズルの出口に近いノズルの表面上に液滴が生成されるであろう。弾力性がさらに大きい場合、流れは急速に停止し、減速によって圧力が低下し、それがノズルの外部に蓄積した流動体をノズル内に吸い戻し、液滴の形成を回避することができるであろう。
【0042】
または図1に示す態様において、入口流路2は分岐点を含む代わりに、図3に示すものと類似の入口流路を介して入口5と流体連結するノズル内の腔によって形成されてもよい。そのような腔2aの例を、図8に図示する。腔はまた、図3に示すものと類似の出口流路と流体連結する。
【0043】
本発明の一つの態様において、流路を一塊の材料で提供する。別の態様において、流路は、1つまたは複数が流路を構成する溝を含む2つ以上の要素を結合することによって確立される。
【0044】
ノズルは、実際の使用によって、例えばスチール、アルミニウム、プラスチック、またはセラミックから作製されてもよく、任意のタイプの材料が本発明の範囲内で可能である。材料の選択は、ノズルの操作温度、ノズルを製造するのに用いられる製造技術、流動体に対する耐薬品性、および流速とそれによってもたらされる摩耗率を含む多くのパラメーターに依存するだろう。
【0045】
流動体流が衝突する点は、2つの因子、すなわち図3における出口6aと6b間の距離および図3における角度αによって少なくとも決定される。出口流路が円柱形の形状である場合、この角度は典型的に各出口流路の対称軸間の角度に対応するであろう。しかしながら、出口流路はまた、流れの方向に増加または減少する横断面積のいずれかを伴う円錐形など、流路に沿って変化する横断面を有してもよい。出口流路の横断面が円形である場合、その直径はそこから放出される流動体流の直径に対応するであろう。しかしながら、流路が円錐形である場合、出口流路の末端の直径はそこから放出される流動体流とは異なるであろう。
【0046】
図3において、出口流路4の間の角度αは、約90°として図示されるが、30°、60°、または120°など他の角度を用いてもよい。角度は、鋭角または鈍角のいずれでもよい。さらに角度は、固定されていれも変動してもよい。変動する角度は、例えばノズル1に異なる角度で出口流路4を含めることによって、および流路のいくつかを遮断するために用いることができる閉鎖手段(図示せず)をさらに含めることによって得てもよい。
【0047】
ノズル1は、濾過手段および/または流動体を加熱するための加熱手段など他の手段(図示せず)をさらに含んでもよい。このような加熱の目的は、噴霧化を改善するためであり得るが、流動体の実際の使用に関連してもよい。例えば、流動体と気体または液体など別の成分との間の化学プロセスを改善する場合、流動体を加熱することが望ましいこともある。
【0048】
さらに、ノズル1は、出口6の1つまたは複数を通る流れを遮断するよう適合される1つまたは複数のバルブ(またはノズルに供給され1つまたは複数のバルブを通る流動体)を含んでもよい。ノズルから第一の距離で流動体を噴霧化するよう適合させた出口の第一のセット、およびノズルから第二の距離で流動体を噴霧化するよう適合させた出口の第二のセットを含む図7に示される態様において、出口の他方のセットを通る流れから独立して出口のセットの一方を通る流れを遮断するようバルブを適合させてもよい。それによって、噴霧化される流動体量を容易に制御することができる。
【0049】
噴霧化される流動体量はまた、流動体の拍動性流を提供するようバルブを操作することによって、および/または間欠的に流動体をノズルに通すことによって制御することができる。これは、連続的に流動体がノズルを通って流れるようにおよび流れを阻止するように、バルブの開閉によって連続的に行うことができる。拍動は多くの場合、バルブが完全に閉じないことを必要とする。そのような拍動が十分な力の流動体流を生成し、それによって衝突が噴霧化をもたらすであろうことから、このような制御は特に、少量の流動体が噴霧化される場合有用である(上記のこの論点の以前の議論もまた参照されたい)。噴霧化された流動体に対する需要が常にあるわけではない条件でノズルを操作する場合、これは有利に利用することができ、そのような場合、大量の噴霧化された流動体はバルブを開けたままにすることによって提供することができ、少量の噴霧化された流動体はバルブを連続的に開閉することによって提供することができる。
【0050】
上記のように、間欠的な流れの条件が用いられる場合、異なる出口流路4からの流動体はなお衝突することが保証されなければならない。衝突する流動体が通る流路3、4が同じ横断面寸法を有する場合、衝突は例えば同じ長さのこれらの流路3、4を有することによって保証することができる。しかしながら、衝突する流動体が通る異なる長さの流路3、4を有することが望ましいこともある。衝突は次いで、適切な横断面寸法を選択することによって保証することができる。例えば流動体の一方が流路を通過する間に加熱される2つの異なる流動体が衝突する場合、異なる長さの流路3、4が望ましい可能性がある。
【0051】
図5は、4つの流路3を含む本発明の態様を図式化して示す。しかしながら、任意の数の流路が本発明の範囲内で可能である。図5に示す態様において、流動体流は互いに対で衝突するが、3つ以上の出口流路4からの流れもまた衝突し得る。対で衝突するいくつかの流れおよび3つ以上の群で衝突する他の流れを有することも可能である。本発明の一つの態様において、1つを除く全ての流動体流がその1つの流動体流に衝突する。2つの出口流路のみがある場合より広い領域に渡って噴霧化が生じることを可能にするよう流路の出口6が配置されるように、流路3、4を含むノズル1を設計してよい。出口流路の2つの可能な設計および量を、ノズルの末端表面を示す図6に図式化して示す。これは、1つの流動体のみが噴霧化される適用に有利であり得るが、態様を用いて2つ以上の流動体を混合する前または混合時に噴霧化することもできる。
【0052】
全ての流動体流が、図5に示すようなノズル1の末端表面7から同じ距離で、1つまたは複数の他の流動体流と衝突するようにノズルを設計してもよい。しかしながら、図7に図式化して示すようなノズルの末端表面7から異なる距離で、流動体流が衝突するのを保証するよう設計してもよい。これは、図7に図式化して示すようにそこから出る流動体流が衝突する出口流路4間の異なる角度または異なる距離を両方有することによって得ることができる。それによって、噴霧化および/または流動体流の混合を改善することが可能であり得る。
【0053】
2つ以上の異なる出口6を用いる代わりに、出口を図8に図式化して示すような環状/円形スロット8によって構成してもよい。スロット8は、円錐形の穴9および穴内に配置した対応する円錐形要素10として提供してもよい。本態様において、スロット8を出る流動体は、先細る円錐形状のノズル1から出るだろう。要素の長軸方向の位置を調節することができ、それによってスロット8のサイズを調節することができるように、円錐形要素10を調節可能に配置してもよい。これは、ノズル1を出る流動体量の調節の可能性を提供する。
【0054】
さらなる態様において、図示していないが、ノズルは柔軟な材料から構成される。柔軟な材料の使用は、出口の横断面積がノズル内の圧力に依存するという効果を提供するだろう。結果は、相対的に高い圧力が、相対的に大量の流動体を出口から流出させる広い横断面積を提供するであろうことである。ノズル内の相対的に低い圧力が、相対的に少量の流動体を出口から流出させる相対的に狭い横断面積を提供するであろう。そのようなノズルは好ましくはシリコンのような耐熱性材料から作製される。
【0055】
好ましい態様において、図示していないが、出口流路はカニューレ管によって構成される。これらのカニューレ管は、例えばプラスチック材料に埋め込まれるか、または金属片にはんだ付けされるかもしくは接着剤で付けられ、かつ噴霧化される流動体をカニューレ管に供給する給水路システムに接続される。
【0056】
本発明のノズルは、多くの方法で適用され得る。特に、複数のノズルを用いて、噴霧化される流動体に関して、および噴霧化した流動体の分配に関して、与えられた必要を満たしてもよい。例えば2つのノズルを、各ノズルからの噴霧化された流動体が互いへ流れ込むように配置してもよい。さらに、必要最大限でノズルを全て利用し、噴霧化された流動体を減少させる必要性に応じてノズルを閉め、噴霧化された流動体を増加させる必要性に応じてノズルを開けることによって、2つ以上のノズルを用いて噴霧化される流動体量を制御してもよい。このような場合、各ノズルが提供することが可能な噴霧化された流動体量が、関与するノズル間で異なり得るという意味において、ノズルは異なってもよいが、ノズルはまた同一であってもよい。
【0057】
多くのノズルの利用は、例えばノズルが詰まった場合、流動体の噴霧化に対する確実性を高めるだろう。そのような場合、残りのノズルにおいて圧力が増加し(ノズルは同じ流動体供給源に接続されていると想定)、その結果残りのノズルがより大量の噴霧化された流動体を送達するであろう。
【0058】
本発明は流動体の噴霧化が望ましい多くの適用における使用を見出す可能性がある。1つのそのような適用は、図9に図式化して示すようなディーゼル機関などの燃焼機関の排気ガスに尿素を添加するためである。図は、好ましくはディーゼル原理に従って作動する燃焼機関11、尿素溶液(例えば商標名AdBlueとして公知)を保持するタンク12、および触媒システム13を含むシステムを示す。機関11の排気は、典型的に直径120 mmを有する排気管14により触媒システム13に接続され、これは尿素溶液を保持するタンク12に接続される。本システムはさらに、NOXガスの環境への放出を最小限にするため、排気ガスと反応するように尿素を排気システムに供給する計量ユニット15を含む。本発明のノズル1を用いて、排気ガスに添加する前に尿素を噴霧化する場合、ノズルは、尿素を排気ガスへと導く典型的に直径4 mmを有する管16に沿った任意の位置で計量ユニット15の後に取り付けられた別々のユニット(図示せず)に含まれてもよい。または、それを計量ユニット15と一体化してもよい。
【0059】
ユニットは好ましくは、ノズル1を離れた直後に噴霧化された尿素が排気ガスと混合されるように設置され、かつノズルは典型的にノズルを出る流動体が、排気ガスの流れの方向、または流れの方向に垂直など排気ガスの流れの方向に平行である必要はない任意の他の方向の排気ガスの流れの中に噴霧されるよう配置される。ノズルは、燃焼機関もしくはガスタービンの排気システムの管の中央、および/または排気システムの管壁に配置してもよい。燃焼機関の排気システムの管壁に沿って、複数のノズルを円周上に分布してもよい。1つまたは複数のノズルを、本発明の範囲内で排気システムの管に関して任意の位置に配置してもよい。
【0060】
ノズル1は典型的に、噴霧化された流動体が触媒システム13内で均等に分布するのを保証するため、排気ガス内の噴霧化された気体の均等な分布を提供するような様式で、排気システム内に配置される。ノズルはしたがって、排気ガスの流れの方向に向いた(しかし排気ガスに平行である必要はない)その出口と共に、図9の管14の中央に配置してもよい。
【0061】
噴霧化された流動体の均等な分布を亢進するために、複数のノズルを排気システム内に配置することができる。そのような複数のノズルは好ましくは円周上に配置され、かついくつかの場合均等に分布される。しかしながら、ノズルはまた、排気ガスの流れの方向に沿って分布してもよい。そのようなノズルの出口は好ましくは、排気ガスの流れの方向に向いた(しかし排気ガスに平行である必要はない)出口と共に配置される。
【0062】
流れの方向に円周上に配置されたノズルおよび/または管の中央に配置された1つもしくは複数のノズルの組み合わせは、本発明の範囲内であることに留意するべきである。
【0063】
上記の開示は尿素を噴霧化することに焦点を当ててきた。しかしながら本発明は、他の流動体の噴霧化にも同様に適用可能であり、かつ排気システム内に尿素を噴霧化する場合においても、尿素と同様の様式でNOxと反応し選択的触媒還元を提供することができる任意の流動体を用いることができる。
【0064】
本発明は、トラック、バス、電車、採掘装置、建設用機器、船舶、航空機の既存のHDディーゼル機関もしくはガス機関に取り付けるか、または後から取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
以下に、本発明の好ましい態様を、添付の図面と関連して詳細に開示する。
【図1】流動体の2つの流れを衝突させることによって、流動体を噴霧化する総体的な原理を図式化して示す。
【図2】衝突する2つの流動体の流れを2つの別個のノズルにより提供する本発明の態様を図式化して示す。
【図3】衝突する2つの流動体の流れを単一のノズルにより提供する本発明の態様の横断面図を図式化して示す。
【図4】図4aおよびbは、間欠流条件の間に衝突する流動体流の2つの流れを図式化して示す。
【図5】流動体が2つ以上の流路を通って流れる本発明の別の態様を図式化して示す。
【図6】ノズルの出口端での流路の出口の可能な様々な位置を示す。図は、本発明の様々な態様に従うノズルの出口端に関する。
【図7】流動体流がノズルの出口端表面からの様々な距離で衝突する、本発明の態様を図式化して示す。
【図8】出口が環状スロットとして提供される、本発明の態様を図式化して示す。
【図9】燃焼機関またはガスタービンの排気ガスに添加される尿素の噴霧化に用いられる、本発明の1つの可能な適用を図式化して示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された流動体が、それぞれ方向を持つ1つまたは複数の出口を通過し、それによって1つまたは複数の出口から放出された流動体流が、1つまたは複数の出口からある程度距離をおいて衝突し、流動体の噴霧化を提供する段階を含む、1つまたは複数の流動体の噴霧化の方法。
【請求項2】
出口の1つまたは複数が、1つまたは複数の遮断バルブを含む流動システムに接続される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
流動体が1つまたは複数の出口を間欠的に通過する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
流動体が1つまたは複数の出口を拍動様式で通過する、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
流動体が1つまたは複数の出口を連続的様式で通過する、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
間欠的、拍動的、および/または連続的に流動体を出口へ供給する様式の組み合わせで、流動体が1つまたは複数の出口へ導かれる、請求項1または2記載の方法。
【請求項7】
流動体を間欠的および/または拍動的に1つまたは複数の出口を通過させることが、1つまたは複数の遮断バルブの開閉によって提供される、請求項3、4、または6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
流動体が1つまたは複数の出口を同調様式で通過する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
互いに衝突する流動体流が実質的に同じ運動エネルギーを有する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
互いに衝突する流動体流が実質的に同じ質量流および速度を有する、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
1つまたは複数の出口を出る少なくとも2つの流動体流が1つの平面内を流れる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
流動体を出口のいくつかまたは全てを通過させることによって、噴霧化された流動体の量を変化させる様式で、加圧した流動体を、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上の出口など複数の出口のいくつかまたは全ての出口を選択的に通過させる段階を含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
少なくとも2つの噴霧化された噴霧が提供されるように、1つまたは複数の出口が配置される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
平行または交差のいずれかの方向で進むように、少なくとも2つの噴霧が出口の配向によって提供される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
噴霧化が、燃焼機関またはガスタービン、好ましくはディーゼル燃焼機関の排気システムにおいて行われる、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
流動体が尿素である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
1つまたは複数の出口が請求項18〜31のいずれか一項記載のノズル内に提供される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
1つまたは複数の出口から放出される流動体流が1つまたは複数の出口からある程度の距離で衝突するように、1つまたは複数の出口が配置される、入口および1つまたは複数の出口を含む、1つまたは複数の流動体の噴霧化のためのノズル。
【請求項19】
出口の1つから放出される流動体流が別の出口から放出される流動体流と衝突するように配置された少なくとも2つの出口を含む、請求項18記載のノズル。
【請求項20】
少なくとも3、例えば少なくとも4、例えば少なくとも5つの出口、例えば少なくとも6つの出口を含む、請求項19記載のノズル。
【請求項21】
好ましくは実質的に均一な様式で、ノズルに入る流動体を分割し、出口へ導く中間流路によって、全ての出口が入口と接続される、請求項19または20記載のノズル。
【請求項22】
少なくとも2つの出口から放出される流動体流が、30°と100°の間の角度で互いに衝突するように出口が配置される、請求項18〜21のいずれか一項記載のノズル。
【請求項23】
出口の1つまたは複数が、入口流路と流体連結される出口流路を規定する穴の末端によって規定される、請求項18〜22のいずれか一項記載のノズル。
【請求項24】
出口から放出される流動体流の横断面積が、0.005〜0.05 mm2の範囲、例えば0.01〜0.03 mm2の範囲、好ましくは0.02 mm2である、請求項18〜23のいずれか一項記載のノズル。
【請求項25】
そこから放出される流動体流が第一の角度で衝突するように出口の2つが配置され、そこから放出される流動体流が第二の角度で衝突するように出口の他の2つが配置され、第一と第二の角度は互いに異なる、少なくとも4つの出口を含む、請求項18〜24のいずれか一項記載のノズル。
【請求項26】
1つまたは複数の出口が、ノズルを出る流動体が流れの方向に先細る円錐形状を有する流動体流内へ出るよう配置されたスロットを含む、請求項18〜25のいずれか一項記載のノズル。
【請求項27】
スロットが円錐形の穴および円錐形の穴内に配置された円錐形の要素によって提供され、該円錐形の要素は、スロットの横断面積を変化させるために、好ましくは長軸方向に置き換えることが可能である、請求項26項記載のノズル。
【請求項28】
濾過手段および/または加熱手段をさらに含む、請求項18〜27のいずれか一項記載のノズル。
【請求項29】
ノズルを遮断する、ならびに/またはノズルを通る流動体の拍動的および/もしくは間欠的な流れを提供するなど、ノズルを通る流れを制御するよう配置された1つまたは複数のバルブをさらに含む、請求項18〜28のいずれか一項記載のノズル。
【請求項30】
1つまたは複数の他の出口を通る流れから独立して1つまたは複数の出口を通る流れを制御するために、1つまたは複数のバルブが配置される、請求項29記載のノズル。
【請求項31】
1つまたは複数の出口を含むノズルの少なくともある領域が、シリコンなどの柔軟な材料から構成される、請求項18〜30のいずれか一項記載のノズル。
【請求項32】
請求項18〜31のいずれか一項記載の1つまたは複数のノズルの使用によって尿素が排気ガス内に添加され、噴霧化される、燃焼機関またはガスタービンからの排気ガスと液体尿素を混合するシステム。
【請求項33】
一つのノズルが、燃焼機関の排気システムの管の中央に配置される、請求項32記載のシステム。
【請求項34】
複数のノズルが、燃焼機関の排気システムの管壁に沿って円周上に分布される、請求項32または33記載のシステム。
【請求項35】
排気ガスの流れの方向、または流れの方向に垂直など流れの方向に非平行である別の方向に、噴霧化された流動体を送達するように、1つまたは複数のノズルが配置される、請求項32〜34のいずれか一項記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−540106(P2008−540106A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−511559(P2008−511559)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/DK2006/000272
【国際公開番号】WO2006/122561
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(507340175)
【Fターム(参考)】