説明

流動型実験室用水素化装置及び当該装置を使用する実験室用水素化方法

流動型実験室水素化装置100は、全て流路内に連結されている、貯留部104と、供給ポンプ102と、2個の入口及び1個の出口を備える混合エレメント108と、水素化反応器110と、圧力調整ユニット112とを備える。装置100は、水素源126と、水素源126と混合エレメント108の第2の入口との間に配置される一方向バルブ120も備える。供給ポンプ102は、一定容積速度を与えるポンプにより実現される。貯留部104は、水素化すべき試料の基礎溶液として少なくとも溶媒を含む。水素化反応器110は、取外し可能な連結器により流路中に連結され、流動抵抗を増加させ、液体成分と気体成分との混合を促進する充填物を含む交換可能なカートリッジとして形成される。圧力調整ユニット112は、水素化反応器110の後ろで流路中に連結され、電気的に制御される調節器を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所与の試料の水素化を行うための流動型実験室規模水素化装置に関する。その装置は、貯留部と、供給ポンプと、2個の入口及び1個の出口を備える収集エレメントと、水素化反応器と、圧力調整ユニットとを備え、全て流路内に連結されており、加えて水素源と、ガス流を単一方向にのみ送り、水素源と収集エレメントの第2の入口との間で連結されているバルブとを備える。本発明は、流動型実験室規模水素化装置を利用する実験室規模水素化方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
水素化方法(以下、水素化と呼ぶ)は、近代化学産業(薬剤産業をも含めて)で広く使用されている方法である。水素化は有機化合物の化学合成において使用され、水素が、任意選択的には触媒の存在下で、所与の位置で出発分子中に導入され、それにより出発分子から性質の異なる分子が生成する。
【0003】
薬剤産業では、新規な有効成分分子を開発するために、非常に多数の新規分子が出発分子から合成され、その新規分子が、それに続く合成の出発分子として後程使用されることもある。適用された方法に共通する特徴は、単一の合成では一般にわずかな量(すなわち、最大2〜3ミリグラム)の物質しか生成しないが、連続的に行われる合成で得られる新規物質の数は速やかに増加するということである。したがって、合成において生成する膨大な数の化合物を効果的に取り扱うために、プロセスにおいて可能な限り多量の自動化が必要とされる。
【0004】
この問題は、全ライブラリの分子の比較的速やかで自動化された合成/誘導、並びに分析が必要であるコンビナトリアルケミストリ合成の分野において特に強く発生する。
【0005】
米国特許第6156933号及び国際公開第WO03/099743号は共に、流動型実験室規模水素化装置及びそうした装置を利用する水素化方法を開示する。当該装置は、水素化すべき物質又はその溶液(以下、試料溶液)を貯蔵する貯留部と、貯留部と連通する供給ポンプと、その入口の一方で供給ポンプに連結されているミキサーと、圧縮機を介してミキサーのもう一方の入口に連結されている水素源と、ミキサーの出口に連結されている水素化反応器と、加熱/冷却手段と、反応器の出口に連結されている減圧ユニットとを備える。触媒は、水素化反応を達成するように反応器内に配置される。減圧ユニットはバルブを含み、少なくとも2個の出口を有する。バルブの役割は、反応器で計測された流速を制御し、それにより装置の流路内に行き渡る圧力を制御することである。
【0006】
前記装置を使用することにより、且つ当該装置を利用する方法内において、いわゆる超臨界水素化が行われる。超臨界水素化の主たるポイントは、担体媒体(水素化の観点からは不活性である、いわゆる流体)を水素化の達成のために使用することであり、該媒体は、水素化の特定の圧力及び温度により、大量の溶解水素を運ぶことができるのである。非超臨界環境下で行われる水素化に比して超臨界水素化の利点は、非超臨界有機溶媒中にほとんど溶解しない水素が、ほぼ完全に超臨界流体と混和し、したがって、そうした流体を利用することにより、大量の水素を反応の実際の場に送達できることである。
【0007】
したがって、当該装置は、超臨界水素化に必要とされる流体の供給を確保するためのユニットも備え、その出口でこのユニットはミキサーの第3の入口に連結されている。水素化は装置内で行われるが、試料溶液、流体及び水素化に必要な水素はすべてミキサー内に供給され、ミキサー内で形成される混合物は次いで反応器内に送られる。その間に、混合物は超臨界にされ(つまり、その圧力及び温度の値が、流体の臨界点の近傍、又はそれよりも高くなるように設定され)、その結果として、水素は流体と完全にブレンドされて超臨界となる。水素化は、超臨界状態で、反応器内で行われ、反応器を出る、生成物を含む混合物は、次いで、減圧ユニット内に流れ込み、そこで減圧されることにより生成物が流体から分離され、出口の1個から更なる利用のために抜き出される。反応で消費されなかった流体及び水素は、単に環境に放出されるか、或いは再循環の目的でそれらの供給源に循環される。
【0008】
上で議論した装置及び方法に共通する欠点は、超臨界条件下で行われる水素化が流体を取り扱う(その供給、その圧力及び温度変化の達成並びにその分離)構造要素の使用を必要とすることである。これらの構造要素を適用すると、装置の寸法及び運転リスクが増加し、装置の構造及び運転並びに水素化方法の実施がより複雑になり、生産コストが著しく上昇する。前記装置及び方法の更なる欠点は、水素化を行うのに必要な水素のその場での生産に使用される出発物質によっては、最終生成物以外に、望ましくない反応性の副生物も蓄積する場合があることである。更に、コンビナトリアルケミストリの最終誘導運転が行われる場合にも当該装置の適用は不利である。というのはこの場合、ライブラリー合成を最低限の人の干渉でできるだけ速やかに行うことが必要であるからである。このために、使用する不活性流体及び触媒を速やかに自動的に置換することが必要になる場合もあるが、米国特許第6156933号及び国際公開第WO03/099743号が開示する流動型実験室規模装置は、全くこの条件を備えていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、一方では上述の欠点を除外若しくは著しく低減でき、他方ではライブラリー量の分子でも速やかな自動化された方式で誘導できるような、流動型実験室規模水素化装置及びその装置を使用する実験室規模水素化方法を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、供給ポンプが一定容積速度を発生するポンプであり、貯留部が、水素化すべき試料の基礎溶液として少なくとも一種の溶媒を含み、水素化反応器が、取外し可能な連結器を介して流路中に連結され、流動抵抗を増加させ、且つ液体成分と気体成分との混合を促進する充填物をその内部容積内に含む交換可能なカートリッジとして形成され、圧力調整ユニットが、水素化反応器の後ろで流路中に連結され、少なくとも比1:6の制御範囲を有する電気制御調整器を備える流動型実験室規模水素化装置が提供される。
【0011】
本発明による水素化装置は、好ましくは、液体試料又はその溶液を含む少なくとも1個の試料容器を備え、その試料容器が、貯留部から隔てられ、供給ポンプと収集エレメントとの間に位置する流路のセクションに投与インジェクタを介して連結され、その貯留部が、水素化すべき試料の溶媒のみを含む。
【0012】
本発明による水素化装置は、好ましくは、その場で気体水素を発生する水素源を備え、その水素源は、好ましくは、少なくとも1個の非対称圧力電解槽により形成される。
【0013】
好ましくは、水素化反応器の充填物は、水素化に必要な触媒を含む。
【0014】
本発明による水素化装置のもう一つの可能な実施形態は、好ましくは、少なくともその入口側に多方向構造を有するスイッチングバルブを介して流路に連結されている複数の水素化反応器を備える。
【0015】
本発明による水素化装置の更に可能な実施形態は、好ましくは、各試料容器の出口が、スイッチングバルブを介して試料インジェクタに連結されている複数の試料容器を備える。
【0016】
本発明による水素化装置は、好ましくは、適切な電気連結器を介してバルブ、圧力調整ユニット及び供給ポンプに連結されている中央制御電子装置をも備える。
【0017】
更に、本発明による水素化装置は、好ましくは、収集エレメントの出口と水素化反応器の入口との間に挿入された加熱/冷却手段を備え、その加熱/冷却手段が、制御電子装置と電気的に連結されている。
【0018】
好ましくは、供給ポンプから圧力調整ユニットまでの流路に沿って計測された全内容積は、最大10cmである。
【0019】
本発明によれば、
(i)供給ポンプにより、水素化すべき試料のうちの少なくとも溶媒が、基礎溶液として流路に供給される;
(ii)所与の量の水素化すべき試料が、流路内に供給される;
(iii)試料供給位置の後ろに位置するセクションにおいて、背圧バルブを介して水素が流路内に供給される;
(iv)触媒の存在下、水素供給位置の後ろに位置する流路のセクション内に挿入された水素化反応器を介して溶解試料が導入される;
(v)水素化反応器の後ろの流路内に挿入された圧力調整ユニットにより反応の圧力が、所与の圧力範囲内に維持される;
(vi)水素化反応器内で形成された水素化物が、流路の末端に連結された生成物受け器内に収集される、
溶媒中に存在する試料を水素化するための実験室規模水素化方法も提供される。
【0020】
好ましくは、水素化すべき試料は、所与の期間に流路内に供給される。
【0021】
更に、連続する複数の期間中に異なる試料が供給され、各期間に発生した水素化物が別々に収集される。本発明による方法の更なる実施形態では、各試料期間ごとに、異なる水素化反応器において水素化される。
【0022】
水素化すべき試料は、好ましくは、溶媒と一緒に供給される。
【0023】
好ましくは、水素化反応器より前の流路のセクション内において、溶解試料の温度は、所定の反応温度に変化させられる。
【0024】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。
【0025】
図1において概略示されている水素化装置100は、供給ポンプ102を備える貯留部104と、収集エレメント108と、水素化反応器110と、圧力調整ユニット112と、生成物受け器114と、制御電子装置116と、バルブ120と、水素源126とを備える。供給ポンプ102の入口は、貯留部104と流体連結されており、その出口は、管105を介して収集エレメント108の第1の入口に連結されている。水素源126は、管121及び管121内に挿入されたバルブ120を介して収集エレメント108の第2の入口に連結されている。収集エレメント108の出口は、管107を介して水素化反応器110の入口に連結されている。水素化反応器110の出口は、管109及び管109内に挿入された圧力調整ユニット112を介して生成物受け器114内に開いている。列挙した要素を相互に連結した結果として、本発明による水素化装置100は、供給ポンプ102の出口から生成物受け器114の入口まで延びる連続流路を備えることになる。水素化装置100は、水素化反応器110の直前で流路内に配置され、管107と伝熱若しくは熱交換関係を有する加熱/冷却手段130をも備える。
【0026】
プログラム可能な制御電子装置116は、それぞれ電気リード117、118及び119を介して圧力調整ユニット112、バルブ120及び供給ポンプ102に電気的に連結されている。制御電子装置116は、電気リード131を介して加熱/冷却手段130にも電気的に連結されている。
【0027】
貯留部104は、試料溶液、すなわち、水素化すべき物質若しくはその溶液を含む。均一触媒反応を行おうとする場合、適切な形態の触媒は試料溶液に混合され、したがって触媒は貯留部104内にも存在する。試料溶液(任意選択的には触媒をも含む)の流路内への供給は、供給ポンプ102により達成される。供給ポンプ102は、好ましくは、一定の流速で試料溶液の連続流を供給可能なHPLCポンプである。実際には、HPLCポンプは、圧力調整ユニット112により創出され連続的に維持される圧力下、必要に応じてプリセットされた一定供給速度で作動する精密ポンプであり、その際もちろん供給速度は任意に改変できる。
【0028】
収集エレメント108は、好ましくは、T形の部材により形成される。水素化反応器110内で行われる反応を助けるために、エレメント108は、試料溶液とその入口から入る圧縮水素をブレンドする。その結果、水素でバブリングされた試料溶液が収集エレメント108の出口を通って出る。バブルの大きさを低減させるために(好ましくは、ミクロバブルを創出するために)、水素が入る収集エレメント108の入口は、フリット製の末端ピースを備える。しかし、エレメント108は、供給される試料溶液と供給される気体水素の適切な混合が保証できる他の任意の部材としても形成できる。
【0029】
バルブ120は、試料溶液の水素源126への逆流を妨げる。バルブ120は、好ましくは、制御電子装置116により作動する電子制御(圧力調整)背圧バルブである。バルブの制御範囲は、バルブチャンバ内で確立される圧力値で表して、少なくとも1:6、好ましくは1:6〜1:12の比である。
【0030】
よく知られているように、気体水素は、極めて危険な材料であり、その取扱い及び貯蔵には、一般に、特異な手段の使用及び適切な安全方策の遵守が必要である。したがって、本発明による溶液の場合、水素化に使用される水素ガスは、その場で(in situ)発生させる。すなわち、水素は、好ましくは水から電気分解(すなわち、水の分解)により得る。したがって、好ましい実施形態では、水素源126は、少なくとも1個の非対称圧力電解槽を備える。水素の発生量は、電解用の直流の強度により制御される。収集エレメント108内に供給する前の発生水素の分圧は、好ましくは、1〜500バール、より好ましくは、100バールである。水素源126を電界槽として構築することにより、水素の取扱い及び貯蔵上の危険な操作を極めて安全にすることができる。水素源126は、還元装置を備えた水素貯蔵シリンダとすることもできる。
【0031】
加熱/冷却手段130は、水素でバブリングされた試料溶液が必要とする温度に調整する役割をする。その好ましい実施形態では、加熱/冷却手段130は、管107の所与の部分上に巻き付けた加熱/冷却フィラメントとして構築される。加熱/冷却手段130は、加熱/冷却手段130内で温度を連続測定する温度センサ(図示なし)の信号に基づき、リード131を介して制御電子装置116により作動する。
【0032】
水素化反応器110は、好ましくは、入口及び出口を有する管形の閉じた(優先的には円筒状の)カートリッジとして作製される。反応器110は、置換可能な仕方で取り外し可能な連結器により管109の適切に形成された部分内に結合される。したがって、反応器110の可能な実施形態では、入口及び出口は、ネジ山を備え、適切なシーリングの使用と共に、フレアジョイントにより管109内に結合される。当業者に公知の他の取り外し可能な連結技法(例えば、耐酸且つ耐食性の鋼から作製されるクイック連結システム)も反応器110を管109内に結合するのに同等に使用できる。
【0033】
反応器110の内径は、好ましくは、その入口及び出口の内径より5〜10倍大きい。反応器110の内径は、好ましくは、4〜5mm、その長さは30〜100mm、好ましくは、40〜50mmである。
【0034】
反応器110は、均一及び不均一水素化を行うのに同等に適切である。固定化媒体(すなわち、流動性の試料溶液と一緒に反応器110から出ることが不可能である媒体)を反応器110内に配置すると、それにより反応器110内で費やされる試料溶液の滞留時間が著しく増加する。媒体の固定性は、例えば、反対側の端部において反応器110内に媒体を通過させないフィルタエレメントを配置することにより実現される。媒体の非移動性を提供するもう一つの方法は、空間的に連続した多孔性幾何学構造、例えば、複数のファイバを堆積させたウェブを用いて製造することである。均一水素化の場合、前記媒体は、個体触媒を含まない。不均一水素化の場合、媒体は、例えば、個体触媒粒子、触媒でコートされた、若しくは触媒で作製されたファイバのウェブ若しくはメッシュ、触媒でコートされた小ビーズ又はその任意の組合せが含まれる。使用する触媒は、実際に行われる水素化方法に従って選ばれる。
【0035】
圧力調整ユニット112は、流路の末端に配置されている電子制御精密電動機駆動圧力調整バルブであり、流路内での水素化方法に必要な圧力に調整し、この圧力を一定値に維持する。その構造故に、圧力調整バルブは、極めて敏感であり、圧力値を非常に細かい段階で、ほとんど連続的に変えることが可能である。圧力調整ユニット112の動作圧力範囲は、1〜500バール、好ましくは、80〜200バールにわたる。圧力調整ユニット112は制御電子装置116により作動する。
【0036】
管105、107、109、121は、圧密材料から作製される、内径0.05〜1.0mmの範囲、好ましくは、0.5mmを有する毛細管として製作される。
【0037】
以下では、実験室規模水素化装置100の操作を詳細に議論する。
【0038】
制御電子装置116の信号で水素化装置100が、作動した後、供給ポンプ102は、好ましくは、0.1ml/s〜10ml/sの間に入るプリセットされた一定流速で管105を介して貯留部104から流路に試料溶液の供給を開始する。同時に制御電子装置116の信号でバルブ120が開き、したがって気体水素が、管121を介して水素源126から流路内に流れ込む。水素を連続的に供給するために、管121を流れる水素ガスの圧力は、管105内を流れる試料溶液の圧力よりも高い。流路内に(水素化に必要な)所定の圧力を創出するために、圧力調整ユニット112は、やはり制御電子装置116の信号で、バルブ120の開放と同時に閉じる。供給された試料溶液及び供給された水素ガスは、収集エレメント108内で出会い、2つの流れの混合が行われる。得られた水素でバブリングされた試料溶液は、収集エレメント108の出口及び管107を介して置換可能なカートリッジとして備えられた水素化反応器110内に流れ込み、その間、制御電子装置116の監視下、加熱/冷却手段130は、試料溶液の温度を所要の値に調整する。反応器110内に供給された試料溶液は、反応器110内に配置された媒体内の使用可能な自由(未充填)空間を通って反応器110の出口方向に進むが、その間に試料溶液により運ばれた水素と充分に混合される。同時に、所望の水素化反応(試料溶液の組成及び反応器110内に存在する媒体の組成に応じて、均一触媒反応でも不均一触媒反応でもよい)が反応器110内で行われる。反応器110内に滞留する試料溶液全体への反応の拡大は、一部は反応器110に入る前の試料溶液の温度調整により、一部は滞留時間の設定(その製作プロセスでカートリッジタイプの反応器110を媒体で満たすことにより使用される充填密度を固定することにより実現される)により、そして一部は圧力調整ユニット112による流路内の圧力の維持によってもたらされる。反応器110内に配置された媒体内を通過する試料溶液から生成され、任意選択的には気体水素をも含む生成物溶液(水素化物)は、反応器110の出口、管109及び圧力調整ユニット112を通って生成物受け器114に入る。水素化物から受け器114に排出される水素は、単に環境に排出する、及び/又は、適切な手段により収集され、次いで水素源126の出口に再循環される。
【0039】
貯留部104が試料溶液により連続的に再充填される場合の、上で議論した本発明による水素化装置の実施形態は、主としてより大量の単一水素化物を連続生成するのに適切である。
【0040】
図2及び3は、本発明による流動型実験室規模水素化装置の更なる2種の好ましい実施形態を図示する。図2に示す水素化装置200及び図3に示す水素化装置300は、主として、性質の異なる複数の物質(すなわち、全ライブラリーを構成する様々な分子)を少量生成する必要性がある、(コンビナトリアルケミストリの誘導操作に特に特徴的である)こうした反応を自動化方式で行うのに適切である。
【0041】
図2に示す水素化装置200は、供給ポンプ202を備える貯留部204と、水素化すべき物質を提供する試料容器240と、試料容器に連結されているインジェクタ242と、収集エレメント208と、水素化反応器210と、圧力調整ユニット212と、生成物受け器214と、制御電子装置216と、バルブ220と、水素源226とを備える。供給ポンプ202の入口は、貯留部204と流体連結されており、その出口は、管205を介して収集エレメント208の第1の入口に連結されている。インジェクタ242の入口は、試料容器240と流体連結されており、その出口は、管241、及び管241内に挿入された安全背圧バルブ246を介して管205内に結合されている。更に、水素源226は、管221及び管221内に挿入されたバルブ220を介して収集エレメント208の第2の入口に連結されている。収集エレメント208の出口は、管207を介して水素化反応器210の入口に連結されている。水素化反応器210の出口は、管209及び管209内に挿入された圧力調整ユニット212を介して生成物受け器214内に開いている。列挙した要素を相互に連結した結果として、水素化装置200は、供給ポンプ202の出口から生成物受け器214の入口まで延びる連続流路を備えることになる。水素化装置200は、水素化反応器210の直前の下流に配置され、管207と伝熱若しくは熱交換関係を有する加熱/冷却手段230をも備える。
【0042】
プログラム可能な制御電子装置216は、それぞれ電気リード217、218、219及び247を介して圧力調整ユニット212、バルブ220、供給ポンプ202及びインジェクタ242に電気的に連結されている。制御電子装置216は、電気リード231を介して加熱/冷却手段230にも電気的に連結されている。
【0043】
貯留部204は、基礎溶液を含み、試料、すなわち、水素化すべき物質は、試料容器240内にある。この場合、試料は、液相であり、好ましくは、貯留部204内に見出すことができるのと同じ基礎溶液中に溶解している。背圧バルブ246は、基礎溶液が試料容器240内に逆流するのを妨げる。インジェクタ242は、連続的に制御された供給が可能な任意の種類のポンプとすることができる。
【0044】
水素化装置200の残部の構造及び機能は、図1に示す水素化装置100の対応部分(類似の参照番号で示す)の構造及び機能と同一であり、したがってこれらの部分についてはこれ以上詳細に議論しない。
【0045】
水素化装置200が作動していると、制御電子装置216の第1の信号でインジェクタ242が管205及び背圧バルブ246を介して試料を流路に供給する。このとき、試料は、供給ポンプ202により連続的に供給される基礎溶液に溶解し、その結果、試料溶液が創出される。所定の時間の経過後に届く制御電子装置216の第2の信号で、試料の流路内への供給が止まる。制御された供給の結果、試料及び基礎溶液の所与の長さの「カラム」が、流路中の反応器210の方向にあい前後して連続的に通過する。試料及び基礎溶液のカラムの混合(これは試料溶液の希釈を実際にもたらす)は、カラムの末端でのみ観察できる。というのは、水素化装置200内で維持されている(流速0.1〜10ml/sという)流動条件のため、且つ内径(好ましくは0.5mm)の結果として、試料及び基礎溶液のカラムは層流様式で流れるからである。
【0046】
インジェクタ242を連続的に運転する場合、水素化装置200は、水素化装置100と同様に、選ばれた水素化物を大量に生成できることは明らかである。供給ポンプ202を連続的に運転しているとき、インジェクタ242の運転を中断させることにより、装置200の流路を洗い流すこともできる。更に、不均一水素化の場合、(例えば、受け器214に達する未反応物質の量が着実に増加する事実から)反応器210内の媒体の化学反応性が低下していることが観察されたら、基礎溶液として適切な溶媒を導入することにより、媒体(すなわち、触媒)の化学反応性を改善する/再生することもできる。
【0047】
更に、基礎溶液を連続的に供給しているときに水素化すべき物質を変えると、例えば、試料容器240を手動で置換すると、新規な物質の試料溶液カラムを生成させ、制御電子装置216により再度作動したインジェクタ242により流路中で反応させることができる。したがって、第1の反応で得られた受け器214内の水素化物を収集し、次いで試料容器240を置換した後、又は容器240の出口に水素化物を再循環した後、水素化装置200を連続して運転しながら試料インジェクタ242を介してこの水素化物を水素化装置200内に再導入することもできる。これは、得られた水素化物を第2の水素化反応に供し、それによりそれから新規物質を誘導することが可能となることを意味する。反応器210は、容易に置換可能なカートリッジの形態を備えているので、不均一水素化の場合、第2の水素化反応に対して選択性のある触媒を含む他のカートリッジで置換できる。
【0048】
図3に示す装置300は、特に、コンビナトリアルケミストリの誘導操作を速やかに且つ自動化方式で行うのに適している。その構造を考察すると、それは図2に示す装置200に非常に類似している。したがって、水素化装置200の要素と異なる装置300の部分のみを詳細に議論する。更に、明確化のため、装置200の対応する要素と同一である装置300の部分を既に図2で使用したのと同じ参照番号で呼んでいる点にもここでは注意する。
【0049】
供給すべき試料間の自動変更を行うために、水素化装置300は、少なくとも2個の試料容器340−1、...、340−n(n≧2)を備える。試料容器340−1、...、340−nは、相互に流体連結されていないので、その中に貯蔵されている試料は混合し得ない。試料容器340−1、...、340−nは、好ましくは、支持レール(図示せず)上に配置され、1個ごとに置換できる。試料容器340−1、...、340−nは、互いに不連結である別々の区画を備える単一の容器として形成することもできる。
【0050】
各試料容器340−1、...、340−nの内容物は、インジェクタ242により流路内に導入される。インジェクタ242は、スイッチングバルブ350を介して試料容器340−1、...、340−nに連結される。スイッチングバルブ350は、単一の出口、及び試料容器340−1、...、340−nと同数の入口(ここではn)を含む電子制御多方向選択バルブである。スイッチングバルブ350の出口はインジェクタ242内に開いており、その入口の各々は、別々に試料容器340−1、...、340−nの1個に流体連結されている。スイッチングバルブ350は、リード345を介して、制御電子装置216に電気的に連結されている。スイッチングバルブ350の仕事は、制御電子装置216の適切な電気信号に応じて試料容器340−1、...、340−nの1個を開き、残りの容器340−1、...、340−nを閉じたまま、そこから試料をインジェクタ242内に導入することである。
【0051】
(同一又は相違する)水素化反応が間をおかずに行われるのを容易にするために、水素化装置300は、やはり置換可能なカートリッジの形態を備えた少なくとも1個の水素化反応器310−1、...、310−m(m≧2)を備える。反応器310−1、...、310−mの内部構造/充填物は、同一でも異なっていてもよく、例えば、不均一水素化の場合、反応器310−1、...、310−mは、必要に応じて同一又は異なる触媒を含み得る。各反応器310−1、...、310−mの入口は、1個の電子制御多方向スイッチングバルブ360の異なる出口に連結されている。スイッチングバルブ360は、単一の入口、及び適用された反応器310−1、...、310−mと同数の出口(ここではm)を備える。スイッチングバルブ360は、その入口を介して管207に連結されている。各反応器310−1、...、310−mの出口は、電子制御多方向スイッチングバルブ370の異なる入口に連結されている。スイッチングバルブ370は、適用された反応器310−1、...、310−mと同数の入口(ここではm)及び単一の出口を含む。スイッチングバルブ370の出口は、管209に連結されている。スイッチングバルブ360、370は共に、共通のリード361を介して制御電子装置216に電気的に連結されている。
【0052】
試料容器310−1、...、310−nが、試料で充填され、所望の反応器310−1、...、310−mが挿入され、リード345を介して制御電子装置216の信号に応じて水素化装置300が始動された後、スイッチングバルブ350は、試料容器310−1、...、310−nの1個を選び、インジェクタ242に対して選ばれた試料容器に流体連結されている入口から延びる自由流動チャネルを、バルブ本体内に形成する。同時に、スイッチングバルブ350は、残りの試料容器に流体連結されているその入口の全てを閉じる。更に、リード361から送られる信号によりスイッチングバルブ360を適切に支配することにより、制御電子装置216は、所望の反応器を反応器310−1、...、310−mから選び、それを流路内に連結する。次いで、連続流路への基礎溶液の流動及び水素ガスの供給が、既に議論した方式で開始され、圧力調整ユニット212が流路を加圧する。流路を充填した後、制御電子装置216のトリガー信号に応じてインジェクタ242が、選ばれた試料の流路への供給を開始し、その結果、試料溶液のカラムが、流路内に形成される。次いで、既に議論した方式で水素化が行われる。
【0053】
異なる試料の水素化を行うため、インジェクタ242により実行される供給を中断した後、制御電子装置216の信号に応じてスイッチングバルブ350は、所望の試料を貯蔵する試料容器との流動チャネルを確立する。インジェクタ242により実行される供給を再開した後、選ばれた第2の試料は、流路に入る。望むならば、制御電子装置216は、試料の変更と同時に反応器310−1、...、310−mの変更もできる。その間、基礎溶液の連続流れは、流路の洗浄も行う。
【0054】
本発明による水素化装置100、200、300は、連続流動型水素化を行う構造要素の他にデータ入力用のディスプレイユニット及びキーボード(図示せず)をも備える。
【0055】
流動型実験室規模水素化装置100、200、300の連続した流路の全容積は、最大10cm、好ましくは、最大5cmである。
【0056】
本発明による方法では、水素化反応は、既に詳細に議論した実験室規模水素化装置100、200、300により、非常に精密に制御可能な反応条件下で行われる。その方法の過程は、既に装置100、200、300に関連して議論したので、ここでは取り扱わない。
【0057】
本発明による水素化方法及び実験室規模水素化装置100、200、300の適用を以下の少数の簡単な例により説明する。
【0058】
(例1)
【化1】


所与のモデル化合物(5−ニトロインドール)を上の反応スキームに従って(5−アミノインドールへ)還元するために、本発明による水素化装置100の貯留部104を、試料溶液として、5−ニトロインドールを濃度0.05mol/dmで含むEtOAc:EtOHの1:1混合物である原液で充たした。同時に、触媒充填物として骨灰パラジウム(Pd)又はラネーニッケル10重量%の触媒を反応器110内に配置した。この後、供給ポンプ102により装置内の流速を0.1ml/sに設定するとともに、圧力調整ユニット112により流路内に圧力30バールを発生させた。装置を運転する間、これらの値を連続的に維持した。生成した水素化物、すなわち、5−アミノインドールを生成物受け器114内に収集し、次いで分析検定(HPLC UV、λ=254nm)に供した。分析の結果、本発明者らは、収集した水素化物の純度は99.9%、反応収率は約96%であると結論した。
【0059】
文献(Bioorg.Med.Chem.8巻、1415〜1422頁、2000年を参照すること)によれば、同じ反応を無水エタノール中で大気圧下、周囲温度で従来の水素化装置により5重量%Pd/Cの触媒を使用して行う場合、反応は3〜6時間後に起こり、収率約98%を得ることができるはずである。
【0060】
(例2)
【化2】


所与のモデル化合物(cBz−トリプタミン)を上の反応スキームに従って(3−エチル−アミノインドールへ)脱ベンジルするために、本発明による水素化装置100の貯留部104を、試料溶液として、cBz−トリプタミンを濃度0.05mol/dmで含むEtOAc:EtOHの1:1混合物である原液で充たした。同時に、触媒充填物として骨灰パラジウム10重量%の触媒を反応器110内に配置した。この後、供給ポンプ102により装置内の流速を0.1ml/sに設定するとともに、圧力調整ユニット112により流路内に圧力30バールを発生させた。装置を運転する間、これらの値を連続的に維持した。生成した水素化物、すなわち、3−エチル−アミノインドールを生成物受け器114内に収集し、次いで分析検定(HPLC UV、λ=254nm;質量分析)に供した。分析の結果、本発明者らは、収集した水素化物の純度は97%、反応収率は約94%であると結論した。
【0061】
文献(Helv.Chim.Acta.2巻、1128頁、1946年を参照すること)によれば、同じ脱ベンジル反応を、塩酸エタノール中で大気圧下、周囲温度で従来の水素化装置により行う場合、反応収率は約95%となるはずである。
【0062】
(例3)
【化3】


所与のモデル化合物(N−ベンジル−フェネチルアミン)を上の反応スキームに従って(フェネチルアミンへ)脱ベンジルするために、本発明による水素化装置100の貯留部104を、試料溶液として、N−ベンジル−フェネチルアミンを濃度0.05mol/dmで含むEtOAc:EtOHの1:1混合物である原液で充たした。同時に、触媒充填物として骨灰パラジウム10重量%の触媒を反応器110内に配置した。この後、供給ポンプ102により装置内の流速を0.1ml/sに設定するとともに、圧力調整ユニット112により流路内に圧力50バールを発生させた。加熱/冷却手段130により、試料溶液の温度を60℃に設定し、装置を運転する間、これらの値を連続的に維持した。生成した水素化物、すなわち、フェネチルアミンを生成物受け器114内に収集し、次いで分析検定(HPLC UV、λ=254nm;質量分析)に供した。分析の結果、本発明者らは、収集した水素化物の純度は98%、反応収率は約99.9%であると結論した。
【0063】
文献(J.Org.Chem.49巻、4076頁、1984年を参照すること)によれば、本脱ベンジル反応は、95重量%エタノール中で圧力3.1バール下、周囲温度で従来の水素化装置により行われ、反応収率100%である。
【0064】
上の例から、本発明による水素化装置100、200、300及びそれらにより行われる水素化方法は、既に略述された利点に加えて、従来の反応により実現できるのとほぼ同程度の反応収率を与えることは全く明白である。
【0065】
更に、上の例で議論した水素化反応は、本発明による水素化装置100、200、300により完全な自動化方式で行うこともできる。このために、上の3種のモデル化合物は、別々の試料容器340−1、340−2、340−3内に配置され、試料インジェクタ242により管205内に所与の量で逐次的に供給され、貯留部204内に貯蔵されたEtOAc:EtOHの1:1混合物である溶媒が、供給ポンプ202により管205内に連続的に供給される。あるモデル化合物の水素化反応は、該当するモデル化合物に適合した触媒で充填された水素化反応器310−1、310−2、310−3内で行われ(スイッチングバルブ360が、モデル化合物を適切な反応器内に入れる)、生成した水素化物の各々が、別々に生成物受け器214内に収集される。この場合、同じ触媒(10重量%骨灰パラジウム)を適用する場合、単一の水素化反応器の使用がやはり適切である。こうした場合、連続的に供給される溶媒は、逐次的な水素化反応の間に水素化反応器を洗浄する役目をする。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明による水素化装置の好ましい実施形態を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明による水素化装置のもう一つの好ましい実施形態を示す概略ブロック図である。
【図3】本発明による水素化装置の更なる好ましい実施形態を示す概略ブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留部(104;204)と、供給ポンプ(102;202)と、2個の入口及び1個の出口を備える収集エレメント(108;208)と、水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)と、圧力調整ユニット(112;212)とを備え、全てが流路内に連結されており、加えて水素源(126;226)と、ガス流を単一方向にのみ送り、且つ水素源(126;226)と収集エレメント(108;208)の第2の入口との間で連結されているバルブ(120;220)とを備える、所与の試料を水素化するための流動型実験室規模水素化装置(100;200、300)であって、供給ポンプ(102;202)が一定容積速度を発生するポンプであり、貯留部(104;204)が、水素化すべき試料の基礎溶液として少なくとも一種の溶媒を含み、水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)が、取外し可能な連結器を介して流路中に連結され、流動抵抗を増加させ、且つ液体成分と気体成分との混合を促進する充填物をその内部容積内に含む交換可能なカートリッジとして形成され、圧力調整ユニット(112;212)が、水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)の後ろで流路中に連結され、少なくとも比1:6の制御範囲を有する電気制御調整器を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
液体試料又はその溶液を含む少なくとも1個の試料容器(240)を備え、試料容器(240)が、貯留部(204)から隔てられ、供給ポンプ(202)と収集エレメント(208)との間に位置する流路のセクションに投与インジェクタ(242)を介して連結され、貯留部(204)が、水素化すべき試料の溶媒のみを含むことを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模水素化装置(200、300)。
【請求項3】
その場で気体水素を発生する水素源(126;226)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模水素化装置(100;200、300)。
【請求項4】
水素源(126;226)が、少なくとも1個の非対称圧力電解槽により形成されることを特徴とする、請求項3に記載の実験室規模水素化装置(100;200、300)。
【請求項5】
水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)の充填物が、水素化に必要な触媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模水素化装置(100;200、300)。
【請求項6】
少なくともその入口側に多方向構造を有するスイッチングバルブ(360)を介して流路内に連結されている複数の水素化反応器(310−1、...、310−m)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の実験室規模水素化装置(300)。
【請求項7】
複数の試料容器(340−1、...、340−n)を備え、各試料容器(340−1、...、340−n)の出口が、スイッチングバルブ(350)を介して試料インジェクタ(242)に連結されていることを特徴とする、請求項2に記載の実験室規模水素化装置(300)。
【請求項8】
適切な電気連結器を介してバルブ(120;220)、圧力調整ユニット(112;212)及び供給ポンプ(102;202)に連結されている中央制御電子装置(116;216)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模水素化装置(100;200、300)。
【請求項9】
収集エレメント(108;208)の出口と水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)の入口との間に挿入された加熱/冷却手段(130;230)を備え、その加熱/冷却手段(130;230)が、制御電子装置(116;216)に電気的に連結されていることを特徴とする、請求項8に記載の実験室規模水素化装置(100;200、300)。
【請求項10】
供給ポンプ(102;202)から圧力調整ユニット(112;212)までの流路に沿って計測された全内容積が、最大10cmであることを特徴とする、請求項1に記載の実験室規模水素化装置(100;200、300)。
【請求項11】
(i)供給ポンプ(102;202)により、水素化すべき試料の少なくとも溶媒が、基礎溶液として流路に供給される;
(ii)所与の量の水素化すべき試料が、流路内に供給される;
(iii)試料供給位置の後ろに位置するセクションにおいて、背圧バルブ(120;220)を介して水素が流路内に供給される;
(iv)触媒の存在下、水素供給位置の後ろに位置する流路のセクション内に挿入された水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)を介して溶解試料が導入される;
(v)水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)の後ろの流路内に挿入された圧力調整ユニット(112;212)により反応の圧力が、所与の圧力範囲内に維持される;
(vi)水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)内で形成された水素化物が、流路の末端に連結された生成物受け器(114;214)に収集されることを特徴とする、溶媒中に存在する試料を水素化するための実験室規模水素化方法。
【請求項12】
水素化すべき試料が、所与の期間に流路内に供給されることを特徴とする、請求項11に記載の実験室規模水素化方法。
【請求項13】
連続する複数の期間中に異なる試料が供給され、各期間に発生した水素化物が別々に収集されることを特徴とする、請求項12に記載の実験室規模水素化方法。
【請求項14】
各試料期間ごとに、異なる水素化反応器(310−1、...、310−m)において水素化されることを特徴とする、請求項12に記載の実験室規模水素化方法。
【請求項15】
水素化すべき試料が、溶媒と一緒に供給されることを特徴とする、請求項11に記載の実験室規模水素化方法。
【請求項16】
水素化反応器(110;210、310−1、...、310−m)より前の流路のセクションにおいて、溶解試料の温度を、所定の反応温度に変化させることを特徴とする、請求項11に記載の実験室規模水素化方法。
【請求項17】
水素化反応器(110;210)の容積を含めた流路の全内容積が最大10cmであることを特徴とする、請求項11に記載の実験室規模水素化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−536364(P2007−536364A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512354(P2007−512354)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【国際出願番号】PCT/HU2005/000046
【国際公開番号】WO2005/107936
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(506373310)タレス ナノテクノロジアイ アールティー. (1)
【Fターム(参考)】