説明

流動性の改善された難燃剤組成物、難燃性樹脂組成物及びその成形品

本発明は、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジンまたはこれらのピペラジン塩の2以上の混合物から選択されるピペラジンと無機リン化合物の塩((A)成分)1〜99重量部と、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンまたはこれらのメラミン塩の2以上の混合物から選択されるメラミンと無機リン化合物の塩((B)成分)99〜1重量部(ただし(A)成分と(B)成分の合計は100重量部)、および任意の成分((C)成分)0〜50重量部からなる難燃剤組成物に、25℃での粘度が5000mm/s以下であるシリコーンオイル((D)成分)0.01〜20重量部を添加処理してなる難燃剤組成物であり、難燃性に優れるばかりでなく、粉体特性や吸湿性の改良効果にも優れ、樹脂に添加した場合に電気抵抗の変化が小さい難燃剤が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、シリコーンオイルで処理されたピペラジンおよびメラミンの(ポリ/ピロ)リン酸塩化合物からなる難燃剤組成物に関し、より詳細には、シリコーンオイルを添加処理することで、二次凝集が少なく、粉体特性に優れ、耐水性と樹脂への分散性に優れた無機リン系難燃剤に関する。
【背景技術】
従来、合成樹脂は優れた化学的、機械的特性により建材、自動車部品、包装用資材、農業用資材、家電製品のハウジング材、玩具などに広く用いられている。しかし、多くの合成樹脂は可燃性物質であり、用途によっては難燃化が不可欠であった。そして、難燃化方法としてはハロゲン系難燃剤、赤燐やポリリン酸アンモニウム等のポリリン酸系難燃剤からなる無機リン系難燃剤、トリアリールリン酸エステル化合物に代表される有機リン系難燃剤、金属水酸化物や難燃助剤である酸化アンチモン、メラミン化合物を単独または組み合わせて用いることが広く知られている。
このうち、ハロゲン系難燃剤は、難燃化効果には優れるものの、燃焼時にハロゲン化水素ガスやダイオキシン類等の有害物質を発生するため、ハロゲン系難燃剤を用いない難燃化方法が望まれていた。また、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物は多量に配合しないと難燃性が得られないため、樹脂の加工性や成形品の物性を低下させる問題があった。さらに、リン系難燃剤ではポリカーボネートなどの難燃化に優れるリン酸エステル化合物やポリオレフィンの難燃化に優れる無機リン系難燃剤が用いられている。一方、汎用樹脂であるポリオレフィンの難燃化に有用なポリリン酸アンモニウムなどの無機リン系難燃剤は、二次凝集しやすいために樹脂への分散不良を起こしやすくフィルムや繊維などに成形した場合には、成形不良を引き起こす原因ともなる。また、ポリリン酸アンモニウムは加水分解するため吸湿性を低下させることが必要であった。
無機リン系難燃剤であるポリリン酸アンモニウムの凝集や吸湿性を抑制する手段としては、特開昭61−98722号公報(特許請求の範囲参照)にポリ尿素によるコーティングが、特開昭61−103962号公報(特許請求の範囲参照)にメラミン/ホルムアルデヒド樹脂によるコーティングが、特開平3−131508号公報(特許請求の範囲参照)に硬化性シリコン樹脂によるコーティングが、欧州特許第93993号(特許請求の範囲、特に請求項1参照)にはエポキシ樹脂によるコーティングが、特開平8−134455号公報(特許請求の範囲参照)には、シリコーンオイルで被覆された微粉シリカを配合することが提案されている。
しかし、前記特開平3−131508号公報に提案されている被覆方法は、難燃剤を有機溶剤中で処理するもので、製造費用が高く、溶剤や排水の処理なども必要であり、無溶媒で可能な処理方法が望まれていた。
また、特開2003−26935号公報(特許請求の範囲参照)には、ポリ燐酸のメラミンおよびピペラジンとの複合塩とドリップ防止剤の併用により、少ない難燃剤で優れた難燃化効果が得られることが提案されている。この難燃剤は、難燃化効果に優れるだけでなく、耐水性にも優れるのでポリリン酸アンモニウムに比べ扱いが容易であった。
しかし、前記特開2003−26935号公報(特許請求の範囲参照)記載の難燃剤を添加した樹脂では、経時的に電気抵抗が顕著に低下するため、安定した電気特性が要求される用途では使用できなかった。
効率的な表面処理方法としては特開2000−63842号公報(特許請求の範囲参照)に、ケイ素含有被覆剤の溶剤含有組成物または水溶性オルガノポリシロキサンを難燃剤粒子上に塗布することによるポリリン酸アンモニウムやポリリン酸メラミンなどの難燃剤の表面変性方法が提案されている。しかし、ポリリン酸ピペラジンについてはなんら記載はなく、ポリリン酸ピペラジンとポリリン酸メラミンの組み合わせで得られた難燃剤をシリコーンオイル処理することで優れた難燃性を付与するとともに配合した樹脂の電気特性を損なわない難燃剤が得られることは全く予測されていなかった。
【発明の開示】
よって、難燃性に優れるばかりでなく、粉体特性や吸湿性の改良効果にも優れ、樹脂に添加した場合に電気抵抗の変化が小さい難燃剤が望まれていた。
本発明者らは、かかる現状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、ピペラジンと無機リン化合物の塩およびメラミンと無機リン化合物の塩の組成物にシリコーンオイルを添加処理することで二次凝集が抑制された、粉体特性に優れ、吸湿性の抑制された無機リン系難燃剤が提供でき、この難燃剤が添加された樹脂の電気抵抗は経時的に安定であることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の第1は、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジンまたはこれらのピペラジン塩の2以上の混合物から選択されるピペラジンと無機リン化合物の塩((A)成分)1〜99重量部と、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンまたはこれらのメラミン塩の2以上の混合物から選択されるメラミンと無機リン化合物の塩((B)成分)99〜1重量部(ただし(A)成分と(B)成分の合計は100重量部)、および任意の成分((C)成分)0〜50重量部からなる難燃剤組成物に、25℃での粘度が5000mm/s以下であるシリコーンオイル((D)成分)0.01〜20重量部を添加処理してなる難燃剤組成物を提供する。
本発明の第2は、ピペラジンと無機リン化合物の塩((A)成分)がピロリン酸ピペラジンを80重量%以上含有し、メラミンと無機リン化合物の塩((B)成分)がピロリン酸メラミンを80重量%以上含有し、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し、任意の成分((C)成分)が10重量部以下である本発明の第1の難燃剤組成物を提供する。
本発明の第3は、シリコーンオイル((D)成分)が、メチルハイドロジェンポリシロキサンである本発明の第1または2の難燃剤組成物を提供する。
本発明の第4は、シリコーンオイル((D)成分)が、メチルハイドロジェンポリシロキサン構造のみを有するシリコーンオイルと、少なくとも一部にジメチルポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルを併用したものである本発明の第1〜3のいずれかの難燃剤組成物を提供する。
本発明の第5は、シリコーンオイル((D)成分)が25℃での粘度1000mm/s以下である本発明の第1〜4のいずれかの難燃剤組成物を提供する。
本発明の第6は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、本発明の第1〜5のいずれかの難燃剤組成物を3〜70重量部を配合してなる難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を提供する。
本発明の第7は、本発明の第6の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物成形品を提供する。
本発明により、樹脂への分散性と耐吸湿性に優れた無機リン系難燃剤を提供できる。また、本発明の難燃剤組成物を合成樹脂に添加することにより、難燃性と電気抵抗の持続性に優れた樹脂組成物、特に、難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物が得られるので難燃性が要求される用途でのポリオレフィン系樹脂成形品の使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明において飛沫度試験方法に使用する飛沫度試験装置を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
本発明における(A)成分であるピペラジンと無機リン化合物の塩は、リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、及びポリリン酸ピペラジンから選択され、これらは単独でも混合物で使用されてもよい。
ピペラジンと無機リン化合物の配合比((A)成分の組成比)は、難燃化効果が発現する範囲であれば特に制限されず、好ましくは、ピペラジンの窒素原子と無機リン化合物のリン原子のモル比が1:5〜5:1が好ましく、1:2〜2:1が特に好ましい。
本発明における(B)成分であるメラミンと無機リン化合物の塩は、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、及びポリリン酸メラミンから選択され、これらは単独でも混合物で使用されてもよい。
メラミンと無機リン化合物の配合比((B)成分の組成比)は、難燃化効果が発現する範囲であれば特に制限されず、好ましくは、メラミンの窒素原子と無機リン化合物のリン原子のモル比が1:5〜5:1が好ましく、1:3〜3:1が特に好ましい。
本発明における(D)成分であるシリコーンオイルは25℃での粘度が5000mm/s以下、好ましくは3000mm/s以下であれば特に制限されず、1000mm/s以下のものが特に好ましい。粘度が5000mm/sより大きいシリコーンオイルを用いても二次凝集の抑制や耐水性の改良効果が小さく、電気抵抗の持続性効果も小さい。(D)成分は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部及び(C)成分0〜50重量部からなる組成物に対して0.01〜20重量部用いることが好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
メチルポリシロキサン構造のシリコーンオイルには、ジメチルポリシロキサン構造のみからなるものと、ジメチルポリシロキサン構造とメチルハイドロジェンポリシロキサン構造の両者を含む構造からなるものと、メチルハイドロジェンポリシロキサン構造のみからなるものとがあるが、メチルハイドロジェンポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルは難燃剤の粉体特性改良効果に特に優れるので好ましい。また、上記シリコーンオイルは、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性及び/又はアミノ変性されたものでもよい。
ジメチルシロキサン構造のみのシリコーンオイルは、粉体の飛沫度を低下させる効果が高く作業環境を向上させる効果があるので、メチルハイドロジェン構造を有するシリコーンオイルとの併用が難燃剤製品としての品質上好ましい。
その分子量は、前記の好ましい粘度を示すシリコーンオイルであれば特に限定されるものではない。
また、シリコーンオイルによる添加処理方法は特に限定されず、例えば、難燃剤粉末とシリコーンオイルを100〜150℃に加熱しながら撹拌することで二次凝集が抑制された、難燃化効果に優れ、電気抵抗への悪影響が抑制された難燃剤組成物が得られる。他の添加処理方法として、噴霧乾燥して添加・混合、混合造粒、コーティング、分散、混練等の処理を100〜150℃で行うことでも可能である。
シリコーンオイルは、メチルハイドロジェン構造が100%のものとしては、KF−99(信越化学(株)製:粘度20mm/s)、一部がメチルハイドロジェン構造のものとしては、HMS−151(Gelest社製:粘度25−35mm/s)、HMS−071(Gelest社製:粘度25−35mm/s)、HMS−301(Gelest社製:粘度25−35mm/s)、DMS−H21(Gelest社製:粘度100mm/s)などがあり、エポキシ変性品、例えば、X−22−2000(信越化学(株)製:粘度190mm/s)、KF−102(信越化学(株)製:粘度4000mm/s)、カルボキシル変性、例えば、X−22−4015(信越化学(株)製:粘度130mm/s)、カルビノール変性、例えば、X−22−4015(信越化学(株)製:粘度2000mm/s)、アミノ変性、例えば、KF−393(信越化学(株)製:粘度20mm/s)などの変性品を用いてもよい。
本発明の難燃剤組成物には、任意成分である(C)成分として、他の難燃剤、難燃助剤を配合してもよく、さらに、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などの酸化防止剤;紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物などの耐候性向上剤;造核剤、重金属不活性化剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト類、充填剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、抗菌剤、防黴剤、防鼠剤などの樹脂配合剤を配合してもよい。
(C)成分を配合する場合、その量は(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し、1種以上の(C)成分の合計として50重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
上記他の難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤、ポリリン酸アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物などが挙げられる。
上記難燃助剤には無機系難燃剤と有機系難燃剤とがあり、無機系難燃剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、タルクなどの無機化合物、およびその表面処理品が挙げられ、例えば、酸化亜鉛1種(三井金属工業(株)製)、部分被膜型酸化亜鉛(三井金属工業(株)製)、ナノファイン50(平均粒径0.02μmの超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、ナノファインK(平均粒径0.02μmの珪酸亜鉛被膜した超微粒子酸化亜鉛:堺化学工業(株)製)、TIPAQUE R−680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、キスマー5A(水酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)などの種々の市販品を用いることができる。
また、有機系難燃剤としては、例えば、メラミンシアヌレート、ペンタエリスリトール、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
各難燃助剤は単独でも組み合わせて用いてもよい。難燃助剤の添加により難燃剤の配合量を低減できたり、難燃剤単独では得られない難燃性が得られたりするので、難燃剤を配合する樹脂の種類や用途に応じて適宜併用することが好ましい。ポリテトラフルオロエチレンに代表されるドリップ防止剤は難燃化効果に優れるので好ましい。難燃助剤の粒径、融点、粘度などは難燃化効果や粉体特性で優れたものになるように選択される。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸メチル〕メタン、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールのホスファイトなどが挙げられる。
上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−アルキルメルカプトプロピオン酸)エステル類が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−(ベンゾトリアゾリル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシ−5−メチルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)−s−トリアジン等のトリアリールトリアジン類が挙げられる。
上記ヒンダードアミン化合物としては、例えば、1−オキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
上記造核剤としては、例えば、p−t−ブチル安息香酸アルミニウム、安息香酸ナトリウムなどの安息香酸類の金属塩、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸エステルナトリウム、メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸エステルナトリウム、ビス〔メチレンビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸エステル〕ヒドロキシアルミニウムなどの芳香族リン酸エステル金属塩および芳香族リン酸エステル金属塩とアルカリ金属化合物の混合物、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(ジメチルペンジリデンソルビトール)などのジベンジリデンソルビトール類、アミノ酸金属塩、ロジン酸金属塩などが挙げられる。
上記重金属不活性化剤としては、サリチルアミド−1,2,4−トリアゾール−3−イル、ビスサリチル酸ヒドラジド、ドデカンジオイルビス(2−(2−ヒドロキシベンゾイル)ヒドラジド)、ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸)ヒドラジドなどが挙げられる。
上記ハイドロタルサイト類としては、天然物でも合成品でもよく、例えば、マグネシウムとアルミニウムの塩基性複合炭酸塩およびマグネシウムの一部または全部がアルカリ金属で置換されたもの、炭酸アニオンの一部または全部が過塩素酸アニオンなどの他のアニオンで置換されたものが挙げられる。
上記充填剤としては、例えば、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維、カーボン繊維、窒化ホウ素、チタン酸カリウムなどの無機物ウィスカー、カーボンナノチューブ、フラーレンなどのナノ微粒子等の公知の樹脂用充填剤、強化材が用いられ、表面処理の有無や粒径、形状は適宜選択される。
本発明の難燃剤組成物により難燃化される合成樹脂としては、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン等のα−オレフィン重合体またはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンおよびこれらの共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−シクロヘキシルマレイミド共重合体等の含ハロゲン樹脂;石油樹脂;クマロン樹脂;ポリスチレン;ポリ酢酸ビニル;アクリル樹脂;スチレン及び/又はα−メチルスチレンと他の単量体(例えば、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、メタクリル酸メチル、ブタジエン、アクリロニトリル等)との共重合体(例えば、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、耐熱ABS樹脂等);ポリメチルメタクリレート;ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール;ポリエチレンテレフタレート及びポリテトラメチレンテレフタレート等の直鎖ポリエステル;コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから導かれるポリエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸等の生分解性脂肪族ポリエステル;ポリフェニレンオキサイド;ポリカプロラクタム及びポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド;ポリカーボネート、分岐ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンサルファイド;ポリウレタン;繊維素系樹脂等の熱可塑性樹脂及びこれらのブレンド物あるいはフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
更に、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム等のエラストマーであってもよい。
これらの合成樹脂は、単独あるいは2以上の前記合成樹脂の組成物であってもよく、好ましくは、ポリオレフィン系樹脂である。
本発明の難燃剤組成物は、前記の合成樹脂100重量部に対して、好ましくは70〜3重量部、特に好ましくは50〜5重量部配合されて、難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物等の難燃性合成樹脂組成物が得られる。
これらの樹脂の特性、例えば、密度、軟化点、溶媒不溶性成分の割合、立体規則性の程度、触媒残渣の有無、原料となるオレフィン等の種類や配合比率、重合触媒の種類(例えば、チーグラー触媒、メタロセン触媒等)などにより、本発明の効果すなわち難燃剤組成物の良好な分散性、並びに難燃剤組成物配合樹脂組成物の難燃性、電気抵抗の持続性及び耐吸湿性の程度に差異はあるものの、いずれにおいても有効である。
本発明の難燃剤組成物により難燃化される合成樹脂組成物は、前記の任意成分((C)成分)の有無にかかわらず必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などの安定剤により安定化することが好ましい。また、造核剤、帯電防止剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、充填剤、顔料、滑剤、発泡剤等を添加してもよい。これら樹脂配合剤としては、具体的には、上記の難燃剤組成物に配合できる化合物が挙げられる。
【実施例】
実施例により本発明を詳細に示す。ただし、本発明は以下の実施例によりなんら制限されるものではない。
実施例1(実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−3)
ピロリン酸ピペラジン(ピペラジンとピロリン酸のモル比 1:1)50重量部とピロリン酸メラミン(メラミンとピロリン酸のモル比 2:1)50重量部をジェットミル((株)セイシン企業製:Co−JETSystemα−mkIII)に入れ、室温でノズル圧力0.8mPa、供給速度500g/時間で粉砕して難燃剤粉末を得た。得られた粉末および表面処理剤(表1参照)1重量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製:FM20C/I)を用い120℃で2800rpmで10分間撹拌してシリコーンオイル被覆難燃剤を得た。
得られた粉末をメタノール溶媒で超音波処理し、粒径測定装置(島津製作所(株)製:SALD−2100)を用いて平均粒径を測定し、一次粒子径とした。また、超音波処理なしの難燃剤粉末200gを60メッシュの篩にかけて通過率(単位:重量%)により難燃剤の粉体としての流動性能を評価した。また、50℃で相対湿度100%で1週間保存後の重量増加により耐吸湿性を評価した。
結果を表1に示す。
【表1】

実施例1−1〜1−4と比較例1−1より、シリコーンオイルの添加処理により粉体特性が向上していることがわかる。また、実施例1−1〜1−4と比較例1−2より、粘度が5000mm/sより大きいと(10000mm/s)粉体特性や吸湿性の改良効果が小さく、一次粒子の平均粒径が小さくても篩の通過率が低いことから、粘度が低いシリコーンオイルを用いないと二次凝集が十分に抑制できないことがわかる。また、比較例1−3から低粘度でもチタネート系などの他の表面処理剤では粉体特性や吸湿性の改良効果が小さいことがわかる。
実施例2(シリコーンオイル併用効果)(実施例2−1〜2−7)
実施例1で用いたピロリン酸ピペラジン50重量部とピロリン酸メラミン50重量部をジェットミル((株)セイシン企業製:Co−JETSystemα−mkIII)に入れ、室温でノズル圧力0.8mPa、供給速度500g/時間で粉砕して難燃剤粉末を得た。得られた粉末および表面処理剤(表2参照)1重量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製:FM20C/I)を用い窒素雰囲気下150℃で2800rpmで10分間撹拌してシリコーンオイル被覆難燃剤を得た。
得られたシリコーンオイル被覆難燃剤をメタノールに分散し(濃度0.3g/100mlメタノール)、超音波処理(ブランソン社製卓上型、室温、10分間処理)した上で、粒度分布測定(島津製作所(株)製:SALD−2100)を行った。なお、平均粒子径を一次粒子径とした。
また、超音波処理なしの難燃剤粉末200gを60メッシュの篩にかけて通過率により難燃剤の粉体としての性能を評価した。また、50℃で相対湿度100%で4時間、8時間、20時間保存後の前記篩透過率変化により耐湿性を評価した。
超音波処理なしの難燃剤粉末3gを図1に示すように直径5.6cmのシャーレに対して40cmの高さに固定した直径5mmの三角ロートから落下させて飛散してシャーレ上に回収できなかった難燃剤組成物の重量を飛沫度として測定した。飛沫度が高いと成形加工機のホッパーなどへ仕込む際に粉塵が発生しやすいため作業環境を低下させるので、飛沫度が小さい難燃剤組成物が好ましい。結果を表2に示す。
【表2】

実施例2からメチルハイドロジェンシロキサン構造のみからなるシリコンオイルとジメチルシロキサン構造のみからなるシリコンオイルを併用することで、耐湿性と飛沫度(作業環境性)を両立した難燃剤組成物が得られることが明らかである。
実施例3(変性シリコーンオイル)(実施例3−1〜3−5)
実施例1で用いたピロリン酸ピペラジン50重量部とピロリン酸メラミン50重量部をジェットミル((株)セイシン企業製:Co−JETSystemα−mkIII)に入れ、室温でノズル圧力0.8mPa、供給速度500g/時間で粉砕して難燃剤粉末を得た。得られた粉末および表面処理剤(表3参照)1重量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製:FM20C/I)を用い窒素雰囲気下150℃で2800rpmで10分間撹拌してシリコーンオイル被覆難燃剤を得た。
得られた粉末を実施例2と同様に評価した。
結果を表3に示す。
【表3】

実施例3から変性シリコーンオイルも本発明の目的に適用可能であることは明らかである。
実施例4(実施例4−1〜4−2および比較例4−1〜4−2)
ポリプロピレン(三井化学(株)製:三井ポリプロJ704(メルトフローインデックス=9g/10分、230℃/2.16kgf(21.2N)))78.5重量部に、表4記載の難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製:ポリフロンFA−500)0.2重量部、テトラキス(3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル)メタン0.1重量部、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.1重量部、カルシウムステアレート0.1重量部を加え、220℃でTダイ押出し加工により厚さ0.1mmのフィルムを成形した。
得られたフィルムを20cm×20cmに裁断して試験片とした。得られた試験片を目視によるブツの発生の程度の評価から分散性としてブツの無いものを1、1〜20個のものを2、21〜30個のものを3、31〜50個のものを4、51個以上のものを5とした。また、220℃で押出し成形してペレットとし、さらに220℃で射出成形してUL−94に基づき難燃性を評価した。
また、220℃で得たペレットを220℃で1mm厚のシートに射出成形して電気抵抗の試験片とした。電気抵抗は、成形直後の試験片、80℃の温水に1日および5日浸漬した試験片、70℃×100%相対湿度で7日および14日加湿した試験片について、体積抵抗率をJIS K 6723(軟質ポリ塩化ビニルコンパウンド)に記載の6.8体積抵抗率試験により測定した。
70℃×100%相対湿度で14日加湿した試験片については加工直後からの重量増加率も測定した。結果を表4に示す。
【表4】

実施例4−1、4−2と比較例4−1より、低粘度のシリコーンオイルを添加処理した難燃剤は樹脂へ配合した場合に、樹脂に対する難燃化効果が大きく、電気的な特性の経時的な変化が小さいことがわかる。また、比較例4−2より、シリコーンオイルを用いても粘度が大きなシリコーンオイル(10000mm/s)では、樹脂の難燃性や電気特性の保持および吸湿による重量増加の抑制効果が小さいことがわかる。
実施例5(実施例5−1〜5−4)
ポリプロピレン(三井化学(株)製:三井ポリプロJ704、メルトフローインデックス=9g/10分)78.5重量部に表5記載の難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製:ポリフロンFA−500)0.2重量部、テトラキス(3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル)メタン0.1重量部、ペンタエリスリトールビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ジホスファイト0.1重量部、ハイドロタルサイト(DHT−4A:協和化学(株)社製)0.1重量部、酸化亜鉛1重量部を加え220℃で押出してペレットとし、さらに220℃で射出成形してUL−94に基づき難燃性を評価した。
結果を表5に示す。
【表5】

実施例5からシリコーンオイルの併用や変性シリコーンオイルを用いた難燃剤においても難燃剤としての性能を損なうことなく耐湿性を向上していることは明らかである。
実施例6(PTFEなし)(実施例6−1〜6−7)
ポリプロピレン(三井化学(株)製:三井ポリプロJ704、メルトフローインデックス=9g/10分)78.5重量部に表6記載の難燃剤、ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製:ポリフロンFA−500)0.2重量部、テトラキス(3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル)メタン0.1重量部、ペンタエリスリトールビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ジホスファイト0.1重量部、カルシウムステアレート0.1重量部を加え220℃で押出してペレットとし、さらに220℃で射出成形してUL−94に基づき難燃性を評価した。
結果を表6に示す。
【表6】

実施例6からポリテトラフルオロエチレンを用いなくても配合量を選択することで優れた難燃性樹脂組成物が得られることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
本発明の難燃剤組成物により難燃化された合成樹脂組成物及びその成形品は、自動車などの車輌内外装部材、車載蓄電池等の電装部品;電子・電気製品の部品被覆材料、カバーまたは筐体;冷蔵庫、エアコン等の家電製品;ビデオ等のAV機器;ファクシミリ、パソコン、プリンター等のOA機器;そのほか携帯電話、TVゲーム機、玩具等の各種の産業分野において、難燃性樹脂部材が必要とされる場合に好適に用いられる。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、ポリリン酸ピペラジンまたはこれらのピペラジン塩の2以上の混合物から選択されるピペラジンと無機リン化合物の塩((A)成分)1〜99重量部と、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンまたはこれらのメラミン塩の2以上の混合物から選択されるメラミンと無機リン化合物の塩((B)成分)99〜1重量部(ただし(A)成分と(B)成分の合計は100重量部)、および任意の成分((C)成分)0〜50重量部からなる難燃剤組成物に、25℃での粘度が5000mm/s以下であるシリコーンオイル((D)成分)0.01〜20重量部を添加処理してなる難燃剤組成物。
【請求項2】
ピペラジンと無機リン化合物の塩((A)成分)がピロリン酸ピペラジンを80重量%以上含有し、メラミンと無機リン化合物の塩((B)成分)がピロリン酸メラミンを80重量%以上含有し、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し、任意の成分((C)成分)が10重量部以下である請求項1記載の難燃剤組成物。
【請求項3】
シリコーンオイル((D)成分)が、メチルハイドロジェンポリシロキサンである請求項1または2記載の難燃剤組成物。
【請求項4】
シリコーンオイル((D)成分)が、メチルハイドロジェンポリシロキサン構造のみを有するシリコーンオイルと、少なくとも一部にジメチルポリシロキサン構造を有するシリコーンオイルを併用したものである請求項1〜3のいずれかに記載の難燃剤組成物。
【請求項5】
シリコーンオイル((D)成分)が25℃での粘度1000mm/s以下である請求項1〜4のいずれかに記載の難燃剤組成物。
【請求項6】
ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、請求項1〜5のいずれかに記載の難燃剤組成物を3〜70重量部を配合してなる難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる難燃性ポリオレフィン系樹脂組成物成形品。

【国際公開番号】WO2005/080494
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510338(P2006−510338)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003260
【国際出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】