説明

流向計

【課題】水路の順流、停止、逆流の流向が無電源で検出できる簡単な構造の流向計を提供する。
【解決手段】水路3の一方側の側壁3Aに取り付けるケース本体5と、このケース本体5内に前記水路3の水流方向に向けて揺動自在に懸吊し、かつ、流速調整板15を前記ケース本体5の下方に突出する先端に備えた流向検知部材11と、この流向検知部材11の長手方向の途中に固定した磁石17と、前記流向検知部材11が揺動するのに伴う磁石17の揺動軌跡に沿って前記磁石17でON・OFF動作可能に円弧状に配置した複数のリードスイッチ19を内蔵し、かつ、前記複数のリードスイッチ19が順流、停止、逆流を検知する位置に配置された円弧形状のリードスイッチ管21と、を備えてなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流向計に関し、特に洪水時に内水氾濫地域(人の住んでいる地域)の安全のために河川構造物のゲートの開閉に際して水路の水流方向が順流、停止、逆流のいずれかを判断するための流向計に関する。
【背景技術】
【0002】
洪水時に河川氾濫地域の安全確保のために治水施設は重要な役割を持っており、河川構造物としての例えば樋門はその1つである。そして、樋門とは、河川または水路を横断して設けられる制水施設であり、当該樋門の横断する支川の合流する本川の堤防内に時には暗渠として設けられ、堤防の機能を有している。樋門のゲートの開放操作というのは高い重要性を持っており、台風または集中豪雨時には、水路への流入量が一時的に増大するため、水位が上昇し、的確な操作を行わないと水路内から水が溢れて周辺の家屋が浸水するなどの大きな被害を招くことから社会的影響度も大きいものがある。このように、樋門とは、ゲートの閉閉により、設備の上下流(内外)に生じる水理的な影響を遮断する設備である。
【0003】
このように、洪水時に本川からの逆流を防止するための樋門・樋管ゲートは、全国に数万箇所あり、従来より委託された近傍の住民が目視で水路の流水の流向を判断し、手動でゲートの開閉操作を行っていたが、委託された住民の高齢化等の理由で、光ケーブルを利用して事務所から遠隔する方式に変化しつつある。そのために、目視の代わりにセンサにより水路の水流の流向を検出する流向計の必要性が高まってきている。
【0004】
従来の流向計としては、超音波式流向計と電磁式流向計がある。超音波式流向計は、例えば特許文献1に示されているように、2つの超音波式送受波器を水流方向に対して予め設定した角度で水路の対岸に設置し、一方の送受波器から他方の送受波器へ超音波パルスを発信すると共にその逆方向にも発信される。この超音波パルスの伝達時間を計測し、伝達時間、設置角度、測線長より、流向(並びに流速)を算出するものである。
【0005】
また、電磁式流向計は、例えば特許文献2に示されているように、検出部の内部に備えた電磁コイルにより、周囲に磁界をつくり、この磁界中を誘電体である水が通過するときに発生する起電力を検出して水流の流向を測定するものである。
【特許文献1】特公平1−56383号公報
【特許文献2】特許第3623773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、超音波式流向計並びに電磁式流向計などの従来の流向計においては、流向を検出するためには電源並びに電気的な種々の変換器を必要とするので、1箇所当たりで100〜180万円と比較的高価である。そのために、数万箇所のニーズに応えて全ての箇所に設置するには予算上において無理であるという問題点があった。
【0007】
また、超音波式流向計は、水路の平均流速を測定し、順流、停止、逆流の検出に加えて流速データも検出できるが、2つの超音波式送受波器を水路の対岸に設置するので、計測測線上に連続して気泡が発生すると欠測が生じ、あるいは超音波伝搬路の堆砂や植生による超音波伝搬が妨げられて測定できない事態が生じる。そのために、超音波式流向計の設置場所に制限が多くなる。ゲートの近くに設置できずに、かなり離れた場所に設置すると、洪水時の水流の流向に対する反応速度が鈍くなるという問題点があった。
【0008】
また、電磁式流向計は、水路の一方側の側壁のみに設置して前記側壁近傍の流速を測定し、順流、停止、逆流の検出に加えて流速データも検出できるが、電波等の外来ノイズによる誤作動障害を受け易く、電磁式流向計の設置場所に制限が多くなる。そのために、ゲートの近くに設置できずに、かなり離れた場所に設置すると、前述した超音波式流向計と同様に、洪水時の水流の流向に対する反応速度が鈍くなるという問題点があった。また、ポイントのみの流向計測であるので、渦流や対流等により計測に支障が生じることがある。また、水路の幅が広域の場合は、水路の中央と側壁では流向が違うことがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記発明が解決しようとする課題を達成するために、この発明の流向計は、水路の一方側の側壁に取り付けるケース本体と、
このケース本体内に前記水路の水流方向に向けて揺動自在に懸吊し、かつ、流速調整板を前記ケース本体の下方に突出する先端に備えた流向検知部材と、
この流向検知部材の長手方向の途中に固定した磁石と、
前記流向検知部材が揺動するのに伴う磁石の揺動軌跡に沿って前記磁石でON・OFF動作可能に円弧状に配置した複数のリードスイッチを内蔵し、かつ、前記複数のリードスイッチが順流、停止、逆流を検知する位置に配置された円弧形状のリードスイッチ管と、
を備えてなることを特徴とするものである。
【0010】
また、この発明の流向計は、前記流向計において、前記リードスイッチ管の複数のリードスイッチが、順流、停止、逆流の各検知を少なくとも2つ以上のリードスイッチでON動作すべく同じ斜め方向に並列に配置した構成であることが好ましい。
【0011】
また、この発明の流向計は、前記流向計において、前記ケース本体に、浸水の有無を検出する浸水検出装置を備えてなることが好ましい。
【0012】
また、この発明の流向計は、前記流向計において、前記流速調整板が、前記流向検知部材の延長方向に長さを調整自在に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明によれば、複数のリードスイッチを用いることから無電源で流向を検出できるので、施設の電源の設計が容易となり、また電気的な変換器も不要であるために、小型、低コストで、しかも流向検出の信頼性が高いことから、ニーズに応えて必要な箇所に容易に設置できる。
【0014】
また、無電源で接点信号を検出するので樹脂モールドすることで水中で使用することができ、流向検知部材の自重によるので風による誤動作を軽減でき、さらに、避雷回路を内蔵することで、雷に強く、屋外の自然環境に強いものにすることができる。
【0015】
また、水路の一方側の側壁のみに設置しても流向の検出ができるので、気泡や堆砂や植生等の影響を受けず、さらには電波等の外来ノイズによる誤作動障害を受けにくく、設置場所の制限は殆どなくなる。
【0016】
また、樋門・樋管ゲートは、それぞれ現場毎の状況が異なっており、さらには1つの現場においても複数のポイントで流向を検出する必要も生じるが、簡単な構成で安価であるので十分に対応できる。つまり、必要な箇所に容易に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1(A),(B)を参照するに、この実施の形態に係る流向計1は、水路3の一方側の側壁3Aに取り付けられ、水路3の水流が順流、停止、逆流であるかを計測するものである。すなわち、例えばケース本体5が直方体の箱形状をなす本体部5Aと蓋部5Bとで構成され、前記本体部5Aが水路3の一方側の側壁3Aに例えば4箇所をアンカー7で固定される構成であり、ケース本体5の下側、すなわち本体部5Aの下側には開口部9が形成されている。
【0019】
また、前記ケース本体5の内部には、流向検知部材としての例えば流向検知棒11が支軸部13に前記水路3の水流方向(図1(A)において左右方向)に向けて揺動自在に懸吊されており、流向検知棒11の先端がケース本体5の開口部9から下方に突出し、この突出した先端に流速調整板15が設けられている。なお、前記流速調整板15は流向検知棒11の延長方向に長さを調整自在に設けられている。流速調整板15の長さを調整することで、水路3の水流に対して感応する流速値を調整することができる。例えば、流速調整板15が長ければ感応度が高くなるので流向検知棒11の振れ幅が大きくなり、逆に流速調整板15が短ければ感応度が低くなるので流向検知棒11の振れ幅が小さくなる。なお、水流の流速値の測定及び流速調整板15の長さ調整についての詳細説明は後述する。
【0020】
また、前記流向検知棒11の長手方向の途中には、磁石としての例えば永久磁石17が固定されている。
【0021】
図2(A)〜(F)を併せて参照するに、ケース本体5の本体部5Aには、例えば複数のリードスイッチ19を内蔵した円弧形状のリードスイッチ管21が固定されている。さらに、前記複数のリードスイッチ19は前記流向検知棒11が揺動するのに伴う永久磁石17の揺動軌跡に沿って前記永久磁石17でON・OFF動作可能に円弧状に配置され、かつ、前記複数のリードスイッチ19が水路3の水流の順流、停止、逆流を検知する位置に配置されている。
【0022】
より詳しくは、図2(A),(C),(E)は、上記の湾曲形状のリードスイッチ管21を直線状に図示したものであり、リードスイッチ管21は、断面矩形状の中空管23の内部の一面側にプリント基板25が配置されており、前記プリント基板25には、複数のリードスイッチ19が順流、停止、逆流の各検知を少なくとも2つ以上のリードスイッチ19でON動作すべく同じ斜め方向に並列に配置されている。つまり、複数のリードスイッチ19が同じ斜め方向に並列に配置されることで、隣り合うリードスイッチ19の接点27の間の距離Dを近づけることができるので、1個の永久磁石17で2つ以上のリードスイッチ19のON動作を可能にできる。2つ以上のリードスイッチ19がON動作することで、検知精度を向上させることができる。
【0023】
この実施の形態では、図2(E)に示されているように、合計6個のリードスイッチ19(LS1〜LS6)が同じ斜め方向に並列して、順流、停止、逆流の各検知がそれぞれ2個のリードスイッチ19でON動作するように配置されている。つまり、逆流はリードスイッチLS1、LS2がON動作することで検知され、停止はリードスイッチLS3、LS4がON動作することで検知され、順流はリードスイッチLS5、LS6がON動作することで検知される。
【0024】
図3(A)を参照するに、リードスイッチ19の構造は、2本の強磁性体のリード29が各一端の接点27に互いに隙間を介して相対してガラス管31の内部に封入されている。また、ガラス管31の内部には不活性ガス33が封入されて前記接点27の活性化を防止している。また、接点27の部分にはロジウムやイリジウムをメッキすることで特性の安定化及び長寿命化が図られている。
【0025】
上記のリードスイッチ19は、図3(B)に示されているように、永久磁石17が近づくと、リード29にN極とS極が誘導され、この磁気吸引力により前記接点27が接触するように作動し、ON作動する。また、永久磁石17が離れて磁界が除かれると、リード29の機械的弾性により原位置に戻り、前記接点27が離れてOFF作動する。
【0026】
再び、図2(A)〜(F)を参照するに、プリント基板25の図2(E)において右端側には、この流向計1が水中にあるか否かを確認するために浸水の有無を検出する浸水検出装置35が取り付けられている。浸水検出装置35は、例えば2本の浸水検出棒37がシャフト状の支持体39の両側に添えられており、2本の浸水検出棒37の先端部には浸水検出部41が設けられている。つまり、前記浸水検出部41が浸水したときの浸水検出棒37間の導電抵抗値を検出することで、浸水の有無が判断される。例えば、導電抵抗値が35キロΩを越えたときは浸水していないことを検出し、導電抵抗値が35キロΩ以下では浸水したことを検出する。
【0027】
次に、上記の流向計1の使用例を説明する。
【0028】
図4を参照するに、河川構造物としての例えば樋門43が水路3の内水側と本川45の外水側との間に設けられている。前記樋門43を構成しているゲート47が上下に移動するよう設けられている。このゲート47の上端部には開閉装置49の一部である上下方向へ延伸されたラック51の下端が取り付けられていると共にラック51の上端には駆動装置53が設けられている。この駆動装置53は前記ラック51に噛合された図示しないピニオンと駆動モータを備えており、この駆動モータを駆動せしめてピニオンが回転されることでラック51が上下に移動して前記ゲート47が上下動して開閉される。なお、駆動装置53はこれ以外のすでに公知の駆動機構を用いても構わない。
【0029】
ゲート47の付近には、上記の流向計1が水路3の一方側の側壁3Aに取り付けられている。流向計1には電気ケーブル55の一端(図4において下端)が取り付けられていると共に電気ケーブル55の他端側は表示装置57を介して伝送路機材59により遠隔地に設置された監視・制御装置61に接続される構成である。この監視・制御装置61内には監視制御用端末63を備えている。
【0030】
前記伝送路機材59は、図示しないが、光ケーブルシステムや衛星通信システムの片方又は両方使用によりIP化された伝送路システムを介しカメラ情報等も同時伝送することで、カメラによる安全確認が行えると共に釣り人等の人への避難放送を行う等により、より確実で安全な水門遠隔操作システムを構築できる。光ケーブルシステムは既に実施例も多数あるが、破提時の光ケーブル切断や光ケーブル布設なき箇所の対応に問題がある。一方、衛星通信システムは、技術進歩に伴い、小型、安価、高速IP化が可能となっている。光ケーブルと衛星通信の二重化で、より信頼性の高い伝送路が可能となっている。
【0031】
図5を併せて参照するに、上記のリードスイッチ管21のリードスイッチLS1、LS2は表示装置59内の逆流の表示ランプL1に接続されており、リードスイッチLS3、LS4は停止の表示ランプL2に接続されており、リードスイッチLS5、LS6は順流の表示ランプL3に接続されている。
【0032】
また、前記開閉装置49の駆動装置53は例えば伝送路機材59を介して遠隔地に設置された監視・制御装置61内の監視制御用端末63に接続されている。
【0033】
上記構成により、例えば図6(A)においてはゲート47が開いた状態にあり、水流は水路3の内水側から本川45の外水側へ向けて順流として流れている。このときは、流向計1の流速調整板15が水路3の水流に感応して図1において右方向へ移動することで、流向検知棒11がケース本体5の支軸部13を中心にして反時計回り方向に回動することになる。したがって、流向検知棒11の長手方向のほぼ中間にある永久磁石17が流向検知棒11の揺動に伴って反時計回り方向に円弧状に移動して、図1において右側の二点鎖線の位置で停止する。
【0034】
すなわち、永久磁石17は図2(A)において右側の二点鎖線に該当する位置で停止し、リードスイッチLS5、LS6がON動作することになる。すると、図5において順流の表示ランプL3が点灯するので、監視室57の監視員は水路3の水流が順流であることを検知できる。したがって、ゲート47は開いた状態にしておかれる。
【0035】
一方、上記の順流の状態から、図6(B)に示されているように洪水初期のときは、水流は本川45の外水側から水路3の内水側へ向けて逆流として流れる。このときはゲート47が開いた状態にある。逆流になると、流向計1の流速調整板15が水路3の水流に感応して図1において左方向へ移動することで、流向検知棒11がケース本体5の支軸部13を中心にして時計回り方向に回動することになる。したがって、流向検知棒11に固定されている永久磁石17が流向検知棒11の揺動に伴って時計回り方向に円弧状に移動して、図1において左側の二点鎖線の位置で停止する。
【0036】
すなわち、永久磁石17は図2(A)において左側の二点鎖線に該当する位置で停止し、リードスイッチLS1、LS2がON動作することになる。すると、図5において逆流の表示ランプL1が点灯するので、監視室57の監視員は水路3の水流が逆流になったことを検知できる。
【0037】
この逆流検知を確認した監視員は、図4における監視・制御装置59から駆動装置53に指示を与えて図4に示されているようにゲート47を閉じることができる。これにより、台風または集中豪雨時に水路3への流入量が一時的に増大しようとしても、ゲート47で遮断することで、周辺の家屋が浸水するなどの大きな被害を防止できる。
【0038】
なお、ゲート47が閉じると、水路3の水流が停止状態になるので、流向検知棒11がケース本体5の支軸部13から垂直方向に懸吊された状態になる。すなわち、永久磁石17は図2(A)において中央の実線に該当する位置で停止し、リードスイッチLS3、LS4がON動作することになる。すると、図5において停止の表示ランプL2が点灯するので、監視室57の監視員はゲート47が閉じて水路3の水流が停止状態になったことを検知できる。
【0039】
以上のことから、この実施の形態の流向計1は、複数のリードスイッチ19を用いることから無電源で流向を検出できるので、施設の電源の設計が容易となり、また電気的な変換器も不要であるために、小型、低コストで、しかも流向検出の信頼性が高いことから、ニーズに応えて必要な箇所に容易に設置できる。
【0040】
また、無電源で接点信号を検出するので樹脂モールドすることで水中で使用することができ、流向検知棒11の自重によるので風による誤動作を軽減できる。加えて、避雷回路を内蔵することで、雷に強く、屋外の自然環境に強いものにすることができる。
【0041】
また、水路3の一方側の側壁3Aのみに設置しても流向の検出ができるので、従来の超音波式流向計のように気泡や堆砂や植生等の影響を受けず、さらには従来の電磁式流向計のように電波等の外来ノイズによる誤作動障害を受けにくく、設置場所の制限は殆どなくなる。
【0042】
また、樋門43・樋管ゲートは、それぞれ現場毎の状況が異なっており、さらには1つの現場においても複数のポイントで流向を検出する必要も生じるが、簡単な構成で安価であるので十分に対応できる。つまり、必要な箇所に容易に設置することができる。
【0043】
また、流向計1に浸水検出装置35を併設することにより、流向計1が浸水しているか否かを検出できるので、より信頼性の高い運用が可能となる。
【0044】
次に、この実施の形態の流向計1の応用例について説明する。
【0045】
流速調整板15が受ける水圧は、水流の流速の2乗に比例するので、図7に示されているような曲線になる。したがって、例えば、流速調整板15の長さを一定としたときに、順流のリードスイッチLS5、LS6がON動作したときの水圧を予め設定し、かつこの水圧に対応する流速値を予め測定し、この測定値を例えば監視・制御装置59のメモリに設定値として記憶しておくことにより、実際の計測時にリードスイッチLS5、LS6がON動作したときの水流の流速値が分かる。逆流のときも同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0046】
なお、図7において説明の便宜上、順流側の水流の流速値を+Vとし、逆流側の水流の流速値を−Vとし、順流側の水流の水圧を+Pとし、逆流側の水流の水圧を−Pとしている。
【0047】
さらに、流速調整板15の長さを短くすると、水流の流速値に対する感応が鈍くなるので、所定の流速値に対応する流向検知棒11の振幅が小さくなる。換言すれば、測定可能な流速の最大値をアップできることになる。そこで、複数のリードスイッチ19の間隔を前述した図2(E)の実施の形態の場合より配置を変えたりして狭くし、かつリードスイッチ19の数を増やすことによって、流速値の段階的な計測間隔を小さくして計測段階の数を多くすることができる。
【0048】
したがって、流速調整板15の長さを調整することで、計測可能な段階的流速値の調整を行うことができるので、殆どあらゆる種類のゲート47や流速・流向でなくても移動や変位を検出したり、機械設備、土石流検知や土砂移動等の災害用センサにも応用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(A)はこの発明の実施の形態の流向計の正面図で、(B)は(A)の矢視IB−IB線の断面図である。
【図2】(A)はリードスイッチ管の直線的な正面図で、(B)は(A)の右側面図で、(C)は(A)のリードスイッチ管を下から視た平面図で、(D)は(C)の右側面図で、(E)はプリント基板とリードスイッチと浸水検出装置との組立平面図で、(F)は(E)の右側面図である。
【図3】(A)はOFF動作状態のリードスイッチの概略的な断面図で、(B)はON動作状態のリードスイッチの概略的な断面図である。
【図4】この発明の実施の形態の流向計を使用したゲート開閉装置と監視室の概略説明図である。
【図5】図4における流向計による計測システムを示す概略的な電気回路図である。
【図6】(A)は順流状態を示す概略図で、(B)は逆流状態を示す概略図である。
【図7】この発明の実施の形態の流向計の流速調整板が受ける水圧と水流の流速値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
1 流向計
3 水路
5 ケース本体
9 開口部
11 流向検知棒(流向検知部材)
13 支軸部
15 流速調整板
17 永久磁石(磁石)
19 リードスイッチ(LS1〜LS6)
21 リードスイッチ管
23 中空管
25 プリント基板
27 接点
29 リード
31 ガラス管
35 浸水検出装置
37 浸水検出棒
39 支持体
41 浸水検出部
43 樋門
45 本川
47 ゲート
49 開閉装置
53 駆動装置
55 電気ケーブル
57 表示装置
59 伝送路機材
61 監視・制御装置
63 監視・制御用端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路の一方側の側壁に取り付けるケース本体と、
このケース本体内に前記水路の水流方向に向けて揺動自在に懸吊し、かつ、流速調整板を前記ケース本体の下方に突出する先端に備えた流向検知部材と、
この流向検知部材の長手方向の途中に固定した磁石と、
前記流向検知部材が揺動するのに伴う磁石の揺動軌跡に沿って前記磁石でON・OFF動作可能に円弧状に配置した複数のリードスイッチを内蔵し、かつ、前記複数のリードスイッチが順流、停止、逆流を検知する位置に配置された円弧形状のリードスイッチ管と、
を備えてなることを特徴とする流向計。
【請求項2】
前記リードスイッチ管の複数のリードスイッチが、順流、停止、逆流の各検知を少なくとも2つ以上のリードスイッチでON動作すべく同じ斜め方向に並列に配置した構成であることを特徴とする請求項1記載の流向計。
【請求項3】
前記ケース本体に、浸水の有無を検出する浸水検出装置を備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載の流向計。
【請求項4】
前記流速調整板が、前記流向検知部材の延長方向に長さを調整自在に設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の流向計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−190908(P2008−190908A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23347(P2007−23347)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(591015278)株式会社 拓和 (9)
【Fターム(参考)】