説明

流路切換弁

【課題】主弁3の外側と低圧路31の差圧によって主弁3の着座状態を保持するようにした流路切換弁において、主弁3の外側の高圧冷媒と低圧路内31Aの低圧冷媒の圧力を素早く均圧し、主弁3の回動動作を確実にする。
【解決手段】主弁3に均圧弁4を設ける。低圧路31Aと主弁3の上部とを導通する第1連通孔34と、副弁背空間42Aと主弁3の上部とを導通する第2連通孔35とを形成する。主弁3の上に副々弁5を設け、副々弁5を回動して第1連通孔34と第2連通孔35との導通/非導通を切り換える。第1連通孔34と第2連通孔35の非導通状態で、副弁背空間42Aを高圧にして副弁43を副弁ポート41に着座し、冷房運転または暖房運転を行う。第1連通孔34と第2連通孔35を導通状態として、副弁43を副弁ポート41から離間し、主弁3の外側の空間と低圧路31A内とを均圧し、主弁3を回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ式の冷凍サイクル等に用いられ、冷媒の流路を切り換える流路切換弁に関する。
【0002】
従来、この種の流路切換弁として例えば特開2003−148835号公報(特許文献1)及び特開2006−183802号公報(特許文献2)に開示されたものがある。特許文献1のものは、弁本体(弁座)に吸入圧力導通孔(低圧ポート)と吐出圧力導通孔(高圧ポート)と二つの導通孔(切換ポート)が形成され、主弁には吸入圧力導通孔と二つの導通孔とを選択的に連通する連通部(低圧路)と、連通部と弁室とを連通する均圧孔とを備えている。また、主弁上にロータの回転に連動する副弁を設けている。そして、主弁の外側すなわち弁室内の圧力と連通部内の圧力との差圧により、主弁を弁本体(弁座)に押え付け、着座状態を保持している。また、冷媒の流路を切り換えるときは、副弁をモータ部により回動し、均圧孔を開けて上記差圧を無くすようにしている。
【0003】
特許文献2のものは、弁室内の主弁の外側の冷媒圧力と主弁の低圧路(導通路)内の冷媒圧力との差圧によって主弁を弁座に押し付けるシール圧を得るものである。そして、この特許文献2のものでは、主弁が第1位置にあるとき副弁を回動し、主弁の均圧孔が所定角度範囲に入ることで低圧路(導通路)と圧力制御空間との均圧を開始し、均圧孔が所定角度範囲の略中央位置になったところでクラッチ機構により主弁と副弁を連結し、副弁の回動により主弁を回動するようにしている。そして、副弁が回動するとき、クラッチ機構が副弁と主弁とを連結する前に均圧を開始することで、クラッチ機構が連結状態となるとき、すなわち主弁の回動が開始されるときには十分に均圧されるようにしている。
【特許文献1】特開2003−148835号公報
【特許文献2】特開2006−183802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1あるいは特許文献2のものでは、副弁をモータ等により回動して主弁の均圧孔を開閉するため、副弁と均圧孔の周囲との効力により副弁と主弁との間に摩擦力が生じ、モータ等の力で副弁を回動するには、小開口面積の均圧孔の開閉しかできず、主弁外部の空間と低圧路との均圧を速やかに行えないという問題がある。
【0005】
本発明は、主弁の外側の空間の冷媒圧力と主弁の低圧路の冷媒圧力との差圧によって主弁の着座状態を保持するようにした流路切換弁において、該主弁の回動に先立って、主弁の周囲の高圧冷媒と低圧路内の低圧冷媒の圧力を素早く均圧するとともに、主弁の回動動作を確実にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の流路切換弁は、円筒状の弁室内に該弁室の軸回りに回動可能に主弁を収容するとともに、該主弁に対向する弁座に低圧ポート、高圧ポート及び2つの切換ポートを開口し、前記主弁に形成された低圧路により低圧ポートを一方の切換ポートに連通するとともに、高圧ポートを他方の切換ポートに連通するように、該主弁を回動して2つの切換ポートの連通先を切り換え、高圧ポートから流入する冷媒を一方の切換ポートに流出するとともに他方の切換ポートから流入する冷媒を低圧ポートに流出する流路切換弁であって、前記高圧ポートに通じる主弁の外側と前記主弁の低圧路との冷媒の差圧により、該主弁の着座状態を保持するようにした流路切換弁において、前記主弁に均圧弁が設けられ、該均圧弁は、前記低圧路に導通する副弁ポートと、該副弁ポートに連通するシリンダと、該シリンダ内に内挿されて該副弁ポートに着座及び離座が可能な副弁と、該副弁を前記副弁ポート側に付勢する付勢手段とから構成され、前記主弁に、前記副弁の側部及び前記シリンダ部を該主弁の側面外側に導通する高圧路が形成されるとともに、該記副弁に、該高圧路を当該副弁の該副弁ポートと反対側の副弁背空間に導通する副弁通路が形成され、前記主弁に、前記副弁背空間と前記低圧路との導通状態及び非導通状態を切り換える切り換え手段が設けられ、前記切り換え手段により前記副弁背空間と前記低圧路を非導通状態として、前記高圧路と前記副弁通路を介して前記副弁背空間を高圧にすることで前記付勢手段により前記副弁を前記副弁ポートに着座させ、前記主弁の外側の空間と前記低圧路内との差圧により、該主弁の着座状態を保持し、前記切り換え手段により前記副弁背空間と前記低圧路を導通状態として、該副弁背空間を低圧にすることで前記副弁を前記副弁ポートから離座させ、前記主弁の外側の空間と前記低圧路とを均圧させて、該主弁を回動させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項1の流路切換弁において、主弁が弁座に着座しているとき、切り換え手段が副弁背空間と低圧路が非導通状態としており、副弁背空間は高圧路と副弁通路を介して流入する冷媒により高圧となる。これにより、副弁ポートは付勢手段で付勢された副弁により閉状態となり、主弁の外側の冷媒圧力と低圧路内の冷媒圧力の差圧により、主弁の着座状態が保持される。冷媒の流路を切り換えるとき、切り換え手段により副弁背空間が低圧路に導通される。これにより、副弁背空間が低圧となり、主弁の外側に導通する高圧路からの冷媒圧力により副弁が副弁ポートから離間し、この副弁ポートにより低圧路が高圧路に導通して主弁の外側と低圧路とが均圧する。
【0008】
請求項2の流路切換弁は請求項1に記載の流路切換弁であって、前記切り換え手段が、前記低圧路を前記主弁の弁座と反対側端面に導通するよう該主弁に形成された第1連通孔と、前記副弁背空間を該主弁の弁座と反対側端面に導通するよう該主弁に形成された第2連通孔と、前記主弁の弁座と反対側端面に接して該主弁の軸回りに回動し、前記第1連通孔と第2連通孔の導通状態及び非導通状態を切り換える副々弁と、から構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の流路切換弁において、副々弁が回動することにより第1連通孔と第2連通孔の導通状態及び非導通状態が切り換えられる。第1連通孔と第2連通孔が導通状態となると、副弁背空間と低圧路が導通状態となり、第1連通孔と第2連通孔が非導通状態となると副弁背空間と低圧路が非導通状態となる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の流路切換弁によれば、均圧弁は、副弁が副弁ポートから離間する動作により均圧させるので、抵抗力に抗して副弁を回動して均圧するものに比べて、副弁ポートの開口面積を大きくでき、速やかに均圧することができる。
【0011】
請求項2の流路切換弁によれば、請求項1の効果に加えて、副々弁を回動するだけで副弁背空間と低圧路との導通状態/非導通状態を切り換えることができるので、簡単な構成となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明による流路切換弁の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る流路切換弁の冷房運転状態の縦断面図(図6(A) のB−B位置断面図)、図2は同流路切換弁の均圧弁の均圧時の縦断面図(図6(B) のB−B位置断面図)、図3は図1のA−A位置断面図、図4は同流路切換弁の均圧弁の拡大断面図、図5は同流路切換弁の副々弁の斜視図、図6は同流路切換弁の動作説明図である。
【0013】
この実施形態の流路切換弁は、本体ケースを構成するケース部材1と弁座部材2とを有している。ケース部材1には略円筒状の弁室11が形成されている。また、弁座部材2には円形台状の弁座21が形成されており、この弁座21の周囲にはリング22が取り付けられている。そして、弁室11の開口部に弁座21及びリング22を嵌め込むことにより、弁室11が封止される。弁室11内には主弁3が収容されており、この主弁3は均圧弁4を備えている。また、主弁3の上部には副々弁5が収容されるとともに、ケース部材1の上部から弁室11内にかけて駆動部6が取り付けられている。なお、ケース部材1の上部には駆動部6の図示しないモータが収容されている。
【0014】
図3に示すように、弁座21には、弁室11と図示しない圧縮機の冷媒吐出口に連通される「高圧ポート」としてのDポート21D、弁室11と同圧縮機の冷媒吸入口に連通される「低圧ポート」としてのSポート21S、弁室11と図示しない室外熱交換器に連通される「切換ポート」としてのC切換ポート21C及び図示しない室内熱交換器に連通される「切換ポート」としてのE切換ポート21Eが、それぞれ形成されている。なお、Dポート21DとSポート21Sは180°離間する位置に開口し、C切換ポート21CとE切換ポート21EはSポート21Sからそれぞれ90°づつ離間して開口されている。また、Dポート21Dにはストッパ管21aが挿入され、このストッパ管21aは弁座21の端面(シール部)よりも弁室11内に突出されている(図1参照)。
【0015】
主弁3は樹脂で形成された略円柱形状の部材であり、図1に示すように、この主弁3は、ケース部材1の内部上端と弁座21の中心に保持された軸10に軸支され、弁座21に対して弁室11内で回動自在に配設されている。また、図3に示すように、主弁3の弁座21側には、軸10の片側に位置する低圧導通部31と、この低圧導通部31と反対側に形成されたストッパ部32A,32Bとを有している。低圧導通部31は、Sポート21SとE切換ポート21E(あるいはSポート21SとC切換ポート21C)とを囲うような半円弧状の形状であり、この低圧導通部31の内部の空間は低圧路31Aとなっている。そして、低圧導通部31の弁座21側の端面(シール部)は弁座21の摺動面に接触する。
【0016】
図3に示すように、主弁3のストッパ部32A,32BはDポート21Dのストッパ管21aの側面に整合する形状となっており、このストッパ部32A,32Bの一方がストッパ管21aに択一的に当接することで、主弁3の回動範囲が規制される。なお、一方のストッパ部32Aは冷房運転状態に切り換えるときにストッパ管21aに当接し、他方のストッパ部32Bが暖房運転状態に切り換えるときにストッパ管21aに当接する。
【0017】
図4に示すように、均圧弁4は、主弁3に形成された副弁ポート41と、主弁3に形成されたシリンダ42と、シリンダ42内に内挿された副弁43と、副弁43を副弁ポート41側に付勢する付勢手段としてのコイルバネ44とで構成されている。副弁ポート41は低圧導通部31内の低圧路31Aに導通する均圧孔を構成しており、シリンダ42はこの副弁ポート41に連通されている。副弁43はシリンダ42内を上下に摺動して副弁ポート41に着座及び離座が可能となっており、シリンダ42内において、副弁43に対して副弁ポート41と反対側の空間は副弁背空間42Aとなっている。また、副弁43には、その側部から副弁背空間42Aに導通する副弁通路43aが形成されている。
【0018】
主弁3にはシリンダ42の側部で副弁ポート41側端部に開口する高圧路33が形成されており、この高圧路33は副弁43の側部及びシリンダ42を主弁3の側面外側に導通している。また、シリンダ42と軸10(図1参照)との間には低圧路31Aを主弁3の上部(弁座2と反対側)に導通する第1連通孔34が形成されるとともに、副弁背空間42Aを主弁3の上部に導通する第2連通孔35が第1連通孔34と平行に形成されている。なお、主弁3の上部の周囲一箇所にはストッパ36が立設されている。
【0019】
図5に示すように、副々弁5は略円盤状の形状をしたスライド弁部51とその中央のボス部52とを有しており、このボス部52の中心において軸10に軸支されている。また、スライド弁部51の主弁3側の面には第1連通孔34と第2連通孔35とを導通する導通凹部511が2箇所に形成されている。また、スライド弁部51の周囲一箇所には主弁3のストッパ36に当接するストッパ51aが形成されている。
【0020】
駆動部6は、軸10に回動自在に軸支されたウォームホイール61と、このウォームホイール61に歯合されたウォーム歯車62とを有し、このウォーム歯車62は図示しないモータの駆動軸に固定されている。また、ウォームホイール61はボス部61aによって軸10に軸支されており、このボス部61aが副々弁5のボス部52に形成された略長方形の角孔52aに嵌合されている。また、ウォームホイール61と副々弁5との間には、副々弁5を主弁3側に付勢するコイルバネ63が配設されている。これにより、ウォームホイール61と副々弁5は軸10の回りに協働して回動可能となっている。
【0021】
以上の構成により次のように動作する。図1の冷房運転状態では、図4(A) に示すように、第1連通孔34と第2連通孔35は副々弁5のスライド弁部51の底面により非導通となっており、副弁背空間42Aは、高圧路33及び副弁通路43aを介して主弁3の外側の空間と同圧になっている。したがって、この副弁背空間42Aの高圧と低圧路31Aの低圧との差圧及びコイルバネ44の付勢力により副弁43が副弁ポート41を閉じ、均圧弁4が閉状態となる。これにより、主弁3はその外側の空間と低圧路31A内の差圧により弁座21に着座し、その着座状態を保持している。
【0022】
次に、流路を切り換えるとき均圧弁4は次のように動作する。副々弁5が回転し、図4(A) の二点差線で示すように、副々弁5の導通凹部511が第1連通孔34と第2連通孔35を導通すると、副弁背空間42Aが低圧路31Aと均圧する。ここで、副弁43を副弁ポート41に着座させる方向に働く力F1は、コイルバネ44の付勢力と、高圧路33の圧力と低圧路31Aの圧力の差圧に副弁ポート41の断面積を掛けた力との和である。一方、副弁43を副弁ポート41から離間させる方向に働く力F2は、高圧路33の圧力と低圧路31Aの圧力の差圧に副弁43の外径の断面積を掛けた力である(なお、副弁43の自重は無視している。)。そこで、F1<F2となるようにコイルバネ44の付勢力、副弁43の外径及び副弁ポート41の径が設定されている。なお、実際には、背空間42Aと低圧路31Aが完全に均圧する前に、副弁43が副弁ポート41から離間し、高圧路33の冷媒圧力により副弁43を着座させる方向に働く力は弱まり、副弁43は直ぐに図4(B) のように副弁ポート41から離間する。これにより、均圧弁4が開状態となり主弁3の外側の空間と低圧路31A内が均圧する。このように、第1連通孔34、第2連通孔35及び副々弁5は、副弁背空間42Aと低圧路31Aとの導通状態及び非導通状態を切り換える切り換え手段を構成している。
【0023】
次に図6に基づいて冷房運転及び暖房運転の切換動作を説明する。なお、図6は弁座21に対して副々弁5側から見た状態での各部位の位置関係を示すものであり実線、破線、斜線等の表記は前後位置や構造を示すものではない。また、「D,S,C,E」の表記は、Dポート21D、Sポート21S、C切換ポート21C及びE切換ポート21Eの弁座21における開口を示している。図6(A) は冷房運転状態、図6(D) は暖房運転状態、図6(B) ,(C) ,(E) ,(F) は運転状態の切換過程である。
【0024】
先ず、図6(A) の冷房運転時にあるとする。図6(A) のように、Dポート21DはC切換ポート21Cに導通され、Sポート21Sは低圧路31AによりE切換ポート21Eに導通されている。また、副々弁5のスライド弁部51により第1連通孔34と第2連通孔35は非導通となっている(図1参照)。そして、Dポート21Dから導入される高圧冷媒により副弁43が副弁ポート41を閉じ、均圧弁4が閉状態となる。これにより、主弁3の外側の空間が高圧になるとともに、低圧路31Aが低圧になっている。したがって、主弁3の外側の空間と低圧路31Aとの差圧により主弁3は弁座21に着座して密着されている。
【0025】
次に、上記冷房運転状態から暖房運転状態に切り換えるとき、圧縮機本体は運転状態のままで駆動部6を駆動すると、副々弁5のみが図6(A) の状態から反時計回りに回動する。そして、副々弁5のストッパ51aが主弁3のストッパ36に当接して図6(B) の状態になると、スライド弁部51の一方の導通凹部511が第1連通孔34と第2連通孔35を導通する(図2参照)。これにより、前記のように均圧弁4が開状態となり、主弁3の外側の空間と低圧路31Aが均圧され、主弁3に加わる差圧がキャンセルされる。
【0026】
また、このとき、副々弁5のストッパ51aが主弁3のストッパ36に当接しているので、副々弁5と主弁3とが共に回動する。そして、図6(C) のように主弁3のストッパ部32Bがストッパ管21aに当接し、副々弁5及び主弁3の回動が停止される。なお、ストッパ部32Bがストッパ管21aに当接することにより、駆動部6のモータ及び駆動回路に過負荷が掛かるのでこれを検出してモータを停止するようにしてもよい。次に、副々弁5を所定量だけ逆(時計回り)に回転して導通凹部511を第1連通孔34と第2連通孔35の位置から移動させて、図6(D) のように第1連通孔34と第2連通孔35をスライド弁部51により非導通の状態とする。これにより、前記同様に均圧弁4が閉状態となる。そして、前記同様にDポート21Dから導入される高圧冷媒によって、主弁3の外側の空間と低圧路31Aとの差圧により主弁3は弁座21に着座して密着され、暖房運転状態となる。
【0027】
暖房運転状態から冷房運転状態に切り換えるときは、圧縮機本体は運転状態のままで駆動部6を駆動し、副々弁5のを図6(D) の状態から時計回りに回動する。そして、副々弁5のストッパ51aが主弁3のストッパ36に当接して図6(E) の状態になると、スライド弁部51の他方の導通凹部511が第1連通孔34と第2連通孔35を導通する。これにより、前記のように均圧弁4が開状態となり、主弁3の外側の空間と低圧路31Aが均圧され、主弁3に加わる差圧がキャンセルされる。
【0028】
また、このとき、副々弁5のストッパ51aが主弁3のストッパ36に当接しているので、副々弁5と主弁3とが共に回動し、図6(F) のように主弁3のストッパ部32Aがストッパ管21aに当接し、副々弁5及び主弁3の回動が停止される。そして、副々弁5を所定量だけ逆(反時計回り)に回転して導通凹部511を第1連通孔34と第2連通孔35の位置から移動させて、図6(A) のように第1連通孔34と第2連通孔35をスライド弁部51により非導通の状態とする。これにより、前記同様に均圧弁4が閉状態となる。前記冷房運転状態となる。
【0029】
以上のように、均圧弁4において、副弁43は、副弁背空間42Aと高圧路33との差圧により副弁ポート41から離間するので、従来のように均圧孔に対して副弁をスライドさせて均圧孔を開放するようなものに比べて、副弁43を容易に離間させることができ、均圧孔としての副弁ポート41の径を大きくすることができ、速やかに均圧することができる。なお、従来例においては、副弁をモータ等でスライドさせる場合には均圧孔の直径は4mm程度が最大径であるが、実施形態における副弁ポート41は4mm以上の大きな直径となっている。
【0030】
以上の実施形態では、切り換え手段を第1連通孔34、第2連通孔35及び副々弁5により構成し、この回動する副々弁5により副弁背空間42Aと低圧路31Aとの非導通状態/導通状態を切り換えるようにしているので、主弁3の回動を副々弁5の回動に連動させるように構成することができ、構造が簡単になる。ただし、この切り換え手段は実施形態のものに限らず、副弁背空間と低圧路との非導通状態/導通状態を切り換えるものであればよい。例えば、主弁本体内に、副弁背空間と低圧路とを連通する1つの通路と副々弁とを設け、この主弁本体内の副々弁を開閉することにより非導通状態/導通状態を切り換えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る流路切換弁の冷房運転状態の縦断面図である。
【図2】同流路切換弁の均圧弁の均圧時の縦断面図である。
【図3】図1のA−A位置断面図である。
【図4】実施形態に係る流路切換弁の均圧弁の拡大断面図である。
【図5】同流路切換弁の副々弁の斜視図である。
【図6】同流路切換弁の動作説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1 ケース部材
2 弁座部材
3 主弁
4 均圧弁
5 副々弁(切り換え手段)
6 駆動部
11 弁室
21 弁座
21D Dポート(高圧ポート)
21S Sポート(低圧ポート)
21C C切換ポート(切換ポート)
21E E切換ポート(切換ポート)
21a ストッパ管
31 低圧導通部
31A 低圧路
33 高圧路
34 第1連通孔(切り換え手段)
35 第2連通孔(切り換え手段)
36 ストッパ
41 副弁ポート
42 シリンダ
42A 副弁背空間
43 副弁
43a 副弁通路
44 コイルバネ(付勢手段)
51 スライド弁部
52 ボス部
511 導通凹部
51a ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の弁室内に該弁室の軸回りに回動可能に主弁を収容するとともに、該主弁に対向する弁座に低圧ポート、高圧ポート及び2つの切換ポートを開口し、前記主弁に形成された低圧路により低圧ポートを一方の切換ポートに連通するとともに、高圧ポートを他方の切換ポートに連通するように、該主弁を回動して2つの切換ポートの連通先を切り換え、高圧ポートから流入する冷媒を一方の切換ポートに流出するとともに他方の切換ポートから流入する冷媒を低圧ポートに流出する流路切換弁であって、前記高圧ポートに通じる主弁の外側と前記主弁の低圧路との冷媒の差圧により、該主弁の着座状態を保持するようにした流路切換弁において、
前記主弁に均圧弁が設けられ、
該均圧弁は、前記低圧路に導通する副弁ポートと、該副弁ポートに連通するシリンダと、該シリンダ内に内挿されて該副弁ポートに着座及び離座が可能な副弁と、該副弁を前記副弁ポート側に付勢する付勢手段とから構成され、
前記主弁に、前記副弁の側部及び前記シリンダ部を該主弁の側面外側に導通する高圧路が形成されるとともに、該記副弁に、該高圧路を当該副弁の該副弁ポートと反対側の副弁背空間に導通する副弁通路が形成され、
前記主弁に、前記副弁背空間と前記低圧路との導通状態及び非導通状態を切り換える切り換え手段が設けられ、
前記切り換え手段により前記副弁背空間と前記低圧路を非導通状態として、前記高圧路と前記副弁通路を介して前記副弁背空間を高圧にすることで前記付勢手段により前記副弁を前記副弁ポートに着座させ、前記主弁の外側の空間と前記低圧路内との差圧により、該主弁の着座状態を保持し、
前記切り換え手段により前記副弁背空間と前記低圧路を導通状態として、該副弁背空間を低圧にすることで前記副弁を前記副弁ポートから離座させ、前記主弁の外側の空間と前記低圧路とを均圧させて、該主弁を回動させるようにしたことを特徴とする流路切換弁。
【請求項2】
前記切り換え手段が、
前記低圧路を前記主弁の弁座と反対側端面に導通するよう該主弁に形成された第1連通孔と、
前記副弁背空間を該主弁の弁座と反対側端面に導通するよう該主弁に形成された第2連通孔と、
前記主弁の弁座と反対側端面に接して該主弁の軸回りに回動し、前記第1連通孔と第2連通孔の導通及び非導通を切り換える副々弁と、
から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の流路切換弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−275834(P2009−275834A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128002(P2008−128002)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000143949)株式会社鷺宮製作所 (253)
【Fターム(参考)】