説明

流路形成体への温度センサの取付構造

【課題】流路を流れる流体の温度を正確に測定することができると共に、流れに乱れを生じさせないようにできる、流路形成体への温度センサの取付構造を提供すること。
【課題手段】流路形成体(1,2)への温度センサ(3)の取付構造であって、断面積が1mm以上且つ8mm以下の流路(7)を形成した流路形成体(1,2)と、前記流路(7)を流れる流体の温度を測定するための温度センサ(3)とを備え、前記流路(7)を形成する壁の一部に、流体の流れる方向に略平行な凹部(52)を有し、この凹部(52)に温度センサ(3)の測温部(31a)を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路形成体への温度センサの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ化学プラントは、マイクロスケールの空間内での混合、化学反応、分離などを利用した生産設備であり、大型タンク等を用いた従来のバッチ方式のプラントと比較して多くの有利点を備える。例えば、複数の流体の混合や化学反応を短時間且つ微量の試料で行えること、装置が小型であるため実験室レベルで生成物の製造技術を確立できればナンバリングアップを行うことで容易に量産用の設備化ができること、爆発などの危険を伴う反応にも適用可能であること、多品種少量生産を必要とする化合物の生成などにも素早く適応できること、需要量に合わせた生産量の調整が容易にできることなどである。このため、化学工業や医薬品工業の分野では、流体の混合または反応を行い材料や製品を製造するための好適な装置として注目され、近年、その研究開発が盛んに行われている。
【0003】
マイクロ化学プラントにおいては、流体の反応温度を制御することによって反応速度や生成物質の質を向上させることができる。反応温度を制御するには、反応路であるマイクロ流路を流れる流体の正確な温度測定が必要となる。マイクロ流路を流れる液体の温度を測定する技術として、例えば特許文献1には、マイクロ流路を形成するマイクロ反応本体部に温度センサ挿入口を設け、この中に挿入した温度センサにより、液相の温度を測定するように構成されたマイクロリアクタが開示されている。また、特許文献2には、マイクロ流路の内部に温度センサを設けたマイクロ流路デバイスが開示されている。
【特許文献1】特開2004−321063
【特許文献2】特開2006−130599
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のマイクロリアクタでは、温度センサは、マイクロ反応本体部を介して伝わった反応液の熱を測定するため、測定温度の正確性に劣るという問題があった。特許文献2に記載のマイクロ流路デバイスでは、マイクロ流路内に温度センサを設けるため、温度測定の正確性は良くなるが、液流れが温度センサにより妨げられ、流れが乱されるという問題があった。特に、マイクロ化学プラントで用いる流路は、断面積が数mm以下である。そして温度測定センサとして熱電対センサが用いられ、その直径は一般には0.5mm(断面積にして0.785mm)以上ある。層流状態を保持した状態での流れが必要な場合は、特許文献2の技術を用いると、温度測定センサが障害となって乱流が生じる可能性がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、流路を流れる流体の温度を正確に測定することができると共に、流れに乱れを生じさせないようにできる、流路形成体への温度センサの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、流路形成体(1,2,210)への温度センサ(3)の取付構造であって、断面積が1mm以上且つ8mm以下の流路(7,70)を形成した流路形成体(1,2,210)と、前記流路(7,70)を流れる流体の温度を測定するための温度センサ(3)とを備え、前記流路(7,70)を形成する壁の一部に、流体の流れる方向に略平行な凹部(52,521)を有し、この凹部(52,521)に温度センサ(3)の測温部(31a)を設けたことを特徴とする。
【0007】
本発明によると、凹部(52,521)に温度センサ(3)の測温部(31a)を設けた構造であるため、流路(7)を流れる流体の流れが温度センサ(3)の測温部(31a)により妨げられられず、流れが乱されることがない。また、温度センサ(3)の測温部(31a)は、流路(7,70)を流れる流体に直接に接触できるので、流路7を流れる流体の温度を正確に測定することができる。
【0008】
また、凹部(52)と温度センサ(3)の測温部(31a)とを接合材(6a)により接合することで、測温部(31a)を確実に固定することができる。凹部(52)と温度センサ(3)の測温部(31a)との隙間を封止材(6a)により封止することで、前記隙間における流体の滞留を防止することができる。封止材(6a)の表面と流路(7)の内周面とを略面一とすることで、流路(7)を流れる流体は攪乱されることなく安定した流れを保つことができる。温度センサ(3)の測温部(31a)における少なくとも一部を流路(7,70)内の空間に曝すことで、より一層正確に流体の温度を測定することができる。温度センサ(3)は、内部に熱電対要素(32)を設けたシース(31)を測温部として構成された熱電対型温度センサとすることで、マイクロデバイスへの適用に好適となる。流路形成体(1,2,210)をポリテトラフルオロエチレン樹脂または接着性フッ素樹脂等の合成樹脂で構成することによりその蓄熱性を小さくでき、流路(7,70)を流れる流体の温度を更に一層正確に測定できるようになる。流路形成体(1,2,210)の周りに断熱手段(4)を設けることで、流路(7)内を流れる流体は、外部への放熱または外部からの受熱の影響が非常に少なくなる。
【0009】
なお、特許請求の範囲及び課題を解決するための手段の欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の流路形成体への温度センサの取付構造によると、流路を流れる流体の温度を正確に測定することができると共に、流れに乱れを生じさせないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
〔第1実施形態〕
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。図1は第1実施形態の温度センサ付マイクロデバイスの正面一部断面図、図2は図1のA−A線矢視図、図3は第1ブロックの3面一部断面図、図4は第2ブロックの正面一部断面図、図5は第2ブロックの側面一部断面図、図6は温度センサの構造を示す断面図、図7は本発明の要部を示す図である。なお図3において、図3(A)は正面一部断面図、図3(B)は側面一部断面図、図3(C)は底面図を示す。
【0012】
図1,2に示すように、本発明に係る第1実施形態の温度センサ付マイクロデバイス10は、第1ブロック1、第2ブロック2、熱電対型温度センサ3及び断熱部材4から構成される。これらの各構成要素について説明する。
【0013】
第1ブロック1は、図3に示すように、ステンレス鋼等の金属を材質とした略円柱形状体からなり、その内部には、中心軸J1に沿って貫通した内径0.7mm程度の細孔11を備える。第1ブロック1の一端面の中央部には、細孔11に連通するように中空とされた凸状部12を備える。第1ブロック1の他端面には、その直径部分に沿うように形成された長溝13を備える。長溝13は、断面半径が0.9mm程度の半円弧状を呈する第1溝51と、第1溝51の上に重なるように形成され断面半径が0.5mm程度の略半円弧状を呈する第2溝52とからなる。長溝13は、その長手方向の中心部分で細孔11に連通している。
【0014】
第2ブロック2は、図4に示すように、第1ブロック1と同様にステンレス鋼等の金属を材質とした略直方体形状体からなり、その内部には、第2ブロック2の長手方向の中心軸J2に沿って貫通した直径1.8mm程度の細孔21と、第2ブロック2の長手方向に平行な一面から細孔21の上半位置まで開けられた円筒穴22とを備える。細孔21と円筒穴22とは連通するため、連通部分では、図5に示すように、細孔21の内周断面は半円弧状となる。細孔21の両端は、それぞれ配管取付用の雌ねじが形成された入口ポート23及び出口ポート24とされる。円筒穴22は、第1ブロック1を嵌挿可能なサイズとされる。第2ブロック2の長手方向に平行な上記一面は、円筒穴22と連通する環状凸部25とされている。
【0015】
熱電対型温度センサ3は、図1,6に示すように、シース31、熱電対要素32、充填部材33、アダプタ34及びリード線35などを備える。シース31は、ステンレス鋼やセラミックスなどを材質とした細長のパイプ体からなる。その直径は0.5mm程度であり、一端が閉端として構成され、他端が開端として構成される。熱電対要素32は、互いに異なる種類の金属からなる2本の素線61,62、例えばクロメル素線及びアラメル素線のそれぞれの一端同士を接合点63で接合してなり、シース31の中に配置される。充填材33は、アルミナのようなセラミックスなどからなり、シース31の閉端と熱電対要素32の接合点63との間の熱的接触を十分に達成させ、且つシース31内での熱電対要素32の機械的保持を確実にするため、シース31の内部空間に熱電対要素32を埋め込むように充填される。両素線61,62は、接合点63からシース31の中で延長して、開端を通ってアダプタ34に入りリード線35に接続される。リード線35は図示しない制御回路と接続されて、温度に応じて発生する接合点63での異種金属接合による電圧に基づいて温度測定が行われる。
【0016】
断熱部材4は、石綿、多孔質セラミックスなどからなり、第1ブロック1及び第2ブロック2を被覆するように設けられる。なお、真空断熱装置を用いてもよい。
【0017】
次に、以上のような各構成要素を備える温度センサ付マイクロデバイス10の組み立て方法について説明する。
【0018】
まず第1ブロック1における細孔11の一方側11aからシース31を挿入し、第1ブロック1を貫通させる。次いで細孔11の他方側11bから出てきたシース31のうち、先端から一定長さの部分31aをL字型に折り曲げる。次いでシース31を引き上げ、折り曲げた部分31aを第2溝52の長手方向に沿うようにして第2溝52内に埋設する。次いで、第1ブロック1の姿勢を長溝13が上側となる状態にして第2溝52及び細孔11に銀鑞6aを流し込み、所定時間乾かす。
【0019】
銀鑞6aは、シース31の折り曲げた部分31aを第2溝52に固着させると共に、第2溝52及びシース31の折り曲げた部分31aと第2溝52との隙間を封止する。また、細孔11内にあるシース31を細孔11に固着させる。第2溝52内は、最終的には次のような状態とされる。すなわち、図7に示すように、銀鑞6aの表面と流路7の内周面とが略面一である。また、シース31の折り曲げた部分31aの一部が流路7内の空間に曝されているかまたは極薄の銀鑞6aで被覆されている。
【0020】
銀鑞6aが固化したら、第1ブロック1を第2ブロック2の円筒穴22に嵌設する。この時点で、第1溝51と細孔21の半円弧部分とにより流路7が形成される。流路7は、本発明における断面積が1mm以上且つ8mm以下の流路に対応する。その後、第1ブロック1と第2ブロック2との境界部分を銀鑞6bにより溶接する。最後に、第1ブロック1及び第2ブロック2の周りを断熱部材4で覆う。以上の作業により、図1,2に示す温度センサ付マイクロデバイス10が完成する。
【0021】
次に、図8を参照しながら温度センサ付マイクロデバイス10の使用例について説明する。図8は温度センサ付マイクロデバイスを用いた反応システムの概略図である。図8に示すように、反応システム20は、第1液供給部71、第2液供給部72、第1温度調整部73、第2温度調整部74、温度センサ付マイクロデバイス10、マイクロリアクタ81、コントローラ9及び配管75,83,84からなる。
【0022】
第1液供給部71は、被反応液である第1液を所定の圧力で圧送可能に構成される。第2液供給部72は、被反応液である第2液を所定の圧力で圧送可能に構成される。第1温度調整部73は、第1液供給部71から供給される第1液を、コントローラ9からの制御信号S2に基づいて加熱または冷却する手段を備える。第2温度調整部74は、第2液供給部72から供給される第2液を、コントローラ9からの制御信号S2に基づいて加熱または冷却する手段を備える。マイクロリアクタ81は、第1液と第2液とが層流を保った状態で反応を進行するように形成されたマイクロ流路82を備える。コントローラ9は、温度センサ付マイクロデバイス10によって得た温度信号S1に基づいて、第1温度調整部73及び第2温度調整部74に制御信号S2を送るように構成される。
【0023】
反応システム20の動作及び温度センサ付マイクロデバイス10の作用効果について説明する。第1液供給部71及び第2液供給部72は、配管75を通じてそれぞれ第1液及び第2液を同時に温度センサ付マイクロデバイス10に供給する。このときの各液の圧力は、第1液及び第2液が層流状態を保つことができる大きさとされる。
【0024】
温度センサ付マイクロデバイス10の流路21を流れる第1液と第2液との2層液の温度は、熱電対型温度センサ3により測定される。温度センサ付マイクロデバイス10において、銀鑞6aの表面と流路7の内周面とが略面一であるため、凹凸等による流れの抵抗や攪乱が少なく、第1液と第2液とは、安定した層流状態を保ったまま流れることができる。また、シース31の折り曲げた部分31aの一部が流路7内の空間に曝されているかまたは極薄の銀鑞6aで被覆されているため、シース31は液に直接にまたは極薄の銀鑞6aを介して接触するので、正確な温度測定が可能である。
【0025】
測定した温度が目標とする温度よりも高いときは、コントローラ9は、第1液供給部73及び第2液供給部74から供給される第1液及び第2液の温度を下げるように、第1温度調整部73及び第2温度調整部74を制御する。反対に、測定した温度が目標とする温度よりも低いときは、コントローラ9は、第1液供給部73及び第2液供給部74から供給される第1液及び第2液の温度を上げるように、第1温度調整部73及び第2温度調整部74を制御する。なお、この制御は、第1ブロック1及び第2ブロック2の熱導電率に基づいて補正するようにしてもよい。
【0026】
温度センサ付マイクロデバイス10から出た第1液と第2液とは、配管83を介してマイクロリアクタ81に入る。その後、第1液と第2液とは、マイクロ流路82内で層流を保ったまま反応を進行させていく。そして、マイクロリアクタ81の出口ポートからは、反応が完了した反応済み液が配管84を通じて次の工程へと導出される。第1ブロック1と第2ブロック2とは、断熱部材4で被覆されているため、流路7内を流れる液は、外部への放熱または外部からの受熱の影響が非常に少ない。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイスの正面一部断面図、図10は図9のB−B線矢視図、図11は第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイスの要部を示す図である。これら各図において、第1実施形態の温度センサ付マイクロデバイス10の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付してありその説明を省略する。
【0027】
図9,10に示すように、第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイス20は、流路形成体ブロック210、熱電対型温度センサ3及び断熱部材4から構成される。流路形成体ブロック210は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂または接着性フッ素樹脂を一体的に成型加工した略直方体形状体である。その内部には流路形成体ブロック210の長手方向の中心軸J3に沿って貫通した直径1.8mm程度の細孔211を備える。細孔211の両端は、それぞれ配管取付用の入口ポート231及び出口ポート241とされる。細孔211により流路70が形成される。流路70は、本発明における断面積が1mm以上且つ8mm以下の流路に対応する。
【0028】
細孔211における長手方向中央部には、細孔211の上に重なるように形成された溝521を備える。溝521は、断面半径が0.5mm程度の略半円弧状を呈する。この溝521の中にシース31の折り曲げた部分31aが埋め込まれる形となっている。そして、折り曲げた部分31aの表面の一部は、流路70内の空間に曝されている。
【0029】
次に、図12,13を参照して、温度センサ付マイクロデバイス20の製作方法について説明する。図12は第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイスを製作するための金型器具を示す図、図13は第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイスの製作手順を示す図である。
【0030】
図12に示すように、金型器具40は、第1成型部41と第2成型部42と2本の略丸棒部材43,43とからなる。第1成型部41及び第2成型部42は、それぞれ温度センサ付マイクロデバイス20の上半部及び下半部を成型するためのキャビティーを備える。第1成型部41の上面には、シース31を挿通可能なサイズの細孔41hと、樹脂供給部44における樹脂射出ノズル441が接続される樹脂導入孔41nとが形成される。2本の略丸棒部材43,43は、どちらも同一形状に加工され、それぞれ径大部43a及び径小部43bを備える。第1成型部41及び第2成型部42は、それぞれ略丸棒部材43の径大部43a,43aの外径と略同一の径を備える半円溝41m,42mを備える。第1成型部41と第2成型部42とは、略丸棒部材43,43を間に挟んだ状態でロック(密封)可能とされる。
【0031】
温度センサ付マイクロデバイス20の製作は次のようにして行う。まず、図13(A)に示すように、先端をL字形に折り曲げたシース31を第1成型部41の細孔41hに挿入する。次いで、図13(B)に示すように、第2成型部42の半円溝42m,42mにそれぞれ略丸棒部材43の径大部43a,43aを載せる。このとき、両略丸棒部材43の径小部43bの端面同士が互いに接触する状態にする。次いで、図13(C)に示すように、第2成型部42の上に第1成型部41を重ね合わせて両成型部をロックする。このときシース31の折り曲げた部分31aが略丸棒部材43の長手方向に平行に且つ径小部43bの上に載るようにする。
【0032】
次いで、樹脂供給部44から樹脂射出ノズル441を通じて、溶融したポリテトラフルオロエチレンまたは接着性フッ素樹脂を樹脂導入孔41からキャビティー内に圧送する。図13(D)に示すように、金型内がポリテトラフルオロエチレンまたは接着性フッ素樹脂で充填され、所定時間冷却した時点で2本の略丸棒部材43,43をそれぞれ引き抜く。更に所定時間冷却した時点で第1成型部を第2成型部から外す。以上の作業により、温度センサ3が取り付けられた流路形成ブロック210が完成する。最後に、流路形成ブロック210の周りを断熱部材4で覆うことで、図1,2に示す温度センサ付マイクロデバイス20が完成する。
【0033】
温度センサ付マイクロデバイス20の使用例は第1実施形態の場合とほぼ同様であり、図8における温度センサ付マイクロデバイス10を温度センサ付マイクロデバイス20に置き換えることで、第1実施形態の例と同様な作用効果を得ることができる。なお、第2実施形態の場合は、流路形成ブロック210がポリテトラフルオロエチレンまたは接着性フッ素樹脂等の合成樹脂で構成され特に蓄熱性が小さいため、流路7を流れる液体の温度を更に一層正確に測定できるようになる。
【0034】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上に開示した実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこの実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。例えば、流路7,70の断面形状は、ここに示した円形のものに限らず、例えば四角形でもよい。また、第1実施形態において、流路形成体となる第1ブロック1及び第2ブロック2を金属でなく、第2実施形態のようにポリテトラフルオロエチレンまたは接着性フッ素樹脂等の合成樹脂で構成し、銀鑞に代えて適当な市販の接着剤を接合材として用いるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】温度センサ付マイクロデバイスの正面一部断面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】第1ブロックの3面一部断面図である。
【図4】第2ブロックの正面一部断面図である。
【図5】第2ブロックの側面一部断面図である。
【図6】温度センサの構造を示す断面図である。
【図7】本発明の要部を示す図である。
【図8】温度センサ付マイクロデバイスを用いた反応システムの概略図である。
【図9】第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイスの正面一部断面図である。
【図10】図9のB−B線矢視図である。
【図11】第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイスの要部を示す図である。
【図12】第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイスを製作するための金型器具を示す図である。
【図13】第2実施形態の温度センサ付マイクロデバイスの製作手順を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 第1ブロック(流路形成体)
2 第2ブロック(流路形成体)
3 熱電対型温度センサ(温度センサ)
4 断熱部材(断熱手段)
6a 銀鑞(接合材、封止材)
7 流路
31 シース
31a シースの折り曲げた部分(測温部)
32 熱電対要素
52 凹部
70 流路
210 流路形成体
521 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路形成体(1,2,210)への温度センサ(3)の取付構造であって、
断面積が1mm以上且つ8mm以下の流路(7,70)を形成した流路形成体(1,2,210)と、前記流路(7,70)を流れる流体の温度を測定するための温度センサ(3)とを備え、
前記流路(7,70)を形成する壁の一部に、流体の流れる方向に略平行な凹部(52,521)を有し、この凹部(52,521)に温度センサ(3)の測温部(31a)を設けたことを特徴とする流路形成体への温度センサの取付構造。
【請求項2】
凹部(52)と温度センサ(3)の測温部(31a)とが接合材(6a)により接合された請求項1に記載の流路形成体への温度センサの取付構造。
【請求項3】
凹部(52)と温度センサ(3)の測温部(31a)との隙間が封止材(6a)により封止された請求項1または請求項2に記載の流路形成体への温度センサの取付構造。
【請求項4】
封止材(6a)の表面と流路(7)の内周面とが略面一とされた請求項3に記載の流路形成体への温度センサの取付構造。
【請求項5】
温度センサ(3)の測温部(31a)における少なくとも一部が流路(7,70)内の空間に曝された請求項1から請求項4のいずれかに記載の流路形成体への温度センサの取付構造。
【請求項6】
温度センサ(3)は、内部に熱電対要素(32)を設けたシース(31)を測温部として構成された熱電対型温度センサである請求項1から請求項5のいずれかに記載の流路形成体への温度センサの取付構造。
【請求項7】
流路形成体(1,2,210)は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂または接着性フッ素樹脂等の合成樹脂からなる請求項1から請求項6のいずれかに記載の流路形成体への温度センサの取付構造。
【請求項8】
流路形成体(1,2,210)の周りに断熱手段(4)を設けた請求項1から請求項7のいずれかに記載の流路形成体への温度センサの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−51789(P2008−51789A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247907(P2006−247907)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000219314)東レエンジニアリング株式会社 (505)
【Fターム(参考)】