説明

流量制御機器の取付構造

【課題】平面実装時に従来方式のように位置出しを必要とせず、流量制御装置を締結ボルトで取付けることにより、同時にかつ均一にシール接続を可能とし、殊に、構成部品が簡単であると共に流量制御機器の着脱作業が容易となり、もって、コンパクトな流量制御機器を提供すること。
【解決手段】流量制御機器3を平面実装方式で取付ける取付構造において、流量制御機器3のボデー11に流体の入口12と出口13を設け、この入口12と出口13が位置する外側方のボデー11両端部に平面実装用の締結ボルト17を取付け、この締結ボルト17で被取付体20に流量制御機器3を固定した流量制御機器の取付構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、液晶等の半導体製造工程において用いられた処理ガス等を制御するために用いられる半導体集積弁装置に搭載される平面実装構造(サーフェスマウント方式)における流量制御機器(マスフローコントローラ)の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の集積弁装置に用いられるバルブやマスフローコントローラ等は、半導体の高集積化と高精度化に伴なって、コンパクト化の要請があり、特に、超小型の集積弁の開発の要請がある。一般には、この要請に対応するため、ブロックと各種機器には入口と出口の流路を設け、この接続部位は、ガスケットによるシール部を構成し、各種機器の上方からボルト等で締結する構造によりコンパクト化を実現している。
【0003】
通常、現実に実施されている対応策としては、次のような手段が採用されている。
第一に、支柱とクランプ用ブロック、ボルトなどによってマスフローコントローラの取付け装置を構成し、この取付け装置によってマスフローコントローラをブロックに取付けるようにした集積化ガス制御装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
この集積化ガス制御装置は、各メタルガスケットを1本のボルトによって真上から締付けるようにしており、マスフローコントローラの両側部位を、いわゆる、センターロック構造によって取付けるようにしている。
【0004】
また、第二の手段として、マスフローコントローラのボデーに横方向からブロックを2本のボルトで締付けて固定し、この一体化したマスフローコントローラの入口側と出口側を分離された別体の取付ブロックに対して上方から流路を跨ぐように2本のボルトで締付けたマスフローコントローラがある(例えば、特許文献2参照。)。このマスフローコントローラは、マスフローコントローラと側面に取付けるブロックの2本のボルトの間の流路にガスケットが装着され、また、このブロックと別の取付ブロックの2本のボルトの間の流路にガスケットが装着された状態で流路が構成されている。従って、マスフローコントローラの取付時には、マスフローコントローラとブロックの上下方向の位置出しと、このブロックと別の取付ブロックの左右方向の位置出しを行う必要があり、取付時には、この異なる方向の位置出しを行ってシール性を維持している。
【0005】
前者の特許文献1は、ガスケットを1本のボルトの中心位置に配置し、後者の特許文献2は、ガスケットを2本の取付ボルトを跨ぐ中心位置に配置して個々のガスケットを締付け、締付け時のガスケットの傾きを防止する構造である。
【特許文献1】特開2002−48299号公報
【特許文献2】特許第2865644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1におけるマスフローコントローラは、ガスケットをボルトのセンター位置で締付けるセンターロック構造であり、このセンターロック構造は、ガスケットの両サイドに支柱を立設し、ガスケットの真上に締付け用のボルトを装着しているが、マスフローコントローラを着脱しようとする場合には、締付け用の金具を外さなければならないため着脱が面倒であった。
特に、ブロックが本体と分割し、しかも、取付ブロックもマスフローコントローラの下方側にボルトで取付けているため、入口と出口の位置出しが必要になり、作業性の悪いものであった。
また、マスフローコントローラのボデーの流路が複雑になって構成部品が多くなり、分割式はコスト高になるという問題もあった。更に、センターロック用の金具や支柱の構造も複雑になってコストがかかるという問題もある。
【0007】
一方、特許文献2のマスフローコントローラは、上下方向と左右方向の位置出しを行いながらガスケットの両側を2本のボルトでそれぞれ締付けて流体の入口と出口を別々にシールしなければならず、このシール構造によって機器内に流路を形成するのが難しくなり、マスフローコントローラのボデー本体と取付ブロックを分割構造にしたり、機器やブロック内の流路の穴径を細く形成する必要が生じるなどの問題があり、そのため、流路が複雑になり、コストも高くなる等の課題を有していた。
【0008】
本発明は、従来の課題点に鑑みて開発に至ったものであり、その目的とするところは、平面実装時に従来方式のように位置出しを必要とせず、流量制御装置を締結ボルトで取付けることにより、同時にかつ均一にシール接続を可能とし、殊に、構成部品が簡単であると共に流量制御機器の着脱作業が容易となり、もって、コンパクトな流量制御機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、流量制御機器を平面実装方式で取付ける取付構造において、流量制御機器のボデーに流体の入口と出口を設け、この入口と出口が位置する外側方のボデー両端部に平面実装用の締結ボルトを取付け、この締結ボルトで被取付体に流量制御機器を固定した流量制御機器の取付構造である。
【0010】
請求項2に係る発明は、流量制御機器には、ボデーの底面に機器内を連通する入口と出口を一体に形成し、この入口と出口が位置する外側方のボデー両端部である突出部に締結ボルト用のボルト孔を形成した流量制御機器の取付構造である。
【0011】
請求項3に係る発明は、締結ボルトは、流量制御機器のボデー両端部の突出部をそれぞれ1本の締結ボルトで締付けて固定した流体制御機器の取付構造である。
【0012】
請求項4に係る発明は、被取付体は、入口と出口を一体に形成した流路ブロックであり、この流路ブロックは、その両端に流体の第1入口と第2出口を形成し、両端位置より内方上面に前記流量制御機器の入口と出口とを連通させる第1出口と第2入口を形成した流量制御機器の取付構造である。
【0013】
請求項5に係る発明は、流路ブロックの両端上面にネジブロックを着脱自在に取付け、流量制御機器の両端部に取付けた締結ボルトをネジブロックに螺子込むことにより流量制御機器を流路ブロックに締付け固定した流量制御機器の取付構造である。
【0014】
請求項6に係る発明は、ネジブロックは、流路ブロックと分割形成され、双方のネジブロックの両端部を2本の取付ボルトで流路ブロックに取付けた流量制御機器の取付構造である。
【0015】
請求項7に係る発明は、流量制御機器の両端部のボルト孔から挿通させた締結ボルトを流路ブロックに螺子込んで締付け固定した流量制御機器の取付構造である。
【0016】
請求項8に係る発明は、流路ブロックの入口及び出口と流量制御機器のボデー入口及び出口との間にガスケットを介在させた流量制御機器の取付構造である。
【0017】
請求項9に係る発明は、締結ボルトは、流量制御機器の流路やガスケットが位置する当該機器の長手方向の中心位置に締付け固定した流量制御機器の取付構造である。
【0018】
請求項10に係る発明は、流路ブロックは、ベース体に固定ボルトで表面実装して固定した流量制御機器の取付構造である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によると、流量制御機器を例えば各1本の締結ボルトで締付けることによって、簡易な取付作業によって入口と出口のガスケットを同時にかつ均一にシール接続でき、しかも、簡単な構造にすることができるため、コンパクト化に寄与でき、もって超小型の集積弁にも適用することが可能な流量制御機器の取付構造を得ることができる。
【0020】
請求項2に係る発明によると、流量制御機器の流体の入口と出口の流路は簡単な構造にできるため、その加工が容易であり、コンパクトに製作できる流量制御機器の取付構造である。
【0021】
請求項3に係る発明によると、両端を2本の締結ボルトで締付け可能であるため、取付作業は簡単にかつ確実に行い得られる。
【0022】
請求項4に係る発明によると、流路ブロックは一体に形成されているので、従来の流量制御機器の取付方式のような入口と出口の位置出しが必要ではなく、ベース体に固定した一体の流路ブロックに流量制御機器を取付けることによって、面倒な位置出しが必要なく、簡単にかつ確実に着脱作業を行うことができる。
【0023】
請求項5に係る発明によると、各1本の締結ボルトで取付けが可能となり、特に、流路ブロックの高さを集積弁の前後に位置するブロックと同じく低く形成でき、高価な材料の節約が可能となり、シール部のバニシ加工による硬化処理が容易にできると共に、流量制御機器の全体の取付け高さを低くすることができる。
【0024】
請求項6に係る発明によると、ネジブロックを流路ブロックに対して取付ボルトで固定できるので、流量制御機器は、流路ブロックに固定されているネジブロックに取付けすることができる。
【0025】
請求項7に係る発明によると、各1本の締結ボルトで流量制御機器を締結することができ、取付けに際して入口と出口の位置出しが不要となり、取付作業が簡略化できる。
【0026】
請求項8に係る発明によると、2本のボルトで入口と出口のガスケットを同時にかつ均一にシール接続することができ、特に、超小型の集積弁に好適な流量制御機器の取付構造である。
【0027】
請求項9に係る発明によると、締結ボルトは流路の真上に取付けすることによって1本のボルトで締結できるため、簡単な取付作業であると共に、超小型の集積弁に好適であり、シール接続部位が確実に密封シールされる。
【0028】
請求項10に係る発明によると、一体の流路ブロックを、例えば、ベース体に固定できるため、流量制御機器は簡単にかつ正確に着脱することが可能となり、特に、超小型の集積弁に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明における流量制御機器の取付構造の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1ないし図3において、集積化ガス制御装置1は、窒素ガス、水素ガス、モノシラン、シジラン、水素希釈ホスフィン、NO、三弗化クロライド等のプロセスガスなどの流体の圧力制御、流量制御、混合、パージガス等の供給時の制御などの供給制御を行うガス制御ライン2を構成し、このガス制御ライン2は、例えば、図示しない基盤状の部材に複数列に並設することで集積弁装置が構成される(本実施形態では集積弁装置の1列のみを示している)。
【0030】
ガス制御ライン2には、流体を制御するための機器が流路を構成しながら搭載され、この機器の1つとして流量制御機器(マスフローコントローラ)3が搭載されている。更に、この機器には、流量制御機器3以外にも、例えば、ガス流路を開閉する自動ダイヤフラム弁4a、4bやパージガスの供給を行うパージ弁4c、或は図示しないフィルターや各種のバルブや手動開閉弁などの各種の制御機器4が搭載され、これらにより1つのガス供給ラインが構成されている。
【0031】
流量制御機器3は、他の制御機器4とともに平面実装方式からなる取付構造によって取付けられ、本実施形態における平面実装方式は、前記の基盤状の部材の上面に長尺状のベース体35を固定し、このベース体35の上に後述するネジブロック30を介在させながら流路ブロック20を表面実装によって固定し、この上から締結ボルト17を用いて取付ける構造としている。流量制御機器3は、流体の質量や流量を、例えば、図1に示した流量センサー部18によって高い精度で計測し、この計測結果に基づいてアクチュエータ部19の図示しない弁の開閉動作により、流体流量を制御するようにしたものである。本例における流量制御機器3は、各種のマスフローコントローラを包含する。
【0032】
図1、図3に示すように、本実施形態における流量制御機器3は、例えば、ボデー11の上部に一体化した流量センサー部18とアクチュエータ部19を取付けて一体に構成した構造に設けている。この場合、ボデー11を有する流量制御機器としてはこれ以外にも各種の構造があり、例えば、流量センサー部とアクチュエータ部を分割して設け、これらの各流量制御機器をそれぞれボデー11に取付けるようにしてもよい。
流量制御機器3のボデー11は、本実施形態においては図3に示すように一体に形成され、このボデーの底面11aには機器内の流量センサー部18やアクチュエータ部19とを連通する入口流路12aと出口流路13aの入口12、出口13をそれぞれ一体に形成してガス流体等の流体の入出口12、13を設けており、この入口12、出口13は、底面の同一面上に形成される。また、この入口12、出口13は、ボデー11の長手方向において中心位置の同一線上に形成される。
【0033】
流量制御機器3の長手方向には、それぞれ流路側に突出させてボデー11の両端部に突出部15、15を形成している。この突出部15、15は、入口12、出口13よりも外側方に位置し、突出部15、15には平面実装用の締結ボルト17、17用のボルト孔16、16を形成している。したがって、各ボルト孔16、16は入口12、出口13よりも外側方に位置している。また、ボルト孔16、16は、入口12、出口13の形成位置と同一線上であるボデー11の長手方向の中心位置に形成しており、このボデー11の両端に一箇所ずつ形成したボルト孔16、16をそれぞれ1本の締結ボルト17で締結できるようにし、締結ボルト17によってボルト孔16、16を締結すると、両側に1本ずつ設けた締結ボルトによってボルト孔16、16と同一線上に並ぶ各ボルト孔16、16に均圧に力を加えることができるようにしている。
突出部15、15は、ボデー11と別体に形成することもでき、この場合、ボデーを略直方体状に形成し、このボデーの側面に略直方体状に形成した突出部をボルト止め等の手段で側面方向から固着することでこれらを一体化できる。
【0034】
入口12、出口13から連通している入口流路12aと出口流路13aは、ボデー11の上部に搭載してこの流量制御機器3を機能させている前述の流量センサー部18とアクチュエータ部19に繋がっている。入口12、出口13と流量センサー部18、アクチュエータ部19との間にはガスケット38を装着し、このガスケット38により両者をシールしている。ガスケット38の中央部には連通穴38aを形成しており、この連通穴38aにより一次側と二次側を連通可能に設けている。ガスケット38は、ステンレス鋼等からなり、ボデー11と流路ブロック20との間に挟着されて押し潰された状態となり、メタルタッチによってシールしてガス漏れを防ぐ構造となっている。このガスケット38の構造及び材質は、以降についても同様である。
【0035】
入口流路12a及び出口流路13aは適宜の角度によって形成できるが、本実施形態においては垂直方向に形成し、これによりこの入口流路12a及び出口流路13aを最短距離で形成してガスをスムーズに流して滞留を防ぎ、また、ボデー11内に容易に形成加工できるようにしている。
また、ボデー11内部には、流量センサー部18とアクチュエータ部19を接続する適宜の形状の接続流路14を形成加工しており、この接続流路14と流量センサー部18とアクチュエータ部19の接続部位にも、ガスケット38を装着して相互をシールしている。
【0036】
流路ブロック20は、流量制御機器3のボデー11が取付けられる被取付体であり、本実施形態においては、図2、図3に示すように一体成形によってブロック状に形成している。この流路ブロック20は内部流路25、26をそれぞれ有しており、この内部流路25、26の入口21と出口22を一体に形成している。
入口21と出口22について、流路ブロック20の両端には流体の第1入口21aと第2出口22bを形成し、この両端位置より内方上面に流量制御機器3の入口流路12と出口流路13を連通可能な第1出口21bと第2入口22aを形成している。その他、流路ブロックを分離して構成し、これを一体化して構成することもできる。
【0037】
第1出口22aと第2入口21bは、流路ブロック20の上面側に同一平面上になるように一体に形成し、かつ、流路ブロック20の長手方向において中心位置の同一線上に設けている。この第1出口22aと第2入口21bの間隔は、ボデー11側の入口12と出口13の間隔と同じに形成しており、また、流路の口径も同じに形成している。第1出口22a、第2入口23bが入口12、出口13と間隔が同じであることによって、第1出口22aに対して入口12、第2入口21bに対して出口13がそれぞれ連通可能となる。
【0038】
また、第1入口21aと第1出口22a、及び第2入口21bと第2出口22bの間には、嵌合溝27、27を凹状に形成しており、この嵌合溝27の底部を平面状に形成している。各底部には、内部流路25、26を、流路を跨ぐ位置に2箇所のボルト穴28、28を形成している。このボルト穴28に図2に示す取付ボルト29を螺着することにより、この両端上面の嵌合溝27に後述のネジブロック30を着脱自在に取付できるようにしている。
本実施形態においては、第1入口21aと第2出口22bを、第1出口22aと第2入口21bと同一高さに形成しているが、この第1入口21aと第2出口22bの高さは、流量制御機器3に隣接して接続される制御機器4の種類や形状、高さなどに応じて変えるようにしてもよい。
【0039】
図2に示すように、流路ブロック20の両端には、第1入口21a、第2出口22bを跨ぐように取付孔20aが形成され、この流路ブロック20と流路ブロック20に隣接する連通ブロック5に図1の制御機器4を載置した状態で、取付孔20aに図示しない固着ボルトを固着することでこの制御機器4を取付けて流路を接続できるようにしている。
【0040】
流路ブロック20側の入口21a、21b及び出口22a、22bと、ボデー11側の入口12、出口13には、ガスケット38を介在できるように、環状凹部23a、23b24a、24bと、環状凹部12b、13bをそれぞれ設け、これらの間にガスケット38を介在させて流路の接続部位をシールしている。
【0041】
また、この流路ブロック20において、ボデー11と当接する上面側の適宜位置に、図示しない突設部を設け、一方、ボデー11のおいてこの突設部を嵌め込み可能な図示しない凹状部を形成すれば、流量制御機器3を流路ブロック20に載置したときに、この流量制御機器3を流路ブロック20に対して位置決めすることもできる。
【0042】
ネジブロック30は、流路ブロック20と分割して形成され、長手方向の長さをボデー11の突出部15と略同じ長さに形成している。また、この長さを嵌合溝27に嵌合可能な長さとしており、これにより、ネジブロック30を流路ブロック20に載置したときに、このネジブロック30が嵌合溝27に嵌って長手方向の位置決めがされ、しかも、両側のネジブロック30の位置にボデー11の突出部15の下面側が当接しながら載置するようにしている。
各ネジブロック30の両端部には2本の取付ボルト29が装着可能な貫通孔31、31を形成しており、各貫通孔31の上部には取付ボルト29の頭部29aを収納可能な座ぐり部32を形成している。
【0043】
ネジブロック30を嵌合溝27に嵌合させると、貫通孔31がボルト穴28と連通した状態となり、この上から取付ボルト29を螺着することによってこのネジブロック30を流路ブロック20の両端上面に着脱自在に取付けている。このように、ネジブロック30の両側を2本の取付ボルト29、29で取付けることで、流路ブロック20の中央位置に形成した入口流路12aと出口流路13aを避けながら、この流路ブロック20に対して正確な位置でネジブロック30を取付け可能に設けている。
【0044】
取付ボルト29の取付け後には、頭部29aが座ぐり部32内に収まり、ネジブロック30の上面側から頭部29が突出することなく、ネジブロック30上面側の平面状態が維持される。
このため、このネジブロック30の上に突出部15を載置させたときには、確実にこのネジブロック30の上面に突出部15の下面が面接触し、高いシール状態で固着される。また、このときのネジブロック30の高さは、ボデー11の下面と流路ブロック20の上面が面接触できる高さとしているため、入口12、出口13と第1出口22a、第2入口21bを高いシール状態にできる。
【0045】
ネジブロック30の2つの貫通孔31、31の中央位置には、このネジブロック30に対してボデー11を固着する締結ボルト17が螺着可能な締結孔33を設けており、ネジブロック30の流路ブロック20への取付け後にはこの締結孔33が上部側に開口する。
締結孔33は貫通孔31と同心に配設しており、ネジブロック30の上からボデー111を載置させてこの流量制御機器3を取付け、ボルト孔16から挿通させた平面実装用の締結ボルト17を流路ブロック20に螺子込むことにより、流量制御機器3の流路やガスケット38が位置する当該機器の長手方向の中心位置に締付け固定し、これにより、流路ブロック20の長手方向の中心位置に押圧力を働かせることができるため、流路ブロック20の上面側に対してボデー11の下面側を均等な面圧力で接触させて、締結孔33に挟まれて配設されている同一面上の第1出口22a、第2入口21bと入口12、出口13に均一な圧力を加えて連通させながら、流量制御機器3を流路ブロック20に締付け固定できるようにしている。
【0046】
流路ブロック20やネジブロック30は、流体中に不純物が混入しないようにするためにステンレス鋼や、或は、ステンレス鋼と同等の耐食性を有する材料を用いるのが望ましい。また、ネジブロック30と流路ブロック20、及びネジブロック30とボデー11、ボデー11と流路ブロック20の当接する面状部分は、鏡面加工などの高精度の加工によって加工するのがよい。
【0047】
ベース体35は、図2に示すように流路方向に長尺状に形成し、このベース体35の上面側には、流路ブロック20取付け用のめねじ36を設けている。このめねじ36は、流路ブロック20の両端を固定する固定ボルト37の固着穴20bの間隔で設け、この固着穴20bとめねじ36を連通させた状態で固定ボルト37を上から締付けることにより、ベース体35に対して流路ブロック20が表面実装によって取付けられる。
ベース体35は流体と接触することがないため、例えば、アルミニウム等の軽量な材料を用いることができ、これにより、集積ガス制御装置1の軽量化を図ることができ、延いては、集積弁全体の軽量化を図ることができる。
【0048】
このように、流量制御機器3は、ボデー11に流体の入口流路12と出口流路13を設け、この入口流路12と出口流路13が位置する外側方のボデー11両端部にボルト孔16、16を設け、このボルト孔16、16に平面実装用の締結ボルト17、17を取付け、この締結ボルト17で被取付体である流路ブロック20を固定した流量制御機器の取付構造であるので、流量制御機器3の上方から締結する構造であることによってコンパクト化を図りながら、締結ボルト17を締結又は緩めることによって簡単にこの流量制御機器3をガス制御ライン2から着脱できるようにしている。
【0049】
流量制御機器3の装着時には、この流量制御機器3を流路ブロック20に取付けるだけでボデー11側の入口流路12、出口流路13と流路ブロック20側の第1出口22、第2入口23を位置出しした状態にしながら連通させることができるため、面倒な位置出し作業をわざわざ行う必要がなく取付けを行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0050】
また、流量制御機器3のボデー11の流路ブロック20への着脱部位を一体化できるため流路を簡素化でき、構成部品も削減できることにより低コストで製作することができる。また、締結ボルト17の締結位置(ボルト孔16)が入口流路12、出口流路13から外側方にずれていることによりこれらが重なることがないため、流量制御機器3や流路ブロック20内の流路の穴径を細く形成する必要がなく、十分な流路を確保することができる。
【0051】
ここでガス制御ライン2における流量制御装置3付近の流体の流れを説明すると、先ず、一次側の制御機器4cから第1入口21aに流体が入ると、この流体は内部流路25を通って第1出口22aに到達する。この流体は、ボデー11の入口12から入口流路12aを通って流量センサー部18、接続流路14、アクチュエータ部19を通って流量制御され、出口流路13aを通って出口13から第2入口21bに達する。第2入口21bに達した流体は、内部流路26を通って第2出口22bまで達し、この第2出口22bから二次側の制御機器4bに送られる。このとき、第1出口22aと入口12、出口13と第2入口21bはガスケット38を介した状態で高シールによって接続されているため、流体が外部に漏れることが無く高精度で流量制御を行うことができる。
【0052】
次に、本発明の流量制御機器の取付構造の上記実施形態における作用を説明する。
流体制御機器3を実装する際には、先ず、あらかじめベース体35に流路ブロック20を取付ける。
流路ブロック20は、ベース体35のめねじ36に固着穴20bを合わせた状態で載置し、固着穴20bの上から固着ボルト37を螺着することにより流路ブロック20がベース体35に対して表面実装によって固定される。このとき、固着穴20bの形成部位を最少に形成することで、流路ブロック20の載置スペースを小さくできる。
【0053】
流路ブロック20の上面側には第1出口22a、第2入口21bが直接表面上に設けられているため、この第1出口22a、第2入口21bに対して流量制御機器3の入口12、出口13を直接接続させることができ、これにより、流量制御機器3にあらかじめ分割構造に設けた取付ブロックなどを接続する必要がなく、取付ブロックによる流路の構成を省略でき、作業の手間も省くことができる。
【0054】
流路ブロック20の両端上面には、この流路ブロック20の嵌合溝27に嵌合させるようにしてネジブロック30を上方から載置し、この双方のネジブロック30の両端部の貫通孔31に2本の取付ボルト29を上方から螺着してネジブロック30を流路ブロック20に取付ける。ネジブロック30は、嵌合溝27に嵌合しているため長手方向の移動が阻止され、2本の取付ボルト29、29によって正確に位置決めされた状態で固定される。
【0055】
流量制御機器3は、ボデー11両端部の突出部15、15をネジブロック30、30に載置するだけで、ボデー11下部の一体型の平面部が、流路ブロック20の一体型の平面部に置かれ、この平面状部位に形成した前記入口12、出口13と、第1出口22a、第2入口21bを確実に位置決めすることができる。
流量制御機器3のボルト孔16、16から締結ボルト17、17を締結孔33、33に螺子込むと、入口12、出口13と第1出口22a、第2入口21bの位置決めが成された状態で流路を接続することができるので、互いの流路を面倒な作業によって位置出ししながら取付ける必要が無く、容易に流路を形成できる。
【0056】
しかも、締結ボルト17は、ボデー11の両端部の突出部15、15をそれぞれ1本のボルトで締付けて固定することにより、流量制御機器3の流路やガスケット38が位置する当該機器の長手方向の中心位置に締付け固定でき、入口側と出口側のガスケット38、38の中心位置をこのガスケット38、38の外側位置から同時に締付けて入口12、出口13と第1出口22a、第2入口21bをシールすることができる。このとき、両側の締結ボルト17、17を均等に螺子込むだけで、簡単に自動的にボデー11側と流路ブロック20側の流路位置と押圧状態が調整されて接続することができる。よって、締結ボルト17の締付け作業を簡単に行うことができる。
【0057】
このように、流量制御機器3のボデー11下面と流路ブロック20の上面に流路を設け、これらの流路を接続するようにしているので、ボデー11の側面に流路を形成してこの流路に分割した取付ブロックを接続する必要がなく、このため、取付ブロックを用いた場合のような上下方向と左右方向の異なる方向性の位置出しを行う必要がない。
また、締結ボルト17の締結位置が流路と重なることがないため、機器やブロック内の流路の穴径を細く形成する必要が無く、流路を簡単に設けることができ、更に、この流路の簡単な構成やボルト本数を少なくできることなどから製作にかかるコストも削減することができる。
この締結ボルト17による平面実装方式の取付けによって、省スペースでありながら高精度の取付け効果を発揮することができ、集積弁全体の超小型化に寄与させることができる流量制御機器の取付構造を設けることができる。
【0058】
図4ないし図6においては、本発明における流量制御機器の取付構造の他の実施形態を示している。なお、他の実施形態において上記実施形態と同一箇所は同一符号によって表わし、その説明を省略する。
図に示したように、他の実施形態における流量制御機器6は、締結ボルト17、17の締結孔46、46を流路ブロック45に設け、この流量制御機器6のボデー41を流路ブロック45に直接載置して、両端部のボルト孔42、42から挿通させた締結ボルト17、17を流路ブロック45の締結孔46に直接螺子込んで締付け固定できるようにしたものである。このように、締結ボルト17を締結するネジナット部位を、一体に形成した流路ブロック45に直接形成するようにしてもよい。
【0059】
これにより、流量制御機器6の入口43と出口44の外側方のボデー41両端部に取付けた各1本の締結ボルト17のみによる締結が可能となる。また、ボデー41を流路ブロック45に載置したときには、この一体のボデー41側の入口43、出口44と流路ブロック45側の第1出口48a、第2入口47bの間に挟着されるガスケット38によって位置決めがなされた状態となり、位置出し作業を行う必要がない。なお、第1出口48a、第2入口47bには、それぞれ内部流路49、50を介して第1入口47a、第2出口48bが連通している。
【0060】
また、本発明における流量制御機器の取付構造は、締結ボルト17の内側に流体の入口と出口が形成され、これを外側の締結ボルトで締付ける構造であれば、各端部側に締結する締結ボルト1の本数は2本以上であってもよく、ボルト本数を増やすことにより締付け力を増加させることもできる。
【0061】
流路ブロックは、上記以外にもその構造を入口側と出口側を分割させて別体に形成することもできるが、この場合、ガスケット38と締結ボルト17の片締めを防ぐために、図示しない強固なベース体に各流路ブロックを取付けてから流量制御機器を取付ける必要がある。
【0062】
更に、本発明の流量制御機器の取付構造は、流量制御機器以外の取付けにも応用することができ、この取付構造を利用して半導体集積弁装置等に平面実装された制御バルブ等の各種の制御機器を取付けることにより、さらに超小型の集積弁装置を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明における流量制御機器の取付構造の実施形態を示した正面図である。
【図2】図1の一部拡大分解斜視図である。
【図3】図1の一部拡大正面図である。
【図4】本発明における流量制御機器の取付構造の他の実施形態を示した正面図である。
【図5】図4の一部拡大分解斜視図である。
【図6】図4の一部拡大正面図である。
【符号の説明】
【0064】
3 流量制御機器
11 ボデー
11a 底面
12 入口
13 出口
15 突出部
16 ボルト孔
17 締結ボルト
20 流路ブロック(被取付体)
21 入口
21a 第1入口
21b 第2入口
22 出口
22a 第1出口
22b 第2出口
27 嵌合溝
29 取付ボルト
30 ネジブロック
35 ベース体
37 固定ボルト
38 ガスケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量制御機器を平面実装方式で取付ける取付構造において、前記流量制御機器のボデーに流体の入口と出口を設け、この入口と出口が位置する外側方のボデー両端部に平面実装用の締結ボルトを取付け、この締結ボルトで被取付体に前記流量制御機器を固定したことを特徴とする流量制御機器の取付構造。
【請求項2】
前記流量制御機器には、前記ボデーの底面に機器内を連通する入口と出口を一体に形成し、この入口と出口が位置する外側方のボデー両端部である突出部に締結ボルト用のボルト孔を形成した請求項1に記載の流量制御機器の取付構造。
【請求項3】
前記締結ボルトは、前記流量制御機器のボデー両端部の突出部をそれぞれ1本の締結ボルトで締付けて固定した請求項1又は2に記載の流体制御機器の取付構造。
【請求項4】
前記被取付体は、入口と出口を一体に形成した流路ブロックであり、この流路ブロックは、その両端に流体の第1入口と第2出口を形成し、前記両端位置より内方上面に前記流量制御機器の入口と出口とを連通させる第1出口と第2入口を形成した請求項1に記載の流量制御機器の取付構造。
【請求項5】
前記流路ブロックの両端上面にネジブロックを着脱自在に取付け、前記流量制御機器の両端部に取付けた締結ボルトを前記ネジブロックに螺子込むことにより前記流量制御機器を前記流路ブロックに締付け固定した請求項4に記載の流量制御機器の取付構造。
【請求項6】
前記ネジブロックは、前記流路ブロックと分割形成され、双方のネジブロックの両端部を2本の取付ボルトで流路ブロックに取付けた請求項5に記載の流量制御機器の取付構造。
【請求項7】
前記流量制御機器の両端部のボルト孔から挿通させた締結ボルトを前記流路ブロックに螺子込んで締付け固定した請求項4に記載の流量制御機器の取付構造。
【請求項8】
前記流路ブロックの入口及び出口と前記流量制御機器のボデー入口及び出口との間にガスケットを介在させた請求項1乃至7の何れか1項に記載の流量制御機器の取付構造。
【請求項9】
前記締結ボルトは、前記流量制御機器の流路やガスケットが位置する当該機器の長手方向の中心位置に締付け固定した請求項1乃至8の何れか1項に記載の流量制御機器の取付構造。
【請求項10】
前記流路ブロックは、ベース体に固定ボルトで表面実装して固定した請求項4乃至9の何れか1項に記載の流量制御機器の取付構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−170484(P2007−170484A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366464(P2005−366464)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(501417929)株式会社キッツエスシーティー (22)
【Fターム(参考)】