説明

流量制御装置および流量センサユニット

【課題】小流量の流量制御と大流量の流量制御とを高精度に達成する流量制御装置を実現する。
【解決手段】流体通路10は、バイパス流路16とセンサ用流路12,14を備える。センサ用流路12等は、バイパス流路16を流れる前の流体から一部を分岐させ、その後、バイパス流路16を流れた流体に合流させる。センサ用流路14は、センサ用流路12と等しい流路断面と、より長い流路とを有する。流量センサユニット30は、各センサ用流路について、上流側抵抗器と下流側抵抗器と出力部を備える。上流側抵抗器312,322は、センサ用流路12内の流体を加熱する。下流側抵抗器314,324は、上流側抵抗器312,322よりも下流に設けられ流体によって温度が変化する。出力部316,318は、上流側と下流側抵抗器の抵抗の差に応じた信号を出力する。センサ用流路12,14は、流体を分岐させる地点から流体を合流させる地点までの距離が等しい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された流量の流体を所定の設備に供給するための流量制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいて用いられているマスフローコントローラは、流体通路に設けられた流量制御弁を、流体通路を流れる流体の流量を検出する流量センサの出力に基づいて制御する。流体通路は、流量センサが設けられている部位において、主たる流路を構成するバイパス流路と、従たる流路であるセンサ流路とに分岐している。バイパス流路には、センサ流路よりも多くの流体が流れる。マスフローコントローラが制御できる流量の範囲においては、バイパス流路を流れるガスの流量と、センサ流路を流れるガスの流量とは、一定の比を保つ。
【0003】
センサ流路を構成する管の表面には、上流側と下流側に、互いに直列に接続された一対の抵抗線が巻き付けられている。これらの抵抗線は、温度変化により抵抗率が変化する材料で構成される。これらの抵抗線は、同じ温度においては同じ抵抗値を有する。これらの抵抗線に通電し発熱させると、センサ流路を流通するガスは、まず、上流側の抵抗から熱を奪う。そして、上流側の抵抗によって熱せられたガスは、下流側に流れ、その熱を下流側の抵抗線に与えるか、または、下流側の抵抗線からは、上流側の抵抗線からほどには熱を奪わない。その結果、二つの抵抗線に温度差が生じる。すると、二つの抵抗線の抵抗値に差が生じる。この抵抗値の差は、上流側の抵抗線の両端の電位差と、下流側の抵抗線の両端の電位差と、の違いとなって表れる。この電位差の違いの大きさは、センサ管を流れるガスの質量流量にほぼ比例する。また、上述のように、バイパス流路を流れるガスの流量と、センサ流路を流れるガスの流量とは、一定の比を保つ。このため、上流側の抵抗線の両端の電位差と、下流側の抵抗線の両端の電位差と、の違いの大きさは、流体通路全体を流れる流体の流量にほぼ比例する。流量センサは、この電位差の違いの大きさに比例する信号を、流体通路全体を流れる流体の流量を表す信号として、出力する。
【0004】
半導体製造プロセスにおいては、マスフローコントローラによって質量流量を制御されたガスが半導体製造設備に供給される。そのような半導体製造プロセスにおいては、同じ原料流体が、小さい流量の範囲で供給されたり、それよりも大きい流量の範囲で供給されたりすることがある。たとえば、原料流体である成膜ガスを、予備プロセスでは、100ccm(cm/min)程度の流量で使用し、その後に引き続いて行なう本プロセスでは、10ccm程度の流量で使用する場合がある。
【0005】
上記のような原理で動作するマスフローコントローラの流量制御の誤差範囲は、一般的に、フルスケールに対してプラスマイナス数%(たとえばプラスマイナス5%程度)内に設定されている。このため、フルスケール100ccmで設計されたマスフローコントローラにおいては、プラスマイナス5ccmの流量誤差が許容される。そのようなマスフローコントローラを用いて10ccm程度の微少な流量を制御する場合には、10ccmの流量領域においてもプラスマイナス5ccm程度の流量誤差が生じ得る。このような誤差は、目標流量の50%に相当する。よって、フルスケール100ccmで設計されたマスフローコントローラを10ccmの流量領域において使用すると、誤差の影響を無視することができなくなる。
【0006】
特許文献1の技術においては、上記の抵抗線の温度差に起因する電位差の違いを拡大するためのゲイン回路を2個備える。第1のゲイン回路は、フルスケール100ccmの流量制御において使用するためのゲイン回路である。第2のゲイン回路は、フルスケール10ccmの流量制御において使用するためのゲイン回路である。それぞれのゲイン回路について、マスフローコントローラの流量制御の誤差範囲が数%程度となるように設定を行えば、目標流量の大きさに応じて2個のゲイン回路を切り換えることにより、低流量域と高流量域において高精度な流量制御を行いうる。
【0007】
特許文献2の技術においては、抵抗線を巻き付ける二次的流路を2本設けている。2本の二次的流路は、流れの方向についてほぼ同じ箇所で一次的流路から分岐している。そして、二次的流路Aは、二次的流路Bよりも下流において、主たる流路としての一次的流路に合流している。その結果、二次的流路Aは、二次的流路Bよりも流路の長さが長い。また、二つの二次的流路の内径を変えたり、二つの二次的流路の少なくとも一方に「流れ制限要素」を設けることにより、二つの二次的流路内を流れる流体の流量、言い換えれば、主たる流路としての一次的流路の流量に対するそれぞれの二次的流路内を流れる流体の流量の比を、異なるものにしている。これら二つの二次的流路は、それぞれ異なる流量範囲について流量を検出するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−142541号公報
【特許文献2】特表2000−507706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような原理に基づく流量センサにおいては、流体通路内を通過する流体の流量が所定値以上に達すると、二つの抵抗線の温度差が、流量に比例しなくなる。二次的流路を構成する管が熱を伝える速度が、流体通路内を流通する流体の速度に追いつかなくなり、(i)流体通路内を通過する流体が、下流側の抵抗線に熱を与えることなく下流側に流れ去るか、または、(ii)上流側の抵抗線から十分な熱を奪わないために流体の温度が上がらず、下流側の抵抗線からもより熱を奪うようになるためである。その結果、センサ流路を構成する管のうち、最も温度が高い部位は、下流側の抵抗線が巻かれている位置よりもさらに下流になり、上流側の抵抗線と下流側の抵抗線との温度差が大きくならない。その結果、二つの抵抗線の温度差が、流量に比例しなくなる。特許文献1の技術は、作動誤差については考慮しているものの、上記の点は考慮していない。このため、特許文献1の技術は、正確に流量を測定および制御できる流量の範囲を、より流量の多い範囲へ増大させることはできない。
【0010】
また、特許文献2の技術においては、二つの二次的流路の内径を変えたり、少なくとも一方に「流れ制限要素」を設けている。そのような態様においては、一次的流路および二次的流路の上流側の圧力が変化すると、一次的流路の流量に対する二次的流路の流量の比が一定に保たれない。すなわち、広い流量範囲について、流量センサの精度を維持することができない。
【0011】
また、特許文献2の技術のように、異なる流量範囲について使用される二つの二次的流路が、一次的流路の流れの方向に沿って互いに異なる長さを有している態様は、言い換えれば、その設備において制御すべき流量の範囲が変わると、一次的流路の流れの方向について必要となる空間の寸法が変化するという態様である。一般に、半導体等の製造設備において、マスフローコントローラを設置できる範囲はあらかじめ限定されている。このため、そのような態様は、製造設備に設置するマスフローコントローラとして、現実的ではない。
【0012】
以上で述べた検知すべき流量範囲の問題と、流量制御装置の設置空間の問題は、半導体製造プロセスに使用されるマスフローメータに限らず、さまざまな流体の流量制御装置に関して存在する。
【0013】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を取り扱うためになされたもので、小流量の範囲の流量制御と、より大きい流量の範囲の流量制御とを高精度に実現し、かつ、現実的な空間内に設置できる流量制御装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0015】
[適用例1]
流体通路を流れる流体の流量を制御する流量制御装置であって、
流体を流す流体通路と、
前記流体通路を流れる前記流体の流量を制御する流量制御弁ユニットと、
前記流体通路を流れる前記流体の流量を検出する流量センサユニットと、
前記流量センサユニットの出力に基づいて前記流量制御弁ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記流体通路は、
前記流体の流れの方向に沿った一部で前記流体通路を構成するバイパス流路と、
それぞれ、前記流体通路を流れる前記流体であって前記バイパス流路を流れる前の流体から一部の流体を分岐させ、その後、前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる第1と第2のセンサ用流路であって、前記第2のセンサ用流路が、前記第1のセンサ用流路と等しい流路断面と前記第1のセンサ用流路よりも長い流路を有する、第1と第2のセンサ用流路と、を備え、
前記流量センサユニットは、前記各センサ用流路について、
前記センサ用流路内を流れる流体を加熱する上流側抵抗器(加熱部)と、
前記上流側抵抗器よりも下流に設けられ前記センサ用流路内を流れる流体によって温度が変化する下流側抵抗器(温度変化部)と、
前記上流側抵抗器と前記下流側抵抗器の抵抗値の差に応じた信号を出力する出力部と、を備え、
前記第1と第2のセンサ用流路は、前記一部の流体を分岐させる地点から、前記一部の流体を合流させる地点までの、前記流体通路の前記流れの方向に沿った距離が等しいように構成され、
前記流量センサユニットおよび前記制御部は、前記流体の目標流量の大きさに応じて、前記第1のセンサ用流路の前記抵抗値の差に基づく前記信号と、前記第2のセンサ用流路の前記抵抗値の差に基づく前記信号と、を使い分けて、前記流量制御弁ユニットの制御を行うことができるように構成される、流量制御装置。
【0016】
このような態様においては、第2の流路は、第1の流路と流路断面が等しく、流路が長い。このため、分岐側の条件が同じである場合には、第2の流路内を単位時間当たりに流通する流体の流量は、第1の流路内を単位時間当たりに流通する流体の流量に比べて少なくなる。よって、第2の流路に設けられた下流側抵抗器の温度は、第1の流路に設けられた下流側抵抗器の温度に比べて、流体通路全体を流通する流体の流量が多くなっても、よりよく流量変化を反映させることができる。その結果、目標流量が小さい範囲にあるときには、第1のセンサ用流路に設けられた二つの抵抗器の抵抗値の差に基づく出力に基づいて高精度に流量制御弁ユニットを制御し、目標流量が大きい範囲にあるときには、第2のセンサ用流路に設けられた二つの抵抗器の抵抗値の差に基づく出力に基づいて高精度に流量制御弁ユニットを制御することができる。
【0017】
また、第1と第2のセンサ用流路は、流路の長さが異なるにもかかわらず、流体を分岐させる地点から合流させる地点までの、流体通路の流体の流れの方向に沿った距離が互いに等しい。このため、制御対象の流体において必要とされる流量範囲に応じて第1と第2のセンサ用流路の流路の長さを設定しても、流体通路の流体の流れの方向に沿ってそれらが必要とする空間の大きさが変化しない。よって、あらかじめ定められた空間に流量制御装置を設置できる。
【0018】
よって、上記のような態様とすれば、小流量の範囲の流量制御と、より大きい流量の範囲の流量制御とを高精度に実現し、かつ、現実的な空間内に設置できる流量制御装置を実現することができる。
なお、上記の態様において、「流体」は、気体であってもよく、液体であってもよい。
また、センサ用流路は、3本以上備えることができる。そして、流路断面が互いに等しいセンサ用流路群を、複数組、備えてもよい。
【0019】
[適用例2]
適用例1の流量制御装置であって、
前記バイパス流路は、それぞれ前記第1および第2の流路の流路断面と等しい流路断面を有する複数の部分流路から構成される、流量制御装置。
【0020】
このような態様とすれば、バイパス流路を流れる流体の流量と、第1および第2の流路を流れる流体の流量と、の比率を、流体通路を流れる流体の広い流量範囲について、一定に保つことができる。このため、流体通路を流れる流体の広い流量範囲について、正確に流量を検出して、流量制御を行うことができる。
【0021】
[適用例3]
適用例1または2の流量制御装置であって、
前記第2のセンサ用流路のうち前記上流側抵抗器および前記下流側抵抗器が設けられている範囲を構成する部材は、前記第1のセンサ用流路のうち前記上流側抵抗器および前記下流側抵抗器が設けられている範囲を構成する部材に比べて、熱伝導率が高い素材で構成される、流量制御装置。
【0022】
このような態様とすれば、第2のセンサ用流路内を流れる流体の流速が速くなっても、第2のセンサ用流路に設けられた下流側抵抗器は、流体の温度を反映しやすい。このため、流体通路全体を流通する流体の流量が多くなっても、流量センサユニットは、第2のセンサ用流路の上流側抵抗器および下流側抵抗器を使用して、正確に流体の流量を検出することができる。
【0023】
また、一般に、熱伝導率が高い素材は高価である。しかし、上記態様においては、第1のセンサ用流路の上流側抵抗器および下流側抵抗器が設けられている部分は、熱伝導率が高い素材で構成されない。このため、流量センサユニットおよび流量制御装置全体のコストを低減することができる。そして、第1のセンサ用流路に設けられた上流側抵抗器および下流側抵抗器は、目標流量が小さい範囲にあるときに使用される。このため、第2のセンサ用流路の上流側抵抗器および下流側抵抗器が設けられる部分を熱伝導率が高い素材で構成しなくとも、下流側抵抗器は十分に流体の温度を反映することができる。
【0024】
[適用例4]
適用例1ないし3のいずれかの流量制御装置であって、
前記第1のセンサ用流路が前記一部の流体を分岐させる地点と、前記第2のセンサ用流路が前記一部の流体を分岐させる地点とは、前記流体通路の前記流れの方向について、同じ位置にあり、
前記第1のセンサ用流路が前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる地点と、前記第2のセンサ用流路が前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる地点とは、前記流体通路の前記流れの方向について、同じ位置にある、流量制御装置。
【0025】
このような態様とすれば、制御対象の流体の流量範囲に応じて第1と第2のセンサ用流路の流路の長さを設定しても、流体通路の流体の流れの方向に沿ってそれらが必要とする空間の大きさが変化しない。そして、第1のセンサ用流路の分岐点および合流点と、第2のセンサ用流路の分岐点および合流点とがずれている態様に比べて、流体通路の流体の流れの方向に沿って、第1と第2のセンサ用流路が必要とする空間の大きさを小さくすることができる。
【0026】
[適用例5]
適用例4の流量制御装置であって、
前記第1のセンサ用流路の少なくとも一部を構成する部材は、前記流体通路において、前記第1のセンサ用流路と等しい流路断面を有し、前記第1のセンサ用流路とは流路の長さが異なる第3のセンサ用流路の少なくとも一部を構成することができる部材と交換可能に設けられており、
前記第2のセンサ用流路の少なくとも一部を構成する部材は、前記流体通路において、前記第2のセンサ用流路と等しい流路断面を有し、前記第2のセンサ用流路とは流路の長さが異なる第4のセンサ用流路の少なくとも一部を構成することができる部材と交換可能に設けられている、流量制御装置。
【0027】
このような態様とすれば、制御対象の流体の流量範囲に応じて第1と第2のセンサ用流路を、第3と第4のセンサ用流路に置き換えることができる。そして、制御対象の流体の流量範囲に応じてセンサ用流路を構成する部材を交換しても、流体通路の流体の流れの方向に沿って必要とされる空間の大きさが変化しない。よって、あらかじめ定められた空間で、様々な流量範囲について流体の流量を制御することができる流量制御装置を設置できる。
【0028】
なお、第3のセンサ用流路の流路の長さは、第1のセンサ用流路の流路の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。第4のセンサ用流路の流路の長さは、第2のセンサ用流路の流路の長さよりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0029】
[適用例6]
流体通路を流れる流体の流量を検出する流量センサユニットであって、
前記流体通路は、
前記流体の流れの方向に沿った一部で前記流体通路を構成するバイパス流路と、
それぞれ、前記流体通路を流れる前記流体であって前記バイパス流路を流れる前の流体から一部の流体を分岐させ、その後、前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる第1と第2のセンサ用流路であって、前記第2のセンサ用流路が、前記第1のセンサ用流路と等しい流路断面と前記第1のセンサ用流路よりも長い流路を有する、第1と第2のセンサ用流路と、を備え、
前記流量センサユニットは、前記各センサ用流路について、
前記センサ用流路内を流れる流体を加熱する上流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器よりも下流に設けられ前記センサ用流路内を流れる流体によって温度が変化する下流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器と前記下流側抵抗器の抵抗値の差に応じた信号を出力する出力部と、を備え、
前記第1と第2のセンサ用流路は、前記一部の流体を分岐させる地点から、前記一部の流体を合流させる地点までの、前記流体通路の前記流れの方向に沿った距離が等しいように構成される、流量センサユニット。
【0030】
[適用例7]
流体通路を流れる流体の流量を制御する流量制御装置であって、
流体を流す流体通路と、
前記流体通路を流れる前記流体の流量を制御する流量制御弁ユニットと、
前記流体通路を流れる前記流体の流量を検出する流量センサユニットと、
前記流量センサユニットの出力に基づいて前記流量制御弁ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記流体通路は、
互いに等しい流路断面を有する複数の部分流路から構成され、前記流体通路の第1の部位と、前記第1の部位よりも下流の第2の部位との間において、前記流体通路の一部を構成するバイパス流路と、
それぞれ前記部分流路と等しい流路断面を有し、前記第1の部位において、前記流体通路を流れる前記流体から一部の流体を分岐させ、前記第2の部位において、前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる複数のセンサ用流路と、を備え、
前記流量センサユニットは、前記各センサ用流路について、
前記センサ用流路内を流れる流体を加熱する上流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器よりも下流に設けられ前記センサ用流路内を流れる流体によって温度が変化する下流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器と前記下流側抵抗器の抵抗値の差に応じた信号を出力する出力部と、を備え、
前記複数のセンサ用流路は、第1のセンサ用流路と、前記第1のセンサ用流路よりも流路が長い第2のセンサ用流路と、を含み、
前記流量センサユニットおよび前記制御部は、前記流体の目標流量の大きさに応じて、前記第1のセンサ用流路の前記下流側抵抗器に基づく前記信号と、前記第2のセンサ用流路に設けられた前記下流側抵抗器に基づく前記信号と、を使い分けて、前記流量制御弁ユニットの制御を行うように構成される、流量制御装置。
【0031】
本発明は、以下に示すような種々の態様で実現することが可能である。
(1)流量制御装置、流量制御システム、流量制御方法。
(2)流量センサ、流量検知方法。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施例の流量制御装置100の構成図である。
【図2】流体通路10におけるバイパス流路16と第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14を示す概略の断面図である。
【図3】流量センサユニット30が備えるホイートストンブリッジ316の回路構成を示す図である。
【図4】第2実施例の流量制御装置における第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14の構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
A.第1実施例:
図1は、第1実施例の流量制御装置100の構成図である。ガス源200は、半導体製造装置300に所定の成分のガスGsを供給する。流量制御装置100は、このガスGsの流量を制御する。流量制御装置100は、ガスGsを流す流体通路10と、流量制御弁ユニット20と、流量センサユニット30と、流量センサユニット30の出力に基づいて流量制御弁ユニット20を制御する制御部40と、を備える。なお、図1においては、流量センサユニット30の各構成など、一部の構成については、技術の理解を容易にするため、実際の配置とは異なる位置に示されている。それら、実際の位置を反映せずに図1に示されている構成の実際の位置については、後に説明する。
【0034】
流量制御装置100の流量制御弁ユニット20は、流体通路10を流れる流体の流量を制御する。流量制御弁ユニット20は、ダイヤフラム24とアクチュエータ26とを備える。ダイヤフラム24は、流体通路10の外壁の一部を構成し、変形可能に設けられる。アクチュエータ26は、積層圧電素子で構成されており、制御部40からの信号に応じて、所定の押し込み量で流体通路10の外側からダイヤフラム24を押圧する。流量制御弁ユニット20は、ダイヤフラム24を変形させることにより、流体通路10の一部を構成する弁口28の開度(弁開度)を調整して、流体の流量を制御する。
【0035】
流体通路10は、流量制御弁ユニット20の上流側において、バイパス流路16と、第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14と、を備える。流量制御装置100の流体通路10内を通って下流に流れるガスは、バイパス流路16か、第1のセンサ用流路12か、第2のセンサ用流路14かのいずれかを流通する。すなわち、流体通路10内において、バイパス流路16、第1のセンサ用流路12、および第2のセンサ用流路14のいずれをも流通せずに下流に流れるガスは存在しない。
【0036】
図2は、流体通路10におけるバイパス流路16と第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14を示す概略の断面図である。図2において、右側の図は、ガスの流れの方向Dfに沿った断面における断面図である。図2において、左側の図は、ガスの流れの方向Dfに垂直な断面における断面図である。技術の理解を容易にするため、図2においては、バイパス流路16と第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14以外の構成については、図示を省略している。図1においては、技術の理解を容易にするため、第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14は、バイパス流路16に対して逆の側に示されている。しかし、実際の構成においては、第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14は、図2に示すように、バイパス流路16に対して同じ側(ここでは上側)に設けられる。
【0037】
バイパス流路16は、流体通路10におけるガスの流れの方向に沿った一部の範囲において、流体通路10を構成する。バイパス流路16は、互いに等しい流路断面および互いに等しい流路の長さを有する複数の部分流路162から構成される。なお、「流路断面が等しい」とは、流路の断面の面積および形状が等しいことをいう。複数の部分流路162の入口は、流体通路10を流れるガスの流れ方向Dfについて同じ位置にあり、複数の部分流路162の出口も、流体通路10を流れるガスの流れ方向Dfについて同じ位置にある。すなわち、複数の部分流路162の束がバイパス流路16を構成する。なお、「流体通路10を流れるガスの流れ方向Df」は、流体がバイパス流路16と第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14に分かれて流れている部分においては、バイパス流路16を流れるガスの流れの方向を意味する。
【0038】
センサ用流路12,14は、それぞれ、流体通路10を流れるガスのうちバイパス流路16を流れる前のガスから一部のガスを分岐させ、その後、バイパス流路16を流れたガスにその分岐した一部のガスを合流させる。第1のセンサ用流路12は、ステンレス合金で構成される。第2のセンサ用流路14は、ステンレス合金よりも熱伝導率が高いニッケル合金で構成される。
【0039】
第2のセンサ用流路14は、図1および図2に示すように、第1のセンサ用流路12よりも流路が長い。ただし、第1のセンサ用流路12を構成する部材12cと第2のセンサ用流路14を構成する部材14cは、流体通路10を構成する部材10cに取りつけられた際に、流体の流れの方向Dfについて、範囲W0内となる大きさおよび形状で設けられている。より具体的には、第1のセンサ用流路12を構成する部材12cと第2のセンサ用流路14を構成する部材14cは、流体通路10を構成する部材10cに取りつけられた際に、流体の流れの方向Dfについて、同じ幅を有する。
【0040】
第1のセンサ用流路12および第2のセンサ用流路14は、異なる流量制御モードにおいて、流体通路10を流れるガスの流量の測定に使用される。第1のセンサ用流路12および第2のセンサ用流路14の流路の長さは、それぞれが使用される流量制御モードにおける目標流量の大きさに応じて設定される。
【0041】
第1のセンサ用流路12が一部のガスを分岐させる地点pd1と、第2のセンサ用流路14が一部のガスを分岐させる地点pd2とは、流体通路10のガスの流れの方向Dfについて、同じ位置である。また、第1のセンサ用流路12がバイパス流路16を流れたガスに、分岐させた一部のガスを合流させる場所pc1と、第2のセンサ用流路14がバイパス流路16を流れたガスに、分岐させた一部のガスを合流させる場所pc2とは、流体通路10のガスの流れの方向Dfについて、同じ位置である。なお、流体通路10の流れの方向Dfに垂直な断面内における位置を問題にせず、流体通路10の流れの方向Dfに沿った位置のみに言及する場合には、分岐点pd1,pd2の位置を分岐点PDとして表記する。同様に、流体通路10の流れの方向Dfに垂直な断面内における位置を問題にせず、流体通路10の流れの方向Dfに沿った位置のみに言及する場合には、合流点pc1,pc2の位置を分岐点PCとして表記する。
【0042】
本実施例においては、第1のセンサ用流路12の分岐点pd1から合流点pc1までの距離L1は、第2のセンサ用流路14の分岐点pd2から合流点pc2までの距離L2と等しい。このような態様とすることにより、第1のセンサ用流路12および第2のセンサ用流路14の流路の長さを、制御対象のガスの目標流量の大きさに応じて設定または変更しても、第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14が占める空間の、流れ方向Dfについての大きさが変化しない。
【0043】
また、本実施例においては、第1のセンサ用流路12の分岐点pd1と第2のセンサ用流路14の分岐点pd2とは、流れ方向Dfについて同じ位置PDにあり、第1のセンサ用流路12の合流点pc1と第2のセンサ用流路14の合流点pc2とは、流れ方向Dfについて同じ位置PCにある。このため、第1のセンサ用流路12の分岐点pd1と第2のセンサ用流路14の分岐点pd2とが、方向Dfについてずれていたり、第1のセンサ用流路12の合流点pc1と第2のセンサ用流路14の合流点pc2とが、方向Dfについてずれている態様に比べて、第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14が占める空間の、方向Dfについての大きさを小さくすることができる。
【0044】
第1のセンサ用流路12および第2のセンサ用流路14は、バイパス流路16の部分流路162の流路断面と等しい流路断面を有する。ここでは、部分流路162ならびに第1と第2のセンサ用流路14は、面積が等しい円形の流路断面を有するものとする。
【0045】
第1のセンサ用流路12および第2のセンサ用流路14の流路断面を等しくすることにより、バイパス流路16を流れるガスの流量に対する第1のセンサ用流路12を流れるガスの流量の比R1、およびバイパス流路16を流れるガスの流量に対する第2のセンサ用流路14を流れるガスの流量の比R2は、一定に保たれる。そして、分岐点pd1,pd2におけるガスの圧力が変化しても、それらの比R1,R2が変化しにくい。すなわち、本実施例によれば、第1のセンサ用流路12、第2のセンサ用流路14および部分流路162が互いに異なる流路断面を有する態様に比べて、流体通路10を流れるガスの流量のより広い範囲について、比R1,R2を一定に保つことができる。
【0046】
流量センサユニット30は、図1に示すように、各センサ用流路12,14について、上流側抵抗線312,322と、下流側抵抗線314,324とを有する。以下では、主として第1のセンサ用流路12に設けられた構成を用いて、流量センサユニット30の構成を説明する。
【0047】
第1のセンサ用流路12を構成する管12cの表面には、図1に示すように、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314が巻きつけられている。下流側抵抗線314は、上流側抵抗線312よりも流路の下流側において、管12cの表面に巻き付けられている。上流側抵抗線312と下流側抵抗線314は、温度に応じてその抵抗値が変化する素材で構成されている。上流側抵抗線312と下流側抵抗線314は、同じ温度においては同じ抵抗値を有する。
【0048】
図3は、流量センサユニット30が備えるホイートストンブリッジ316の回路構成を示す図である。ホイートストンブリッジ316は、その一部に上流側抵抗線312と下流側抵抗線314(図1参照)とを含む。なお、図1では、技術の理解を容易にするため、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314とを、ホイートストンブリッジ316とは分けて記載している。
【0049】
図3に示すように、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314とは、直列に接続されている。また、ホイートストンブリッジ316は、第1の比較抵抗312cと、第2の比較抵抗314cと、を有する。第1の比較抵抗312cと第2の比較抵抗314cとは、直接に接続されている。そして、第1の比較抵抗312cおよび第2の比較抵抗314cと、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314とは、並列に接続されている。第2の比較抵抗314cと下流側抵抗線314の接続点p4は、接地されている。図3において、上流側抵抗線312と第1の比較抵抗312cとの接続点p1における電流を矢印Iで示す。
【0050】
上流側抵抗線312と下流側抵抗線314は、通電されて発熱する。その状態において、第1のセンサ用流路12(図1参照)にガスが流れると、ガスは、第1のセンサ用流路12の上流側に位置する上流側抵抗線312の熱を奪って、下流側抵抗線314が巻き付けられている位置まで流れる。そして、下流側抵抗線314に熱を渡すか、または下流側抵抗線314からは上流側抵抗線312からほどに熱を奪わない。その結果、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314の間に温度差が生じる。すると、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314の抵抗値に差が生じる。
【0051】
この上流側抵抗線312と下流側抵抗線314の抵抗値の差は、ホイートストンブリッジ316における上流側抵抗線312と下流側抵抗線314との接続部分p2の電位のずれとなって表れる(図3参照)。p2の電位のずれは、第1の比較抵抗312cと第2の比較抵抗314cとの接続部分p3の電位と、p2の電位と、の電位差を測定することにより、測定できる。この電位差S11の大きさは、第1のセンサ用流路12を流れるガスの質量流量Qにほぼ比例する。流量センサユニット30が備えるゲイン回路318(図1参照)は、ホイートストンブリッジ316におけるp3の電位とp2の電位との電位差S11に比例する信号S12を出力する。
【0052】
一方、前述のように、バイパス流路16を流れるガスの流量に対する第1のセンサ用流路12を流れるガスの流量の比R1、およびバイパス流路16を流れるガスの流量に対する第2のセンサ用流路14を流れるガスの流量の比R2は、一定である。このため、センサ出力信号S12は、そのときに流体通路10全体を流れているガスの質量流量を表す。
【0053】
流量センサユニット30は、第2のセンサ用流路14についても同様に、ホイートストンブリッジ326と、ゲイン回路328とを備える。そして、ホイートストンブリッジ326は、上流側抵抗線322と、下流側抵抗線324と、第1の比較抵抗322cと、第2の比較抵抗324cと、を備える。各部の構成および機能は、第1のセンサ用流路12に設けられた対応する要素の構成および機能と同じである。ゲイン回路328は、上流側抵抗線322と下流側抵抗線324との温度差に起因して生じる電位差S21に比例する信号S22を出力する。このため、センサ出力信号S22は、そのときに流体通路10全体を流れているガスの質量流量を表す。
【0054】
制御部40(図1参照)は、流量センサユニット30から信号S12,S22を受け取る。一方、目標流量を表す指令値信号Stを別途、外部から受け取る。そして、ガスの目標流量の大きさが小さい第1の制御モードにおいては、指令値信号Stとセンサ信号S12に基づいて流量制御弁ユニット20を制御する。そして、ガスの目標流量の大きさが第1の制御モードよりも大きい第2の制御モードにおいては、指令値信号Stとセンサ信号S22に基づいて流量制御弁ユニット20を制御する。なお、第1の制御モードと第2の制御モードの切換は、ユーザが行う。なお、第1の制御モードにおける目標流量の範囲と、第2の制御モードにおける目標流量の範囲とは、一部が重複している。
【0055】
第1のセンサ用流路12が一部のガスを分岐させる地点pd1と、第2のセンサ用流路14が一部のガスを分岐させる地点pd2とは、流体通路10のガスの流れの方向Dfについて、同じ位置PDである。このため、分岐点pd1,pd2における流体通路10内のガスの流量および圧力が同じである。一方、第2のセンサ用流路14は、第1のセンサ用流路12よりも流路が長い。このため、分岐点pd1,pd2において各センサ用流路へ分岐するガスの流量が同じであるとすると、第2のセンサ用流路14内を単位時間当たりに流通するガスの流量は、第1のセンサ用流路12内を単位時間当たりに流通するガスの流量に比べて少なくなる。すなわち、第2のセンサ用流路14内で上流側抵抗線322から奪われた熱が第2のセンサ用流路14内を移動する速さは、第1のセンサ用流路12内で上流側抵抗線312から奪われた熱が第1のセンサ用流路12内を移動する速さよりも、小さい。よって、第2のセンサ用流路14に設けられた上流側抵抗線322と下流側抵抗線324の温度差は、第1のセンサ用流路12に設けられた上流側抵抗線312と下流側抵抗線314の温度差に比べて、流体通路10全体を流通するガスの流量が多くなっても、よりよく流量変化を反映する。
【0056】
その結果、目標流量が小さい範囲にあるときには、第1のセンサ用流路12に設けられた上流側抵抗線312と下流側抵抗線314の温度差に基づく出力S12に基づいて流量制御弁ユニット20を高精度に制御し、目標流量が大きい範囲にあるときには、第2のセンサ用流路14に設けられた上流側抵抗線322と下流側抵抗線324の温度差に基づく出力S22に基づいて流量制御弁ユニット20を高精度に制御することができる。そして、第2のセンサ用流路14の流路の長さを適切に設定することにより、目標流量が高い範囲についても、正確にガスの質量流量を検出することができる。
【0057】
また、本実施例においては、第2のセンサ用流路14は、ステンレス合金よりも熱伝導率が高いニッケル合金で構成される。このため、第2のセンサ用流路14内を流れるガスの流速が速くなっても、第2のセンサ用流路14に設けられた上流側抵抗線322と下流側抵抗線324の温度差は、ガスの温度を反映しやすい。このため、流体通路10全体を流通するガスの流量が多くなっても、流量センサユニット30は、正確にガスの流量を検出し、制御することができる。
【0058】
一般に、ニッケル合金などの熱伝導率が高い素材は高価である。しかし、本実施例においては、第1のセンサ用流路12は、ニッケル合金ではなく、より安価なステンレス合金で構成される。このため、本実施例によれば、高い流量範囲における高精度な流量の測定を第2のセンサ用流路14で担保しつつ、流量センサユニット30および流量制御装置100全体のコストを低減することができる。また、第1のセンサ用流路12に設けられた上流側抵抗線312と下流側抵抗線314は、目標流量が小さい範囲にあるときに使用される。このため、第1のセンサ用流路12を熱伝導率が高い素材で構成しなくとも、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314の温度差およびその結果としての電位差のずれは、十分にガスの温度を反映することができる。
【0059】
B.第2実施例:
第2実施例の流量制御装置は、第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14の構造が第1実施例とは異なっている。第2実施例の流量制御装置の他の点は、第1実施例の流量制御装置100と同じである。
【0060】
図4は、第2実施例の流量制御装置における第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14の構造を示す概略断面図である。図4において、中段右側の図は、ガスの流れの方向Dfに沿った断面における断面図である。図4において、中段左側の図は、ガスの流れの方向Dfに垂直な断面における断面図である。なお、各図において、技術の理解を容易にするため、一部、断面で示していない箇所がある。図4において、下段左側の図は、流体通路10を構成する部材10cのうち、第1のセンサ用流路12と第2のセンサ用流路14と関連する部分の平面図である。なお、図4においては、各流路および各流路を構成する部材以外の構成(たとえば、上流側抵抗線と下流側抵抗線)については、図示を省略している。
【0061】
第2実施例においては、第1のセンサ用流路12の一部を構成する第1の流路部材12cは、流路の両端の位置に取付部12dc,12ccを備えている。上流側の取付部を、第1の上流側取付部12dcと呼ぶ。下流側の取付部を、第1の下流側取付部12ccと呼ぶ。また、第2のセンサ用流路14の一部を構成する第2の流路部材14cは、流路の両端の位置に取付部14dc,14ccを備えている。上流側の取付部を、第2の上流側取付部14dcと呼ぶ。下流側の取付部を、第2の下流側取付部14ccと呼ぶ。
【0062】
一方、流体通路10を構成する部材10cには、分岐点pd1から分岐し外部に向かう第1の上流流路17f1(図4の中段左側の図参照)、および外部から合流点pc1に向かう第1の下流流路17e1が設けられている。図4の下段に示すように、部材10cにおいて、第1の上流流路17f1の開口部分には、第1の上流側取付部17d1が設けられている。第1の下流流路17e1の開口部分には、第1の下流側取付部17c1が設けられている。
【0063】
同様に、流体通路10を構成する部材10cには、分岐点pd2から分岐し外部に向かう第2の上流流路17f2(図4の中段左側の図参照)、および外部から合流点pc2に向かう第2の下流流路17e2が設けられている。図4の下段に示すように、部材10cにおいて、第2の上流流路17f2の開口部分には、第2の上流側取付部17d2が設けられている。第2の下流流路17e2の開口部分には、第2の下流側取付部17c2が設けられている。
【0064】
流体通路10を構成する部材10cの第1の上流側取付部17d1には、第1の流路部材12cの第1の上流側取付部12dcが接続される(図4の中段左側の図参照)。第1の下流側取付部17c1には、第1の流路部材12cの取付部12ccが接続される(図4の下段の図および上段右側の図参照)。すなわち、流体通路10を構成する部材10cには、第1の流路部材12cが取りつけられる。部材10cに第1の流路部材12cが取りつけられると、第1の上流流路17f1と第1の下流流路17e1と第1の流路部材12cの流路は、第1のセンサ用流路12を構成する。
【0065】
なお、部材10cの第1の上流側取付部17d1と、第1の流路部材12cの上流端の第1の上流側取付部12dcとは、互いに取り外し可能に接続される。そして、部材10cの第1の下流側取付部17c1と、第1の流路部材12cの下流端の取付部12ccも、互いに取り外し可能に接続される。なお、図4においては、第1の流路部材12cが、流体通路10を構成する部材10cから取り外された状態を示す。
【0066】
また、流体通路10を構成する部材10cの第2の上流側取付部17d2には、第2の流路部材14cの第2の上流側取付部14dcが接続される(図4の上段左側の図参照)。第2の下流側取付部17c2には、第2の流路部材14cの取付部14ccが接続される(図4の下段の図および中段右側の図参照)。すなわち、流体通路10を構成する部材10cには、第2の流路部材14cが取りつけられる。部材10cに第2の流路部材14cが取りつけられると、第2の上流流路17f2と第2の下流流路17e2と第2の流路部材14cの流路は、第2のセンサ用流路14を構成する。
【0067】
なお、部材10cの第2の上流側取付部17d2と、第2の流路部材14cの上流端の第2の上流側取付部14dcとは、互いに取り外し可能に接続される。そして、部材10cの第2の下流側取付部17c2と、第2の流路部材14cの下流端の取付部14ccも、互いに取り外し可能に接続される。なお、図4においては、第2の流路部材14cが、流体通路10を構成する部材10cから取り外された状態を示す。
【0068】
流体通路10を構成する部材10cには、第1の流路部材12cに代えて第3の流路部材18cを取付可能である。第3の流路部材18cには、第1の流路部材12cと同様に、上流側抵抗線と下流側抵抗線とが巻き付けられている。これらの抵抗線は、第3の流路部材18cが流体通路10を構成する部材10cに取りつけられた際に、ホイートストンブリッジ316(図1参照)に接続される。その結果、流量センサユニット30は、第3の流路部材18cに巻き付けられた上流側抵抗線と下流側抵抗線との温度差に基づいて信号S12を生成することができる。
【0069】
第3の流路部材18cは、流路の上流端に取付部18dcを備えている(図4の中段左側の図参照)。そして、第3の流路部材18cは、流路の下流端に取付部18ccを備えている。上流端側の取付部18dcは、流体通路10を構成する部材10cの第1の上流側取付部17d1に取りつけられる(図4の中段左側の図および下段の図参照)。下流端側の取付部18ccは、流体通路10を構成する部材10cの第1の下流側取付部17c1に取りつけられる。
【0070】
部材10cに第3の流路部材18cが取りつけられると、第1の上流流路17f1と第1の下流流路17e1と、第3の流路部材18cの流路とは、第3のセンサ用流路18を構成する。第3のセンサ用流路18は、第1のセンサ用流路12と流路断面を同じくし、第1のセンサ用流路12よりも流路が長い流路である。ただし、第3のセンサ用流路18は、第2のセンサ用流路14よりも流路が短い流路である。第3のセンサ用流路18を用いて流量検出を行う場合には、第1のセンサ用流路12を用いて流量検出を行う場合よりも流量の最大値が大きい範囲であって、第1のセンサ用流路12を用いて流量検出を行う場合よりも流量の最大値が小さい範囲について、正確な流量検出を行うことができる。
【0071】
第3の流路部材18cの流路の上流端(取付部18dc)と流路の下流端(取付部18cc)の間隔は、第1の流路部材12cの流路の上流端(取付部12dc)と流路の下流端(取付部12cc)の間隔に等しい。
【0072】
流体通路10を構成する部材10cには、第2の流路部材14cに代えて第4の流路部材19cを取付可能である。第4の流路部材19cには、第2の流路部材14cと同様に、上流側抵抗線と下流側抵抗線とが巻き付けられている。これらの抵抗線は、第4の流路部材19cが流体通路10を構成する部材10cに取りつけられた際に、ホイートストンブリッジ326(図1参照)に接続される。その結果、流量センサユニット30は、第4の流路部材19cに巻き付けられた上流側抵抗線と下流側抵抗線との温度差に基づいて信号S22を生成することができる。
【0073】
第4の流路部材19cは、流路の上流端に取付部19dcを備えている(図4の中段左側の図および中段右側の図参照)。そして、第4の流路部材19cは、流路の下流端に取付部19ccを備えている(図4の中段右側の図参照)。上流端側の取付部19dcは、流体通路10を構成する部材10cの第2の上流側取付部17d2に取りつけられる(図4の中段右側の図参照)。下流端側の取付部19ccは、流体通路10を構成する部材10cの第2の下流側取付部17c2に取りつけられる(図4の中段右側の図参照)。
【0074】
部材10cに第4の流路部材19cが取りつけられると、第2の上流流路17f2と第2の下流流路17e2と、第4の流路部材19cの流路とは、第4のセンサ用流路19を構成する。第4のセンサ用流路19は、第2のセンサ用流路14と流路断面を同じくし、第2のセンサ用流路14よりも流路が長い流路である。よって、第4のセンサ用流路19を用いて流量検出を行う場合には、第2のセンサ用流路14を用いて流量検出を行う場合よりもより流量の最大値が大きい範囲について、正確な流量検出を行うことができる。
【0075】
第4の流路部材19cの流路の上流端(取付部19dc)と流路の下流端(取付部19cc)の間隔は、第2の流路部材14cの流路の上流端(取付部14dc)と流路の下流端(取付部14cc)の間隔に等しい。そして、第1の流路部材12c、第3の流路部材18c、第2の流路部材14c、第4の流路部材19cは、いずれも、流体通路10を構成する部材10cに取りつけられた際に、流体の流れの方向Dfについて、範囲W0内となる大きさおよび形状で設けられている。
【0076】
第2実施例によれば、第1の流路部材12cに代えて第3の流路部材18cを取りつけ、第2の流路部材14cに代えて第4の流路部材19cを取りつけることにより、制御対象のガスの流量範囲に応じて第1と第2のセンサ用流路を、第3と第4のセンサ用流路に置き換えることができる。すなわち、制御が必要とされる流量範囲に応じて、さまざまな構成を採用して、広範囲な流量制御に対応することができる。
【0077】
そして、第2実施例の流量制御装置は、制御対象のガスの流量範囲に応じてセンサ用流路を構成する部材を交換しても、流体通路10のガスの流れの方向Dfに沿って必要とされる空間の大きさが変化しない。よって、あらかじめ定められた空間で、様々な流量範囲についてガスの流量を制御することができる流量制御装置を設置できる。
【0078】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上記実施例では、半導体製造装置に供給するガスの流量を制御する流量制御装置を例に本願発明の説明をした。しかし、本願発明は、気体に限らず、液体など、任意の流体の流量を制御する流量制御装置に適用することができる。
【0079】
C2.変形例2:
上記実施例においては、部分流路162ならびに第1と第2のセンサ用流路14は、面積が等しい円形の流路断面を有する。しかし、部分流路162ならびに第1と第2のセンサ用流路12,14は、円形以外の断面形状を有することもできる。また、部分流路162の流路断面と、第1と第2のセンサ用流路12,14の流路断面とは、異なる断面形状や断面積を有していてもよい。
【0080】
C3.変形例3:
上記実施例においては、第1のセンサ用流路12を構成する部材12cはステンレス合金で構成されており、第2のセンサ用流路14を構成する部材14cはニッケル合金で構成されている。しかし、第1のセンサ用流路12を構成する部材12cと第2のセンサ用流路14を構成する部材14cとは、他の素材で構成されることもできる。ただし、第2のセンサ用流路14を構成する部材14cは、第1のセンサ用流路12を構成する部材12cよりも熱伝導率が高い素材で構成されることが好ましい。
【0081】
以下に、第1のセンサ用流路12の部材12cや第2のセンサ用流路14の部材14cを構成しうる素材と、それらの熱伝導率(単位はW/(m・K))を例示する。
SUS316L:16.3
ニッケル基合金:11〜15
チタン:21.9
ジルコニウム:22.7
純ニッケル:90.5
タンタル:57.5
白金:71.4
金:315
【0082】
第1のセンサ用流路12を構成する部材12cと第2のセンサ用流路14を構成する部材14cとは、たとえば、上記の素材の中から熱伝導率が所定値以上離れている任意の二つで、構成することができる。
【0083】
また、第1のセンサ用流路12を構成する部材12cと、第2のセンサ用流路14を構成する部材14cとは、それぞれ全体が一種類の素材で構成されている必要はない。しかし、少なくとも、第2のセンサ用流路14において上流側抵抗線322と下流側抵抗線324が巻き付けられている部分14rを構成する部材は、第1のセンサ用流路12において上流側抵抗線312と下流側抵抗線314が巻き付けられている部分12rを構成する部材よりも、熱伝導率が高い素材で構成されていることが好ましい。
【0084】
C4.変形例4:
上記実施例においては、流量センサユニット30は、流量制御弁ユニット20の上流側において、流量を検知する。しかし、流量センサユニット30は、流量制御弁ユニット20の下流側において、流量を検知する態様とすることもできる。
【0085】
C5.変形例5:
上記実施例においては、第1の制御モードにおける目標流量の範囲と、第2の制御モードにおける目標流量の範囲とは、一部が重複している。しかし、たとえば、第1の制御モードにおける目標流量の範囲が、第2の制御モードにおける目標流量の範囲の一部であるような態様とすることもできる。
【0086】
C6.変形例6:
上記実施例では、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314は、同じ温度においては同じ抵抗値を有する。しかし、上流側抵抗線312と下流側抵抗線314は、同じ温度において、異なる抵抗値を有していてもよい。ただし、同じ温度において、[上流側抵抗線312の抵抗値]×[第2の比較抵抗314cの抵抗値]=[下流側抵抗線314の抵抗値]×[第1の比較抵抗312c]の関係が満たされることが望ましい。
【0087】
上記実施例では、上流側抵抗線312,322と、下流側抵抗線314,324との温度差を、ホイートストンブリッジ316,326により電圧S11,S21に変換して検出している。しかし、上流側抵抗線312,322と、下流側抵抗線314,324との温度差は、他の方法で検出してもよい。たとえば、ホイートストンブリッジに代えて、互いに直列に接続した上流側抵抗線と下流側抵抗線において、下流側抵抗線の他端を接地し、上流側抵抗線の他端に一定の電位をかけて電流を流す構成を備える態様とすることもできる。そのような態様においては、上流側抵抗線と下流側抵抗線の接続部分の電位を測定することにより、上流側抵抗線と下流側抵抗線の温度差を反映した電圧を得ることができる。すなわち、流量に応じた信号を出力する出力部は、少なくとも、下流側抵抗器としての下流側抵抗線の温度に応じた信号を出力するものであればよい。また、上流側抵抗器は、流路を構成する管に巻きつけた抵抗線に限らず、流路内の流体を加熱できるものであればよく、下流側抵抗器は、流路を構成する管に巻きつけた抵抗線に限らず、流路内の流体によって温度が変化するものであればよい。
【0088】
C7.変形例7:
上記第1実施例では、第1のセンサ用流路12用のホイートストンブリッジ316およびゲイン回路318と、第2のセンサ用流路14用のホイートストンブリッジ326およびゲイン回路328とは、別の構成である。しかし、これらの各要素は、1箇所にまとめて構成されることもできる。
【0089】
また、上記実施例では、制御部40は、流量センサユニット30から信号S12,S22を受け取る(図1参照)。そして、ガスの目標流量に応じて、それぞれの信号に基づく制御モードが切り換えられる。しかし、流量センサユニット30が設定に応じて信号S12,S22を選択的に制御部40に出力する態様とすることもできる。そのような態様においては、たとえば、ユーザが、流量センサユニット30に対して出力すべき信号を設定する。制御部40は受け取った信号に基づいて、流量制御弁ユニットを制御する。
【0090】
C8.変形例8:
上記実施例では、センサ用流路を構成する流路部材は、いずれも、流体通路10を構成する部材10cに取りつけられた際に、流体の流れの方向Dfについて、範囲W0内となる大きさおよび形状で設けられている。ここで、さらに好ましい態様として、以下のような態様がある。すなわち、最も長い流路を構成する部材の方向Dfについての外形寸法Wmaxは、最も短い流路を構成する部材の方向Dfについての外形寸法Wminの1.3倍以下であることが好ましく、1.2倍以下であることがより好ましい。そして、外形寸法Wmaxは、外形寸法Wminの1.1倍以下であることがさらに好ましい。なお、「外形寸法」は、その方向についてその部材の最も突出した部位間の寸法をいう。
【0091】
C9.変形例9:
上記実施例では、各センサ用流路は、方向Dfに垂直な方向に投射したときに、直線状に伸びており、方向Dfに垂直な方向に投射したときに矩形を描くような形状をしている。しかし、各センサ用流路は、他の形状とすることもできる。たとえば、各センサ用流路は、方向Dfに垂直な方向に投射したときに、Ω状となるような、曲線状の部分を有する形状とすることもできる。また、長い方の流路を有するセンサ用流路については、短い方の流路を有するセンサ用流路が有さない屈曲点を設け、センサ用流路が専有する空間の大きさを小さくすることが好ましい。たとえば、「M」字状など、長い方の流路を有するセンサ用流路については、バイパス流路16から離れる向きに流体が流れる部位を2以上有し、バイパス流路16に近づく向きに流体が流れる部位を2以上有し、それらの部位を屈曲点で接続する態様とすることもできる。そのような態様とすれば、センサ用流路が専有する空間の大きさを小さくすることができる。また、各センサ用流路は、コイル状の部分を有する形状とすることもできる。
【符号の説明】
【0092】
10…流体通路
10c…流体通路を構成する部材
12…第1のセンサ用流路
12c…第1の流路部材
12cc…第1の下流側取付部
12dc…第1の上流側取付部
12r…第1のセンサ用流路において上流側抵抗線と下流側抵抗線が巻き付けられている部分
14…第2のセンサ用流路
14c…第2の流路部材
14cc…第2の下流側取付部
14dc…第2の上流側取付部
14r…第2のセンサ用流路において上流側抵抗線と下流側抵抗線が巻き付けられている部分
16…バイパス流路
17c1…第1の下流側取付部
17c2…第2の下流側取付部
17d1…第1の上流側取付部
17d2…第2の上流側取付部
17e1…第1の下流流路
17e2…第2の下流流路
17f1…第1の上流流路
17f2…第2の上流流路
18…第3のセンサ用流路
18c…第3の流路部材
18cc…取付部
18dc…取付部
19…第4のセンサ用流路
19c…第4の流路部材
19cc…取付部
19dc…取付部
20…流量制御弁ユニット
24…ダイヤフラム
26…アクチュエータ
28…弁口
30…流量センサユニット
40…制御部
100…流量制御装置
162…部分流路
200…ガス源
300…半導体製造装置
312,322…上流側抵抗線
312c…第1の比較抵抗
314,324…下流側抵抗線
314c…第2の比較抵抗
316,326…ホイートストンブリッジ
318…ゲイン回路
328…ゲイン回路
Df…流体通路10を流れるガスの流れの方向
Gs…ガス
I…電流を示す矢印
L1…第1のセンサ用流路12の分岐点pd1から合流点pc1までの距離
L2…第2のセンサ用流路14の分岐点pd2から合流点pc2までの距離
PC…ガスの流れの方向についての合流点の位置
PD…ガスの流れの方向についての分岐点の位置
S11…ホイートストンブリッジ内の電位差
S12…センサ出力信号
S21…ホイートストンブリッジ内の電位差
S22…センサ出力信号
W0…方向Dfについてセンサ用流路を構成する部材が占有する範囲
pc1…第1のセンサ用流路の合流点
pc2…第2のセンサ用流路の合流点
pd1…第1のセンサ用流路の分岐点
pd2…第2のセンサ用流路の分岐点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体通路を流れる流体の流量を制御する流量制御装置であって、
流体を流す流体通路と、
前記流体通路を流れる前記流体の流量を制御する流量制御弁ユニットと、
前記流体通路を流れる前記流体の流量を検出する流量センサユニットと、
前記流量センサユニットの出力に基づいて前記流量制御弁ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記流体通路は、
前記流体の流れの方向に沿った一部で前記流体通路を構成するバイパス流路と、
それぞれ、前記流体通路を流れる前記流体であって前記バイパス流路を流れる前の流体から一部の流体を分岐させ、その後、前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる第1と第2のセンサ用流路であって、前記第2のセンサ用流路が、前記第1のセンサ用流路と等しい流路断面と前記第1のセンサ用流路よりも長い流路を有する、第1と第2のセンサ用流路と、を備え、
前記流量センサユニットは、前記各センサ用流路について、
前記センサ用流路内を流れる流体を加熱する上流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器よりも下流に設けられ前記センサ用流路内を流れる流体によって温度が変化する下流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器と前記下流側抵抗器の抵抗値の差に応じた信号を出力する出力部と、を備え、
前記第1と第2のセンサ用流路は、前記一部の流体を分岐させる地点から、前記一部の流体を合流させる地点までの、前記流体通路の前記流れの方向に沿った距離が等しいように構成され、
前記流量センサユニットおよび前記制御部は、前記流体の目標流量の大きさに応じて、前記第1のセンサ用流路の前記抵抗値の差に基づく前記信号と、前記第2のセンサ用流路の前記抵抗値の差に基づく前記信号と、を使い分けて、前記流量制御弁ユニットの制御を行うことができるように構成される、流量制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の流量制御装置であって、
前記バイパス流路は、それぞれ前記第1および第2の流路の流路断面と等しい流路断面を有する複数の部分流路から構成される、流量制御装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の流量制御装置であって、
前記第2のセンサ用流路のうち前記上流側抵抗器および前記下流側抵抗器が設けられている範囲を構成する部材は、前記第1のセンサ用流路のうち前記上流側抵抗器および前記下流側抵抗器が設けられている範囲を構成する部材に比べて、熱伝導率が高い素材で構成される、流量制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の流量制御装置であって、
前記第1のセンサ用流路が前記一部の流体を分岐させる地点と、前記第2のセンサ用流路が前記一部の流体を分岐させる地点とは、前記流体通路の前記流れの方向について、同じ位置にあり、
前記第1のセンサ用流路が前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる地点と、前記第2のセンサ用流路が前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる地点とは、前記流体通路の前記流れの方向について、同じ位置にある、流量制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の流量制御装置であって、
前記第1のセンサ用流路の少なくとも一部を構成する部材は、前記流体通路において、前記第1のセンサ用流路と等しい流路断面を有し、前記第1のセンサ用流路とは流路の長さが異なる第3のセンサ用流路の少なくとも一部を構成することができる部材と交換可能に設けられており、
前記第2のセンサ用流路の少なくとも一部を構成する部材は、前記流体通路において、前記第2のセンサ用流路と等しい流路断面を有し、前記第2のセンサ用流路とは流路の長さが異なる第4のセンサ用流路の少なくとも一部を構成することができる部材と交換可能に設けられている、流量制御装置。
【請求項6】
流体通路を流れる流体の流量を検出する流量センサユニットであって、
前記流体通路は、
前記流体の流れの方向に沿った一部で前記流体通路を構成するバイパス流路と、
それぞれ、前記流体通路を流れる前記流体であって前記バイパス流路を流れる前の流体から一部の流体を分岐させ、その後、前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる第1と第2のセンサ用流路であって、前記第2のセンサ用流路が、前記第1のセンサ用流路と等しい流路断面と前記第1のセンサ用流路よりも長い流路を有する、第1と第2のセンサ用流路と、を備え、
前記流量センサユニットは、前記各センサ用流路について、
前記センサ用流路内を流れる流体を加熱する上流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器よりも下流に設けられ前記センサ用流路内を流れる流体によって温度が変化する下流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器と前記下流側抵抗器の抵抗値の差に応じた信号を出力する出力部と、を備え、
前記第1と第2のセンサ用流路は、前記一部の流体を分岐させる地点から、前記一部の流体を合流させる地点までの、前記流体通路の前記流れの方向に沿った距離が等しいように構成される、流量センサユニット。
【請求項7】
流体通路を流れる流体の流量を制御する流量制御装置であって、
流体を流す流体通路と、
前記流体通路を流れる前記流体の流量を制御する流量制御弁ユニットと、
前記流体通路を流れる前記流体の流量を検出する流量センサユニットと、
前記流量センサユニットの出力に基づいて前記流量制御弁ユニットを制御する制御部と、を備え、
前記流体通路は、
互いに等しい流路断面を有する複数の部分流路から構成され、前記流体通路の第1の部位と、前記第1の部位よりも下流の第2の部位との間において、前記流体通路の一部を構成するバイパス流路と、
それぞれ前記部分流路と等しい流路断面を有し、前記第1の部位において、前記流体通路を流れる前記流体から一部の流体を分岐させ、前記第2の部位において、前記バイパス流路を流れた流体に前記一部の流体を合流させる複数のセンサ用流路と、を備え、
前記流量センサユニットは、前記各センサ用流路について、
前記センサ用流路内を流れる流体を加熱する上流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器よりも下流に設けられ前記センサ用流路内を流れる流体によって温度が変化する下流側抵抗器と、
前記上流側抵抗器と前記下流側抵抗器の抵抗値の差に応じた信号を出力する出力部と、を備え、
前記複数のセンサ用流路は、第1のセンサ用流路と、前記第1のセンサ用流路よりも流路が長い第2のセンサ用流路と、を含み、
前記流量センサユニットおよび前記制御部は、前記流体の目標流量の大きさに応じて、前記第1のセンサ用流路の前記抵抗値の差に基づく前記信号と、前記第2のセンサ用流路に設けられた前記抵抗値の差に基づく前記信号と、を使い分けて、前記流量制御弁ユニットの制御を行うように構成される、流量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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