説明

流量調整器具

【課題】 低コストで所望の絞り弁を構成できる流量調整器具を提供することである。
【解決手段】 流量を調整する流量調整器具であって、両端部に所定の直径の嵌合穴が形成され、該両端部の嵌合穴を連通する連通路と、該各嵌合穴中に突出する複数の爪とを有するチューブ連結手本体と、該チューブ連結手本体の嵌合穴中にスライド嵌合する外径と連結されるべきチューブの外径に対応した内径を有し、該チューブ連結手本体の該各嵌合穴中にスライド可能に嵌合された一対の可動連結手、とから構成されるチューブ連結手と、該可動連結手の内径に対応した外径を有し、内径がそれぞれ異なる複数の流体絞りチューブとを備え、該複数の流体絞りチューブの内の一つを選択して該チューブ連結手の該可動連結手に挿入することにより、該流体絞りチューブの内径に応じた所望の絞りを達成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧エア又は加工水の流量を調整可能な流量調整器具に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画されて表面に形成された半導体ウエーハは、研削装置によって裏面が研削されて所定の厚さに加工された後、ダイシング装置(切削装置)によって個々のデバイスに分割され、分割されたデバイスは携帯電話、パソコン等の電気機器に広く利用されている。
【0003】
研削装置は、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに吸引保持されたウエーハを研削する研削ホイールを回転可能に支持する研削手段と、研削されたウエーハを洗浄する洗浄手段とから概ね構成されていて、ウエーハを高精度に研削することができる(例えば、特開2005−153090号公報参照)。
【0004】
また、ダイシング装置は、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、チャックテーブルに吸引保持されたウエーハを切削する切削ブレードを回転可能に支持する切削手段と、切削されたウエーハを洗浄する洗浄手段とから概ね構成されていて、ウエーハを高精度に個々のデバイスに分割することができる(例えば、特開2001−7058号公報参照)。
【0005】
研削装置やダイシング装置等の加工装置においては、チャックテーブルを含む多くのユニット(手段)はチューブを介して吸引源に連結され、研削手段及び切削手段を構成するスピンドルユニットを含む多くの手段はチューブを介して高圧エア源に連結されその機能が維持される。
【0006】
また、吸引源又は高圧エア源を利用する各手段は機能に応じて必要とする流量が異なるため、適宜の絞り弁を介して吸引源又は高圧エア源に連結されその機能が維持されている。
【0007】
更に、研削装置では研削時に研削水を供給しながらウエーハ等の被加工物の研削が実施され、ダイシング装置では切削水を供給しながらウエーハ等の被加工物の切削が実施される。研削水又は切削水等の加工水は流量調整弁を介して加工水源に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−153090号公報
【特許文献2】特開2001−7058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、流量を最適の流量に調整して各手段の機能を維持するためには、比較的高額な絞り弁を各種取り揃えて加工装置を構成しなければならず、コスト高になるという問題がある。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コストの低減を図ることが可能な流量調整器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、流量を調整する流量調整器具であって、両端部に所定の直径の嵌合穴が形成され、該両端部の嵌合穴を連通する連通路と、該各嵌合穴中に突出する複数の爪とを有するチューブ連結手本体と、該チューブ連結手本体の嵌合穴中にスライド嵌合する外径と連結されるべきチューブの外径に対応した内径を有し、該チューブ連結手本体の該各嵌合穴中にスライド可能に嵌合された一対の可動連結手、とから構成されるチューブ連結手と、該可動連結手の内径に対応した外径を有し、内径がそれぞれ異なる複数の流体絞りチューブとを備え、該複数の流体絞りチューブの内の一つを選択して該チューブ連結手の該可動連結手に挿入することにより、該流体絞りチューブの内径に応じた所望の絞りを達成することを特徴とする流量調整器具が提供されている。
【0012】
好ましくは、複数の流体絞りチューブは内径が異なる毎に異なる色に色分けされている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、比較的安価な内径の異なる複数の流体絞りチューブから最適の一つを選択して比較的安価なチューブ連結手に嵌合することにより、所望の絞り弁を構成することができ、加工装置のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1(A)はチューブ連結手の斜視図、図1(B)はその縦断面図である。
【図2】外径が同一で内径が異なる複数の流体絞りチューブの斜視図である。
【図3】一対のチューブ連結手に選択した流体絞りチューブを嵌合して構成される流量調整器具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1(A)を参照すると、本発明実施形態に係るチューブ連結手10の斜視図が示されている。図1(B)はその縦断面図である。
【0016】
チューブ連結手10は両端部に形成された所定の直径の一対の嵌合穴16と、一対の嵌合穴16を連通する連通穴14を有するチューブ連結手本体12を含んでいる。チューブ連結手本体12の各嵌合穴16内に突出するように複数の爪24がチューブ連結手本体12に取り付けられている。各爪24はチューブ連結手本体12の端部から中央部に行くに連れて半径方向内側に傾斜するようにチューブ連結手本体12に取り付けられている。
【0017】
18は可動連結手であり、チューブ連結手本体12の嵌合穴16中に丁度スライド嵌合する外径と連結すべき流体絞りチューブの外径に対応した嵌合穴20を有している。各可動連結手18の先端にはテーパ部22が形成されており、可動連結手18がチューブ連結手本体12の嵌合穴16中に嵌合された状態では、可動連結手18のテーパ部22が複数の爪24に圧接している。
【0018】
各可動連結手18の外側端部には環状の鍔26が一体的に形成されており、更に中間部外周には、チューブ連結手本体12の各嵌合穴16の外周に嵌合穴16に連通するように形成された環状空間30内を軸方向に移動するストッパ28が一体的に形成されている。
【0019】
図2を参照すると、外径が可動連結手18の嵌合穴20の内径に対応し、内径がそれぞれ異なる複数の流体絞りチューブ32a〜32dの斜視図が示されている。好ましくは、これらの流体絞りチューブ32a〜32dは内径が異なる毎に異なる色に色分けされている。
【0020】
図3を参照すると、左右一対のチューブ連結手10を構成する可動連結手18の嵌合穴20中に流体絞りチューブ32a〜32dのうち選択した一つを嵌合して構成された流量調整器具40の斜視図が示されている。
【0021】
所望の流量を得るための流体絞りチューブ32a〜32dの内の一つを選択して一対のチューブ連結手10に嵌合することにより、流量調整器具40が組み立てられ、流量調整器具により所望の絞り弁を構成することができる。
【0022】
流体絞りチューブ32a〜32dの内の一つを選択してチューブ連結手10の可動連結手18に嵌合すると、爪24が流体絞りチューブ32a〜32dの外周に係合して、流体絞りチューブ32a〜32dをチューブ連結手10から抜き出すことはできない。
【0023】
流体絞りチューブ32a〜32dをチューブ連結手10から抜き出すためには、可動連結手18をチューブ連結手本体12に対して押し込む。これにより、各爪24が半径方向外側に移動されるため、爪24と流体絞りチューブ32a〜32dとの係合が外れて流体絞りチューブ32a〜32dをチューブ連結手10から抜き出すことができる。
【符号の説明】
【0024】
10 チューブ連結手
12 チューブ連結手本体
14 連通穴
16 嵌合穴
18 可動連結手
20 嵌合穴
22 テーパ部
24 爪
28 ストッパ
32a〜32d 流体絞りチューブ
40 流量調整器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量を調整する流量調整器具であって、
両端部に所定の直径の嵌合穴が形成され、該両端部の嵌合穴を連通する連通路と、該各嵌合穴中に突出する複数の爪とを有するチューブ連結手本体と、
該チューブ連結手本体の該嵌合穴中にスライド嵌合する外径と連結されるべきチューブの外径に対応した内径を有し、該チューブ連結手本体の該各嵌合穴中にスライド可能に嵌合された一対の可動連結手、とから構成されるチューブ連結手と、
該可動連結手の内径に対応した外径を有し、内径がそれぞれ異なる複数の流体絞りチューブとを備え、
該複数の流体絞りチューブの内の一つを選択して該チューブ連結手の該可動連結手に挿入することにより、該流体絞りチューブの内径に応じた所望の絞りを達成することを特徴とする流量調整器具。
【請求項2】
該複数の流体絞りチューブは内径が異なる毎に異なる色に色分けされている請求項1記載の流量調整器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−184827(P2012−184827A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49821(P2011−49821)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】