説明

浄化空気通風式の物品保管設備

【課題】清浄空間の下方への浄化空気の排出を的確に行い、清浄空間の清浄度を高く維持することができる浄化空気通風式の物品保管設備の提供。
【解決手段】走行空間3における物品搬出入部5の存在側とは反対側の非物品搬出入箇所7、走行空間3の上部箇所、及び、物品収納部2の背部箇所を外部と遮蔽するように囲む状態で形成される空気循環路40が、走行空間3内の浄化空気を取り入れる走行空間内空気取入用開口部41を、非物品搬出入箇所7に対応する部分に備える状態で、且つ、清浄空間1内の浄化空気を取り入れる清浄空間内空気取入用開口部42を、その長手方向における少なくとも一部に備える状態で設けられ、物品収納部2の後部に空気循環路40における物品収納部2の背部箇所に対応する部分内の浄化空気を通風する浄化空気通風手段26が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化空気が天井部から床部側に通風される清浄空間内に、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部、それら物品収納部の前方側の走行空間内を移動する物品搬送装置及び前記複数の物品収納部のうちの少なくとも一部のものの下方に相当する箇所に配置される物品搬出入部を備える物品保管棚が設けられ、前記複数の物品収納部の後部に空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する浄化空気通風手段が、前記物品収納部を通過して前記走行空間内に浄化空気を通風するように設けられ、前記床部における前記走行空間に対応する箇所に、前記走行空間内の浄化空気を下方に排出する排出用開口部が設けられた浄化空気通風式の物品保管設備に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような浄化空気通風式の物品保管設備は、クリーンルーム等の清浄空間内において、浄化空気通風手段が物品収納部に収納される物品に対して空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風することにより、物品に対する塵埃の付着を防止しながら物品を保管するものである。
そして、床部には、走行空間に対応する箇所に限らず、それ以外の箇所にも清浄空間内の浄化空気を下方に排出する開口部が設けられており、清浄空間の天井部から床部側に通風される浄化空気は、排出用開口部、及び、床部の排出用開口部以外の箇所に設けられた開口部から下方に排出される。その排出された浄化空気は、通風ファン及び循環路にて清浄空間の上部に導かれエアフィルタにより清浄化されて、清浄空間の天井部から床部側に通風されている。このように、浄化空気を循環させながら清浄空間の天井部から床部側に浄化空気を通風している。
【0003】
従来の浄化空気通風式の物品保管設備は、走行空間における物品搬出入部の存在側とは反対側の非物品搬出入箇所に、棚横幅方向及び棚上下幅方向に並ぶ複数の物品収納部が配設されている。そして、物品収納部の背部箇所、及び、非物品搬出入箇所に配置された物品収納部の背部箇所を外部と遮蔽するように囲む状態で空気通風路が形成されており、その空気通風路における走行空間の上部箇所に対応する部分において清浄空間内の浄化空気を取り入れるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
この従来の浄化空気通風式の物品保管設備では、浄化空気通風手段が、空気通風路における物品収納部の背部箇所に対応する部分内の浄化空気を通風するように構成され、非物品搬出入箇所に配置された物品収納部の後部に、空気通風路における非物品搬出入箇所の背部箇所に対応する部分の浄化空気を空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する非物品搬出入側の浄化空気通風手段が設けられている。
そして、浄化空気通風手段及び非物品搬出入側の浄化空気通風手段にて通風される浄化空気は、物品収納部を通過して走行空間に至り走行空間を上方側から下方側に向けて流動して排出用開口から下方に排出される。その排出された浄化空気は、他の箇所から下方に排出された浄化空気とともに、通風ファン及び循環路にて清浄空間の上部に導かれエアフィルタにて清浄化されたのち、浄化空気として清浄空間の天井部から床部側に通風される。
【0005】
【特許文献1】特開2003−81406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の浄化空気通風式の物品保管設備では、走行空間を上方側から下方側に向けて流動する浄化空気の全量が排出用開口から下方に排出されるので、排出用開口部から下方に排出される浄化空気の量が多く、清浄空間の下方に排出される浄化空気のうち、排出用開口部から排出される浄化空気が占める割合が大きくなる。したがって、他の箇所における浄化空気の下方への排出をスムーズに行うことができず、清浄空間内で塵埃が浮遊してしまい、清浄空間の清浄度が低下する虞がある。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、清浄空間の下方への浄化空気の排出を的確に行い、清浄空間の清浄度を高く維持することができる浄化空気通風式の物品保管設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る浄化空気通風式の物品保管設備の第1特徴構成は、浄化空気が天井部から床部側に通風される清浄空間内に、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部、それら物品収納部の前方側の走行空間内を移動する物品搬送装置及び前記複数の物品収納部のうちの少なくとも一部のものの下方に相当する箇所に配置される物品搬出入部を備える物品保管棚が設けられ、前記複数の物品収納部の後部に空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する浄化空気通風手段が、前記物品収納部を通過して前記走行空間内に浄化空気を通風するように設けられ、前記床部における前記走行空間に対応する箇所に、前記走行空間内の浄化空気を下方に排出する排出用開口部が設けられた浄化空気通風式の物品保管設備において、
前記走行空間における前記物品搬出入部の存在側とは反対側の非物品搬出入箇所、前記走行空間の上部箇所、及び、前記物品収納部の背部箇所を外部と遮蔽するように囲む状態で形成される空気循環路が、前記走行空間内の浄化空気を取り入れる走行空間内空気取入用開口部を、前記非物品搬出入箇所に対応する部分に備える状態で、且つ、前記清浄空間内の浄化空気を取り入れる清浄空間内空気取入用開口部を、その長手方向における少なくとも一部に備える状態で設けられ、前記浄化空気通風手段が、前記空気循環路における前記物品収納部の背部箇所に対応する部分内の浄化空気を通風するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、空気循環路が、非物品搬出入箇所、走行空間の上部箇所、及び、物品収納部の背部箇所を外部と遮蔽するように囲んでいるので、空気循環路にて物品保管棚を含む空間を外部と遮蔽することができる。その物品保管棚を含む空間内では、浄化空気通風手段にて通風される浄化空気が、物品収納部を通過して走行空間に至り走行空間を上方側から下方側に向けて流動する。空気循環路における走行空間内空気取入用開口部が非物品搬出入箇所に対応する部分が設けられているので、走行空間内の浄化空気は、その一部が走行空間内空気取入用開口部から空気循環路に取り入れられ、残りの一部が排出用開口部から下方に排出される。空気循環路に取り入れられた浄化空気は、清浄空間内空気取入用開口部から空気循環路に取り入れられた清浄空間内の浄化空気とともに、空気循環路を通して物品収納部の背部箇所に流動される。空気循環路にて物品収納部の背部箇所に対応する部分に流動された浄化空気は、浄化空気通風手段にて空気浄化用フィルタを通して物品収納部を通過して走行空間内に通風される。
このようにして、走行空間内の浄化空気の少なくとも一部を空気循環路にて循環させながら、複数の物品収納部の夫々に浄化空気を通風させることができるので、排出用開口部から下方に排出される浄化空気の量を少なくできる。したがって、他の箇所における浄化空気の下方への排出をスムーズに行うことができ、清浄空間の下方への浄化空気の排出を的確に行うことができる。
【0010】
そして、空気循環路は、非物品搬出入箇所、走行空間の上部箇所、及び、物品収納部の背部箇所を外部と遮蔽するように囲んでおり、走行空間内空気取入用開口部が非物品搬出入箇所に対応する部分が設けられているので、物品収納部の下方に相当する箇所を空気循環路を設置するためのスペースとして使用することがない。したがって、物品搬出入部との設置スペースの取り合いを気にすることなく、しかも、障害物の少ない走行空間の上部箇所を有効に活用しながら、空気循環路を設置することができるので、空気循環路の設置を容易なものとすることができる。
【0011】
以上のことから、清浄空間の下方への浄化空気の排出を的確に行い、清浄空間の清浄度を高く維持できながら、空気循環路の設置を容易なものとすることができる浄化空気通風式の物品収納設備を提供できるに至った。
【0012】
本発明に係る浄化空気通風式の物品保管設備の第2特徴構成は、前記非物品搬出入箇所に、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部が配設され、前記空気循環路のうちの前記非物品搬出入箇所に対応する部分が、前記非物品搬出入箇所に配置された前記物品収納部の背部箇所を囲む状態で形成され、前記走行空間内空気取入用開口部が、前記非物品搬出入箇所に配置された前記物品収納部の下方に形成されて空気取入用空間に対応して形成され、前記非物品搬出入箇所に配置された前記物品収納部の後部、浄化空気用フィルタを通して浄化空気を通風する非物品搬出入側の浄化空気通風手段が、前記空気循環路における前記非物品搬出入箇所の背部箇所に対応する部分の浄化空気を前記物品収納部を通過して前記走行空間内に通風するように設けられている点にある。
【0013】
すなわち、浄化空気通風手段及び非物品搬出入側の浄化空気通風手段にて通風される浄化空気は、物品収納部を通過して走行空間に至り走行空間を上方側から下方側に向けて流動する。走行空間内の浄化空気は、その一部が空気取入用空間に形成された走行空間内空気取入用開口部から空気循環路に取り入れられ、残りの一部が排出用開口部から下方に排出される。空気循環路に取り入れられた浄化空気は、空気循環路にて非物品搬出入箇所に配置された物品収納部の背部箇所を通過して走行空間の上部箇所を経て物品収納部の背部箇所に流動される。そして、空気循環路にて非物品搬出入箇所に配置された物品収納部の背部箇所を通過する浄化空気は、その一部が非物品搬出入側の浄化空気通風手段にて非物品搬出入箇所に配設された物品収納部を通過して走行空間内に通風される。
したがって、物品搬出入箇所の上部に配設された物品収納部だけでなく非物品搬出入箇所にも配設された物品収納部に対しても、複数の物品収納部の全てに浄化空気を通風させながら、走行空間内の浄化空気の少なくとも一部を空気循環路にて循環させることができる。
【0014】
本発明に係る浄化空気通風式の物品保管設備の第3特徴構成は、前記物品保管棚の一対が、それらの前記非物品搬出入箇所を隣接させた状態で並んで設けられ、一対の前記物品保管棚における一対の前記空気循環路が、前記非物品搬出入箇所に対応する部分を共用する状態で形成されている点にある。
【0015】
すなわち、物品保管棚の一対が、それらの非物品搬出入箇所を隣接させた状態で並んで設けられているので、一対の物品保管棚の設置スペースを極力小さくしながら一対の物品保管棚を設置することができる。そして、一対の物品保管棚における一対の空気循環路が、非物品搬出入箇所に対応する部分を別々に形成するのではなく、非物品搬出入箇所に対応する部分を共用する状態で形成されているので、一対の空気循環路を設置するためのスペースの低減及び構成の簡素化を図ることができる。
したがって、限られたスペースを有効に活用しながら、走行空間内の浄化空気の少なくとも一部を空気循環路にて循環させることができる一対の物品保管棚を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る浄化空気通風式の物品保管設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この浄化空気通風式の物品保管設備は、図1〜図3に示すように、浄化空気が天井部から床部側に通風される清浄空間としてのクリーンルーム1内に、棚横幅方向及び棚上下幅方向に並ぶ複数の物品収納部2、それら物品収納部2の前方側の走行空間3内を移動する物品搬送装置4及び複数の物品収納部2の下方に相当する箇所に配設される物品搬出入部5を備える物品保管棚6が一対設けられている。
一対の物品保管棚6は、走行空間3における物品搬出入部5の存在側とは反対側の非物品搬出入箇所7を隣接させた状態で並べて設けられている。つまり、一対の物品保管棚6は、非物品搬出入箇所7を共用する状態で配設されている。そして、その非物品搬出入箇所7には、一対の物品保管棚6の一方(図1中下方側)の物品搬出入部5の上方に相当する箇所に配設された物品収納部2と向かい合う状態で、棚横幅方向及び棚上下幅方向に並ぶ複数の物品収納部2が配設されている。
【0017】
前記クリーンルーム1は、その床部を通気孔が多数形成された多孔状のグレーティング床8にて構成してあり、その天井に形成された天井吹出部9から浄化空気を床部側に向けて通風させるように構成されている。そして、クリーンルーム1には、ブース10により上部及び側周囲が囲まれた空間が形成され、そのブース10にて囲まれた空間内に一対の物品保管棚6が配設されている。
【0018】
前記複数の物品収納部2の夫々は、棚横幅方向に間隔を隔てて立設された前後一対の支柱11と、前後一対の支柱11の夫々に支持されて棚上下方向に間隔を隔てて設けられた載置支持部12とから構成されている。そして、物品収納部2は、左右一対の載置支持部12にて物品を載置支持する状態で物品を収納するように構成されている。また、各物品収納部2は、棚横幅方向に隣接するもの同士及び棚上下方向に隣接するもの同士が空気流動可能に連通されている。
【0019】
前記物品収納部2は、物品として、図4に示すように、ガラス基板等の板状物品13を保持可能な物品保持体14を収納自在に構成されている。前記物品保持体14は、格子状に形成された上枠体枠体14a及び下枠体14bと、上枠体14aと下枠体14bとを連結する複数の連結体14cと、連結体14cに上下方向に間隔を隔てて設置されて水平方向に対向する連結体14c同士を連結するワイヤ状の支持部14dとから構成されている。そして、各支持部14dにて載置支持する状態で板状物品13を上下方向に間隔を隔てて並べて保持しており、物品保持体14の上部、下部、及び、側部の全てにおいて空気流動可能に構成されている。
【0020】
前記クリーンルーム1には、浄化空気を循環させる形態で浄化空気を天井部から床部側に通風するクリーンルーム通風手段15が設けられている。このクリーンルーム通風手段15は、グレーティング床8を通過した空気を清浄化して浄化空気とし、その浄化空気を天井吹出部9から吹き出すように構成されている。
前記クリーンルーム通風手段15は、グレーティング床8の下方側に設けられた吸気室16、天井吹出部9の上方側に設けられた空気チャンバ室17、天井吹出部9に並設されたHEPAフィルタ等からなるエアフィルタ18、吸気室16と空気チャンバ室17とを連通接続する接続流路19、その接続流路19に設けられて吸気室16に吸引作用する循環用送風機20、及び、接続流路19において循環用送風機20の空気吐出側に設けられたプレフィルタ21を備えて構成されている。
【0021】
前記クリーンルーム1内の空気は、循環用送風機20の通風作用によってグレーティング床8を通して吸気室16に吸い込まれて接続流路19を流動し、プレフィルタ21にて清浄化されて空気チャンバ室17に至る。そして、空気チャンバ室17に到達した空気は、エアフィルタ18にて清浄化されて浄化空気とされ、天井吹出部9からクリーンルーム1内に下向きに吹き出される。
このようにして、クリーンルーム通風手段15によって、クリーンルーム1内の空気が、プレフィルタ21及びエアフィルタ18にて清浄化されながら循環されて、浄化空気を天井吹出部9からグレーティング床8側に向けて常時通風されている。
【0022】
前記接続流路19の循環用送風機20の吸い込み側には、外気取入流路22が接続されており、その外気取入流路22に外気取入量調節用ダンパ23が設けられている。また、接続流路19の循環用送風機20の吐出側には、排気流路24が接続されており、その排気流路24に排気量調節用ダンパ25が設けられている。
そして、外気取入量調節用ダンパ23及び排気量調節用ダンパ25の夫々の開度を調節することにより、クリーンルーム通風手段15にて循環されるクリーンルーム1内の空気のうちの所定量が新鮮な空気と交換されるように構成されている。
【0023】
前記物品搬出入部5の上部に配設された複数の物品収納部2の後部には、空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する浄化空気通風手段としての第1ファンフィルタユニット(以下、第1FFUと略称する)26が設けられている。この第1FFU26は、複数の物品収納部2の夫々に対応して装備されている。そして、第1FFU26は、図示は省略するが、物品収納部2に収納される物品保持体14に保持された板状物品13同士の間を通過させる形態で物品収納部2を通過して走行空間3内に浄化空気を通風するように設けられている。
また、非物品搬出入箇所7に配置された物品収納部2の後部には、浄化空気用フィルタを通して浄化空気を通風する非物品搬出入側の浄化空気通風手段としての第2ファンフィルタユニット(以下、第2FFUと略称する)27が設けられている。この第2FFU27は、複数の物品収納部2の夫々に対応して装備されている。そして、この第2FFU27も、第1FFU26と同様に、物品収納部2に収納される物品保持体14に保持された板状物品13同士の間を通過させる形態で物品収納部2を通過して走行空間3内に浄化空気を通風するように設けられている。
【0024】
前記ブース10内の床部における走行空間3及び非物品搬出入箇所7に対応する箇所に、走行空間3内の浄化空気を下方に排出する排出用開口部28が設けられている。この排出用開口部28は、グレーティング床8に板体を設けることによりグレーティング床8よりも開口面積が小さくなるように構成されている。
そして、ブース10内の床部における物品搬出入部5に対応する箇所は、グレーティング床8の開口を板状体にて閉塞しており、ブース10内の移動空間3の浄化空気が、排出用開口部28からその下方の吸気室16に排出されるように構成されている。
また、例えば、排出用開口部28の開口面積をより小さくする、又は、床部における非物品搬出入箇所7に対応する箇所の開口を板状体にて閉塞する等により、走行空間3の浄化空気を吸気室16に排出する排出量をより少なくすることもできる。
【0025】
前記ブース10内では、第1FFU26及び第2FFU27により浄化空気が通風されるのでその浄化空気の圧力が高くなる。それに対して、床部に設けられた排出用開口部28により浄化空気が排気されるので、その浄化空気の圧力が低くなる。そして、この浄化空気の圧力差により、ブース10内の浄化空気は、物品収納部2の後部側から前部側に向けて流動して走行空間3を上方側から下方側に向けて流動するダウンフローとなり、物品収納部2や走行空間3等で浮遊する塵埃を床部の下方に排出してブース10内の清浄度を高くしている。
【0026】
一対の物品保管棚6の夫々には、非物品搬出入箇所7、走行空間3の上部箇所、及び、物品収納部2の背部箇所とを外部と遮蔽するように囲む状態で空気循環路40が形成されている。空気循環路40は、非物品搬出入箇所7に配置された物品収納部2の背部箇所において下方側から上方側に浄化空気を導く直線状の第1通路部分40aと、その第1通路部分40aにて導かれた浄化空気を非物品搬出入箇所7に配置された物品収納部2の上部箇所、走行空間3の上部箇所、物品収納部2の上部箇所の順に導く直線状の第2通路部分40b、その第2通路部分40bにて導かれた浄化空気を物品収納部2の背部箇所において上方側から下方側に導く直線状の第3通路部分40cとから構成されている。
前記第1通路部分40a、第2通路部分40b、及び、第3通路部分40cの夫々は、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部2の全長に亘って一連に設けられている。
【0027】
一対の物品保管棚6における一対の空気循環路40が、非物品搬出入箇所7に対応する第1通路部分40aを共用する状態で形成されている。そして、その第1通路部分40aは、非物品搬出入箇所7に配置された物品収納部2の背部箇所を囲む状態で形成されている。
【0028】
一対の空気循環路40の夫々には、走行空間3内の浄化空気を取り入れる走行空間内空気取入用開口部41と、ブース10外で且つクリーンルーム1内の浄化空気を取り入れる清浄空間内空気取入用開口部42とが設けられている。
そして、一対の空気循環路40における走行空間内空気取入用開口部41の夫々は、非物品搬出入箇所に対応する床部に隣接する部分に備えられている。また、一対の物品保管棚6の一方(図1中下方側)に対応する空気循環路40における走行空間内空気取入用開口部41は、非物品搬出入箇所7に配置された物品収納部2の下方に形成された空気取入用空間43に対応して形成されている。つまり、空気取入用空間43のうち、走行空間3に面する部分が走行空間内空気取入用開口部41として構成されている。
一対の空気循環路40における清浄空間内空気取入用開口部42は、物品搬出入部5の上方に相当する箇所に配設された物品収納部2の背部箇所のうち、物品収納部2の後部に配置された第1FFU26に隣接する箇所に設けられている。
【0029】
前記第1FFU26は、空気循環路40における物品収納部2の背部箇所に対応する第3部分40c内の浄化空気を通風するように構成されている。そして、第1FFU26は、走行空間内空気取入用開口部41にて取り入れた走行空間3内の浄化空気と清浄空間内空気取入用開口部42にて取り入れたブース10外のクリーンルーム1内の浄化空気とを空気浄化用フィルタを通して通風するように構成されている。
また、第2FFU27は、空気循環路40における非物品搬出入箇所7に対応する第1通路部分40a内の浄化空気を通風するように構成されている。そして、第2FFU27は、走行空間内空気取入用開口部41にて取り入れた走行空間3内の浄化空気を空気浄化用フィルタを通して通風するように構成されている。
【0030】
前記ブース10内では、第1FFU26及び第2FFU27にて通風される浄化空気が、物品収納部2を通過して走行空間3に至り走行空間3を上方側から下方側に向けて流動する。走行空間3内の浄化空気は、その一部が走行空間内空気取入用開口部41から空気循環路40に取り入れられ、残りの一部が排出用開口部28から下方に排出される。空気循環路40に取り入れられた浄化空気は、清浄空間内空気取入用開口部42から空気循環路40に取り入れられたクリーンルーム1内の浄化空気とともに、空気循環路40を通して物品収納部2の背部箇所に流動される。そして、第1FFU26は、物品収納部2の背部箇所に流動された浄化空気を空気浄化用フィルタを通して物品収納部2に通風する。また、第2FFU27は、空気循環路40にて非物品搬出入箇所7に配設された物品収納部2の背部箇所を流動される浄化空気を空気浄化用フィルタを通して物品収納部2に通風する。
このようにして、走行空間3内の浄化空気の少なくとも一部を空気循環路40にて循環させながら、複数の物品収納部2の夫々に浄化空気を通風させることができる。
【0031】
一対の物品保管棚6における物品搬送装置4の夫々は、床部に設けられたガイドレール32及び上部に設けられた天井側ガイドレール33に案内されて走行する走行台車34と、その走行台車34に立設された昇降マスト35に沿って昇降自在な昇降台36と、その昇降台36に装備されて物品収納部2及び物品搬出入部5に対する物品保持体14の出し入れを行う物品移載装置37とを備えたスタッカークレーンにて構成されている。
そして、物品搬送装置4が、物品搬出入部5に搬入された物品保持体14を複数の物品収納部2のいずれかに搬送したり、物品収納部2に収納されている物品保持体14を物品搬出入部5に搬送するように構成されている。
【0032】
前記物品搬出入部5は、図2に示すように、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部2の全てのものの下方に相当する箇所の夫々に配設されている。そして、各物品搬出入部5では、物品保持体14から板状物品13を1つずつ取り出して図外の物品処理部に供給したり、その物品処理部から1つずつ供給される板状物品13を物品保持体14に保持させるように構成されている。
前記物品搬出入部5の夫々には、物品保持体14を昇降自在に載置支持する左右一対の昇降支持体30と、板状物品13を載置支持自在で且つ載置支持した板状物品13を搬送自在な複数の駆動ローラを備えた搬送体31とが設けられている。搬送体31は、左右一対の昇降支持体30の間に配置されており、物品保持体14に対して上下方向に挿脱自在に設けられている。
そして、物品搬出入部5と物品処理部とを繋ぐ連通路38には、板状物品13を物品処理部と物品搬出入部5との間で搬送する搬送コンベヤ39が設けられており、その連通路38がブース10内に設けられている。また、連通路38には、空気浄化用フィルタを通して浄化空気を搬送コンベヤ39に対して通風する第3ファンフィルタユニット(以下、第3FFUと略称する)32が設けられている。
【0033】
前記物品搬出入部5にて物品保持体14から板状物品13を1つずつ取り出して搬送コンベヤ39に供給するときには、左右一対の昇降支持体30にて物品保持体14を下降させることにより、搬送体31が物品保持体14内に入り込み物品保持体14から1つの板状物品13を搬送体31に載置支持させる。その後、搬送体31にて板状物品13を載置支持して搬送コンベヤ39に搬送する。このような動作を繰り返すことによって、物品保持体14から板状物品13を1つずつ取り出して搬送コンベヤ39に供給する。
前記搬送コンベヤ39にて供給される板状物品13を物品搬出入部5にて1つずつ物品保持体14に保持させるときには、左右一対の昇降支持体30にて物品保持体14を搬送体31に入り込ませた状態で載置支持しておく。その後、搬送体31が1つの板状物品13を物品保持体14にて保持可能な位置まで搬送して、左右一対の昇降支持体30にて物品保持体14を上昇させることにより、1つの板状物品13を物品保持体14に保持させる。このような動作を繰り返すことによって、搬送コンベヤ39から供給される板状物品13を1つずつ物品保持体14に上下方向に並べる状態で順次保持させる。
【0034】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、物品保管棚6を一対設けた例を示したが、この第2実施形態では、図5に示すように、物品保管棚6を1つ設けている。
この物品保管棚6においては、非物品搬出入箇所7に物品収納部2を配設していない。そして、空気循環路40における走行空間内空気取入用開口部41は、非物品搬出入箇所7において床部に隣接する状態で設けられている。
その他の構成については、上記第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0035】
〔別実施形態〕
(1)上記第1実施形態では、非物品搬出入箇所7に物品収納部2を配設した例を示したが、非物品搬出入箇所7に物品収納部2を配設せずに実施することも可能である。この場合でも、上記第1実施形態で示した如く、一対の物品保管棚6における一対の空気循環路40を、非物品搬出入箇所7に対応する第1通路部分40aを共用する状態で形成する。
【0036】
(2)上記第2実施形態では、非物品搬出入箇所7に物品収納部2を配設していない例を示したが、非物品搬出入箇所7に物品収納部2を配設して実施することも可能である。この場合、空気循環路40における非物品搬出入箇所7に対応する第1通路部分40aを、非物品搬出入箇所7に配設する物品収納部2の背部箇所を囲む状態で形成する。
【0037】
(3)上記第1実施形態では、第2FFU27を物品収納部2の後部において物品収納部2の夫々に対応して装備しているが、複数の物品収納部2に対して第2FFU27をどのように装備するのかは適宜変更が可能である。
【0038】
(4)上記第1及び第2実施形態では、物品保管棚6を一対及び1つ設けた例を示したが、物品保管棚6を設ける数については適宜変更が可能である。
【0039】
(5)上記第1及び第2実施形態では、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部2の全てのものの下方に相当する箇所の夫々に物品搬出入部5を配設しているが、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部2の一部のものの下方に相当する箇所に物品搬出入部5を配設して実施することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態におけるクリーンルームの縦断面図
【図2】図1におけるA−A断面図
【図3】図1におけるB−B断面図
【図4】物品保持体を示す斜視図
【図5】第2実施形態におけるクリーンルームの縦断面図
【符号の説明】
【0041】
1 清浄空間
2 物品収納部
3 走行空間
4 物品搬送装置
5 物品搬出入部
6 物品保管棚
7 非物品搬出入箇所
26 浄化空気通風手段
27 非物品搬出入側の浄化空気通風手段
28 排出用開口部
40 空気循環路
41 走行空間内空気取入用開口部
42 清浄空間内空気取入用開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化空気が天井部から床部側に通風される清浄空間内に、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部、それら物品収納部の前方側の走行空間内を移動する物品搬送装置及び前記複数の物品収納部のうちの少なくとも一部のものの下方に相当する箇所に配置される物品搬出入部を備える物品保管棚が設けられ、
前記複数の物品収納部の後部に空気浄化用フィルタを通して浄化空気を通風する浄化空気通風手段が、前記物品収納部を通過して前記走行空間内に浄化空気を通風するように設けられ、
前記床部における前記走行空間に対応する箇所に、前記走行空間内の浄化空気を下方に排出する排出用開口部が設けられた浄化空気通風式の物品保管設備であって、
前記走行空間における前記物品搬出入部の存在側とは反対側の非物品搬出入箇所、前記走行空間の上部箇所、及び、前記物品収納部の背部箇所を外部と遮蔽するように囲む状態で形成される空気循環路が、前記走行空間内の浄化空気を取り入れる走行空間内空気取入用開口部を、前記非物品搬出入箇所に対応する部分に備える状態で、且つ、前記清浄空間内の浄化空気を取り入れる清浄空間内空気取入用開口部を、その長手方向における少なくとも一部に備える状態で設けられ、
前記浄化空気通風手段が、前記空気循環路における前記物品収納部の背部箇所に対応する部分内の浄化空気を通風するように構成されている浄化空気通風式の物品保管設備。
【請求項2】
前記非物品搬出入箇所に、棚横幅方向に並ぶ複数の物品収納部が配設され、
前記空気循環路のうちの前記非物品搬出入箇所に対応する部分が、前記非物品搬出入箇所に配置された前記物品収納部の背部箇所を囲む状態で形成され、
前記走行空間内空気取入用開口部が、前記非物品搬出入箇所に配置された前記物品収納部の下方に形成されて空気取入用空間に対応して形成され、
前記非物品搬出入箇所に配置された前記物品収納部の後部、浄化空気用フィルタを通して浄化空気を通風する非物品搬出入側の浄化空気通風手段が、前記空気循環路における前記非物品搬出入箇所の背部箇所に対応する部分の浄化空気を前記物品収納部を通過して前記走行空間内に通風するように設けられている請求項1に記載の浄化空気通風式の物品保管設備。
【請求項3】
前記物品保管棚の一対が、それらの前記非物品搬出入箇所を隣接させた状態で並んで設けられ、
一対の前記物品保管棚における一対の前記空気循環路が、前記非物品搬出入箇所に対応する部分を共用する状態で形成されている請求項1又は2に記載の浄化空気通風式の物品保管設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−168983(P2008−168983A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2545(P2007−2545)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】