説明

浄水器

【課題】原水の中に不純物が多い場合でも、逆洗を極めて効果的に行うことができる浄水器を提供する。
【解決手段】この浄水器1は、流入口11からの原水が流入する流入路P11、流出口12、13に向けて水を流す第1及び第2の流出路P12、P13を有する取付本体と、第1流路P21、第2流路P22、第3流路P23を有し、第1流路P21と第2流路P22の間に第1ろ材24、第2流路P22と第3流路P23の間に第2ろ材25が配設されて、取付本体に回動可能な状態で装着される浄水本体20と、を備えてなり、取付本体10と浄水本体20が浄水モードの回動位置にあるときには、第1流路P21が流入路P11に、第2流路P22が第1の流出路P12に連通し、取付本体10と浄水本体20が逆洗モードの回動位置にあるときには、第3流路P23が流入路P11に、第1流路P21が第2の流出路P13に連通することにより第1ろ材24を逆洗する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水(原水)をろ過によって浄化し、更に、水道水(原水)を逆方向から流すことによってろ材を洗浄(逆洗)することができる浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用の浄水器は、水道の水栓(蛇口)に直結し、原水をろ材によって浄化するものが広く用いられている。ろ材は、原水に含まれる無機粒子、バクテリアなどの不純物を捕捉することによって浄水を生成する。
【0003】
浄水器は、従来より、さまざまなものが提案されており、本願出願人も、特許文献1に記載のものを基本構成として、今日まで一連の特許出願を行っている。図12に、特許文献1に記載されたものと同様の基本構成の浄水器101を示す。この浄水器101は、水道の水栓Fに取り付けられる取付本体110と、取付本体110に回動可能に装着され、水道からの原水をろ過によって浄化して浄水にすることができる浄水本体120と、を備えてなる。取付本体110は、上方側に水栓Fが連結されて原水が流入する流入口111と、下方側に浄水を流出させる浄水流出口112と、が設けられ、流入口111に連通する流入路P111と、浄水流出口112に連通する浄水流出路P112と、が設けられている。浄水本体120は、ろ材125が詰め込まれた仕切り壁部材127が配設される浄水部120Aと、取付本体110に設けられた取付用孔部115に挿入されて回動可能に装着される弁部120Bと、から成り、第1流路P121と第2流路P122が設けられている。
【0004】
この浄水器101は、浄水流出口112から浄水を流出させるとき(以下、浄水モードと称する。)、取付本体110の流入路P111、浄水流出路P112がそれぞれ、浄水本体120の第1流路P121、第2流路P122に連通する。また、ろ材125を洗浄するときは、取付本体110に対して浄水本体120を180度回動させ、取付本体110の流入路P111、浄水流出路P112がそれぞれ、浄水本体120の第2流路P122、第1流路P121に連通し、浄水流出口112から排水を流出させる。このように、取付本体110に対して浄水本体120を回動させることによって水が流れる経路を切り換え、浄水モード時と逆方向に水を通過させてろ材125を洗浄することができ、その結果、浄水器101の浄化能力を維持することができる。なお、浄水モード時と逆方向に水を通過させてろ材を洗浄することを、以下、逆洗と称し、逆洗するときを逆洗モードと称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平7−36910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、水道からの原水の水質には地域間格差があり、原水によっては、ろ材を逆洗したときに、本来不純物が捕捉されていない側に不純物が捕捉されたり付着したりしてしまう場合も有り得る。特に、世界的な観点では、原水の水質の地域間格差は非常に大きい。
【0007】
本発明は係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、原水の中に不純物が多い場合でも、逆洗を極めて効果的に行うことができる浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の浄水器は、流入口と流出口を有し、流入口からの原水が流入する流入路、流出口に向けて水を流す第1及び第2の流出路を有して、水道の水栓に取付けられる取付本体と、第1流路、第2流路、第3流路を有し、第1流路と第2流路の間に第1ろ材、第2流路と第3流路の間に第2ろ材が配設されて、取付本体に回動可能な状態で装着される浄水本体と、を備えてなり、取付本体と浄水本体が浄水モードの回動位置にあるときには、第1流路が流入路に、第2流路が第1の流出路に、それぞれ連通することにより、第1流路、第1ろ材、第2流路の方向に水が流れて浄水を流出口から流出させ、取付本体と浄水本体が逆洗モードの回動位置にあるときには、第3流路が流入路に、第1流路が第2の流出路にそれぞれ連通することにより、第3流路、第2ろ材、第2流路、第1ろ材、第1流路の方向に水が流れて逆洗した水を流出口から流出させることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の浄水器は、請求項1に記載の浄水器において、前記取付本体は取付用孔部が凹設してあり、前記浄水本体は、側面に第1流路、第3流路、第2流路のそれぞれの開口部がこの順で設けられた弁部が凸設してあり、この弁部が取付用孔部に挿入されて回動可能に装着されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の浄水器は、請求項1又は2に記載の浄水器において、前記取付本体は第3の流出路を有し、前記浄水本体は第4流路を有し、弁部の側面に第1流路、第3流路、第2流路、第4流路のそれぞれの開口部がこの順で設けられ、取付本体と浄水本体が、浄水モードの回動位置に対する逆洗モードの回動位置の方向と反対方向の原水モードの回動位置にあるときには、流入路は第4流路を介して第3の流出路に連通することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の浄水器は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄水器において、前記浄水本体には、第3流路の水を外部に排出可能なドレイン抜き弁が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、浄水本体を取付本体に対して回動させることによって浄水器の中における水の経路が変えられ、浄水を外部に流出する浄水モードのときは、原水を第1ろ材に通して浄水にし、第1ろ材を逆洗する逆洗モードのときは、原水を第2ろ材に通して浄水にし、その浄水を浄水モードのときと逆の方向で第1ろ材に通すことによって逆洗するため、原水の中に不純物が多い場合でも、第1ろ材の逆洗を極めて効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る浄水器1を示す斜視図であって、(a)は浄水モード、(b)は逆洗モード、(c)は原水モード、の各状態である。
【図2】同上の浄水器1の浄水モードの状態を示す正面視断面図である。
【図3】同上の浄水器1の浄水モードの状態を示す左側面視断面図であって、図2のX−Xの位置で切断したものである。
【図4】同上の浄水器1の流出口が設けられた端面の底面図である。
【図5】同上の浄水器1の浄水モードにおける弁部20Bの左側面視切断部端面図であって、図2のX’−X’の位置で切断したものである。
【図6】同上の浄水器1の逆洗モードの状態を示す正面視断面図である。
【図7】同上の浄水器1の逆洗モードの状態を示す左側面視断面図であって、図6のX−Xの位置で切断したものである。
【図8】同上の浄水器1の逆洗モードの状態を示す左側面視断面図であって、図6のY−Yの位置で切断したものである。
【図9】同上の浄水器1の原水モードの状態を示す正面視断面図である。
【図10】同上の浄水器1の原水モードの状態を示す左側面視断面図であって、図9のX−Xの位置で切断したものである。
【図11】同上の浄水器1のドレイン抜き弁28を示す拡大正面視断面図である。
【図12】従来の浄水器101を示す正面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る浄水器1は、図1に示すように、水道の水栓(蛇口)Fに取り付けられる取付本体10と、水道からの原水をろ過によって浄化して浄水にすることができる浄水本体20と、を備えてなる。浄水器1は、浄水本体20が取付本体10に回動可能な状態で装着され、浄水本体20の取付本体10に対する回動位置に応じて、浄水を流出させる浄水モードと、浄水モード時に用いる後述の第1ろ材25を逆洗する逆洗モードと、原水をそのまま流出させる原水モードと、に切り換えることができる。図1(a)、(b)、(c)はそれぞれ、浄水モード、逆洗モード、原水モードの状態を示している。
【0015】
取付本体10は、図2及び図3に示すように、水道の水栓Fに取付けられる。この実施形態では、取付本体10は、取付カバー10aaとゴムパッキン材10Aにより水栓Fの端部を挟み込む(挟着する)ことにより取付けられている。取付カバー10aaは取付本体10の外郭となる取付本体基部材10a(例えば、プラスチック材)の分離可能な上部分であり、ゴムパッキン材10Aは漏水を防ぐための弾力性のあるリング状部材であって、取付本体基部材10aの上側中央部に嵌め込まれ、下記の流入口11が中央に形成されている。
【0016】
取付本体10は、上方から原水が流入する流入口11と、下方側に3種類の水を流出させる流出口12,13,14が設けられている。すなわち、流出口12,13,14は、浄水を流出させる浄水流出口12、後述の第1ろ材25を逆洗したときの排水を流出させる排水流出口13、原水をそのまま流出させる原水流出口14、である(図4参照)。この実施形態では、端面の中央に単一孔の浄水流出口12、その周囲に原水をシャワー状態で流出するよう多数の小孔からなる原水流出口14、その外方に単一孔の排水流出口13、をそれぞれ設けている。
【0017】
取付本体10の内部には、流入口11からの原水が流入する流入路P11と、流出口12,13,14に向けて水を流す3個の流出路P12,P13,P14が互いに隔絶されて設けられている。すなわち、3個の流出路P12,P13,P14は、浄水流出口12に通ずる浄水流出路(第1の流出路)P12、排水流出口13に通ずる排水流出路(第2の流出路)P13、原水流出口14に通ずる原水流出路(第3の流出路)P14である。なお、図2及び図3においては、原水流出路P14の円環状に連続している下部が分離して図示されている。
【0018】
取付本体10には、浄水本体20の後述する弁部20Bが挿入されて回動可能に装着されるように取付用孔部15が形成され(凹設し)てある。前述した流入路P11の流入口11、浄水流出路P12の浄水流出口12、排水流出路P13の排水流出口13とそれぞれ反対側の端である流入路開口11A、浄水流出路開口12A、排水流出路開口13Aは、取付用孔部15を形成する内周面の同円周上に形成されている。原水流出路P14の原水流出口14と反対側の端である原水流出路開口14Aは、取付用孔部15を形成する内周面において浄水流出路開口12Aよりも取付用孔部15の底面側に形成されている。流入路開口11A、排水流出路開口13A、浄水流出路開口12Aは、右回り(左側面視において)にこの順となっている。漏水を防ぐために、流入路開口11A、浄水流出路開口12A、排水流出路開口13A、原水流出路開口14Aは、取付本体基部材10aの所定形状の窪み部に嵌入されたゴムパッキン材10Bにより取り囲まれている。ゴムパッキン材10Bは、一体のものであってもよいし、適宜分割されたものであってもよい。
【0019】
浄水本体20は、図2及び図3に示すように、互いに隔絶された第1流路P21、第2流路P22、第3流路P23を有し、第1流路P21と第2流路P22の間に第1ろ材25、第2流路P22と第3流路P23の間に第2ろ材26が配設されている。浄水本体20の、第1ろ材25と第2ろ材26が配設される部分が浄水部20Aである。また、浄水本体20の、取付本体10の取付用孔部15に挿入されて回動可能な状態で装着される部分が弁部20Bである。第1ろ材25と第2ろ材26は、特に材料は限定されないが、中空糸膜、平膜、セラミック膜、活性炭成形フィルター、積層フィルター、糸巻フィルター、金属フィルターなどのものが可能である。
【0020】
より具体的には、浄水本体20は、浄水部20Aが略円筒状であり、弁部20Bが浄水部20Aよりも小さな略円柱状を成して、浄水部20Aの下底部近傍の側面から浄水部20Aの軸線に対し直交方向に設けられた(凸設した)外形となっている。浄水部20Aでは、浄水本体20の外郭となる浄水本体基部材20a(例えば、プラスチック材)は、第1ろ材25と第2ろ材26を含む浄水カートリッジが脱着できるように、内部が中空になっており、弁部20Bの根元よりも概ね上側が分離可能な蓋部分20aaとなっている。浄水本体基部材20aにおける蓋部分20aaの接合部には、漏水を防ぐために、ゴムパッキン材(Oリング)20Cが嵌め込まれている。この浄水カートリッジは、その外郭となる仕切り壁部材27(例えば、プラスチック材)の内部に第1ろ材25と第2ろ材26を詰め込んだものである。
【0021】
仕切り壁部材27は、具体的には、略円筒状の外形である。そして、第1ろ材25と第2ろ材26は、仕切り壁部材27の上底部側と下底部側に軸線方向に並べて詰め込まれており、その間に第2流路P22が形成されている。仕切り壁部材27と浄水本体基部材20a(20aaを含む。)の内壁との間には、第1流路P21が弁部20Bの根元よりも概ね上側に形成されており、第2流路P22との間の漏水を防ぐために、ゴムパッキン材(Oリング)20Dが第1流路P21の下方に嵌め込まれている。また、仕切り壁部材27と浄水本体基部材20aの内壁との間には、第3流路P23が弁部20Bの根元よりも概ね下側に形成されており、第2流路P22との間の漏水を防ぐために、ゴムパッキン材(Oリング)20Eが第3流路P23の上方に嵌め込まれている。仕切り壁部材27には、第1流路P21に連通する連通孔27aが上底部に、第3流路P23に連通する連通孔27bが下底部に、仕切り壁部材27の外と内の第2流路P22を連通する連通孔27cが側部に形成されている。なお、浄水本体基部材20aの下底部に設けられているのは、ドレイン抜き弁28である。これについては後述する。
【0022】
弁部20Bは、浄水本体基部材20aの内部に、第1流路P21、第2流路P22、第3流路P23が浄水部20Aから延長されて形成され、それらの開口部である第1流路開口21A、第2流路開口22A、第3流路開口23A、がそれぞれ側面の同円周上に設けられている。また、弁部20Bには、原水モード時に取付本体10の流入路P11と原水流出路P14を連通させるバイパスとなる第4流路P24が設けられており、その開口部である第1の第4流路開口24Aが側面の第1流路開口21A、第2流路開口22A、第3流路開口23A、と同円周上に、第2の第4流路開口24Bが側面において第3流路開口23Aよりも弁部20Bの先端面側に形成されている(図9参照)。第1流路開口P21A、第3流路開口23A、第2流路開口22A、第1の第4流路開口24Aは、左回り(左側面視において)にこの順となっている。
【0023】
この実施形態では、第1流路P21は、弁部20Bの根元の上部から軸線方向に伸び、上側に屈曲し、その先で第1流路開口21Aに通じている。第2流路P22は、弁部20Bの根元の中心部から軸線方向に伸び、第1流路P21と同じ軸線方向位置でそれと反対方向である下側に屈曲し、その先で第2流路開口22Aに通じている。第3流路P23は、弁部20Bの根元の下部から軸線方向に伸びるとともに周方向に拡大され、その背部側に拡大された部分が更に軸線方向に伸び、第1流路P21及び第2流路P22と同じ軸線方向位置で、それらと直交方向に屈曲し、その先で第3流路開口23Aに通じている。すなわち、第3流路P23は、図2のX’−X’の位置では図5に示すように、下部側から背部側にかけて形成されており、第3流路開口23A近傍では図3に示すように、背部側だけに形成されていることになる。第4流路P24は、第1流路P21、第2流路P22、第3流路P23よりも弁部20Bの先端面側に形成されている。なお、弁部20Bの先端面には、取付用孔部15の底面の中央に設けられた窪みに緩く嵌合する位置合わせのための突出部が設けられている。
【0024】
浄水器1は、浄水本体20の取付本体10に対する回動位置に応じて、浄水本体20の第1流路P21、第2流路P22、第3流路P23と流入路P11、浄水流出路P12、排水流出路P13、原水流出路P14の連通関係が変わる。これまで説明に用いてきた図2及び図3は、取付本体10と浄水本体20が浄水モードの回動位置にあるものである。この場合、第1流路開口21Aが流入路開口11Aに、第2流路開口22Aが浄水流出路開口12Aに、それぞれ相対することにより、第1流路P21が流入路P11に、第2流路P22が浄水流出路P12に、それぞれ連通する。この浄水モードでは、原水は、流入口11から、流入路P11、第1流路P21、仕切り壁部材27の連通孔27aを通過して、第1ろ材25でろ過されて浄水となり、浄水は仕切り壁部材27の連通孔27c、第2流路P22、浄水流出路P12を通過して、浄水流出口12から流出する。このとき、原水に含まれる不純物は、第1ろ材25の第1流路P21側に捕捉されて蓄積される。なお、第3流路P23は他に連通せず、第4流路P24と排水流出路P13は連通しているがその他には連通せず、原水流出路P14は他に連通せず、従って、それらは水が通過しない(流れない)状態になっている。また、エアーが排水流出路P13又は原水流出路P14から侵入しても、途中で遮断されるので、浄水モードの動作に影響を与えない。
【0025】
図6及び図7は、取付本体10と浄水本体20が逆洗モードの回動位置にある場合のものである。この場合、第3流路開口23Aが流入路開口11Aに、第1流路開口21Aが排水流出路開口13Aに、それぞれ相対することにより、第3流路P23が流入路P11に、第1流路P21が排水流出路P13に、それぞれ連通する。この逆洗モードでは、原水は、流入口11から、流入路P11、第3流路P23を通過する。そして、図8の破線に示すように、浄水部20Aの第3流路P23から仕切り壁部材27の連通孔27bを通過して、第2ろ材26でろ過され浄水となり、その浄水は第1ろ材25を浄水モード時と逆方向に通過して第1ろ材25に蓄積された不純物を含む水、すなわち排水となり、排水は仕切り壁部材27の連通孔27a、第1流路P21を通過する。そして、弁部20Bの第1流路P21から排水流出路P13を通過して、排水流出口13から流出する。従って、第1ろ材25と第2ろ材26の間に設けられている第2流路P22は、浄水が横断して流れるので、原水に含まれる不純物が付着したり第1ろ材25の第2流路P22側に捕捉されたりすることはない。従って、原水の中に不純物が多い場合でも、第1ろ材25の逆洗を極めて効果的に行うことができる。しかも、構造が複雑なものではない。なお、第2流路P22は他に連通せず、第4流路P24と浄水流出路P12は連通しているがその他には連通せず、原水流出路P14は他に連通せず、従って、それらは水が通過しない(流れない)状態になっている。
【0026】
図9及び図10は、取付本体10と浄水本体20が原水モードの回動位置にある場合のものである。この原水モードでは、第1の第4流路開口24Aが流入路開口11Aに、第2の第4流路開口24Bが原水流出路開口14Aに、それぞれ相対することにより、流入路P11は第4流路P24を介して原水流出路P14に直接連通する。そして、原水モードの回動位置は、浄水モードの回動位置に対する逆洗モードの回動位置の方向と反対方向にある。この実施形態では、浄水モードの回動位置に対して右回り90度(左側面視において)が逆洗モードの回動位置であり、浄水モードの回動位置に対して左回り90度(左側面視において)が原水モードの回動位置である。なお、具体的な角度間隔は、90度に限らず、180度よりも小さい範囲で仕様に合わせて決めることができる。原水モード時には、原水は、流入口11から第4流路P24、原水流出路P14を通過して、原水流出口14から流出する。なお、第1流路P21は他に連通せず、第2流路P22と排水流出路P13は連通しているがその他には連通せず、第3流路P23と浄水流出路P12は連通しているがその他には連通せず、従って、それらは水が通過しない(流れない)状態になっている。
【0027】
このようにして、浄水本体20を取付本体10に対して回動させることによって、浄水モード、逆洗モード、原水モードを切り換える。ここで、第3流路P23は、どのモードにおいてもその中に溜まった水が外部に流出するようなものではないので、第3流路P23の水を外部に排出可能なドレイン抜き弁(水抜き弁)28(図2参照)を設け、定期的(例えば数カ月ごと)に第3流路P23に溜まっている水を抜くのが好ましい。ドレイン抜き弁28は、例えば、図11に示すように、軸部28aが浄水本体基部材20aに形成された貫通孔の中に隙間を有して挿通しており、軸部28aの両端には所定の形状(有底略円筒形状と略半球形状)で軸部28aよりも大径の端部28b、28cが設けられ、外部側の端部28bと浄水本体基部材20aとの間には軸部28aを巻いたスプリング28dが、第3流路P23側の端部28cと浄水本体基部材20aとの間にはゴムパッキン材28eが設けられている。外部側の端部28bを押すことにより、軸部28aの周囲の隙間に沿って第3流路P23からの水が排出される。
【0028】
以上、本発明の実施形態に係る浄水器1について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、流入路開口11A、排水流出路開口13A、浄水流出路開口12Aの配置をこの順に左回り(左側面視において)にし、第1流路開口P21A、第3流路開口23A、第2流路開口22A、第1の第4流路開口24Aの配置をこの順に右回り(左側面視において)にすることで、逆洗モード、原水モードの回動方向を入れかえることも可能である。また、原水モードにおいてシャワー状態で流出しないように原水流出口14を単一孔としてもよい。また、浄水器の仕様によっては、原水モードを設けず、原水流出口14、原水流出路(第3の流出路)P14、第4流路P24を省略することも可能である。また、浄水流出路(第1の流出路)P12に不純物が付着する可能性が大きくなる点においては好ましくはないが、場合によっては、排水流出路(第2の流出路)P13を浄水流出路P12に接続して、排水流出口13を省略するようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 浄水器
10 取付本体
11 流入口
12 浄水流出口
13 排水流出口
14 原水流出口
20 浄水本体
24 第1ろ材
25 第2ろ材
P11 流入路
P12 浄水流出路(第1の流出路)
P13 排水流出路(第2の流出路)
P14 原水流出路(第3の流出路)
P21 第1流路
P22 第2流路
P23 第3流路
P24 第4流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と流出口を有し、流入口からの原水が流入する流入路、流出口に向けて水を流す第1及び第2の流出路を有して、水道の水栓に取付けられる取付本体と、
第1流路、第2流路、第3流路を有し、第1流路と第2流路の間に第1ろ材、第2流路と第3流路の間に第2ろ材が配設されて、取付本体に回動可能な状態で装着される浄水本体と、を備えてなり、
取付本体と浄水本体が浄水モードの回動位置にあるときには、第1流路が流入路に、第2流路が第1の流出路に、それぞれ連通することにより、第1流路、第1ろ材、第2流路の方向に水が流れて浄水を流出口から流出させ、取付本体と浄水本体が逆洗モードの回動位置にあるときには、第3流路が流入路に、第1流路が第2の流出路にそれぞれ連通することにより、第3流路、第2ろ材、第2流路、第1ろ材、第1流路の方向に水が流れて逆洗した水を流出口から流出させることを特徴とする浄水器。
【請求項2】
請求項1に記載の浄水器において、
前記取付本体は取付用孔部が凹設してあり、
前記浄水本体は、側面に第1流路、第3流路、第2流路のそれぞれの開口部がこの順で設けられた弁部が凸設してあり、この弁部が取付用孔部に挿入されて回動可能に装着されていることを特徴とする浄水器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の浄水器において、
前記取付本体は第3の流出路を有し、
前記浄水本体は第4流路を有し、弁部の側面に第1流路、第3流路、第2流路、第4流路のそれぞれの開口部がこの順で設けられ、
取付本体と浄水本体が、浄水モードの回動位置に対する逆洗モードの回動位置の方向と反対方向の原水モードの回動位置にあるときには、流入路は第4流路を介して第3の流出路に連通することを特徴とする浄水器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の浄水器において、
前記浄水本体には、第3流路の水を外部に排出可能なドレイン抜き弁が設けられていることを特徴とする浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−115739(P2011−115739A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276887(P2009−276887)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(396015208)ベーシック株式会社 (4)
【Fターム(参考)】