説明

浮遊ミスト捕捉機と、この浮遊ミスト捕捉機を利用した工場、建屋のオイルミスト捕捉方法

【課題】フィルターレスを意図する先行文献は、回転軸に複数の孔を備えた回転板を複数枚設け、この回転板の間に衝突板を配備して回転体を構成である。ケーシングの内面に、捕集マットを設ける。この捕集マットは、油分で湿潤され、交換が必要となる、またこの交換に伴って、廃棄処分の作業があり、手間と段取りが要求される。
【構成】他方側に吸込口を備えたケーシングに、空中の浮遊ミストの吸込み用の羽根と、羽根の吸込側と吹出側に、浮遊ミストを処理する一方側及び/又は他方側の処理手段を設け、ケーシングの一方側に設けた貫通孔を備えた第1の支持板と、第1の支持板に設けた、羽根を駆動する駆動用のモータを設け、ケーシングの一方側の開口に、収れん吹出口を備えた筒体を設け、この筒体に、整流体を設ける構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NC工作機械、加工工作機械等の機械に設置されたオイルミスト除去装置等より排出される浮遊ミスト中に含まれる微粒子オイル(微細油分)を捕捉する浮遊ミスト捕捉機と、この浮遊ミスト捕捉機を利用した工場、建屋のオイルミスト捕捉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、NC工作機械、加工工作機械等の如く、水溶性、油性等の各切削液を使用する装置に設置されたオイルミスト除去装置を介して、加工時に発生する油分(ミスト状の油分)を含んだ排気は、油水分離される。しかし、このオイルミスト除去装置において、油水分離されるが、この除去装置では捕捉(回収)できない微粒子のミスト(浮遊ミスト)があり、この微粒子のミストが、空気中に拡散される。この結果、工場内の空気及び/又は床面、加工機械等の設備を汚染し、また環境悪化と、健康維持に問題が発生する。このような状況を回避するために、空気中(気流中)の浮遊ミストを、分離かつ捕捉する必要がある。そのために、種々の装置が提案されている。その一例を、先行文献として、以下に説明する。
【0003】
文献(1)は、特開2004−16842の「ミスト回収装置」である。その目的は、空気中のミストの回収効率を向上し、かつ清掃や交換等のメンテナンスの容易化すること等を意図する。また、その構造は、回転軸に、複数枚設けた回転板(回転板に多数の孔を備えた「フィルター方式の回転板」)と、この回転板の間に設けた衝突板とで、回転体を構成し、この回転体を、筒状のケース(ケーシング)に軸支し、このケーシングの空気流入口より、浮遊ミストを吸込んだ後に、この回転板及び/又はフィルターによる遠心・捕集分離し、また、浮遊ミストの流れをカットしつつ、衝突板による衝突を介して、油水分離し、清澄化(清浄化)された空気を、その出口より、空気中に放出し、また分離した油分を、下側のトレイ(ミスト排出室)に回収することを意図する。
【0004】
また文献(2)は、特開2005−161298の「オイルミスト集塵器」である。その目的は、オイルミストをインペラーに吸入し、このインペラーに設けた衝突板に衝突させてオイルを一次分離し、この一次分離した混合空気に、遠心力を加えてストレーナにオイルを凝縮させる構成であり、多段階で、効率的にオイルを分離することにある。その構造は、吸入された空気を放射状に吐き出すためにモータによって駆動されるインペラーと、このインペラーの外周縁部に隣接して設けられ、かつこのインペラーから吐き出される空気を衝突させることによって空気中に含まれたオイルを一次分離する衝突板を設けた構成である。
【0005】
また文献(3)は、特開2001−293394の「オイルミスト捕捉機」である。その目的は、小型で出力の小さな電気集塵機によって、オイルミストの捕捉効率の向上を達成でき、かつ低コスト、低価格の高性能オイルミスト捕捉機を提供し、このオイルミストの捕捉率を向上し、かつオイルミストの再飛散防止を図ることを意図する。その構造は、吸気口と排気口とを備え、かつこの吸気口と排気口との間に空気流通経路を形成可能とした本体ケースと、この空気流通経路に配設し、かつ吸気口からオイルミストを含む空気を吸い込む遠心ファンと、前記空気流通経路に配設し、かつ遠心ファンにより吹き飛ばされるオイルミストを含む空気の衝突を介して、微細化してオイルミストと空気を分離するオイルミスト分離部材と、前記排気口の下流に設け、かつ未捕捉のオイルミストを捕捉する電気集塵部と、この電気集塵部の上流に設けられ、かつ空気の流れ方向に沿って貫通する多数の孔を備えた整流部材で構成したオイルミスト捕捉機である。
【0006】
【特許文献1】特開2004−16842
【特許文献2】特開2005−161298
【特許文献3】特開2001−293394
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
文献(1)は、ケーシングの内面に、捕集マットを設ける構造であり、この捕集マットが油分で湿潤されると、交換が必要となり、またこの交換に伴って、廃棄処分の作業があり、この交換及び/又は作業による手間と段取りが要求され、問題となると考えられる。また、この文献(1)では、多数枚の回転板及び/又は衝突板が組付けられる構造であり、構造が複雑となり、かつ組付け・分解は面倒となること、又は構造が複雑なることから、そのメンテナンスが面倒となること等の改良の余地が考えられる。
【0008】
また文献(2)は、インペラーの外周に中心フィルターを介して、スクリーンストレーナを配備し、このスクリーンストレーナの外周に外部フィルターを配備する構造で、二重(中心・外部フィルターを配備する二重)構造のフィルターを配備する。従って、前述の文献(1)と同様に、交換と、後処理の問題がある。そして、この文献(2)は、構造面から検討すると、小型の捕集器(捕捉器)には適するが、工場用の中型、大型の捕捉機(回収装置)、又は浮遊ミストの処理と、その送風距離の確保を図るには、不向きであると考えられる。また不織布等の多孔性フィルターの目詰まりが考えられるので、この点も改良点である。
【0009】
さらに文献(3)は、電気集塵機を介して、最終的にオイルミストの捕捉効率を確保する構造であり、前述の文献(1)、(2)と同様に、構造が複雑となり、かつ構造が複雑なることから、そのメンテナンスが面倒となること等の改良の余地が考えられる。尚、この文献(3)は、電気集塵部と遠心ファンとの間に、整流部材を介して、小型で出力の小さな電気集塵機を採用可能としたこと、又はオイルミストの再飛散防止を図ること等を意図するものであり、整流効果と、送風距離の確保とを図ることは、考えていない構造である。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、工場、建屋の浮遊ミスト中の微粒子オイルを効率的に捕捉で、かつメンテナンスの簡易な効果が期待できる浮遊ミスト捕捉機と、この浮遊ミスト捕捉機を、主体として利用した、前述の効果が期待できる工場、建屋のオイルミスト捕捉方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、本装置(浮遊オイルミスト捕捉機)で生成された清澄空気(処理済み空気)を、筒体による収れんを介して、遠方に送風すること、及び/又は、本装置の設置基数の減少化を図り、かつランニングコストの低廉化を図ること等を意図する。請求項1の発明は、本装置を活用し、空気中の浮遊ミストを確実に吸込み、処理後に、遠方に送風し、集中及び/又は大型のオイルミスト装置、又は換気手段に送風し、最終的なミスト処理を図ることを意図する。
【0012】
請求項1は、他方側に吸込口を備えたケーシングに、空中の浮遊ミストの吸込み用の羽根と、この羽根の吸込側と吹出側に、浮遊ミストを処理する一方側及び/又は他方側の処理手段を設け、前記ケーシングの一方側に設けた貫通孔を備えた第1の支持板と、この第1の支持板に設けた、前記羽根を駆動する駆動用のモータを設けてなる浮遊ミスト捕捉機であって、
このケーシングの一方側の開口に、収れん吹出口を備えた筒体を設け、この筒体に、整流体を設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0013】
請求項2の発明は、従来のフィルターを採用することの弊害の一つである目詰まりの問題を解消すること(フィルターレスを図ること)、浮遊ミストは、第1〜第3のパンチング筒部と第1、第2の遮蔽板による複雑な迂回通路(滞留時間の確保)と、多段の広域的なパンチング手段(パンチング回転板、第1〜第3のパンチング筒部)を介して、フィルターレスを図ること等を意図する。そして、この請求項1の発明は、浮遊ミストの衝突及び/又は拡散、遮蔽板並びにパンチングの多孔による浮遊ミストの微粒子化を介して、空気と油分を確実に分離させ、かつ油分を回収することを意図する。
【0014】
請求項2は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記ケーシング内に設けた一方側の処理手段は、ケーシングの一方側に設けた貫通孔を備えた第1の支持板に設けた第1のパンチング筒部と、この第1のパンチング筒部と前記ケーシングの内面との間に通路部と、この第1のパンチング筒部に、内装した羽根と、前記第1のパンチング筒部の他方側の処理手段に第1の遮蔽板を介して設けた第2のパンチング筒部と、この第2のパンチング筒部と前記ケーシングの内面との間に通路部を形成し、前記第2のパンチング筒部の開放側に設けたパンチング回転板で構成し、
また他方側の処理手段は、前記パンチング回転板の他方側の処理手段に、前記ケーシングに設けた開口部を備えた支持環体と、この支持環体に設けた第2の遮蔽板を備えた第3のパンチング筒部と、この第3のパンチング筒部と前記ケーシングの内面との間に形成した通路部で構成した浮遊ミスト捕捉機である。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、そして、第一及び他方側の処理手段の構造、メンテナンス等の簡略化を図ることを意図する。
【0016】
請求項3は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記ケーシング内に設けた他方側の処理手段は、フィルター、又はパンチング板、或いは迂回式のデミスターで構成し、また一方側の処理手段は、前記羽根を囲繞、又は近傍に設けた第1のパンチング筒部で構成した浮遊ミスト捕捉機である。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、そして、オイルタンクに貯留されたオイルを、ケーシング内を流れる空気に、誘引されることを回避し、かつこのオイルタンク内のオイルを、再度、ケーシング内に誘引されないこと、またケーシング内でミストを効率的に分離(捕捉)することを意図する。
【0018】
請求項4は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記ケーシングの底部に、複数の孔を開設し、この孔を、このケーシングの下側に設けたオイルタンクに開口し、このオイルタンクには、オーバフロー堰を設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0019】
請求項5の発明は、請求項2の目的を達成すること、そして、ケーシングに吸込んだ浮遊ミストの遮断と、迂回通路部への誘導を介して、浮遊ミスト内のミストと、空気とを分離、かつミストの凝集、並びに捕捉を図ることを意図する。
【0020】
請求項5は、請求項2に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記開口部と、ベルマウスとの間に、第3の遮蔽板を、間隔をおいて設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0021】
請求項6の発明は、請求項1の目的を達成すること、そして、ケーシングの清澄空気を、確実かつスムーズに筒体に送り、また清澄空気を、遠方に送風すること、及び/又は、本装置の設置基数の減少化を図り、かつランニングコストの低廉化を図ること等を意図する。
【0022】
請求項6は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記筒体をケーシングの一方側の壁面に取付ける際に、ベルマウス形状の連結体を介して、設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0023】
請求項7の発明は、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するに最適な、パンチング筒部を提供すること等を意図する。
【0024】
請求項7の発明は、請求項2に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
第1〜第3のパンチング筒部は、二重構造の環状のパンチング板体で形成する構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0025】
請求項8の発明は、本装置(浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、一基又は複数基設け)生成された清澄空気(処理済み空気)を、確実かつ順次送風し、最終処理として、固定式のオイルミスト捕捉装置又は空気清浄機に搬送し、この工場、建屋のオイルミストを確実に捕捉すること、(オイルミストの捕捉すること)及び/又は、本装置の設置基数の減少化を図り、かつランニングコストの低廉化を図ること等を意図する。また、請求項8の発明は、本装置を活用し、空気中の浮遊ミストを確実に吸込み、処理後に、遠方に送風し、集中及び/又は大型のオイルミスト装置又は空気洗浄機(換気手段)に送風し、最終的なミスト処理を図ることを意図する。
【0026】
請求項8は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機と、この浮遊ミスト捕捉機で処理した処理済み空気を、工場、建屋の棟方向、梁方向に向かって、略直線かつ束状にして、順次、搬送する手段に、この浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、一基又は複数基設けて行う、この工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
このオイルミスト捕捉方法は、前記処理済み空気と、その周辺の浮遊ミストを、同時に、次の浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機に導くとともに、最終的には、この工場、建屋に設置した、固定式のオイルミスト捕捉装置又は空気清浄機に搬送する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法である。
【0027】
請求項9の発明は、本装置により生成された清澄空気を、確実かつ順次送風し、この工場、建屋のオイルミストを確実に捕捉した後に、工場、建屋の外に、排気する構成とし、コストの低廉化、設備の簡略化を図るとともに、本装置の設置基数の減少化を図り、かつランニングコストの低廉化を図ること等を意図する。また、請求項9の発明は、本装置を活用し、空気中の浮遊ミストを確実に吸込み、処理後に、遠方に送風し、集中及び/又は大型のオイルミスト装置又は空気洗浄機(換気手段)に送風し、効率的なミスト処理を図ることを意図する。
【0028】
請求項9は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機と、この浮遊ミスト捕捉機で処理した処理済み空気を、工場、建屋の棟方向、梁方向に向かって、略直線かつ束状にして、順次、搬送する手段に、この浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、一基又は複数基設けて行う、この工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
このオイルミスト捕捉方法は、前記処理済み空気と、その周辺の浮遊ミストを、同時に、次の浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機に導き、その後、壁面、又は天井に設けた開口部を介して、この工場、建屋の外に、排気する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法である。
【0029】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9の目的を達成すること、この目的を達成するのに、最適な浮遊ミスト捕捉機か、又は整流形送風機の設置方法を提供することを意図する。
【0030】
請求項10は、請求項8又は請求項9に記載の工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
前記浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、この工場、建屋の空中に、吊下又は設置する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1の発明は、他方側に吸込口を備えたケーシングに、空中の浮遊ミストの吸込み用の羽根と、羽根の吸込側と吹出側に、浮遊ミストを処理する一方側の処理手段及び/又は他方側の処理手段を設け、ケーシングの一方側に設けた貫通孔を備えた第1の支持板と、第1の支持板に設けた、羽根を駆動する駆動用のモータを設けてなる浮遊ミスト捕捉機であって、
ケーシングの一方側の開口に、収れん吹出口を備えた筒体を設け、筒体に、整流体を設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0032】
従って、請求項1は、本装置(浮遊オイルミスト捕捉機)で生成された清澄空気(処理済み空気)を、筒体による収れんを介して、遠方に送風できること、及び/又は、本装置の設置基数の減少化が図れ、かつランニングコストの低廉化が図れること等の特徴を有する。請求項1は、本装置を活用し、空気中の浮遊ミストを確実に吸込み、処理後に、遠方に送風し、集中及び/又は大型のオイルミスト装置、又は換気手段に送風し、最終的なミスト処理が図れる実益がある。
【0033】
請求項2の発明は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
ケーシング内に設けた一方側の処理手段は、ケーシングの一方側に設けた貫通孔を備えた第1の支持板に設けた第1のパンチング筒部と、第1のパンチング筒部とケーシングの内面との間に通路部と、第1のパンチング筒部に、内装した羽根と、第1のパンチング筒部の他方側の処理手段に第1の遮蔽板を介して設けた第2のパンチング筒部と、第2のパンチング筒部とケーシングの内面との間に通路部を形成し、第2のパンチング筒部の開放側に設けたパンチング回転板で構成し、
また他方側の処理手段は、パンチング回転板の他方側の処理手段に、ケーシングに設けた開口部を備えた支持環体と、支持環体に設けた第2の遮蔽板を備えた第3のパンチング筒部と、第3のパンチング筒部とケーシングの内面との間に形成した通路部で構成した浮遊ミスト捕捉機である。
【0034】
従って、請求項2は、従来のフィルターを採用することの弊害の一つである目詰まりの問題を解消できること(フィルターレスが図れること)、浮遊ミストは、第1〜第3のパンチング筒部と第1、第2の遮蔽板による複雑な迂回通路(滞留時間の確保)と、多段の広域的なパンチング手段(パンチング回転板、第1〜第3のパンチング筒部)を介して、フィルターレスが図れること等の特徴を有する。そして、この請求項1は、浮遊ミストの衝突及び/又は拡散、遮蔽板並びにパンチングの多孔による浮遊ミストの微粒子化を介して、空気と油分を確実に分離させ、かつ油分を回収できる実益がある。
【0035】
請求項3の発明は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
ケーシング内に設けた他方側の処理手段は、フィルター、又はパンチング板、或いは迂回式のデミスターで構成し、また一方側の処理手段は、羽根を囲繞、又は近傍に設けた第1のパンチング筒部で構成した浮遊ミスト捕捉機である。
【0036】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、そして、第一及び他方側の処理手段の構造、メンテナンス等の簡略化が図れること等の特徴を有する。
【0037】
請求項4の発明は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
ケーシングの底部に、複数の孔を開設し、孔を、ケーシングの下側に設けたオイルタンクに開口し、オイルタンクには、オーバフロー堰を設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0038】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、そして、オイルタンクに貯留されたオイルを、ケーシング内を流れる空気に、誘引されないようにし、かつこのオイルタンク内のオイルを、再度、ケーシング内に誘引されないようにすること、またケーシング内でミストを効率的に分離(捕捉)できること等の特徴を有する。
【0039】
請求項5の発明は、請求項2に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
開口部と、ベルマウスとの間に、第3の遮蔽板を、間隔をおいて設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0040】
従って、請求項5は、請求項2の目的を達成できること、そして、ケーシングに吸込んだ浮遊ミストの遮断と、迂回通路部への誘導を介して、浮遊ミスト内のミストと、空気とを分離、かつミストの凝集、並びに捕捉が図れること等の特徴を有する。
【0041】
請求項6の発明は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
筒体をケーシングの一方側の壁面に取付ける際に、ベルマウス形状の連結体を介して、設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0042】
従って、請求項6は、請求項1の目的を達成できること、そして、ケーシングの清澄空気を、確実かつスムーズに筒体に送り、また清澄空気を、遠方に送風すること、及び/又は、本装置の設置基数の減少化が図れ、かつランニングコストの低廉化が図れること等の特徴を有する。
【0043】
請求項7の発明は、請求項2に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
第1〜第3のパンチング筒部は、二重構造の環状のパンチング板体で形成する構成とした浮遊ミスト捕捉機である。
【0044】
従って、請求項7は、請求項2の目的を達成できること、この目的を達成するに最適な、パンチング筒部を提供できること等の特徴を有する。
【0045】
請求項8の発明は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機と、浮遊ミスト捕捉機で処理した処理済み空気を、工場、建屋の棟方向、梁方向に向かって、略直線かつ束状にして、順次、搬送する手段に、浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、一基又は複数基設けて行う、工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
オイルミスト捕捉方法は、前記処理済み空気と、その周辺の浮遊ミストを、同時に、次の浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機に導くとともに、最終的には、この工場、建屋に設置した、固定式のオイルミスト捕捉装置又は空気清浄機に搬送する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法である。
【0046】
従って、請求項8は、本装置(浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、一基又は複数基設け)生成された清澄空気(処理済み空気)を、確実かつ順次送風し、最終処理として、固定式のオイルミスト捕捉装置又は空気清浄機に搬送し、この工場、建屋のオイルミストを確実に捕捉すること、(オイルミストの捕捉すること)及び/又は、本装置の設置基数の減少化を図り、かつランニングコストの低廉化が図れること等の特徴を有する。また、請求項8は、本装置を活用し、空気中の浮遊ミストを確実に吸込み、処理後に、遠方に送風し、集中及び/又は大型のオイルミスト装置又は空気洗浄機(換気手段)に送風し、最終的なミスト処理が図れること等の実益を有する。
【0047】
請求項9の発明は、請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機と、浮遊ミスト捕捉機で処理した処理済み空気を、工場、建屋の棟方向、梁方向に向かって、略直線かつ束状にして、順次、搬送する手段に、浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、一基又は複数基設けて行う、工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
オイルミスト捕捉方法は、前記処理済み空気と、周辺の浮遊ミストを、同時に、次の浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機に導き、その後、壁面、又は天井に設けた開口部を介して、この工場、建屋の外に、排気する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法である。
【0048】
従って、請求項9は、本装置により生成された清澄空気を、確実かつ順次送風し、この工場、建屋のオイルミストを確実に捕捉した後に、工場、建屋の外に、排気する構成とし、コストの低廉化、設備の簡略化が図れるとともに、本装置の設置基数の減少化を図り、かつランニングコストの低廉化が図れること等の特徴を有する。また、請求項9は、本装置を活用し、空気中の浮遊ミストを確実に吸込み、処理後に、遠方に送風し、集中及び/又は大型のオイルミスト装置又は空気洗浄機(換気手段)に送風し、効率的なミスト処理が図れること等の実益を有する。
【0049】
請求項10の発明は、請求項8又は請求項9に記載の工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、工場、建屋の空中に、吊下又は設置する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法である。
【0050】
従って、請求項10は、請求項8又は請求項9の目的を達成できること、この目的を達成するのに、最適な浮遊ミスト捕捉機か、又は整流形送風機の設置方法を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本発明の一例を説明する。
【0052】
図面の説明をすると、図1は第1実施例の浮遊ミスト捕捉機全体の断面図、図2は図1の背面図、図3は図1の正面図、また図3は第2実施例の浮遊ミスト捕捉機全体の断面図、さらに図5は第3実施例の浮遊ミスト捕捉機全体の断面図、図6−1は工場、建屋のオイルミスト捕捉方法の一例を示した平面模式図、図6−2は工場、建屋のオイルミスト捕捉方法の他の一例を示した平面模式図、図6−3−1は工場、建屋のオイルミスト捕捉方法のさらに他の一例を示した平面模式図、図6−3−2は図6−3−1の側面模式図、図7は整流形送風機の正面図である。
【0053】
第1実施例は、図1〜図3に示してあり、図において、1は開放型で筒状を呈するケーシングで、このケーシング1の一方側1aに側板2を設けるとともに、この側板2には開口3が設けられる。また、このケーシング1の他方側に設けた吸込口103を介して、側板4を設け、この側板4に設けた開口5には後述するベルマウス27を設ける。そして、この一方側1aから他方側1bに向って、順次、下記の部品(部材)を内装する構成である。
【0054】
◎ 本発明の一方側の処理手段を説明する。このケーシング1には、側板2より間隔をおいて、第1の支持板6を内装する(ケーシング1内に、図示しない、ボルトを介して固定され、かつ着脱自在である。以下同じ)。この第1の支持板6の中心には、モータ7が設けられており、このモータ7の出力軸700は、他方側1bに向かって延設されている。またこの第1の支持板6の前面には(ケーシング1の他方側1bの方向には)、環状パンチング板を二重構造とした開口側8aを備えた第1のパンチング筒部8の一端が支持されるとともに、この第1のパンチング筒部8と、ケーシング1の内面100との間には、通路部R1となり得る空間800が形成される。そして、この第1のパンチング筒部8に適宜間隔をおいて、羽根10が内設されており、この羽根10は前記出力軸700に固止されている。この羽根10はモータ7の駆動により回転し、図示しない工場内で、浮遊するオイルミスト(浮遊ミスト)を、ケーシング1の他方側1bの開口5(吸込口103)より吸込み可能とする。尚、第1のパンチング筒部8の他端は、ケーシング1に内装した、遮蔽を兼ねる環状の第2の支持板11を介して支持される。そして、この第2の支持板11の中心には、前記開口側8aに連通する開口部12を設ける。図中701はケーシング1に設けたモータベース、702はモータフランジを示す。また600は、第1の支持板6の外周面6aに設けた貫通孔を示す。
【0055】
また、この第2の支持板11の前面には、一重構造の第2のパンチング筒部13が設けられており、この第2のパンチング筒部13は、前述の第1のパンチング筒部8の内外面のパンチング板と同じ環状部位に設けられている。そして、この第2のパンチング筒部13と、ケーシング1の内面100との間には、通路部R2となり得る空間1300が形成される。図中15はこの第2のパンチング筒部13に設けた第1の遮蔽板で、この第1の遮蔽板15は、この第2のパンチング筒部13の軸方向に向って、その略中心位置に設ける構造であり、後述するパンチング回転板16より吸込んだ空気を、前記通路部R2に迂回させるために設けられる。尚、ケーシング1に吸込んだ浮遊ミストは、この第2の支持板11に設けた開口部12を介して、前記第1のパンチング筒部8の開口側8a、並びに第1のパンチング筒部8を経由し、羽根10に導く構造である。
【0056】
前記パンチング回転板16は、モータ7の出力軸700に固止されており、モータ7の回転で回転される。従って、前記他方側1bの開口5を介して、吸込まれた浮遊ミスト(空気流)は、後述する第3のパンチング筒部21と、このパンチング回転板16、並びに第2のパンチング筒部13、また、第1のパンチング筒部8等のパンチング孔への衝突を介して、撹拌(微細化)・破壊を繰り返し、この浮遊ミスト内のミストと、空気とを分離、かつオイルを捕捉する構造である。
【0057】
◎ 次に、本発明の他方側の処理手段を説明する。このケーシング1に内装した支持環体18は、前記パンチング回転板16の前面に空間部19を介して設けられており、この空間部19の略中心位置で、かつパンチング回転板16側には、第2の遮蔽板20を設ける。また、前記支持環体18には第3のパンチング筒部21を設ける。また、この第3のパンチング筒部21と、ケーシング1の内面100との間には、通路部R3となり得る空間2100が形成される。尚、この支持環体18の内側(軸芯側)には、開口部22が設けられている。この開口部22は、吸込口103、ベルマウス27等を介して、ケーシング1内に導入された浮遊ミストの通過を可能とし、この通過した浮遊ミストは、第3のパンチング筒部21に向って導かれる構造である。
【0058】
また、図中24は第3の遮蔽板で、この第3の遮蔽板24は、前記支持環体18と、ベルマウス27との間に間隔をおいて、設けられており、かつこの第3の遮蔽板24は、支持環体18に設けた第3の支持板25で支持されている。この第3の遮蔽板24は、ケーシング1の内面100との間に、後述する迂回通路部を形成する空間2400が形成される。そして、この第3の遮蔽板24は、ケーシング1の他方側1bの開口5より吸込んだ浮遊ミストを遮断し、迂回通路部R4に導き、浮遊ミスト内のミストと、空気とを分離、かつミストの凝集、並びにオイルの捕捉することを意図する。そして、この第3の支持板25と、ベルマウス27の先端部25aの外周面との間に、戻り通路部R5を形成し、浮遊コストの戻りを確保することで、滞留時間の確保と、分離及び/又は捕捉効率の向上に役立てる。
【0059】
図中27は、ケーシング1の開口5に設けたベルマウスで、このベルマウス27は、加工機械より排出される浮遊ミスト、又は他のオイルミスト・本装置より排出される処理済の浮遊ミスト、必要により、清澄空気とか、その他の浮遊ミストを効率的に、吸込み可能とする構造であり、ケーシング1の吸込口103から吸込む。
【0060】
そして、本発明のポイントを説明する。ケーシング1の一方側1aの開口3に着脱自在に設けたベルマウス形状の連結体30に、筒状の筒体31を設ける。そして、この筒体31の中心を、モータ7の出力軸700と同じ軸芯位置に設ける構成とすることで、清澄空気を介して、モータ7が冷却できること、又はモータ7の熱を介して、ミスト、オイル等の蒸散化が図れること等の特徴が考えられるが、一例である。この筒体31は、清澄空気、又は極めて微量のミスト(微量ミスト)の一部を、遠方に搬送可能とする構造である。そして、この遠方への搬送を助ける手段として、整流体33を筒体31に設ける構造と、筒体31の後方に収れんされた(絞込み)吹出口34を設ける構造とを採用する。この整流体33で、清澄空気、又は微量ミストを整流し、また吹出口34を収れんすることで、この清澄空気、又は微量ミストを、遠方に搬送できる有効性がある。そして、この吹出口34の収れんの程度(角度)及び/又は長さは、送風距離の確保、又は騒音の問題、羽根10の回転・形状、モータ7の回転等の各条件、設置条件、設置場所等を考慮し、適宜、変更、また最適な状態を確保することを意図する。また、この筒体31と、整流体33を設ける本発明において、例えば、工場H、建屋内に設置することで、その設置台数の減少化が図れること、工場Hの空気及び/又は床面、加工機械等の設備の汚染を回避できること、ランニングコストの低廉化が図れること、又は環境に優しい構造であること等の多数の特徴がある。また、この連結体30をベルマウス形状とすることで、浮遊ミストのスムーズな流れと、騒音の発生を回避できる特徴がある。そして、この収れんされた吹出口34を設けることが、本発明のポイントである。
【0061】
◎ 続いて、本発明のオイルの処理手段を説明する。ケーシング1の下側1cには、オイルを貯留する設けたタンク36を設ける。このタンク36は、ケーシング1の底部101に、開設した複数の孔102に連通することで、タンク36には、ケーシング1の底面1dに集められたオイルが、その底部101の孔102を介して、流下し、貯留される。またこのタンク36には、オーバフロー堰3600を設ける構成とし、タンク36と連通する孔102から空気及び/又はオイルの吸込みを防止する構造である。図中37はドレン管である。
【0062】
◎ 尚、第1のパンチング筒部8〜第3のパンチング筒部21は、二重構造のパンチング板が理想であるが、一重構造、又は多重構造でも可能であり、パンチング板の枚数が増えることにより、分離効率・捕捉効率の向上が図れる。
【0063】
◎ そこで、本発明(本装置)の動きと、浮遊ミスト、処理済の空気、清澄空気等の空気(浮遊ミストとする)の流れを説明すると、モータ7を駆動し、羽根10の回転を介して、浮遊ミストが、前記開口5、ベルマウス27を介して、ケーシング1内に吸込まれる。この浮遊ミストは、第3の遮蔽板24で堰き止められ、迂回通路部R4を経由するが、その流れは、ケーシング1の中心及び/又はその近傍から、その内面100に向かって、放射方向に向かった流れとなる(迂回とする)。この迂回通路部R4は、浮遊ミストの滞留時間を確保し、浮遊ミストの分離促進を図ること(一次処理済み浮遊ミスト「(イ)」)、そして、また、この第3の遮蔽板24は、衝突板として機能し、例えば、浮遊ミスト内のミストと、空気とを分離、かつ微細化が図れる(一次処理済み浮遊ミスト「(イ)」)。
【0064】
この一次処理済み浮遊ミスト(イ)は、開口部22を通過するが、この際に、この孔との衝突を介して、一次処理済み浮遊ミスト内のミストと、空気とを分離、かつ微細化、並びに捕捉とが図れる(二次処理済み浮遊ミスト「(ロ)」)。そして、この開口部22を通過した第二処理済み浮遊ミストは、第3のパンチング筒部21での処理と、第2の遮蔽板20による堰き止めにより、迂回し(前述と同じ)、通路部R3を経由し、空間部2100に至る。この第3のパンチング筒部21では、前述と同様に、二次処理済み浮遊ミスト内のミストと、空気とを分離、かつ微細化、並びに捕捉とが図れる(三次処理済み浮遊ミスト「(ハ)」)。
【0065】
この三次処理済み浮遊ミストは、パンチング回転板16に衝突するが、この、パンチング回転板16の孔との衝突と、このパンチング回転板16の回転を介して、徹底的な処理が行われる。即ち、孔との衝突と、回転を介して、三次次処理済み浮遊ミスト内のミストと、空気との更なる分離、かつ微細化、並びに更なる捕捉とが図れる(四次処理済み浮遊ミスト「(ニ)」)。この四次処理済み浮遊ミストは、その後、第1の遮蔽板15に堰き止められることから、迂回し、通路部R2を経由し、空間1300に至る。
【0066】
そして、この四次処理済み浮遊ミストは、開口部12から羽根10の吸引と、この羽根10による放射方向への送風(吹出し)を介して、第1のパンチング筒部8を通過し、第1のパンチング筒部8の孔との衝突と、放射方向への送風とを介して、最終的な処理が行われる。即ち、孔との衝突と、圧力タイプの羽根10による遠心力方向への送風で、四次処理済み浮遊ミスト内のミストと、空気との最終の分離、かつ微細化、並びに最終の捕捉とが図れる(五次処理済み空気「(ホ)」)。その後、通路部R1を経由し、空間800に至る。この五次処理済み空気は、第1の支持板6の外周側6aに複数個開設した貫通孔600を介して、連結体30から筒体31と、この筒体31に設けた整流体33を経由し、略軸線方向に整流、かつ収れんされた(絞り込まれた)状態で、吹出口34より、空中に排出される。
【0067】
尚、前記一次処理済み浮遊ミスト〜五次処理済み空気より分離、かつ捕捉されたオイルは、孔102を介してタンク36に収容及び/又は処理される状況は、前述の通りである。
【0068】
第2実施例は、図4に示してあり、基本的な構造と、一方側の処理手段は、前記第1実施例に準ずる。そして、この第2実施例の他方側の処理手段は、第1実施例を簡略化した構造である。その一例を説明すると、パンチング回転板16の他方側に、空間部19を介して、支持環体18を設け、この支持環体18に第3のパンチング筒部21と、第3の遮蔽板24を設けた構造である。そして、この支持環体18に設けた第3の支持板25と、側板4に設けたベルマウス27との間に戻り通路部R5を設けた構造である。この第2実施例の浮遊ミストと、処理済み浮遊ミストの流れは、前記第1実施例に準ずる。この第2実施例は、前記第1実施例に対して、捕捉率、効率化等の面で少し、劣ることが考えられるが、迂回工程と、処理時間を考えた場合、実用に供し、かつ簡易な浮遊ミスト捕捉機、又は低コストの浮遊ミスト捕捉機等として有益である。そして、この例では、戻り通路部R5を省略することも可能である。
【0069】
第3実施例は、図5に示してあり、基本的な構造と、一方側の処理手段は、前記第1実施例に準ずる。そして、この第3実施例の他方側の処理手段の一例を説明すると、パンチング回転板16の他方側に、空間部19を介して、支持環体18を設ける。この支持環体18にフィルター、又はパンチング板、或いは迂回式のデミスター17を設置し、このデミスター17及び/又は前記支持環体18を介して、鍵形の第3の支持板25を設けるとともに、この第3の支持板25の前面(他方側)に、側板4を介してベルマウス27を設ける。そして、この第3の支持板25と、ベルマウス27との間に通路部R6を設けた構造である。従って、浮遊ミストは、吸込口3とベルマウス27を介して、ケーシング1内に吸込まれた後、ケーシング1の中心及び/又はその近傍から、直接的に、通路部R6を通り、デミスター17に向かって流れる。従って、このデミスター17を介して、浮遊ミストの捕捉及び分離を図る(一次処理済み浮遊ミスト「(イ)」)。この際に、デミスター17による迂回通路と、捕捉及び/又は分離作業を介して、浮遊ミスト内のミストと、空気とを分離、かつ微細化が図れる(一次処理済み浮遊ミスト「(イ)」)。その後は、第1実施例に準ずる。この第3実施例において、互換性を備えた構造で実用に供し、かつ簡易な浮遊ミスト捕捉機、又は低コストの浮遊ミスト捕捉機等として有益である。この例では、戻り通路部R5と、迂回通路部R4を省略する。
【0070】
尚、各実施例で説明した、第1のパンチング筒部8は、羽根10の周辺を囲繞し、通路部R1を形成する構造であるが、この例に限定されず、例えば、モータ7とケーシング1との間に設けたフィルター、又はパンチング板、或いはデミスター(図示せず)、又はモータ7の後面(一方側1a)に設けたフィルター、又はパンチング板、或いはデミスター(図示せず)等の構造とすることも可能であり、汎用的及び/又は利便性を備えた一方側の処理手段を採用可能となる。そして、本発明のポイントは、ミスト捕捉機に着脱自在に設けた、整流体33を備えた筒体31と、この筒体31に設けた吹出口34の構造である。
【0071】
そして、図6−1〜図7において示した図面において、工場Hのオイルミスト捕捉方法の一例と、他の例とを説明する。先ず、図6−1は工場Hのオイルミスト捕捉方法の一例であり、本装置を複数基設置し、壁面40に、固定式のオイルミスト捕捉装置か、又は空気清浄機等の集合式の機器41を設置する構造において、工場Hの浮遊ミスト等を、浮遊ミスト捕捉機(全方向に、角度調整可能)で捉えて処理した後に、次の浮遊ミスト捕捉機に導くが、その際に、各処理済み浮遊ミスト(一次処理済み浮遊ミスト(イ)〜五次処理済み浮遊ミスト(ホ))に流れが生ずることから(工場Hの一方から、この工場Hの他方に向って「例えば、棟方向に向って」、順次、風の流れが発生することから)、近傍の浮遊ミストをキャッチ(捕捉)できる構造となり、この工場H内の浮遊ミストを効率的、かつ的確に捕集できる特徴がある。そして、この浮遊ミスト捕捉機の基数を増やすことで、その清澄化の程度を調整できる。その後において、最終的には、集合式の機器41で処理する構造である。従って、工場Hの空気及び/又は床面、加工機械等の設備の汚染を回避できること、ランニングコストの低廉化が図れること、又は環境に優しい環境(職場環境)を確保できること等の多数の特徴がある。次に、図6−2は工場Hのオイルミスト捕捉方法の他の一例を説明すると、この例は、浮遊ミスト捕捉機と、整流形送風機42(全方向に、角度調整可能)の組合せ構造であり、この整流形送風機42は、全方向に角度調整可能であり、ケーシング4200と、整流体4201、並びに羽根4202を設けた構造であり、整流と送風とを図る装置である。その浮遊ミストと、空気の流れは、前述の例に略準ずる。
【0072】
また図6−3−1、図6−3−2は、工場Hのオイルミストを捕捉する方法の一例であり、浮遊ミスト捕捉機及び/又は図示しない整流形送風機42(浮遊ミスト捕捉機とする)の構造で、かつ壁面40、又は天井43に、開口44を設ける構造である。そして、この工場Hの浮遊ミストを、浮遊ミスト捕捉機等で捉えて処理した後に、次の浮遊ミスト捕捉機に導くが、その際に、近傍の浮遊ミストをキャッチすることで、この工場H内の浮遊ミストを効率的、かつ的確に捕集できる特徴がある。そして、この浮遊ミスト捕捉機の基数を増やすことで、その工場H内における清澄化の程度を調整できる。その後は、開口44を介して、工場H外に排気する構造である。従って、工場Hの空気及び/又は床面、加工機械等の設備の汚染を回避できること、ランニングコストの一層の低廉化が図れること、又は簡易で、かつ環境に優しい環境を確保できること等の多数の特徴がある。その他は、前述の図6−1と、図6−2に準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は第1実施例の浮遊ミスト捕捉機全体の断面図
【図2】図2は図1の背面図
【図3】図3は図1の正面図
【図4】図3は第2実施例の浮遊ミスト捕捉機全体の断面図
【図5】図5は第3実施例の浮遊ミスト捕捉機全体の断面図
【図6−1】図6−1は工場、建屋のオイルミスト捕捉方法の一例を示した平面模式図
【図6−2】図6−2は工場、建屋のオイルミスト捕捉方法の他の一例を示した平面模式図
【図6−3−1】図6−3−1は工場、建屋のオイルミスト捕捉方法のさらに他の一例を示した平面模式図
【図6−3−2】図6−3−1の側面模式図
【図7】図7は整流形送風機の正面図
【符号の説明】
【0074】
1 ケーシング
1a 一方側
1b 他方側
1c 下側
1d 底面
100 内面
101 底部
102 孔
103 吸込口
2 側板
3 開口
4 側板
5 開口
6 第1の支持板
6a 外周側
600 貫通孔
7 モータ
700 出力軸
701 モータベース
702 モータフランジ
8 第1のパンチング筒部
8a 開口側
800 空間
10 羽根
11 第2の支持板
12 開口部
13 第2のパンチング筒部
1300 空間
15 第1の遮蔽板
16 パンチング回転板
17 デミスター
18 支持環体
19 空間部
20 第2の遮蔽板
21 第3のパンチング筒部
2100 空間
22 開口部
24 第3の遮蔽板
2400 空間
25 第3の支持板
25a 先端部
27 ベルマウス
30 連結体
31 筒体
33 整流体
34 吹出口
36 タンク
3600 オーバフロー堰
37 ドレン管
40 壁面
41 機器
42 整流形送風機
4200 ケーシング
4201 整流体
4202 羽根
43 天井
44 開口
H 工場
R1 通路部
R2 通路部
R3 通路部
R4 迂回通路部
R5 戻り通路部
R6 通路部
(イ) 一次処理済み浮遊ミスト
(ロ) 二次処理済み浮遊ミスト
(ハ) 三次処理済み浮遊ミスト
(ニ) 四次処理済み浮遊ミスト
(ホ) 五次処理済み空気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他方側に吸込口を備えたケーシングに、空中の浮遊ミストの吸込み用の羽根と、この羽根の吸込側と吹出側に、浮遊ミストを処理する一方側及び/又は他方側の処理手段を設け、前記ケーシングの一方側に設けた貫通孔を備えた第1の支持板と、この第1の支持板に設けた、前記羽根を駆動する駆動用のモータを設けてなる浮遊ミスト捕捉機であって、
このケーシングの一方側の開口に、収れん吹出口を備えた筒体を設け、この筒体に、整流体を設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機。
【請求項2】
請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記ケーシング内に設けた一方側の処理手段は、ケーシングの一方側に設けた貫通孔を備えた第1の支持板に設けた第1のパンチング筒部と、この第1のパンチング筒部と前記ケーシングの内面との間に通路部と、この第1のパンチング筒部に、内装した羽根と、前記第1のパンチング筒部の他方側の処理手段に第1の遮蔽板を介して設けた第2のパンチング筒部と、この第2のパンチング筒部と前記ケーシングの内面との間に通路部を形成し、前記第2のパンチング筒部の開放側に設けたパンチング回転板で構成し、

また他方側の処理手段は、前記パンチング回転板の他方側の処理手段に、前記ケーシングに設けた開口部を備えた支持環体と、この支持環体に設けた第2の遮蔽板を備えた第3のパンチング筒部と、この第3のパンチング筒部と前記ケーシングの内面との間に形成した通路部で構成した浮遊ミスト捕捉機。
【請求項3】
請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記ケーシング内に設けた他方側の処理手段は、フィルター、又はパンチング板、或いは迂回式のデミスターで構成し、また一方側の処理手段は、前記羽根を囲繞、又は近傍に設けた第1のパンチング筒部で構成した浮遊ミスト捕捉機。
【請求項4】
請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記ケーシングの底部に、複数の孔を開設し、この孔を、このケーシングの下側に設けたオイルタンクに開口し、このオイルタンクには、オーバフロー堰を設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機。
【請求項5】
請求項2に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記開口部と、ベルマウスとの間に、第3の遮蔽板を、間隔をおいて設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機。
【請求項6】
請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記筒体をケーシングの一方側の壁面に取付ける際に、ベルマウス形状の連結体を介して、設ける構成とした浮遊ミスト捕捉機。
【請求項7】
請求項2に記載の浮遊ミスト捕捉機であって、
前記第1〜第3のパンチング筒部は、二重構造の環状のパンチング板体で形成する構成とした浮遊ミスト捕捉機。
【請求項8】
請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機と、この浮遊ミスト捕捉機で処理した処理済み空気を、工場、建屋の棟方向、梁方向に向かって、略直線かつ束状にして、順次、搬送する手段に、この浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、一基又は複数基設けて行う、この工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
このオイルミスト捕捉方法は、前記処理済み空気と、その周辺の浮遊ミストを、同時に、次の浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機に導くとともに、最終的には、この工場、建屋に設置した、固定式のオイルミスト捕捉装置又は空気清浄機に搬送する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法。
【請求項9】
請求項1に記載の浮遊ミスト捕捉機と、この浮遊ミスト捕捉機で処理した処理済み空気を、工場、建屋の棟方向、梁方向に向かって、略直線かつ束状にして、順次、搬送する手段に、この浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、一基又は複数基設けて行う、この工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
このオイルミスト捕捉方法は、前記処理済み空気と、その周辺の浮遊ミストを、同時に、次の浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機に導き、その後、壁面、又は天井に設けた開口部を介して、この工場、建屋の外に、排気する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の工場、建屋のオイルミスト捕捉方法であって、
前記浮遊ミスト捕捉機又は整流形送風機を、この工場、建屋の空中に、吊下又は設置する構成とした工場、建屋のオイルミスト捕捉方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3−1】
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【図6−3−2】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−142770(P2009−142770A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323876(P2007−323876)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】