説明

浴室換気乾燥機

【課題】ヒートポンプを利用して浴室などで衣類の乾燥を行う浴室換気乾燥機において、すばやく衣類を乾燥させることを目的とする。
【解決手段】浴室6内の空気を屋外に排出するための換気送風手段9と、前記浴室6内の空気の温度を検知する温度検知手段16を有し、前記浴室6内の温度が所定温度以上になると前記換気送風手段9による換気送風量が大きくなる構成にしたことにより、圧縮機1が間欠運転をせず、衣類14をすばやく乾燥させることのできる浴室換気乾燥機を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを利用して浴室などで衣類の乾燥を行う浴室換気乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浴室換気乾燥機は、浴室内の空気を吸い込み、その一部を浴室内に吹き出す循環送風手段と、浴室内に吹き出す空気を加温する加熱手段と、浴室内から吸い込んだ空気の一部を屋外に排出する換気送風手段と、換気送風量を可変させる風量設定手段と、設定した運転時間だけ乾燥運転を行うタイマー手段を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−290591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の浴室換気乾燥機においては、タイマー手段で設定した運転時間よりも所定時間だけ早期の時点に達したときに、浴室内の空気の一部を屋外に排出する換気送風量を減少させる構成となっていたので、ヒートポンプを利用した浴室換気乾燥機の場合、乾燥運転の後期に浴室温度が高くなった状態で浴室内の空気の一部を屋外に排出する換気送風量を減少させると、さらに浴室内の温度が上昇し圧縮機の吐出温度が高くなるので、圧縮機を保護するために圧縮機を停止させざるを得なくなり、圧縮機を停止させた結果、衣類乾燥時間が長くなってしまうという課題を有していた。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、浴室温度が高くならないようにし、圧縮機を保護するために圧縮機を停止させる動作を行なわないことで衣類乾燥時間が長くならないようにした浴室換気乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明は、冷媒を圧縮するための圧縮機と、通過する空気に放熱するための第一熱交換器と、前記冷媒を膨張するための膨張機構と、前記通過する空気から吸熱するための第二熱交換器とを設け、前記圧縮機、前記第一熱交換器、前記膨張機構、前記第二熱交換器という順に連結し前記冷媒を流通させるための冷媒配管と、浴室内の空気を屋外に排出するための換気送風手段と、浴室内の空気の温度を検知する温度検知手段を有し、浴室内の温度が所定温度以上になると前記換気送風手段による換気送風量が大きくなるようにしたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【0007】
また、本発明は、浴室に空気を吹き出す循環送風手段を設け、前記浴室内の温度が所定温度以上になると前記循環送風手段による循環送風量が大きくなるようにしたものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷媒を圧縮するための圧縮機と、通過する空気に放熱するための第一熱交換器と、前記冷媒を膨張するための膨張機構と、前記通過する空気から吸熱するための第二熱交換器とを設け、前記圧縮機、前記第一熱交換器、前記膨張機構、前記第二熱交換器という順に連結し前記冷媒を流通させるための冷媒配管と、浴室内の空気を屋外に排出するための換気送風手段と、浴室内の空気の温度を検知する温度検知手段を有し、浴室内の温度が所定温度以上になると前記換気送風手段による換気送風量が大きくなる構成にしたことにより、
浴室温度が高くならないようにし、圧縮機を保護するために圧縮機を停止させる動作を行なわないことで、衣類乾燥時間が長くならないようにするという効果を得ることができる。
【0009】
また、本発明によれば、浴室に空気を吹き出す循環送風手段を設け、前記浴室内の温度が所定温度以上になると前記循環送風手段による循環送風量が大きくなる構成にしたことにより、圧縮機の吐出温度が高くならないようにし、圧縮機を保護するために圧縮機を停止させる動作を行なわないことで、より衣類乾燥時間が長くならないようにするという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の浴室換気乾燥機の内部構成を示す斜視図
【図2】同浴室換気乾燥機の設置状態を示す断面図
【図3】同浴室換気乾燥機の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の請求項1記載の浴室換気乾燥機は、冷媒を圧縮するための圧縮機と、通過する空気に放熱するための第一熱交換器と、前記冷媒を膨張するための膨張機構と、前記通過する空気から吸熱するための第二熱交換器とを設け、前記圧縮機、前記第一熱交換器、前記膨張機構、前記第二熱交換器という順に連結し前記冷媒を流通させるための冷媒配管と、浴室内の空気を屋外に排出するための換気送風手段と、浴室内の空気の温度を検知する温度検知手段を有し、浴室内の温度が所定温度以上になると前記換気送風手段による換気送風量が大きくなる構成を有する。これにより、浴室温度が高くならないようにし、圧縮機を保護するために圧縮機を停止させる動作を行なわないので、衣類乾燥時間が長くならないようにするという効果を奏する。
【0012】
また、浴室に空気を吹き出す循環送風手段を設け、前記浴室内の温度が所定温度以上になると前記循環送風手段による循環送風量が大きくなる、という構成にしてもよい。これにより、第一熱交換器での放熱量が多くなり圧縮機の吐出温度が高くならないので、圧縮機を保護するために圧縮機を停止させる動作を行なわず衣類乾燥時間が長くならないという効果を奏する。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、浴室換気乾燥機は、冷媒を圧縮するための圧縮機1と、通過する空気に放熱するための第一熱交換器2と、前記冷媒を膨張するための膨張機構3と、前記通過する空気から吸熱するための第二熱交換器4と、前記圧縮機1、前記第一熱交換器2、前記膨張機構3、前記第二熱交換器4という順に連結し前記冷媒を流通させるための冷媒配管5と、浴室6から空気を吸い込み、前記第二熱交換器4、前記第一熱交換器2の順に空気を流通させ、再度前記浴室6に空気を吹き出す循環送風手段7を箱状の外郭8に配置する。前記外郭8には換気送風手段9が連通ダンパー10を介して連通される。
【0015】
前記換気送風手段9は通気ダクト11を介して、洗面所12およびトイレ13と繋がる。乾燥運転を開始すると、前記圧縮機1が作動し、前記第一熱交換器2、前記膨張機構3、前記第二熱交換器4という順に前記冷媒が前記冷媒配管5を経由して流通する。また、前記循環送風手段7が作動し、前記浴室6から空気を吸い込み、前記第二熱交換器4、前記第一熱交換器2の順に空気を流通させ、再度前記浴室6に空気を吹き出す。このとき、前記浴室6から吸い込まれた空気は、冷媒が流通している前記第二熱交換器4、および前記第一熱交換器2を流通するときに熱交換を行なうが、前記第二熱交換器4では前記浴室6から吸い込まれた空気は吸熱され、結露し除湿される。その後前記第一熱交換器2を通過するときには放熱されるので、結果的に前記浴室6から吸い込まれた空気は、再熱除湿され再度前記浴室6に吹き出され、前記浴室6に配置された衣類14の乾燥が促進されることになる。また乾燥運転中、前記換気送風手段9が作動し、連通ダンパー10が所定の開度開くことにより前記浴室6から前記換気送風手段9までの風路が形成され、前記通気ダクト11を介して前記換気送風手段9と繋がる前記洗面所12、および前記トイレ13と合わせて前記浴室6からも前記換気送風手段9へ空気が吸い込まれ、排気ダクト15を経由して前記浴室6内の空気も屋外へ排出される。乾燥運転中に前記浴室6の空気を屋外に排出する目的は前記浴室6内に、前記衣類14などから発生した臭いがこもらないようにすることであるが、その換気送風量が多くなると前記浴室6内の湿度が高くなり前記衣類14の乾燥が阻害されるので、前記衣類14の乾燥を促進するために、前記換気送風量は最低限になるように前記換気送風手段9の回転数、および前記連通ダンパー10の開度は制御され作動する。乾燥運転中、前記浴室6から吸い込まれた空気は、再熱除湿され、再度前記浴室6に吹き出されるが、長時間乾燥運転を継続すると、徐々に前記浴室6内の空気の温度が上昇する。その結果、温度が高くなった空気を吸い込んで乾燥運転を行なうと、前記圧縮機1の吐出温度が高くなり、その吐出温度が前記圧縮機1の仕様(保証している)範囲を超えそうになると、前記圧縮機1を保護するために前記圧縮機1の作動を停止せざるを得なくなる。つまり、前記浴室6内の空気の温度が高くなってくる(例えば40℃位)と前記圧縮機1を保護するために、前記圧縮機1は作動と停止を繰り返す、いわゆる間欠運転をし、結果的に前記衣類14の乾燥にかかる時間が長くなってしまう。この前記圧縮機1の間欠運転を避けるために、前記浴室6内の空気温度を検知するための温度検知手段16(一例としてサーミスター)を、前記浴室6から吸い込まれた空気が流通する風路で、かつ前記第二熱交換器4の上流側に設け、前記温度検知手段16が所定の温度以上、例えば30℃以上を検知すると、前記浴室6からの換気送風量を多くする、例えば3〜4倍にするために、前記換気送風手段9の回転数、および前記連通ダンパー10の開度を変更して制御する。その結果、再熱除湿された空気が吹き出されることにより温度が高くなった前記浴室6内の空気は、前記連通ダンパー10、前記換気送風手段9、および排気ダクト15を経由して、より多く屋外に排出されるため、前記浴室6内の空気の温度上昇は抑えられ、前記圧縮機1は間欠運転をすることなく作動し、前記衣類14の乾燥が阻害されることはなくなる。
【0016】
また、前記温度検知手段16が所定の温度、例えばT2(後述)=35℃、以上を検知すると、前記循環送風手段7(例えば、遠心送風機)による循環送風量を多くする、例えば約1.5倍多くする、という構成にしてもよい。
【0017】
また、図3に示すように、浴室換気乾燥機の動作を示すフローチャートである。
【0018】
前記温度検知手段16が所定の温度以上(T1=例えば30℃)を検知すると、前記換気送風手段9(例えば、遠心送風機)の回転数を多く、および前記連通ダンパー10の開度を大きくして、前記浴室6からの換気送風量を多くして前記浴室6内の空気の温度上昇を抑えるが、それでもなお前記浴室6内の空気の温度が上昇し、所定の温度以上(T2=例えば35℃、ここでT2>T1)を検知したときに、前記循環送風手段7の回転数を多くして、循環送風量を多くする。
【0019】
その結果、第一熱交換器2を流通する空気量が多くなり、つまり、第一熱交換器での放熱量が多くなり前記圧縮機1の吐出温度が上昇することを抑えることができるので、前記圧縮機1を保護するために前記圧縮機1を間欠運転する必要がなくなり、前記衣類14の乾燥が阻害されることはなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかる浴室換気乾燥機は、浴室温度が高くならないようにし、圧縮機を保護するために圧縮機を停止させる動作を行なわないことで、衣類乾燥時間が長くならないことを可能とするものであるので、圧縮機を搭載する乾燥機の制御方法等として有用である。
【符号の説明】
【0021】
1 圧縮機
2 第一熱交換器
3 膨張機構
4 第二熱交換器
5 冷媒配管
6 浴室
7 循環送風手段
8 外郭
9 換気送風手段
10 連通ダンパー
11 通気ダクト
12 洗面所
13 トイレ
14 衣類
15 排気ダクト
16 温度検知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮するための圧縮機と、通過する空気に放熱するための第一熱交換器と、前記冷媒を膨張するための膨張機構と、前記通過する空気から吸熱するための第二熱交換器とを設け、前記圧縮機、前記第一熱交換器、前記膨張機構、前記第二熱交換器という順に連結し前記冷媒を流通させるための冷媒配管と、浴室内の空気を屋外に排出するための換気送風手段と、前記浴室内の空気の温度を検知する温度検知手段を有し、前記浴室内の温度が所定温度以上になると前記換気送風手段による換気送風量が大きくなる浴室換気乾燥機。
【請求項2】
浴室に空気を吹き出す循環送風手段を設け、前記浴室内の温度が所定温度以上になると前記循環送風手段による循環送風量が大きくなる請求項1に記載の浴室換気乾燥機。
【請求項3】
連通ダンパーを換気送風手段の上流側に設け、前記連通ダンパーの開度を大きくすることで換気送風量を大きくする請求項1に記載の浴室換気乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−79795(P2013−79795A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84563(P2012−84563)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】