説明

浴室用洗い場床

【課題】洗い場床に柔らかさを付与しつつ、且つ、基材層とクッション層との間に水が浸入しないようにするためのシーリング材が、長期に使用しても切れたり外れたりすることのない浴室用洗い場床を提供する。
【解決手段】基材層と、基材層の上に積層されクッション性を有するクッション層と、基材層とクッション層との間に水が浸入することを防止するためにクッション層の周縁部をシーリング材で水密的にシールするシール部とを備え、クッション層は、基材層の凹部内に収容された弾性変形可能なクッション材と、凹部を覆うようにクッション材の上に積層されると共にクッション材を介さずに硬質の縁部の上面に積層される可撓性と耐水性を有する表面材とを有しており、シール部は凹部より外方側に配置される表面材の周縁部に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用洗い場床に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室の洗い場床にクッション性を付与する構造が提案されている。例えば、特許文献1には、FRP(Fiber Reinforced Plastic)からなる基材と、発泡層と、軟質材からなる表面層とを順に積層し一体化した浴室洗い場床が開示されている。また、特許文献2には、ゴム弾性体の内部に液収容空所を形成してなるクッション材を固定状態に設置した上、液収容空所に、水、湯等の液を収容して洗い場床を構築した構造が開示されている。
【特許文献1】特開2001−245814号公報
【特許文献2】特開平9−122028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、クッション層は荷重を支えるのに十分な強度を確保しにくく、クッション層とは別に、荷重を支えるための強度を担保する基材が必要となる。その場合、基材とクッション層との間に水が浸入すると、クッション層が濡れてクッション性が悪化したり、カビが発生するおそれがあるため、クッション層の周縁部をシリコンや目地などのシーリング材で水密にシールすることが必要となる。
【0004】
クッション層は、洗い場床面上から荷重がかかると、上下方向に伸び縮み(可動)するものであるが、クッション層の周縁部も同様に上下方向に伸び縮みしてしまうと、その部分に設けたシリコンが切れたり、目地が外れてしまい、水密性が損なわれたり、見栄えが悪くなる問題が懸念される。
【0005】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、洗い場床に柔らかさを付与しつつ、且つ、基材層とクッション層との間に水が浸入しないようにするためのシーリング材が、長期に使用しても切れたり外れたりすることのない浴室用洗い場床を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、凹部と、前記凹部より外方側であって且つ前記凹部の上面より高い位置に上面が設けられた縁部と、を有する硬質の基材層と、前記基材層の上に積層され、クッション性を有するクッション層と、前記基材層と前記クッション層との間に水が浸入することを防止するために、前記クッション層の周縁部をシーリング材で水密的にシールするシール部と、を備えた浴室用洗い場床であって、前記クッション層は、前記基材層の前記凹部内に収容された弾性変形可能なクッション材と、前記凹部を覆うように前記クッション材の上に積層されると共に、前記クッション材を介さずに前記縁部の上面に積層される可撓性と耐水性を有する表面材と、を有しており、前記シール部は、前記基材層の前記凹部より外方側の前記縁部上に配置される前記表面材の周縁部に設けたことを特徴とする浴室用洗い場床が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、洗い場床に柔らかさを付与しつつ、且つ、基材層とクッション層との間に水が浸入しないようにするためのシーリング材が、長期に使用しても切れたり外れたりすることのない浴室用洗い場床が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
浴室の洗い場床に柔らかさを付与するために、弾性変形可能なクッション性を有する材料で洗い場床を構成することが考えられるが、クッション性を有する例えば発泡体は耐水性、耐薬品性、耐衝撃性など、洗い場床として求められる基本性能に優れず、クッション性を有する材料だけで構成した洗い場床は商品として提供しにくい。また、クッション性を有する材料としては発泡体以外にもゴム材があるが、ゴム材はゴム臭がするため、そのような材料を気密性の高い浴室内に、洗い場床という比較的広い面積にわたって用いるのは好ましくない。
【0009】
したがって、発泡体を洗い場床におけるクッション材として設けた場合、浴室内側に露出する表面には、耐水性、耐薬品性などのユニットバスの基本性能を満足する材料からなる表面材が別途必要になる。クッション材の表面側にそのような表面材を積層した構造においては、使用者は表面材に触れることになるがその使用者にクッション材の機能(柔らかさ)を感じさせるようにするため、表面材には可撓性が求められる。ここで、表面材は薄い層として形成されていることが好ましい。
【0010】
前述したような特性を満足する表面材やクッション材は荷重を支えるのに十分な強度を確保しにくく、これらの層とは別に、表面材やクッション材より荷重を支えるための強度の大きな基材層が必要となる。すなわち、洗い場床に柔らかさを付与しつつ、洗い場床として求められる最低限の基本性能を確保するためには少なくとも基材層、クッション材、表面材を組み合わせた構造にすることが望ましい。
【0011】
その場合、基材層とクッション層(クッション材と表面材との積層体)との間に水が浸入すると、クッション層が濡れてクッション性が悪化したり、カビが発生するおそれがあるため、クッション層の周縁部はシリコンや目地などのシーリング材で水密にシールすることが必要となる。
【0012】
クッション層は、洗い場床面上から荷重がかかると、上下方向に伸び縮み(可動)するものであるが、クッション層の周縁部も同様に上下方向に伸び縮みしてしまうと、その部分に設けたシリコンが切れたり、目地が外れてしまい、水密性が損なわれたり、見栄えが悪くなる問題が懸念される。そこで、以下に説明する本発明実施形態では、洗い場床に柔らかさを付与しつつ、且つ、基材層とクッション層との間に水が浸入しないようにするためのシーリング材が、長期に使用しても切れたり外れたりすることのない浴室用洗い場床を提供する。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る浴室用洗い場床の模式断面図である。
【0014】
本実施形態に係る洗い場床は、硬質の基材層1と、基材層1の上に積層されたクッション性を有するクッション層3とを備える。
【0015】
基材層1は、浴室外に湯水を漏出させない防水性、および壁パネル50、天井パネル、風呂椅子、洗面器などの静荷重、使用者の動荷重を受けても撓んだり破損しない十分な強度を有し、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の熱硬化性樹脂、あるいはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂に補強を施したものから形成されている。
【0016】
基材層1には縦断面視で凹状に形成される凹部2が設けられている。凹部2は基材層1の上面視における大部分の面積を占め、凹部2より外方側には凹部2の上面(底面)よりも一段高くされた縁部6が設けられている。
【0017】
図2は基材層1の模式平面図を示し、基材層1の一部には排水ピット15が開口形成されている。縁部6は、凹部2の全周(凹部2と排水ピット15との間も含む)を囲むように設けられている。縁部6よりも外方側であって基材層1の最外縁部には、上方に立ち上がった水返し壁として機能する側壁部8が設けられている。このように、排水ピット15は縁部6より外方側に形成されており、側壁部8は排水ピット15の更に外方側に形成されている。
【0018】
基材層1は硬質材(例えばFRP)を熱間成型することにより一体成形され、よって、凹部2、縁部6および側壁部8は一体に形成される。
【0019】
クッション層3は、いずれも基材層1よりも軟質なクッション材4および表面材5から構成される。
【0020】
クッション材4は、基材層1の凹部2に全体が収容され、凹部2の上面(底面)に例えば両面テープ等の接着剤により接着固定される。クッション材4は、弾性変形可能であり、例えばウレタン等の発泡体からなる。なお、クッション材4は弾性変形可能なゴム材であっても構わないが、ゴム臭のない発泡体の方が気密性の高い浴室の洗い場床として利用するには好ましい。
【0021】
表面材5は、クッション材4の上面及び凹部2を覆うようにクッション材4に積層される。表面材5の平面サイズは、クッション材4の平面サイズより大きく(縦横ともに長く形成されている)、表面材5においてクッション材4からはみ出る周縁部5aは、クッション材4を介さずに基材層1の縁部6の上面に積層される。表面材5は、例えば接着剤で、クッション材4の上面及び基材層1の縁部6の上面に接着固定される。
【0022】
表面材5の平面サイズは、基材層1全体の平面サイズより小さく(縦横ともに短く形成されている)且つ凹部2の平面サイズより大きい(縦横ともに長く形成されている)。表面材5の表面は浴室内に露出し、使用者が触れたり、湯水にさらされる面となる。表面材5は、耐水性、耐薬品性、耐衝撃性などを有すると共に、下層のクッション材4の弾性変形に追従可能な可撓性を有する。表面材5は基材層1よりも軟質ではあるが、クッション材4よりはクッション性(鉛直方向の変形量)が小さく、表面材5は、例えば、基材層1に用いるFRPよりも軟質なFRPを用いることができ、且つクッション材4よりも薄い。
【0023】
また、図3に示すように、表面材5の表面には排水口または排水流し溝に連続して形成される溝5bが形成されている。この溝5bは、表面材5の表面上を排水口に向けて流れる湯水の排水流路として機能する。この溝5bは、排水口または排水流し溝まで水を途切れることなく連続的に存在させることが可能な排水流路となっている。この溝5bによって、翌朝には、洗い場床面上に大きな水玉が残ることなく洗い場床面上を乾燥させることが可能となる。また、表面材5の表面に溝5bを形成することで、表面材5の表面に凹凸が形成され、洗い場床面が滑りにくくなる効果も得られる。
【0024】
基材層1、クッション材4および表面材5の積層構造を得るにあたっては、それらを一体に熱間成型することにより相互に溶着固定させてもよいし(インサート成形)、基材層1の成型加工後に、その凹部2の上面(底面)に対してクッション材4を例えば両面テープ等の接着剤を用いて貼り付け、さらにそのクッション材4の表面に例えば両面テープ等の接着剤を用いて表面材5を貼り付けてもよい。
【0025】
本実施形態に係る洗い場床はクッション層3を備えるので、使用者がひざをついても痛くないやわらかな感触が得られる。また、床が足になじみ、濡れた足でも滑りにくくできる。さらに、例えば洗面器を床に落としても音が響かない。さらに、使用者が冷たさを感じにくい。
【0026】
表面材5と基材層1との線膨張率が異なると、熱が加わった際に各層の境界面に異なるせん断力が働き、剥がれるおそれがある。特に、洗い場床は、トラック搬送時に約65℃の環境下に置かれることがあったり、実使用において約40℃の温水がかかることがある。このように洗い場床というものは、大きな温度変化がある環境下に置かれるものなので、線膨張および線収縮が起きるおそれがあり、対策が必要である。
【0027】
表面材5と基材層1とが近似した線膨張率の材料で形成されていると、それら間に挟まれて接着されているクッション材4に対してのせん断力はクッション材4の上面と下面側とで略等しくなるため、クッション材4が水平方向に伸縮することで発生する各層境界面での剥がれの可能性を低減できることになる。
【0028】
ここで、各層の接着力を強力にしておくことで線膨張による剥がれを防止する策も考えられるが、本実施形態によれば、該接着力のみに依存せずに剥がれを防止することができる。具体的に、本実施形態では、表面材5と基材層1はそれぞれ線膨張率の近似した材料を採用することにより、各層の線膨張の違いによる剥がれという不安要素を軽減している。特に、表面材5を、洗い場床材として広く一般に用いられているFRPよりも薄く且つ軟質なFRPにすることで、基材層1を表面材5と同質で従来同様のFRPを利用することができるため好ましい。尚、軟質のFRPは、親水素材となるため、洗い場床面上の排水性にとっても有利である。
【0029】
基材層1の凹部2より外方側に配置される表面材5の周縁部には、クッション層3と基材層1との間に水が浸入することを防止するために、表面材5の周縁部を例えばシリコンや目地部材等のシーリング材11で水密的にシールするシール部10が設けられている。
【0030】
このシーリング材11が設けられた表面材5の周縁部5aは、クッション材4を介さずに硬質の基材層1の縁部6に接着固定されているため、その周縁部5aに荷重がかかっても厚さ方向(鉛直方向)に大きく撓むことがなく、また撓むことがないため、撓んだ(沈み込んだ)状態から上方に大きく復元することもない。すなわち、周縁部5aが上下に大きく変動することがない。したがって、その周縁部5aに設けられたシーリング材11を引っ張ったり、浮き上がらせるような大きな応力が作用せず、シーリング材11が切れたり、外れたりすることがない。この結果、シール性及び見栄えを損ねない。
【0031】
硬質の縁部6の上にクッション材4を介さずに表面材5の周縁部5aを接着させた部分は、洗い場床の縁部全周にわたって設けてもよいし、あるいはシール切れの対策上特に必要とされる部分にのみ設けてもよい。ここで、「特に必要とされる部分」とは、洗い場床において使用者によって踏まれる頻度の高い縁部であり、例えば出入口部や排水口の周囲などの縁部である。逆に言えば、使用者によって踏まれにくく荷重がかかる心配が少ない例えばカウンター下の縁部などには上記構造を採用せずに、シーリング材11の近傍にクッション材4が存在する構造としてもよい。
【0032】
本実施形態によれば、洗い場床に柔らかさを付与しつつ、且つ、基材層1とクッション層3との間に水が浸入しないようにするためのシーリング材11が、長期に使用しても切れたり外れたりすることのない洗い場床を提供することができる。
【0033】
シール部10の外方側には浴室壁パネル50を載置するための壁パネル載置部6aが設けられている。基材層1の縁部6の上面において、シール部10と側壁部8との間の部分が壁パネル載置部6aとして機能する。
【0034】
シーリング材11は、表面材5の周縁部5aと基材層1との間、および壁パネル50と基材層1との間を兼用して水密的にシールする。シーリング材11は、浴室全体の意匠性を損ねてしまうという問題と、シーリング材11にカビなどの汚れが付着して意匠性を損ねてしまうという問題と、シリコンが切れたり、目地部材が外れたりするという問題があるため、極力、少なくすることが求められる。本実施形態では、表面材5の周縁部5aと基材層1との間のシールと、壁パネル50と基材層1との間のシールとを、同じ1箇所のシール部10で行うため一つのシーリング材11を兼用でき、シーリング材11が1個で済み、上記問題を抑制できる。
【0035】
壁パネル50は、硬質の縁部6の一部分である壁パネル載置部6aの上に載置され、クッション層3の上に載置されていないため、クッション層3のメンテナンス(交換)の際に浴室ユニットを解体しなくても済む。また、クッション層3の弾性変形によって壁パネル50が傾くなどして、壁パネル50及びその上の天井パネルの支持が不安定になることがない。
【0036】
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る浴室用洗い場床の模式断面図である。
【0037】
本実施形態に係る洗い場床も、硬質の基材層21と、基材層21の上に積層されたクッション性を有するクッション層3とを備える。本実施形態では、クッション層3は前述した第1の実施形態と同様に構成されるが、基材層21が第1の実施形態と異なる。
【0038】
基材層21は、浴室外に湯水を漏出させない防水性、および壁パネル50、天井パネル、風呂椅子、洗面器などの静荷重、使用者の動荷重を受けても撓んだり破損しない十分な強度を有し、例えば、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の熱硬化性樹脂、あるいはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂に補強を施したものから形成されている。
【0039】
基材層21は、浅底パン状の基材部22と、この基材部22の上面部(底面部)22a上に、基材部22とは別体として設けられた縁部材23とを有する。この縁部材23は、上記第1の実施形態における縁部6に対応し、縁部材23はクッション層3よりも硬質な材料からなる。また、基材部22の最外縁部には、上方に立ち上がった水返し壁として機能する側壁部24が設けられている。
【0040】
基材部22の上面部22aの上面はフラットに形成され、その上面における側壁部24近傍の縁部に、縁部材23が接着固定または溶着固定されている。縁部材23は、前述した第1の実施形態の縁部6と同様に、洗い場床の縁部全周にわたって設けてもよいし、あるいはシール切れの対策上特に必要とされる部分(出入口部や排水口の周囲など)にのみ設けてもよい。
【0041】
縁部材23の内側に凹部25が設けられている。縁部材23は凹部25の側壁として機能し、縁部材23の上面は、凹部25の上面(底面)よりも一段高くされている。
【0042】
クッション層3におけるクッション材4は、凹部25に全体が収容され、凹部25の上面(底面)に例えば両面テープ等の接着剤により接着固定される。
【0043】
表面材5は、クッション材4の上面及び凹部25を覆うようにクッション材4に積層される。表面材5の平面サイズは、クッション材4の平面サイズより大きく(縦横ともに長く形成されている)、表面材5においてクッション材4からはみ出る周縁部5aは、クッション材4を介さずに縁部材23の上面に積層され接着固定される。
【0044】
凹部25より外方側に配置される表面材5の周縁部には、クッション層3と、基材層21の縁部材23との間に水が浸入することを防止するために、表面材5の周縁部を例えばシリコンや目地部材等のシーリング材31で水密的にシールするシール部30が設けられている。
【0045】
このシーリング材31が設けられた表面材5の周縁部5aは、クッション材4を介さずに硬質の縁部材23に接着固定されているため、その周縁部5aに荷重がかかっても厚さ方向(鉛直方向)に大きく撓むことがなく、また撓むことがないため、撓んだ(沈み込んだ)状態から上方に大きく復元することもない。すなわち、周縁部5aが上下に大きく変動することがない。したがって、その周縁部5aに設けられたシーリング材31を引っ張ったり、浮き上がらせるような大きな応力が作用せず、シーリング材31が切れたり、外れたりすることがない。この結果、シール性及び見栄えを損ねない。
【0046】
したがって、本実施形態においても、洗い場床に柔らかさを付与しつつ、且つ、基材層21とクッション層3との間に水が浸入しないようにするためのシーリング材31が、長期に使用しても切れたり外れたりすることのない洗い場床を提供することができる。
【0047】
また、本実施形態では、第1の実施形態の基材層1のように上面部(底面部)と一体に縁部に段を設けた構造ではなく、シンプルな浅底パン形状の基材部22に対して別体で縁部材23を設けた構造であるため、既存の浴室ユニットを解体して洗い場床を交換することなく、既存の洗い場床パンをそのまま流用でき、容易に本実施形態の構造を適用可能である。
【0048】
また、シール部30の外方側には壁パネル50を載置するための壁パネル載置部22bが設けられている。基材部22の上面部22aの上面において、縁部材23が設けられた部分と側壁部24との間の部分が壁パネル載置部22bとして機能する。
【0049】
シーリング材31は、表面材5の周縁部5aと基材層縁部材23との間、および壁パネル50と縁部材23との間を兼用して水密的にシールする。シーリング材31は、浴室全体の意匠性を損ねてしまうという問題と、シーリング材31にカビなどの汚れが付着して意匠性を損ねてしまうという問題と、シリコンが切れたり、目地部材が外れたりするという問題があるため、極力、少なくすることが求められる。本実施形態においても、表面材5の周縁部5aと縁部材23との間のシールと、壁パネル50と縁部材23との間のシールとを、同じ1箇所のシール部30で行うため一つのシーリング材31を兼用でき、シーリング材31が1個で済み、上記問題を抑制できる。
【0050】
壁パネル50は、硬質の基材部22の一部分である壁パネル載置部22bの上に載置され、クッション層3の上に載置されていないため、クッション層3のメンテナンス(交換)の際に浴室ユニットを解体しなくても済む。また、クッション層3の弾性変形によって壁パネル50が傾くなどして、壁パネル50及びその上の天井パネルの支持が不安定になることがない。
【0051】
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係る浴室用洗い場床の模式断面図である。なお、前述した図4に示す第2の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施形態においても、第2の実施形態と同様、浅底パン状の基材部22の上面部(底面部)22a上に、基材部22とは別体に硬質の縁部材26が設けられ、この縁部材26の内側に凹部25が形成されている。
【0053】
そして、表面材5においてクッション材4からはみ出る周縁部5aは、クッション材4を介さずに縁部材26における内周側部分の上面に積層され接着固定されている。その表面材5の周縁部5aには、クッション層3と、基材層21の縁部材26との間に水が浸入することを防止するために、周縁部5aを例えばシリコンや目地部材等のシーリング材43で水密的にシールする第一シール部42が設けられている。
【0054】
このシーリング材43が設けられた表面材5の周縁部5aは、クッション材4を介さずに硬質の縁部材26に接着固定されているため、その周縁部5aに荷重がかかっても厚さ方向(鉛直方向)に大きく撓むことがなく、また撓むことがないため、撓んだ(沈み込んだ)状態から上方に大きく復元することもない。すなわち、周縁部5aが上下に大きく変動することがない。したがって、その周縁部5aに設けられたシーリング材43を引っ張ったり、浮き上がらせるような大きな応力が作用せず、シーリング材43が切れたり、外れたりすることがない。
【0055】
したがって、本実施形態においても、洗い場床に柔らかさを付与しつつ、且つ、基材層21とクッション層3との間に水が浸入しないようにするためのシーリング材43が、長期に使用しても切れたり外れたりすることのない洗い場床を提供することができる。
【0056】
基材部22の上面部22aの上面において、縁部材26が設けられた部分と側壁部24との間の部分は、壁パネル50が載置される壁パネル載置部22bとして機能する。第一シール部42より外方側には、壁パネル50と縁部材26との間に水が浸入することを防止するために、その部分を例えばシリコンや目地部材等のシーリング材41で水密的にシールする第二シール部40が設けられている。すなわち、本実施形態は、表面材5の周縁部5aと基材層縁部材26との間、および壁パネル50と縁部材26との間のシールを兼用させていない点で上記第2の実施形態と異なる。
【0057】
[第4の実施形態]
図6は、本発明の第4の実施形態に係る浴室用洗い場床の模式断面図である。なお、前述した実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施形態では、第1の実施形態における基材層1の上面部(底面部)上に、その上面部とは別体に硬質の縁部材62が設けられ、この縁部材62の内側に凹部2が形成されている。
【0059】
そして、表面材5においてクッション材4からはみ出る周縁部5aは、クッション材4を介さずに縁部材62の上面に積層され接着固定されている。その表面材5の周縁部5aには、クッション層3と縁部材62との間に水が浸入することを防止するために、その部分をシーリング材61で水密的にシールするシール部60が設けられている。本実施形態では、シーリング材61は、基材層1の縁部6の内周面と、縁部材62の外周面との間に押し込まれて挿入された硬質の目地部材である。
【0060】
本実施形態においても、シーリング材61近傍の周縁部5aは、クッション材4を介さずに硬質の縁部材62の上面に接着固定されているため、その周縁部5aに荷重がかかっても厚さ方向(鉛直方向)に大きく撓むことがなく、また撓むことがないため、撓んだ(沈み込んだ)状態から上方に大きく復元することもない。すなわち、周縁部5aが上下に大きく変動することがない。したがって、その周縁部5a近傍のシーリング材61を引っ張ったり、浮き上がらせるような大きな応力が作用せず、シーリング材61が切れたり、外れたりすることがない。
【0061】
したがって、本実施形態においても、洗い場床に柔らかさを付与しつつ、且つ、基材層1とクッション層3との間に水が浸入しないようにするためのシーリング材61が、長期に使用しても切れたり外れたりすることのない洗い場床を提供することができる。
【0062】
縁部材62より外方側の基材層1の縁部6の上面は、壁パネル50が載置される壁パネル載置部6aとして機能する。そして、壁パネル50と縁部6との間には例えばシリコンや目地部材等のシーリング材65が設けられ、そのシーリング材65によって、壁パネル50と縁部6との間に水が浸入することが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る浴室用洗い場床の模式断面図。
【図2】図1に示す洗い場床における基材層の模式平面図。
【図3】本発明の実施形態に係る洗い場床における表面材表面の拡大図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る浴室用洗い場床の模式断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る浴室用洗い場床の模式断面図。
【図6】本発明の第4の実施形態に係る浴室用洗い場床の模式断面図。
【符号の説明】
【0064】
1…基材層、2…凹部、3…クッション層、4…クッション材、5…表面材、6…基材層の縁部、6a…壁パネル載置部、10…シール部、11…シーリング材、21…基材層、23…縁部材、25…凹部、26…縁部材、30…シール部、31…シーリング材、40…第二シール部、42…第一シール部、50…壁パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部と、前記凹部より外方側であって且つ前記凹部の上面より高い位置に上面が設けられた縁部と、を有する硬質の基材層と、
前記基材層の上に積層され、クッション性を有するクッション層と、
前記基材層と前記クッション層との間に水が浸入することを防止するために、前記クッション層の周縁部をシーリング材で水密的にシールするシール部と、を備えた浴室用洗い場床であって、
前記クッション層は、前記基材層の前記凹部内に収容された弾性変形可能なクッション材と、前記凹部を覆うように前記クッション材の上に積層されると共に、前記クッション材を介さずに前記縁部の上面に積層される可撓性と耐水性を有する表面材と、を有しており、
前記シール部は、前記基材層の前記凹部より外方側の前記縁部上に配置される前記表面材の周縁部に設けたことを特徴とする浴室用洗い場床。
【請求項2】
前記シール部の外方側近傍には、浴室壁パネルを載置するための壁パネル載置部が設けられており、
前記シーリング材は、前記表面材の周縁部と前記基材層との間、および前記壁パネルと前記基材層との間を兼用して水密的にシールすることを特徴とする請求項1記載の浴室用洗い場床。
【請求項3】
前記シール部の外方側には、浴室壁パネルを載置するための壁パネル載置部が設けられており、
前記壁パネルと前記基材層との間をシーリング材で水密的にシールする第二シール部を設けたことを特徴とする請求項1記載の浴室用洗い場床。
【請求項4】
前記表面材は、前記クッション材よりもクッション性の小さい材料から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の浴室用洗い場床。
【請求項5】
前記基材層の一体成形により、前記凹部と前記縁部とが一体に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の浴室用洗い場床。
【請求項6】
前記基材層はフラットな上面部を有し、
前記縁部は、前記上面部の上に設けられ前記上面部とは別体の硬質な縁部材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の浴室用洗い場床。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−138436(P2009−138436A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316205(P2007−316205)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【特許番号】特許第4186127号(P4186127)
【特許公報発行日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】