浴槽用手摺り
【課題】手摺りを設けた本体具の強度を確保しつつ軽量化することができ、しかも本体具と押圧受け具の間隔を調整する操作をスムーズに行なうことができると共に本体具と押圧受け具を堅固に結合することができる浴槽用手摺りを提供する。
【解決手段】浴槽の側壁1の上端面と一方の側面にそれぞれ対向するように配置される上片2と縦片3を設けて形成され、手摺り4を取り付けた本体具5と、浴槽の側壁1の他方の側面に対向して配置される押圧受け板6を設けて形成される押圧受け具7とを備えた浴槽用手摺りに関する。本体具5の上片2の上面に補強リブ10を設けると共に補強リブ10の間においてスライド溝11を形成する。押圧受け具7の上端部に水平方向に突出して設けられたスライドバー12をスライド溝11にスライド自在に差し込むと共に上片2にスライドバー12をビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を結合する。
【解決手段】浴槽の側壁1の上端面と一方の側面にそれぞれ対向するように配置される上片2と縦片3を設けて形成され、手摺り4を取り付けた本体具5と、浴槽の側壁1の他方の側面に対向して配置される押圧受け板6を設けて形成される押圧受け具7とを備えた浴槽用手摺りに関する。本体具5の上片2の上面に補強リブ10を設けると共に補強リブ10の間においてスライド溝11を形成する。押圧受け具7の上端部に水平方向に突出して設けられたスライドバー12をスライド溝11にスライド自在に差し込むと共に上片2にスライドバー12をビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を結合する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽への出入りを補助するために、浴槽の側壁に取り付けて使用される浴槽用手摺りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者などの入浴を介護するために、浴槽の側壁に取り付けて使用される浴槽用手摺りが従来から提供されている。この浴槽用手摺りに掴まることによって、浴槽の側壁を乗り越えて浴槽に出入りすることなどが容易になるものである。ここで、浴槽の側壁の厚みは、浴槽毎に異なるので、この種の浴槽用手摺りは幅調整をして浴槽の側壁に取り付けることができるようにしてある(例えば特許文献1、特許文献2等参照)。
【0003】
図13は特許文献2で提供されている浴槽用手摺りの一例を示すものであり、断面倒L型の本体具5に手摺り4を設け、断面逆向き倒L型の押圧受け具7を本体具5に重ね合わせて、ビス13止めすることによって、本体具5に押圧受け具7を結合するようにしてある。また押圧受け具7には操作ハンドル8が設けてあり、操作ハンドル8を回すことによって、押圧板9を前進後退移動させることができるようにしてある。
【0004】
そしてこの浴槽用手摺りは、本体具5と押圧受け具7を別部材に形成してあるので、本体具5に対する押圧受け具7の重ね合わせの結合位置を調整することによって、浴槽の側壁の大よその厚みに合わせた後、操作ハンドル8を回して押圧板9を前進させて、押圧板9を浴槽の側壁の側面に圧接させることによって、浴槽の側壁に取り付けることができるものである。
【0005】
ここで、浴槽の側壁の厚みは、浴槽ごとに大きく異なるが、本体具5に対する押圧受け具7の重ね合わせの結合位置を調整して、本体具5と押圧受け具7の間隔を調節することによって、浴槽の側壁の厚みに対応することができるので、種々の浴槽に浴槽用手摺りを取り付けることが可能になるのである。また浴槽の側壁の厚みが薄い場合、側壁の厚みに合わせて本体具5と押圧受け具7の間隔を狭く調節しておけば、押圧板9を前進させる距離が短くなって、操作ハンドル8を回転させる回数を少なくすることができ、浴槽への浴槽用手摺りの取り付けを容易に行なうことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−261327号公報
【特許文献2】特開2005−261327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように本体具5と押圧受け具7を別部材に形成した浴槽用手摺りにあって、手摺り4が設けられる本体具5には入浴する人の体重が直接的に作用するので、高い強度が必要である。特に本体具5の上片2は押圧受け具7を結合する箇所であるために、強度が必要とされる。このため、本体具5は肉厚を厚く形成して強度を高めたり、あるいは鋼材のように強度が高い材料で形成したりされており、浴槽用手摺りの全体の重量が重くなるという問題があった。
【0008】
浴槽用手摺りは、通常は浴槽から外しておき、高齢者等が入浴する際に浴槽に取り付けて使用するということが多いので、このように浴槽用手摺りの重量が重いと、浴槽用手摺りを取り付けたり取り外したりする際の取り扱い性が悪くなるものである。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、手摺りを設けた本体具の強度を確保しつつ軽量化することができ、しかも本体具と押圧受け具の間隔を調整する操作をスムーズに行なうことができると共に本体具と押圧受け具を堅固に結合することができる浴槽用手摺りを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る浴槽用手摺りは、浴槽の側壁1の上端面と一方の側面にそれぞれ対向するように配置される上片2と縦片3を設けて形成され、手摺り4を取り付けた本体具5と、浴槽の側壁1の他方の側面に対向して配置される押圧受け板6を設けて形成される押圧受け具7と、本体具5の縦片3の外側に設けられた操作ハンドル8と、縦片3の内側に設けられ、操作ハンドル8の操作で浴槽の側壁1の上記一方の側面に近接離反する方向で移動する押圧板9と、本体具5の上片2の上面に設けられた、押圧板9の移動方向と平行な方向に長い複数の補強リブ10と、補強リブ10の間においてこの上片2の上面に形成されたスライド溝11と、押圧受け具7の上端部に水平方向に突出して設けられたスライドバー12とを備え、スライド溝11にスライドバー12をスライド自在に差し込むと共に上片2にスライドバー12をビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を結合して成ることを特徴とするものである。
【0011】
この発明によれば、本体具5の上片2の上面に補強リブ10を設けているので、補強リブ10で上片2を補強することができ、強度を低下させることなく上片2の厚みを薄くしたり、軽量なアルミニウムなどで形成したりすることが可能になり、軽量化することができるものである。また、補強リブ10の間に形成されるスライド溝11に押圧受け具7のスライドバー12をスライド自在に差し込むと共にビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を結合するので、補強リブ10の間に形成されるスライド溝11を利用してスライドバー12を位置決めした状態でスライドさせることができ、本体具5と押圧受け具7の間隔の調整をスムーズに行なうことができると共に、スライドバー12はスライド溝11内にはめ込まれた状態で位置が固定されることになって、本体具5と押圧受け具7を堅固に結合することができるものである。
【0012】
また本発明は、押圧受け具7のスライドバー12の複数箇所に設けた通孔14に通したビス13を、本体具5の上片2に設けたねじ孔15に螺合することによって、本体具5に押圧受け具7を結合するようにし、複数箇所の通孔14のうち所定の通孔14がねじ孔15に合致する位置を示す位置決め用の目印16をスライドバー12に設けて成ることを特徴とするものである。
【0013】
この発明によれば、スライドバー12をスライドさせて本体具5と押圧受け具7の間隔を調整した後に、スライドバー12の通孔14から上片2のねじ孔15にビス13を螺合するにあたって、ねじ孔15に対する通孔14の位置合せを位置決め用目印16を利用して行なうことができ、本体具5と押圧受け具7を結合する操作を容易に行なうことができるものである。
【0014】
また本発明は、本体具5の上片2と縦片3を断面倒L字形に一体に形成し、上記の補強リブ10を、上片2の上面から縦片3の外面に亘って形成して成ることを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、上片2と縦片3とから形成される本体具5の全体を補強リブ10で補強することができ、本体具5の全体を軽量に形成することが可能になって、軽量化の効果をより高く得ることができるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本体具5の上片2の上面に補強リブ10を設けているので、補強リブ10で上片2を補強することができ、強度を低下させることなく上片2の厚みを薄くしたり、軽量なアルミニウムなどで形成したりすることが可能になり、軽量化することができるものである。また、補強リブ10の間において上片2の上面にスライド溝11を形成し、押圧受け具7のスライドバー12をスライド溝11にスライド自在に差し込むと共にビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を結合するようにしたので、補強リブ10の間に形成されるスライド溝11を利用してスライドバー12を位置決めした状態でスライドさせることができ、本体具5と押圧受け具7の間隔の調整をスムーズに行なうことができると共に、スライドバー12はスライド溝11内にはめ込まれた状態で位置が固定されることになって、本体具5と押圧受け具7を堅固に結合することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る浴槽用手摺りの実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上の浴槽用手摺りを浴槽の側壁に取り付けた状態の斜視図である。
【図4】同上の浴槽用手摺りの実施の形態の正面図である。
【図5】同上の浴槽用手摺りの実施の形態の正面断面図である。
【図6】同上の浴槽用手摺りの実施の形態を示すものであり、(a)は右側面図、(b)は左側面図、(c)は平面図、(d)は底面図である。
【図7】本発明に係る浴槽用手摺りの他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図8】同上の分解斜視図である。
【図9】同上の浴槽用手摺りの他の使用形態の斜視図である。
【図10】同上の浴槽用手摺りを浴槽の側壁に取り付けた状態の斜視図である。
【図11】同上の浴槽用手摺りの実施の形態の正面図である。
【図12】同上の浴槽用手摺りの実施の形態を示すものであり、(a)は右側面図、(b)は左側面図、(c)は平面図、(d)は底面図である。
【図13】従来例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は一部の拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1乃至図6は本発明の実施の形態の一例を示すものである。本体具5は縦片3の上端に上片2を一体に屈曲して設けることによって、断面倒L字形に形成されるものである。そして上片2の上面から縦片3の外側面にかけて補強リブ10が突設してある。補強リブ10は上片2の先端から、上片2と縦片3の屈曲部を介して、縦片3の下端に至るように長いリブとして形成してある。補強リブ10は複数本設けられるものであり、図1乃至図6の実施の形態では2本の補強リブ10を平行に設けるようにしてある。このように2本の補強リブ10を平行に設けることによって、図2に示すように、上片2の上面に補強リブ10間においてスライド溝11が形成されるものである。このスライド溝11には、上片2の先端付近において、内周に雌ねじ溝を形成したねじ孔15が穿設してある。図2の実施の形態では、ねじ孔15はスライド溝11に沿った2ヶ所に設けるようにしてある。また上片2の下面にはゴムシートなどの滑り止めシート19が貼ってある。
【0020】
本体具5の縦片3には手摺り4が取り付けてある。手摺り4は、縦片3の両側端の外面にねじ20で固定される一対の支柱21と、両支柱21の上端間に掛け渡して固定される環状の握り22とで形成されるものであり、握り22は本体具5の上片2の上方に配置されるようになっている。
【0021】
また本体具5の縦片3には操作ハンドル8が設けてある。縦片3の中央部には図5のように雌ねじ筒24が縦片3の内外に開口するように取り付けてあり、この雌ねじ筒24に通してボルト軸25が取り付けてある。雌ねじ筒24の内周には雌ねじが、ボルト軸25の外周には雄ねじがそれぞれ形成してあり、雌ねじ筒24の雌ねじにボルト軸25の雄ねじを螺合させてある。ボルト軸25の縦片3の外方へ突出する先端にはハンドルノブ26が取り付けてある。またボルト軸25の縦片3の内方へ突出する先端には押圧板9が取り付けてある。押圧板9は四角板として形成されるものであり、図5に示すように、その背面をボルト軸25の先端に固定軸27で遊びをもって取り付けてあり、上下左右に揺動回動できるようにしてある。押圧板9の表面側にはゴムシートなどの滑り止めシート28が貼ってある。
【0022】
上記のハンドルノブ26、ボルト軸25、雌ねじ筒24で操作ハンドル8が形成されるものであり、ハンドルノブ26を握ってボルト軸25を回すと、雌ねじ筒24に螺合しているボルト軸25は回す方向に応じて前進あるいは後進する。そしてこのボルト軸25の前後進によって、押圧板9は縦片3から離れる方向に前進し、また縦片3に近付く方向に後進するものである。
【0023】
押圧受け具7は、コ字形のグリップ35を設けた縦部材36の上端に、グリップ35と反対側へ水平に屈曲してスライドバー12を延設することによって、図2のように倒L字形に形成されるものである。縦部材36の内側には上記の押圧板9と同じ大きさの押圧受け板6が取り付けてある。押圧受け板6は図5に示すように、縦部材36に通した固定軸37によって遊びをもって取り付けてあり、上下左右に揺動回動できるようにしてある。押圧受け板6の表面側にはゴムシートなどの滑り止めシート38が貼ってある。
【0024】
押圧受け具7のスライドバー12は、幅寸法をスライド溝11の溝幅(補強リブ10の間隔)とほぼ等しい寸法に、厚みを補強リブ10の高さ(スライド溝11の溝深さ)とほぼ等しい寸法に形成してある。またスライドバー12には全長に亘る範囲で、等間隔で複数の通孔14が設けてある。この通孔14は上記の本体具5の上片2に設けた一対のねじ孔15の間隔と同じ間隔で設けてあり、通孔14はねじ孔15より多い個数で設けられるものである。図2の実施の形態では4個の通孔14a〜14dを設けるようにしてある。またスライドバー12にはその長手方向に沿って等間隔で位置決め用目印16が設けてある。この位置決め用目印16はスライドバー12の上面を幅方向に横切る線状の溝として形成してある。
【0025】
本体具5に押圧受け具7を取り付けて結合することによって、本発明の浴槽用手摺りAを組み立てることができるものある。すなわち図1に示すように、本体具5の上片2のスライド溝11内に押圧受け具7のスライドバー12を差し込み、スライドバー12の通孔14のうち一対の通孔14からビス13を、上片2に設けた一対のねじ孔15にねじ込むことによって、スライドバー12を上片2にビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を取り付けて結合することができるものである。
【0026】
このとき、スライド溝11内にスライドバー12を差し込んで、スライド溝11に対してスライドバー12を前後にスライドさせると、押圧受け具7に設けた押圧受け板6は本体具5に設けた押圧板9に対して近接離反させる方向に移動することになり、押圧受け板6と押圧板9の間隔を調整することができる。このため、浴槽の側壁1の厚みに応じて、スライドバー12をスライドさせて、押圧受け板6と押圧板9の間隔を容易に調整することができるものである。図1、図3、図5に示す実施の形態では、スライド溝11にスライドバー12を最も深く差し込んで、スライドバー12に設けた通孔14のうち、基部の一対の通孔14a,14bに通したビス13を上片2のねじ孔15にねじ込み、押圧受け板6と押圧板9の間隔を最も狭くした状態で、本体具5に押圧受け具7を結合するようにしてある。
【0027】
ここで、上記のように上片2の一対のねじ孔15にスライドバー12の基部の通孔14a,14bが合致したときに、スライドバー12に複数本設けた位置決め用目印16のうち、最も基部の位置決め用目印16aが、補強リブ10に形成した位置決め基準点39に合致するように設定してある。図の実施の形態では、補強リブ10の先端縁を基準点39として設定してある。従って、この位置決め用目印16aが位置決め基準点39に合致するようにスライドバー12をスライド溝11に差し込むと、通孔14a,14bはねじ孔15に合致することになり、ねじ孔15がスライドバー12の下側に隠れて見えないにも拘らず、通孔14a,14bからねじ孔15にビス13を容易にねじ込むことができるものである。
【0028】
また、二番目の位置決め用目印16bは、通孔14b,14cが一対のねじ孔15に合致したときに、位置決め基準点39に合致することになる位置でスライドバー12に設けてあり、三番目の位置決め用目印16cは、通孔14c,14dが一対のねじ孔15に合致したときに、位置決め基準点39に合致することになる位置でスライドバー12に設けてある。従って、位置決め用目印16bを位置決め基準点39に合致させた状態でスライドバー12をスライド溝11に差し込むと、通孔14b,14cからねじ孔15にビス13を容易にねじ込むことができるものであり、位置決め用目印16cを位置決め基準点39に合致させた状態でスライドバー12をスライド溝11に差し込むと、通孔14c,14dからねじ孔15にビス13を容易にねじ込むことができるものである。
【0029】
そして、本体具5に設けた押圧板9が浴槽の外側、押圧受け具7に設けた押圧受け具7が浴槽の内側となるように、浴槽の側壁1の上端部に本発明の浴槽用手摺りAを被せて配置し、本体具5の上片2を浴槽の側壁1の上端面に載置する。この後、ハンドルノブ26を握って操作することによってボルト軸25を回し、押圧板9を前進させると、押圧板9が側壁1の外面に、押圧受け板6が側壁1の内面に圧接して、押圧板9と押圧受け板6の間に側壁1が挟みこまれて、図3のように浴槽の側壁1の上端部に浴槽用手摺りAを取り付けることができるものである。
【0030】
このように浴槽の側壁1に取り付けた浴槽用手摺りAの手摺り4に掴まることによって、例えば浴槽に出入りするために側壁1を跨ぐ際の補助とすることができるものである。また浴槽用手摺りAには浴槽の内側に突出するようにグリップ35が設けてあるので、浴槽内に座った姿勢から立ち上がるときにこのグリップ35を握ることによって、立ち上がりの補助とすることができるものである。
【0031】
ここで、図5に示すように、ハンドルノブ26はボルト軸25の先端に押さえ軸30で止めて、ボルト軸25の軸回りに回動自在に取り付けてある。またボルト軸25の外周にロック座金受け31が固定して取り付けてあり、このロック座金受け31とハンドルノブ26の間にトルクロック座金32が設けてある。ハンドルノブ26はトルクロック座金32を介してロック座金受け31に結合されているものである。そしてハンドルノブ26を握って回すと、この回転力はトルクロック座金32を介してロック座金受け31に伝わり、ボルト軸25を回動させることができ、ボルト軸25を前進させて押圧板9を前進移動させることができる。このとき、押圧板9が浴槽の側壁1に当接した状態で、さらにハンドルノブ26を回そうとすると、ハンドルノブ26を回す際の回動力が過大になるが、回動力が過大になるとトルクロック座金32が空回りして、ハンドルノブ26を回し操作する回動力がボルト軸25に伝わらなくなる。従って、押圧板9が浴槽の側壁1に接している状態で、ハンドルノブ26を過大な強い力で回しても、ハンドルノブ26からの力はボルト軸25へ伝わらないものであり、過大な力で押圧板9が浴槽の側壁1に圧接されることを防止して、浴槽の側壁1が破損等することを防ぐことができるものである。
【0032】
そして上記のように形成される浴槽用手摺りAにあって、手摺り4を設けた本体具5は、その上片2や縦片3に補強リブ10が設けてあるので、補強リブ10で上片2や縦片3を補強することができるものである。従って、強度を低下させることなく上片2や縦片3の厚みを薄くすることが可能になり、また強度は高くないが軽量なアルミニウムなどで上片2や縦片3を形成することも可能になるものであり、浴槽用手摺りAを軽量化することができるものである。
【0033】
また、押圧受け具7のスライドバー12はスライド溝11内に差し込んで嵌合した状態で、ねじ孔15にビス13を螺合して、上片2に固定されている。このため、スライドバー12にその幅方向に移動させるような応力やねじれさせるような応力が作用しても、スライドバー12はスライド溝11内において両側の補強リブ10で幅方向やねじれ方向の移動が規制されるものであり、ビス13の部分に応力が集中して、ねじ孔15からビス13が外れるようなことがなくなり、本体具5に対する押圧受け具7の結合を堅固なものにすることができるものである。
【0034】
図7乃至図12は本発明の他の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、押圧受け具7として一対のものを用いるようにしている。
【0035】
本体具5の上片2と縦片3には、中央と両側端の三箇所に補強リブ10を設け、各補強リブ10間に2つのスライド溝11が形成されるようにしてある。3本の補強リブ10は、中央の補強リブ10の幅寸法が両側端の補強リブ10よりも広くなるように形成してある。また一対の押圧受け具7において、各受け具7の押圧受け板6は、本体具5の押圧板9を左右に二分割した大きさに形成してある。その他の構成は、上記の図1〜6のものと同じである。
【0036】
この実施の形態では、一対の押圧受け具7を本体具5に取り付けることによって、図7のように浴槽用手摺りAを組み立てることができるものであり、また図10のように浴槽の側壁1の上端部に浴槽用手摺りAを取り付けることができるものである。
【0037】
ここで、一対の押圧受け具7は本体具5に独立して取り付けられるものである。従って図7のように各押圧受け具7のスライドバー12を本体具5のスライド溝11の同じ位置に結合して、本体具5の押圧板9と各押圧受け具7の押圧受け板6の間隔が同じになるように設定する他に、図9のように、各押圧受け具7のスライドバー12をスライド溝11の異なる位置に結合することによって、押圧板9に対する各押圧受け具7の押圧受け板6の間隔を異なるようにすることができるものである。図9の実施の形態において、一方のスライドバー12は4つの通孔14のうち通孔14b,14cにビス13を通して、本体具5のねじ孔15にねじ込んで固定するようにしてある。この場合、スライドバー12に設けた3本の位置決め用目印16のうち位置決め用目印16bを、補強リブ10の先端縁を位置決め基準点39として合致させることによって、通孔14b,14cが一対のビス13に合致するようになっている。また他方のスライドバー12は4つの通孔14のうち通孔14c,14dにビス13を通して、本体具5のねじ孔15にねじ込んで固定するようにしてある。この場合、スライドバー12に設けた3本の位置決め用目印16のうち位置決め用目印16cを、補強リブ10の先端縁の位置決め基準点39に合致させることによって、通孔14c,14dが一対のビス13に合致するようになっている。
【0038】
浴槽の側壁1は同じ厚みが連続するとは限らず、部分的に厚みが異なる箇所がある。特に浴槽のコーナーの部分では側壁1の厚みが徐々に厚くなる場合が多い。このように側壁1の厚みが変化する箇所では、その厚みに応じて、押圧板9と左右一対の押圧受け板6の各間隔を変えることによって、がたつきなく安定して、浴槽の側壁1に浴槽用手摺りAを取り付けることができるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 側壁
2 上片
3 縦片
4 手摺り
5 本体具
6 押圧受け板
7 押圧受け具
8 操作ハンドル
9 押圧板
10 補強リブ
11 スライド溝
12 スライドバー
13 ビス
14 通孔
15 ねじ孔
16 位置決め用目印
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽への出入りを補助するために、浴槽の側壁に取り付けて使用される浴槽用手摺りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者などの入浴を介護するために、浴槽の側壁に取り付けて使用される浴槽用手摺りが従来から提供されている。この浴槽用手摺りに掴まることによって、浴槽の側壁を乗り越えて浴槽に出入りすることなどが容易になるものである。ここで、浴槽の側壁の厚みは、浴槽毎に異なるので、この種の浴槽用手摺りは幅調整をして浴槽の側壁に取り付けることができるようにしてある(例えば特許文献1、特許文献2等参照)。
【0003】
図13は特許文献2で提供されている浴槽用手摺りの一例を示すものであり、断面倒L型の本体具5に手摺り4を設け、断面逆向き倒L型の押圧受け具7を本体具5に重ね合わせて、ビス13止めすることによって、本体具5に押圧受け具7を結合するようにしてある。また押圧受け具7には操作ハンドル8が設けてあり、操作ハンドル8を回すことによって、押圧板9を前進後退移動させることができるようにしてある。
【0004】
そしてこの浴槽用手摺りは、本体具5と押圧受け具7を別部材に形成してあるので、本体具5に対する押圧受け具7の重ね合わせの結合位置を調整することによって、浴槽の側壁の大よその厚みに合わせた後、操作ハンドル8を回して押圧板9を前進させて、押圧板9を浴槽の側壁の側面に圧接させることによって、浴槽の側壁に取り付けることができるものである。
【0005】
ここで、浴槽の側壁の厚みは、浴槽ごとに大きく異なるが、本体具5に対する押圧受け具7の重ね合わせの結合位置を調整して、本体具5と押圧受け具7の間隔を調節することによって、浴槽の側壁の厚みに対応することができるので、種々の浴槽に浴槽用手摺りを取り付けることが可能になるのである。また浴槽の側壁の厚みが薄い場合、側壁の厚みに合わせて本体具5と押圧受け具7の間隔を狭く調節しておけば、押圧板9を前進させる距離が短くなって、操作ハンドル8を回転させる回数を少なくすることができ、浴槽への浴槽用手摺りの取り付けを容易に行なうことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−261327号公報
【特許文献2】特開2005−261327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように本体具5と押圧受け具7を別部材に形成した浴槽用手摺りにあって、手摺り4が設けられる本体具5には入浴する人の体重が直接的に作用するので、高い強度が必要である。特に本体具5の上片2は押圧受け具7を結合する箇所であるために、強度が必要とされる。このため、本体具5は肉厚を厚く形成して強度を高めたり、あるいは鋼材のように強度が高い材料で形成したりされており、浴槽用手摺りの全体の重量が重くなるという問題があった。
【0008】
浴槽用手摺りは、通常は浴槽から外しておき、高齢者等が入浴する際に浴槽に取り付けて使用するということが多いので、このように浴槽用手摺りの重量が重いと、浴槽用手摺りを取り付けたり取り外したりする際の取り扱い性が悪くなるものである。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、手摺りを設けた本体具の強度を確保しつつ軽量化することができ、しかも本体具と押圧受け具の間隔を調整する操作をスムーズに行なうことができると共に本体具と押圧受け具を堅固に結合することができる浴槽用手摺りを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る浴槽用手摺りは、浴槽の側壁1の上端面と一方の側面にそれぞれ対向するように配置される上片2と縦片3を設けて形成され、手摺り4を取り付けた本体具5と、浴槽の側壁1の他方の側面に対向して配置される押圧受け板6を設けて形成される押圧受け具7と、本体具5の縦片3の外側に設けられた操作ハンドル8と、縦片3の内側に設けられ、操作ハンドル8の操作で浴槽の側壁1の上記一方の側面に近接離反する方向で移動する押圧板9と、本体具5の上片2の上面に設けられた、押圧板9の移動方向と平行な方向に長い複数の補強リブ10と、補強リブ10の間においてこの上片2の上面に形成されたスライド溝11と、押圧受け具7の上端部に水平方向に突出して設けられたスライドバー12とを備え、スライド溝11にスライドバー12をスライド自在に差し込むと共に上片2にスライドバー12をビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を結合して成ることを特徴とするものである。
【0011】
この発明によれば、本体具5の上片2の上面に補強リブ10を設けているので、補強リブ10で上片2を補強することができ、強度を低下させることなく上片2の厚みを薄くしたり、軽量なアルミニウムなどで形成したりすることが可能になり、軽量化することができるものである。また、補強リブ10の間に形成されるスライド溝11に押圧受け具7のスライドバー12をスライド自在に差し込むと共にビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を結合するので、補強リブ10の間に形成されるスライド溝11を利用してスライドバー12を位置決めした状態でスライドさせることができ、本体具5と押圧受け具7の間隔の調整をスムーズに行なうことができると共に、スライドバー12はスライド溝11内にはめ込まれた状態で位置が固定されることになって、本体具5と押圧受け具7を堅固に結合することができるものである。
【0012】
また本発明は、押圧受け具7のスライドバー12の複数箇所に設けた通孔14に通したビス13を、本体具5の上片2に設けたねじ孔15に螺合することによって、本体具5に押圧受け具7を結合するようにし、複数箇所の通孔14のうち所定の通孔14がねじ孔15に合致する位置を示す位置決め用の目印16をスライドバー12に設けて成ることを特徴とするものである。
【0013】
この発明によれば、スライドバー12をスライドさせて本体具5と押圧受け具7の間隔を調整した後に、スライドバー12の通孔14から上片2のねじ孔15にビス13を螺合するにあたって、ねじ孔15に対する通孔14の位置合せを位置決め用目印16を利用して行なうことができ、本体具5と押圧受け具7を結合する操作を容易に行なうことができるものである。
【0014】
また本発明は、本体具5の上片2と縦片3を断面倒L字形に一体に形成し、上記の補強リブ10を、上片2の上面から縦片3の外面に亘って形成して成ることを特徴とするものである。
【0015】
この発明によれば、上片2と縦片3とから形成される本体具5の全体を補強リブ10で補強することができ、本体具5の全体を軽量に形成することが可能になって、軽量化の効果をより高く得ることができるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、本体具5の上片2の上面に補強リブ10を設けているので、補強リブ10で上片2を補強することができ、強度を低下させることなく上片2の厚みを薄くしたり、軽量なアルミニウムなどで形成したりすることが可能になり、軽量化することができるものである。また、補強リブ10の間において上片2の上面にスライド溝11を形成し、押圧受け具7のスライドバー12をスライド溝11にスライド自在に差し込むと共にビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を結合するようにしたので、補強リブ10の間に形成されるスライド溝11を利用してスライドバー12を位置決めした状態でスライドさせることができ、本体具5と押圧受け具7の間隔の調整をスムーズに行なうことができると共に、スライドバー12はスライド溝11内にはめ込まれた状態で位置が固定されることになって、本体具5と押圧受け具7を堅固に結合することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る浴槽用手摺りの実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上の浴槽用手摺りを浴槽の側壁に取り付けた状態の斜視図である。
【図4】同上の浴槽用手摺りの実施の形態の正面図である。
【図5】同上の浴槽用手摺りの実施の形態の正面断面図である。
【図6】同上の浴槽用手摺りの実施の形態を示すものであり、(a)は右側面図、(b)は左側面図、(c)は平面図、(d)は底面図である。
【図7】本発明に係る浴槽用手摺りの他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図8】同上の分解斜視図である。
【図9】同上の浴槽用手摺りの他の使用形態の斜視図である。
【図10】同上の浴槽用手摺りを浴槽の側壁に取り付けた状態の斜視図である。
【図11】同上の浴槽用手摺りの実施の形態の正面図である。
【図12】同上の浴槽用手摺りの実施の形態を示すものであり、(a)は右側面図、(b)は左側面図、(c)は平面図、(d)は底面図である。
【図13】従来例を示すものであり、(a)は正面図、(b)は一部の拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1乃至図6は本発明の実施の形態の一例を示すものである。本体具5は縦片3の上端に上片2を一体に屈曲して設けることによって、断面倒L字形に形成されるものである。そして上片2の上面から縦片3の外側面にかけて補強リブ10が突設してある。補強リブ10は上片2の先端から、上片2と縦片3の屈曲部を介して、縦片3の下端に至るように長いリブとして形成してある。補強リブ10は複数本設けられるものであり、図1乃至図6の実施の形態では2本の補強リブ10を平行に設けるようにしてある。このように2本の補強リブ10を平行に設けることによって、図2に示すように、上片2の上面に補強リブ10間においてスライド溝11が形成されるものである。このスライド溝11には、上片2の先端付近において、内周に雌ねじ溝を形成したねじ孔15が穿設してある。図2の実施の形態では、ねじ孔15はスライド溝11に沿った2ヶ所に設けるようにしてある。また上片2の下面にはゴムシートなどの滑り止めシート19が貼ってある。
【0020】
本体具5の縦片3には手摺り4が取り付けてある。手摺り4は、縦片3の両側端の外面にねじ20で固定される一対の支柱21と、両支柱21の上端間に掛け渡して固定される環状の握り22とで形成されるものであり、握り22は本体具5の上片2の上方に配置されるようになっている。
【0021】
また本体具5の縦片3には操作ハンドル8が設けてある。縦片3の中央部には図5のように雌ねじ筒24が縦片3の内外に開口するように取り付けてあり、この雌ねじ筒24に通してボルト軸25が取り付けてある。雌ねじ筒24の内周には雌ねじが、ボルト軸25の外周には雄ねじがそれぞれ形成してあり、雌ねじ筒24の雌ねじにボルト軸25の雄ねじを螺合させてある。ボルト軸25の縦片3の外方へ突出する先端にはハンドルノブ26が取り付けてある。またボルト軸25の縦片3の内方へ突出する先端には押圧板9が取り付けてある。押圧板9は四角板として形成されるものであり、図5に示すように、その背面をボルト軸25の先端に固定軸27で遊びをもって取り付けてあり、上下左右に揺動回動できるようにしてある。押圧板9の表面側にはゴムシートなどの滑り止めシート28が貼ってある。
【0022】
上記のハンドルノブ26、ボルト軸25、雌ねじ筒24で操作ハンドル8が形成されるものであり、ハンドルノブ26を握ってボルト軸25を回すと、雌ねじ筒24に螺合しているボルト軸25は回す方向に応じて前進あるいは後進する。そしてこのボルト軸25の前後進によって、押圧板9は縦片3から離れる方向に前進し、また縦片3に近付く方向に後進するものである。
【0023】
押圧受け具7は、コ字形のグリップ35を設けた縦部材36の上端に、グリップ35と反対側へ水平に屈曲してスライドバー12を延設することによって、図2のように倒L字形に形成されるものである。縦部材36の内側には上記の押圧板9と同じ大きさの押圧受け板6が取り付けてある。押圧受け板6は図5に示すように、縦部材36に通した固定軸37によって遊びをもって取り付けてあり、上下左右に揺動回動できるようにしてある。押圧受け板6の表面側にはゴムシートなどの滑り止めシート38が貼ってある。
【0024】
押圧受け具7のスライドバー12は、幅寸法をスライド溝11の溝幅(補強リブ10の間隔)とほぼ等しい寸法に、厚みを補強リブ10の高さ(スライド溝11の溝深さ)とほぼ等しい寸法に形成してある。またスライドバー12には全長に亘る範囲で、等間隔で複数の通孔14が設けてある。この通孔14は上記の本体具5の上片2に設けた一対のねじ孔15の間隔と同じ間隔で設けてあり、通孔14はねじ孔15より多い個数で設けられるものである。図2の実施の形態では4個の通孔14a〜14dを設けるようにしてある。またスライドバー12にはその長手方向に沿って等間隔で位置決め用目印16が設けてある。この位置決め用目印16はスライドバー12の上面を幅方向に横切る線状の溝として形成してある。
【0025】
本体具5に押圧受け具7を取り付けて結合することによって、本発明の浴槽用手摺りAを組み立てることができるものある。すなわち図1に示すように、本体具5の上片2のスライド溝11内に押圧受け具7のスライドバー12を差し込み、スライドバー12の通孔14のうち一対の通孔14からビス13を、上片2に設けた一対のねじ孔15にねじ込むことによって、スライドバー12を上片2にビス13止め固定することによって、本体具5に押圧受け具7を取り付けて結合することができるものである。
【0026】
このとき、スライド溝11内にスライドバー12を差し込んで、スライド溝11に対してスライドバー12を前後にスライドさせると、押圧受け具7に設けた押圧受け板6は本体具5に設けた押圧板9に対して近接離反させる方向に移動することになり、押圧受け板6と押圧板9の間隔を調整することができる。このため、浴槽の側壁1の厚みに応じて、スライドバー12をスライドさせて、押圧受け板6と押圧板9の間隔を容易に調整することができるものである。図1、図3、図5に示す実施の形態では、スライド溝11にスライドバー12を最も深く差し込んで、スライドバー12に設けた通孔14のうち、基部の一対の通孔14a,14bに通したビス13を上片2のねじ孔15にねじ込み、押圧受け板6と押圧板9の間隔を最も狭くした状態で、本体具5に押圧受け具7を結合するようにしてある。
【0027】
ここで、上記のように上片2の一対のねじ孔15にスライドバー12の基部の通孔14a,14bが合致したときに、スライドバー12に複数本設けた位置決め用目印16のうち、最も基部の位置決め用目印16aが、補強リブ10に形成した位置決め基準点39に合致するように設定してある。図の実施の形態では、補強リブ10の先端縁を基準点39として設定してある。従って、この位置決め用目印16aが位置決め基準点39に合致するようにスライドバー12をスライド溝11に差し込むと、通孔14a,14bはねじ孔15に合致することになり、ねじ孔15がスライドバー12の下側に隠れて見えないにも拘らず、通孔14a,14bからねじ孔15にビス13を容易にねじ込むことができるものである。
【0028】
また、二番目の位置決め用目印16bは、通孔14b,14cが一対のねじ孔15に合致したときに、位置決め基準点39に合致することになる位置でスライドバー12に設けてあり、三番目の位置決め用目印16cは、通孔14c,14dが一対のねじ孔15に合致したときに、位置決め基準点39に合致することになる位置でスライドバー12に設けてある。従って、位置決め用目印16bを位置決め基準点39に合致させた状態でスライドバー12をスライド溝11に差し込むと、通孔14b,14cからねじ孔15にビス13を容易にねじ込むことができるものであり、位置決め用目印16cを位置決め基準点39に合致させた状態でスライドバー12をスライド溝11に差し込むと、通孔14c,14dからねじ孔15にビス13を容易にねじ込むことができるものである。
【0029】
そして、本体具5に設けた押圧板9が浴槽の外側、押圧受け具7に設けた押圧受け具7が浴槽の内側となるように、浴槽の側壁1の上端部に本発明の浴槽用手摺りAを被せて配置し、本体具5の上片2を浴槽の側壁1の上端面に載置する。この後、ハンドルノブ26を握って操作することによってボルト軸25を回し、押圧板9を前進させると、押圧板9が側壁1の外面に、押圧受け板6が側壁1の内面に圧接して、押圧板9と押圧受け板6の間に側壁1が挟みこまれて、図3のように浴槽の側壁1の上端部に浴槽用手摺りAを取り付けることができるものである。
【0030】
このように浴槽の側壁1に取り付けた浴槽用手摺りAの手摺り4に掴まることによって、例えば浴槽に出入りするために側壁1を跨ぐ際の補助とすることができるものである。また浴槽用手摺りAには浴槽の内側に突出するようにグリップ35が設けてあるので、浴槽内に座った姿勢から立ち上がるときにこのグリップ35を握ることによって、立ち上がりの補助とすることができるものである。
【0031】
ここで、図5に示すように、ハンドルノブ26はボルト軸25の先端に押さえ軸30で止めて、ボルト軸25の軸回りに回動自在に取り付けてある。またボルト軸25の外周にロック座金受け31が固定して取り付けてあり、このロック座金受け31とハンドルノブ26の間にトルクロック座金32が設けてある。ハンドルノブ26はトルクロック座金32を介してロック座金受け31に結合されているものである。そしてハンドルノブ26を握って回すと、この回転力はトルクロック座金32を介してロック座金受け31に伝わり、ボルト軸25を回動させることができ、ボルト軸25を前進させて押圧板9を前進移動させることができる。このとき、押圧板9が浴槽の側壁1に当接した状態で、さらにハンドルノブ26を回そうとすると、ハンドルノブ26を回す際の回動力が過大になるが、回動力が過大になるとトルクロック座金32が空回りして、ハンドルノブ26を回し操作する回動力がボルト軸25に伝わらなくなる。従って、押圧板9が浴槽の側壁1に接している状態で、ハンドルノブ26を過大な強い力で回しても、ハンドルノブ26からの力はボルト軸25へ伝わらないものであり、過大な力で押圧板9が浴槽の側壁1に圧接されることを防止して、浴槽の側壁1が破損等することを防ぐことができるものである。
【0032】
そして上記のように形成される浴槽用手摺りAにあって、手摺り4を設けた本体具5は、その上片2や縦片3に補強リブ10が設けてあるので、補強リブ10で上片2や縦片3を補強することができるものである。従って、強度を低下させることなく上片2や縦片3の厚みを薄くすることが可能になり、また強度は高くないが軽量なアルミニウムなどで上片2や縦片3を形成することも可能になるものであり、浴槽用手摺りAを軽量化することができるものである。
【0033】
また、押圧受け具7のスライドバー12はスライド溝11内に差し込んで嵌合した状態で、ねじ孔15にビス13を螺合して、上片2に固定されている。このため、スライドバー12にその幅方向に移動させるような応力やねじれさせるような応力が作用しても、スライドバー12はスライド溝11内において両側の補強リブ10で幅方向やねじれ方向の移動が規制されるものであり、ビス13の部分に応力が集中して、ねじ孔15からビス13が外れるようなことがなくなり、本体具5に対する押圧受け具7の結合を堅固なものにすることができるものである。
【0034】
図7乃至図12は本発明の他の実施の形態を示すものである。この実施の形態では、押圧受け具7として一対のものを用いるようにしている。
【0035】
本体具5の上片2と縦片3には、中央と両側端の三箇所に補強リブ10を設け、各補強リブ10間に2つのスライド溝11が形成されるようにしてある。3本の補強リブ10は、中央の補強リブ10の幅寸法が両側端の補強リブ10よりも広くなるように形成してある。また一対の押圧受け具7において、各受け具7の押圧受け板6は、本体具5の押圧板9を左右に二分割した大きさに形成してある。その他の構成は、上記の図1〜6のものと同じである。
【0036】
この実施の形態では、一対の押圧受け具7を本体具5に取り付けることによって、図7のように浴槽用手摺りAを組み立てることができるものであり、また図10のように浴槽の側壁1の上端部に浴槽用手摺りAを取り付けることができるものである。
【0037】
ここで、一対の押圧受け具7は本体具5に独立して取り付けられるものである。従って図7のように各押圧受け具7のスライドバー12を本体具5のスライド溝11の同じ位置に結合して、本体具5の押圧板9と各押圧受け具7の押圧受け板6の間隔が同じになるように設定する他に、図9のように、各押圧受け具7のスライドバー12をスライド溝11の異なる位置に結合することによって、押圧板9に対する各押圧受け具7の押圧受け板6の間隔を異なるようにすることができるものである。図9の実施の形態において、一方のスライドバー12は4つの通孔14のうち通孔14b,14cにビス13を通して、本体具5のねじ孔15にねじ込んで固定するようにしてある。この場合、スライドバー12に設けた3本の位置決め用目印16のうち位置決め用目印16bを、補強リブ10の先端縁を位置決め基準点39として合致させることによって、通孔14b,14cが一対のビス13に合致するようになっている。また他方のスライドバー12は4つの通孔14のうち通孔14c,14dにビス13を通して、本体具5のねじ孔15にねじ込んで固定するようにしてある。この場合、スライドバー12に設けた3本の位置決め用目印16のうち位置決め用目印16cを、補強リブ10の先端縁の位置決め基準点39に合致させることによって、通孔14c,14dが一対のビス13に合致するようになっている。
【0038】
浴槽の側壁1は同じ厚みが連続するとは限らず、部分的に厚みが異なる箇所がある。特に浴槽のコーナーの部分では側壁1の厚みが徐々に厚くなる場合が多い。このように側壁1の厚みが変化する箇所では、その厚みに応じて、押圧板9と左右一対の押圧受け板6の各間隔を変えることによって、がたつきなく安定して、浴槽の側壁1に浴槽用手摺りAを取り付けることができるものである。
【符号の説明】
【0039】
1 側壁
2 上片
3 縦片
4 手摺り
5 本体具
6 押圧受け板
7 押圧受け具
8 操作ハンドル
9 押圧板
10 補強リブ
11 スライド溝
12 スライドバー
13 ビス
14 通孔
15 ねじ孔
16 位置決め用目印
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の側壁の上端面と一方の側面にそれぞれ対向するように配置される上片と縦片を設けて形成され、手摺りを取り付けた本体具と、浴槽の側壁の他方の側面に対向して配置される押圧受け板を設けて形成される押圧受け具と、本体具の縦片の外側に設けられた操作ハンドルと、縦片の内側に設けられ、操作ハンドルの操作で浴槽の側壁の上記一方の側面に近接離反する方向で移動する押圧板と、本体具の上片の上面に設けられた、押圧板の移動方向と平行な方向に長い複数の補強リブと、補強リブの間においてこの上片の上面に形成されたスライド溝と、押圧受け具の上端部に水平方向に突出して設けられたスライドバーとを備え、スライド溝にスライドバーをスライド自在に差し込むと共に上片にスライドバーをビス止め固定することによって、本体具に押圧受け具を結合して成ることを特徴とする浴槽用手摺り。
【請求項2】
押圧受け具のスライドバーの複数箇所に設けた通孔に通したビスを、本体具の上片に設けたねじ孔に螺合することによって、本体具に押圧受け具を結合するようにし、複数箇所の通孔のうち所定の通孔がねじ孔に合致する位置を示す位置決め用の目印をスライドバーに設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用手摺り。
【請求項3】
本体具の上片と縦片を断面倒L字形に一体に形成し、上記の補強リブを、上片の上面から縦片の外面に亘って形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽用手摺り。
【請求項1】
浴槽の側壁の上端面と一方の側面にそれぞれ対向するように配置される上片と縦片を設けて形成され、手摺りを取り付けた本体具と、浴槽の側壁の他方の側面に対向して配置される押圧受け板を設けて形成される押圧受け具と、本体具の縦片の外側に設けられた操作ハンドルと、縦片の内側に設けられ、操作ハンドルの操作で浴槽の側壁の上記一方の側面に近接離反する方向で移動する押圧板と、本体具の上片の上面に設けられた、押圧板の移動方向と平行な方向に長い複数の補強リブと、補強リブの間においてこの上片の上面に形成されたスライド溝と、押圧受け具の上端部に水平方向に突出して設けられたスライドバーとを備え、スライド溝にスライドバーをスライド自在に差し込むと共に上片にスライドバーをビス止め固定することによって、本体具に押圧受け具を結合して成ることを特徴とする浴槽用手摺り。
【請求項2】
押圧受け具のスライドバーの複数箇所に設けた通孔に通したビスを、本体具の上片に設けたねじ孔に螺合することによって、本体具に押圧受け具を結合するようにし、複数箇所の通孔のうち所定の通孔がねじ孔に合致する位置を示す位置決め用の目印をスライドバーに設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の浴槽用手摺り。
【請求項3】
本体具の上片と縦片を断面倒L字形に一体に形成し、上記の補強リブを、上片の上面から縦片の外面に亘って形成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴槽用手摺り。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−189069(P2011−189069A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59532(P2010−59532)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(506218756)パナソニック電工ライフテック株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(506218756)パナソニック電工ライフテック株式会社 (12)
【Fターム(参考)】
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