海藻由来の免疫抑制物質を製造する方法
【課 題】海藻から抗アレルギー効果を有する物質の探索・確認し、効率よく抗アレルギー性物質を製造する方法を提供すること。
【解決手段】RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で培養した後、乾燥した海藻を低級アルコール及び/又は水により抽出して得た物質を加えて培養し、抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を加え、培養上清中に誘導・放出された酵素β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することによって抗アレルギー性物質を誘導・確認することにより海藻から高濃度に抗アレルギー性物質を製造する。
【選択図面】図1
【解決手段】RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で培養した後、乾燥した海藻を低級アルコール及び/又は水により抽出して得た物質を加えて培養し、抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を加え、培養上清中に誘導・放出された酵素β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することによって抗アレルギー性物質を誘導・確認することにより海藻から高濃度に抗アレルギー性物質を製造する。
【選択図面】図1
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海藻中における免疫制御機能を有する機能性成分を確認し、海藻から免疫抑制有効成分を製造する方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、海藻由来のアレルギー症状緩和に効果のある成分を確認し、海藻から当該免疫抑制成分を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アトピー性皮膚炎や花粉症といったアレルギー性疾患は、直ちに生命を脅かすことはないが、多くの人の日常生活に支障をきたしている。
これらのアレルギー性疾患の原因と考えられる物質、すなわち、アトピー性皮膚炎における農薬や、その他の化学物質、花粉症を起こす原因となるブタ草や杉花粉などを除去することが考えられるが、我々の周囲で、これだけアレルギーを引き起こす物質が蔓延した状態になっていることを解決するのは抗原の除去だけでは不可能である。花粉症に起因する労働力の低下による損失は、2860億円と見積もられており、アトピー性皮膚炎は、小児の性格形成に悪影響を与える、との指摘もある。
【0003】
アレルギー反応は、マスト細胞の脱顆粒が引き金となり、この細胞の反応を抑制することにより、アレルギーの予防・治療が可能になる。アレルギーの予防は、いわゆる“クスリ”を常用する治療よりも身体健康への影響が少なく、有効であり、特に食事として抗アレルギー効果をもつ食品を持続的に摂取することが、安全性も高く、煩雑さがない。
【0004】
そこで、一般に人々が食して健康に良好とされている植物、動物、微生物を対象として抗アレルギー効果を有する食品や成分の探索が盛んに行われており、中でも太陽の恵みを受けて植物、動物、微生物の体内で大量に生産される多糖やオリゴ糖などの糖鎖の重要性が注目されてきている。これらの糖鎖は、食料として人類の生存の根幹にかかわるものであり、機能性材料として見た場合にも、水になじみやすく、適当な地球環境又は生体内で分解されやすいなど、21世紀の人類の生存にとって必要不可欠な特質を備えている。
【0005】
従来、海藻から抗アレルギー性物質を生産するには、ミネラル、食物繊維、その他の栄養素含有量の大きい海藻そのものを食品に用いる技術が特開平11-169137号公報(特許文献1)に、β-カロチン、ルテイン、エイコサペンタエン酸を含む油溶成分を抽出して健康食品や化粧品に用いることが特開2004-89158号公報(特許文献2)に、スピルリナの熱湯抽出物からなる抗ウイルス医薬製剤、食品添加物及び飲食物が特開平5-112461号公報(特許文献3)に開示されている。
また、海藻からの有効成分を抽出することは公知であるが、皮膚細胞の賦活化、皮膚の老化防止に有効なヒアルロン酸分解抑制効果のある海藻抽出成分を含む薬剤、化粧品及び食品の抽出が特開2001-151788号公報(特許文献4)に、ヒジキ又はモロヘイヤから熱水抽出したヒアルロニダーゼ活性阻害剤を有する飲食品及び化粧品が特開2003-238434号公報(特許文献5)に開示されている。
さらに、海藻からの抗アレルギー性成分の抽出とその利用も公知であり、熱水抽出した藻類由来又は棘皮動物由来のフコイダンを有効成分として含有するアレルギー性疾患の治療薬がW001/013925号公報(特許文献6)に、砒素を含まない形で種々の薬理作用を有するフコイダンを褐藻類から低級アルコールにより抽出する方法が特開2002-220402号公報(特許文献7)に開示されている。
同様に、ダービリア科ダービリア属に属する海藻の水抽出物や30%エタノール抽出物を活性成分とする抗アレルギー剤が特開平10-265399 号公報(特許文献8)に、植物や海藻から50%プロピレングリコールにより抽出された物質を有効成分とするインターロイキン4産生抑制剤が特開平10-279491号公報(特許文献9)に、開示されている。さらには、抗アレルギー性物質としてフェルラ酸及びその誘導体と海藻エキスとを併用して繊維製品に用いて機能性を付与することが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11-169137号公報
【特許文献2】特開2004-89158号公報
【特許文献3】特開平5-112461号公報
【特許文献4】特開2001-151788号公報
【特許文献5】特開2003-238434号公報
【特許文献6】W001/013925号公報
【特許文献7】特開2002-220402号公報
【特許文献8】特開平10-265399 号公報
【特許文献9】特開平10-279491号公報
【0007】
然るに、上記開示されている技術では、いずれも抗アレルギー性物質等を含有している海藻全般を対象とする技術であり、広範な海藻の中に抗アレルギー性物質を見出し、これを原料として抗アレルギー性物質を定常的に抽出するのは工業的観点から極めて問題が多い。また、工業的に抗アレルギー性物質を生産するには、抗アレルギー性物質を高濃度に含有し、しかも安定して生産可能な海藻を見出し、これを安定的に供給することが望ましい。このためには、数多く存在する海藻を対象として海藻中の抗アレルギー性物質の存在を確認し、それを定量的に測定する方法が重要であり、かかる技術を組み込んだ海藻中の抗アレルギー性物質の含有量を測定し、抗アレルギー性物質を効率的に製造することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
アレルギー反応(即時型)は、マスト細胞の脱顆粒が引き金となり、この細胞の反応を抑制することにより、アレルギーの予防・治療が可能になることが知られているが、抗アレルギー性の予防又は治療を考えると、このための“クスリ”を常用するよりも、抗アレルギーの予防として、食事に抗アレルギー効果をもつ食品を持続的に摂取することが安全性も高く、無駄もなく、経済的である。
そこで、本発明では、容易に入手可能な原料として海藻を対象とし、抗アレルギー効果を有する物質の存在を確認し、この確認法を利用して抗アレルギー性物質を工業規模で生産する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の状況に鑑み、抗アレルギー性物質を工業的に生産できる方法を見出したものである。
すなわち、本発明では、海洋に無尽に存在する海藻を原料として、均一な原料組成を保ち、抗アレルギー性物質を高濃度に含む海藻を対象にして抗アレルギー性物質を容易に確認・定量することによって、抗アレルギー性物質を効率的に製造する技術を確立することができた。
【0010】
本発明では、原材料である海藻の特定、海藻抽出成分を加えた状態での免疫機能性物質の誘導とその定量法、免疫機能を有する物質を生産することが可能である。
すなわち、本発明において海藻中の抗アレルギー性物質を製造するには、RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と、37℃、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で16時間培養した後、さらに乾燥粉砕した緑藻、褐藻や紅藻などの海藻を低級アルコール及び/又は水により抽出して得た抽出液を加えて30分培養し、該培養液に抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を加えて、培養上清中に誘導・放出された酵素β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することによって抗アレルギー性物質を確認するとともに、抗アレルギー性成分の含有量を知り、抗アレルギー性成分を多量含有する海藻を特定し、該海藻を原料として抗アレルギー性物質を効率よく製造することができる。
本発明においては、低級アルコールとしてメタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール(BuOH)等の炭素数の少ないアルコールを用いるが、好ましいのはメタノールである。
【0011】
本発明の有効成分の抽出対象とするのは、緑藻のスジアオノリ、ミル、ヤブレグサのメタノール又はエタノール抽出成分あるいは酢酸エチル(EtOAc)抽出成分、褐藻のカジメの水抽出成分及びカヤモノリ、ハバノリ、カジメ、ワカメ幼体のメタノール又はエタノール抽出成分あるいは酢酸エチル抽出成分であるが、原料の藻類は、天然に多く産生しており、既に養殖技術の確立により安定した原材料供給の可能な藻類を出発原料とするので、安定的に抗アレルギー性成分を生産することが可能である。
【0012】
上述するように、本願の第1の発明は、マスト細胞株を抗IgE抗体によって前処理した後、該細胞に海藻抽出成分を加えて培養し、培養液に抗原を加えて得られた培養上清中の酵素活性を測定して海藻抽出成分の抗アレルギー性物質を確認することを特徴とする該海藻から抗アレルギー性物質を製造する方法である。
【0013】
第2の発明は、海藻抽出成分が海藻の低級アルコール及び酢酸エチルから選ばれた一種以上の有機溶媒及び/又は水による抽出成分であることを特徴とする上記記載の発明にかかる抗アレルギー性物質を製造する方法である。
また、第3の発明は、低級アルコールとして、メチルアルコール又はエチルアルコールを使用することによる抽出成分であることを特徴とする上記記載の発明にかかる抗アレルギー性物質を製造する方法である。
【0014】
第4の発明は、マスト細胞にRBL-2H3細胞を用い、抗IgE抗体に抗DNP IgE抗体を用いて前処理し、抗原に2,4-ジニトロフェニル(DNP) 結合牛血清アルブミン(BSA)を用いて抗アレルギー性物質を測定することを特徴とする上記1又は2に記載の発明にかかる抗アレルギー性物質を製造する方法である。
【0015】
第5の発明は、海藻抽出成分が、緑藻であるスジアオノリ、ミル、ヤブレグサのメタノール又はエタノール抽出成分、褐藻であるカジメの水抽出成分及びカヤモノリ、ハバノリ、カジメ、ワカメ幼体のメタノール又はエタノール抽出成分、紅藻であるミリンの水抽出成分又はオニアマノリのメタノール又はエタノール抽出成分であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の発明にかかる抗アレルギー性物質を製造する方法である。
【0016】
第6の発明は、上記第1〜4のいずれかの方法によって製造された抗アレルギー性物質を含有した飲食品又は薬剤であるが、この飲食品とは、飲料水、食品のいずれでもよく、また、薬剤は一般的な経口薬や塗り薬であってもよい。
【0017】
第7の発明は、RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と、37℃、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で16時間培養した後、さらに乾燥粉砕した緑藻、褐藻や紅藻などの海藻を低級アルコール及び酢酸エチルから選ばれた一種以上の有機溶媒及び/又は水により抽出して得た物質を加えて培養し、該培養液に抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP) 結合牛血清アルブミン(BSA)を加えて、培養上清中に誘導・放出された酵素β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することによって抗アレルギー性物質を確認する方法。
本発明では、上記確認法の採用によって、抗アレルギー性成分の含有量を知り、抗アレルギー性成分を多量含有する海藻を特定し、該海藻を原料として抗アレルギー性物質を効率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
工業的に抗アレルギー性物質を生産するには、安定して供給可能な原料が必要であり、本発明では入手の容易な海藻を使用することによりこの問題を解決することができ、しかも抗アレルギー性物質を高濃度に含有している海藻を使用することによって高効率で抗アレルギー性物質を得ることができる。このためには、抗アレルギー性物質の存在確認と定量方法が重要であり、本発明では、かかる技術を組み込んだ抗アレルギー性物質を製造する方法とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔抗アレルギー性物質を含有する原料の調製〕
本発明で用いる原料の海藻の調製法を図1に示す。すなわち、海藻を風乾、減圧乾燥、又は低温加熱乾燥等により乾燥した海藻を得、該乾燥海藻をミキサー等で粉砕する。かかる粉砕した乾燥海藻に水、メタノール又はエタノールで抽出し、メタノール又はエタノール抽出したエキスは、さらに極性の異なるヘキサン、酢酸エチル、ブチルアルコール及び水の画分に分けて抗アレルギー性物質の含有量を測定する試料とした。
【0020】
〔脱顆粒抑制試験〕
本発明の対象とする抗アレルギー性については、アレルギー反応がマスト細胞の脱顆粒が引き金となって起ることが明らかにされており、したがって、海藻抽出成分の抗アレルギー性を誘導するために図2の概念図に示す方法を用いた。
すなわち、RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と37℃で16時間前処理した後、粉砕した乾燥海藻の抽出液を加えて培養し、該培養液に抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を加えて、培養上清中に生成・放出される酵素β-ヘキソサミニダーゼ活性を測定する方法を用いた。
【0021】
〔抗アレルギー活性測定法〕
抗原により誘導されたマスト細胞から放出された顆粒由来成分であるβ-ヘキソサミニダーゼにより基質p-nitrophenyl-N-acetyl-β-D-glucosaminide(p-NAG)から生成するp-nitrophenol(p-NAGの分解物)の405nmにおける吸光度を測定して定量した。
【0022】
以下、実施例によって本発明の抗アレルギー性物質の誘導・確認して製造する方法を詳細に説明するが、実施例に記載する海藻及び抽出法による抽出物を原料にすることに限ったものではない。
【実施例1】
【0023】
各種乾燥した海藻をミキサーで粉砕し、熱水抽出した抽出液、すなわち、海藻水エキスを上述した脱顆粒抑制試験を行って、抗アレルギー性を評価した結果を図3に示す。用いた海藻類は、緑藻、褐藻、紅藻から数種ずつ選択した。
【0024】
海藻水エキスによる脱顆粒抑制率の大きい、すなわち、抗アレルギー作用の大きい海藻は、褐藻や紅藻に認められ、褐藻であるカジメ、ホソメコンブ幼体、ワカメ幼体、及び紅藻であるミリンで特に大きかった。
【実施例2】
【0025】
緑藻について乾燥粉末から熱メタノール抽出したエキスについて、さらに極性の低いヘキサンから漸次極性の大きくなる酢酸エチル、ブチルアルコール、水を用いて分別して、実施例1より5分の1濃度による脱顆粒抑制率を検討したところ、図4に示す結果が得られた。
すなわち、水エキスで脱顆粒抑制率の小さかった緑藻も著しく該抑制率の上昇することが明らかになった。この事実から水エキスよりもメタノールエキスに抗アレルギー性物質が多く存在することがわかった。
【実施例3】
【0026】
実施例1と実施例2の比較から熱メタノール抽出が水抽出より抗アレルギー性物質の抽出に好ましいと推定し、各種褐藻の熱メタノール抽出液を実施例2と同様、さらに極性を変えて分別して脱顆粒抑制作用を比較検討した。測定結果を図5に示す。カヤモノリ、ハバノリで脱顆粒抑制率の大きい画分が存在した。ワカメ幼体ではメタノール抽出分で該抑制作用が大きい画分が認められたが、ホソメコンブでは脱顆粒抑制作用が全く認められなかった。
【0027】
各種紅藻について実施例3と同様の熱メタノール抽出を行って、脱顆粒抑制作用を比較検討し、図6に示す結果が得られた。オニアマノリでは、極性の異なるいずれの画分でも抗アレルギー性物質の存在が認められたが、ミリンではヘキサン、酢酸エチル画分でわずかに脱顆粒抑制作用が認められたに過ぎなかった。
【実施例4】
【0028】
実施例3において,脱顆粒抑制率の大きかったハバノリについて乾燥粉末から抽出溶媒を熱メタノールからエタノールに換え、実施例2及び3と同様の試験を行った。すなわち、乾燥したハバノリをエタノールで抽出したエキスについて、さらに極性の低いヘキサンから漸次極性の大きくなる酢酸エチル、ブチルアルコール、水を用いて分別して、実施例2と同じ濃度による脱顆粒抑制率を検討したところ、図7に示す結果が得られた。
この事実から抗アレルギー性物質の抽出にはメタノールに変えてエタノールなどの低級アルコールも有効であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】水及びメタノールエキスの調製
【図2】脱顆粒抑制試験
【図3】海藻水エキスの脱顆粒抑制作用
【図4】緑藻メタノールエキスの脱顆粒抑制作用
【図5】褐藻メタノールエキスの脱顆粒抑制作用
【図6】紅藻メタノールエキスの脱顆粒抑制作用
【図7】ハバノリ・エタノールエキスの脱顆粒抑制効果
【技術分野】
【0001】
本発明は、海藻中における免疫制御機能を有する機能性成分を確認し、海藻から免疫抑制有効成分を製造する方法に関する。
さらに詳しくは、本発明は、海藻由来のアレルギー症状緩和に効果のある成分を確認し、海藻から当該免疫抑制成分を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アトピー性皮膚炎や花粉症といったアレルギー性疾患は、直ちに生命を脅かすことはないが、多くの人の日常生活に支障をきたしている。
これらのアレルギー性疾患の原因と考えられる物質、すなわち、アトピー性皮膚炎における農薬や、その他の化学物質、花粉症を起こす原因となるブタ草や杉花粉などを除去することが考えられるが、我々の周囲で、これだけアレルギーを引き起こす物質が蔓延した状態になっていることを解決するのは抗原の除去だけでは不可能である。花粉症に起因する労働力の低下による損失は、2860億円と見積もられており、アトピー性皮膚炎は、小児の性格形成に悪影響を与える、との指摘もある。
【0003】
アレルギー反応は、マスト細胞の脱顆粒が引き金となり、この細胞の反応を抑制することにより、アレルギーの予防・治療が可能になる。アレルギーの予防は、いわゆる“クスリ”を常用する治療よりも身体健康への影響が少なく、有効であり、特に食事として抗アレルギー効果をもつ食品を持続的に摂取することが、安全性も高く、煩雑さがない。
【0004】
そこで、一般に人々が食して健康に良好とされている植物、動物、微生物を対象として抗アレルギー効果を有する食品や成分の探索が盛んに行われており、中でも太陽の恵みを受けて植物、動物、微生物の体内で大量に生産される多糖やオリゴ糖などの糖鎖の重要性が注目されてきている。これらの糖鎖は、食料として人類の生存の根幹にかかわるものであり、機能性材料として見た場合にも、水になじみやすく、適当な地球環境又は生体内で分解されやすいなど、21世紀の人類の生存にとって必要不可欠な特質を備えている。
【0005】
従来、海藻から抗アレルギー性物質を生産するには、ミネラル、食物繊維、その他の栄養素含有量の大きい海藻そのものを食品に用いる技術が特開平11-169137号公報(特許文献1)に、β-カロチン、ルテイン、エイコサペンタエン酸を含む油溶成分を抽出して健康食品や化粧品に用いることが特開2004-89158号公報(特許文献2)に、スピルリナの熱湯抽出物からなる抗ウイルス医薬製剤、食品添加物及び飲食物が特開平5-112461号公報(特許文献3)に開示されている。
また、海藻からの有効成分を抽出することは公知であるが、皮膚細胞の賦活化、皮膚の老化防止に有効なヒアルロン酸分解抑制効果のある海藻抽出成分を含む薬剤、化粧品及び食品の抽出が特開2001-151788号公報(特許文献4)に、ヒジキ又はモロヘイヤから熱水抽出したヒアルロニダーゼ活性阻害剤を有する飲食品及び化粧品が特開2003-238434号公報(特許文献5)に開示されている。
さらに、海藻からの抗アレルギー性成分の抽出とその利用も公知であり、熱水抽出した藻類由来又は棘皮動物由来のフコイダンを有効成分として含有するアレルギー性疾患の治療薬がW001/013925号公報(特許文献6)に、砒素を含まない形で種々の薬理作用を有するフコイダンを褐藻類から低級アルコールにより抽出する方法が特開2002-220402号公報(特許文献7)に開示されている。
同様に、ダービリア科ダービリア属に属する海藻の水抽出物や30%エタノール抽出物を活性成分とする抗アレルギー剤が特開平10-265399 号公報(特許文献8)に、植物や海藻から50%プロピレングリコールにより抽出された物質を有効成分とするインターロイキン4産生抑制剤が特開平10-279491号公報(特許文献9)に、開示されている。さらには、抗アレルギー性物質としてフェルラ酸及びその誘導体と海藻エキスとを併用して繊維製品に用いて機能性を付与することが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11-169137号公報
【特許文献2】特開2004-89158号公報
【特許文献3】特開平5-112461号公報
【特許文献4】特開2001-151788号公報
【特許文献5】特開2003-238434号公報
【特許文献6】W001/013925号公報
【特許文献7】特開2002-220402号公報
【特許文献8】特開平10-265399 号公報
【特許文献9】特開平10-279491号公報
【0007】
然るに、上記開示されている技術では、いずれも抗アレルギー性物質等を含有している海藻全般を対象とする技術であり、広範な海藻の中に抗アレルギー性物質を見出し、これを原料として抗アレルギー性物質を定常的に抽出するのは工業的観点から極めて問題が多い。また、工業的に抗アレルギー性物質を生産するには、抗アレルギー性物質を高濃度に含有し、しかも安定して生産可能な海藻を見出し、これを安定的に供給することが望ましい。このためには、数多く存在する海藻を対象として海藻中の抗アレルギー性物質の存在を確認し、それを定量的に測定する方法が重要であり、かかる技術を組み込んだ海藻中の抗アレルギー性物質の含有量を測定し、抗アレルギー性物質を効率的に製造することが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
アレルギー反応(即時型)は、マスト細胞の脱顆粒が引き金となり、この細胞の反応を抑制することにより、アレルギーの予防・治療が可能になることが知られているが、抗アレルギー性の予防又は治療を考えると、このための“クスリ”を常用するよりも、抗アレルギーの予防として、食事に抗アレルギー効果をもつ食品を持続的に摂取することが安全性も高く、無駄もなく、経済的である。
そこで、本発明では、容易に入手可能な原料として海藻を対象とし、抗アレルギー効果を有する物質の存在を確認し、この確認法を利用して抗アレルギー性物質を工業規模で生産する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の状況に鑑み、抗アレルギー性物質を工業的に生産できる方法を見出したものである。
すなわち、本発明では、海洋に無尽に存在する海藻を原料として、均一な原料組成を保ち、抗アレルギー性物質を高濃度に含む海藻を対象にして抗アレルギー性物質を容易に確認・定量することによって、抗アレルギー性物質を効率的に製造する技術を確立することができた。
【0010】
本発明では、原材料である海藻の特定、海藻抽出成分を加えた状態での免疫機能性物質の誘導とその定量法、免疫機能を有する物質を生産することが可能である。
すなわち、本発明において海藻中の抗アレルギー性物質を製造するには、RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と、37℃、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で16時間培養した後、さらに乾燥粉砕した緑藻、褐藻や紅藻などの海藻を低級アルコール及び/又は水により抽出して得た抽出液を加えて30分培養し、該培養液に抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を加えて、培養上清中に誘導・放出された酵素β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することによって抗アレルギー性物質を確認するとともに、抗アレルギー性成分の含有量を知り、抗アレルギー性成分を多量含有する海藻を特定し、該海藻を原料として抗アレルギー性物質を効率よく製造することができる。
本発明においては、低級アルコールとしてメタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール(BuOH)等の炭素数の少ないアルコールを用いるが、好ましいのはメタノールである。
【0011】
本発明の有効成分の抽出対象とするのは、緑藻のスジアオノリ、ミル、ヤブレグサのメタノール又はエタノール抽出成分あるいは酢酸エチル(EtOAc)抽出成分、褐藻のカジメの水抽出成分及びカヤモノリ、ハバノリ、カジメ、ワカメ幼体のメタノール又はエタノール抽出成分あるいは酢酸エチル抽出成分であるが、原料の藻類は、天然に多く産生しており、既に養殖技術の確立により安定した原材料供給の可能な藻類を出発原料とするので、安定的に抗アレルギー性成分を生産することが可能である。
【0012】
上述するように、本願の第1の発明は、マスト細胞株を抗IgE抗体によって前処理した後、該細胞に海藻抽出成分を加えて培養し、培養液に抗原を加えて得られた培養上清中の酵素活性を測定して海藻抽出成分の抗アレルギー性物質を確認することを特徴とする該海藻から抗アレルギー性物質を製造する方法である。
【0013】
第2の発明は、海藻抽出成分が海藻の低級アルコール及び酢酸エチルから選ばれた一種以上の有機溶媒及び/又は水による抽出成分であることを特徴とする上記記載の発明にかかる抗アレルギー性物質を製造する方法である。
また、第3の発明は、低級アルコールとして、メチルアルコール又はエチルアルコールを使用することによる抽出成分であることを特徴とする上記記載の発明にかかる抗アレルギー性物質を製造する方法である。
【0014】
第4の発明は、マスト細胞にRBL-2H3細胞を用い、抗IgE抗体に抗DNP IgE抗体を用いて前処理し、抗原に2,4-ジニトロフェニル(DNP) 結合牛血清アルブミン(BSA)を用いて抗アレルギー性物質を測定することを特徴とする上記1又は2に記載の発明にかかる抗アレルギー性物質を製造する方法である。
【0015】
第5の発明は、海藻抽出成分が、緑藻であるスジアオノリ、ミル、ヤブレグサのメタノール又はエタノール抽出成分、褐藻であるカジメの水抽出成分及びカヤモノリ、ハバノリ、カジメ、ワカメ幼体のメタノール又はエタノール抽出成分、紅藻であるミリンの水抽出成分又はオニアマノリのメタノール又はエタノール抽出成分であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の発明にかかる抗アレルギー性物質を製造する方法である。
【0016】
第6の発明は、上記第1〜4のいずれかの方法によって製造された抗アレルギー性物質を含有した飲食品又は薬剤であるが、この飲食品とは、飲料水、食品のいずれでもよく、また、薬剤は一般的な経口薬や塗り薬であってもよい。
【0017】
第7の発明は、RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と、37℃、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で16時間培養した後、さらに乾燥粉砕した緑藻、褐藻や紅藻などの海藻を低級アルコール及び酢酸エチルから選ばれた一種以上の有機溶媒及び/又は水により抽出して得た物質を加えて培養し、該培養液に抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP) 結合牛血清アルブミン(BSA)を加えて、培養上清中に誘導・放出された酵素β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することによって抗アレルギー性物質を確認する方法。
本発明では、上記確認法の採用によって、抗アレルギー性成分の含有量を知り、抗アレルギー性成分を多量含有する海藻を特定し、該海藻を原料として抗アレルギー性物質を効率よく製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
工業的に抗アレルギー性物質を生産するには、安定して供給可能な原料が必要であり、本発明では入手の容易な海藻を使用することによりこの問題を解決することができ、しかも抗アレルギー性物質を高濃度に含有している海藻を使用することによって高効率で抗アレルギー性物質を得ることができる。このためには、抗アレルギー性物質の存在確認と定量方法が重要であり、本発明では、かかる技術を組み込んだ抗アレルギー性物質を製造する方法とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔抗アレルギー性物質を含有する原料の調製〕
本発明で用いる原料の海藻の調製法を図1に示す。すなわち、海藻を風乾、減圧乾燥、又は低温加熱乾燥等により乾燥した海藻を得、該乾燥海藻をミキサー等で粉砕する。かかる粉砕した乾燥海藻に水、メタノール又はエタノールで抽出し、メタノール又はエタノール抽出したエキスは、さらに極性の異なるヘキサン、酢酸エチル、ブチルアルコール及び水の画分に分けて抗アレルギー性物質の含有量を測定する試料とした。
【0020】
〔脱顆粒抑制試験〕
本発明の対象とする抗アレルギー性については、アレルギー反応がマスト細胞の脱顆粒が引き金となって起ることが明らかにされており、したがって、海藻抽出成分の抗アレルギー性を誘導するために図2の概念図に示す方法を用いた。
すなわち、RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と37℃で16時間前処理した後、粉砕した乾燥海藻の抽出液を加えて培養し、該培養液に抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を加えて、培養上清中に生成・放出される酵素β-ヘキソサミニダーゼ活性を測定する方法を用いた。
【0021】
〔抗アレルギー活性測定法〕
抗原により誘導されたマスト細胞から放出された顆粒由来成分であるβ-ヘキソサミニダーゼにより基質p-nitrophenyl-N-acetyl-β-D-glucosaminide(p-NAG)から生成するp-nitrophenol(p-NAGの分解物)の405nmにおける吸光度を測定して定量した。
【0022】
以下、実施例によって本発明の抗アレルギー性物質の誘導・確認して製造する方法を詳細に説明するが、実施例に記載する海藻及び抽出法による抽出物を原料にすることに限ったものではない。
【実施例1】
【0023】
各種乾燥した海藻をミキサーで粉砕し、熱水抽出した抽出液、すなわち、海藻水エキスを上述した脱顆粒抑制試験を行って、抗アレルギー性を評価した結果を図3に示す。用いた海藻類は、緑藻、褐藻、紅藻から数種ずつ選択した。
【0024】
海藻水エキスによる脱顆粒抑制率の大きい、すなわち、抗アレルギー作用の大きい海藻は、褐藻や紅藻に認められ、褐藻であるカジメ、ホソメコンブ幼体、ワカメ幼体、及び紅藻であるミリンで特に大きかった。
【実施例2】
【0025】
緑藻について乾燥粉末から熱メタノール抽出したエキスについて、さらに極性の低いヘキサンから漸次極性の大きくなる酢酸エチル、ブチルアルコール、水を用いて分別して、実施例1より5分の1濃度による脱顆粒抑制率を検討したところ、図4に示す結果が得られた。
すなわち、水エキスで脱顆粒抑制率の小さかった緑藻も著しく該抑制率の上昇することが明らかになった。この事実から水エキスよりもメタノールエキスに抗アレルギー性物質が多く存在することがわかった。
【実施例3】
【0026】
実施例1と実施例2の比較から熱メタノール抽出が水抽出より抗アレルギー性物質の抽出に好ましいと推定し、各種褐藻の熱メタノール抽出液を実施例2と同様、さらに極性を変えて分別して脱顆粒抑制作用を比較検討した。測定結果を図5に示す。カヤモノリ、ハバノリで脱顆粒抑制率の大きい画分が存在した。ワカメ幼体ではメタノール抽出分で該抑制作用が大きい画分が認められたが、ホソメコンブでは脱顆粒抑制作用が全く認められなかった。
【0027】
各種紅藻について実施例3と同様の熱メタノール抽出を行って、脱顆粒抑制作用を比較検討し、図6に示す結果が得られた。オニアマノリでは、極性の異なるいずれの画分でも抗アレルギー性物質の存在が認められたが、ミリンではヘキサン、酢酸エチル画分でわずかに脱顆粒抑制作用が認められたに過ぎなかった。
【実施例4】
【0028】
実施例3において,脱顆粒抑制率の大きかったハバノリについて乾燥粉末から抽出溶媒を熱メタノールからエタノールに換え、実施例2及び3と同様の試験を行った。すなわち、乾燥したハバノリをエタノールで抽出したエキスについて、さらに極性の低いヘキサンから漸次極性の大きくなる酢酸エチル、ブチルアルコール、水を用いて分別して、実施例2と同じ濃度による脱顆粒抑制率を検討したところ、図7に示す結果が得られた。
この事実から抗アレルギー性物質の抽出にはメタノールに変えてエタノールなどの低級アルコールも有効であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】水及びメタノールエキスの調製
【図2】脱顆粒抑制試験
【図3】海藻水エキスの脱顆粒抑制作用
【図4】緑藻メタノールエキスの脱顆粒抑制作用
【図5】褐藻メタノールエキスの脱顆粒抑制作用
【図6】紅藻メタノールエキスの脱顆粒抑制作用
【図7】ハバノリ・エタノールエキスの脱顆粒抑制効果
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海藻から抗アレルギー物質を製造する方法において、マスト細胞株を抗IgE抗体によって前処理した後、該細胞に海藻抽出成分を加えて培養し、培養液に抗原を加えて得られた培養上清中の酵素活性を測定して海藻抽出成分中の抗アレルギー性物質を確認することを特徴とする海藻から抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項2】
海藻抽出成分が、海藻の低級アルコール及び酢酸エチルから選ばれた一種以上の有機溶媒及び/又は水による抽出成分であることを特徴とする請求項1記載の抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項3】
低級アルコールが、メタノール又はエタノールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項4】
マスト細胞にRBL-2H3細胞を用い、抗IgE抗体に抗DNP IgE抗体を用いて前処理し、抗原に2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を用いて抗アレルギー性物質を測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項5】
海藻抽出成分が、緑藻であるスジアオノリ、ミル、ヤブレグサのメタノール又はエタノール抽出成分、褐藻であるカジメの水抽出成分及びカヤモノリ、ハバノリ、ワカメ幼体のメタノール又はエタノール抽出成分、紅藻であるミリンの水抽出成分又はオニアマノリのメタノール又はエタノール抽出成分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの方法によって製造された抗アレルギー性物質を含有することを特徴とする飲食品又は薬剤。
【請求項7】
RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と、37℃、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で16時間培養した後、さらに乾燥粉砕した緑藻、褐藻、紅藻などの海藻を低級アルコール及び酢酸エチルから選ばれた一種以上の有機溶媒及び/又は水により抽出して得た物質を加えて培養し、該培養液に抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を加えて、培養上清中に誘導・放出された酵素β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することを特徴とする抗アレルギー性物質の確認方法。
【請求項1】
海藻から抗アレルギー物質を製造する方法において、マスト細胞株を抗IgE抗体によって前処理した後、該細胞に海藻抽出成分を加えて培養し、培養液に抗原を加えて得られた培養上清中の酵素活性を測定して海藻抽出成分中の抗アレルギー性物質を確認することを特徴とする海藻から抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項2】
海藻抽出成分が、海藻の低級アルコール及び酢酸エチルから選ばれた一種以上の有機溶媒及び/又は水による抽出成分であることを特徴とする請求項1記載の抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項3】
低級アルコールが、メタノール又はエタノールであることを特徴とする請求項1又は2に記載の抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項4】
マスト細胞にRBL-2H3細胞を用い、抗IgE抗体に抗DNP IgE抗体を用いて前処理し、抗原に2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を用いて抗アレルギー性物質を測定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項5】
海藻抽出成分が、緑藻であるスジアオノリ、ミル、ヤブレグサのメタノール又はエタノール抽出成分、褐藻であるカジメの水抽出成分及びカヤモノリ、ハバノリ、ワカメ幼体のメタノール又はエタノール抽出成分、紅藻であるミリンの水抽出成分又はオニアマノリのメタノール又はエタノール抽出成分であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の抗アレルギー性物質を製造する方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの方法によって製造された抗アレルギー性物質を含有することを特徴とする飲食品又は薬剤。
【請求項7】
RBL-2H3細胞を抗DNP IgE抗体と、37℃、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で16時間培養した後、さらに乾燥粉砕した緑藻、褐藻、紅藻などの海藻を低級アルコール及び酢酸エチルから選ばれた一種以上の有機溶媒及び/又は水により抽出して得た物質を加えて培養し、該培養液に抗原として2,4-ジニトロフェニル(DNP)結合牛血清アルブミン(BSA)を加えて、培養上清中に誘導・放出された酵素β-ヘキソサミニダーゼの酵素活性を測定することを特徴とする抗アレルギー性物質の確認方法。
【図2】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−84518(P2007−84518A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278544(P2005−278544)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年4月3日 社団法人日本水産学会主催の「2005(平成17)年度 日本水産学会大会『日本農学大会水産部会』」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 2005年9月7日から9月9日 バイオジャパン2005組織委員会主催の「Bio Japan 2005 World Business Forum」に出品
【出願人】(504174180)国立大学法人高知大学 (174)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年4月3日 社団法人日本水産学会主催の「2005(平成17)年度 日本水産学会大会『日本農学大会水産部会』」において文書をもって発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 2005年9月7日から9月9日 バイオジャパン2005組織委員会主催の「Bio Japan 2005 World Business Forum」に出品
【出願人】(504174180)国立大学法人高知大学 (174)
【Fターム(参考)】
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