説明

浸出製品を供給する投与装置

フィルター材料のウエブ(3)と浸出製品を含むためのホッパー(4)の間に位置づけられたロータリードラム(2)を具備する、浸出製品を提供するための投与装置(1)であって、ドラム(2)は、浸出製品を含むためにその中に作られた複数の半径方向のセル(5)を有し、セルの中には、スライドピストン形式の投与手段(6)があり、各々の投与ピストン(6)は、二つの端部位置の間を、それぞれの偏心カム作動手段(7)によって、軸方向に駆動され、一つの端部位置は、各々の投与セル(5)が、浸出製品の一定の分量を受け取るためのホッパー(4)に面している上死点(PMS)に対応し、もう一つの端部位置は、投与セル(5)が、フィルター材料のウエブ(3)上に、浸出材料の一定分量を放出するために、フィルター材料のウエブ(3)に面している、下死点(PMI)に対応する。作動手段(7)と各々のピストン(6)の間には、それぞれの投与セル(5)の長手方向軸(Z)に完全に一直線にされた方向に、ピストン(6)が動くことを可能にするように、ピストン(6)に同軸方向に作用するように設計されたクランク機構(8)がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸出製品を供給するための投与装置に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、浸出袋(packet)を作るための自動機械に、お茶、コーヒー、カモミールまたは同種のような浸出製品を、正確に計って供給するために使用されるのに有利であり、本発明では、特にこれらについて説明しているが、このことは、本発明の範囲を制限するものではない。
【背景技術】
【0003】
通常、フィルターバッグ、小袋、フィルターペーパーポッド(pods)、などのような浸出袋を作るための自動機械は、自動機械自体の一部分を形成する生産ラインに沿って、次々に設置された複数のステーションを具備し、詳細には、袋を作るために使用されたフィルター材料のウエブ(web)に、正確に測定された浸出製品の一定の分量または所要量を配置するための供給ステーションを含む。
【0004】
浸出製品を供給するためのステーションは、所定の送り方向に回転軸を横断して進むフィルター材料のウエブの上方に位置づけられ、水平軸周りに回転するドラムを具備する形式の容積測定投与ユニットを説明する、米国特許第4,870,808号で知られている。
【0005】
ドラムの上方には、等間隔に配置されドラムの半径方向に延びている、開いた円筒形のセルに浸出製品を供給するホッパーがあり、各々のセルの中には、円筒形のセル自身の軸方向にスライドするピストンがある。
【0006】
米国特許で説明されている装置では、各々のドラムピストンは、カム従動子に関連付けられた、ドラム内側のカムを含む偏心カム機構によって駆動される。カム従動子は、ピストンの一方の側に位置づけられて、つまり、ピストンが円筒形のセルの中で上下に移動することを可能にするために、ピストンに対してオフセットされている。
【0007】
言い換えれば、カムは、好ましくは2つの別個の、円弧形状部分に分割されていて、ピストンを、製品の所要量がフィルター材料のウエブ上で放出される位置にほぼ対応する下死点(第一カム部分)から、製品が受け取られ投与される位置に対応する上死点(第二カム部分)へ駆動する。
【0008】
第二カム部分は、ピストンの上死点が、投与セル内部の製品の量を変えられるように、異なった位置で位置づけられることを可能にする適切な調節器を介して、ドラムの外側から、調節可能である。
【0009】
上述のユニットは、効率的で、正確であることが検証され、浸出製品パッキング用の最新の自動機械の動作速度を、著しく増すことが可能である。
【0010】
最近のテストにより、しかしながら、浸出材料が粉末の砂糖または香料材料のような、添加剤またはハーブと一緒に混合されている場合には、投与ユニットは、かなりの問題を有し、ピストンが円筒形の投与セルの内側で頻繁に動かなくなることがわかった。ピストンが動かなくなることは、主に、各々のピストンに作用する、構成部材のオフセット配置のために生じる。
【0011】
投与された製品が、特有の潤滑性を有している場合には、ピストンの縁から流出するいかなる製品も、ピストンのスライド動作に問題を引き起こさない。一方、添加剤、砂糖または香料を伴う製品は、しばしば、ピストンがスライドするセルの両側に付着することもあり、ピストンとセルとの間の摩擦を増加して、ピストンを動かなくさせる層(どんなに薄くとも)を形成する。
【0012】
実際には、絶え間なく増加する摩擦が、ピストンの軸方向の動作を最終的に妨害し、パッケージング機械を停止状態にさせて、ドラムを掃除し、または完全に交換するために、ドラムを取り外すことを必要にする。
【0013】
本発明の目的は、上述した不都合を克服する投与装置を提供することである。
【0014】
詳細には、本発明の目的は、投与量の最高の精度と、投与される製品の種類によらない信頼できる動作を提供する、高性能で、高出力の浸出製品投与装置を提供することである。
【発明の開示】
【0015】
従って、本発明は、ロータリードラム形式の搬送手段を具備する、浸出製品を供給する投与装置であって、浸出製品を包含するためのフィルター材料のウエブとホッパーとの間に位置づけられる投与装置を提供し、
ドラム形式の搬送手段は、浸出製品を包含するために、その中に作られた複数の半径方向のセルを有し、セルの中にスライドピストン形式の投与手段があり、各々の投与ピストンは、二つの端部位置の間を、それぞれの偏心カム作動手段によって、軸方向に駆動され、一つの端部位置は、浸出製品の一定の分量を受け取るために、各々の投与セルがホッパーに面する上死点に対応し、もう一つの端部位置は、フィルター材料のウエブ上に浸出製品の一定分量を放出するために、投与セルがフィルター材料のウエブに面する、下死点に対応し、投与装置は、作動手段と各々のピストンの間に、それぞれの投与セルの長手方向軸に完全に一直線になった方向にピストンが動くことを可能にするような方法で、ピストンに同軸上に作用するように設計されるクランク機構がある点で、特徴づけられる。
【0016】
上の目的に関連して、本発明の技術的な特徴は、請求項で明確に説明され、その有利点が、本発明の概念の範囲を制限せずに単に例として提供される、本発明の好ましい実施形態を図示する添付図面を参照して、以下の詳細な説明から明確になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1と図2を参照して、その全体に1と明示された本発明に従った投与装置は、自動機械に、浸出製品(お茶、コーヒー、カモミールなど)を供給するために使用される。自動機械は、浸出製品を含む袋を作るように設計され、投与装置は自動機械の一体部分を形成する。
【0018】
第一ドラム2を具備する装置1は、図1と2の反時計回り方向Vに、水平軸Y周りに回転し、第一ドラム2は、ドラムの最下部の接線方向に進むフィルター紙のウエブ3と、ドラムの最上部の浸出製品供給ホッパー4との間に位置づけられる。
【0019】
図1と図2では、フィルター紙のウエブ3は点線で描かれて、水平送り方向Aに連続的に前進させられる。
【0020】
図1、2および3で図示されたように、第一ドラム2は、その側面の円筒形面に、浸出製品を収容するための複数の半径方向のセル5と、セルの中で軸方向にスライドする(矢印F参照のこと)それぞれの投与ピストン6とを有していて、各々のピストン6は、各々のピストン6に作用するそれぞれの作動カム手段7によって駆動される。
【0021】
更に具体的には、カム手段7は、二つの端部位置(図1と2で示される)の間でピストン6を動かし、その一つの位置は、投与セル5がホッパー4、更に詳細には、浸出製品の一定の分量を受け取るためにレベリングブレード(leveling blade)27に面している上死点(PMS)に対応し、もう一の位置は、投与セル5が、フィルター材料のウエブ3の上に浸出製品の一定の分量を、放出するために、フィルター材料のウエブ3に面する、下死点(PMI)に対応する。
【0022】
再び、図1と2を参照して、カム手段7は、各々のピストンのために、カム従属子7bが動く、少なくとも一つの円形のカムトラック7aを具備する。
【0023】
より具体的には、カムトラック7aは、ピストン6を上述したように動かすことができるように、2つの実質的に半円の部分7a、25から成る。部分25(図2と3参照のこと)は、固定され、各々のピストン6に、フィルター材料のウエブ3上に所要量を放出することを可能にする。一方、部分7aは、それぞれの投与セル5に配置される浸出製品の分量を変えるように、ピストン6と第一ドラム2の外側面との間の距離を所定の範囲で調整するために、第一ドラム2から突出する適切な手段26によって、調節可能である。
【0024】
浸出製品の所要量は、次に、第一ドラム2の経路上に位置づけられた円弧形状のプレートから成る、レベリングブレード27によって、ならされる。
【0025】
図3で示したように、カム手段7と各々のピストン6の間には、セル5のZ軸と常に完全に一直線になった方向で、セル5のZ軸に沿って、ピストン6に、同軸方向に作用するように設計されたクランク機構8があり、クランク機構8は、ピストン6自体の往復動作を可能にする。
【0026】
図3と図4で図示されているように、クランク機構8は、第二ドラム9に回転可能に取り付けられていて、第一ドラム2に関連付けて、第一ドラム2の内側に取付けられており、前述の水平軸Yの周りをドラム2と一体になって回転する。
【0027】
より詳細に調べると、各々のクランク機構8は、一つの端部を従属子7bに接続し、もう一つの端部を、トランスミッションシャフト12に接続する、第一クランク10を具備している。トランスミッションシャフト12は、第二ドラムを貫通して各々の穴12で回転可能に支持される。
【0028】
シャフト11は、反対側の第二ドラム9から突出する自由端で、第二クランク13の第一端部に固定して取り付けられている。
【0029】
第二クランク13は、その、もう一つの端部で、セル5の軸Zに沿って接続された、連接制御ロッド14の第一端部14aに接続されていて、連接制御ロッド14のもう一つの端部は、ピストン6に順々に接続されている。このことは、図3で示されるようにクランクシャフトに類似の機構を創出し、ピストン6の中心で、押す動作と引く動作を、働かせることを可能にする。
【0030】
技術的詳細を、より詳しく調べると、第二クランク13の第一端部は、カム従属子7bとピストン間の動作が、直接的に、または間接的に伝達されることができるように、キー15によって、シャフト11に固定して取付けられている。
【0031】
図4で明確に図示されているように、連接ロッド14に連結されているクランク13の端部は、連接ロッド14の両側で連接ロッド14の端部を保持するような、分岐した形状であり、それゆえ、それぞれのセル5に沿って正確な軸方向の動作を取得する。
【0032】
連接ロッド14は、第二クランク13自体の、分岐した形状の端部に作られた各々の穴を貫通する第一ピン16を介して、第二クランク13に連結されている。
【0033】
もう一つの端部では、連接ロッド14は、ピストン6に作られたそれぞれの穴19に収容され連接ロッド14のそれぞれの端部に係合する、第二の横断ピン18によって、ピストン6に連結されている。
【0034】
カム従属子7bの動作が、ピストン6に正確に伝達されることを可能にするために、各々のトランスミッションシャフト11は、ピストン6のためにクランク駆動機構全体を回転するように、シャフト11自体と、第二ドラム9の穴12の間に位置づけられた、2つのベアリング20と21とを有している。
【0035】
投与装置1の動作は、添付図面を参照して、上の記述から簡単に推論されることができるため、更に詳細には説明されない。
【0036】
上述したように構成される投与装置は、常に、正確および信頼できる動作と、投与される製品の種類に関係ないことを、確保するように、正確な軸上の方向に、各々のピストンが駆動されることを可能にする、クランク機構手段のおかげで、前述した目的を達成する。
【0037】
このクランク機構を適用しても、ピストンに駆動を伝達するための作用部分は、依然として変化しないので、装置の全寸法に影響しない。
【0038】
クランクと連接ロッドアセンブリの小型であることが、また、ピストンに非常に正確で、速い、および遅い駆動動作を可能にする。そしてこの小型さが、常に正確にセル自体の長手方向軸に一直線になった方向に、ピストンがスライドするように、それぞれの投与セルに平行に、各々のピストンを保つ。その結果、通常動作中にピストンが故障することを防ぐ。
【0039】
第一ドラムの内側に取付けられ、第一ドラムにより密閉された第二ドラムを設けることが、駆動機構を隔離し、それらを清潔に保つことを可能にする。そのことは、また、投与ユニットの全体の厚さを少し増加する。そして実際には、制御機構が第一ドラムから突出し、カムからより離れている従来技術の装置と比べて、全寸法を小さくするよりコンパクトなカム制御装置により、上述した作動カム手段が、使い勝手のよい領域に位置づけられることを可能にする。
【0040】
説明された発明は、その結果、本発明の範囲から逸脱することなしに、さまざまな方法により、変更され、変化することが可能である。更に、本発明の全ての詳細は、技術的な等価要素によって、置き換えられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明に従った投与装置の好ましい実施形態の、部分的に断面で、いくつかの部分が、明確にするために切り取られた概略正面図である。
【図2】図2は投与装置の作動手段を示す、図1の投与装置の概略正面図を図示する。
【図3】図3は、図1の投与装置の線III-IIIを通る横断面図である。
【図4】図4は、本発明に従った投与装置のクランク機構を示す、断面の部分もあれば、切り取られた部分もある、図3の詳細な上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸出製品を包含するための、フィルター材料のウエブ(3)とホッパー(4)の間に位置付けられたロータリードラム形式の搬送手段(2)を具備する、前記浸出製品を供給する投与装置(1)であって、
前記ドラム形式の搬送手段(2)は、浸出製品を包含するために、それらの中に作られた複数の半径方向のセル(5)と、セルの中にあるスライドピストン形式の投与手段(6)とを有し、
各々の投与ピストン(6)は、2つの端部位置の間の、それぞれの偏心カム作動手段(7)によって、同軸方向に駆動され、一つの端部位置は、それぞれの投与セル(5)が浸出製品の一定量を受け取るために、ホッパー(4)に面する上死点(PMS)に対応し、もう一つの端部位置は、前記投与セル(5)がフィルター材料のウエブ部(3)上に、前記浸出製品の一定量を放出するために、前記フィルター材料のウエブ(3)に面する下死点(PMI)に対応し、
前記作動手段(7)と各々のピストン(6)の間に、前記それぞれの投与セル(5)の長手方向軸(Z)に完全に一直線になった方向に、ピストンを動かすことが可能なように、前記ピストン(6)に同軸方向に作用するように設計されたクランク機構(8)があることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記、偏心カム作動手段(7)は、その中を、各々のピストン(6)のためのカム従属子(7b)が動く、少なくとも一つのカムトラック(7a)を具備し、
前記クランク機構(8)は、一つの端部で、前記カム従属子(7b)に接続され、もう一つの端部で、トランスミッションシャフト(11)に接続された第一クランク(10)を具備し、
前記トランスミッションシャフト(11)は、そのもう一つの端部で、連接制御ロッド(14)の第一端部(14a)に接続される、第二クランク(13)の第一端部に固定して取付けられ、
前記連接制御ロッド(14)は、前記ピストン(6)に連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第二クランク(13)の第一端部は、前記カム従属子(7b)と前記ピストン(6)との間の動作の伝達が可能なように、前記シャフト(11)に固定して取付けられている、ことを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記連接制御ロッド(14)に連結されている前記第二クランク(13)の端部は、前記連接制御ロッド(14)の両側で前記連接制御ロッド(14)の端部を保持するように、分岐形状であり、
前記連接制御ロッド(14)は、前記分岐した端部に作られた、それぞれの穴(17)を貫通する第一ピン(16)を介して、前記第二クランク(13)に連結される、ことを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記連接制御ロッド(14)は、前記ピストン(6)に作られたそれぞれの穴(19)に収容され、前記連接制御ロッド(14)の前記それぞれの端部に係合する、第二の横断ピン(18)によって、前記ピストンに連結される、ことを特徴とする請求項4に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−506604(P2008−506604A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522046(P2007−522046)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/IB2005/002004
【国際公開番号】WO2006/011016
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(594073646)イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニ (29)
【Fターム(参考)】