説明

消火装置、消火剤の生成方法、及び消火剤

【課題】不活性ガスハイドレートを分解装置により分解し、発生した高圧の不活性ガス及び水を用意することにより、火災現場の状況に応じた消火剤を選択することが可能となり、消火を効率よく且つ噴射のための圧力を有効に利用できる消火装置を提供する。
【解決手段】この消防車100は、不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、冷水16と炭酸ガス15を生成するハイドレート分解装置12と、ハイドレート分解装置12により生成された冷水16及び炭酸ガス15を消火剤として噴射する消火剤噴射装置14と、炭酸ガスハイドレート13を貯留するハイドレートタンク11と、全ての装置を搭載して火災現場まで搬送する車両10と、を備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火装置に関し、さらに詳しくは、不活性ガスハイドレートを分解することにより発生する水と不活性ガスを利用して火災を消火する消火装置、消火剤の生成方法、及び消火剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建築構造物の非木造化、並びに建築材料の耐火性能の向上により、飛躍的に火災が減少している。しかし、どのように非木造化や建築材料の耐火性能が向上しても、内装には依然として可燃物が使用されることが多く、火災を皆無にすることは不可能である。また、産業の発展に伴い、化学プラント等で火災が発生すると、従来の水による消火だけでは火災を鎮火させることは不可能な状態となっている。即ち、このような場合は、化学消火専門の消防隊が出動し、火災の原因に応じた化学消火剤を噴射して消火に当たるのが常識となっている。このように、今日の化学消火は、火災現場の状況に応じて泡沫状の化学消火剤による消火や二酸化炭素による酸素遮断と従来の放水による方法を併用しているのが現状である。
【0003】
特許文献1には、火災の熱を利用して二酸化炭素ガスハイドレートを溶解させ、局部的に二酸化炭素ガスを大量に放出させて火災への酸素供給を遮断する技術について開示されている。
【特許文献1】特開2005−305128公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の化学消火においては、火災現場まで消火剤を大量に運ばなければならず、火災の規模によっては膨大な消火剤が必要となり、消火に時間を要するばかりでなく、消火のためのコストが莫大となるといった問題がある。
また特許文献1に記載の従来技術では、ガスハイドレートを溶解させる手段として火災の熱を利用するため、ガスハイドレートの分解が必ずしもスムーズに行われるとは限らず、消火のための二酸化炭素ガスが効率よく発生する保証はない。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑み、不活性ガスハイドレートを分解装置により分解し、生成した高圧の不活性ガス及び水を利用することにより、火災現場の状況に応じた消火剤を選択することが可能となり、消火を効率よく且つ噴射のための圧力を有効に利用できる消火装置を提供することを目的とする。
また他の目的は、消火剤をハイドレートの状態で運搬し、火災現場で不活性ガスと水に分解して消火剤として利用することにより、消火剤の効率的な運搬と、消火剤のコストを低減することである。
また他の目的は、分解装置により生成した水と、不活性ガスハイドレートを混合してシャーベット状のハイドレートを生成し、それを消火剤とすることにより、初期消火の効果、氷の溶解による吸熱効果、溶解後の水分と炭酸ガスによる消火効果といった相乗効果を発揮することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、該不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水及び/又は不活性ガスを消火剤として噴射する消火剤噴射装置と、を備えたことを特徴とする。
不活性ガスハイドレートを分解装置により分解すると、不活性ガスと水に分解される。この不活性ガスと水は、消火のために有効であり、且つ高圧で生成されるため、不活性ガスと水を同時に使用したり、或いは何れか一方を消火剤として利用することができる。
【0007】
請求項2は、不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、該不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水と前記不活性ガスハイドレートを混合してシャーベット状のハイドレートを生成する混合槽と、該混合槽により生成したシャーベット状のハイドレートを消火剤として噴射する消火剤噴射装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、分解装置により生成された水と不活性ガスハイドレートを混合することにより不活性ガスハイドレートをシャーベット状にする。このシャーベット状のハイドレートを消火剤とすることにより、初期消火の効果、氷の溶解による吸熱効果、溶解後の水分と炭酸ガスの消火効果による相乗効果を得ることができる。
【0008】
請求項3は、不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、該不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水及び/又は不活性ガスを消火剤として噴射するスプリンクラーと、消火対象物近傍の温度を検知する温度センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記温度センサにより前記消火対象物近傍の温度が所定の値を超過したことを検出すると、前記不活性ガスハイドレート分解装置に不活性ガスハイドレートを供給して前記水と不活性ガスを生成させることを特徴とする。
本発明では、消火装置を例えば家屋に固定して設置する。そして、家屋の所定の部分に温度センサを備え、温度センサの温度を常時監視することにより火災を検知して、分解装置に不活性ガスハイドレートを供給して不活性ガスと水を生成して、スプリンクラーから噴射する。
【0009】
請求項4は、不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、該不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水と前記不活性ガスハイドレートを混合してシャーベット状のハイドレートを生成する混合槽と、前記混合槽により生成したシャーベット状のハイドレートを消火剤として噴射するスプリンクラーと、消火対象物近傍の温度を検知する温度センサと、制御部と、を備え、前記制御部は、前記温度センサにより前記消火対象物近傍の温度が所定の値を超過したことを検出すると、前記不活性ガスハイドレート分解装置及び前記混合槽に前記不活性ガスハイドレートを供給し、前記不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水と前記不活性ガスハイドレートを前記混合槽により混合して、前記シャーベット状のハイドレートを消火剤として噴射することを特徴とする。
本発明では、消火装置を例えば家屋に固定して設置する。そして、家屋の所定の部分に温度センサを備え、温度センサの温度を常時監視することにより火災を検知して、分解装置に不活性ガスハイドレートを供給して水を生成し、その水を混合槽に供給すると共に、不活性ガスハイドレートを供給して水と混合することによりシャーベット状のハイドレートを生成してスプリンクラーから噴射する。
【0010】
請求項5は、前記不活性ガスは、二酸化炭素、窒素又はアルゴンであることを特徴とする。
消火に使用するガスは反応性に乏しい不活性ガスであることが必要条件である。その条件に最適な気体は、大気中に含まれる二酸化炭素、窒素、アルゴンである。
請求項6は、不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成すると共に、生成された前記水と前記不活性ガスハイドレートとを混合することによりシャーベット状の消火剤としたことを特徴とする。
不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成すると共に、生成された水と不活性ガスハイドレートとを混合することにより不活性ガスハイドレートをシャーベット状の消火剤にしたので、初期消火の効果、氷の溶解による吸熱効果、溶解後の水分と炭酸ガスの消火効果による相乗効果を得ることができる。
請求項7は、本発明の消火剤は、請求項6に記載の消火剤の生成方法により生成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、この不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水及び/又は不活性ガスを消火剤として噴射する消火剤噴射装置と、を備えたので、消火剤として水又は不活性ガスによる消火、或いは両方を併用する消火を火災原因により選択することができ、効率的に火災を消火することができ、且つ消火剤の効率的な運搬と、消火剤のコストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の実施形態に係る消火装置に使用される消火剤を生成する概念図である。本発明は不活性ガスをゲストガスとする不活性ガスハイドレート1を利用して消火剤とするものである。即ち、不活性ガスハイドレート1の利用形態としては、図1(a)では、不活性ガスハイドレート1を不活性ガス2と冷水3に分解して、不活性ガス2と冷水3を同時に炎4に噴射するものである。また、図1(b)では、不活性ガスハイドレート1をシャーベット状のハイドレート5にして炎4に噴射するものである。このシャーベット状のハイドレート5は、不活性ガスハイドレート1の分解により得られた冷水とハイドレートを混合してシャーベット状にしたものである(詳細は後述する)。また、図1(c)では、不活性ガスハイドレート1により得られた冷水3のみを炎4に噴射するものである。この冷水3には、不活性ガスが多量に溶解している。尚、不活性ガスとしては、水への溶解度の高い二酸化炭素が特に好ましい。また、不活性ガスハイドレート1のゲストガスである不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素、アルゴン等があげられる。また、図1(c)において、冷水3を炎4に噴射しているが、不活性ガス2のみを炎4に噴射しても構わない。
【0013】
図2は本発明の実施形態に係る消火装置を搭載した消防車の構成図である。尚、本実施形態では、不活性ガスとして炭酸ガスを使用する場合について説明する。図2(a)は第1の実施形態の消防車であり、この消防車100は、炭酸ガスハイドレート13を貯留するハイドレートタンク11と、炭酸ガスハイドレート13に熱を加えて分解し、冷水16と炭酸ガス15を生成するハイドレート分解装置12と、ハイドレート分解装置12により生成された冷水16及び炭酸ガス15を消火剤として噴射する消火剤噴射装置14と、全ての装置を搭載して火災現場まで搬送する車両10と、を備えて構成される。
【0014】
次に本実施形態の消防車の消火動作について説明する。ハイドレートタンク11から、適宜炭酸ガスハイドレート13がハイドレート分解装置12に供給され、炭酸ガス15と水16に分解される。炭酸ガスハイドレート13の分解により、ハイドレート分解装置12内は高圧となるため、この圧力を利用して炭酸ガス15と水16を夫々炎17に噴射させる。尚、火災や天候の状況により炭酸ガス15と水16の使い分けが可能である。例えば、風が強く吹いている場合などは、炭酸ガス15を供給し、火災現場雰囲気中の酸素量を少なくすることができる。また、水16のみを噴射してもよい。ハイドレート分解装置12内は高圧であり、ハイドレート由来の水の温度は0〜5℃と低温であり、且つハイドレート由来の水には比較的多量の二酸化炭素が溶解している。これにより、水による消火効果と、火災現場雰囲気中の酸素濃度が低くなることによる消火効果を同時に得ることができ、優れた消火効果を得ることができる。尚、本実施形態では、消火剤噴射装置14を備えているが、ハイドレート分解装置12内の圧力が十分高ければ特に必要ないが、圧力が不足した場合や、更に圧力を増加する必要が生じた場合には、本消火剤噴射装置14を動作させて使用するものである。
【0015】
図2(b)は第2の実施形態の消防車であり、この消防車110は、炭酸ガスハイドレート13を貯留するハイドレートタンク11と、炭酸ガスハイドレート13に熱を加えて分解し、冷水20と炭酸ガス(図示せず)を生成するハイドレート分解装置12と、ハイドレート分解装置12により生成された冷水20と炭酸ガスハイドレート13を混合してシャーベット状のハイドレート19を生成する混合槽18と、混合槽18により生成したシャーベット状のハイドレート19を消火剤として噴射する消火剤噴射装置21と、全ての装置を搭載して火災現場まで搬送する車両10と、を備えて構成される。
【0016】
次に本実施形態の消防車の消火動作について説明する。ハイドレートタンク11から、適宜、炭酸ガスハイドレート13がハイドレート分解装置12に供給され、冷水20と炭酸ガスに分解され、冷水20が混合槽18へ供給される。混合槽18では、別途、炭酸ガスハイドレート13が供給され、冷水20と混合され、且つ粉砕されることによりシャーベット状ハイドレート19になる。このシャーベット状ハイドレート19を炎17に噴射する。これにより、シャーベット状ハイドレート19中の水分により初期消火効果があり、その後、氷の溶解による吸熱効果、溶解後の水分と炭酸ガスによる消火効果といった三段階の消火効果が見込め、優れた消火効果を得ることができる。尚、本実施形態では、消火剤噴射装置21を備えているが、ハイドレート分解装置12内の圧力が十分高ければ特に必要ないが、圧力が不足した場合や、更に圧力を増加する必要が生じた場合には、本消火剤噴射装置21を動作させて使用するものである。
【0017】
図3は本発明の第3の実施形態に係る消火装置の構成図である。この消火装置200は、炭酸ガスハイドレート13を貯留するハイドレートタンク11と、炭酸ガスハイドレート13に熱を加えて分解し、冷水16と炭酸ガス15を生成するハイドレート分解装置12と、ハイドレート分解装置12により生成された冷水16及び炭酸ガス15を消火剤として噴射するスプリンクラー23と、消火対象物である例えば、オフィス、住居22内の温度を検知する温度センサ20と、制御部24と、を備えて構成されている。そして制御部24は、温度センサ20によりオフィス、住居22内の温度が所定の値を超過したことを検出すると、ハイドレート分解装置12に炭酸ガスハイドレート13を供給して冷水16と炭酸ガス15を生成させる構成である。
【0018】
即ち、火災が発生し、オフィス、住居22内の温度が予め設定した温度以上になったことを制御部24が温度センサ20により検出すると、ハイドレートタンク11からハイドレート分解装置12へ炭酸ガスハイドレート13が供給される。ハイドレート分解装置12では、ヒータ等により積極的にハイドレートの分解を促進させ、炭酸ガス15と冷水16を生成させる。得られた炭酸ガス15と冷水16はスプリンクラー23を介して火災現場24に噴射されて消火する。また、炭酸ガス15を噴射せず、二酸化炭素が多量に溶解した冷水16のみを噴射して消火してもよい。また、図2(b)のような混合槽を設け、シャーベット状のハイドレートを噴射させて消火を行っても良い。また、本実施形態では、消火対象物をオフィス、住居22としたが、消火対象物を大型船舶等にも適用することができる。これによれば、海上火災時の消火活動においても海を汚染することなく消火を行うことができる。
【0019】
図4は本発明の第4の実施形態に係る消火装置の構成図である。この消火装置300は、炭酸ガスハイドレート13を貯留するハイドレートタンク11と、不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、冷水16と炭酸ガス15を生成するハイドレート分解装置12と、ハイドレート分解装置12により生成された冷水16消火剤として噴射する放水ノズル27と、炭酸ガス15を消火剤として噴射する炭酸ガスノズル26と、全ての装置を搭載して火災現場まで搬送する搬送車25と、を備えて構成される。
【0020】
本実施形態は人力により搬送が可能な小型の消火装置である。ハイドレートタンク11から、適宜炭酸ガスハイドレート13がハイドレート分解装置12に供給され、炭酸ガス15と水16に分解される。炭酸ガスハイドレート13の分解により、ハイドレート分解装置12内は高圧となるため、この圧力を利用して炭酸ガス15と水16を夫々炭酸ガスノズル26と放水ノズル27から噴射させる。尚、火災や天候の状況により炭酸ガス15と水16の使い分けが可能である。また、炭酸ガス15を噴射せず、二酸化炭素が多量に溶解した冷水16のみを噴射して消火してもよい。また、図2(b)のような混合槽を設け、シャーベット状のハイドレートを噴射させて消火を行っても良い。
【0021】
図5は、ハイドレート分解装置の構成を模式的に表す図である。このハイドレート分解装置12は、密閉された筒状部材によって構成される分解槽31と、分解槽31内を上下に仕切るように内部に配置されてハイドレートタンク11から供給される不活性ガスハイドレート1を支持する網32と、分解槽31内の上部から温水36を散水することにより網32上に載置されている不活性ガスハイドレート1を分解させ、高い圧力を持つ水(分解水)3と不活性ガス2とに分離させる散水管35と、分解槽31内の下部に貯まった高い圧力の水(分解水)3を分解槽31外に取り出す水取出管37と、分解槽31内の下部に貯まった水(分解水)3を汲み出すポンプ33と、ポンプ33によって汲み出された水3を加熱して温水36にし、散水管35から分解槽31内に噴射させる熱交換器34と、分解槽31内の上部に貯まった高い圧力の不活性ガス2を取り出して外部に供給する不活性ガス取出管30と、を備えて構成される。
尚、不活性ガスハイドレート1は熱を加えることによって分解するため、温水による分解の促進をせずに、外気温度によって自然分解するように構成することも可能である。この場合には装置構成を更にシンプル化することができる。
【0022】
以上の通り本発明によれば、炭酸ガスハイドレート13に熱を加えて分解し、水16と炭酸ガス15を生成するハイドレート分解装置12と、このハイドレート分解装置12により生成された水16及び/又は炭酸ガス16を消火剤として噴射する消火剤噴射装置14と、を備えたので、消火剤として水16又は炭酸ガス15による消火、或いは両方を併用する消火を火災原因により選択することができ、効率的に火災を消火することができ、且つ消火剤の効率的な運搬と、消火剤のコストを低減することができる。
【0023】
また、炭酸ガスハイドレート13に熱を加えて分解し、水16と炭酸ガス15を生成するハイドレート分解装置12と、このハイドレート分解装置12により生成された水16と炭酸ガスハイドレート13を混合してシャーベット状のハイドレート19を生成する混合槽18と、混合槽18により生成したシャーベット状のハイドレート19を消火剤として噴射する消火剤噴射装置21と、を備えたので、火災の発生原因である発熱、空気を効率的に取り除くことができる。
【0024】
また、炭酸ガスハイドレート13に熱を加えて分解し、水16と炭酸ガス15を生成するハイドレート分解装置12と、このハイドレート分解装置12により生成された水16及び/又は炭酸ガス15を消火剤として噴射するスプリンクラー23と、消火対象物22近傍の温度を検知する温度センサ20と、制御部24と、を備え、制御部24は、温度センサ20により消火対象物22近傍の温度が所定の値を超過したことを検出すると、ハイドレート分解装置12に炭酸ガスハイドレート13を供給して水16と炭酸ガス15を生成させるので、無人の建物等の火災検知を自動的に行なうことができる。
【0025】
また、炭酸ガスハイドレート13に熱を加えて分解し、水16と炭酸ガス15を生成するハイドレート分解装置12と、このハイドレート分解装置12により生成された水16と炭酸ガスハイドレート13を混合してシャーベット状のハイドレート19を生成する混合槽18と、混合槽18により生成したシャーベット状のハイドレート19を消火剤として噴射するスプリンクラー23と、消火対象物22近傍の温度を検知する温度センサ20と、制御部24と、を備え、制御部24は、温度センサ20により消火対象物22近傍の温度が所定の値を超過したことを検出すると、ハイドレート分解装置12及び混合槽18に炭酸ガスハイドレート13を供給し、ハイドレート分解装置12により生成された水16と炭酸ガスハイドレート13を混合槽18により混合して、シャーベット状のハイドレート19を消火剤として噴射するので、無人の建物等の火災検知を自動的に行なうことができると共に、火災の発生原因である発熱、空気を効率的に取り除くことができる。
【0026】
また、不活性ガスは、二酸化炭素、窒素、アルゴンであるので、そのガスを噴射することにより火災の周囲の空気を遮断して効率的に消火することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】(a)〜(c)は本発明の実施形態に係る消火装置に使用される消火剤を生成する概念図である。
【図2】(a)は第1の実施形態の消防車の構成図、(b)は第2の実施形態の消防車の構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る消火装置の構成図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る消火装置の構成図である。
【図5】ハイドレート分解装置の構成を模式的に表す図である。
【符号の説明】
【0028】
10 車両、11 ハイドレートタンク、12 ハイドレート分解装置、13 炭酸ガスハイドレート、14 消火剤噴射装置、15 炭酸ガス、16 冷水、18 混合器、19 シャーベット状ハイドレート、30 不活性ガス取出管、31 分解槽、32 網、33 ポンプ、34 熱交換器、35 散水管、36 温水、37 水取出管、100、110 消防車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、
該不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水及び/又は不活性ガスを消火剤として噴射する消火剤噴射装置と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項2】
不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、
該不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水と前記不活性ガスハイドレートを混合してシャーベット状のハイドレートを生成する混合槽と、
該混合槽により生成したシャーベット状のハイドレートを消火剤として噴射する消火剤噴射装置と、
を備えたことを特徴とする消火装置。
【請求項3】
不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、
該不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水及び/又は不活性ガスを消火剤として噴射するスプリンクラーと、
消火対象物近傍の温度を検知する温度センサと、制御部と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサにより前記消火対象物近傍の温度が所定の値を超過したことを検出すると、前記不活性ガスハイドレート分解装置に不活性ガスハイドレートを供給して前記水と不活性ガスを生成させることを特徴とする消火装置。
【請求項4】
不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成する不活性ガスハイドレート分解装置と、
該不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水と前記不活性ガスハイドレートを混合してシャーベット状のハイドレートを生成する混合槽と、
前記混合槽により生成したシャーベット状のハイドレートを消火剤として噴射するスプリンクラーと、
消火対象物近傍の温度を検知する温度センサと、制御部と、を備え、
前記制御部は、前記温度センサにより前記消火対象物近傍の温度が所定の値を超過したことを検出すると、前記不活性ガスハイドレート分解装置及び前記混合槽に前記不活性ガスハイドレートを供給し、前記不活性ガスハイドレート分解装置により生成された水と前記不活性ガスハイドレートを前記混合槽により混合して、前記シャーベット状のハイドレートを消火剤として噴射することを特徴とする消火装置。
【請求項5】
前記不活性ガスは、二酸化炭素、窒素、又はアルゴンであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の消火装置。
【請求項6】
不活性ガスハイドレートに熱を加えて分解し、水と不活性ガスを生成すると共に、生成された前記水と前記不活性ガスハイドレートとを混合することによりシャーベット状の消火剤としたことを特徴とする消火剤の生成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の消火剤の生成方法により生成されたことを特徴とする消火剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−319281(P2007−319281A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−150825(P2006−150825)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】