説明

消臭剤、表面コーティング剤、接着剤、成形体、及び弾性体

【課題】暗所や弱光下でも消臭作用を発揮する消臭剤、表面コーティング剤、接着剤、成形体、及び弾性体を提供すること。
【解決手段】本発明では、臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有することを特徴とする消臭剤、表面コーティング剤、接着剤、成形体、及び弾性体を提供する。特に、本発明では、カーボン及びストロンチウムを含有する。そして、本発明に係る消臭剤では、臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有しているために、光が照射されない暗所や照射される光が弱い弱光下であっても消臭作用を発揮することができる。特に、カーボン及びストロンチウムを含有した場合には、消臭作用を向上させることができる。本発明に係る消臭剤は、光の照射が必要でないために、表面コーティング剤、接着剤、成形体、及び弾性体に含有させても、消臭作用を発揮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤、表面コーティング剤、接着剤、成形体、及び弾性体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、消臭作用を有する物質として酸化チタンに代表される光触媒が広く知られており、この光触媒を含有する消臭剤や塗料(表面コーティング剤)が開発されてきている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この光触媒を含有する消臭剤は、光触媒が紫外線の作用によって空気中の水分子や酸素分子と反応してOHラジカルやスーパーオキサイドアニオンなどの活性酸素を生成し、活性酸素の作用で臭い成分を分解することが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−233072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、光触媒による消臭作用は、光触媒に紫外線が照射されることによって生じるものであるため、光が照射されない暗所や照射される光が弱い弱光下では、紫外線の照射量が少なすぎて消臭作用を発揮することができないものであった。
【0006】
しかも、消臭のメカニズムが、光触媒に紫外線が照射されることによって生成される活性酸素と臭い成分とが直接接触することで臭い成分を分解することができるものであったために、表面コーティング剤や接着剤や成形体や弾性体などに光触媒を含有させた場合には、光の照射量が少なくなることによる消臭作用の低減だけでなく、臭い成分との接触が良好に行われないことによる消臭作用の低減が生じ、ほとんど消臭効果が得られないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明では、臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有する消臭剤、表面コーティング剤、接着剤、成形体、及び弾性体を提供するものである。
【0008】
特に、本発明では、カーボン及びストロンチウムをも含有する消臭剤、表面コーティング剤、接着剤、成形体、及び弾性体を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0010】
すなわち、本発明に係る消臭剤は、臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有しているために、光が照射されない暗所や照射される光が弱い弱光下であっても消臭作用を発揮することができる。
【0011】
特に、カーボン及びストロンチウムを含有することにしているために、これらのカーボン及びストロンチウムの作用により消臭作用を向上させることができる。
【0012】
そして、本発明に係る消臭剤は、光の照射が必要でないために、表面コーティング剤、接着剤、成形体、及び弾性体に含有させても、消臭作用を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、臭い成分を分解する電磁波を放出する鉱石を粉末状にして消臭剤とするものであり、特にカーボン及びストロンチウムを含有させて消臭作用を向上させたものである。
【0014】
また、本発明は、粉末状の消臭剤を公知の塗料等に含有させることで表面コーティング剤とし、装置や建造物の内外面にコーティングすることで、周囲の消臭を行うことができるものである。
【0015】
また、本発明は、粉末状の消臭剤を公知の糊等に含有させることで接着剤とし、装置の製造や建造物の工事の際の接着に使用することで、周囲の消臭を行うことができるものである。
【0016】
また、本発明は、粉末状の消臭剤を公知の樹脂や粘土等に含有させて成形することで成形体とし、容器や置物などの成形品として使用することで、周囲の消臭を行うことができるものである。
【0017】
さらに、本発明は、粉末状の消臭剤を公知のゴム等に含有させて成形することで弾性体とし、ダクトやパイプに密接に巻き付けて使用することで、ダクトやパイプの内部を通過する気体や液体の消臭を行うことができるものである。
【0018】
ここで、臭い成分を分解する電磁波を放出する鉱石としては、酸素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、リン、カリウム、カルシウム、チタン、及び鉄を含有する人工又は天然の鉱石を見出した。かかる鉱石は、図1に示す蛍光X線分析により、表1に示すように、酸化珪素や酸化チタンや酸化アルミニウムなどの酸化物を含有し、重量比で、酸素61.8903%、ナトリウム3.3868%、マグネシウム0.7488%、アルミニウム6.0652%、珪素26.3110%、リン0.1929%、カリウム0.6408%、カルシウム0.5633%、チタン0.0551%、鉄0.1458%を含有する焼成体である。
【0019】
【表1】

【0020】
この表1に示す組成からなる鉱石を10μm以下(より好ましくは0.5μm±20%)の粉体とし、公知の一般塗料に10重量%均等に混入して表面コーティング剤(試料1)を生成し、その消臭作用について調べた結果を表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】
表2は、アンモニアと窒素の混合ガス(アンモニア濃度1%)をテドラーバッグ内で希釈して60ppmに調整した試験用ガス10Lを試料が塗布された格子板が入った10Lテドラーバッグに移し入れ、テドラーバッグ内のアンモニア濃度を検知管(株式会社ガステック社製No.3L及び3La)で0分後、15分後、30分後、45分後、60分後に測定した結果である。
【0023】
この表2から、試料1により消臭作用が発揮されることがわかる。
【0024】
さらに、試料1の改良目的で研究を重ねた結果、表1に示す組成からなる鉱石を粉体とするとともに、重量比で0.1%の粉末状のカーボンと0.1%の粉末状のストロンチウムを添加し、公知の一般塗料に10重量%均等に混入して表面コーティング剤(試料2)を生成し、その消臭作用についても調べた。その結果も併せて表2に示す。
【0025】
この表2から、カーボン及びストロンチウムを混入した試料2では、試料1よりも消臭作用を向上させることがわかる。
【0026】
なお、表2は、表面コーティング剤としての測定結果であるが、これに限られず、消臭剤、接着剤、成形体、弾性体としてもほぼ同様の結果が測定できた。また、消臭剤の混入比率は、多いほうが消臭作用は強くなるが、色や質感や強度などの種々の要因で適宜決定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】蛍光X線分析の実測データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有することを特徴とする消臭剤。
【請求項2】
カーボン及びストロンチウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の消臭剤。
【請求項3】
臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有することを特徴とする表面コーティング剤。
【請求項4】
カーボン及びストロンチウムを含有することを特徴とする請求項3に記載の表面コーティング剤。
【請求項5】
臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有することを特徴とする接着剤。
【請求項6】
カーボン及びストロンチウムを含有することを特徴とする請求項5に記載の接着剤。
【請求項7】
臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有することを特徴とする成形体。
【請求項8】
カーボン及びストロンチウムを含有することを特徴とする請求項7に記載の成形体。
【請求項9】
臭い成分を分解する電磁波を放出する粉末状の鉱石を含有することを特徴とする弾性体。
【請求項10】
カーボン及びストロンチウムを含有することを特徴とする請求項9に記載の弾性体。

【図1】
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【公開番号】特開2008−167912(P2008−167912A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3344(P2007−3344)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(396003205)
【Fターム(参考)】