説明

液体の誘電率測定用マイクロセル及び誘電率測定方法

【課題】微量の液体試料の誘電率を同軸プローブ法で測定する際に用いられる誘電率又は誘電正接測定用のマイクロセル、及びそれを用いた誘電率測定方法を提供する。
【解決手段】微量の液体の誘電率又は誘電正接の測定に用いられるマイクロセルであって、4弗化エチレン樹脂等の透明又は半透明で低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で形成された円筒形の試料充填用マイクロセルと、同軸プローブを固定する固定材とから構成されるマイクロセル。該マイクロセルを用いて誘電率又は誘電正接を測定することにより、ごく微量の液体試料(〜20μL)の誘電率を精度良く測定することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微量の液体試料の誘電率又は誘電正接を同軸プローブ法で測定する際に用いられるマイクロセル、及びそれを用いた誘電率又は誘電正接の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘電率を測定する方法には、(1)平行金属板間に試料を挿入し、その時の容量の変化を測定する「容量法」、(2)同軸管や方形導波管のように伝送経路の一部に試料を挿入し、その時の反射板や透過波を測定する「導波管法」、(3)共振器内に試料を挿入し、その時の共振周波数やQ値を測定する「共振器法」、(4)自由空間中に試料を配置し、その試料の反射板や透過波を測定する「自由空間法」などがある。
【0003】
本発明で対象とするプローブ法とは、導波管法の一種で反射型と呼ばれるものであり、プローブとは伝送経路の切断面に相当する。プローブ法では、プローブを液体(被試験試料)の中に入れることによって誘電率が測定され、プローブ端での電界は材料の周囲に入り込み被試験試料と接触すると変化するので、反射信号を測定して誘電率に変換することができる。それ故サンプル要件として、半無限(5mm以上)の浸透深さ、プローブ先端のプローブチップ周囲に半無限(5mm以上)の材料が必要とされ、サンプルは最低でも580μL必要であった。
【0004】
被試験試料がPCBの場合、PCBは有害物質であり、大量に扱うのは危険な物質である。PCB純物質の販売量は5〜25mg(多くても50mg)程度と非常に少量である。誘電率データの概要を把握するためには、10%希釈程度の濃度が必要なため、100〜200μL程度のマイクロセルによる計測が望まれている。しかし、より微量の試料を計測するに適したセル等は未だ見あたらない。
【0005】
今までに提案された液体の誘電率測定用セルとしては、試料充填部の長さを任意に変えることができるようにし、一つのセルで複数種の試料の測定ができるようにしたもの(特許文献1)、微量水分を含む液体試料の誘電率を測定できるようにしたもの(特許文献2)がある。しかしながら、微量の液体試料の誘電率を測定可能にしたものはない。
【0006】
誘電率は、比誘電率(ε)と等価であり、比誘電率(ε)はε=ε/εによって示される(ここで、ε:真空の誘電率、ε:絶対誘電率)。誘電正接(tanδ)は、複素誘電率の中の実誘電率(ε’)に対する見かけ誘電率(ε”)の比 ε”/ε’で表される。見かけ誘電率は常に0より大きく、通常はε’よりはるかに小さくなる。見かけ誘電率(ε”)は損失係数と呼ばれ、外部電界に対する材料のエネルギー消費の指標となる。
【0007】
PCBはある周波数の電磁波を照射したときに、1塩素化ビフェニル、3塩素化ビフェニル、5塩素化ビフェニルがそれぞれ、異なる誘電正接を示すことが知られている(非特許文献1)。そのため、PCBを含有する被測定物に電磁波を照射し、それの透過波又は反射波の照射波に対する減衰と位相差を同時に測定し、その測定値からPCBの物理量である誘電正接を得ることで被測定物中のPCB含量を求めることができる。市販のベクトル・ネットワーク・アナライザーを用いた測定方法では直接、被測定物の誘電正接tanδの値を得ることができる。
【特許文献1】特開昭62−226051号公報
【特許文献2】特開昭64−73244号公報
【非特許文献1】ズロトルチンスキー、分析と環境化学へのマイクロ波の適用、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微量の液体の誘電率又は誘電正接の測定を可能にするマイクロセルであって、液体試料の誘電率を同軸プローブ法で測定する際に用いられるマイクロセル、及びそれを用いた誘電率又は誘電正接の測定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明では、低誘電率かつ誘電損失が小さい材料で形成された直径10mm以下の試料充填用の縦長セルと、該セル内部に固定されたスリムプローブとを組み合わせ、プローブチップの周囲5mm以内に電界が形成されるように構成することで、微量の液体試料の誘電率を測定可能になることを見いだし、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)微量の液体の誘電率又は誘電正接の測定に用いられるマイクロセルであって、低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で形成された試料充填用マイクロセルと、同軸プローブを固定する固定材とから構成されることを特徴とするマイクロセル。
(2)微量の液体の誘電率又は誘電正接の測定に用いられるマイクロセルであって、低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で形成された試料充填用マイクロセルと、該マイクロセル及び同軸プローブを固定する上部固定材と、該マイクロセルを固定する下部固定材とから構成されることを特徴とするマイクロセル。
(3)複数個の試料充填用マイクロセルを有する前記(2)に記載のマイクロセル。
(4)微量の液体の誘電率又は誘電正接の測定に用いられるマイクロセルであって、低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で形成された試料充填用マイクロセルと、該マイクロセルを固定する架台と、同軸プローブを固定する固定材とを有することを特徴とするマイクロセル。
(5)低誘電率かつ誘電損失が小さい材料で形成されたマイクロセルと同軸プローブを組み合わせた際に、プローブチップの周囲5mm以内に電界が形成されるように構成した、前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のマイクロセル。
(6)試料充填用マイクロセルを形成する材料の誘電率が4以下で、tanδが0.0002以下である、前記(1)〜(5)のいずれか1項に記載のマイクロセル。
(7)試料充填用マイクロセルを形成する材料がフッ素樹脂である、前記(1)〜(6)のいずれか1項に記載のマイクロセル。
(8)試料充填用マイクロセルの形状が円筒形で、孔の内径が1〜10mmで深さが15〜50mmである、前記(1)〜(7)のいずれか1項に記載のマイクロセル。
(9)試料充填用マイクロセルが透明又は半透明である、前記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のマイクロセル。
(10)前記(1)〜(9)のいずれか1項に記載のマイクロセルを用いることを特徴とする液体の誘電率又は誘電正接の測定方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ごく微量の液体試料でも誘電率を精度良く測定することが可能になる。これを用いた測定装置は、広帯域測定に優れ、液体の誘電率を簡便に測定可能であり、動作温度範囲が広い。更に、試料充填用マイクロセルを透明又は半透明の材料にて形成することにより可視化が可能になるため、測定精度及び操作性に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には従来のセルの構成例を示した。市販のフラスコにスリムプローブ3を挿して測定する例である。通常50〜100mLの液量を必要としていた。
【0013】
図2には本願のセルの構成例を示した。1はセル構成材、2はセル(構成材に設けた穴)、3は金属ニッケル製のスリムプローブ(外径2.2mm)、4はプローブ固定用のゴム詮である。xはゴム詮先端からプローブ先端までの距離、yはプローブ先端からセルの穴の底までの距離、dはゴム詮先端からセル底面までの距離、φはセル内径を示す。
【0014】
図2では、スリムプローブ3が、4弗化エチレン樹脂に設けた穴(即ちセル)2にセットしてあり、その上部をシリコンゴム栓(又は4弗化エチレン樹脂栓)を介して固定し、直径の小さいセルの壁面にプローブの先端が触れないような工夫を施してある。これにより、縦位置・横位置がずれる事なく液量が200〜300μLでの測定を可能とし、測定中にプローブがずれる事による誤差発生を防いでいる。また、セル2の構成材1にガラスもしくは透明4弗化エチレン樹脂を使用する事により内部の可視化が可能となり、液体にきちんと浸っているかどうかが確認できる。
【0015】
プローブ3の長さが短いと、測定誤差の影響を受け易いので、xは10mm以上、好ましくは20mm以上必要である。プローブの先端からセルの穴の底までの距離が短いと測定誤差の影響を受け易いので、十分長い距離をとる必要があり、2mm以上必要である。但し、x、yはできるだけ短い方が好ましい。
【0016】
尚、図示していないが、セル構成材1に埋め込まれていた熱電対およびヒーター(またはクーラー)により、温度を加温(または冷却)しながらの測定も可能である。
【0017】
本構成ではシリコンゴム又は4弗化エチレン樹脂の栓により、蒸気発生を防いでいるが、栓にガスの逃げ口をつける事も可能である。
【0018】
上記の条件を満たす好ましいマイクロセルの一例として、図3には4弗化エチレン(又は透明4弗化エチレン)を材質としたマイクロセル(実施形態1)、図4にはガラスチューブをセルとしたマイクロセル(実施形態2)、図5には透明4弗化エチレンを材質としたセルと架台を組み合せたマイクロセル(実施形態3)の構成例を示した。
【0019】
図3において(a)は正面図、(b)はセルの寸法図、(c)はセル固定材の寸法図、(d)はセルの外観斜視図である。図3の例では、セル2に液体試料10を充填し、測定する。セル長は25mm、セル内径は3.0mm、5.0mm又は10.0mmである。プローブ3をセル固定材4に挿し、このセル固定材は、セル構成材1に設けた凹部に固定する。
【0020】
図2及び図3に示すセルの場合、材料に設けた凹部に試料を充填するため、該材料として透明又は半透明のものを使用すると可視化が可能になり、測定時の操作性及び精度が向上する。
【0021】
図4は、ガラスチューブから構成される穴径を変えた4つのマイクロセルを、各マイクロセルの上部をセル及びプローブ固定材5に、各マイクロセルの下部をセル固定材6にセットした例を示している。(a)は正面図、(b)はセル及びプローブを固定する上部固定材5の上面図と正面図、(c)はセルを固定する下部固定材6の上面図と正面図である。このように穴径を変えた複数のセルの組み合わせを準備することで、粘度や誘電率の異なるサンプルにつき最適なセルを選択することもできる。図4では、マイクロセル内径を、2.4mm、3.0mm、5.0mm、10.0mmに設定した例を示した。
【0022】
図5は、4弗化エチレン樹脂製の架台11と、透明4弗化エチレン樹脂製のセル12を組み合せた例を示した、マイクロセルの外観斜視図である。図6は、架台11に設置する試料充填用マイクロセルの外観斜視図である。図5では、30mm×40mm×35mmの架台11に、内径3mm(又は6mm又は8mm)、外径4mm(又は8mm又は10mm)、長さ35mmのセルを固定することができるように、該セル外径に対応させて直径4mm(又は8mm又は10mm)の挿し込み口が形成されている。セルを挿し込み口に固定した後、図5に示す様に、架台11とプローブ固定材13を4弗化エチレン樹脂製のボルト14で固定する。固定手段は特に限定されないが、固定用の部材を低誘電率の材料で作製しておけば、測定精度を高めることができ、好ましい。プローブ3は、プローブ固定材13に設けた穴に挿し込み、セル12の壁面にプローブの先端が触れないように、かつ、プローブの先端がセル12の中心部に位置するように設置する。
【0023】
また、架台は、前面に切り欠けを設け、該切り欠け部に試料充填用マイクロセル12を固定する事により、工作困難が透明材を使用しなくても透明セルを用いるだけでセル内部の可視化が可能となり、プローブが液体にきちんと浸っているかどうかが確認できる。
【0024】
セル12は、可視化が可能となるように、透明又は半透明の材料で形成されていることが好ましい。図6に示す例では、セル12は、厚さ1mmで内径が3mm、6mm又は8mmの透明4弗化エチレン製チューブの中に、外径3mm、6mm又は8mmで長さが10mmの透明4弗化エチレン樹脂製の丸棒を挿填することにより形成することができる。こうすることで、丸棒の長さとチューブ内径及び丸棒の外径を変更すれば、セル容量を調整することができる。しかも、セルに充填する試料の量がごく微量であっても測定可能になる。
【0025】
本発明において、試料充填用マイクロセルは、電界が均一に形成されるように円筒形の形状とすることが好ましい。該セルの孔の内径は1〜10mm、孔の深さは15〜50mm(より好ましくは20〜50mm)の範囲で設計することにより、ごく微量の液体試料の誘電率を測定することができる。
【0026】
本発明の液体の誘電率測定用マイクロセルは、同軸プローブと組み合わせて測定に使用するが、誘電率測定装置は、さらに、ネットワークアナライザーまたはインピーダンスアナライザー、ソフトウエアで構成される。同軸プローブとしては、スリムプローブ、高温プローブの2種が挙げられるが、本発明で対象とするのはスリムプローブである。
【0027】
液体試料を充填するマイクロセルは、低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で形成する。このような材料としては、上記の4弗化エチレン樹脂(誘電率ε’=2.16、誘電損失ε”=0.0004、tanδ=0.0002)、石英ガラス(誘電率ε’=3.8、誘電損失ε”=0.0008、tanδ=0.0002)などが挙げられる。誘電率が4以下の材料であれば、前記の材料以外の材料であっても良い。材料は耐化学薬品性に優れたものが好ましい。
【0028】
測定装置は、ベクトルネットワークアナライザーから出された信号が同軸プローブ先端に存在する液体の境界面で反射され、その反射率から複素誘電率を算出するものである。測定可能な周波数範囲は500MHz〜50GHzである。プローブは、セルに接触させないように垂直に挿すことが必要であり、プローブの長さをできるだけ短くして、プローブとセルが接触する可能性を少なくする。
【0029】
(作用)
本発明の液体の誘電率測定用マイクロセルは、低誘電率かつ誘電損失が小さい材料で形成されたマイクロセルとスリムプローブを組み合わせた際に、プローブチップの周囲5mm以内に電界が形成されるように構成しているので、微量の液体の誘電率を測定誤差が少なく測定することができる。また、セルを低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で、それらの値が既知のもので形成すれば、(1)誘電率が小さい溶液を計測する場合には、誤差が小さく出来る、(2)誘電率が大きい溶液を計測する場合には、セルの材料の誘電率が既知であれば計測値を補正する場合の方針が立てられる、といった利点がある。従って、本発明のマイクロセルを用いることによって、低誘電率の試料〜高誘電率の試料に至るまで精度よく測定することが可能になる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
純水をマイクロセルに採取し、誘電率を室温で、アジレント社製ネットワークアナライザーE5071B−ENA及びアジレント社製スリムフォームプローブ5070E(プローブ直径2.2mm)を用いて、周波数0.5〜8.5GHzの幅で計測した。尚、実施例1〜2は図3に示したマイクロセル、実施例3〜8は図5に示したマイクロセルを用い、セル底から2.5〜3mm程度の位置にプローブ先端を設置した。
【0032】
一方、ビーカーやバイアル瓶に液体を入れ、スリムフォームプローブの周囲の十分な範囲に液体が存在するものを正しいものとして、相対誤差を下記(数1)のように計算し、その計算値を表1に示した。
【0033】
【数1】

である。)
【0034】
(実施例2)
対象物を絶縁油とした以外は実施例1と全く同様に計測を行った。
【0035】
(実施例3)
使用セルを透明マイクロセル3mmφとした以外は実施例1と全く同様に計測を行った。校正=5、n数=5における実際の測定結果をビーカーと比較して図7に示したが、良い一致を得た。
【0036】
(実施例4)
対象物をイソプロピルアルコール(IPA)とし、使用セルを透明マイクロセル3mmφとした以外は実施例1と全く同様に計測を行った。
【0037】
(実施例5)
対象物を絶縁油とし、使用セルを透明マイクロセル3mmφとした以外は実施例1と全く同様に計測を行った。
【0038】
(実施例6)
対象物をKC−300とし、使用セルを透明マイクロセル3mmφとした以外は実施例1と全く同様に計測を行った。校正=5、n数=5における実際の測定結果を3mLバイアル瓶の場合と比較して図8に示した。
【0039】
(実施例7)
使用セルを透明マイクロセル6mmφとした以外は実施例1と全く同様に計測を行った。
【0040】
(実施例8)
対象物をイソプロピルアルコール(IPA)とし、使用セルを透明マイクロセル6mmφとした以外は実施例1と全く同様に計測を行った。
【0041】
【表1】

【0042】
表1より、いずれも場合も相対誤差が充分小さいことが分かった。また、図7、図8より校正=5、n数=5における平均値及び標準偏差は充分小さく非常に有効であることが確認できた。
【0043】
本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明も範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の液体の誘電率測定用マイクロセルは、微量の液体の誘電率を測定可能としたものであり、PCB、BHC、ダイオキシン等の微量でしか扱えない試料(有害物質)や、実験室等で合成した微量試料の分析の他、一般分析用や品質管理用の手段等として幅広く利用することができる。このような環境物質の電気物性計測は、産業上も利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】従来のセルの構成例を示す図である。
【図2】本発明に係るマイクロセルの構成例を示す図である。
【図3】実施形態1に係る4弗化エチレン樹脂(又は透明4弗化エチレン樹脂)を材質としたマイクロセルを示す構成図で、(a)はマイクロセル正面図、(b)及び(c)はマイクロセル及びセル固定材の大きさを説明する図、(d)はマイクロセルの外観斜視図である。
【図4】実施形態2に係るガラスチューブをセルとしたマイクロセルを示す構成図で、(a)はマイクロセル正面図、(b)はマイクロセル上部固定材(ふた)の構成を説明する図、(c)はマイクロセル下部固定材(台)の構成を説明する図である。
【図5】実施形態3に係る透明4弗化エチレン樹脂を材質としたマイクロセルの外観斜視図である。
【図6】実施形態3に係る透明4弗化エチレン樹脂を材質としたセルの外観斜視図である。
【図7】マイクロセルとビーカーにおける純水の誘電率計測結果の比較グラフである。
【図8】マイクロセルとバイアルにおけるPCB(KC300)の誘電率計測結果の比較グラフである。
【符号の説明】
【0046】
1 マイクロセル構成材
2 マイクロセル
3 プローブ
4 プローブ固定材
5 マイクロセル上部固定材
6 マイクロセル下部固定材
7 ガラスチューブ
11 架台
12 マイクロセル
13 プローブ固定材
14 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微量の液体の誘電率又は誘電正接の測定に用いられるマイクロセルであって、低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で形成された試料充填用マイクロセルと、同軸プローブを固定する固定材とから構成されることを特徴とするマイクロセル。
【請求項2】
微量の液体の誘電率又は誘電正接の測定に用いられるマイクロセルであって、低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で形成された試料充填用マイクロセルと、該マイクロセル及び同軸プローブを固定する上部固定材と、該マイクロセルを固定する下部固定材とから構成されることを特徴とするマイクロセル。
【請求項3】
複数個の試料充填用マイクロセルを有する請求項2に記載のマイクロセル。
【請求項4】
微量の液体の誘電率又は誘電正接の測定に用いられるマイクロセルであって、低誘電率かつ誘電損失の小さい材料で形成された試料充填用マイクロセルと、該マイクロセルを固定する架台と、同軸プローブを固定する固定材とを有することを特徴とするマイクロセル。
【請求項5】
低誘電率かつ誘電損失が小さい材料で形成されたマイクロセルと同軸プローブを組み合わせた際に、プローブチップの周囲5mm以内に電界が形成されるように構成した、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロセル。
【請求項6】
試料充填用マイクロセルを形成する材料の誘電率が4以下で、tanδが0.0002以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロセル。
【請求項7】
試料充填用マイクロセルを形成する材料がフッ素樹脂である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のマイクロセル。
【請求項8】
試料充填用マイクロセルの形状が円筒形で、孔の内径が1〜10mmで深さが15〜50mmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロセル。
【請求項9】
試料充填用マイクロセルが透明又は半透明である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のマイクロセル。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロセルを用いることを特徴とする液体の誘電率又は誘電正接の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−a】
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【図3−b】
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【図3−c】
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【図3−d】
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【図4−a】
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【図4−b】
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【図4−c】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−111816(P2008−111816A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297359(P2006−297359)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】