液体もしくは粘体の排出用補助具及び排出方法
【課題】内袋を備えるコンテナにおいて、収納物が高粘度の粘体等であっても最後まで殆ど残留させずに排出でき、しかも内袋に対する着脱が容易で、繰り返し使用が可能な排出用補助具を提供する。
【解決手段】内袋20の上部開口もしくは注入口23より挿入可能で、収納物aの上方から内袋底部21に達する長さの主体部10を有し、外周全域にわたって収納物が通過可能な開孔11を有する網状体による筒形にして、主体部10の下端部に排出用管25が連結される排出用口部22に嵌入可能な連結用筒部15を設け、連結用筒部15を排出用口部22に嵌入して立設した状態で収納物をポンプにより吸引して排出できるようにする。
【解決手段】内袋20の上部開口もしくは注入口23より挿入可能で、収納物aの上方から内袋底部21に達する長さの主体部10を有し、外周全域にわたって収納物が通過可能な開孔11を有する網状体による筒形にして、主体部10の下端部に排出用管25が連結される排出用口部22に嵌入可能な連結用筒部15を設け、連結用筒部15を排出用口部22に嵌入して立設した状態で収納物をポンプにより吸引して排出できるようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体もしくは粘体を収納する内袋を備える輸送用のコンテナ、特には粘度の高い粘体を収納するコンテナにおいて使用する排出用補助具と、これを使用する排出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グリース等の工業用の油脂類、印刷インキ、接着剤、塗料、ボディソープ等のクリーム状物、マヨネーズ等の練状食品その他の各種の粘度の高い液体即ち粘体の輸送に使用するコンテナとしては、従来より一般には金属製やプラスチック製のタンクが使用されていたが、かかるタンクは比較的高価であって、かつ空タンクの輸送や保管効率が劣る上に、繰り返し使用するためのタンク内面や排出用管の洗浄作業が面倒なものであった。
【0003】
近年、合成樹脂フィルム等よりなる袋体を内袋として、折り畳みや分解が可能な剛性素材よりなる外枠等の外容器と組み合わせて使用し、該内袋を1回の使用で廃棄するようにして、洗浄作業を簡略化した液体コンテナが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この場合、比較的粘度の低い液体の輸送においては、液体の流動性を利用して充填及び排出を容易に行うことができるが、粘度の高い液体や殆ど流動性を有さない練状物等の粘体の場合には、粘体自体の流動性だけでは充填及び排出が行われ難いものである。そのため、例えば、袋底部に有する排出用口部から、ポンプにより圧送して充填したり、ポンプにより吸引して排出することが行われている。
【0005】
ところで、前記の粘体等の収納物をポンプの吸引力で排出するようにした場合、収納物が前記排出用口部の近辺から吸引されて排出されることで、収納物の上面では中央部から陥没し、これに伴って前記内袋の天部が中央部から引き込まれ、該内袋の一部が排出用口部に吸い込まれたりして、該排出用口部を塞ぎ、その結果、収納物の排出が阻害されることがあり、内袋内の周辺部等では収納物が充分に排出されずに残存するおそれがある。特に、収納物が殆ど流動性を有さない高粘度の粘体の場合には、前記のような問題が生じ易くなる。
【0006】
そのため、前記排出用口部に取着した筒状の排出体に、収納物を通過させる長孔を有するフランジ筒を内方上向きに突設しておくことにより、前記内袋が排出用口部に吸い込まれて該排出用口部を完全に塞ぐことになるのを防止するようにしたコンテナ用の内袋が提案されている(特許文献2)。
【0007】
また、ドラム管等の外装容器に内装する内袋としての合成樹脂フィルム製の容器で、凍結された液体等を収納する容器において、内容物を吸引注出する際、注出経路の閉塞を防いで、内容物を効率よく吸引注出するために、網状体のチューブ等よりなる流路確保部材を挿入しておくことが提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特許第3769653号公報
【特許文献2】特開2004−182275号公報
【特許文献2】特開2005−298038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2のようにして、排出用口部に対する内袋の密着を防ぐだけでは、ポンプによる吸引により粘体等の収納物が排出用口部の近辺から排出されることに変わりがないため、収納物がある程度排出されて前記内袋が前記排出体の全体を覆うように吸着された場合には、収納物の排出が阻害されることになり、その結果、内部の収納物が完全に排出されずに残存するおそれがある。また収納物が排出されて減少するのに伴って、前記コンテナ用の内袋がコンテナ底部に幾重にも重なって畳まれた状態になっても、収納物が益々排出され難くなり、排出されない残量が多くなる。
【0009】
また、特許文献3のように、内袋として使用する合成樹脂フィルム製の容器内部に流路確保部材を挿入しておくのは、該容器(内袋)の製造に手数が係ることになる上、該流路確保部材が剛体の場合、外容器に内装しセットするまでの取り扱いにおいて、該容器(内袋)を嵩低く折り畳んでおくことができないことになり、取り扱い難いものになる。特に、高粘度の粘体等のコンテナにおいて、洗浄作業等の利便性のために使い棄てを想定して使用する内袋として、その内部に前記流路確保部材を挿入して構成しておくのは、内袋と共に流路確保部材も使い棄てになり、繰り返し使用できず、不経済である。
【0010】
本発明は、前記の問題点を解決するためになしたものであり、液体もしくは粘体を収納する内袋を備えるコンテナにおいて、内部の収納物をポンプにより吸引して排出する際に、前記内袋によって該排出用口部が塞がれたりするのを最後まで防止できて、収納物を殆ど残留させずに排出でき、しかも、内袋に対し適宜挿入して使用でき、使用後の内袋との分離も容易で、繰り返し使用が可能な排出用補助具を提供するものであり、さらに前記排出用補助具を使用した排出方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する本発明は、液体もしくは粘体を収納する内袋を備えるコンテナにおいて使用する排出用補助具であって、前記内袋の上部に有する開口もしくは注入口より該内袋内に挿入可能で、かつ収納物の上方から内袋底部もしくはその近傍にまで挿入できる所要長さの主体部を有し、該主体部が、外周全域にわたって収納物が通過可能な開孔を有する網状体による筒形をなし、該主体部の上下一方端に連結用筒部が設けられ、前記連結用筒部に直接又は間接的に排出用管を接続した状態で収納物を排出できるように形成されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の排出用補助具は、前記内袋を備えるコンテナにおいて、液体や粘体等の収納物を排出する際に使用するもので、前記内袋内に挿入しセットした前記排出用補助具の主体部の一方端に有する連結用筒部に直接又は間接的に排出用管を接続しておいて、ポンプにより吸引し排出する。これにより、収納物の減少に伴って前記内袋同士を密着させたり、排出用口部を塞ぐ虞なく最後まで殆ど残留させずに排出できる。
【0013】
特に、前記排出用補助具の主体部が外周全域に開孔を有する網状体による筒形をなしており、ポンプの吸引力が該主体部の内孔を通じて外周全域の開孔に及ぶため、収納物が高粘度の粘体であっても前記外周全域で吸引して効率よく排出できる。また仮に、前記内袋の一部が前記排出用補助具の主体部の一部に密着して一部の開孔を閉塞することがあっても、他の開孔の部分から吸引して最後まで排出できることになる。さらに、前記内袋がコンテナ底部上に折り畳まれるのを前記排出用補助具により防止できることにもなる。
【0014】
また、前記排出用補助具は、前記内袋に対し挿入可能で適宜挿入セットして使用でき、内袋とは別に取り扱えるため、前記内袋の使用までの折り畳みの邪魔にならず、しかも使用後には該排出用補助具を取り外しておくことにより、内袋のみを廃棄でき、該排出用補助具を繰り返し使用することができる。
【0015】
前記の排出用補助具において、排出用管が接続される排出用口部を底部に有する内袋を備えるコンテナにおいて使用するものにおいて、前記主体部が前記内袋の排出用口部よりも径大の外径をなすとともに、下端に前記排出用口部に嵌入し得る連結用筒部が設けられ、前記排出用口部に対する前記連結用筒部の嵌入により立設状態に保持し得るように設けられてなるものとすることができる。
【0016】
この場合、前記内袋に収納されている粘体等の排出の際に、前記内袋上部の開口もしくは注入口から前記排出用補助具を挿入し、下端部の連結用筒部を内袋底部の排出用口部に挿入し嵌入して立設状態に保持して使用する。この使用においては、前記内袋上部の開口もしくは注入口を閉塞して、かつ該内袋上部を前記排出用補助具の上端部もしくは外容器の蓋付きの開口部等に係合し保持しておく。これにより、内袋がコンテナ底部上に折り畳まれるのを規制しながら、前記のように内部の収納物を前記排出用補助具の主体部全域の開孔及び内孔を通じて排出用口部から効率よく排出できる。
【0017】
前記の排出用補助具において、前記連結用筒部の下端には、収納物の流通を阻害しない形状で先細状をなす、前記排出用口部に対する挿入ガイドが設けられてなるものが好ましい。これにより、内袋底部の排出用口部が内部の収納物のために上方から見えなくても、その排出用口部の個所を前記挿入ガイドで探ることで、その先端が排出口用口部に嵌り込みさえすれば、そのまま落とし込むようにして前記連結用筒部を排出用口部に嵌入さことができ、排出時に収納物の上方から挿入セットするのも容易になる。しかも、前記のように内部の収納物を最後まで殆ど残留させずに効率よく排出できることになる。
【0018】
また、前記の排出用補助具において、前記主体部の上端に吸引用の排出用管を接続するための連結用筒部が設けられてなるものとすることもできる。この場合、内袋上部の注入口から内部の収納物をポンプにより吸引して排出するコンテナ、例えば、底部に排出用口部を有さない内袋を備えるコンテナにおいて、前記注入口から前記排出用補助具を内袋内に挿入セットし、該注入口から臨出させた前記連結用筒部に排出用管を接続するようにして使用できる。この使用においても、前記同様にポンプによる吸引力を主体部の全域に及ぼすことができ、内部の収納物を最後まで殆ど残留させずに効率よく排出できることになる。
【0019】
本発明の排出用補助具において、前記主体部が、長手方向に間隔をおいて配した環状円板の外周部に周方向の所要間隔毎に複数本の棒状線材を配して形成した網状体よりなり、外周全域に環状円板と前記棒状線材により画される長孔状の開孔が形成されてなるものとすることができる。これにより、排出用補助具としての剛性が高く、取り扱い易く、前記連結用筒部を排出用口部に嵌入して立設した場合に立設状態を良好に保持でき、また使用後の洗浄も容易に可能になる。
【0020】
前記主体部が、多数の開孔を有する多孔板もしくは金網よりなる保形性のある網状体により筒形をなすように形成されてなるものとすることもできる。
【0021】
また、本発明は、排出用口部を底部に有し液体もしくは粘体を収納する内袋と、該内袋の外側を覆う外容器とを備えるコンテナにおいて、前記排出用口部に連結された排出用管を通じてポンプの吸引力で収納物である液体もしくは粘体を排出する際の排出方法として、前記主体部の下端に連結用筒部が設けられた前記排出用補助具を用いることとし、該排出用補助具を前記内袋上部の開口もしくは注入口から該内袋内に挿入して、前記連結用筒部を内袋底部の排出用口部に嵌入することにより立設状態に保持するとともに、前記内袋上部の開口もしくは注入口を閉塞した状態で、該内袋上部を前記排出用補助具の上端部もしくは外容器の蓋付きの開口部等に係合して下方に落ち込ませないように保持して、排出を行うことを特徴とする。これにより、前記したように、前記内袋が外容器の底部上に折り畳まれるのを規制しながら、内部の収納物を前記排出用補助具の主体部全域の開孔及び内孔を通じて排出用口部から効率よく排出できる。
【発明の効果】
【0022】
上記したように、本発明の排出用補助具によれば、液体もしくは粘体を収納する内袋を備えるコンテナにおいて、粘体等の収納物を排出する際に使用するもので、前記内袋内に挿入しセットした前記排出用補助具の主体部の上下一方端に有する連結用筒部に排出用管を接続しておいて、内袋上部の開口部もしくは注入口を閉塞した状態でポンプにより吸引し排出することにより、収納物の減少に伴って前記内袋同士を密着させたり、排出用口部を塞ぐ虞なく最後まで殆ど残留させずに効率よく排出でき、略完全な排出が可能になる。
【0023】
しかも、前記排出用補助具は、内袋とは別に取り扱えるため、前記内袋の使用までの折り畳みの邪魔にならないばかりか、使用後には該排出用補助具を内袋から容易に分離でき、内袋を廃棄処理する場合にも、該排出用補助具を洗浄することにより半永久的に繰り返し使用することができて、コンテナ毎に準備する必要がなく、極めて経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明の液体もしくは粘体の排出用補助具の斜視図、図2は同側面図、図3は同横断面図、図4は内袋を備える液体もしくは粘体用のコンテナの1例を示す概略断面図である。図5はコンテナの内袋内に収納対象の液体や粘体を収納した状態で本発明の排出用補助具をセットした状態の断面図、図6は同上の上部側の一部欠截斜視図、図7は同上の排出用口部の部分の拡大断面図、図8は同上の注入口の部分の拡大断面図、図9(a)(b)(c)(d)は内袋を例示する略示図である。
【0026】
図において、符号Aは本発明に係る排出用補助具を示し、Bは前記排出用補助具Aを使用する液体もしくは粘体用のコンテナの1例を示している。前記コンテナBは、例えば図5のように、底部21に排出用口部22を有し、液体もしくは粘体を収納する内袋20と、外形が直方体形状をなし前記内袋20を外側から支持する外容器30とからなる。
【0027】
図の場合、前記外容器30は、パレット部31の上に底枠部32を載設してなり、該底枠部32内の側板から連続して中央部に向かって傾斜した漏斗状の底部33を有し、該底部33の中央部に前記内袋20の排出用口部22及び該排出用口部22に連結される開閉バルブ付きの排出用管25をセットするための開口部34が設けられている。そして前記底枠部32の上には、四隅部の支柱35と、該支柱35により支持された四方側面の側壁板36とが設けられるとともに、さらにその上に上枠37が載設されて、ボックス体38が組み立て構成されており、このボックス体38が前記内袋20を外側から保持する外容器30として構成されている。前記ボックス体38は、組み立て分解可能に設けられるほか、前記支柱35及び側壁板36が折り畳み可能に構成される場合もある。
【0028】
前記内袋20は、例えばポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルムの単層もしくは複層のシートよりなる袋、またはこれらとターポリン製シートとの組み合わせよりなる袋、あるいはゴム製の袋よりなる。この内袋20の底部21の中央部には、筒部22a1とフランジ部22a2とからなる合成樹脂製の口部材22aが前記フランジ部22a2での熱融着手段にて結合されることにより前記排出用口部22が形成されている。使用の際には、前記口部材22aの筒部22a1を前記外容器30の底部33に有する開口部34に挿入して前記フランジ部22a2を受部材22bにより受支する。前記排出用管25は前記口部材22aの下方向きの筒部22a1に対しクランプ手段その他の締結手段により締結される。前記内袋20の上部には、合成樹脂製の口部材23aが熱融着手段等により結合された注入口23が設けられ、該口部材23aに螺着されるキャップ24により開閉自在に設けられている。
【0029】
前記内袋20としては、前記の例のように底部21に口部材22aによる排出用口部22を、上部に口部材23aによる注入口23をそれぞれ設けたものには限らず、種々の袋形態による実施が可能である。例えば、図10(a)のように、ガセット状に折り込んで形成した胴部と同口径で上端まで連続して開口させておいて、液体や粘体を収納した状態で該開口部20aをバンドや紐体(図示せず)により緊締して閉塞するようにしたもの、あるいは同図(b)のように、前記胴部より細径の筒状開口部20bを連続形成しておき、液体や粘体を収納した状態で該筒状開口部20bをバンドや紐体(図示せず)により緊締して閉塞するようにしたもの、あるいは同図(c)のように、前記同様の筒状開口部20bから胴部へ連続する肩部20cを斜めに形成したもの、あるいは同図(d)のように、表裏体20−1、20−2を上下に重ね合わせて周縁部で融着手段等により接合し、上下の表裏体20−1、20−2の中央部に前記同様の注入口23と排出用口部22を設けたものとすることができる。
【0030】
そして、前記のコンテナBに使用する本発明に係る排出用補助具Aは、概ね次のような構成を備えてなる。
【0031】
図1〜図4に示すように、本発明の排出用補助具Aは、前記内袋20の排出用口部22より径大の外径でありながら前記内袋20の上部に有する開口部20a、20bもしくは注入口23より挿入可能で、かつ、液体もしくは粘体等の収納状態における収納物aの上方の位置から底部22もしくはその近傍にまで挿入できる所要長さ、特に好ましくは排出開始前のほぼ満杯状態の収納物aの上方から底部22に達する長さの主体部10を有してなり、該主体部10が外周全域にわたって収納物aが通過可能な開孔11を有する網状体による筒形をなしている。
【0032】
図の場合、前記主体部10は、長手方向に所要の間隔を存して配した剛性素材の環状円板12の外周部に、周方向の所要間隔毎に複数本、例えば図のように10本の棒状線材13を配して形成した網状体よりなり、前記環状円板12と前記棒状線材13により画される長手方向の長孔状をなす開孔11が外周全域に形成され、これにより該開孔11を前記収納物aが通過可能に設けられている。14は前記主体部10の長手方向に連続し貫通する内孔を示し、前記収納物aが長手方向に流通できるようになっている。
【0033】
前記環状円板12の配置間隔及び棒状線材13の配置間隔は、保形強度や収納物aの排出性能を考慮して任意に設定できる。例えば、図のように、長手方向の両端部で前記環状円板12の配置間隔を中央部より小さくすることも、また全長にわたって同間隔に配置することもできる。
【0034】
前記主体部10としては、環状円板12と棒状線材13とにより網状に形成するほか、例えば、パンチングメタル等の多数の開孔を有する多孔板もしくは比較的粗い網目を有する金網等の保形性のある網状体により筒形に形成したものを用いることもできる。使用上の保形強度あるいは使用後の洗浄の容易性等の点から、前記の環状円板12と棒状線材13を用いて形成するのが好ましい。
【0035】
いずれにしても、前記主体部10の上下一方端、例えば底部21に排出用口部22を有する前記内袋20を備えるコンテナBで使用する場合は下端に、前記排出用口部22を介して前記開閉バルブ付き排出用管25と接続される連結用筒部15が設けられている。具体的には、前記主体部10が前記内袋20の排出用口部22よりも径大の外径をなすとともに、下端に形成される前記連結用筒部15が前記主体部10より径小で前記排出用口部22に嵌入し得るように形成されており、前記排出用口部22に対する前記連結用筒部15の嵌入により立設状態に保持し得るように設けられている。
【0036】
前記連結用筒部15は、前記口部材22aによる前記排出用口部22の内径より僅かに径小の外径で、該排出用口部22に対し殆ど隙間を生じさせずに嵌入できるように形成される。すなわち、前記連結用筒部15と排出用口部22の間に大きな隙間を生じると、ポンプによる吸引排出の際に、隙間に収納物が入り込むことになるので、前記隙間はできるだけ小さいのが好ましい。一方、前記の隙間が小さくなるほど連結用筒部15を排出用口部22に嵌入し難くなり、また収納物aの上方から落とし込んで挿入し嵌入する場合の挿入操作が行い難くなるので、実施上は直径で1mm前後の径差による隙間を保有するのが好ましい。
【0037】
特に、前記連結用筒部15の下端部に、収納物aの流通を阻害しない形状で先細状をなす挿入ガイド17を設け、前記排出用口部22に対して該挿入ガイド17の先端17aが入り込みさえすれば、前記連結用筒部15を該排出用口部22に嵌入できるように設けておくのが、前記の挿入操作上さらに好ましい。
【0038】
前記挿入ガイド17の形状は、図のように十字状或いはY字状のガイド部材18を交叉部が下端になるように屈曲形成して該先端17aに丸みをつけた断面逆三角形状に形成するほか、収納物aの流通を阻害しないで排出用口部22に対する嵌入時のガイド効果を発揮できる種々の形状による実施が可能である。例えば、前記ガイド部材18を下端ほど径小の断面放物線形状や半長円形状に屈曲形成したものによる実施も可能である。いずれにしても、先端(下端)には図のように丸みを付けておくのが、上方からの落とし込みによる挿入操作の際に前記内袋20に傷を付けることがなく好ましい。
【0039】
なお、前記排出用補助具Aの前記連結用筒部15とは反対側の端部すなわち上端部については、図のように前記連結用筒部15と同径の筒部19を設けて開口させておくほか、該筒部19の端部を閉塞しておくことも、該筒部19に対しキャップ(図示せず)を螺着できるようにして閉塞可能に構成しておくことも、また、前記筒部19を省略して環状円板12により端部を形成しておくこともできる。
【0040】
上記のように構成された本発明の排出用補助具Aの使用状態について説明する。この排出用補助具Aは、コンテナBにおける外容器30内へ内袋20を組込みセットする際に、同時に、内袋20内に挿入して連結用筒部15を排出用口部22に嵌入しセットしておくこともできるが、輸送時の揺動を規制する手段が必要になる等の問題があるので、通常は、コンテナBによる輸送時等はコンテナBに組み込まずに分離しておいて、輸送先での収納物aの排出の際に挿入して使用する。
【0041】
この使用において、例えば底部21に排出用口部22を有する内袋20を備えるコンテナBにおいて使用する場合、前記内袋20の上部の開口部もしくは注入口23を通して、収納物aに対して上方から前記排出用補助具Aを落とし込むように挿入し、前記主体部10の下端に有する連結用筒部15を排出用口部22に嵌入させて立設状態に保持する。このとき、収納物aが不透明の液体や粘体であって前記排出用口部22が上方から見えなくても、前記排出用補助具Aを僅かに上下動させるようにして、前記連結用筒部15の下端に連設されている挿入ガイド17により前記排出用口部22の位置を探るようにして容易に嵌合することができる。すなわち、前記挿入ガイド17の先端が前記排出用口部22に入り込めば、そのまま落とし込むようにして、前記連結用筒部15を排出用口部22に嵌入できる。
【0042】
前記のように、排出用補助具Aを挿入して立設した状態で、前記内袋20の上部の開口部をバンドや紐体により緊締して閉塞するか、あるいは前記注入口23をキャップ24により閉塞した状態にして、内袋上部を前記排出用補助具Aの上端部、または外容器30の上部もしくは別途設けられる係止部材に係止して落ち込まないように保持しておく。
【0043】
例えば、図6、図8のように、前記上枠37の相対向辺の枠部37a,37aに脱着可能に架渡された2本の支持フレーム27,27上に、前記内袋20の注入口23を形成する口部材23aに対し両側から挟み込んで係止する二つ割形の係止部材28a,28bを設けておいて、該係止部材28a,28bにより前記口部材23aを係止して下方に落ち込まないように保持する。図の場合、前記一方の係止部材28aは、前記支持フレーム27,27上で他方の係止部材28bに対し接近、離隔方向にスライド可能に設けられるとともに、ネジ部材29により任意の位置で固定できるように構成されている。
【0044】
また、前記排出用補助具Aの上端部は、前記注入口23の内部に位置させるようにして揺動しないように保持する。そのため、該排出用補助具Aは、前記排出用口部22に連結用筒部15を嵌入して立設した状態において、上端部が前記注入口23の内側に位置するようにコンテナのサイズ等に応じて前記主体部10の長さが設定される。前記上端部に筒部19を有する場合は、該筒部19が注入口23の内側に位置し、かつ端面がキャップ24の内面に当接あるいは近接するように前記長さが設定される。
【0045】
こうして、前記内袋20の排出用口部22に連結されている排出用管25に接続されたポンプの吸引力で収納物aを吸引し排出する。この収納物aの排出による減少に伴って前記内袋20が弛むことになっても、該内袋20の同士が密着したり排出用口部22を塞いだりして排出を阻害する虞がなく、最後まで殆ど残留させずにスムーズに排出できる。
【0046】
特に、前記排出用補助具Aの主体部10が外周全域に開孔11を有する網状体による筒形をなしており、ポンプの吸引力が該主体部10の内孔14を通じて外周全域の開孔11に及ぶため、収納物aが高粘度の粘体であっても前記外周全域で吸引して効率よく排出できる。また仮に、前記内袋20の一部が前記排出用補助具Aの主体部10の一部に密着して一部の開孔11を閉塞することがあっても、他の開孔11の部分から吸引して排出できることになる。さらに、前記内袋20が外容器30の底部33上に折り畳まれるのを前記排出用補助具Aにより防止できる。そのため、収納物aを殆ど残留させずに効率よく最後まで排出でき、略完全な排出が可能になる。
【0047】
また、前記排出用補助具Aは、前記内袋20に対し挿入可能で必要に応じて挿入セットして使用するもので、内袋20とは別に取り扱えるため、前記内袋20の使用までの折り畳みの邪魔にならず、しかも使用後には該排出用補助具Aを取り外しておくことにより、内袋20のみを廃棄でき、該排出用補助具Aを繰り返し使用することができる。
【0048】
なお、本発明の排出補助具Aは、収納物aの吸引排出の開始までに内袋20内に上記のように挿入セットして使用するほか、前記コンテナBの形態によっては、底部の排出用口部22からの収納物aの吸引排出がある程度進んだ状態において、内袋20に挿入セットして使用することもできる。
【0049】
すなわち、ポンプによる内部の収納物aの吸引排出に伴って、内袋20の外面に大気圧が作用していることもあって内袋内の収納物aは上面が降下するように減少する。そのため、ある程度の排出が進むまでは排出が阻害されることが殆どないので、例えば1/3〜2/3程度の排出が進んだときに、内袋20上部の開口あるいは注入口23を開いて、排出用補助具Aを上記同様に内袋20内に挿入し、上記した実施例と同様に下端の連結用筒部15を排出用口部22に嵌入して立設状態に保持し、再度内袋20上部の開口或いは注入口23を閉塞した状態にし、さらに必要に応じて内袋20の上部を外容器30の上部等に係止して落ち込まないように保持して吸引排出を行う。特に、コンテナBの外容器30が、四方側面の側壁板36が折り畳み可能なボックス体38よりなるものであれば、一側面の側壁板36を開くことにより、前記の挿入セット操作を容易に行うことができる。この場合にも、収納物aを殆ど残留させずに効率よく最後まで排出できることになる。また、排出用補助具Aは前記のように使用する場合、上記した実施例に比して長さが短いものでよいことになる。
【0050】
上記した実施例においては、底部21に排出用口部22を有する袋体20を備えるコンテナAに使用する場合について説明したが、本発明の排出用補助具Aは、内袋20の上部に有する注入口23から、液体や粘体等の収納物aをポンプにより吸引して排出する場合、すなわち排出用口部を有さない内袋を使用する場合にも利用できる。例えば、収納対象の液体や粘体の種類によっては、漏出等の危険性や排出後の洗浄作業の問題から、コンテナ下部のバルブ付き排出用管より排出する構造を採用できないため、底部に排出用口部を有さないものにしてコンテナ上部から内部の収納物を吸引排出する必要がある。この際に本発明の排出用補助具Aを使用できる。
【0051】
この場合、図10のように、主体部10の上端部に連結用筒部16を設けた排出用補助具Aを用い、該排出用補助具Aを内袋20内の収納物aに対し上方より挿し込み、下端が底部21に当接あるいは近接させるように位置させておいて、前記連結用筒部16にポンプによる吸引用の排出用管26を連結して使用する。そのため、前記連結用管16は前記排出用管26の端部が連結可能に設けられる。例えば、外周に前記排出用管26の端部を螺合できるネジ16aが形成される。
【0052】
この実施例においても、内袋10の上部を排出用補助具Aに対しバンドや紐体46で緊締する等して閉塞状態に保持しておいて、ポンプにより吸引排出を行うことにより、網状体による筒形をなす主体部10の内孔14を通じてポンプの吸引力が該主体部10の外周全域の開孔11に及ぶことで、収納物aを前記全域で吸引して効率よく排出できる。また、前記内袋20の一部が前記排出用補助具Aの主体部10の上部側の一部に密着することがあっても、下部側の他の開孔11の部分から吸引して排出でき、ひいては、最後まで略完全に排出することができる。
【0053】
また、コンテナBの形態としては、上記した実施例のように、外容器30が組み立てあるいは折り畳みが可能なボックス体38からなるもののほか、図11のように、外容器30が合成樹脂材の遠心成形によるタンクであって、底部41にバルブ付き排出用管25が連結される排出口42が設けられ、上部開口部43に嵌合可能な内蓋44と螺着可能な外蓋45を備えるタンク40に、底部21に排出用口部22を形成する口部材22aを設けた内袋20を内装体として、前記口部材22aを前記排出口42に嵌合させて用いたコンテナにおいても、収納物aの排出の際に、上記同様の構成の排出用補助具Aを、前記内袋20の上部開口もしくは注入口23を通して収納物aの上方から挿入セットして用いることができる。
【0054】
この場合、前記排出用補助具Aは、網状体による筒形をなす主体部10を前記タンク40内の収納物aの上方から底部41に達する長さにして、該主体部10の下端部に備える連結用筒部15及び挿入ガイド17を、前記口部材22aに対して嵌入できるように形成しておく。前記連結用筒部15及び挿入ガイド17を前記口部材22aに嵌入して立設した状態で、内袋20の上部開口を閉塞状態に保持して排出を行う。上部開口を閉塞するには、バンドや紐体により緊締するほか、内袋20の上部開口端部をタンク40の開口部43より外側に出して内蓋44を嵌着することにより閉塞することができる。また、内袋20の上部に注入口23を有する場合は、該注入口23をキャップ24により閉塞しておく。こうして、排出用管25を通じてポンプにより吸引して排出することにより、上記した実施例と同様に、網状体による筒形をなす主体部10の内孔14を通じてポンプの吸引力が該主体部10の外周全域の開孔11に及ぶことで、収納物aを前記外周全域で吸引して効率よく最後まで排出できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、液体もしくは粘体を収納する内袋を備える輸送用のコンテナ、特には粘度の高い粘体を収納するコンテナにおいて好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の液体もしくは粘体の排出用補助具の斜視図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】同上の横断面図である。
【図4】内袋を備える液体もしくは粘体用のコンテナの1例を示す概略断面図である。
【図5】コンテナの内袋内に収納対象の液体や粘体を収納した状態で本発明の排出用補助具をセットした状態の断面図である。
【図6】同上の上部側の一部欠截斜視図である。
【図7】同上の排出用口部の部分の拡大断面図である。
【図8】同上の注入口の部分の拡大断面図である。
【図9】(a)(b)(c)(d)は内袋を例示する略示図である。
【図10】本発明の他の実施例の使用状態を示す断面図である。
【図11】本発明のさらに他の使用例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
A…排出用補助具、B…コンテナ、a…収納物、10…主体部、11…開口、12…環状円板、13…棒状線材、14…内孔、15,16…連結用筒部、16a…ネジ、17…挿入ガイド、17a…先端、18…部材、19…筒部、20…内袋、20a…開口部、20b…筒状開口部、21…底部、22…排出用口部、22a…口部材、22b…筒部、23…注入口、23a…口部材、24…キャップ、25…バルブ付き排出用管、26…吸引用の排出用管、27…支持フレーム、28a.28b…係止部材、29…ネジ部材、30…外容器、31…パレット部、32…底枠部、33…底部、34…開口部、35…支柱、36…側壁板、37…上枠、37a…枠部、38…ボックス体、40…タンク、41…底部、42…排出口、43…開口部、44…内蓋、45…外蓋、46…紐体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体もしくは粘体を収納する内袋を備える輸送用のコンテナ、特には粘度の高い粘体を収納するコンテナにおいて使用する排出用補助具と、これを使用する排出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
グリース等の工業用の油脂類、印刷インキ、接着剤、塗料、ボディソープ等のクリーム状物、マヨネーズ等の練状食品その他の各種の粘度の高い液体即ち粘体の輸送に使用するコンテナとしては、従来より一般には金属製やプラスチック製のタンクが使用されていたが、かかるタンクは比較的高価であって、かつ空タンクの輸送や保管効率が劣る上に、繰り返し使用するためのタンク内面や排出用管の洗浄作業が面倒なものであった。
【0003】
近年、合成樹脂フィルム等よりなる袋体を内袋として、折り畳みや分解が可能な剛性素材よりなる外枠等の外容器と組み合わせて使用し、該内袋を1回の使用で廃棄するようにして、洗浄作業を簡略化した液体コンテナが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この場合、比較的粘度の低い液体の輸送においては、液体の流動性を利用して充填及び排出を容易に行うことができるが、粘度の高い液体や殆ど流動性を有さない練状物等の粘体の場合には、粘体自体の流動性だけでは充填及び排出が行われ難いものである。そのため、例えば、袋底部に有する排出用口部から、ポンプにより圧送して充填したり、ポンプにより吸引して排出することが行われている。
【0005】
ところで、前記の粘体等の収納物をポンプの吸引力で排出するようにした場合、収納物が前記排出用口部の近辺から吸引されて排出されることで、収納物の上面では中央部から陥没し、これに伴って前記内袋の天部が中央部から引き込まれ、該内袋の一部が排出用口部に吸い込まれたりして、該排出用口部を塞ぎ、その結果、収納物の排出が阻害されることがあり、内袋内の周辺部等では収納物が充分に排出されずに残存するおそれがある。特に、収納物が殆ど流動性を有さない高粘度の粘体の場合には、前記のような問題が生じ易くなる。
【0006】
そのため、前記排出用口部に取着した筒状の排出体に、収納物を通過させる長孔を有するフランジ筒を内方上向きに突設しておくことにより、前記内袋が排出用口部に吸い込まれて該排出用口部を完全に塞ぐことになるのを防止するようにしたコンテナ用の内袋が提案されている(特許文献2)。
【0007】
また、ドラム管等の外装容器に内装する内袋としての合成樹脂フィルム製の容器で、凍結された液体等を収納する容器において、内容物を吸引注出する際、注出経路の閉塞を防いで、内容物を効率よく吸引注出するために、網状体のチューブ等よりなる流路確保部材を挿入しておくことが提案されている(特許文献3)。
【特許文献1】特許第3769653号公報
【特許文献2】特開2004−182275号公報
【特許文献2】特開2005−298038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献2のようにして、排出用口部に対する内袋の密着を防ぐだけでは、ポンプによる吸引により粘体等の収納物が排出用口部の近辺から排出されることに変わりがないため、収納物がある程度排出されて前記内袋が前記排出体の全体を覆うように吸着された場合には、収納物の排出が阻害されることになり、その結果、内部の収納物が完全に排出されずに残存するおそれがある。また収納物が排出されて減少するのに伴って、前記コンテナ用の内袋がコンテナ底部に幾重にも重なって畳まれた状態になっても、収納物が益々排出され難くなり、排出されない残量が多くなる。
【0009】
また、特許文献3のように、内袋として使用する合成樹脂フィルム製の容器内部に流路確保部材を挿入しておくのは、該容器(内袋)の製造に手数が係ることになる上、該流路確保部材が剛体の場合、外容器に内装しセットするまでの取り扱いにおいて、該容器(内袋)を嵩低く折り畳んでおくことができないことになり、取り扱い難いものになる。特に、高粘度の粘体等のコンテナにおいて、洗浄作業等の利便性のために使い棄てを想定して使用する内袋として、その内部に前記流路確保部材を挿入して構成しておくのは、内袋と共に流路確保部材も使い棄てになり、繰り返し使用できず、不経済である。
【0010】
本発明は、前記の問題点を解決するためになしたものであり、液体もしくは粘体を収納する内袋を備えるコンテナにおいて、内部の収納物をポンプにより吸引して排出する際に、前記内袋によって該排出用口部が塞がれたりするのを最後まで防止できて、収納物を殆ど残留させずに排出でき、しかも、内袋に対し適宜挿入して使用でき、使用後の内袋との分離も容易で、繰り返し使用が可能な排出用補助具を提供するものであり、さらに前記排出用補助具を使用した排出方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決する本発明は、液体もしくは粘体を収納する内袋を備えるコンテナにおいて使用する排出用補助具であって、前記内袋の上部に有する開口もしくは注入口より該内袋内に挿入可能で、かつ収納物の上方から内袋底部もしくはその近傍にまで挿入できる所要長さの主体部を有し、該主体部が、外周全域にわたって収納物が通過可能な開孔を有する網状体による筒形をなし、該主体部の上下一方端に連結用筒部が設けられ、前記連結用筒部に直接又は間接的に排出用管を接続した状態で収納物を排出できるように形成されてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の排出用補助具は、前記内袋を備えるコンテナにおいて、液体や粘体等の収納物を排出する際に使用するもので、前記内袋内に挿入しセットした前記排出用補助具の主体部の一方端に有する連結用筒部に直接又は間接的に排出用管を接続しておいて、ポンプにより吸引し排出する。これにより、収納物の減少に伴って前記内袋同士を密着させたり、排出用口部を塞ぐ虞なく最後まで殆ど残留させずに排出できる。
【0013】
特に、前記排出用補助具の主体部が外周全域に開孔を有する網状体による筒形をなしており、ポンプの吸引力が該主体部の内孔を通じて外周全域の開孔に及ぶため、収納物が高粘度の粘体であっても前記外周全域で吸引して効率よく排出できる。また仮に、前記内袋の一部が前記排出用補助具の主体部の一部に密着して一部の開孔を閉塞することがあっても、他の開孔の部分から吸引して最後まで排出できることになる。さらに、前記内袋がコンテナ底部上に折り畳まれるのを前記排出用補助具により防止できることにもなる。
【0014】
また、前記排出用補助具は、前記内袋に対し挿入可能で適宜挿入セットして使用でき、内袋とは別に取り扱えるため、前記内袋の使用までの折り畳みの邪魔にならず、しかも使用後には該排出用補助具を取り外しておくことにより、内袋のみを廃棄でき、該排出用補助具を繰り返し使用することができる。
【0015】
前記の排出用補助具において、排出用管が接続される排出用口部を底部に有する内袋を備えるコンテナにおいて使用するものにおいて、前記主体部が前記内袋の排出用口部よりも径大の外径をなすとともに、下端に前記排出用口部に嵌入し得る連結用筒部が設けられ、前記排出用口部に対する前記連結用筒部の嵌入により立設状態に保持し得るように設けられてなるものとすることができる。
【0016】
この場合、前記内袋に収納されている粘体等の排出の際に、前記内袋上部の開口もしくは注入口から前記排出用補助具を挿入し、下端部の連結用筒部を内袋底部の排出用口部に挿入し嵌入して立設状態に保持して使用する。この使用においては、前記内袋上部の開口もしくは注入口を閉塞して、かつ該内袋上部を前記排出用補助具の上端部もしくは外容器の蓋付きの開口部等に係合し保持しておく。これにより、内袋がコンテナ底部上に折り畳まれるのを規制しながら、前記のように内部の収納物を前記排出用補助具の主体部全域の開孔及び内孔を通じて排出用口部から効率よく排出できる。
【0017】
前記の排出用補助具において、前記連結用筒部の下端には、収納物の流通を阻害しない形状で先細状をなす、前記排出用口部に対する挿入ガイドが設けられてなるものが好ましい。これにより、内袋底部の排出用口部が内部の収納物のために上方から見えなくても、その排出用口部の個所を前記挿入ガイドで探ることで、その先端が排出口用口部に嵌り込みさえすれば、そのまま落とし込むようにして前記連結用筒部を排出用口部に嵌入さことができ、排出時に収納物の上方から挿入セットするのも容易になる。しかも、前記のように内部の収納物を最後まで殆ど残留させずに効率よく排出できることになる。
【0018】
また、前記の排出用補助具において、前記主体部の上端に吸引用の排出用管を接続するための連結用筒部が設けられてなるものとすることもできる。この場合、内袋上部の注入口から内部の収納物をポンプにより吸引して排出するコンテナ、例えば、底部に排出用口部を有さない内袋を備えるコンテナにおいて、前記注入口から前記排出用補助具を内袋内に挿入セットし、該注入口から臨出させた前記連結用筒部に排出用管を接続するようにして使用できる。この使用においても、前記同様にポンプによる吸引力を主体部の全域に及ぼすことができ、内部の収納物を最後まで殆ど残留させずに効率よく排出できることになる。
【0019】
本発明の排出用補助具において、前記主体部が、長手方向に間隔をおいて配した環状円板の外周部に周方向の所要間隔毎に複数本の棒状線材を配して形成した網状体よりなり、外周全域に環状円板と前記棒状線材により画される長孔状の開孔が形成されてなるものとすることができる。これにより、排出用補助具としての剛性が高く、取り扱い易く、前記連結用筒部を排出用口部に嵌入して立設した場合に立設状態を良好に保持でき、また使用後の洗浄も容易に可能になる。
【0020】
前記主体部が、多数の開孔を有する多孔板もしくは金網よりなる保形性のある網状体により筒形をなすように形成されてなるものとすることもできる。
【0021】
また、本発明は、排出用口部を底部に有し液体もしくは粘体を収納する内袋と、該内袋の外側を覆う外容器とを備えるコンテナにおいて、前記排出用口部に連結された排出用管を通じてポンプの吸引力で収納物である液体もしくは粘体を排出する際の排出方法として、前記主体部の下端に連結用筒部が設けられた前記排出用補助具を用いることとし、該排出用補助具を前記内袋上部の開口もしくは注入口から該内袋内に挿入して、前記連結用筒部を内袋底部の排出用口部に嵌入することにより立設状態に保持するとともに、前記内袋上部の開口もしくは注入口を閉塞した状態で、該内袋上部を前記排出用補助具の上端部もしくは外容器の蓋付きの開口部等に係合して下方に落ち込ませないように保持して、排出を行うことを特徴とする。これにより、前記したように、前記内袋が外容器の底部上に折り畳まれるのを規制しながら、内部の収納物を前記排出用補助具の主体部全域の開孔及び内孔を通じて排出用口部から効率よく排出できる。
【発明の効果】
【0022】
上記したように、本発明の排出用補助具によれば、液体もしくは粘体を収納する内袋を備えるコンテナにおいて、粘体等の収納物を排出する際に使用するもので、前記内袋内に挿入しセットした前記排出用補助具の主体部の上下一方端に有する連結用筒部に排出用管を接続しておいて、内袋上部の開口部もしくは注入口を閉塞した状態でポンプにより吸引し排出することにより、収納物の減少に伴って前記内袋同士を密着させたり、排出用口部を塞ぐ虞なく最後まで殆ど残留させずに効率よく排出でき、略完全な排出が可能になる。
【0023】
しかも、前記排出用補助具は、内袋とは別に取り扱えるため、前記内袋の使用までの折り畳みの邪魔にならないばかりか、使用後には該排出用補助具を内袋から容易に分離でき、内袋を廃棄処理する場合にも、該排出用補助具を洗浄することにより半永久的に繰り返し使用することができて、コンテナ毎に準備する必要がなく、極めて経済的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0025】
図1は本発明の液体もしくは粘体の排出用補助具の斜視図、図2は同側面図、図3は同横断面図、図4は内袋を備える液体もしくは粘体用のコンテナの1例を示す概略断面図である。図5はコンテナの内袋内に収納対象の液体や粘体を収納した状態で本発明の排出用補助具をセットした状態の断面図、図6は同上の上部側の一部欠截斜視図、図7は同上の排出用口部の部分の拡大断面図、図8は同上の注入口の部分の拡大断面図、図9(a)(b)(c)(d)は内袋を例示する略示図である。
【0026】
図において、符号Aは本発明に係る排出用補助具を示し、Bは前記排出用補助具Aを使用する液体もしくは粘体用のコンテナの1例を示している。前記コンテナBは、例えば図5のように、底部21に排出用口部22を有し、液体もしくは粘体を収納する内袋20と、外形が直方体形状をなし前記内袋20を外側から支持する外容器30とからなる。
【0027】
図の場合、前記外容器30は、パレット部31の上に底枠部32を載設してなり、該底枠部32内の側板から連続して中央部に向かって傾斜した漏斗状の底部33を有し、該底部33の中央部に前記内袋20の排出用口部22及び該排出用口部22に連結される開閉バルブ付きの排出用管25をセットするための開口部34が設けられている。そして前記底枠部32の上には、四隅部の支柱35と、該支柱35により支持された四方側面の側壁板36とが設けられるとともに、さらにその上に上枠37が載設されて、ボックス体38が組み立て構成されており、このボックス体38が前記内袋20を外側から保持する外容器30として構成されている。前記ボックス体38は、組み立て分解可能に設けられるほか、前記支柱35及び側壁板36が折り畳み可能に構成される場合もある。
【0028】
前記内袋20は、例えばポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルムの単層もしくは複層のシートよりなる袋、またはこれらとターポリン製シートとの組み合わせよりなる袋、あるいはゴム製の袋よりなる。この内袋20の底部21の中央部には、筒部22a1とフランジ部22a2とからなる合成樹脂製の口部材22aが前記フランジ部22a2での熱融着手段にて結合されることにより前記排出用口部22が形成されている。使用の際には、前記口部材22aの筒部22a1を前記外容器30の底部33に有する開口部34に挿入して前記フランジ部22a2を受部材22bにより受支する。前記排出用管25は前記口部材22aの下方向きの筒部22a1に対しクランプ手段その他の締結手段により締結される。前記内袋20の上部には、合成樹脂製の口部材23aが熱融着手段等により結合された注入口23が設けられ、該口部材23aに螺着されるキャップ24により開閉自在に設けられている。
【0029】
前記内袋20としては、前記の例のように底部21に口部材22aによる排出用口部22を、上部に口部材23aによる注入口23をそれぞれ設けたものには限らず、種々の袋形態による実施が可能である。例えば、図10(a)のように、ガセット状に折り込んで形成した胴部と同口径で上端まで連続して開口させておいて、液体や粘体を収納した状態で該開口部20aをバンドや紐体(図示せず)により緊締して閉塞するようにしたもの、あるいは同図(b)のように、前記胴部より細径の筒状開口部20bを連続形成しておき、液体や粘体を収納した状態で該筒状開口部20bをバンドや紐体(図示せず)により緊締して閉塞するようにしたもの、あるいは同図(c)のように、前記同様の筒状開口部20bから胴部へ連続する肩部20cを斜めに形成したもの、あるいは同図(d)のように、表裏体20−1、20−2を上下に重ね合わせて周縁部で融着手段等により接合し、上下の表裏体20−1、20−2の中央部に前記同様の注入口23と排出用口部22を設けたものとすることができる。
【0030】
そして、前記のコンテナBに使用する本発明に係る排出用補助具Aは、概ね次のような構成を備えてなる。
【0031】
図1〜図4に示すように、本発明の排出用補助具Aは、前記内袋20の排出用口部22より径大の外径でありながら前記内袋20の上部に有する開口部20a、20bもしくは注入口23より挿入可能で、かつ、液体もしくは粘体等の収納状態における収納物aの上方の位置から底部22もしくはその近傍にまで挿入できる所要長さ、特に好ましくは排出開始前のほぼ満杯状態の収納物aの上方から底部22に達する長さの主体部10を有してなり、該主体部10が外周全域にわたって収納物aが通過可能な開孔11を有する網状体による筒形をなしている。
【0032】
図の場合、前記主体部10は、長手方向に所要の間隔を存して配した剛性素材の環状円板12の外周部に、周方向の所要間隔毎に複数本、例えば図のように10本の棒状線材13を配して形成した網状体よりなり、前記環状円板12と前記棒状線材13により画される長手方向の長孔状をなす開孔11が外周全域に形成され、これにより該開孔11を前記収納物aが通過可能に設けられている。14は前記主体部10の長手方向に連続し貫通する内孔を示し、前記収納物aが長手方向に流通できるようになっている。
【0033】
前記環状円板12の配置間隔及び棒状線材13の配置間隔は、保形強度や収納物aの排出性能を考慮して任意に設定できる。例えば、図のように、長手方向の両端部で前記環状円板12の配置間隔を中央部より小さくすることも、また全長にわたって同間隔に配置することもできる。
【0034】
前記主体部10としては、環状円板12と棒状線材13とにより網状に形成するほか、例えば、パンチングメタル等の多数の開孔を有する多孔板もしくは比較的粗い網目を有する金網等の保形性のある網状体により筒形に形成したものを用いることもできる。使用上の保形強度あるいは使用後の洗浄の容易性等の点から、前記の環状円板12と棒状線材13を用いて形成するのが好ましい。
【0035】
いずれにしても、前記主体部10の上下一方端、例えば底部21に排出用口部22を有する前記内袋20を備えるコンテナBで使用する場合は下端に、前記排出用口部22を介して前記開閉バルブ付き排出用管25と接続される連結用筒部15が設けられている。具体的には、前記主体部10が前記内袋20の排出用口部22よりも径大の外径をなすとともに、下端に形成される前記連結用筒部15が前記主体部10より径小で前記排出用口部22に嵌入し得るように形成されており、前記排出用口部22に対する前記連結用筒部15の嵌入により立設状態に保持し得るように設けられている。
【0036】
前記連結用筒部15は、前記口部材22aによる前記排出用口部22の内径より僅かに径小の外径で、該排出用口部22に対し殆ど隙間を生じさせずに嵌入できるように形成される。すなわち、前記連結用筒部15と排出用口部22の間に大きな隙間を生じると、ポンプによる吸引排出の際に、隙間に収納物が入り込むことになるので、前記隙間はできるだけ小さいのが好ましい。一方、前記の隙間が小さくなるほど連結用筒部15を排出用口部22に嵌入し難くなり、また収納物aの上方から落とし込んで挿入し嵌入する場合の挿入操作が行い難くなるので、実施上は直径で1mm前後の径差による隙間を保有するのが好ましい。
【0037】
特に、前記連結用筒部15の下端部に、収納物aの流通を阻害しない形状で先細状をなす挿入ガイド17を設け、前記排出用口部22に対して該挿入ガイド17の先端17aが入り込みさえすれば、前記連結用筒部15を該排出用口部22に嵌入できるように設けておくのが、前記の挿入操作上さらに好ましい。
【0038】
前記挿入ガイド17の形状は、図のように十字状或いはY字状のガイド部材18を交叉部が下端になるように屈曲形成して該先端17aに丸みをつけた断面逆三角形状に形成するほか、収納物aの流通を阻害しないで排出用口部22に対する嵌入時のガイド効果を発揮できる種々の形状による実施が可能である。例えば、前記ガイド部材18を下端ほど径小の断面放物線形状や半長円形状に屈曲形成したものによる実施も可能である。いずれにしても、先端(下端)には図のように丸みを付けておくのが、上方からの落とし込みによる挿入操作の際に前記内袋20に傷を付けることがなく好ましい。
【0039】
なお、前記排出用補助具Aの前記連結用筒部15とは反対側の端部すなわち上端部については、図のように前記連結用筒部15と同径の筒部19を設けて開口させておくほか、該筒部19の端部を閉塞しておくことも、該筒部19に対しキャップ(図示せず)を螺着できるようにして閉塞可能に構成しておくことも、また、前記筒部19を省略して環状円板12により端部を形成しておくこともできる。
【0040】
上記のように構成された本発明の排出用補助具Aの使用状態について説明する。この排出用補助具Aは、コンテナBにおける外容器30内へ内袋20を組込みセットする際に、同時に、内袋20内に挿入して連結用筒部15を排出用口部22に嵌入しセットしておくこともできるが、輸送時の揺動を規制する手段が必要になる等の問題があるので、通常は、コンテナBによる輸送時等はコンテナBに組み込まずに分離しておいて、輸送先での収納物aの排出の際に挿入して使用する。
【0041】
この使用において、例えば底部21に排出用口部22を有する内袋20を備えるコンテナBにおいて使用する場合、前記内袋20の上部の開口部もしくは注入口23を通して、収納物aに対して上方から前記排出用補助具Aを落とし込むように挿入し、前記主体部10の下端に有する連結用筒部15を排出用口部22に嵌入させて立設状態に保持する。このとき、収納物aが不透明の液体や粘体であって前記排出用口部22が上方から見えなくても、前記排出用補助具Aを僅かに上下動させるようにして、前記連結用筒部15の下端に連設されている挿入ガイド17により前記排出用口部22の位置を探るようにして容易に嵌合することができる。すなわち、前記挿入ガイド17の先端が前記排出用口部22に入り込めば、そのまま落とし込むようにして、前記連結用筒部15を排出用口部22に嵌入できる。
【0042】
前記のように、排出用補助具Aを挿入して立設した状態で、前記内袋20の上部の開口部をバンドや紐体により緊締して閉塞するか、あるいは前記注入口23をキャップ24により閉塞した状態にして、内袋上部を前記排出用補助具Aの上端部、または外容器30の上部もしくは別途設けられる係止部材に係止して落ち込まないように保持しておく。
【0043】
例えば、図6、図8のように、前記上枠37の相対向辺の枠部37a,37aに脱着可能に架渡された2本の支持フレーム27,27上に、前記内袋20の注入口23を形成する口部材23aに対し両側から挟み込んで係止する二つ割形の係止部材28a,28bを設けておいて、該係止部材28a,28bにより前記口部材23aを係止して下方に落ち込まないように保持する。図の場合、前記一方の係止部材28aは、前記支持フレーム27,27上で他方の係止部材28bに対し接近、離隔方向にスライド可能に設けられるとともに、ネジ部材29により任意の位置で固定できるように構成されている。
【0044】
また、前記排出用補助具Aの上端部は、前記注入口23の内部に位置させるようにして揺動しないように保持する。そのため、該排出用補助具Aは、前記排出用口部22に連結用筒部15を嵌入して立設した状態において、上端部が前記注入口23の内側に位置するようにコンテナのサイズ等に応じて前記主体部10の長さが設定される。前記上端部に筒部19を有する場合は、該筒部19が注入口23の内側に位置し、かつ端面がキャップ24の内面に当接あるいは近接するように前記長さが設定される。
【0045】
こうして、前記内袋20の排出用口部22に連結されている排出用管25に接続されたポンプの吸引力で収納物aを吸引し排出する。この収納物aの排出による減少に伴って前記内袋20が弛むことになっても、該内袋20の同士が密着したり排出用口部22を塞いだりして排出を阻害する虞がなく、最後まで殆ど残留させずにスムーズに排出できる。
【0046】
特に、前記排出用補助具Aの主体部10が外周全域に開孔11を有する網状体による筒形をなしており、ポンプの吸引力が該主体部10の内孔14を通じて外周全域の開孔11に及ぶため、収納物aが高粘度の粘体であっても前記外周全域で吸引して効率よく排出できる。また仮に、前記内袋20の一部が前記排出用補助具Aの主体部10の一部に密着して一部の開孔11を閉塞することがあっても、他の開孔11の部分から吸引して排出できることになる。さらに、前記内袋20が外容器30の底部33上に折り畳まれるのを前記排出用補助具Aにより防止できる。そのため、収納物aを殆ど残留させずに効率よく最後まで排出でき、略完全な排出が可能になる。
【0047】
また、前記排出用補助具Aは、前記内袋20に対し挿入可能で必要に応じて挿入セットして使用するもので、内袋20とは別に取り扱えるため、前記内袋20の使用までの折り畳みの邪魔にならず、しかも使用後には該排出用補助具Aを取り外しておくことにより、内袋20のみを廃棄でき、該排出用補助具Aを繰り返し使用することができる。
【0048】
なお、本発明の排出補助具Aは、収納物aの吸引排出の開始までに内袋20内に上記のように挿入セットして使用するほか、前記コンテナBの形態によっては、底部の排出用口部22からの収納物aの吸引排出がある程度進んだ状態において、内袋20に挿入セットして使用することもできる。
【0049】
すなわち、ポンプによる内部の収納物aの吸引排出に伴って、内袋20の外面に大気圧が作用していることもあって内袋内の収納物aは上面が降下するように減少する。そのため、ある程度の排出が進むまでは排出が阻害されることが殆どないので、例えば1/3〜2/3程度の排出が進んだときに、内袋20上部の開口あるいは注入口23を開いて、排出用補助具Aを上記同様に内袋20内に挿入し、上記した実施例と同様に下端の連結用筒部15を排出用口部22に嵌入して立設状態に保持し、再度内袋20上部の開口或いは注入口23を閉塞した状態にし、さらに必要に応じて内袋20の上部を外容器30の上部等に係止して落ち込まないように保持して吸引排出を行う。特に、コンテナBの外容器30が、四方側面の側壁板36が折り畳み可能なボックス体38よりなるものであれば、一側面の側壁板36を開くことにより、前記の挿入セット操作を容易に行うことができる。この場合にも、収納物aを殆ど残留させずに効率よく最後まで排出できることになる。また、排出用補助具Aは前記のように使用する場合、上記した実施例に比して長さが短いものでよいことになる。
【0050】
上記した実施例においては、底部21に排出用口部22を有する袋体20を備えるコンテナAに使用する場合について説明したが、本発明の排出用補助具Aは、内袋20の上部に有する注入口23から、液体や粘体等の収納物aをポンプにより吸引して排出する場合、すなわち排出用口部を有さない内袋を使用する場合にも利用できる。例えば、収納対象の液体や粘体の種類によっては、漏出等の危険性や排出後の洗浄作業の問題から、コンテナ下部のバルブ付き排出用管より排出する構造を採用できないため、底部に排出用口部を有さないものにしてコンテナ上部から内部の収納物を吸引排出する必要がある。この際に本発明の排出用補助具Aを使用できる。
【0051】
この場合、図10のように、主体部10の上端部に連結用筒部16を設けた排出用補助具Aを用い、該排出用補助具Aを内袋20内の収納物aに対し上方より挿し込み、下端が底部21に当接あるいは近接させるように位置させておいて、前記連結用筒部16にポンプによる吸引用の排出用管26を連結して使用する。そのため、前記連結用管16は前記排出用管26の端部が連結可能に設けられる。例えば、外周に前記排出用管26の端部を螺合できるネジ16aが形成される。
【0052】
この実施例においても、内袋10の上部を排出用補助具Aに対しバンドや紐体46で緊締する等して閉塞状態に保持しておいて、ポンプにより吸引排出を行うことにより、網状体による筒形をなす主体部10の内孔14を通じてポンプの吸引力が該主体部10の外周全域の開孔11に及ぶことで、収納物aを前記全域で吸引して効率よく排出できる。また、前記内袋20の一部が前記排出用補助具Aの主体部10の上部側の一部に密着することがあっても、下部側の他の開孔11の部分から吸引して排出でき、ひいては、最後まで略完全に排出することができる。
【0053】
また、コンテナBの形態としては、上記した実施例のように、外容器30が組み立てあるいは折り畳みが可能なボックス体38からなるもののほか、図11のように、外容器30が合成樹脂材の遠心成形によるタンクであって、底部41にバルブ付き排出用管25が連結される排出口42が設けられ、上部開口部43に嵌合可能な内蓋44と螺着可能な外蓋45を備えるタンク40に、底部21に排出用口部22を形成する口部材22aを設けた内袋20を内装体として、前記口部材22aを前記排出口42に嵌合させて用いたコンテナにおいても、収納物aの排出の際に、上記同様の構成の排出用補助具Aを、前記内袋20の上部開口もしくは注入口23を通して収納物aの上方から挿入セットして用いることができる。
【0054】
この場合、前記排出用補助具Aは、網状体による筒形をなす主体部10を前記タンク40内の収納物aの上方から底部41に達する長さにして、該主体部10の下端部に備える連結用筒部15及び挿入ガイド17を、前記口部材22aに対して嵌入できるように形成しておく。前記連結用筒部15及び挿入ガイド17を前記口部材22aに嵌入して立設した状態で、内袋20の上部開口を閉塞状態に保持して排出を行う。上部開口を閉塞するには、バンドや紐体により緊締するほか、内袋20の上部開口端部をタンク40の開口部43より外側に出して内蓋44を嵌着することにより閉塞することができる。また、内袋20の上部に注入口23を有する場合は、該注入口23をキャップ24により閉塞しておく。こうして、排出用管25を通じてポンプにより吸引して排出することにより、上記した実施例と同様に、網状体による筒形をなす主体部10の内孔14を通じてポンプの吸引力が該主体部10の外周全域の開孔11に及ぶことで、収納物aを前記外周全域で吸引して効率よく最後まで排出できる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、液体もしくは粘体を収納する内袋を備える輸送用のコンテナ、特には粘度の高い粘体を収納するコンテナにおいて好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の液体もしくは粘体の排出用補助具の斜視図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】同上の横断面図である。
【図4】内袋を備える液体もしくは粘体用のコンテナの1例を示す概略断面図である。
【図5】コンテナの内袋内に収納対象の液体や粘体を収納した状態で本発明の排出用補助具をセットした状態の断面図である。
【図6】同上の上部側の一部欠截斜視図である。
【図7】同上の排出用口部の部分の拡大断面図である。
【図8】同上の注入口の部分の拡大断面図である。
【図9】(a)(b)(c)(d)は内袋を例示する略示図である。
【図10】本発明の他の実施例の使用状態を示す断面図である。
【図11】本発明のさらに他の使用例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
A…排出用補助具、B…コンテナ、a…収納物、10…主体部、11…開口、12…環状円板、13…棒状線材、14…内孔、15,16…連結用筒部、16a…ネジ、17…挿入ガイド、17a…先端、18…部材、19…筒部、20…内袋、20a…開口部、20b…筒状開口部、21…底部、22…排出用口部、22a…口部材、22b…筒部、23…注入口、23a…口部材、24…キャップ、25…バルブ付き排出用管、26…吸引用の排出用管、27…支持フレーム、28a.28b…係止部材、29…ネジ部材、30…外容器、31…パレット部、32…底枠部、33…底部、34…開口部、35…支柱、36…側壁板、37…上枠、37a…枠部、38…ボックス体、40…タンク、41…底部、42…排出口、43…開口部、44…内蓋、45…外蓋、46…紐体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体もしくは粘体を収納する内袋を備えるコンテナにおいて使用する排出用補助具であって、
前記内袋の上部に有する開口もしくは注入口より該内袋内に挿入可能で、かつ収納物の上方から内袋底部もしくはその近傍にまで挿入できる所要長さの主体部を有し、該主体部が、外周全域にわたって収納物が通過可能な開孔を有する網状体による筒形をなし、該主体部の上下一方端に連結用筒部が設けられ、前記連結用筒部に直接又は間接的に排出用管を接続した状態で収納物を排出できるように形成されてなることを特徴とする液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項2】
排出用管が接続される排出用口部を底部に有する内袋を備えるコンテナにおいて使用する排出用補助具であって、前記主体部が前記内袋の排出用口部よりも径大の外径をなすとともに、下端に前記排出用口部に嵌入し得る連結用筒部が設けられ、前記排出用口部に対する前記連結用筒部の嵌入により立設状態に保持し得るように設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項3】
前記連結用筒部の下端には、収納物の流通を阻害しない形状で先細状をなす、前記排出用口部に対する挿入ガイドが設けられてなる請求項2に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項4】
前記主体部の上端に吸引用の排出用管を接続するための連結用筒部が設けられてなる請求項1に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項5】
前記主体部が、長手方向に間隔をおいて配した環状円板の外周部に周方向の所要間隔毎に複数本の棒状線材を配して形成した網状体よりなり、外周全域に環状円板と前記棒状線材により画される長孔状の開孔が形成されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項6】
前記主体部が、多数の開孔を有する多孔板もしくは金網よりなる保形性のある網状体により筒形をなすように形成されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項7】
排出用口部を底部に有し液体もしくは粘体を収納する内袋と、該内袋の外側を覆う外容器とを備えるコンテナにおいて、前記排出用口部に連結された排出用管を通じてポンプの吸引力で収納物である液体もしくは粘体を排出する際、前記主体部の下端に連結用筒部が設けられた前記請求項2又は3に記載の排出用補助具を用いることとし、該排出用補助具を前記内袋上部の開口もしくは注入口から該内袋内に挿入して、前記連結用筒部を内袋底部の排出用口部に嵌入することにより立設状態に保持するとともに、前記内袋上部の開口もしくは注入口を閉塞した状態で、該内袋上部を前記排出用補助具の上端部もしくは外容器の蓋付きの開口部等に係合して下方に落ち込ませないように保持して、排出を行うことを特徴とする液体もしくは粘体の排出方法。
【請求項1】
液体もしくは粘体を収納する内袋を備えるコンテナにおいて使用する排出用補助具であって、
前記内袋の上部に有する開口もしくは注入口より該内袋内に挿入可能で、かつ収納物の上方から内袋底部もしくはその近傍にまで挿入できる所要長さの主体部を有し、該主体部が、外周全域にわたって収納物が通過可能な開孔を有する網状体による筒形をなし、該主体部の上下一方端に連結用筒部が設けられ、前記連結用筒部に直接又は間接的に排出用管を接続した状態で収納物を排出できるように形成されてなることを特徴とする液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項2】
排出用管が接続される排出用口部を底部に有する内袋を備えるコンテナにおいて使用する排出用補助具であって、前記主体部が前記内袋の排出用口部よりも径大の外径をなすとともに、下端に前記排出用口部に嵌入し得る連結用筒部が設けられ、前記排出用口部に対する前記連結用筒部の嵌入により立設状態に保持し得るように設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項3】
前記連結用筒部の下端には、収納物の流通を阻害しない形状で先細状をなす、前記排出用口部に対する挿入ガイドが設けられてなる請求項2に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項4】
前記主体部の上端に吸引用の排出用管を接続するための連結用筒部が設けられてなる請求項1に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項5】
前記主体部が、長手方向に間隔をおいて配した環状円板の外周部に周方向の所要間隔毎に複数本の棒状線材を配して形成した網状体よりなり、外周全域に環状円板と前記棒状線材により画される長孔状の開孔が形成されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項6】
前記主体部が、多数の開孔を有する多孔板もしくは金網よりなる保形性のある網状体により筒形をなすように形成されてなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体もしくは粘体の排出用補助具。
【請求項7】
排出用口部を底部に有し液体もしくは粘体を収納する内袋と、該内袋の外側を覆う外容器とを備えるコンテナにおいて、前記排出用口部に連結された排出用管を通じてポンプの吸引力で収納物である液体もしくは粘体を排出する際、前記主体部の下端に連結用筒部が設けられた前記請求項2又は3に記載の排出用補助具を用いることとし、該排出用補助具を前記内袋上部の開口もしくは注入口から該内袋内に挿入して、前記連結用筒部を内袋底部の排出用口部に嵌入することにより立設状態に保持するとともに、前記内袋上部の開口もしくは注入口を閉塞した状態で、該内袋上部を前記排出用補助具の上端部もしくは外容器の蓋付きの開口部等に係合して下方に落ち込ませないように保持して、排出を行うことを特徴とする液体もしくは粘体の排出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−126178(P2010−126178A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300846(P2008−300846)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(591123573)株式会社共立物流システム (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(591123573)株式会社共立物流システム (7)
【Fターム(参考)】
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