説明

液体インクジェットインクの濃縮

移動している一次画像形成部材上に、流体とマーキング粒子を含むインクを画像に従って一次画像形成部材上に噴射することによって画像を印刷する装置において、マーキング粒子画像を受容部材に転写する前にインクを濃縮する装置が提供される。インクを濃縮する装置は、マーキング粒子からインクの流体を分離する分別ユニットを有する。分別ユニットは、一次画像支持部材から所定の距離に配置される。インクの液体中のマーキング粒子を濃縮するために、一次画像支持部材と分別ユニットの間に静電界が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、画像の印刷に関し、より具体的にはインクジェットインクを受容部材上に提供する前にインクを濃縮し余分な流体を除去する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット技術は、受容部材(例えば、紙や他の媒体)上に文書や他のデジタル式に生成された画像を印刷するために一般に好まれる技術になった。2000年にTorrey Pines Researchによって出版されたStephen F. Pondsによる「Ink Jet Technology and Product Development Strategies」で詳述されているインクジェットプロセスでは、インクは、1つ又は複数のインクジェットノズルを含むインクジェットヘッドから受容部材上に噴射される。
【0003】
インクジェット技術とは、電子写真やソグラフィなどの他の印刷技術が対照的である。リソグラフィは、色素粒子が油などの比較的少量の流体によって分散された極めて高粘度のインクの使用によるものである。一般に、固形物の濃度は、90重量%を超えることがある。リソグラフィ印刷において存在する比較的少量の溶剤は、受容部材によって吸収され易く、又は加熱乾燥、架橋結合、光沢剤の被覆などの他の適切な方法を使用することによって処理されることがある。
【0004】
リソグラフィで使用される高粘度インクの別の利点は、インクの粘度によってインクが広がる能力が制限されることである。具体的には、インク画像は、英数字記号、網点、印刷領域のエッジなどで生じる鋭い境界線から成る場合が多い。高粘度インクの場合は、インクの広がり易さが最小になる。これにより、印刷ページ上の画像がシャープなエッジと高い解像度を有することができる。また、クレー被覆などの被覆のない受容部材のような比較的多孔質の受容部材へのインクのしみ込み易さが少ない。そのような受容部材の例には、レーザーボンド紙がある。低粘度インクが紙にしみ込むと、紙繊維が透ける可能性がある。これは、印刷画像の濃さを制限する。高粘度インクによって得られる更に別の利点は、網点の広がりの最小化である。これにより、高品質のグレースケールを作成することができ、カラー画像の場合は、広い色域を有する画像を印刷することができる。
【0005】
リソグラフィで使用されるような高粘度インクの更に別の利点は、クレー被覆やポリマー被覆を有するような光沢紙にそのようなインクで画像を印刷できることである。低粘度インクは、そのような用紙上では広がったり流れたりし易く、エッジのシャープさ、解像度、網点の完全性、カラーバランス等の様々な画質パラメータに悪影響を及ぼす。
【0006】
米国特許第5,854,960号では、インクローラ、液体インクを濃縮するスキージ、及び光受容材料を有する液体電子写真エンジンが開示されている。そのような装置では、液体電子写真用インクがインクローラに塗布される。次に、インクは、スキージ、好ましくはフォームローラの形のスキージを使用して濃縮される。このローラは透明な溶剤を吸収して、濃縮されたインク内にマーキング粒子が残る。次に、静電気潜像が光受容体上に形成され、潜像支持光受容体を濃縮インク支持インクローラと接触させることによって、潜像は可視画像に現像される。次に、マーキング粒子が、光受容体上の潜像部分に静電気的に引き寄せられる。このプロセスのインク濃縮段階で、濃縮段階での画像劣化が起きないようにインクには画像情報がないことに注意されたい。
【0007】
米国特許第6,363,234号は、現像液画像を含む表面に流れるガスの供給源と、その供給源の近くにあり且つ混合物を受け取る表面の近くにあるチャンバとを含む液体電子写真現像液を濃縮する機構を開示している。
【0008】
同時係属米国特許出願番号11/445,712は、インクを塗布するために、電子写真プロセスではなく、インクジェット技術を利用して印刷を高速且つ大量に作成することができるデジタル印刷機を開示している。このタイプの装置では、光受容部材や一次画像形成部材上に静電気潜像は形成されない。実際には、光受容要素はなく、一次画像形成部材上の特定部分にマーキング粒子を引き寄せる静電荷がない。より正確に言うと、小さいインク滴(わずか数ピコリットル程度の体積しかないことが多い)が、厳密に噴射されるか又は他の方法で付着され、そこに画像の一部分が構成される。
【0009】
同時係属米国特許出願番号11/445,712で述べられているように、インクジェット印刷装置で使用される濃度の薄いインクと関連した前述の問題は、一次画像形成部材上にインクを噴射し、次にインクを濃縮させ、次に高濃度のインクを紙などの受けシートに転写することによって解消することができる。代替として、濃縮されたインクを転写中間部材に転写し、次に転写中間部材から受容部材に転写してもよい。
【0010】
【非特許文献1】Stephen F. Pondsによる「Ink Jet Technology and Product Development Strategies」Torrey Pines Research、2000年
【特許文献1】米国特許第5,854,960号
【特許文献2】米国特許第6,363,234号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上を考慮すると、本発明は、インクを濃縮インク層と希薄でほぼ透明な溶剤層とに分別する分別装置を有する、噴射されたインクを濃縮するための装置を対象とする。本発明は、また、そのような濃縮装置と共に使用するのに適したインク組成を開示する。本発明は、インクと着色剤を多く含む部分と溶剤を多く含む部分とに分別することによって、インクジェットプリンタによって一次画像形成部材や転写中間部材などの他の適切な部材上に作成された画像から余分な溶媒を除去しようとするものである。次に、インクの溶剤を多く含む部分が、前述の部材から除去され、次に、画像が、前述の部材から二次部材(好ましくは、紙などの受容部材)に転写される。
【0012】
2つの相への分別は、静電力の印加によって達成される。導電性基板上にあるインク画像は、基板と分別部材とによって形成されたニップに通され、分別部材と基板の間に確立された電位差によって、帯電されたマーキング粒子が基板の方に移動する。次に、分別された溶剤を基板から剥ぎ取り(skive)、濃縮された現像剤によって形成された画像が残る。
【0013】
即ち、本発明によれば、移動している一次画像形成部材上に、流体とマーキング粒子を含むインクを一次画像形成部材上に画像に応じて噴射することによって画像を印刷する装置において、受容部材にマーキング粒子画像を転写する前にインクを濃縮する装置である。インクを濃縮する装置は、マーキング粒子からインクの流体を分離する分別ユニットを含む。分別ユニットは、一次画像支持部材から所定の距離に配置される。一次画像支持部材と分別ユニットの間には、インクの液体中のマーキング粒子を濃縮する静電界が確立される。
【0014】
本発明の別の態様は、1010Ω−cmを超える電気抵抗を有しマーキング粒子を含む噴射可能なインクの使用である。
【0015】
本発明及びその目的と利点は、以下に示した好ましい実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に示した本発明の好ましい実施形態の詳細な説明では、添付図面を参照する。
【0017】
帯電されたマーキング粒子を有するインクを使用して印刷画像が形成される。色素粒子を含む典型的なインクジェットインクなどのインクを使用することができるが(本開示で述べるようなインクの他の物理要件が満たされる限り)、インクは、重合体粒子を含むことが望ましい。必要に応じて透明な重合体粒子を使用することができるが、一般に、染料、色素、他の着色剤を有する重合体粒子を使用することが望ましい。この開示では、用語「マーキング粒子」は、着色剤を含むかどうかに関係なく重合体粒子を含むこととする。
【0018】
インクは、連続インクジェットストリームやドロップオンデマンド技術などの適切なインクジェット付着方法を使用して画像に応じて導電基板上に付着される。好ましい動作形態では、基板は、電気的に接地されるが、必要に応じて電気的にバイアスがかけられてもよい。次に、画像は、画像支持基板と分別装置とによって構成されたニップに通される。分別装置と画像支持基板の間に電位差が確立される。これは、基板を電気的に接地し、帯電したマーキング粒子を基板の方に移動させ且つ対イオンを含む上澄み液を分別装置上に移動させるバイアスを分別装置上に確立することによって行われることが好ましい。電圧は重要ではないが、分別装置と基板の間の電位差は、100〜1,000ボルト、好ましくは100〜500ボルト、より好ましくは150〜350ボルトであることが好ましい。これより低い電圧は、ニップ滞留時間内にマーキング粒子を基板の方に移動させるのに弱すぎる場合がある。これより高い電圧は、ニップ内のアーク発生によって制限され、またマーキング粒子上で電荷を反転させることにより、これより高い電圧が可能となる。そのような電荷の反転は、その後で粒子を転写する能力を妨げる。分別後に、画像は、一次画像形成部材から二次画像形成部材に転写される。二次画像形成部材は、中間部材や、紙や透明ストックなどの受容部材などでよい。二次画像形成部材に転写する任意の適切な手段を使用することができるが、転写は、マーキング粒子を二次画像形成部材の方に付勢するのに十分な大きさと極性の静電気バイアスを印加することによって達成されることが好ましい。二次画像形成部材が中間画像形成部材であるとき、受容部材への転写は、この場合も、圧力の印加や熱と圧力の印加のような適切な転写方法や任意の他の適切な手段を使用して達成することができる。しかしながら、マーキング粒子を二次画像形成部材から受容部材の方に付勢するような大きさと極性の静電界を印加することによって画像を転写することが望ましい。静電気転写法は、電子写真技術の論文で既知であり、画像形成部材に受容部材を押し付けるバイアスローラやコロナの使用などを含む。この同じ技術を使用して分別を一次画像形成部材上ではなく中間部材上で行うことができることに注意されたい。しかしながら、受容部材が溶剤又はその大部分を吸収する可能性があるときに最終受容部材から分別しようとするのは望ましくない。更に、比較的濃度の薄い(それにより低粘度)インクは受容部材上で流れる可能性があり、それにより画質が低下する。
【0019】
分別装置と画像形成部材の間に形成されるニップの間隔は、250μm未満、好ましくは50μm未満、より好ましくは25μm未満でなければならない。本発明のいくつかの実施形態では、分別装置は、画像を支持する一次画像形成部材と物理的に接触し、有限のニップ幅のニップを形成することができる。
【0020】
例えば、分別装置は、くさびの頂点が一次画像形成部材のすぐ近くに保持されたV字形の金属部材を備えてもよい。分別装置は、本開示で前述したように電気的にバイアスされ、一次画像形成部材は接地される。マーキング粒子は、一次画像形成部材の方に移動され、くさびで剥ぎ取ることができる上澄み溶剤層が残る。
【0021】
添付図面を参照すると、図1と図2に分別装置の好ましい実施形態を示す。この実施形態では、分別ローラ10は、電気的に絶縁された1対の離間ホイール20によって金属基板から物理的且つ電気的に分離される。離間ホイールは、デルリンやナイロンなどの絶縁性重合体で作成され、ホイール軸受51及び52に当接される。支持軸受50及び53は、ホイール軸受51及び52によって駆動軸(図示せず)上に同心的に配置され、ローラ10を前側ブラケット110と後側ブラケット111に留める。ホイール軸受51及び52は、離間ホイール20が分別ローラ10と無関係に駆動軸上で回転することを可能にする。これにより、分別ローラは、分別を行っている画像形成部材の速度及び方向と異なる速度及び方向で回転することができる。分別ローラは、駆動ローラプーリ90及び91によって動作する駆動ローラプーリを介して駆動モータ100によってベルト駆動される。分別ローラ10に電気的にバイアスをかけるために、炭素ブラシブラケット61によって適所に保持された炭素ブラシ60によって駆動軸に電気接触する。ローラ装置とモータ駆動機構は、前側ブラケット110、後側ブラケット111、及び2個の下側ブラケット120によって取り付けられる。分別ローラ10と画像形成部材の間の距離は、離間ホイール20が画像形成部材と接触するまで分別ローラを画像形成部材の方に押すことによって決定される。これは、前側ブラケット110と後側ブラケット111を、ばね130によって2個のブラケットに加えられる力によって旋回シャフト70上で旋回させることによって行われる。ブラケットの移動は、移動リミッタ140によって制限される。前側ブラケットと後側ブラケットと下側ブラケットの間隔は、様々な分別ローラ長の対応するために、スペーサ80によって調整される。
【0022】
更に、分別装置が、分別ローラ10から上澄みを除去するためにスキージブレードを有することが好ましい。このブレードは、溶剤により可塑化されない弾性重合体で作成されることが好ましい。スキージブレード30は、分別を行った後の分別ローラと接するように取り付けられる。次に、上澄み液を受皿40に排出させ、再利用したり廃棄したりすることができる。
【0023】
本発明の別の実施形態では、分別を行う画像形成部材は、ポリウレタンなどのエラストマのような半導性重合体を含む。そのような材料は、電子写真エンジンの転写ローラにしばしば使用されるものと類似している。しかしながら、この例では、この重合体は、インク溶剤によって可塑化したり著しく膨張したりすることができない。このような材料は、一般に電荷伝導剤を含み、一般に106〜1011Ω−cmの固有抵抗を有する。
【0024】
本発明の更に別の実施形態では、分別装置は、分別を行う画像形成面と接触する従順で導電性のブレード又はローラを有することができる。適切な材料には、ポリウレタンやシリコーンゴムなどのエラストマー材料又はそのような材料で作成された発泡材がある。そのような分別部材は、また、分別部材が1011Ω−cm未満、好ましくは106Ω−cm未満の固有抵抗を有するように十分な電荷伝導性を有しなければならない。
【0025】
分別を行うには、インクがある一定の物理的性質を有することが重要である。そのような特性は、多くの場合、静電気分別を必要としないインクジェットプリンタで一般に使用されるインクと極めて異なる。インクは、電界に対応するのに十分な電気抵抗を有しなければならない。インクの固有抵抗は、周波数1kHzの交流電圧(交流)によって生成される電流を測定することによって決定される。抵抗は、電流に対する印加電圧(電圧が時間により正弦的に変化する印加交流電圧の振幅の約0.707倍)の根二乗平均(RMS)の比率である。抵抗は、インクを含む電極間の分離距離と固有抵抗の積を電極の面積で割ったものである。高抵抗の材料の場合は、ノイズを減少させるために、電極のバイアス部分又は能動部分を、電極の能動部分のまわりに接地リング又はガードリングを形成するために使用される導電材料で取り囲むことが望ましい場合が多いことが分かる。現在述べている分別装置が動作するためには、インクの交流電気抵抗は、109Ω−cmより大きく、好ましくは1010Ω−cmより大きくなければならない。このため、水性インクジェットインクとほとんどのアルコール系インクジェットインクは固有抵抗が一般に107Ω−cmより小さいので使用できない。より正確に言うと、インクは、Isopar LやIsopar G(両方ともExxon Corporationから販売されている)などの鉱油、シリコーン油、高分子量アルコールなどの分散液体を含まなければならない。特定のアルカンや他の脂肪族及び芳香族炭化水素が適切な場合があるが、それらと関連した可燃性及び潜在的健康リスクのために、完全には望ましくない場合がある。この開示のために、交流固有抵抗は、周波数1kHzで振幅0.75VACを有する交流信号を使用して決定された。ピペットを使用して0.4mlのインクをセルに入れた。電極間の電極間隔は10μm、電極の能動径は1.3cmであった。電極の一方を保護リングが取り囲む。
【0026】
直流固有抵抗は、同じセルを使用するが100Vの大きさを有する直流電圧を印加することによって決定された。分別と転写を行うためには、上澄み液の固有抵抗が、分別装置内でも転写機構内でも電界を短絡しないように十分に大きくなければならない。そのためには、直流固有抵抗が、109Ω−cmより大きくなければならない。この高い固有抵抗のため、このプロセスでは水性及び多くのアルコール系の従来のインクジェットインクは使用できない。
【0027】
インクは、また、帯電されたマーキング粒子を含まなければならない。帯電の正確な強さは重要ではないが、マーキング粒子の凝集を防ぎ且つ粒子が特定のエンジンによって許容された時間内に分別し転写することを可能にする強さでなければならない。更に、粒子の大部分が、分別と転写が行われ且つ凝集を防ぐことを可能にするために同じ帯電極性を有することが重要である。帯電と帯電符号は、既知の技術を使用して決定することができる。マーキング粒子は、染料でも顔料でもよい着色剤を含むことができる。また、マーキング粒子は、ポリエステル、ポリスチレン、ポリスチレンブチルアクリル酸塩などの重合体接着剤を含むことができる。代替として、マーキング粒子は、色素粒子がこの開示で述べるサイズと帯電基準を満たすという条件で、任意の色素粒子を含むことができる。しかしながら、染料を含む一般のインクジェットインクは、染料が溶液中に存在しており、従って本明細書で開示した方法で分別したり転写したりすることができないので適切でない。粒子は、インクジェットヘッドから噴射できるほど小さくなければならない。これにより、粒子の平均粒径は約3μm未満に制限される。これと反対に、平均粒径が約0.1μmより小さい場合は、静電界がある状態でも粒子の動きを制御するのが難しくなる。これより小さな粒子は、ブラウン運動によって引き起こされるようなランダムな動きを受けることになる。粒径は、レーザ散乱、透過電子顕微鏡及び走査電子顕微鏡を含む既知の技術によって測定することができる。好ましい実施形態では、マーキング粒子は、高分子接着剤を含む。マーキング粒子は、必要に応じて無色でもよい。
【0028】
また、インクが噴射可能でなければならないので、インクの粘度は重要である。粘性は、20センチポアズ未満、好ましくは10センチポアズ未満、より好ましくは5センチポアズ未満であることが望ましい。前述の例の粘度は、Brookfield粘度計型番DV−Eを使用して測定された。スピンドル型番は00であった。スピンドルは100rpmで回転した。一般にこの粘度計の型番とスピンドルの型番を使用できるが、粘度によりスピンドルは20〜100rpmで回転される。代替として、約12rpmでULアダプタを付けたBrookfieldモデルLV粘度計で粘度を測定することもできる。
【実施例】
【0029】
実施例1:
この実験には、Isopar Lで希釈されたKodakによってシアン色のSignatureとして販売されている市販のインクを使用した。このインク中のマーキング粒子は、透過電子顕微鏡を使用して測定されるように、粒径が約0.1μmである。振幅0.75ボルトを有する印加電圧によって1kHzで測定された交流固有抵抗(AC resistivity)は、約1.46×1011Ω−cmであった。粘度は、1.75センチポワズであった。インクは、アルミニウム支持体上のニッケルめっきしたポリエチレンテレフタレートを含む一次画像形成部材上に噴射された。一次画像形成部材は、幅約12.5cm、長さ20cmであった。ニッケル層は、電気的に接地された。この実験では、本発明の好ましい実施形態として述べたローラ分別装置を使用した。Signatureマーキング粒子が帯電されているので、マーキング粒子を一次画像形成部材の方に移動させるためにローラは+300ボルトでバイアスがかけられた。分別装置上で使用される離間ホイールは、約40μmのギャップを確立した。分別ローラは、一次画像形成部材の動きの方向と逆方向に約10.5〜11rpmで回転された。
【0030】
インクを一次画像形成部材全体に噴射した。次に、一次画像形成部材を分別装置の上を移動させた。分別後、電子写真印刷エンジンで使用されるものと類似のポリウレタン転写ローラに巻き付けられたクレーコート紙(Sappi Lustroレーザ)に画像を転写した。この用紙は、非多孔質で且つ従来のインクジェットエンジンでは極めて問題の多い受容部材であるため選択された。転写は、ローラに−1,000ボルトのバイアスをかけて受容部材にマーキング粒子を引き付けることによって達成された。電子写真エンジンでこのインクに使用されたマーキング粒子と同じサイズを有する乾燥トナー粒子を静電気的に転写するのは極めて困難であることは周知であるとに注意されたい。
【0031】
分別プロセスで、透明な上澄液がローラの上を流れるのが観察された。転写のすぐ後で、受容部材上の画像が乾燥し、実質的に全てのマーキング粒子が一次画像形成部材から受容部材に転写されたことが分かった。また、画像は、融解などの画像を固定する外部手段を何も使用せずに転写後に永久的に固定された。これらは驚くべき結果だった。
【0032】
転写後に受容部材上にどれだけの溶剤があるかを定量化するために、画像支持受容部材を微量天秤に入れ、その初期質量を測定した。溶剤が蒸発すると受容部材は軽くなるはずである。溶剤の損失は、24時間の間、秤の限界である0.1mgまで見られなかった。このことから、分別後にマーキング粒子がほとんど乾燥したことが分かる。
【0033】
実施例2:
この例は、分別装置にバイアスを印加しなかった点を除き実施例1と類似している。更に、溶剤蒸発の定量測度を行わなかった。このケースでは、転写後に用紙上に多量の目に見える溶剤があった。更に、大部分のマーキング粒子が、分別装置によって一次画像形成部材から剥ぎ取られた。この結果から、分別装置に印加される電気的バイアスの重要性が分かる。
【0034】
例3:
この例は、分別装置にマーキング粒子を引き付けるために分別装置に印加するバイアスの極性を逆にした点を除き実施例1と類似している。この例では、マーキング粒子が分別装置によって一次画像形成部材からほとんど除去されたので、マーキング粒子が受容部材にほとんど転写されなかった。転写後に受容部材上の溶剤が確認できた。
【0035】
実施例4:
この例は、分別装置の設計が変更された点を除き実施例1と類似している。このケースでは、分別装置は、形状が概略半円のアルミニウム部材を有する。この装置は、一次画像形成部材が上を移動したトラックも含むブレッドボードのフレームに取り付けられた。この部材の後縁(一次画像形成部材の移動方向を基準にして)は、一次画像形成部材の前縁で分別装置と一次画像形成部材の隙間が約40μmになるように位置決めされた。しかしながら、分別装置がブレッドボードに固定され、その離間距離が一次画像形成部材に割り出されたとき、分別装置と一次画像形成部材の間隔は、40μmから75μmの間で変化した。このケースでは、分別プロセス後の分別装置上の上澄液によって証明されるように、分別が行われた。しかしながら、一次画像形成部材上のインクは、濃縮されたが、転写画像が乾燥するほどまでは濃縮されなかった。むしろ、転写画像上に溶剤がはっきりと確認できた。この例は、この例に示した分別装置が、本特許の仕様の範囲内にあり且つ機能するが、好ましい形態ではないことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明による分別装置の側面図である。
【図2】本発明による分別装置の正面図である。
【符号の説明】
【0037】
10 分別ローラ、20 離間ホイール、30 スキージブレード、40 受皿、50,53 支持軸受、51,52 ホイール軸受、60 炭素ブラシ、61 炭素ブラシブラケット、70 旋回シャフト、80 スペーサ、90,91 駆動ローラプーリ、100 駆動モータ、110 前側ブラケット、111 後側ブラケット、120 下側ブラケット、130 ばね、140 移動リミッタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動している一次画像形成部材上に、流体とマーキング粒子を含むインクを前記一次画像形成部材上に画像に応じて噴射することによって画像を印刷する装置において、
マーキング粒子を受容部材に転写する前にインクを濃縮する装置であって、
インクを濃縮する装置は、
前記インクの流体を前記マーキング粒子から分離するために、前記一次画像形成部材に対して所定の位置に設けられた分別ユニットと、
前記インクの前記液体中で前記マーキング粒子を濃縮するために、前記一次画像支持部材と前記分別ユニットの間に静電界を形成する手段と、を有する装置。
【請求項2】
前記分別ユニットの前記所定の位置は、前記一次画像形成部材から離間された距離である請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記分別ユニットの前記所定の位置は、自由に回転するホイールセットによって設定され、前記ローラセットは、前記一次画像形成部材上の画像を妨げることなく前記一次画像形成部材の前記移動方向と逆方向に回転することができる請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記分別ユニットは、電気的にバイアスされたローラを有し、前記ローラは、前記一次画像形成部材の移動方向と逆方向に回転可能である請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記一次画像形成部材から流出液を剥ぎ取って前記インクを濃縮するために、前記一次画像形成部材に対して剥ぎ取り部材が配置された請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記インクの前記マーキング粒子が、着色剤粒子を含む請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記着色剤粒子が、0.1〜3.0μmの平均粒径を有する請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記インクは、109Ω−cmより大きい交流固有抵抗を有する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記インクは、1010Ω−cmより大きい交流固有抵抗を有する請求項7に記載の装置。
【請求項10】
インクは、109Ω−cmの直流固有抵抗を有する請求項7に記載の装置。
【請求項11】
移動している一次画像形成部材上に、流体とマーキング粒子を含むインクを画像に従って前記一次画像形成部材上に噴射することによって画像を印刷する方法であって、
一次画像支持部材によって静電界を形成してインクに前記静電界をかけることによってマーキング粒子からインクの流体を分離するためにインクを分別することによって、マーキング粒子画像を受容部材に転写する前にインクを濃縮する工程を含む方法。
【請求項12】
濃縮する工程で、流出液が前記一次画像形成部材から剥ぎ取られる請求項11に記載の方法。
【請求項13】
移動している一次画像形成部材上に画像を印刷する方法であって、
流体とマーキング粒子を含むインクを画像に従って一次画像形成部材上に噴射する工程と、
一次画像支持部材によって静電界を確立してインクに前記静電界をかけることによってマーキング粒子からインクの流体を分離するためにインクを分別することによってインクを濃縮する工程と、
濃縮したインクのマーキング粒子画像を受容部材に転写する工程と、を含む方法。
【請求項14】
インクに静電界をかけた後でインクを濃縮する工程で、流出液が画像形成部材から剥ぎ取られる請求項13に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−538756(P2009−538756A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513178(P2009−513178)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/012248
【国際公開番号】WO2007/142827
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】