説明

液体カートリッジ及び画像形成装置

【課題】構造が簡単で低コストでありしかも液体残量を正確に検出できるものとする。
【解決手段】画像形成装置に装着されるカートリッジケース110と、カートリッジケース110内に配置され2枚のシート体121,122の内部にインク125が収納されると共にインク供給口123を具備するインク袋120とを備えており、インク袋120のシート体121,122の内側部又は外側部にマグネット131が配置されると共に、シート体121,122の間にインク袋120の形状を保持するバネ部材140を備える。複数個のインクカートリッジ100Bk,100C,100M,100Yを配置するときには、各インクカートリッジ100Bk,100C,100M,100Yの両端及び間にシールド壁201,202,203,204,205を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体カートリッジ及び画像形成装置に係り、特に画像形成装置に装着されるカートリッジケースと該カートリッジケース内に配置され内部に液体が収納される液体袋とを備える液体カートリッジ及びこの液体カートリッジを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば液滴吐出ヘッドを記録ヘッドに用いたインクジェット記録装置を用いたものが知られている。インクジェット記録装置は、液体であるインクをインク記録ヘッドから用紙に吐出して画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行うものである。ここで用紙は、紙に限定されるものではなく、OHPシート等を含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なもの、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。
【0003】
ここで、インクジェット記録装置を使用する画像形成装置にはインクを貯留しておくインクカートリッジが搭載されている。カートリッジケース内において、インクはインク袋内に収納されており、このインク袋からインクをインクジェット記録装置内のヘッドへ送液するには、様々な方法がある。一つの方法として供給ポンプ装置を備えインクをインク袋から送出するものがある。他の方法としてインク袋を覆う加圧袋を備えこの加圧袋を空気圧で加圧し、インク袋からインクを送液するものがある。そして、このようなインクジェット記録装置において、インクカートリッジはインクが無くなって使えなくなる前に、ユーザに対してニアエンドの通知をして、新しいカートリッジの準備を促す通知を行うようにしている。
【0004】
このとき、インクを使い切ってしまってから通知を行うとすると、印字が不可能になるだけでなく、ヘッドのノズル面から空気が入り込んでしまい、新しいカートリッジを装填したときに、気泡を取るためのメンテナンスが必要となり、インクと時間を無駄にしてしまうこととなる。このため、インクカートリッジ内のインク量を把握する必要がある。また、インクを加圧袋の加圧で送出するタイプのものでは、インクカートリッジ内のインクを完全に使い切る直前ではインク袋へ加圧した圧力が、インク流路へと伝達しにくくなり必要流量を確保できなくなる。これに対処するためにもインクカートリッジ内のインクが完全に使い切る前に、画像形成装置を停止させ、ユーザにインクカートリッジを交換させる必要がある。
【0005】
インクカートリッジの管理に際して、インクカートリッジのインク量をソフトカウントで管理して、ニアエンドやエンドの指令を出す方法がある。しかし、ソフトカウントでは、装置のばらつきや使用環境等の違いにより、精度が悪くなったり、ニアエンドのタイミングが悪かったりする他、インクを使い切らないために、逆にインクを充分残した状態でエンドとしてしまうために不経済であり、環境上も良くない。そのため、インクカートリッジ内のインク量を正確に検知する必要がある。
【0006】
特許文献1には、インク袋に磁気発生部材(マグネット)を取り付け、静止部材に磁電変換素子(ホール素子)を取り付けて、磁気発生部材と磁電変換素子の距離の変化によって、インク袋の状態を見てインク量を検知するものが記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、記録装置のインクタンク内におけるインク残留を検出する記録装置用インク検出装置において、インクタンク内に、連続気孔を持つ多孔質体を配置した多孔質体部と、該多孔質体部を配設していない空洞部と、前記多孔質体部に近接してインク吐出口を有し、該空洞部内にインク残留を検知する複数の電極が配置されているものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、インク袋の縮まり方がばらつくため、磁気発生部材(マグネット)と磁電変換素子(ホール素子)の距離とインク残量の関係に、ばらつきが生じてしまい、正確なインク残量検知ができず、ソフトカウントでエンド検知する方法と同じ問題が発生してしまう。
【0009】
また、特許文献2のものは、インクタンク内に多孔質部と、空洞部の他電極を配置しなければならず、構造が複雑でコストがかさむという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、構造が簡単で低コストでありしかもインク残量を正確に検出することができるインクカートリッジ及びこのインクカートリッジを使用した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、画像形成装置に装着されるカートリッジケースと、前記カートリッジケース内に配置され膜体で構成されてその内部に液体が収納されると共に液体供給口を具備した液体袋と、を備えてなり、前記液体袋は、液体袋の内側部又は外側部にマグネットを備えることを特徴とする液体カートリッジである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の液体カートリッジにおいて、前記液体袋には液体を送出する液体ポンプが接続されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の液体カートリッジにおいて、前記液体袋を構成する膜体のうちのマグネットが配置された膜体に対向して配置される膜体の一部は、前記カートリッジケースの内面に固定されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1記載の液体カートリッジにおいて、前記液体袋には液体袋を覆うと共に内部に液体袋加圧用の気体が送られる加圧袋を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3記載の液体カートリッジにおいて、前記液体袋を構成する膜体のうちマグネットが設けられた膜体に対向して配置された膜体の一部は、前記加圧袋の一部に固定され、加圧袋のうち前記液体袋が固定された個所の近傍は前記カートリッジケースに固定されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか記載の液体カートリッジにおいて、前記液体袋の形状を保持する形状保持手段を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6記載の液体カートリッジにおいて、前記形状保持手段は、前記液体袋における前記マグネットが設けられた位置近傍において、液体袋を構成する膜体を内側から外側に向け付勢するバネ部材であることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項6又は7記載の液体カートリッジにおいて、前記形状保持手段は、前記液体供給口の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項6記載の液体カートリッジにおいて、前記形状保持手段は、前記液体袋の少なくとも一部分に肉厚寸法が他の部分の肉厚寸法より大きい厚肉部であることを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、求項6記載の液体カートリッジにおいて、前記液体袋の厚肉部は、前記肉厚部以外の部分より多い数の層が積層されて構成されていることを特徴とする請。
【0021】
請求項11の発明は、請求項9又は10記載の液体カートリッジにおいて、前記厚肉部は、前記液体供給口の近傍に設けられることを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項1乃至11のいずれか記載の液体カートリッジにおいて、前記液体はインクであることを特徴とする。
【0023】
請求項13の発明は、請求項1乃至11のいずれか記載の液体カートリッジにおいて、前記液体は、洗浄液であることを特徴とする。
【0024】
請求項14の発明は、請求項1乃至13のいずれか記載の液体カートリッジが収納されると共に、収納された液体カートリッジの液体袋に配置されたマグネットに対応する位置に設けられ、前記マグネットの磁束を検出する磁束検出素子を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0025】
請求項15の発明は、請求項14記載の画像形成装置において、液体カートリッジが複数配置され、前記各液体カートリッジ間にシールド壁を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る液体カートリッジ及び画像形成装置によれば、液体袋の変形は、配置されたマグネットの磁束を検知することにより行えるので、液体カートリッジの構造を簡単なものとすることができると共に精度の高いインク量の検知が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施例に係るインクカートリッジ及びこのインクカートリッジが配置された画像形成装置の周辺部の模式図である。
【図2】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図3】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図4】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図5】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図6】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図7】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図8】ホール素子の出力値を示すグラフである。
【図9】インクカートリッジを複数個セットした画像形成装置を示す模式図である。
【図10】第2の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。
【図11】第3の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。
【図12】第4の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。
【図13】第5の実施例に係るインクカートリッジ及びこのインクカートリッジが配置された画像形成装置の周辺部を示すものであり、(a)は模式図、(b)は斜視図である。
【図14】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図15】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図16】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図17】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図18】インクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図である。
【図19】ホール素子の出力値を示すグラフである。
【図20】インクカートリッジを複数個セットした画像形成装置を示す模式図である。
【図21】第5の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。
【図22】第7の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る液体カートリッジは、画像形成装置に装着されるカートリッジケースと、前記カートリッジケース内に配置され膜体で構成されてその内部に液体が収納されると共に液体供給口を具備した液体袋と、を備えてなり、前記液体袋は、液体袋の内側部又は外側部にマグネットを備える。この液体袋内の液体は、液体ポンプあるいは、液体袋の外側を覆い、加圧気体が送られる加圧袋の加圧により液体供給口から送出される。また、前記袋体を構成する膜体のうちのマグネットが配置された膜体に対向して配置される膜体の一部は、前記カートリッジケースの内面に固定される。加圧袋を備える場合には、まくたいの一部が加圧袋の一部に固定され、更にこの近傍がカートリッジケースに固定される。更に液体袋にはこの液体袋の形状を保持する形状保持手段を備える。形状保持手段は、液体袋の前記マグネットが設けられた位置の内側で液体供給口の近傍に配置されたバネ部材とすることができる他、液体袋の一部分の肉厚寸法を他の部分より厚くして構成することができる。ここで、液体袋に充填する液体としてはインクや洗浄液とすることができる。
【0029】
本発明に係る画像形装置は、前記の液体カートリッジを収納すると共に、収納された液体カートリッジの液体袋に配置されたマグネットに対応する位置に設けられ、前記マグネットの磁束を検出する磁束検出素子を備え、液体袋を複数配置するときには、各液体カートリッジ間にシールド壁を配置して構成する。

【実施例】
【0030】
以下本発明に係る液体カートリッジとして内部に液体であるインクが充填されたインクカートリッジについて説明する。図1は第1の実施例に係るインクカートリッジ及びこのインクカートリッジが配置された画像形成装置の周辺部の模式図である。インクカートリッジ100は、合成樹脂製の箱体のカートリッジケース110と、このカートリッジケース110内に配置されるインク袋120とを備えて構成される。
【0031】
インク袋120は、2枚の弾力性のある可撓性のシート体121,122をその周囲で接合して構成され、インク供給口123が溶着して固定されている。インク供給口123は、その開口をゴム製シール部124で封印され、カートリッジケース110に溶着して固定されている。インク袋120のシート体121,122は、例えば、LDPE又はLLDPE上にドライラミネーション、アルミ膜、ドライラミネーション、PAを順次積層した構造のアルミラミネートフィルムで構成される。尚、インク袋は、2枚の膜体の周囲を接合したものに限らず、筒状の部材の上下端を接合した構造、その他適宜の構造のものを採用することができる。
【0032】
インク袋120には、顔料、染料を含有するインク125が封入されており、このインク125は、画像形成装置の本体側へ供給される。即ち、インク流路212に接続された中空針211が前記ゴム製シール部124に差し込まれ、インク125は、この中空針211からインク流路212を経てヘッドタンク(図示していない)に補給される。
【0033】
また、本例ではインク袋120のインク供給口123の近傍であってシート体121の外側には、永久磁石であるマグネット131が固定配置されている。尚、マグネット131は必要に応じてインク袋120のシート体121の内側に配置することができる。また、シート体121,122のうち、マグネット131が取り付けらない側のシート体122は、前記シート体121のマグネット131に取り付け位置に相当する接合個所132において、カートリッジケース110の内側面に固定されている。このシート体122とカートリッジケース110との固定は接着剤、両面テープ、熱溶着等で行うことができる。
【0034】
更に、前記インク袋120の内部には、前記マグネット131が固定されている付近から、前記カートリッジケース110との固定された接合個所132付近までの間に形状保持部材としてバネ部材140が配置されている。このバネ部材140は、圧縮コイルスプリングで構成され、前記シート体121,122を離間させる方向、即ちインク袋120を膨らませ、形状を保持する方向にインク袋120を付勢する。本例では、バネ部材140をインク供給口123近傍に配置したので、インク袋120内に残るインクの量を最小限にすることができる。
【0035】
本例では、画像形成装置にインクカートリッジ100を配置した状態において、インク流路212は、図示しない供給ポンプによってヘッドタンク内へとインクが供給される構成となっている。また、このインクカートリッジ100を画像形成装置に挿入した状態において、インクカートリッジ100に近接し、前記131と反対側に位置する本体部材151には、インク袋120の外側のマグネット131に対向する位置付近に磁束検出素子であるホール素子152が配置されている。尚、この磁束検出素子としては、ホール素子以外にもMR素子等の磁電変換素子を用いることができる。
【0036】
本実施例によれば、インク袋120内のインク125の量は、ホール素子152の出力電圧によって検知することができる。即ち、ホール素子152がインク袋120の変形に伴うマグネット131の磁束密度を検出し、この値からインク量を推定する。図2乃至7はインクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図、図8はホール素子の出力値を示すグラフである。本例では、インク袋120は、インクを消費していない満タン状態(図3)から、図4〜図6に示す中間状態を経て図7に示すインクを消費し切ったインクエンド状態まで変形する。図8に示すように、図2から4までの状態で、初期のインク量の約3割を消費しているが、マグネット131とホール素子152の距離が殆ど変化しないため、ホール素子の出力電圧も殆ど変化しない。
【0037】
その分、図5〜図7での電圧変化が顕著に表れ、ニアエンド検知、エンド検知がし易いものとなる。本例では、図8に示すように、ホール素子152の出力電圧に対して、ニアエンド閾値とエンド閾値を設定しておき、ニアエンド閾値を超えた段階で、ニアエンドとなり、画像形成装置の使用者に対して、もうすぐインクが無くなる旨の通知を出すものとする。
【0038】
更にインク消費を進めて行き、エンド閾値を超えたら、画像形成装置を停止させ、画像形成装置の使用者に対して、インク交換を促すようにする。
【0039】
カラー印刷を行う画像形成装置にあっては、画像形成装置に複数個のインクカートリッジを配置する。図9はインクカートリッジを複数個セットした画像形成装置を示す模式図である。この例では、画像形成装置200には、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクカートリッジ100Bk,100C,100M,100Yを配置している。そして、隣り合うインクカートリッジ100Bk,100C,100M,100Yの間及び両端にSECCやSPCC等でできた磁性体のシールド壁201,202,203,204,205を配置している。尚、各インクカートリッジ100Bk,100C,100M,100Yのマグネット131Bk,131C,131M、131Yの磁束を検出するためのホール素子152Bk,152C,152M、152Yをシールド壁202,203,204,205に配置している。
【0040】
本例によれば、隣り合うインクカートリッジ100Bk,100C,100M,100Yのマグネット131Bk,131C,131M、131Yの影響、また、インクカートリッジを1個のみ使用する場合であっても、画像形成装置内の各種モータに使用されているモータから漏れ出す磁界の影響、画像形成装置外に存在する磁界の影響を防止できる尚、インクカートリッジは、上記4色に加えて、ライトシアン、ライトマゼンタを合わせて6色構成。更に多色構成や、同じ色のインクカートリッジをインク容量確保のために複数個配置することができる。
【0041】
シールド壁301で仕切ることによる効果は外部磁界の影響を遮断するだけでなく、マグネットから発生した磁界に対して、磁路を確保することで、効率良くホール素子に磁束が流れ、温度特性の面でも有利である。
【0042】
図10は第2の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。本例に係るインクカートリッジ300は、形状保持手段として、引っ張りコイルバネ310を使用している。その他の部材の構成は第1の実施例に係るインクカートリッジ100と同一であるので同一の部材には同一の符号を附してその説明は省略する。
【0043】
図11は第3の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。本例に係るインクカートリッジ400は、形状保持手段として、インク袋120内に配置され、シート体121を外側に付勢する板バネ410を使用している。その他の部材の構成は第1の実施例に係るインクカートリッジ100と同一であるので同一の部材には同一の符号を附してその説明は省略する。
【0044】
図12は第4の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。本例に係るインクカートリッジ500は、形状保持手段として、インク袋120の上部に弾性力に富んだ弾性層510を配置して、インク袋120の厚さ寸法を他の部分の厚さ寸法より大きい厚肉部を形成している。本例では、弾性層510を設けることにより、インク袋120のうちマグネット131が配置された付近のインクの減少による変形を、弾性層510を配置しない場合に比較して、防止することができる。その他の部材の構成は第1の実施例に係るインクカートリッジ100と同一であるので同一の部材には同一の符号を附してその説明は省略する。尚、弾性層510を配置するのに替え、厚肉部としてシート体121,122の当該部分の厚さ寸法を他の部分の厚さ寸法より大きく設定することもできる。
【0045】
図13は第5の実施例に係るインクカートリッジ及びこのインクカートリッジが配置された画像形成装置の周辺部を示すものであり、(a)の模式図であり、(b)はインクカートリッジを示す横断面図である。インクカートリッジ600は、合成樹脂製の箱体のカートリッジケース610と、このカートリッジケース610内に配置されるインク袋620、このインク袋620を覆う加圧袋630とを備えて構成される。
【0046】
インク袋620は、2枚の弾力性のある可撓性のシート体621,622をその周囲で接合して構成され、インク供給口623が溶着して固定されている。インク供給口623は、その開口をゴム製シール部624で封印されている。インク袋620のシート体621,622は、例えば、LDPE又はLLDPE上にドライラミネーション、アルミ膜、ドライラミネーション、PAを順次積層した構造のアルミラミネートフィルムで構成される。尚、インク袋は、2枚の膜体の周囲を接合したものに限らず、筒状の部材の上下端を接合した構造、その他適宜の構造のものを採用することができる。
【0047】
加圧袋630は、2枚のフィルム体631,632をその周囲で接合して構成され、インク供給口623が溶着して固定されている。加圧袋630のフィルム体631,632は、LDPE又はLLDPE上にドライラミネーション、PAを順次積層した構造を備えている。また、加圧袋630は、図13(b)に示す様に画像形成装置本体から加圧された気体である空気が導入される空気導入部633が取付部635を介して取り付けられている。尚、図13(b)中符号628はインク導入口を示している。空気導入部633から加圧された空気が導入されると、空気圧でインク袋620を加圧してインク袋620からインクが送出される。尚、加圧袋は、2枚の膜体の周囲を接合したものに限らず、筒状の部材の上下端を接合した構造、その他適宜の構造のものを採用することができる。
【0048】
インク袋620には、顔料、染料を含有するインク625が封入されており、このインク625は、画像形成装置の本体側へ供給される。即ち、インク流路672に接続された中空針671が前記ゴム製シール部624に差し込まれ、インク625は、この中空針671からインク流路672を経て画像形成装置のヘッドタンク(図示していない)に補給される。
【0049】
また、インク袋620のインク供給口623の近傍であってシート体621の外側には、マグネット641が固定配置されている。尚、マグネット641は必要に応じてインク袋620のシート体621の内側に配置することができる。また、シート体621,622のうち、マグネット641が取り付けらない側のシート体622は、前記シート体621のマグネット641に取り付け位置に相当する接合個所626において加圧袋630のフィルム体632に接合され、フィルム体631はこの接合個所626の近傍において、接合個所634でカートリッジケース610の内側面に固定されている。これらのシート体622とフィルム体632と固定、フィルム体632とカートリッジケース610との固定は接着剤、両面テープ、熱溶着等で行うことができる。
【0050】
更に、前記インク袋620の内部には、前記マグネット641が固定されている付近から、前記フィルム体632との固定された接合個所626付近までの間に形状保持部材としてバネ部材650が配置されている。このバネ部材650は、圧縮コイルスプリングで構成され、前記シート体621,622を離間させる方向、即ちインク袋620を膨らませ、形状を保持する方向にインク袋620を付勢する。本例では、バネ部材650をインク供給口623近傍に配置したので、インク袋620内に残るインクの量を最小限にすることができる。
【0051】
本例では、このインクカートリッジ600を画像形成装置に挿入した状態において、インクカートリッジ600に近接し、前記マグネット641と反対側に位置する本体部材661には、インク袋620の外側のマグネット641に対向する位置付近に磁束検出素子であるホール素子662が配置されている。尚、この磁束検出素子としては、ホール素子以外にもMR素子等の磁電変換素子を用いることができる。
【0052】
本実施例によれば、インク袋620内のインク袋620の量は、ホール素子662の出力電圧によって検知することができる。即ち、ホール素子662がインク袋620の変形に伴うマグネット641の磁束密度を検出し、この値からインク量を推定する。図14乃至18はインクの消費に伴うインク袋の形状変化を示した模式図、図19はホール素子の出力値を示すグラフである。本例では、インク袋620は、インクを消費していない満タン状態(図14)から、図15〜図17に示す中間状態を経て図18に示すインクを消費し切ったインクエンド状態まで変形する。図19に示すように、図14から図16までの状態で、初期のインク量の約3割を消費しているが、マグネット641とホール素子662の距離が殆ど変化しないため、ホール素子の出力電圧も殆ど変化しない。
【0053】
その分、図16〜図18での電圧変化が顕著に表れ、ニアエンド検知、エンド検知がし易いものとなる。本例では、図19に示すように、ホール素子662の出力電圧に対して、ニアエンド閾値とエンド閾値を設定しておき、ニアエンド閾値を超えた段階で、ニアエンドとなり、画像形成装置の使用者に対して、もうすぐインクが無くなる旨の通知を出すものとする。
【0054】
更にインク消費を進めて行き、エンド閾値を超えたら、画像形成装置を停止させ、画像形成装置の使用者に対して、インク交換を促すようにする。
【0055】
カラー印刷を行う画像形成装置にあっては、画像形成装置に複数個のインクカートリッジを配置する。図20はインクカートリッジを複数個セットした画像形成装置を示す模式図である。この例では、画像形成装置200には、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクカートリッジ600Bk,600C,600M,600Yを配置している。そして、隣り合うインクカートリッジ600Bk,600C,600M,600Yの間及び両端にSECCやSPCC等でできた磁性体のシールド壁701,702,703,704,705を配置している。尚、各インクカートリッジ600Bk,600C,600M,600Yのマグネット641Bk,641C,641M、641Yの磁束を検出するためのホール素子662Bk,662C,662M、662Yをシールド壁702,703,704,205に配置している。
【0056】
本例によれば、隣り合うインクカートリッジ600Bk,600C,600M,600Yのマグネット641Bk,641C,641M、641Yの影響、また、インクカートリッジを1個のみ使用する場合であっても、画像形成装置内の各種モータに使用されているモータから漏れ出す磁界の影響、画像形成装置外に存在する磁界の影響を防止できる尚、インクカートリッジは、上記4色に加えて、ライトシアン、ライトマゼンタを合わせて6色構成。更に多色構成や、同じ色のインクカートリッジをインク容量確保のために複数個配置することができる。
【0057】
シールド壁701で仕切ることによる効果は外部磁界の影響を遮断するだけでなく、マグネットから発生した磁界に対して、磁路を確保することで、効率良くホール素子に磁束が流れ、温度特性の面でも有利である。
【0058】
図21は第6の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。本例に係るインクカートリッジ800は、形状保持手段として、インク袋620内に配置され、シート体621を外側に付勢する板バネ810を使用している。その他の部材の構成は第5の実施例に係るインクカートリッジ600と同一であるので同一の部材には同一の符号を附してその説明は省略する。尚、この例ではマグネット641はインク袋620の外側に配置するものとしたが、板バネ810にマグネット641を取り付けるようにしても良い。
【0059】
図22は第7の実施例に係るインクカートリッジを示す概略断面図である。本例に係るインクカートリッジ900は、形状保持手段として、インク袋620の上部に弾性力に富んだ弾性層910を配置して、インク袋620の厚さ寸法を他の部分の厚さ寸法より大きい厚肉部を形成している。本例では、弾性層910を設けることにより、インク袋620のうちマグネット641が配置された付近のインクの減少による変形を、弾性層910を配置しない場合に比較して、防止することができる。その他の部材の構成は第5の実施例に係るインクカートリッジ600と同一であるので同一の部材には同一の符号を附してその説明は省略する。尚、弾性層910を配置するのに替え、厚肉部としてシート体621,622の当該部分の厚さ寸法を他の部分の厚さ寸法より大きく設定することもできる。
【0060】
尚、上記各実施例ではカートリッジに液体としてインクを封入した例を示したが、液体はインク以外に例えば洗浄液、前処理液等であっても良い。
【符号の説明】
【0061】
100 インクカートリッジ
100Bk,100C,100M,100Y インクカートリッジ
110 カートリッジケース
120 インク袋
121,122 シート体
123 インク供給口
124 ゴム製シール部
125 インク
131 マグネット
131Bk,131C,131M、131Y マグネット
132 接合個所
140 バネ部材
151 本体部材
152 ホール素子
152Bk,152C,152M、152Y ホール素子
200 画像形成装置
201,202,203,204,205 シールド壁
211 中空針
212 インク流路
300 インクカートリッジ
301 シールド板
310 コイルバネ
400 インクカートリッジ
410 板バネ
500 インクカートリッジ
510 弾性層
600 インクカートリッジ
600Bk,600C,600M,600Y インクカートリッジ
610 カートリッジケース
620 インク袋
621,622 シート体
623 インク供給口
624 ゴム製シール部
625 インク
626 接合個所
628 インク導入口
630 加圧袋
632 フィルム体631,
633 空気導入部
634 接合個所
641 マグネット
641Bk,641C,641M、641Y マグネット
650 バネ部材
661 本体部材
662 ホール素子
662Bk,662C,662M、662Y ホール素子
671 中空針
672 インク流路
701,702,703,704,705 シールド壁
800 インクカートリッジ
810 板バネ
900 インクカートリッジ
910 弾性層
【先行技術文献】
【特許文献】
【0062】
【特許文献1】特開2004−155036公報
【特許文献2】第2931079号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に装着されるカートリッジケースと、
前記カートリッジケース内に配置され膜体で構成されてその内部に液体が収納されると共に液体供給口を具備した液体袋と、を備えてなり、
前記液体袋は、液体袋の内側部又は外側部にマグネットを備えることを特徴とする液体カートリッジ。
【請求項2】
前記液体袋には液体を送出する液体ポンプが接続されていることを特徴とする請求項1記載の液体カートリッジ
【請求項3】
前記液体袋を構成する膜体のうちのマグネットが配置された膜体に対向して配置される膜体の一部は、前記カートリッジケースの内面に固定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体カートリッジ。
【請求項4】
前記液体袋には液体袋を覆うと共に内部に液体袋加圧用の気体が送られる加圧袋を備えることを特徴とする請求項1記載の液体カートリッジ。
【請求項5】
前記液体袋を構成する膜体のうちマグネットが設けられた膜体に対向して配置された膜体の一部は、前記加圧袋の一部に固定され、加圧袋のうち前記液体袋が固定された個所の近傍は前記カートリッジケースに固定されていることを特徴とする請求項3記載の液体カートリッジ。
【請求項6】
前記液体袋の形状を保持する形状保持手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の液体カートリッジ。
【請求項7】
前記形状保持手段は、前記液体袋における前記マグネットが設けられた位置近傍において、液体袋を構成する膜体を内側から外側に向け付勢するバネ部材であることを特徴とする請求項6記載の液体カートリッジ。
【請求項8】
前記形状保持手段は、前記液体供給口の近傍に配置されていることを特徴とする請求項6又は7記載の液体カートリッジ。
【請求項9】
前記形状保持手段は、前記液体袋の少なくとも一部分に肉厚寸法が他の部分の肉厚寸法より大きい厚肉部であることを特徴とする請求項6記載の液体カートリッジ。
【請求項10】
前記液体袋の厚肉部は、前記肉厚部以外の部分より多い数の層が積層されて構成されていることを特徴とする請求項6記載の液体カートリッジ。
【請求項11】
前記厚肉部は、前記液体供給口の近傍に設けられることを特徴とする請求項9又は10記載の液体カートリッジ。
【請求項12】
前記液体はインクであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか記載の液体カートリッジ。
【請求項13】
前記液体は、洗浄液であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか記載の液体カートリッジ。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか記載の液体カートリッジが収納されると共に、収納された液体カートリッジの液体袋に配置されたマグネットに対応する位置に設けられ、前記マグネットの磁束を検出する磁束検出素子を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
液体カートリッジが複数配置され、前記各液体カートリッジ間にシールド壁を備えることを特徴とする請求項14記載の画像形成装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−18021(P2010−18021A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43985(P2009−43985)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】