説明

液体ジェット式筆記具

筆記具は、離間された媒体(8)上に液体を噴射させる働きをもつ液体噴射ヘッド(41)と、該噴射ヘッドを作動させる働きをもつ処理装置(6)を備える。該筆記具はさらに、噴射ヘッドと媒体との間の距離を測定するための測定手段(12)と、使用者が該筆記具を把持していることを検出するための把持検出手段(18)を備えており、第1に、噴射ヘッドと媒体との間の距離が、予め決められた最大値未満であると測定手段が判断し、そして第2に、使用者が該筆記具を把持していることを把持検出手段(18)が検出した場合に、処理装置が液体噴射ヘッド(41)を作動させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクのような液体のジェットを噴射する筆記具に関する。より詳細には、そのような筆記具の中でも、本発明は、第1の端部と第2の端部に亘って直線的に延びる、ほぼ管状の部材であって、使用者が手で把持するように設計された管状部材を備え、該管状部材が、液体を入れる容器と、液体噴射システムと、処理装置を含むものに関する。該液体噴射システムは、液体の容器に接続された液体噴射ヘッドを備え、該噴射ヘッドが、離間された媒体の上に液体を噴射するように設計されており、また、処理装置は、該噴射ヘッドが、離間された媒体の上に液体を噴射できるように、液体噴射システムを作動させる役目を有する。
【背景技術】
【0002】
この種の既知の筆記具において、管状部材には一般に触覚器(feeler)が設けられており、触覚器は、筆記中に媒体と接触するように働く第1の端部と、媒体との接触中に触覚器の動きを検出するための検出機構に接続された第2の端部を有する。この検出機構は、液体噴射システムを作動できるように処理装置に接続されている。従って、使用者がその手に筆記具を把持し、該使用者が筆記具を媒体の方へと動かすときに、触覚器が媒体の表面に接触し、それにより、検出機構は、液体の噴射を作動させるために信号を処理装置に送ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、筆記ヘッド、即ち液体噴射ヘッドについては、もはや媒体に接触している必要はないが、液体噴射を開始させるためには、筆記具の触覚器が媒体に接触していることが必須である。媒体に触覚器を接触させることは、特に、当該媒体がある程度粗い場合において使用者に違和感を与えることがある。
【0004】
また、媒体に接触する触覚器の端部が通常、該媒体上に液体が噴射される弾着点の付近であるので、液体が乾かないうちにこれに該触覚器の端部が触れると、筆記具を普通に使用している間に媒体上を汚してしまう虞がある。
【0005】
そして、筆記具が不注意にも、うっかりスイッチが入れたままにされると、液体噴射ヘッドを越えて延びる触覚器が、偶発的な接触を被ることがあり、例えば、筆記具をポケット等にしまい込んだ場合に、誤って液体噴射が引き起こされてしまうことになる。
【0006】
本発明の目的は、信頼性があって簡単であり、しかも使用者に良好な書き心地を与える筆記具を提案することによって、上述した技術的問題を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明は、前記した管状部材がさらに次の手段を含むことを特徴とする筆記具を提供するものである。
筆記具と媒体との間の物理的な接触なしに作動し、噴射ヘッドと媒体との間の距離を測定するための測定手段が、処理装置に接続され、そして、
前記した管状部材が使用者によって把持されていることを検出するための把持検出手段が、処理装置に接続されており、
そして、前記処理装置は、第1に、噴射ヘッドと媒体との間の距離が予め決められた最大値未満であることを前記測定手段が判断し、第2に、使用者が前記管状部材を把持していることを前記把持検出手段が検出した場合に、液体噴射システムを作動させるように構成される。
【0008】
このような構成によって、媒体に筆記具が接触することなく、該媒体上に液体が噴射されることになり、該筆記具の使用者は、管状部材、つまり、筆記具の外周の少なくとも一部を形成する部分を、普通に保持して押圧しながら、単に筆記具を媒体から適切な距離に持ってくるだけでインク噴射を作動させることができる。液体噴射のこのような作動は、筆記具、より正確には液体噴射ヘッドを、媒体から離すことによって停止させることができる。この筆記具は、ボールペンやサインペンのような従来の筆記具で経験済みの筆記条件に近い良好な条件でもって、液体を噴射させ、又は液体が噴射されないようにすることができ、しかも、筆記媒体との物理的な接触を少しも必要としない。
【0009】
本発明の好ましい実施形態において、さらに以下に示す事項の1つ以上が用いられる。
第1に、噴射ヘッドと媒体との距離が、予め決められた最小値及び予め決められた前記最大値によって規定される範囲内であることが測定手段によって判断され、第2に、使用者が管状部材を把持していることを把持検出手段が検出した場合に、液体噴射システムを作動させるように処理装置が構成される。
管状部材がさらに、電源と、該電源に接続されたスイッチ手段とを含み、液体噴射システム、処理装置、測定手段を作動させるために該スイッチ手段が使用者によって操作可能とされる。
使用者によって操作可能とされるスイッチ手段は、管状部材が使用者によって把持されていることを検出するための把持検出手段により形成される。
使用者によって操作可能とされるスイッチ手段はさらに、管状部材が使用者によって把持されていることを検出するための把持検出手段を作動させることができる。
管状部材がさらに動き検出手段を含み、該手段は管状部材の動きを検出するとともに、処理装置に接続され、該処理装置が以下の場合に液体噴射システムを作動させるように構成される。
・噴射ヘッドと媒体との間の距離が、予め決められた最大値未満であることを測定手段が判断し、そして、
・使用者が管状部材を把持していることを、把持検出手段が検出し、そして、
・動き検出手段が、管状部材の動きを検出した場合。
測定手段が光学システムを備え、これが噴射ヘッドと媒体との間の距離を測定する役目を果たす。
測定手段が超音波音響プローブを備え、これが噴射ヘッドと媒体との間の距離を測定する役目を果たす。
液体噴射ヘッドには、液体の液滴を噴射するためのノズルが1つ以上設けられており、噴射システムがさらに、噴射ヘッドの1つ以上のノズルを作動させるための電気信号を生成する気信号発生器を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の他の特徴及び利点については、限定的でない例として与えられる以下の本発明の実施例の説明及び添付図面の参照から明らかになる。
【0011】
尚、種々の図で、同様の参照符号は、同一又は類似の構成要素を示している。
【0012】
図1は、第1の端部2aと第2の端部2bとの間に亘って延びる、ほぼ管状の部材を含む筆記具1を示している。この管状部材は、中空の内部空間を画定する内壁21と、使用者が手で把持するように設計された外壁22を有する。
【0013】
管状部材2の内壁21によって画定される中空の内部空間は、液体の容器3と、液体を噴射するための噴射システム4を含んでおり、該噴射システムが容器3と直接的に関連している。液体の容器3は、管状部材2内の中空の内部空間において取り外し可能な状態で取り付けられており、これは、液体を使い切った後で別の容器に置き換えられるようにするためである。器具の使用法によっては、当該容器に入れられる液体がインクからなることもあり、また器具が修正器具として使用される場合には、インク消去用液体又はインクマスキング液体であり、あるいは器具が接着剤の塗布器又は噴射器として使用される場合には、接着剤からなることもある。噴射システム4は、通路31を通して液体の容器3と直接的に接続された液体噴射ヘッド41と、該噴射ヘッド41の作動及び作動解除を制御するように設計された電気信号発生器42によって形成される。
【0014】
本例では、噴射ヘッド41が、管状部材2の端部2aに配置された噴射ノズル43を含む、圧電性噴射ヘッドである。管状部材2の端部2aは、管状部材2の中央部の内壁21上から当該中央部内に直接嵌合されたエンドピース(末端部)で構成することができる。該エンドピ−ス2aは、噴射ヘッド41のノズル43がその内部に配置された端部開口を提供する。噴射ノズル43については、これをエンドピ−ス2aに固定する方法、あるいは、前記ノズルをエンドピース内に収納できるように適正な機構を用いて格納式で取り付けることができ、それによって、筆記具が使用されない間、前記ノズルが損傷する危険を回避できる。よく知られているように、噴射ヘッド41は、発生器42からの電気信号に従って変形するように構成された圧電性素子を含み、それによって、媒体8上に噴射される微小液滴7が噴射ノズル43で形成される。
【0015】
液体噴射システム4はまた、例えば、ガラス製の基板を用いて形成することができ、その上には1つ以上の抵抗性発熱素子が取り付けられ、容器3からの少量のインクを含む1つ以上の、小型通路に位置される。したがって、電気信号が抵抗性素子上で発生器42によって発生される時、該抵抗性素子上の温度が瞬時に上昇し、それによってインク中に蒸気の泡を形成して、その泡が媒体8上へと液体の微細な液滴7を発射させる。
【0016】
液体噴射システム4はまた、圧縮ガスのカートリッジを1つ以上用いて形成することもでき、これは空気膨張機構及び液体のカートリッジと協同して動作する。該空気膨張機構は、カートリッジ内のガスを、圧力下でプリチャンバー(前室)内に解放させる役目をもつせん孔部と、液体の容器3に接続されたノズルへのガス流量率を制御するための、複数のバルブ(弁)を備える。
【0017】
また、筆記具は、発生器42を作動させるように設計された処理装置6を含んでおり、該発生器は、噴射システムの噴射ノズル43が、離間された媒体8上に液滴7を噴射できるように電気信号(又は、電気パルス)を発生させるものである。筆記具の端部2bにおいて、管状部材2の中空の内部空間には、電源10、例えば、1つのバッテリー又は2つのバッテリーで形成された電源、あるいは充電可能とされるか又はそれ以外の電源が含まれ、スイッチ11を用いて、筆記具を構成する種々の電気的要素に電源を投入することができる。
【0018】
管状部材2の端部2bは、例えば、2つの消耗したバッテリー10を新しいバッテリーで置き換えることができるように、上記管状部材2の中央部に取り外し可能な状態で取り付けられたキャップの形態であっても構わない。
【0019】
筆記具の端部2aにおいて、管状部材2はまた、筆記具と媒体8との間の物理的な接触なしに作動して、噴射ヘッド41と媒体8との間の距離を測定するための測定手段12を含む。より正確には、測定手段12が噴射ノズル43と媒体8との間の距離を測定するように構成されている。
【0020】
本実施例において、測定手段12は光学システム13を用いて構成され、当該光学システムは、例えば、媒体8上の光スポット、及び反射光ビームFRを形成するために、媒体8に向けて入射光ビームFIを送出する赤外線発光ダイオード(LED)13aを備えている。そして、光ビームは、媒体8に対する入射ビームFIの傾斜角を計算するためにフォトダイオード13bによって解析される。
【0021】
フォトダイオード13bと赤外線LED13aとの間の距離は既知であり、そして入射光ビームFIの傾斜角が計算されると、簡単な三角法の関係が成立し、これは赤外線LEDと媒体8の間の距離を計算するために十分とされる。尚、該フォトダイオードについては、商標「HAMAMATSU」で販売されているフォトダイオードS6560で構成することができる。
【0022】
他の各種実施例において、光学システム13はまた、円錐形の光ビームを発生するための発光手段を含み、該ビームの対称軸が、管状部材2の長手方向の軸と一致する。そして、光学システムは、媒体8上に円錐形ビームによって形成された光スポットの半径を計算するように構成されたセンサーを含む。この光スポットの半径は、媒体8と、円錐形ビームを発する発光手段との距離に比例するので、それから線形的な方法で、発光手段と媒体との間の距離を決定することができる。同様に、円錐形ビームの対称軸が、媒体に対して傾斜している場合には、媒体上に形成される光スポットが、もはや円形でなく楕円形であり、よって、センサーはまた、媒体と、円錐形ビームを発するための発光手段との間の距離を決定するために、楕円スポットの短軸の長さを測定するように構成される。その場合に筆記具の傾斜には関係なく、楕円スポットの短軸の長さが発光手段と媒体との間の距離のみに比例し、楕円スポットの長軸の長さのみが円錐形ビームの傾斜に比例する。
【0023】
別の実施例において、測定手段12はまた、超音波音響プローブを用いて構成することができる。その場合に、ノズル43と媒体8との間で測定される距離は、媒体8に対する筆記具の傾斜と独立に、該ノズル43と媒体8との間の最短距離に対応する。
【0024】
図1及び図2を参照すれば分かるように、測定手段12を形成する光学システム13は処理装置6に対して直接的に接続されており、該装置は、光学システム13によって得られる測定値をメモリー内に保存する。また該処理装置は、光学システム13が決められた時間間隔をもって繰り返し測定動作を行うように構成される。例えば、その時間間隔は1ミリ秒(ms)乃至0.1秒(s)の範囲内とされる。
【0025】
管状部材2はまた、該部材2が使用者によって把持されていることを検出するための把持検出手段18を含み、該把持検出手段もまた処理装置6に接続されている。
この把持検出手段18は、明らかに使用者が作動させるものであり、例えば、静電容量式センサー又は圧電式センサー、あるいは抵抗性センサーであって、管状部材の外壁22に配置され、かつ使用者が筆記具を把持しているときの圧力を検出するように設計される。
【0026】
よって、図1及び図2を参照すると、使用者がスイッチ11を操作した場合に、該スイッチは各種の電気的構成要素、つまり、測定手段12、把持検出手段18、そして液体噴射システム4を作動させる。
【0027】
使用者が筆記具を手に持つと、静電容量式又は圧電式のセンサー18は、使用者が筆記具を媒体8に向けて動かす際に該使用者によって加えられる圧力を検出する。測定手段12はまた、噴射ノズル43と媒体8との間の距離を自動的に測定し、その測定結果を処理装置6に送る。
【0028】
処理装置6はその際、液体噴射システム4を作動させ、これにより液滴7が媒体8上に噴射されるように構成されるが、これは、把持検出手段18が圧力を検出し、かつ、噴射ノズル43と媒体8との間の距離が予め決められた最大値未満であることを測定手段12が測定した場合にのみ行われる。
【0029】
例えば、前記の予め決められた最大値は、約1センチメートル(cm)とされる。
【0030】
よって、ノズル43と媒体8との間の距離が、予め決められた最大値より大きいと測定手段12が判断し、そして、把持検出手段が、筆記具への圧力を検出した場合には、処理装置6が噴射システムを作動させず、媒体8上に液滴は噴射されない。
【0031】
同様に、筆記具が使用者によって把持されていない場合には、たとえ、ノズル43が媒体から適切な距離にあったとしても、即ち、該距離が予め決められた最大値未満であるとしても、処理装置6が液滴を噴射させることはない。
【0032】
別の実施例において、噴射ノズル43が媒体8に近すぎるために液体の液滴7を媒体上に適正に噴射できない時に、処理装置6は液体噴射システムの作動を停止させるように構成される。その場合に、検出手段18が筆記具への圧力を検出し、かつ、噴射ノズル43と媒体8との間の距離が、予め決められた最小値及び予め決められた最大値によって規定される値の範囲内であることを、光学システム13が判断した場合にのみ、処理装置6が液体噴射システムを作動させる。筆記具の外壁22において、筆記具の管状部材2にはまた、選択手段15が設けられており、該手段は、媒体8上に付着する一連の液滴によって形成される線の太さを変調及び修正するために、液滴7の大きさを選択する手段である。該選択手段15については、特に、3位置ボタンの形態とすることができ、その際、3つの異なる線幅を得ることができる。選択的な位置ボタン15は、噴射システム4の電気信号発生器に対して直接的に接続されるが、これは、液体噴射ヘッド41に直接送出される電気信号の、周波数又は振幅あるいは周波数及び振幅を、所定の方法で変化させることができるようにするためである。それによって、液滴の大きさと、媒体8上に噴射される液滴の頻度を、比例的に変化させることができる。
【0033】
管状部材2はまた、動き検出手段14を含む。本実施例において、動き検出手段14が、処理装置6に対して直接的に接続された加速度計の形態とされる。該動き検出手段は特に、液体噴射システム4を作動させて媒体8上への液滴7の噴射を作動できるようにするための追加的な条件を付加する役目をもつ。
【0034】
このように、処理装置6は、下記の場合にのみ、液体噴射システム4を作動させるように構成され、それは、
測定手段12が、予め決められた最大値未満の距離を検出し、そして、
使用者が管状部材2を把持していることを、把持圧力の検出手段18が検出し、そして、
動き検出手段14が管状部材2の動きを検出した場合である。
【0035】
同様に、使用者の書き心地を改善するために、第1に、光学システム13が、インク噴射ヘッド41と媒体8の間の距離が予め決められた最大値未満であることを判断し、そして第2に、動き検出手段14が、媒体8に対する噴射ヘッド41の如何なる動きをも、予め決められた期間内に検出しない場合において、警告信号を発するように設計された通信手段16を処理装置6が作動させるように構成することができる。例えば、当該通信手段16については、可視光信号を発する発光手段とするか又は可聴音信号を発する発音手段の形態とすることが可能である。それによって、液体噴射ヘッド41、より正確には、噴射ノズル43が、電気信号発生器42を作動させるのに適当とされる媒体からの距離にあること、並びに筆記具の運動が、たとえそれが偶発的な運動であったとしても、噴射システム4を作動させ、そしてそれによって媒体8上に液体の液滴を噴射できることを、使用者に知らせることができる。
【0036】
同様に、使用者の書き心地を改善するために、液体噴射システム4が、与えられた、ある時間間隔(例えば、30秒又は1分)の間、作動されない場合であって、噴射ヘッド41と媒体8との間の距離が再び適正となったことが測定手段12によって検出され、そして、動き検出手段が再び、筆記具の動きを検出した場合において、警報信号を発するために、処理装置6が通信手段16を作動させるように構成することができる。その場合に、処理装置は、液体の噴射が間もなく始まることを使用者に警告するために、例えば、最大で2秒の間、通信手段を作動させ、そして、この最大2秒の時間間隔の後に、処理装置6が液体噴射システム4を作動させる。
【0037】
図3に示す本発明の別の実施例において、各種の電気的構成要素を作動させるための、スイッチボタン11は、筆記具の端部2bから削除することもできる。その場合に、筆記具のオン/オフ機能については、把持検出手段18によって直接的に実装される。よって、使用者が筆記具を筆記位置に把持しているときには、使用者の指によって、管状部材の外壁22のゾーンに圧力が加わることになり、これには把持圧力の検出手段18が配置される。そして、把持圧力の検出手段18は、筆記具内に集積された他の電気的構成要素に電源を投入して作動させることができるように構成される。
【0038】
使用者は、媒体に向けて噴射ノズル43を動かすことができる。測定手段12はその際、ノズル43と媒体との間の距離を自動的に測定し、そして、当該距離が予め決められた最大値未満である場合に、処理装置6は、離間された媒体8上への液体噴射を自動的に作動させ、このことは、ノズル43と媒体8との間の距離が適切である場合に限り、そして、把持圧力の検出手段18が、使用者の加えた圧力を検出する場合に限って行われる。
【0039】
勿論、図3に示す筆記具の実施例において、図1に示す実施例について記述したのと同様の動き検出手段14を含んでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の筆記具の第1の実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明の筆記具の第1の実施形態を構成する各要素を示すブロック図である。
【図3】筆記具の第2の実施形態を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部(2a)と第2の端部(2b)に亘って延びるほぼ管状の部材であって、使用者によって把持されるように設計された管状部材(2)を備えた筆記具において、
前記管状部材(2)が、
液体の容器(3)と、
前記液体の容器(3)に接続された液体噴射ヘッド(41)であって、離間された媒体(8)上に液体を噴射するように設計されている該噴射ヘッド(41)を備えた液体噴射システム(4)と、
前記噴射ヘッド(41)が離間された媒体(8)上に液体を噴射できるように前記液体噴射システム(4)を作動させる働きをもつ処理装置(6)と、を備え、
さらに前記管状部材が、
筆記具(1)と媒体(8)との間の物理的な接触なしに作動し、前記噴射ヘッド(41)と前記媒体(8)との間の距離を測定するための測定手段(12)であって、前記処理装置(6)に接続されている測定手段(12)と、
前記管状部材(2)が使用者によって把持されていることを検出するための把持検出手段(18)であって、前記処理装置(6)に接続されている把持検出手段(18)と、を備え、
第1に、前記噴射ヘッド(41)と前記媒体(8)との間の距離が、予め決められた最大値未満であることを前記測定手段(12)が判断し、そして、第2に、使用者が前記管状部材(2)を把持していることを前記把持検出手段(18)が検出した場合に、前記処理装置(6)が前記液体噴射システム(4)を作動させるように構成されていることを特徴とする筆記具。
【請求項2】
第1に、前記噴射ヘッド(41)と前記媒体(8)との間の距離が、予め決められた最小値及び予め決められた前記最大値によって規定される範囲内であることを前記測定手段(12)が判断し、そして、第2に、使用者が前記管状部材(2)を把持していることを前記把持検出手段(18)が検出した場合に、前記処理装置(6)が前記液体噴射システム(4)を作動させるように構成されている、請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記管状部材(2)がさらに、電源(10)と、該電源(10)に接続されたスイッチ手段(11;18)を含み、該スイッチ手段(11)が、前記液体噴射システム(4)、前記処理装置(6)、前記測定手段(12)に電源を投入して作動させるために、使用者によって操作可能とされる、請求項1又は請求項2に記載の筆記具。
【請求項4】
使用者によって操作可能とされる前記スイッチ手段は、前記管状部材(2)が使用者によって把持されていることを検出するための前記把持検出手段(18)で形成される、請求項3に記載の筆記具。
【請求項5】
使用者によって操作可能とされる前記スイッチ手段(11)はさらに、前記管状部材(2)が使用者によって把持されていることを検出するための前記把持検出手段(18)を作動させることができる、請求項3に記載の筆記具。
【請求項6】
前記管状部材がさらに、当該管状部材の動きを検出するための動き検出手段(14;16,2)であって、前記処理装置に接続されている動き検出手段(14;16,2)を含んでおり、
前記処理装置が前記液体噴射システム(4)を作動させるのは、
前記噴射ヘッド(41)と前記媒体(8)との間の距離が、予め決められた最大値未満であることを前記測定手段(12)が判断し、そして、
使用者が前記管状部材(2)を把持していると前記把持検出手段(18)が検出し、そして、
前記した動き検出手段(14)が前記管状部材(2)の動きを検出した場合であるように構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項7】
前記測定手段(12)が、前記噴射ヘッドと前記媒体との間の距離を測定するように働く光学システム(13)を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項8】
前記測定手段(12)が、前記噴射ヘッド(41)と前記媒体(8)との間の距離を測定するように働く超音波音響プローブを備える、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の筆記具。
【請求項9】
前記液体噴射ヘッド(41)には、液体の液滴(7)を噴射するための1つ以上のノズル(43)が設けられており、
前記噴射システム(4)がさらに、前記噴射ヘッド(41)の前記した1つ以上のノズル(43)を作動させるための電気信号を発生させる電気信号発生器(42)を含んでいる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の筆記具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−514574(P2007−514574A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544496(P2006−544496)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003258
【国際公開番号】WO2005/061244
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(502306604)ソシエテ ビック (4)
【Fターム(参考)】