液体付与装置及びインクジェット記録装置
【課題】装置サイズを大きくすることなく、液体内の異物の沈殿を促進し、フィルタの詰まりを抑制する。
【解決手段】液体付与部から送液された処理液は、第1の流路30から第1の沈殿槽20に供給される。第1の沈殿槽20は、第1の流路30から供給された処理液を貯留する。第1の沈殿槽20に貯留された処理液の液面の高さが高さhaを超えると、オーバーフロー路20aから処理液がオーバーフローし、第2の沈殿槽22に流入する。第2の沈殿槽22は、第1の沈殿槽20から流入した処理液を貯留する。第2の沈殿槽22に貯留された処理液の液面の高さが高さhbを超えると、フィルタ流路32に流入する。フィルタ流路32にはフィルタ40が接続されており、フィルタ流路32に流入した処理液はフィルタ40を通過する。
【解決手段】液体付与部から送液された処理液は、第1の流路30から第1の沈殿槽20に供給される。第1の沈殿槽20は、第1の流路30から供給された処理液を貯留する。第1の沈殿槽20に貯留された処理液の液面の高さが高さhaを超えると、オーバーフロー路20aから処理液がオーバーフローし、第2の沈殿槽22に流入する。第2の沈殿槽22は、第1の沈殿槽20から流入した処理液を貯留する。第2の沈殿槽22に貯留された処理液の液面の高さが高さhbを超えると、フィルタ流路32に流入する。フィルタ流路32にはフィルタ40が接続されており、フィルタ流路32に流入した処理液はフィルタ40を通過する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に液体を付与する液体付与装置及びインクジェット記録装置に関し、特に、液体に混入した異物を除去するためのフィルタの詰まりを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、用紙の記録面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与することが行われる。例えば、塗布皿から塗布液が付与された塗布ローラを用紙の表面に押圧当接させて、用紙の記録面に処理液を付与する。このような処理液を事前に付与してインクを打滴することにより、汎用の記録媒体を用いた場合であっても、高品位な記録を行うことができる。
【0003】
また、インクジェット記録装置の排紙部(スタッカー部)で用紙が重ね置きされる際に、乾燥不良により用紙間でのインクの裏写り(スタッカーブロッキング)が発生することがある。このスタッカーブロッキング対策として、用紙と用紙の間にパウダーを均一に噴霧してインクどうしの密着を防止している。
【0004】
用紙上のゴミ、用紙紙粉、コート層成分等の異物や上記のパウダーは、裏面通紙の際に塗布ローラを介して塗布皿内の塗布液に混入する。塗布液は、液濃度及び液温度を均一にするために循環する構造となっている。この循環流路には、異物やパウダーを除去するためのフィルタが設置されており、異物等による塗布故障を防止している。
【0005】
塗布故障を防止するためには、φ20〜30μm以上の異物を循環流路から取り除く必要がある。したがって、開口径が20μm以上のフィルタが用いられるが、このフィルタがすぐに目詰まりするという問題が発生する。
【0006】
このような課題に対し、フィルタの上流側に沈殿槽を設け、沈殿槽内に異物を沈殿させることで異物を除去することが考えられる。例えば、特許文献1には、循環供給機構に設けられた貯蔵槽の底面全体を覆うように補捉空間を形成し、その開口の形状を、異物を取り込みやすい形状とした技術が記載されている。この技術によれば、異物を捕捉空間に導くことができ、液体中の異物を除去することができる。
【0007】
また、特許文献2には、循環流路内に設けられた貯蔵部の底部に、リブによって区画された複数の捕捉空間部を形成する技術が記載されている。この技術によれば、塗布液に混入している異物が捕捉空間部内に堆積し、塗布液から異物を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−44649号公報
【特許文献2】特開2010−274255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、2の技術では、大量の異物が循環流路に混入した場合には、異物が沈殿せずに流路内に戻り、画像不良やフィルタの詰まりを引き起こすという問題点があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装置サイズを大きくすることなく、液体内の異物の沈殿を促進し、フィルタの詰まりを抑制することができる液体付与装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、液体付与装置の一の態様は、所定の対象物に液体を付与する付与手段と、前記付与手段が付与する液体を収容する収容部と、前記収容部に収容された液体を循環させる循環流路とを備え、前記循環流路は、内部に液体を貯留し、液面の高さが所定の高さに達すると液体がオーバーフローする複数の沈殿槽を有する多段槽であって、オーバーフローした液体が順次次段の沈殿槽に流入するように前記複数の沈殿槽が接続された多段槽と、前記多段槽を通過した液体をろ過するフィルタと、前記収容部に収容された液体を前記多段槽に供給する第1の流路と、前記ろ過された液体を前記収容部に戻す第2の流路とを備えた。
【0012】
本態様によれば、オーバーフローした液体が順次次段の沈殿槽に流入するように複数の沈殿槽を接続した多段槽により、液体に混入した異物を除去することができるので、装置サイズを大きくすることなく、液体内の異物の沈殿を促進し、フィルタの詰まりを抑制することで、フィルタ寿命を延ばすことができる。
【0013】
前記第1の流路は、前記多段槽の初段の沈殿槽に水平方向から液体を供給することが好ましい。さらに前記第1の流路は、前記多段槽の初段の沈殿槽の前記所定の高さから液体を供給することが好ましい。これにより、多段槽の初段の沈殿槽の底に堆積した異物を巻き上げることなく、多段槽に液体を供給することができる。
【0014】
また、前記第1の流路は、前記多段槽に複数個所から液体を供給することが好ましい。これにより、多段槽の初段の沈殿槽の底に堆積した異物を巻き上げることなく、多段槽に液体を供給することができる。
【0015】
さらに、前記第1の流路の終端に対向する位置に液体の流れを遮る遮蔽手段を備えてもよい。これにより、多段槽の初段の沈殿槽の底に堆積した異物を巻き上げることなく、多段槽に液体を供給することができる。
【0016】
また、前記複数の沈殿槽は、後段の沈殿槽ほど体積が大きいことが好ましい。これにより、前段の沈殿槽では除去しきれなかった異物を、次段の沈殿槽で除去することができる。また、大きな異物を予め前段の沈殿槽で除去しておくことで、次段の沈殿槽に堆積した異物が大きな異物の移動によって巻き上げられることを防止することができる。
【0017】
前記多段槽を通過した液体に含まれる異物の状態を判定する異物センサと、前記多段槽を通過した液体を前記多段槽の初段の沈殿槽に戻す第3の流路と、前記多段槽を通過した液体を前記フィルタ及び前記第3の流路のいずれに供給するかを切り換える流路切り換え手段と、前記異物センサにより異物の量が所定量未満であることが検出されると、前記多段槽を通過した液体を前記フィルタに供給させ、前記異物センサにより異物の量が所定量以上であることが検出されると、前記多段槽を通過した液体を前記第3の流路に供給させる制御手段とを備えることが好ましい。
【0018】
これにより、液体に含まれる異物が少ない場合にのみフィルタに供給させるので、フィルタの詰まりを抑制することができる。また、異物が多い場合には多段槽に戻すことで、再度異物の除去を行うことができる。
【0019】
前記異物センサは、光を投光する投光部と、該投光部の投光した光を、前記多段槽を通過した液体を介して受光する受光部とを有し、該受光部の受光光量に基づいて前記異物を検出することが好ましい。これにより、適切に液体中の異物量を検出することができる。
【0020】
前記異物センサの検出結果に基づいて、前記フィルタが捕捉した異物の積算量を算出する積算手段と、前記算出された積算量が所定量を超えたことを警告する第1の警告手段とを備えてもよい。このように、フィルタ詰まりの可能性をユーザに知らせることで、フィルタが詰まる前にフィルタ交換又はフィルタ清掃を促すことができる。
【0021】
前記第3の流路は前記液体を貯蔵する貯蔵槽を備え、前記制御手段は、前記多段槽から前記貯蔵槽への流量よりも前記貯蔵槽から前記多段槽への流量の方が小さくなるように第3の流路の流量を制御することが好ましい。これにより、液体が貯蔵槽に滞留する時間を長くすることができるので、貯蔵槽における異物の沈殿を促進することができる。
【0022】
前記貯蔵槽に貯蔵された液体の量を検出する液量センサと、前記貯蔵槽に貯蔵された液体の量が所定量を超えたことを警告する第2の警告手段とを備えてもよい。これにより、貯蔵槽が満杯となったことをユーザに報知することができる。
【0023】
上記目的を達成するために、インクジェット記録装置の一の態様は、上記態様の液体付与装置により記録媒体の記録面に処理液を付与する処理液付与手段と、前記処理液が付与された記録媒体の記録面にインクを吐出する記録ヘッドとを備えた。
【0024】
本態様によれば、記録媒体の記録面に異物が混入していない処理液を付与することができるため、記録ヘッドによる高品質な記録を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、装置サイズを大きくすることなく、液体内の異物の沈殿を促進し、フィルタの詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係る異物除去装置を示す斜視図
【図2】異物除去装置を構成する槽の構造を示す斜視図
【図3】第1の実施形態に係る他の態様の異物除去装置を示す斜視図
【図4】第2の実施形態に係る異物除去装置を示す斜視図
【図5】第2の実施形態に係る他の態様の異物除去装置を示す斜視図
【図6】第2の実施形態に係る他の態様の異物除去装置を示す斜視図
【図7】第3の実施形態に係る異物除去装置を示す斜視図
【図8】第4の実施形態に係る異物除去装置を示す全体構成図
【図9】異物センサの構成を示す図
【図10】第4の実施形態に係る異物除去装置の動作を示すフローチャート
【図11】異物センサの検出結果と流路切り替え弁の制御を示す図
【図12】時間の経過における積算値の変化の一例を示す図
【図13】異物除去装置が適用された塗布装置の概略構成を示す全体構成図
【図14】塗布装置の制御系の概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0028】
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施形態に係る異物除去装置10を示す斜視図である。異物除去装置10は、対象物に処理液(液体)を付与する液体付与装置において、処理液の循環流路に設けられるものであり、処理液中の異物を除去するための装置である。
【0029】
図1に示すように、異物除去装置10は、第1の沈殿槽20、第2の沈殿槽22、第1の流路30、フィルタ流路32、第2の流路34、フィルタ40を備えて構成される。
【0030】
第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22は、図2(a)に示すように、長さd、幅w、高さhの直方体形状の槽50及び仕切り板52により構成されている。仕切り板52は、槽50内部の所定の位置に鉛直方向に配置され、槽50を高さhaにおいて2つに仕切っている。
【0031】
なお、仕切り板として、図2(b)に示す仕切り板56を用いてもよい。この仕切り板56は、槽50内部の所定の位置に鉛直方向に配置され、槽50を2つに仕切っている。仕切り板56は、スリット56aを有しており、スリット56aは、最も低い位置の高さが、高さhaとなるように設けられている。
【0032】
また、槽50の一側面には、貫通孔54が設けられている。貫通孔54は、最も低い位置の高さが、高さhbとなるように設けられている。ここで、高さhaと高さhbは、ha>hbの関係を満たす。なお、貫通孔54の形状は円形に限られるものではなく、楕円、矩形、スリット形状等、適宜決めることができる。
【0033】
図1に戻り、液体付与部(不図示)から送液された処理液は、第1の流路30を流れ、第1の流路30の液供口30aから第1の沈殿槽20に供給される。第1の沈殿槽20は、第1の流路30から供給された処理液を貯留する。第1の沈殿槽20に貯留された処理液の液面の高さが高さhaを超えると、仕切り板52の上部に該当するオーバーフロー路20aから処理液が溢れ出し(オーバーフローし)、このオーバーフローした処理液は第2の沈殿槽22に流入する。なお、図2(b)に示す仕切り板56を用いた場合には、スリット56aがオーバーフロー路20aとなる。
【0034】
第2の沈殿槽22は、第1の沈殿槽20から流入した処理液を貯留する。第2の沈殿槽22の側面には、貫通孔54が設けられている。したがって、第2の沈殿槽22に貯留された処理液の液面の高さが高さhbを超えると、貫通孔54から処理液がオーバーフローする。
【0035】
貫通孔54には、フィルタ流路32の流入口32aが接続されており、このオーバーフローした処理液はフィルタ流路32に流入する。
【0036】
フィルタ流路32にはフィルタ40が接続されており、フィルタ流路32に流入した処理液はフィルタ40を通過する。フィルタ40には第2の流路34が接続されており、フィルタ40を通過した処理液は、液体付与部(不図示)に送液される。
【0037】
このように、第1の沈殿槽20と第2の沈殿槽22は、上流側の沈殿槽からオーバーフローした液体が順次下流側の沈殿槽に流入するように、カスケード状に接続された多段槽となっている。
【0038】
第1の流路30から第1の沈殿槽20に処理液が供給されると、処理液に混入している異物は、第1の沈殿槽20の底に沈殿(堆積)することで除去される。この異物が除去された処理液は、オーバーフロー路20aからオーバーフローし、第2の沈殿槽22に流入する。
【0039】
第2の沈殿槽22に流入した処理液のうち、第1の沈殿槽20では除去しきれなかった異物は、第2の沈殿槽22の底に沈殿することで除去される。この異物が除去された処理液は、貫通孔54からオーバーフローし、フィルタ流路32に流入する。
【0040】
フィルタ流路32に流入した処理液は、フィルタ40を通過する。このとき、第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22では除去しきれなかった異物がフィルタ40によって捕捉(除去)される。
【0041】
このように、異物除去装置10によれば、処理液に混入した異物を沈殿させることで除去し、フィルタ40の詰まりを抑制することができ、フィルタ寿命を延ばすことができる。
【0042】
本実施形態では、1つの槽を仕切り板で仕切ることで2つの沈殿槽を構成したが、複数の沈殿槽をカスケード状に接続する形態はこの例に限定されるものではない。
【0043】
例えば、図3(a)に示すように、2つの槽60及び62を、液面高さが異なるように接続することで、第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22を構成してもよい。ここでは、槽60の側面のうち、槽62との接合面の上部をオーバーフロー路20aとする。槽60のオーバーフロー路20aからオーバーフローした処理液は、槽62へ流入する。
【0044】
また、図3(b)に示すように、2つの槽64及び66のそれぞれの側面を接合し、全体を所定の角度だけ傾けることで、第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22を構成してもよい。ここでは、槽64の側面のうち、槽66との接合面の上部をオーバーフロー路20aとする。槽64のオーバーフロー路20aからオーバーフローした処理液は、槽66へ流入する。
【0045】
本実施形態では、カスケード状に接続された多段槽の例として、第1の沈殿槽20と第2の沈殿槽22の2つの沈殿槽から構成される例を説明したが、多段槽は3つ以上の沈殿槽から構成してもよいことは言うまでもない。沈殿槽の数を増やすことで、異物の除去をより促進させることが可能となる。
【0046】
〔第2の実施形態〕
図4(a)は、本実施形態に係る異物除去装置12を示す斜視図である。なお、図1に示す異物除去装置10と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
異物除去装置12は、第1の流路36の液供口36aから第1の沈殿槽20へ処理液が供給される。第1の流路36は、少なくとも液供口36aの近傍において水平に設けられており、液供口36aは、第1の沈殿槽20の側面に設けられている。液供口36aは、最も低い位置の高さが、高さhaとなっている。
【0048】
即ち、第1の沈殿槽20の液面高さに設けられた液供口36aから、処理液が水平方向に流出する。したがって、処理液は第1の沈殿槽20の液面に対して水平方向から供給される。
【0049】
このように、複数の沈殿槽がカスケード状に接続された多段槽の最上流(初段)の沈殿槽である第1の沈殿槽20に、水平に処理液を供給する。これにより、第1の沈殿槽20の底に堆積した異物を巻き上げることなく、第1の沈殿槽20に処理液を供給することができる。
【0050】
なお、図4(b)に示すように、第1の流路36を少なくとも液供口36aの近傍において水平に設けるとともに、液供給口36aを第1の沈殿槽20の液面よりも高い位置に設け、第1の沈殿槽20に対して水平方向から処理液を供給してもよい。この場合であっても、処理液は第1の沈殿槽20に対して水平に供給されるため、第1の沈殿槽20の底に堆積した異物を巻き上げることなく、第1の沈殿槽20に処理液を供給することができる。
【0051】
また、第1の流路36を複数設けてもよい。図5に示す例では、5つの第1の流路36−1〜36−5の5つの液供口36−1a〜36−5aから、第1の沈殿槽20へ処理液を供給する。各液供口36−1a〜36−5aは、それぞれ最も低い位置の高さがhaとなるように、第1の沈殿槽20の側面に設けられている。したがって、5つの第1の流路36−1〜36−5の5つの液供口36−1a〜36−5aから、第1の沈殿槽20に水平に処理液を供給することができる。
【0052】
このように、複数の流路から処理液を供給することで、処理液の流速を下げることができる。これにより、第1の沈殿槽20の底に堆積した異物を巻き上げることなく、第1の沈殿槽20に処理液を供給することができる。
【0053】
さらに、第1の流路36から供給される処理液の流れを遮ることで処理液の流速を落とす遮蔽板を設けてもよい。例えば、図6に示すように、液供口36に対向する位置に遮蔽板38を設けることができる。
【0054】
液供口36から所定の流速で流出した処理液は、遮蔽板38によって流れが遮られ、流速が低下する。これにより、第1の沈殿槽20の底に堆積した異物を巻き上げることなく、第1の沈殿槽20に処理液を供給することができる。
【0055】
〔第3の実施形態〕
図7は、本実施形態に係る異物除去装置14を示す斜視図である。なお、図4に示す異物除去装置12と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。異物除去装置14は、第1の沈殿槽20、第2の沈殿槽22、及び第3の沈殿槽24を備えている。この3つの沈殿槽は、上流側の沈殿槽からオーバーフローした液体が順次下流側の沈殿槽に流入するように、カスケード状に接続されている。
【0056】
第1の沈殿槽20は、図7に示すように、幅w、長さda、高さhaで構成されており、体積Vol1=w×da×haの処理液を貯留することができる。
【0057】
異物除去装置14は、第1の流路36の液供口36aから第1の沈殿槽20へ処理液が供給される。第1の沈殿槽20は、第1の流路36から供給された処理液を貯留する。処理液に混入している異物は、第1の沈殿槽20の底に堆積する。第1の沈殿槽20に供給された処理液のうち体積Vol1を超えた分は、オーバーフロー路20aからオーバーフローし、このオーバーフローした処理液は第2の沈殿槽22に流入する。
【0058】
第2の沈殿槽22は、図7に示すように、幅w、長さdb、高さhbで構成されており、体積Vol2=w×db×hbの処理液を貯留することができる。
【0059】
第2の沈殿槽22は、第1の沈殿槽20から流入した処理液を貯留する。第1の沈殿槽20によって除去しきれなかった異物は、第2の沈殿槽22の底に堆積する。第2の沈殿槽22に流入した処理液のうち体積Vol2を超えた分は、オーバーフロー路22aからオーバーフローし、このオーバーフローした処理液は第3の沈殿槽24に流入する。
【0060】
第3の沈殿槽24は、図7に示すように、幅w、長さdc、高さhcで構成されており、体積Vol3=w×dbc×hcの処理液を貯留することができる。
【0061】
第3の沈殿槽24は、第2の沈殿槽22から流入した処理液を貯留する。第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22によって除去しきれなかった異物は、第3の沈殿槽24の底に堆積する。第3の沈殿槽24に流入した処理液のうち体積Vol3を超えた分は、フィルタ流路32の流入口32aからオーバーフローし、このオーバーフローした処理液はフィルタ流路32に流入する。
【0062】
ここで、第1の沈殿槽20、第2の沈殿槽22、及び第3の沈殿槽24は、その体積がVol1<Vol2<Vol3となるように構成されている。したがって、第1の沈殿槽20における処理液の滞留時間よりも第2の沈殿槽22における処理液の滞留時間が長くなる。これにより、第1の沈殿槽20では除去しきれなかった異物を、第2の沈殿槽22において沈殿させることができる。また、大きな異物を予め第1の沈殿槽20で除去しておくことで、第2の沈殿槽22に堆積した異物が大きな異物の移動によって巻き上げられることを防止することができる。
【0063】
さらに、第2の沈殿槽22における処理液の滞留時間よりも第3の沈殿槽24における処理液の滞留時間が長くなる。これにより、第2の沈殿槽22では除去しきれなかった異物を、第3の沈殿槽24において沈殿させることができる。また、大きな異物を予め第2の沈殿槽22で除去しておくことで、第3の沈殿槽24に堆積した異物が大きな異物の移動によって巻き上げられることを防止することができる。
【0064】
このように、上流側の沈殿槽からオーバーフローした液体が順次下流側の沈殿槽に流入するように、複数の沈殿槽がカスケード状に接続された多段槽において、下流側(後段側)の沈殿槽ほど体積を大きくすることで、下流側の沈殿槽ほど処理液の滞留時間を長くする。これにより、下流側の沈殿槽ほど小さな異物を沈殿させることができ、また上流側の沈殿槽で大きな異物を沈殿させておくことで、下流側の沈殿槽に堆積した異物が大きな異物が移動することで巻き上げられることを防止することができる。
【0065】
〔第4の実施形態〕
図8は、本実施形態に係る異物除去装置16を示す全体構成図である。同図に示すように、異物除去装置16は、多段槽70、異物センサS1、流路切り替え弁V、貯蔵槽76、液面検出センサS2、各ポンプP1、P2、P3等を備えて構成される。
【0066】
多段槽70は、上流側の沈殿槽からオーバーフローした液体が順次下流側の沈殿槽に流入するように複数の沈殿槽がカスケード状に接続されたものであり、例えば図1に示す第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22と同様の構成を用いることができる。
【0067】
異物センサS1は、多段槽70の最下流(最後段)の沈殿槽からオーバーフローした処理液中に含まれる異物を検出するためのセンサである。異物センサS1の構成を図9に示す。
【0068】
図9に示すように、異物センサS1は、一対の投光部73a及び受光部73bから構成される光学式センサである。多段槽70から流路切り替え弁Vまでの処理液の検出流路72は、少なくとも異物センサS1が配置される位置において、光を透過する素材で形成される。
【0069】
投光部73aの発光素子としては、例えばLEDを用いることができる。また、受光部73bの受光素子としては、例えばフォトダイオードを用いることができる。投光部73aの発光素子から発光された光は、検出流路72及び検出流路72の内部を流れる処理液を透過し、受光部73bの受光素子によって受光される。
【0070】
処理液の透過光量は、処理液に混入している異物によって変化する。したがって、受光部73bの受光光量は、検出流路72の内部を流れる処理液に混入している異物(図9において符号Gを付した)によって変化する。例えば処理液内に大きい異物が混入している場合や、多数の異物が混入している場合には、これらの異物により受光部73bの受光光量が低下する。このように、異物センサS1は、処理液内の異物の状態を判定することができる。
【0071】
流路切り替え弁Vは、検出流路72から流れて来た処理液をフィルタ流路32へ流すか否かを制御する電磁バルブV1と、検出流路72から流れて来た処理液を第3の流路74へ流すか否かを制御する電磁バルブV2とを備えた弁手段である。電磁バルブV1、V2は、制御部(不図示)から印加される電力に応じて開閉する。
【0072】
電磁バルブV1が開弁状態、電磁バルブV2が閉弁状態にされると、ポンプP1により、処理液はフィルタ流路32を介してフィルタ40に送液される。
【0073】
また、電磁バルブV1が閉弁状態、電磁バルブV2が開弁状態にされると、ポンプP2により、処理液は第3の流路74を介して貯蔵槽76に送液され、貯蔵槽76に貯留される。
【0074】
液面検出センサS2は、貯蔵槽76に貯留された処理液の液面を検出するためのセンサである。液面検出センサS2は、貯蔵槽76に貯留された処理液の液面の位置が、貯蔵槽76に貯蔵可能な上限に達したか否かを検出することが可能なように、貯蔵槽76の開口部又はその近傍に設けられている。液面検出センサS2としては、静電容量センサや光学センサを用いることができるが、特に限定されない。
【0075】
貯蔵槽76に貯留された処理液は、ポンプP3により多段槽70の初段の沈殿槽に送液される。初段の沈殿槽に送液するのではなく、第1の流路30に合流するように送液してもよい。
【0076】
次に、上記のように構成された異物除去装置16の動作について説明する。図10は、異物除去装置16の動作を示すフローチャートである。
【0077】
液体付与部(不図示)から送液された処理液は、第1の流路30を流れ、多段槽70に供給される。多段槽70の各沈殿槽において異物が除去された処理液は、多段槽70の最後段の沈殿槽からオーバーフローし、検出流路72に流入する。
【0078】
異物センサS1は、検出流路72を流れる処理液内の異物を検出するためのセンサである。制御部(不図示)は、異物センサS1の検出結果から、処理液内の異物の有無を判断する。
【0079】
ここで、処理液内に異物が全く混入していない状態において、投光部73aから投光された光を受光部73bが受光した場合の受光光量を基準受光量y0とする。制御部は、受光部73bの受光光量と基準受光量y0との差y(低下光量)を算出し、低下光量yがα以上の場合に、処理液内に異物が混入しているものと判断する。
【0080】
制御部は、受光部73bの低下光量yがαより大きいか否かを判定する(ステップSt1)。低下光量yの方が小さい場合には、処理液内の異物がない、又は少ないと判断し、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1を開弁状態、電磁バルブV2を閉弁状態とする(ステップSt2)。
【0081】
さらに、ポンプP1を駆動状態とし、フィルタ40を負圧にする(ステップSt3)。これにより、処理液はフィルタ流路32を介してフィルタ40に送液される。このとき、ポンプP2、P3は停止状態とする。
【0082】
また、制御部は、フィルタ40に捕捉された異物量を積算するために、低下光量yの積算値Σyを算出する(ステップSt4)。そして、この積算値Σyが、閾値ymaxを超えたか否かを判定する(ステップSt5)。閾値ymaxは、フィルタ40の目詰まりが発生する異物の積算量から算出された低下光量の積算値Σyの値に設定されている。
【0083】
積算値Σyが閾値ymax以下の場合は、処理を終了する。また、積算値Σyが閾値ymaxより大きい場合は、フィルタ詰まりの警告を出す(ステップSt6)。警告は、表示部(不図示)に表示してもよいし、警告音による報知を行ってもよい。
【0084】
このように、フィルタ詰まりの可能性をユーザに知らせることで、フィルタが詰まる前にフィルタ交換又はフィルタ清掃を促すことができる。なお、ユーザがフィルタ40を交換した場合、又はフィルタ40を清掃した場合には、積算値Σyはリセットされる。
【0085】
積算値Σyのリセットは、フィルタ40が取り外されたことを検出して自動的に行ってもよいし、ユーザが入力部(不図示)によって行ってもよい。
【0086】
図10のフローチャートに戻り、ステップSt1において、受光部73bの低下光量yがαより大きい場合には、制御部は処理液内の異物が多いと判断し、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1を閉弁状態、電磁バルブV2を開弁状態とする(ステップSt7)。
【0087】
さらに、ポンプP2を駆動状態とし、ポンプP1を停止状態とする(ステップSt8)。これにより、処理液は第3の流路74を介して貯蔵槽76に送液される。また、同時にポンプP3も駆動状態とされ、貯蔵槽76に貯留された処理液は、多段槽70の初段の沈殿槽に送液される。
【0088】
ここで、ポンプP2の送液量とポンプP3の送液量とは、(ポンプP2の送液量)>(ポンプP3の送液量)の関係を満たしている。即ち、多段槽70から貯蔵槽76への流量よりも貯蔵槽76から多段槽70への流量の方が小さくなるように制御される。
【0089】
また、ポンプP1の送液量とポンプP2の送液量とは、(ポンプP1の送液量)>(ポンプP2の送液量)の関係を満たしている。即ち、多段槽70からフィルタ40への流量よりも多段槽70から貯蔵槽76への流量の方が小さくなるように制御される。
【0090】
このように、処理液内の異物が多いと判断された場合には、この処理液は貯蔵槽76を介して多段槽70に戻される。このとき、ポンプP3の送液量をポンプP2の送液量よりも小さくすることで流速を落とし、貯蔵槽76での滞留時間を延ばすことで、貯蔵槽76での異物の沈殿を促進することができる。このように、貯蔵槽76は、多段槽70への戻り流量を下げるための貯留槽として機能するとともに、処理液内の異物を沈殿させる沈殿槽としても機能する。
【0091】
また、貯蔵槽76においては、液面検出センサS2が処理液の水面を検出している。制御部は、液面検出センサS2が、貯蔵槽76に貯留された処理液の液面の位置が貯蔵槽76に貯蔵可能な上限に達したことを検出したか否かを判定する(ステップSt9)。
【0092】
貯蔵可能な上限に達していない場合には、処理を終了する。貯蔵可能な上限に達した場合には、ポンプP2、P3を停止し、警告を発生する(ステップSt10)。警告は、表示部(不図示)に表示してもよいし、警告音による報知を行ってもよい。
【0093】
このように、処理液内の異物が多く、多段槽70における異物の除去能力では処理しきれない場合には、貯蔵槽76に貯留された処理液が貯蔵可能な上限に達する。この場合には、処理液内に異物が多く、貯蔵槽76が満杯となったことをユーザに報知する。
【0094】
上記の処理を、所定時間毎に行う。
【0095】
図11は、時間の経過における異物センサS1の検出結果と流路切り替え弁Vの制御を示す図である。
【0096】
時間t0において、低下光量の積算値Σyはリセットされているものとする。
【0097】
時間t1において、受光部73bの低下光量yはy1である。ここで、y1<αであるので、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は開弁状態、電磁バルブV2は閉弁状態とされる。同時にポンプP1が駆動され、処理液はフィルタ40に送液される。また、Σyにy1が加算される。
【0098】
同様に、時間t2、t3及びt4において、受光部73bの低下光量yは、それぞれαより小さい。したがって、引き続き流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は開弁状態、電磁バルブV2は閉弁状態とされ、ポンプP1が駆動される。これにより、処理液はフィルタ40に送液される。また、Σyにはy2、y3、y4が加算される。
【0099】
次に、時間t5において、受光部73bの低下光量yはy5である。ここで、y5>αであるので、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は閉弁状態、電磁バルブV2は開弁状態とされる。また、ポンプP1が停止され、ポンプP2、P3が駆動される。これにより、処理液は貯蔵槽76に送液される。なお、時間t4からt5においてフィルタ40に処理液が送液されていることから、Σyにy5を加算する。
【0100】
同様に、時間t6及びt7において、受光部73bの低下光量yは、それぞれαより大きい。したがって、引き続き流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は閉弁状態、電磁バルブV2は開弁状態とされ、ポンプP2、P3が駆動される。これにより、処理液は貯蔵槽76に送液される。この間は、フィルタ40には処理液が送液されていないので、y06、y7はΣyには積算されない。
【0101】
続いて、時間t8において、受光部73bの低下光量yは、y8である。ここで、y8<αであるので、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は開弁状態、電磁バルブV2は閉弁状態とされる。また、ポンプP2、P3が停止され、ポンプP1が駆動される。これにより、処理液はフィルタ40に送液される。また、Σyにy8が加算される。
【0102】
このように、流路切り替え弁V及びポンプP1、P2、P3が制御される。また、処理液がフィルタ40に送液されている間、受光部73bの低下光量を積算することで、フィルタ40に捕捉される異物量を算出することができる。
【0103】
図12に、時間の経過における積算値Σyの変化の一例を示す。同図に示すように、時間の経過と共に、積算値Σyが増加していく。時間t10において積算値Σyが閾値ymaxに達すると、警告が発生する。その後、時間t11においてフィルタ交換又はフィルタ清掃が行われると、積算値Σyはリセットされ、再び0から積算を開始する。
【0104】
〔液体付与装置の全体構成〕
図13は、上記の異物除去装置が適用された塗布装置100の概略構成を示す全体構成図である。同図に示す塗布装置100は、被塗布媒体(不図示)に塗布液(処理液)を塗布する塗布部112(付与手段に相当)と、塗布部112が塗布する塗布液を収容する塗布皿124(収容部に相当)と、塗布皿124内の塗布液をサブタンク132へ送液する循環流路164、及びサブタンク132内の塗布液を塗布皿124へ供給する液供給路136(循環流路に相当)と、循環する塗布液の異物を除去するフィルタ装置166と、を含んで構成されている。
【0105】
(塗布部の説明)
塗布部112は、被塗布媒体を固定保持して搬送する圧胴120と、被塗布媒体に接触させて塗布液を塗布する塗布ローラ122と、塗布皿124に溜められた塗布液を計量して塗布ローラ122へ転写(供給)するアニロックスローラ(計量ローラ)126と、を備えている。
【0106】
圧胴120は不図示の駆動機構と連結され、該駆動機構の動作に応じて所定方向(図中符号Cを付した反時計回り方向)へ回転動作する。圧胴120の外周面に固定保持被塗布媒体は、圧胴120の回転動作に応じて圧胴120の外周面に沿って搬送される。
【0107】
塗布ローラ122は、不図示の駆動機構と連結され、該駆動機構の動作に応じて所定方向(図中符号Dを付した時計回り方向)へ回転動作する。塗布ローラ122の回転速度は、圧胴120の接触位置における線速度が圧胴120と一致するように決められている。
【0108】
また、塗布ローラ122は、被塗布媒体に対して塗布液の塗布を行う塗布時には、被塗布媒体(圧胴120)を所定の圧力により押圧し、塗布液の塗布を行わない非塗布時には、圧胴120から離間させるように圧胴120との相対位置が制御される。符号Eを付した白抜き矢印線は、圧胴120の押圧方向及び離間方向を表している。
【0109】
塗布皿124は、液供給部114から供給された塗布液が溜められる貯留部124Aと、貯留部124Aから溢れた塗布液が収容される収容部124Bと、貯留部124Aと収容部124Bとを区画する区画壁124Cと、区画壁124Cに設けられた開口部124Dとを有している。
【0110】
液供給部114から供給された塗布液の水面が区画壁124Cの開口部124Dに達すると、貯留部124Aから収容部124Bへ塗布液が溢れ出すので、貯留部124Aに貯留される塗布液の水位が一定に保たれる。貯留部124Aの塗布液の水位を一定に保つことで、アニロックスローラ126による塗布液の計量のばらつきが防止される。
【0111】
収容部124Bへ溢れ出した塗布液は、不図示の排出口と連通される循環流路164を介して液供給部114(サブタンク132)へ戻される。
【0112】
貯留部124Aの底面124Eは、不図示の排出口が設けられており、該排出口を介して貯留部124Aに貯留される塗布液を外部へ排出することができる。
【0113】
アニロックスローラ126は、表面に所定の体積を有するセル(不図示)が多数形成された構造を有し、該セルの中に保持された塗布液が塗布ローラ122へ供給される。アニロックスローラ126を一定速度で回転させることで(符号Fを付した矢印線により回転方向を図示)、塗布皿124内の塗布液を一定量計量しながらくみ上げることができる。
【0114】
(液供給部の説明)
次に、液供給部114について詳述する。図13に示すように、液供給部114は、メインタンク130と、サブタンク132と、液供給路136と、循環流路164と、廃液タンク172と、排出流路174と、を備えている。
【0115】
メインタンク130は塗布液が貯留されており、フィルタ130Aが内蔵されている。メインタンク130は、補充流路133及び補充流路133に設けられた補充ポンプ134を介してサブタンク132と連通している。
【0116】
サブタンク132内の塗布液量が所定量未満になると、補充ポンプ134を動作させてメインタンク130からサブタンク132へ塗布液が補充される。
【0117】
サブタンク132は、液供給路136を介して塗布部112(塗布皿124)と連通されている。サブタンク132は、フィルタ132Aが内蔵されるとともに、収容されている塗布液量を検出するための液量センサ(不図示)が設けられている。
【0118】
液供給路136は、供給バルブ138、供給ポンプ140が設けられている。供給バルブ138が開かれた状態で供給ポンプ140を動作させると、サブタンク132から塗布部112へ塗布液が供給される。
【0119】
液供給路136は、供給バルブ138と供給ポンプ140との間において、フィルタ142Aが内蔵される希釈液タンク142と連通される希釈液流路144が接続されている。希釈液流路144には希釈液流路バルブ146が設けられており、供給バルブ138が閉じられて希釈液流路バルブ146が開かれると、塗布液に代わり希釈液が塗布部112へ供給される。
【0120】
液供給路136は、液供給路136内の塗布液の濃度を検出するための濃度計148と、液供給路136内の塗布液の温度を検出する温度センサ152と、液供給路136内の温度調整を行うヒータ156が設けられている。
【0121】
液供給路136内の塗布液は、濃度計148によって濃度が監視され、所定の濃度範囲が維持されるように管理される。また、温度センサ152によって温度が監視され、所定の温度範囲が維持されるように、温度が管理される。
【0122】
循環流路164は、液供給部114からサブタンク132へ塗布液を循環させるための流路であり、液供給部114(塗布皿124)と連通している循環流路164から分岐されている。
【0123】
塗布皿124と連通する循環流路164は、貯留部124Aの排出口と連通する流路に設けられる第1循環バルブ160と、収容部124Bの底面に設けられる第2循環バルブ162が設けられるとともに、フィルタ装置166、循環ポンプ168が設けられている。
【0124】
第2循環バルブ162が開かれた状態で循環ポンプ168を動作させると、フィルタ装置166、循環ポンプ168を介して塗布液がサブタンク132へ戻される。
【0125】
供給ポンプ140の送液量と循環ポンプ168の送液量とは、(供給ポンプの送液量)>(循環ポンプの送液量)の関係を満たしている。即ち、アニロックスローラ126が浸された貯留部124Aは、塗布液がオーバーフローした状態で使用される。貯留部124Aからオーバーフローした塗布液は、収容部124Bを介して循環ポンプ168により回収され、サブタンク132へ戻され、再使用される。
【0126】
塗布皿124からオーバーフローした塗布液は、一般的な汚れや塗布装置100の後段の処理工程において、被塗布媒体をスタックする際のブロッキングの発生を抑制するためのパウダーなどが混入している。
【0127】
したがって、塗布部112から回収された塗布液は、混入している汚れやパウダーなどがフィルタ装置166によって除去された後に、サブタンク132へ送られる。
【0128】
図13に示すフィルタ装置166は、先に説明した異物除去装置10、12、14、又は16が適用される。ここで、異物除去装置10、16の第1の流路30、異物除去装置12、14の第1の流路36が、循環流路164に相当する。また、異物除去装置10、12、14、又は16の処理液は、塗布装置100の塗布液に相当する。
【0129】
なお、異物除去装置16が適用される場合には、循環ポンプ168は省略することができる。
【0130】
また、塗布皿124の貯留部124A及び収容部124Bは、排出流路174を介して廃液タンク172と連通される。排出流路174にはドレインバルブ170及び排出ポンプ176が設けられており、ドレインバルブ170が開かれた状態で排出ポンプ176を動作させると、貯留部124A及び収容部124Bの塗布液は、廃液タンク172へ送られる。
【0131】
なお、図13に図示された構成以外の構成を適宜付加してもよいし、図13に図示された構成を適宜削除することも可能である。
【0132】
図14は、図13に示す塗布装置100の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0133】
システム制御部200は、塗布装置100を統括的に制御する手段であり、塗布制御部220、バルブ制御部230、ポンプ制御部240、及びヒータ制御部260へ制御指令信号を送出する。
【0134】
警告部210は、フィルタ40の詰まりの警告や、貯蔵槽76の処理液の液面が貯蔵可能な上限に達した場合の警告を行う。警告部210は、モニタ等の表示手段でもよいし、警告音の発音手段であってもよい。
【0135】
塗布制御部220は、塗布部112(塗布ローラ122)の動作を制御する。即ち、塗布ローラ122の回転制御、押圧制御、アニロックスローラ126の回転制御、圧胴120の回転制御は、塗布制御部220によって行われる。
【0136】
バルブ制御部230は、システム制御部200の制御指令信号に基づいて、供給バルブ138、希釈液流路バルブ146、第1循環バルブ160、第2循環バルブ162、及びドレインバルブ170等のバルブの開閉を制御する。
【0137】
また、バルブ制御部230は、異物センサS1の検出結果に基づいて、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1、V2の開閉を制御する。
【0138】
ポンプ制御部240は、システム制御部200の制御指令信号に基づいて、補充ポンプ134、供給ポンプ140、及び循環ポンプ168等のポンプの動作(オンオフ、回転数、回転方向等)を制御する。
【0139】
また、ポンプ制御部240は、液面検出センサS2の検出結果に基づいて、ポンプP1、P2、P3の動作を制御する。
【0140】
濃度計148により取得された塗布液の濃度情報は、システム制御部200へ送られる。システム制御部200は、塗布液の濃度情報に基づいて希釈液の供給を制御する。
【0141】
温度センサ152により取得された塗布液の温度情報は、システム制御部200へ送られる。システム制御部200は、塗布液の温度情報に基づいてヒータ156の制御指令信号をヒータ制御部250へ送出する。ヒータ制御部250は、該制御指令信号に基づいてヒータ156の動作を制御する。
【0142】
なお、図14に図示された構成以外の構成を付加することも可能である。例えば、ユーザインターフェイスとして機能する操作部(キーボード、マウス、タッチパネル等)や、各種情報が表示されるモニタ装置を備えることも可能である。
【0143】
また、図13に図示した塗布装置100から、液供給部114の構成を分離させて液供給装置として構成する形態も可能である。
【0144】
以上説明した塗布装置100は、記録媒体上で処理液とインクとを反応させて、インクに含まれる色材を凝集又は不溶化させる二液方式のインクジェット記録装置に適用することができる。
【0145】
即ち、二液方式のインクジェット記録装置における、カラーインクが打滴される前工程として、記録媒体の全面に処理液(酸性液)を均一に塗布する処理塗布部として構成することも可能である。
【0146】
これによれば、記録媒体の記録面に異物が混入していない処理液を付与することができるため、記録ヘッドによる高品質な記録を行うことができる。
【0147】
本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合せることができる。
【符号の説明】
【0148】
10,12,14,16…異物除去装置、20…第1の沈殿槽、20a…オーバーフロー路、22…第2の沈殿槽、24…第3の沈殿槽、30,36…第1の流路、34…第2の流路、38…遮蔽板、40…フィルタ、70…多段槽、73a…投光部、73b…受光部、74…第3の流路、76…貯蔵槽、100…塗布装置、112…塗布部、124…塗布皿、132…サブタンク、166…フィルタ装置、P1,P2,P3…ポンプ、S1…異物センサ、S2…液面検出センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に液体を付与する液体付与装置及びインクジェット記録装置に関し、特に、液体に混入した異物を除去するためのフィルタの詰まりを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、用紙の記録面にインク中の色材を凝集させる機能を有する処理液を付与することが行われる。例えば、塗布皿から塗布液が付与された塗布ローラを用紙の表面に押圧当接させて、用紙の記録面に処理液を付与する。このような処理液を事前に付与してインクを打滴することにより、汎用の記録媒体を用いた場合であっても、高品位な記録を行うことができる。
【0003】
また、インクジェット記録装置の排紙部(スタッカー部)で用紙が重ね置きされる際に、乾燥不良により用紙間でのインクの裏写り(スタッカーブロッキング)が発生することがある。このスタッカーブロッキング対策として、用紙と用紙の間にパウダーを均一に噴霧してインクどうしの密着を防止している。
【0004】
用紙上のゴミ、用紙紙粉、コート層成分等の異物や上記のパウダーは、裏面通紙の際に塗布ローラを介して塗布皿内の塗布液に混入する。塗布液は、液濃度及び液温度を均一にするために循環する構造となっている。この循環流路には、異物やパウダーを除去するためのフィルタが設置されており、異物等による塗布故障を防止している。
【0005】
塗布故障を防止するためには、φ20〜30μm以上の異物を循環流路から取り除く必要がある。したがって、開口径が20μm以上のフィルタが用いられるが、このフィルタがすぐに目詰まりするという問題が発生する。
【0006】
このような課題に対し、フィルタの上流側に沈殿槽を設け、沈殿槽内に異物を沈殿させることで異物を除去することが考えられる。例えば、特許文献1には、循環供給機構に設けられた貯蔵槽の底面全体を覆うように補捉空間を形成し、その開口の形状を、異物を取り込みやすい形状とした技術が記載されている。この技術によれば、異物を捕捉空間に導くことができ、液体中の異物を除去することができる。
【0007】
また、特許文献2には、循環流路内に設けられた貯蔵部の底部に、リブによって区画された複数の捕捉空間部を形成する技術が記載されている。この技術によれば、塗布液に混入している異物が捕捉空間部内に堆積し、塗布液から異物を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−44649号公報
【特許文献2】特開2010−274255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1、2の技術では、大量の異物が循環流路に混入した場合には、異物が沈殿せずに流路内に戻り、画像不良やフィルタの詰まりを引き起こすという問題点があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、装置サイズを大きくすることなく、液体内の異物の沈殿を促進し、フィルタの詰まりを抑制することができる液体付与装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、液体付与装置の一の態様は、所定の対象物に液体を付与する付与手段と、前記付与手段が付与する液体を収容する収容部と、前記収容部に収容された液体を循環させる循環流路とを備え、前記循環流路は、内部に液体を貯留し、液面の高さが所定の高さに達すると液体がオーバーフローする複数の沈殿槽を有する多段槽であって、オーバーフローした液体が順次次段の沈殿槽に流入するように前記複数の沈殿槽が接続された多段槽と、前記多段槽を通過した液体をろ過するフィルタと、前記収容部に収容された液体を前記多段槽に供給する第1の流路と、前記ろ過された液体を前記収容部に戻す第2の流路とを備えた。
【0012】
本態様によれば、オーバーフローした液体が順次次段の沈殿槽に流入するように複数の沈殿槽を接続した多段槽により、液体に混入した異物を除去することができるので、装置サイズを大きくすることなく、液体内の異物の沈殿を促進し、フィルタの詰まりを抑制することで、フィルタ寿命を延ばすことができる。
【0013】
前記第1の流路は、前記多段槽の初段の沈殿槽に水平方向から液体を供給することが好ましい。さらに前記第1の流路は、前記多段槽の初段の沈殿槽の前記所定の高さから液体を供給することが好ましい。これにより、多段槽の初段の沈殿槽の底に堆積した異物を巻き上げることなく、多段槽に液体を供給することができる。
【0014】
また、前記第1の流路は、前記多段槽に複数個所から液体を供給することが好ましい。これにより、多段槽の初段の沈殿槽の底に堆積した異物を巻き上げることなく、多段槽に液体を供給することができる。
【0015】
さらに、前記第1の流路の終端に対向する位置に液体の流れを遮る遮蔽手段を備えてもよい。これにより、多段槽の初段の沈殿槽の底に堆積した異物を巻き上げることなく、多段槽に液体を供給することができる。
【0016】
また、前記複数の沈殿槽は、後段の沈殿槽ほど体積が大きいことが好ましい。これにより、前段の沈殿槽では除去しきれなかった異物を、次段の沈殿槽で除去することができる。また、大きな異物を予め前段の沈殿槽で除去しておくことで、次段の沈殿槽に堆積した異物が大きな異物の移動によって巻き上げられることを防止することができる。
【0017】
前記多段槽を通過した液体に含まれる異物の状態を判定する異物センサと、前記多段槽を通過した液体を前記多段槽の初段の沈殿槽に戻す第3の流路と、前記多段槽を通過した液体を前記フィルタ及び前記第3の流路のいずれに供給するかを切り換える流路切り換え手段と、前記異物センサにより異物の量が所定量未満であることが検出されると、前記多段槽を通過した液体を前記フィルタに供給させ、前記異物センサにより異物の量が所定量以上であることが検出されると、前記多段槽を通過した液体を前記第3の流路に供給させる制御手段とを備えることが好ましい。
【0018】
これにより、液体に含まれる異物が少ない場合にのみフィルタに供給させるので、フィルタの詰まりを抑制することができる。また、異物が多い場合には多段槽に戻すことで、再度異物の除去を行うことができる。
【0019】
前記異物センサは、光を投光する投光部と、該投光部の投光した光を、前記多段槽を通過した液体を介して受光する受光部とを有し、該受光部の受光光量に基づいて前記異物を検出することが好ましい。これにより、適切に液体中の異物量を検出することができる。
【0020】
前記異物センサの検出結果に基づいて、前記フィルタが捕捉した異物の積算量を算出する積算手段と、前記算出された積算量が所定量を超えたことを警告する第1の警告手段とを備えてもよい。このように、フィルタ詰まりの可能性をユーザに知らせることで、フィルタが詰まる前にフィルタ交換又はフィルタ清掃を促すことができる。
【0021】
前記第3の流路は前記液体を貯蔵する貯蔵槽を備え、前記制御手段は、前記多段槽から前記貯蔵槽への流量よりも前記貯蔵槽から前記多段槽への流量の方が小さくなるように第3の流路の流量を制御することが好ましい。これにより、液体が貯蔵槽に滞留する時間を長くすることができるので、貯蔵槽における異物の沈殿を促進することができる。
【0022】
前記貯蔵槽に貯蔵された液体の量を検出する液量センサと、前記貯蔵槽に貯蔵された液体の量が所定量を超えたことを警告する第2の警告手段とを備えてもよい。これにより、貯蔵槽が満杯となったことをユーザに報知することができる。
【0023】
上記目的を達成するために、インクジェット記録装置の一の態様は、上記態様の液体付与装置により記録媒体の記録面に処理液を付与する処理液付与手段と、前記処理液が付与された記録媒体の記録面にインクを吐出する記録ヘッドとを備えた。
【0024】
本態様によれば、記録媒体の記録面に異物が混入していない処理液を付与することができるため、記録ヘッドによる高品質な記録を行うことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、装置サイズを大きくすることなく、液体内の異物の沈殿を促進し、フィルタの詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態に係る異物除去装置を示す斜視図
【図2】異物除去装置を構成する槽の構造を示す斜視図
【図3】第1の実施形態に係る他の態様の異物除去装置を示す斜視図
【図4】第2の実施形態に係る異物除去装置を示す斜視図
【図5】第2の実施形態に係る他の態様の異物除去装置を示す斜視図
【図6】第2の実施形態に係る他の態様の異物除去装置を示す斜視図
【図7】第3の実施形態に係る異物除去装置を示す斜視図
【図8】第4の実施形態に係る異物除去装置を示す全体構成図
【図9】異物センサの構成を示す図
【図10】第4の実施形態に係る異物除去装置の動作を示すフローチャート
【図11】異物センサの検出結果と流路切り替え弁の制御を示す図
【図12】時間の経過における積算値の変化の一例を示す図
【図13】異物除去装置が適用された塗布装置の概略構成を示す全体構成図
【図14】塗布装置の制御系の概略構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0028】
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施形態に係る異物除去装置10を示す斜視図である。異物除去装置10は、対象物に処理液(液体)を付与する液体付与装置において、処理液の循環流路に設けられるものであり、処理液中の異物を除去するための装置である。
【0029】
図1に示すように、異物除去装置10は、第1の沈殿槽20、第2の沈殿槽22、第1の流路30、フィルタ流路32、第2の流路34、フィルタ40を備えて構成される。
【0030】
第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22は、図2(a)に示すように、長さd、幅w、高さhの直方体形状の槽50及び仕切り板52により構成されている。仕切り板52は、槽50内部の所定の位置に鉛直方向に配置され、槽50を高さhaにおいて2つに仕切っている。
【0031】
なお、仕切り板として、図2(b)に示す仕切り板56を用いてもよい。この仕切り板56は、槽50内部の所定の位置に鉛直方向に配置され、槽50を2つに仕切っている。仕切り板56は、スリット56aを有しており、スリット56aは、最も低い位置の高さが、高さhaとなるように設けられている。
【0032】
また、槽50の一側面には、貫通孔54が設けられている。貫通孔54は、最も低い位置の高さが、高さhbとなるように設けられている。ここで、高さhaと高さhbは、ha>hbの関係を満たす。なお、貫通孔54の形状は円形に限られるものではなく、楕円、矩形、スリット形状等、適宜決めることができる。
【0033】
図1に戻り、液体付与部(不図示)から送液された処理液は、第1の流路30を流れ、第1の流路30の液供口30aから第1の沈殿槽20に供給される。第1の沈殿槽20は、第1の流路30から供給された処理液を貯留する。第1の沈殿槽20に貯留された処理液の液面の高さが高さhaを超えると、仕切り板52の上部に該当するオーバーフロー路20aから処理液が溢れ出し(オーバーフローし)、このオーバーフローした処理液は第2の沈殿槽22に流入する。なお、図2(b)に示す仕切り板56を用いた場合には、スリット56aがオーバーフロー路20aとなる。
【0034】
第2の沈殿槽22は、第1の沈殿槽20から流入した処理液を貯留する。第2の沈殿槽22の側面には、貫通孔54が設けられている。したがって、第2の沈殿槽22に貯留された処理液の液面の高さが高さhbを超えると、貫通孔54から処理液がオーバーフローする。
【0035】
貫通孔54には、フィルタ流路32の流入口32aが接続されており、このオーバーフローした処理液はフィルタ流路32に流入する。
【0036】
フィルタ流路32にはフィルタ40が接続されており、フィルタ流路32に流入した処理液はフィルタ40を通過する。フィルタ40には第2の流路34が接続されており、フィルタ40を通過した処理液は、液体付与部(不図示)に送液される。
【0037】
このように、第1の沈殿槽20と第2の沈殿槽22は、上流側の沈殿槽からオーバーフローした液体が順次下流側の沈殿槽に流入するように、カスケード状に接続された多段槽となっている。
【0038】
第1の流路30から第1の沈殿槽20に処理液が供給されると、処理液に混入している異物は、第1の沈殿槽20の底に沈殿(堆積)することで除去される。この異物が除去された処理液は、オーバーフロー路20aからオーバーフローし、第2の沈殿槽22に流入する。
【0039】
第2の沈殿槽22に流入した処理液のうち、第1の沈殿槽20では除去しきれなかった異物は、第2の沈殿槽22の底に沈殿することで除去される。この異物が除去された処理液は、貫通孔54からオーバーフローし、フィルタ流路32に流入する。
【0040】
フィルタ流路32に流入した処理液は、フィルタ40を通過する。このとき、第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22では除去しきれなかった異物がフィルタ40によって捕捉(除去)される。
【0041】
このように、異物除去装置10によれば、処理液に混入した異物を沈殿させることで除去し、フィルタ40の詰まりを抑制することができ、フィルタ寿命を延ばすことができる。
【0042】
本実施形態では、1つの槽を仕切り板で仕切ることで2つの沈殿槽を構成したが、複数の沈殿槽をカスケード状に接続する形態はこの例に限定されるものではない。
【0043】
例えば、図3(a)に示すように、2つの槽60及び62を、液面高さが異なるように接続することで、第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22を構成してもよい。ここでは、槽60の側面のうち、槽62との接合面の上部をオーバーフロー路20aとする。槽60のオーバーフロー路20aからオーバーフローした処理液は、槽62へ流入する。
【0044】
また、図3(b)に示すように、2つの槽64及び66のそれぞれの側面を接合し、全体を所定の角度だけ傾けることで、第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22を構成してもよい。ここでは、槽64の側面のうち、槽66との接合面の上部をオーバーフロー路20aとする。槽64のオーバーフロー路20aからオーバーフローした処理液は、槽66へ流入する。
【0045】
本実施形態では、カスケード状に接続された多段槽の例として、第1の沈殿槽20と第2の沈殿槽22の2つの沈殿槽から構成される例を説明したが、多段槽は3つ以上の沈殿槽から構成してもよいことは言うまでもない。沈殿槽の数を増やすことで、異物の除去をより促進させることが可能となる。
【0046】
〔第2の実施形態〕
図4(a)は、本実施形態に係る異物除去装置12を示す斜視図である。なお、図1に示す異物除去装置10と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
異物除去装置12は、第1の流路36の液供口36aから第1の沈殿槽20へ処理液が供給される。第1の流路36は、少なくとも液供口36aの近傍において水平に設けられており、液供口36aは、第1の沈殿槽20の側面に設けられている。液供口36aは、最も低い位置の高さが、高さhaとなっている。
【0048】
即ち、第1の沈殿槽20の液面高さに設けられた液供口36aから、処理液が水平方向に流出する。したがって、処理液は第1の沈殿槽20の液面に対して水平方向から供給される。
【0049】
このように、複数の沈殿槽がカスケード状に接続された多段槽の最上流(初段)の沈殿槽である第1の沈殿槽20に、水平に処理液を供給する。これにより、第1の沈殿槽20の底に堆積した異物を巻き上げることなく、第1の沈殿槽20に処理液を供給することができる。
【0050】
なお、図4(b)に示すように、第1の流路36を少なくとも液供口36aの近傍において水平に設けるとともに、液供給口36aを第1の沈殿槽20の液面よりも高い位置に設け、第1の沈殿槽20に対して水平方向から処理液を供給してもよい。この場合であっても、処理液は第1の沈殿槽20に対して水平に供給されるため、第1の沈殿槽20の底に堆積した異物を巻き上げることなく、第1の沈殿槽20に処理液を供給することができる。
【0051】
また、第1の流路36を複数設けてもよい。図5に示す例では、5つの第1の流路36−1〜36−5の5つの液供口36−1a〜36−5aから、第1の沈殿槽20へ処理液を供給する。各液供口36−1a〜36−5aは、それぞれ最も低い位置の高さがhaとなるように、第1の沈殿槽20の側面に設けられている。したがって、5つの第1の流路36−1〜36−5の5つの液供口36−1a〜36−5aから、第1の沈殿槽20に水平に処理液を供給することができる。
【0052】
このように、複数の流路から処理液を供給することで、処理液の流速を下げることができる。これにより、第1の沈殿槽20の底に堆積した異物を巻き上げることなく、第1の沈殿槽20に処理液を供給することができる。
【0053】
さらに、第1の流路36から供給される処理液の流れを遮ることで処理液の流速を落とす遮蔽板を設けてもよい。例えば、図6に示すように、液供口36に対向する位置に遮蔽板38を設けることができる。
【0054】
液供口36から所定の流速で流出した処理液は、遮蔽板38によって流れが遮られ、流速が低下する。これにより、第1の沈殿槽20の底に堆積した異物を巻き上げることなく、第1の沈殿槽20に処理液を供給することができる。
【0055】
〔第3の実施形態〕
図7は、本実施形態に係る異物除去装置14を示す斜視図である。なお、図4に示す異物除去装置12と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。異物除去装置14は、第1の沈殿槽20、第2の沈殿槽22、及び第3の沈殿槽24を備えている。この3つの沈殿槽は、上流側の沈殿槽からオーバーフローした液体が順次下流側の沈殿槽に流入するように、カスケード状に接続されている。
【0056】
第1の沈殿槽20は、図7に示すように、幅w、長さda、高さhaで構成されており、体積Vol1=w×da×haの処理液を貯留することができる。
【0057】
異物除去装置14は、第1の流路36の液供口36aから第1の沈殿槽20へ処理液が供給される。第1の沈殿槽20は、第1の流路36から供給された処理液を貯留する。処理液に混入している異物は、第1の沈殿槽20の底に堆積する。第1の沈殿槽20に供給された処理液のうち体積Vol1を超えた分は、オーバーフロー路20aからオーバーフローし、このオーバーフローした処理液は第2の沈殿槽22に流入する。
【0058】
第2の沈殿槽22は、図7に示すように、幅w、長さdb、高さhbで構成されており、体積Vol2=w×db×hbの処理液を貯留することができる。
【0059】
第2の沈殿槽22は、第1の沈殿槽20から流入した処理液を貯留する。第1の沈殿槽20によって除去しきれなかった異物は、第2の沈殿槽22の底に堆積する。第2の沈殿槽22に流入した処理液のうち体積Vol2を超えた分は、オーバーフロー路22aからオーバーフローし、このオーバーフローした処理液は第3の沈殿槽24に流入する。
【0060】
第3の沈殿槽24は、図7に示すように、幅w、長さdc、高さhcで構成されており、体積Vol3=w×dbc×hcの処理液を貯留することができる。
【0061】
第3の沈殿槽24は、第2の沈殿槽22から流入した処理液を貯留する。第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22によって除去しきれなかった異物は、第3の沈殿槽24の底に堆積する。第3の沈殿槽24に流入した処理液のうち体積Vol3を超えた分は、フィルタ流路32の流入口32aからオーバーフローし、このオーバーフローした処理液はフィルタ流路32に流入する。
【0062】
ここで、第1の沈殿槽20、第2の沈殿槽22、及び第3の沈殿槽24は、その体積がVol1<Vol2<Vol3となるように構成されている。したがって、第1の沈殿槽20における処理液の滞留時間よりも第2の沈殿槽22における処理液の滞留時間が長くなる。これにより、第1の沈殿槽20では除去しきれなかった異物を、第2の沈殿槽22において沈殿させることができる。また、大きな異物を予め第1の沈殿槽20で除去しておくことで、第2の沈殿槽22に堆積した異物が大きな異物の移動によって巻き上げられることを防止することができる。
【0063】
さらに、第2の沈殿槽22における処理液の滞留時間よりも第3の沈殿槽24における処理液の滞留時間が長くなる。これにより、第2の沈殿槽22では除去しきれなかった異物を、第3の沈殿槽24において沈殿させることができる。また、大きな異物を予め第2の沈殿槽22で除去しておくことで、第3の沈殿槽24に堆積した異物が大きな異物の移動によって巻き上げられることを防止することができる。
【0064】
このように、上流側の沈殿槽からオーバーフローした液体が順次下流側の沈殿槽に流入するように、複数の沈殿槽がカスケード状に接続された多段槽において、下流側(後段側)の沈殿槽ほど体積を大きくすることで、下流側の沈殿槽ほど処理液の滞留時間を長くする。これにより、下流側の沈殿槽ほど小さな異物を沈殿させることができ、また上流側の沈殿槽で大きな異物を沈殿させておくことで、下流側の沈殿槽に堆積した異物が大きな異物が移動することで巻き上げられることを防止することができる。
【0065】
〔第4の実施形態〕
図8は、本実施形態に係る異物除去装置16を示す全体構成図である。同図に示すように、異物除去装置16は、多段槽70、異物センサS1、流路切り替え弁V、貯蔵槽76、液面検出センサS2、各ポンプP1、P2、P3等を備えて構成される。
【0066】
多段槽70は、上流側の沈殿槽からオーバーフローした液体が順次下流側の沈殿槽に流入するように複数の沈殿槽がカスケード状に接続されたものであり、例えば図1に示す第1の沈殿槽20及び第2の沈殿槽22と同様の構成を用いることができる。
【0067】
異物センサS1は、多段槽70の最下流(最後段)の沈殿槽からオーバーフローした処理液中に含まれる異物を検出するためのセンサである。異物センサS1の構成を図9に示す。
【0068】
図9に示すように、異物センサS1は、一対の投光部73a及び受光部73bから構成される光学式センサである。多段槽70から流路切り替え弁Vまでの処理液の検出流路72は、少なくとも異物センサS1が配置される位置において、光を透過する素材で形成される。
【0069】
投光部73aの発光素子としては、例えばLEDを用いることができる。また、受光部73bの受光素子としては、例えばフォトダイオードを用いることができる。投光部73aの発光素子から発光された光は、検出流路72及び検出流路72の内部を流れる処理液を透過し、受光部73bの受光素子によって受光される。
【0070】
処理液の透過光量は、処理液に混入している異物によって変化する。したがって、受光部73bの受光光量は、検出流路72の内部を流れる処理液に混入している異物(図9において符号Gを付した)によって変化する。例えば処理液内に大きい異物が混入している場合や、多数の異物が混入している場合には、これらの異物により受光部73bの受光光量が低下する。このように、異物センサS1は、処理液内の異物の状態を判定することができる。
【0071】
流路切り替え弁Vは、検出流路72から流れて来た処理液をフィルタ流路32へ流すか否かを制御する電磁バルブV1と、検出流路72から流れて来た処理液を第3の流路74へ流すか否かを制御する電磁バルブV2とを備えた弁手段である。電磁バルブV1、V2は、制御部(不図示)から印加される電力に応じて開閉する。
【0072】
電磁バルブV1が開弁状態、電磁バルブV2が閉弁状態にされると、ポンプP1により、処理液はフィルタ流路32を介してフィルタ40に送液される。
【0073】
また、電磁バルブV1が閉弁状態、電磁バルブV2が開弁状態にされると、ポンプP2により、処理液は第3の流路74を介して貯蔵槽76に送液され、貯蔵槽76に貯留される。
【0074】
液面検出センサS2は、貯蔵槽76に貯留された処理液の液面を検出するためのセンサである。液面検出センサS2は、貯蔵槽76に貯留された処理液の液面の位置が、貯蔵槽76に貯蔵可能な上限に達したか否かを検出することが可能なように、貯蔵槽76の開口部又はその近傍に設けられている。液面検出センサS2としては、静電容量センサや光学センサを用いることができるが、特に限定されない。
【0075】
貯蔵槽76に貯留された処理液は、ポンプP3により多段槽70の初段の沈殿槽に送液される。初段の沈殿槽に送液するのではなく、第1の流路30に合流するように送液してもよい。
【0076】
次に、上記のように構成された異物除去装置16の動作について説明する。図10は、異物除去装置16の動作を示すフローチャートである。
【0077】
液体付与部(不図示)から送液された処理液は、第1の流路30を流れ、多段槽70に供給される。多段槽70の各沈殿槽において異物が除去された処理液は、多段槽70の最後段の沈殿槽からオーバーフローし、検出流路72に流入する。
【0078】
異物センサS1は、検出流路72を流れる処理液内の異物を検出するためのセンサである。制御部(不図示)は、異物センサS1の検出結果から、処理液内の異物の有無を判断する。
【0079】
ここで、処理液内に異物が全く混入していない状態において、投光部73aから投光された光を受光部73bが受光した場合の受光光量を基準受光量y0とする。制御部は、受光部73bの受光光量と基準受光量y0との差y(低下光量)を算出し、低下光量yがα以上の場合に、処理液内に異物が混入しているものと判断する。
【0080】
制御部は、受光部73bの低下光量yがαより大きいか否かを判定する(ステップSt1)。低下光量yの方が小さい場合には、処理液内の異物がない、又は少ないと判断し、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1を開弁状態、電磁バルブV2を閉弁状態とする(ステップSt2)。
【0081】
さらに、ポンプP1を駆動状態とし、フィルタ40を負圧にする(ステップSt3)。これにより、処理液はフィルタ流路32を介してフィルタ40に送液される。このとき、ポンプP2、P3は停止状態とする。
【0082】
また、制御部は、フィルタ40に捕捉された異物量を積算するために、低下光量yの積算値Σyを算出する(ステップSt4)。そして、この積算値Σyが、閾値ymaxを超えたか否かを判定する(ステップSt5)。閾値ymaxは、フィルタ40の目詰まりが発生する異物の積算量から算出された低下光量の積算値Σyの値に設定されている。
【0083】
積算値Σyが閾値ymax以下の場合は、処理を終了する。また、積算値Σyが閾値ymaxより大きい場合は、フィルタ詰まりの警告を出す(ステップSt6)。警告は、表示部(不図示)に表示してもよいし、警告音による報知を行ってもよい。
【0084】
このように、フィルタ詰まりの可能性をユーザに知らせることで、フィルタが詰まる前にフィルタ交換又はフィルタ清掃を促すことができる。なお、ユーザがフィルタ40を交換した場合、又はフィルタ40を清掃した場合には、積算値Σyはリセットされる。
【0085】
積算値Σyのリセットは、フィルタ40が取り外されたことを検出して自動的に行ってもよいし、ユーザが入力部(不図示)によって行ってもよい。
【0086】
図10のフローチャートに戻り、ステップSt1において、受光部73bの低下光量yがαより大きい場合には、制御部は処理液内の異物が多いと判断し、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1を閉弁状態、電磁バルブV2を開弁状態とする(ステップSt7)。
【0087】
さらに、ポンプP2を駆動状態とし、ポンプP1を停止状態とする(ステップSt8)。これにより、処理液は第3の流路74を介して貯蔵槽76に送液される。また、同時にポンプP3も駆動状態とされ、貯蔵槽76に貯留された処理液は、多段槽70の初段の沈殿槽に送液される。
【0088】
ここで、ポンプP2の送液量とポンプP3の送液量とは、(ポンプP2の送液量)>(ポンプP3の送液量)の関係を満たしている。即ち、多段槽70から貯蔵槽76への流量よりも貯蔵槽76から多段槽70への流量の方が小さくなるように制御される。
【0089】
また、ポンプP1の送液量とポンプP2の送液量とは、(ポンプP1の送液量)>(ポンプP2の送液量)の関係を満たしている。即ち、多段槽70からフィルタ40への流量よりも多段槽70から貯蔵槽76への流量の方が小さくなるように制御される。
【0090】
このように、処理液内の異物が多いと判断された場合には、この処理液は貯蔵槽76を介して多段槽70に戻される。このとき、ポンプP3の送液量をポンプP2の送液量よりも小さくすることで流速を落とし、貯蔵槽76での滞留時間を延ばすことで、貯蔵槽76での異物の沈殿を促進することができる。このように、貯蔵槽76は、多段槽70への戻り流量を下げるための貯留槽として機能するとともに、処理液内の異物を沈殿させる沈殿槽としても機能する。
【0091】
また、貯蔵槽76においては、液面検出センサS2が処理液の水面を検出している。制御部は、液面検出センサS2が、貯蔵槽76に貯留された処理液の液面の位置が貯蔵槽76に貯蔵可能な上限に達したことを検出したか否かを判定する(ステップSt9)。
【0092】
貯蔵可能な上限に達していない場合には、処理を終了する。貯蔵可能な上限に達した場合には、ポンプP2、P3を停止し、警告を発生する(ステップSt10)。警告は、表示部(不図示)に表示してもよいし、警告音による報知を行ってもよい。
【0093】
このように、処理液内の異物が多く、多段槽70における異物の除去能力では処理しきれない場合には、貯蔵槽76に貯留された処理液が貯蔵可能な上限に達する。この場合には、処理液内に異物が多く、貯蔵槽76が満杯となったことをユーザに報知する。
【0094】
上記の処理を、所定時間毎に行う。
【0095】
図11は、時間の経過における異物センサS1の検出結果と流路切り替え弁Vの制御を示す図である。
【0096】
時間t0において、低下光量の積算値Σyはリセットされているものとする。
【0097】
時間t1において、受光部73bの低下光量yはy1である。ここで、y1<αであるので、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は開弁状態、電磁バルブV2は閉弁状態とされる。同時にポンプP1が駆動され、処理液はフィルタ40に送液される。また、Σyにy1が加算される。
【0098】
同様に、時間t2、t3及びt4において、受光部73bの低下光量yは、それぞれαより小さい。したがって、引き続き流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は開弁状態、電磁バルブV2は閉弁状態とされ、ポンプP1が駆動される。これにより、処理液はフィルタ40に送液される。また、Σyにはy2、y3、y4が加算される。
【0099】
次に、時間t5において、受光部73bの低下光量yはy5である。ここで、y5>αであるので、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は閉弁状態、電磁バルブV2は開弁状態とされる。また、ポンプP1が停止され、ポンプP2、P3が駆動される。これにより、処理液は貯蔵槽76に送液される。なお、時間t4からt5においてフィルタ40に処理液が送液されていることから、Σyにy5を加算する。
【0100】
同様に、時間t6及びt7において、受光部73bの低下光量yは、それぞれαより大きい。したがって、引き続き流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は閉弁状態、電磁バルブV2は開弁状態とされ、ポンプP2、P3が駆動される。これにより、処理液は貯蔵槽76に送液される。この間は、フィルタ40には処理液が送液されていないので、y06、y7はΣyには積算されない。
【0101】
続いて、時間t8において、受光部73bの低下光量yは、y8である。ここで、y8<αであるので、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1は開弁状態、電磁バルブV2は閉弁状態とされる。また、ポンプP2、P3が停止され、ポンプP1が駆動される。これにより、処理液はフィルタ40に送液される。また、Σyにy8が加算される。
【0102】
このように、流路切り替え弁V及びポンプP1、P2、P3が制御される。また、処理液がフィルタ40に送液されている間、受光部73bの低下光量を積算することで、フィルタ40に捕捉される異物量を算出することができる。
【0103】
図12に、時間の経過における積算値Σyの変化の一例を示す。同図に示すように、時間の経過と共に、積算値Σyが増加していく。時間t10において積算値Σyが閾値ymaxに達すると、警告が発生する。その後、時間t11においてフィルタ交換又はフィルタ清掃が行われると、積算値Σyはリセットされ、再び0から積算を開始する。
【0104】
〔液体付与装置の全体構成〕
図13は、上記の異物除去装置が適用された塗布装置100の概略構成を示す全体構成図である。同図に示す塗布装置100は、被塗布媒体(不図示)に塗布液(処理液)を塗布する塗布部112(付与手段に相当)と、塗布部112が塗布する塗布液を収容する塗布皿124(収容部に相当)と、塗布皿124内の塗布液をサブタンク132へ送液する循環流路164、及びサブタンク132内の塗布液を塗布皿124へ供給する液供給路136(循環流路に相当)と、循環する塗布液の異物を除去するフィルタ装置166と、を含んで構成されている。
【0105】
(塗布部の説明)
塗布部112は、被塗布媒体を固定保持して搬送する圧胴120と、被塗布媒体に接触させて塗布液を塗布する塗布ローラ122と、塗布皿124に溜められた塗布液を計量して塗布ローラ122へ転写(供給)するアニロックスローラ(計量ローラ)126と、を備えている。
【0106】
圧胴120は不図示の駆動機構と連結され、該駆動機構の動作に応じて所定方向(図中符号Cを付した反時計回り方向)へ回転動作する。圧胴120の外周面に固定保持被塗布媒体は、圧胴120の回転動作に応じて圧胴120の外周面に沿って搬送される。
【0107】
塗布ローラ122は、不図示の駆動機構と連結され、該駆動機構の動作に応じて所定方向(図中符号Dを付した時計回り方向)へ回転動作する。塗布ローラ122の回転速度は、圧胴120の接触位置における線速度が圧胴120と一致するように決められている。
【0108】
また、塗布ローラ122は、被塗布媒体に対して塗布液の塗布を行う塗布時には、被塗布媒体(圧胴120)を所定の圧力により押圧し、塗布液の塗布を行わない非塗布時には、圧胴120から離間させるように圧胴120との相対位置が制御される。符号Eを付した白抜き矢印線は、圧胴120の押圧方向及び離間方向を表している。
【0109】
塗布皿124は、液供給部114から供給された塗布液が溜められる貯留部124Aと、貯留部124Aから溢れた塗布液が収容される収容部124Bと、貯留部124Aと収容部124Bとを区画する区画壁124Cと、区画壁124Cに設けられた開口部124Dとを有している。
【0110】
液供給部114から供給された塗布液の水面が区画壁124Cの開口部124Dに達すると、貯留部124Aから収容部124Bへ塗布液が溢れ出すので、貯留部124Aに貯留される塗布液の水位が一定に保たれる。貯留部124Aの塗布液の水位を一定に保つことで、アニロックスローラ126による塗布液の計量のばらつきが防止される。
【0111】
収容部124Bへ溢れ出した塗布液は、不図示の排出口と連通される循環流路164を介して液供給部114(サブタンク132)へ戻される。
【0112】
貯留部124Aの底面124Eは、不図示の排出口が設けられており、該排出口を介して貯留部124Aに貯留される塗布液を外部へ排出することができる。
【0113】
アニロックスローラ126は、表面に所定の体積を有するセル(不図示)が多数形成された構造を有し、該セルの中に保持された塗布液が塗布ローラ122へ供給される。アニロックスローラ126を一定速度で回転させることで(符号Fを付した矢印線により回転方向を図示)、塗布皿124内の塗布液を一定量計量しながらくみ上げることができる。
【0114】
(液供給部の説明)
次に、液供給部114について詳述する。図13に示すように、液供給部114は、メインタンク130と、サブタンク132と、液供給路136と、循環流路164と、廃液タンク172と、排出流路174と、を備えている。
【0115】
メインタンク130は塗布液が貯留されており、フィルタ130Aが内蔵されている。メインタンク130は、補充流路133及び補充流路133に設けられた補充ポンプ134を介してサブタンク132と連通している。
【0116】
サブタンク132内の塗布液量が所定量未満になると、補充ポンプ134を動作させてメインタンク130からサブタンク132へ塗布液が補充される。
【0117】
サブタンク132は、液供給路136を介して塗布部112(塗布皿124)と連通されている。サブタンク132は、フィルタ132Aが内蔵されるとともに、収容されている塗布液量を検出するための液量センサ(不図示)が設けられている。
【0118】
液供給路136は、供給バルブ138、供給ポンプ140が設けられている。供給バルブ138が開かれた状態で供給ポンプ140を動作させると、サブタンク132から塗布部112へ塗布液が供給される。
【0119】
液供給路136は、供給バルブ138と供給ポンプ140との間において、フィルタ142Aが内蔵される希釈液タンク142と連通される希釈液流路144が接続されている。希釈液流路144には希釈液流路バルブ146が設けられており、供給バルブ138が閉じられて希釈液流路バルブ146が開かれると、塗布液に代わり希釈液が塗布部112へ供給される。
【0120】
液供給路136は、液供給路136内の塗布液の濃度を検出するための濃度計148と、液供給路136内の塗布液の温度を検出する温度センサ152と、液供給路136内の温度調整を行うヒータ156が設けられている。
【0121】
液供給路136内の塗布液は、濃度計148によって濃度が監視され、所定の濃度範囲が維持されるように管理される。また、温度センサ152によって温度が監視され、所定の温度範囲が維持されるように、温度が管理される。
【0122】
循環流路164は、液供給部114からサブタンク132へ塗布液を循環させるための流路であり、液供給部114(塗布皿124)と連通している循環流路164から分岐されている。
【0123】
塗布皿124と連通する循環流路164は、貯留部124Aの排出口と連通する流路に設けられる第1循環バルブ160と、収容部124Bの底面に設けられる第2循環バルブ162が設けられるとともに、フィルタ装置166、循環ポンプ168が設けられている。
【0124】
第2循環バルブ162が開かれた状態で循環ポンプ168を動作させると、フィルタ装置166、循環ポンプ168を介して塗布液がサブタンク132へ戻される。
【0125】
供給ポンプ140の送液量と循環ポンプ168の送液量とは、(供給ポンプの送液量)>(循環ポンプの送液量)の関係を満たしている。即ち、アニロックスローラ126が浸された貯留部124Aは、塗布液がオーバーフローした状態で使用される。貯留部124Aからオーバーフローした塗布液は、収容部124Bを介して循環ポンプ168により回収され、サブタンク132へ戻され、再使用される。
【0126】
塗布皿124からオーバーフローした塗布液は、一般的な汚れや塗布装置100の後段の処理工程において、被塗布媒体をスタックする際のブロッキングの発生を抑制するためのパウダーなどが混入している。
【0127】
したがって、塗布部112から回収された塗布液は、混入している汚れやパウダーなどがフィルタ装置166によって除去された後に、サブタンク132へ送られる。
【0128】
図13に示すフィルタ装置166は、先に説明した異物除去装置10、12、14、又は16が適用される。ここで、異物除去装置10、16の第1の流路30、異物除去装置12、14の第1の流路36が、循環流路164に相当する。また、異物除去装置10、12、14、又は16の処理液は、塗布装置100の塗布液に相当する。
【0129】
なお、異物除去装置16が適用される場合には、循環ポンプ168は省略することができる。
【0130】
また、塗布皿124の貯留部124A及び収容部124Bは、排出流路174を介して廃液タンク172と連通される。排出流路174にはドレインバルブ170及び排出ポンプ176が設けられており、ドレインバルブ170が開かれた状態で排出ポンプ176を動作させると、貯留部124A及び収容部124Bの塗布液は、廃液タンク172へ送られる。
【0131】
なお、図13に図示された構成以外の構成を適宜付加してもよいし、図13に図示された構成を適宜削除することも可能である。
【0132】
図14は、図13に示す塗布装置100の制御系の概略構成を示すブロック図である。
【0133】
システム制御部200は、塗布装置100を統括的に制御する手段であり、塗布制御部220、バルブ制御部230、ポンプ制御部240、及びヒータ制御部260へ制御指令信号を送出する。
【0134】
警告部210は、フィルタ40の詰まりの警告や、貯蔵槽76の処理液の液面が貯蔵可能な上限に達した場合の警告を行う。警告部210は、モニタ等の表示手段でもよいし、警告音の発音手段であってもよい。
【0135】
塗布制御部220は、塗布部112(塗布ローラ122)の動作を制御する。即ち、塗布ローラ122の回転制御、押圧制御、アニロックスローラ126の回転制御、圧胴120の回転制御は、塗布制御部220によって行われる。
【0136】
バルブ制御部230は、システム制御部200の制御指令信号に基づいて、供給バルブ138、希釈液流路バルブ146、第1循環バルブ160、第2循環バルブ162、及びドレインバルブ170等のバルブの開閉を制御する。
【0137】
また、バルブ制御部230は、異物センサS1の検出結果に基づいて、流路切り替え弁Vの電磁バルブV1、V2の開閉を制御する。
【0138】
ポンプ制御部240は、システム制御部200の制御指令信号に基づいて、補充ポンプ134、供給ポンプ140、及び循環ポンプ168等のポンプの動作(オンオフ、回転数、回転方向等)を制御する。
【0139】
また、ポンプ制御部240は、液面検出センサS2の検出結果に基づいて、ポンプP1、P2、P3の動作を制御する。
【0140】
濃度計148により取得された塗布液の濃度情報は、システム制御部200へ送られる。システム制御部200は、塗布液の濃度情報に基づいて希釈液の供給を制御する。
【0141】
温度センサ152により取得された塗布液の温度情報は、システム制御部200へ送られる。システム制御部200は、塗布液の温度情報に基づいてヒータ156の制御指令信号をヒータ制御部250へ送出する。ヒータ制御部250は、該制御指令信号に基づいてヒータ156の動作を制御する。
【0142】
なお、図14に図示された構成以外の構成を付加することも可能である。例えば、ユーザインターフェイスとして機能する操作部(キーボード、マウス、タッチパネル等)や、各種情報が表示されるモニタ装置を備えることも可能である。
【0143】
また、図13に図示した塗布装置100から、液供給部114の構成を分離させて液供給装置として構成する形態も可能である。
【0144】
以上説明した塗布装置100は、記録媒体上で処理液とインクとを反応させて、インクに含まれる色材を凝集又は不溶化させる二液方式のインクジェット記録装置に適用することができる。
【0145】
即ち、二液方式のインクジェット記録装置における、カラーインクが打滴される前工程として、記録媒体の全面に処理液(酸性液)を均一に塗布する処理塗布部として構成することも可能である。
【0146】
これによれば、記録媒体の記録面に異物が混入していない処理液を付与することができるため、記録ヘッドによる高品質な記録を行うことができる。
【0147】
本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合せることができる。
【符号の説明】
【0148】
10,12,14,16…異物除去装置、20…第1の沈殿槽、20a…オーバーフロー路、22…第2の沈殿槽、24…第3の沈殿槽、30,36…第1の流路、34…第2の流路、38…遮蔽板、40…フィルタ、70…多段槽、73a…投光部、73b…受光部、74…第3の流路、76…貯蔵槽、100…塗布装置、112…塗布部、124…塗布皿、132…サブタンク、166…フィルタ装置、P1,P2,P3…ポンプ、S1…異物センサ、S2…液面検出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の対象物に液体を付与する付与手段と、
前記付与手段が付与する液体を収容する収容部と、
前記収容部に収容された液体を循環させる循環流路と、
を備え、
前記循環流路は、
内部に液体を貯留し、液面の高さが所定の高さに達すると液体がオーバーフローする複数の沈殿槽を有する多段槽であって、オーバーフローした液体が順次次段の沈殿槽に流入するように前記複数の沈殿槽が接続された多段槽と、
前記多段槽を通過した液体をろ過するフィルタと、
前記収容部に収容された液体を前記多段槽に供給する第1の流路と、
前記ろ過された液体を前記収容部に戻す第2の流路と、
を備えたことを特徴とする液体付与装置。
【請求項2】
前記第1の流路は、前記多段槽の初段の沈殿槽に水平方向から液体を供給することを特徴とする請求項1に記載の液体付与装置。
【請求項3】
前記第1の流路は、前記多段槽の初段の沈殿槽の前記所定の高さから液体を供給することを特徴とする請求項2に記載の液体付与装置。
【請求項4】
前記第1の流路は、前記多段槽に複数個所から液体を供給することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項5】
前記第1の流路の終端に対向する位置に液体の流れを遮る遮蔽手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項6】
前記複数の沈殿槽は、後段の沈殿槽ほど体積が大きいこと特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項7】
前記多段槽を通過した液体に含まれる異物の状態を判定する異物センサと、
前記多段槽を通過した液体を前記多段槽の初段の沈殿槽に戻す第3の流路と、
前記多段槽を通過した液体を前記フィルタ及び前記第3の流路のいずれに供給するかを切り換える流路切り換え手段と、
前記異物センサにより異物の量が所定量未満であることが検出されると、前記多段槽を通過した液体を前記フィルタに供給させ、前記異物センサにより異物の量が所定量以上であることが検出されると、前記多段槽を通過した液体を前記第3の流路に供給させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項8】
前記異物センサは、光を投光する投光部と、該投光部の投光した光を、前記多段槽を通過した液体を介して受光する受光部とを有し、該受光部の受光光量に基づいて前記異物を検出することを特徴とする請求項7に記載の液体付与装置。
【請求項9】
前記異物センサの検出結果に基づいて、前記フィルタが捕捉した異物の積算量を算出する積算手段と、
前記算出された積算量が所定量を超えたことを警告する第1の警告手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載の液体付与装置。
【請求項10】
前記第3の流路は前記液体を貯蔵する貯蔵槽を備え、
前記制御手段は、前記多段槽から前記貯蔵槽への流量よりも前記貯蔵槽から前記多段槽への流量の方が小さくなるように第3の流路の流量を制御することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項11】
前記貯蔵槽に貯蔵された液体の量を検出する液量センサと、
前記貯蔵槽に貯蔵された液体の量が所定量を超えたことを警告する第2の警告手段と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の液体付与装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の液体付与装置により記録媒体の記録面に処理液を付与する処理液付与手段と、
前記処理液が付与された記録媒体の記録面にインクを吐出する記録ヘッドと、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項1】
所定の対象物に液体を付与する付与手段と、
前記付与手段が付与する液体を収容する収容部と、
前記収容部に収容された液体を循環させる循環流路と、
を備え、
前記循環流路は、
内部に液体を貯留し、液面の高さが所定の高さに達すると液体がオーバーフローする複数の沈殿槽を有する多段槽であって、オーバーフローした液体が順次次段の沈殿槽に流入するように前記複数の沈殿槽が接続された多段槽と、
前記多段槽を通過した液体をろ過するフィルタと、
前記収容部に収容された液体を前記多段槽に供給する第1の流路と、
前記ろ過された液体を前記収容部に戻す第2の流路と、
を備えたことを特徴とする液体付与装置。
【請求項2】
前記第1の流路は、前記多段槽の初段の沈殿槽に水平方向から液体を供給することを特徴とする請求項1に記載の液体付与装置。
【請求項3】
前記第1の流路は、前記多段槽の初段の沈殿槽の前記所定の高さから液体を供給することを特徴とする請求項2に記載の液体付与装置。
【請求項4】
前記第1の流路は、前記多段槽に複数個所から液体を供給することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項5】
前記第1の流路の終端に対向する位置に液体の流れを遮る遮蔽手段を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項6】
前記複数の沈殿槽は、後段の沈殿槽ほど体積が大きいこと特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項7】
前記多段槽を通過した液体に含まれる異物の状態を判定する異物センサと、
前記多段槽を通過した液体を前記多段槽の初段の沈殿槽に戻す第3の流路と、
前記多段槽を通過した液体を前記フィルタ及び前記第3の流路のいずれに供給するかを切り換える流路切り換え手段と、
前記異物センサにより異物の量が所定量未満であることが検出されると、前記多段槽を通過した液体を前記フィルタに供給させ、前記異物センサにより異物の量が所定量以上であることが検出されると、前記多段槽を通過した液体を前記第3の流路に供給させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項8】
前記異物センサは、光を投光する投光部と、該投光部の投光した光を、前記多段槽を通過した液体を介して受光する受光部とを有し、該受光部の受光光量に基づいて前記異物を検出することを特徴とする請求項7に記載の液体付与装置。
【請求項9】
前記異物センサの検出結果に基づいて、前記フィルタが捕捉した異物の積算量を算出する積算手段と、
前記算出された積算量が所定量を超えたことを警告する第1の警告手段と、
を備えたことを特徴とする請求項7又は8に記載の液体付与装置。
【請求項10】
前記第3の流路は前記液体を貯蔵する貯蔵槽を備え、
前記制御手段は、前記多段槽から前記貯蔵槽への流量よりも前記貯蔵槽から前記多段槽への流量の方が小さくなるように第3の流路の流量を制御することを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の液体付与装置。
【請求項11】
前記貯蔵槽に貯蔵された液体の量を検出する液量センサと、
前記貯蔵槽に貯蔵された液体の量が所定量を超えたことを警告する第2の警告手段と、
を備えたことを特徴とする請求項10に記載の液体付与装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の液体付与装置により記録媒体の記録面に処理液を付与する処理液付与手段と、
前記処理液が付与された記録媒体の記録面にインクを吐出する記録ヘッドと、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−71040(P2013−71040A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210879(P2011−210879)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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