説明

液体充填装置

【課題】 容器に充填する液体の温度低下を防止しつつ容器に充填をする。
【解決手段】貯液タンク30内の加熱された液体31は、液体供給管40,充填ノズル部10の流路12及び充填ノズル15を介して、容器3に充填される。液体供給管40の外周側は、カバー60により囲まれる。このため、液体供給管40は、カバー60,内周壁4,貯液タンク30,旋回テーブル2で囲まれた空間内に位置し、外部空気と接触することがなくなり、液体供給管40内を流れる液体31の温度低下を防止することができる。また、カバー60等で囲まれる前記空間には、エアー供給装置80から、加熱した無菌エアーを供給して温度低下を防止している。更に、液体31を貯留した貯留室37は、断熱空気室36,38にて挟まれ、保温される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の液体を容器に充填する液体充填装置に関するものである。更に詳述すると、加熱または冷却した液体の温度変化を効果的に防止すると共に埃の混入を防ぎつつ液体を容器に充填することができるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
飲料工場において、飲料等の液体を、ペットボトルやビンや缶などの容器に自動的に充填するには、液体充填装置が用いられる。
【0003】
ここで液体充填装置を含む充填システムの一例を、平面図である図4を参照しつつ説明する。なお、図4では、各機器を概略的に示している。
【0004】
図4において、01は供給コンベア、02は転送ホイール、03は液体充填装置、04は転送ホイール、05はキャッパ、06は排出ホイール、07は排出コンベアである。このシステムでは、容器(例えばペットボトル)を把持しつつ搬送することができるように、転送ホイール02、液体充填装置03、転送ホイール04、キャッパ05、排出ホイール06のそれぞれには、外周部分に円周方向に沿い等間隔でホルダを備えている。これにより、転送ホイール02〜排出ホイール06は回転しつつ、容器を把持して搬送し受け渡しするようになっている。
【0005】
このため、供給コンベア01により搬送されてきた容器は、位置Aにて転送ホイール02のホルダにより把持されて、位置Aから位置Bにまで搬送される。位置Bでは、容器は転送ホイール02から液体充填装置03に受け渡され液体充填装置03のホルダで把持されて位置Bから位置Cにまで搬送される。位置Bから位置Cにまで搬送される際に、液体充填装置03に備えた充填ノズルを介して容器には液体が充填される。
【0006】
更に、容器は位置Cにて液体充填装置03から転送ホイール04に、位置Dにて転送ホイール04からキャッパ05に、位置Eにてキャッパ05から排出ホイール06に、位置Fにて排出ホイール06から排出コンベア07に受け渡されて搬送される。キャッパ05では、容器に蓋をするキャッピングが行われる。
【0007】
液体充填装置03では、旋回テーブルの外周部分に、円周方向に沿い等間隔に充填バルブ(液弁や充填ノズルを有している)及びホルダが配置されている。更に、旋回テーブルの上方位置には、この旋回テーブルと共に回転する貯液タンク(フィラボール)が配置されている。このフィラボールに貯留している飲料は、液体供給管を介して各充填バルブに供給されるようになっている。
【0008】
そして、ホルダにより容器を把持して位置Bから位置Cに搬送する間において、容器への充填量を計測しつつ、充填バルブから容器に飲料を充填している。なお、容器への充填量は、容器に流入する飲料の流量を計測したり、容器に充填した飲料の重量を計測したりすることにより行っている。
【0009】
ここで従来の液体充填装置の一例を、図5を参照しつつ説明する。
図5に示す液体充填装置1では、旋回テーブル2が旋回軸心Cを中心として水平面内で回転する。この旋回テーブル2の外周縁には、周方向に沿い等間隔に、複数の充填バルブ10と複数のホルダ20が配置されている。
旋回テーブル2の上方位置には、貯液タンク(フィラボール)30が配置されている。この貯液タンク20は、旋回テーブル2と共に回転する。
そして、貯液タンク30と各充填バルブ10は、液体供給管40により連通されている。
【0010】
充填バルブ10の本体ブロック11の中心部分には流路12が形成されており、この流路12内には液弁13が配置されている。この液弁13はロッド14を介してエアシリンダ50に連結されている。そして、エアシリンダ50の上下方向駆動により液弁13が上下方向(垂直方向)に移動し開弁・閉弁動作が行われるようになっている。つまり、流路12の下部に弁座12aが形成されており、液弁13が下方移動して弁座12aに当接することにより閉弁となり液体31の流通を遮断し、液弁13が上方移動して弁座12aから離れることにより開弁となり液体31を流通させる。
更に、本体ブロック11の下端には充填ノズル15が配置されている。
【0011】
ホルダ20は旋回テーブル2に固定されており、容器3を保持し、保持した容器3を充填バルブ10の充填ノズル15の下方位置に保持する。
【0012】
貯液タンク30の内部には、容器3に充填すべき液体(飲料)31が貯留されている。また貯液タンク30の内部のうち、貯留している液体31の上側の空間には、充填する液体31の種類に応じた気体が貯えられている。
【0013】
液体供給管40は、その上端が貯液タンク30に連通しており、その下端が充填バルブ10の流路12に連通して、貯液タンク30と充填バルブ10とを連通している。この液体供給管40には、電磁流量計41が介装されている。
【0014】
かかる構成となっている液体充填装置1では、エアシリンダ50により液弁13を上方に移動させて開弁状態になると、貯液タンク30内の液体31が、液体供給管40及び充填バルブ10の流路12を通り、充填ノズル15を介して、ホルダ20で保持された容器3内に充填される。このとき電磁流量計41にて充填流量を計測し、計測した充填流量が予め決めた規定量になったら、エアシリンダ50により液弁13を下方移動させて閉弁状態にする。
【0015】
充填バルブ10及び液体供給管40は、外部からの洗浄性を良くするため、従来では、図5に示すように、開放形の構造になっている。
【0016】
【特許文献1】特開平9−110094号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述したように、図5に示すような従来の液体充填装置1では、洗浄性を良くするために開放形の構造になっており、貯液タンク30,液体供給管40,充填バルブ10は、外気または室内空気流に接触する。この結果、貯液タンク30から充填バルブ10に供給される液体31は、液体供給管40を流通する間に、その温度が変化し易い。
【0018】
このため、開放形構造の液体充填装置1では、加熱した液体31を容器に充填するホットパック充填をする場合には、液体31が貯液タンク30から液体流通管40を流通して充填バルブ10に供給される間に温度低下してしまうという問題があった。
同様に、冷却した液体31を容器に充填する場合には、液体31が貯液タンク30から液体流通管40を流通して充填バルブ10に供給される間に温度上昇してしまうという問題があった。
【0019】
また、図5に示すような従来の液体充填装置1では、充填ノズル15から容器3に向けて液体31を自然落下させて充填をしている。このため、容器3はその開口が上方に向いた上向き状態となるようにホルダ20にて保持されている。このように、容器3が上向き状態となっているため、容器3の開口から埃や菌が入り込む恐れがあった。
【0020】
かかる温度低下や、埃・菌の混入を防止するために、特許文献1に示すように、液体充填装置を無菌チャンバ内に備えるようにした装置もある。この無菌チャンバの内部は無菌環境となっているため、殺菌後にHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどの除塵フィルタを通過させたエアーを、無菌チャンバ内に供給していた。
【0021】
しかし、無菌チャンバ内に液体充填装置を備える構成とした場合には、装置構造が大型化・複雑化してしまうという問題がある。
【0022】
本発明は、上記従来技術に鑑み、充填する液体の温度変化を効果的に防止し、且つ、埃・菌の混入を防止しつつ液体を容器に充填することができる液体充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決する本発明の構成は、
水平面内で回転する旋回テーブルと、
前記旋回テーブルの上方に配置されると共に、前記旋回テーブルと共に回転する、液体が貯留される貯液タンクと、
前記旋回テーブルに周方向に沿い並んで取り付けられており、下部に充填ノズルを有する複数の充填バルブと、
前記貯液タンクの液体を前記充填バルブに供給する液体供給管と、を備えた液体充填装置において、
前記充填バルブは、前記旋回テーブルの外周縁よりも内周側位置において、前記旋回テーブルを上下方向に貫通する状態で備えられており、前記充填ノズルが前記旋回テーブルの下面よりも下方に位置していることを特徴とする。
【0024】
また本発明の構成は、
水平面内で回転する旋回テーブルと、
前記旋回テーブルの上方に配置されると共に、前記旋回テーブルと共に回転する、液体が貯留される貯液タンクと、
前記旋回テーブルに周方向に沿い並んで取り付けられており、下部に充填ノズルを有する複数の充填バルブと、
前記貯液タンクの液体を前記充填バルブに供給する液体供給管と、を備えた液体充填装置において、
前記充填バルブは、前記旋回テーブルの外周縁よりも内周側位置において、前記旋回テーブルを上下方向に貫通する状態で固着されており、前記充填ノズルが前記旋回テーブルの下面よりも下方に位置しており、
上端が前記貯液タンクに連結され下端が前記旋回テーブルに連結され、前記旋回テーブルの周縁に沿い一周して前記充填バルブと前記液体供給管を外周側から囲うカバーにより保温室を形成することを特徴とする。
このとき、前記充填バルブを断熱材を介して旋回テーブルに固定してもよい。
【0025】
また本発明の構成は、
半径方向に関して前記充填バルブよりも外周側に配置されており、前記旋回テーブルの下面から下方に伸びると共に、前記旋回テーブルの周縁に平行して周方向に一周した外周側の防塵スカートと、
半径方向に関して前記充填バルブよりも内周側に配置されており、前記旋回テーブルの下面から下方に伸びると共に、前記旋回テーブルの周縁に平行して周方向に一周した内周側の防塵スカートとを備えたことを特徴とする。
【0026】
また本発明の構成は、
前記貯液タンクは、前記液体を貯留する貯留室と、この貯留室の径方向に隣接して形成された断熱空気室を有していることを特徴とする。
この際、この保温室にエアを供給し、その排気口にエアフィルタをつけ、保温室側にエアを排気することも特徴になる。
また更に保温室からエアフィルタを通して充填ノズル側に排気することも特徴となる。 勿論貯液タンクの温度に近い温度に供給エア温度を近づけるのが目的であるのでエアフィルタ不要でも構わないが、異物混入防止対策を考えるとエアフィルタを入れるのが無難である。
【0027】
また本発明の構成は、
前記カバーと前記貯液タンクと前記旋回テーブルとで囲まれた空間である保温室に、温度調整したエアーを供給するエアー供給手段を有することを特徴とする。
【0028】
また本発明の構成は、
外周側の防塵スカートと内周側の防塵スカートとの間に、温度調整したエアーを供給するエアー供給手段を有することを特徴とする。
【0029】
また本発明の構成は、前記カバーは透明であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明では、充填バルブが旋回テーブルを貫通する状態で備えられているため、充填ノズルの上方は旋回テーブルで被われるため、充填ノズルから液体が充填される容器に、埃や菌が落下して混入することを防止することができる。
【0031】
また本発明では、液体供給管を含めた充填バルブの周囲をカバーにて囲うようにしたので、液体供給管が外部空気と触れることがなくなり、液体供給管を流れる間に、液体が温度変化するのを防止することができる。
【0032】
また、充填バルブの充填ノズルを外周側と内周側の防塵スカートで挟むようにしたので、充填ノズルから液体が充填される容器に、埃や菌が混入することを防止することができる。
【0033】
また本発明では、貯液タンクの貯留室に液体を貯留し、貯留室の内外周に隣接して断熱空気室を配置したので、液体の温度変化を防止することができる。
また貯液タンクの上下に、断熱材を中間層に入れた素材や空気層を持つ蓋と底板を形成することで、貯液タンクの熱を上下方向や内外周方向へ抑止することが可能となり、断熱効果はより発揮される。
【0034】
更に、温度調整したエアーを保温室に供給することで、液体供給管を流れる液体の温度を一定に保つことができる。
【0035】
また、カバーが透明であるため、カバー内の液体供給管の状態を外部から観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に本発明の実施の形態を実施例に基づき詳細に説明する。なお図5に示す従来の液体充填装置1と同様な構成部分については、同一符号を付して説明をする。
【実施例1】
【0037】
図1は本発明の実施例1に係る液体充填装置1Aを示す。液体充填装置1Aでは、円板状の旋回テーブル2が、旋回軸心Cに設けられた回転軸に固定され、回転軸を軸心として水平面内で回転する。この旋回テーブル2には、周方向に沿い並んで、複数の充填バルブ10と、昇降機構(図示省略)を有する複数のホルダ20が等間隔に配置されている。
【0038】
各充填バルブ10は、旋回テーブル2の外周縁よりも内周側位置において、旋回テーブル2を上下方向に貫通する状態で備えられている。このため、充填バルブ10の上部(液体供給管40から液体31が供給される部分を含む上部)は、旋回テーブル2の上面2aよりも上方に位置し、充填バルブ10の下部(充填ノズル15を含む下部)は、旋回テーブル2の下面よりも下方に位置している。
【0039】
各ホルダ20は、昇降機構を有すると共に旋回テーブル2の下面2aに固定されており、後述する防塵スカート70よりも下端より下位において、容器3を受け取り保持し、保持した容器3を充填バルブ10の充填ノズル15の下方位置に上昇保持する。
勿論、充填バルブ10とホルダ20は対となって配置されている。
【0040】
旋回テーブル2の上方位置には、貯液タンク(フィラボール)30が配置されている。この貯液タンク20は、回転軸に固定され、旋回テーブル2と共に回転する。即ち、旋回テーブル2に固定された内周壁4の上端に、貯液タンク30が固定されている。なお、内周壁4は、円筒状部材であり、その軸心が旋回軸心Cに一致する状態で固定されている。
【0041】
貯液タンク30は、リング状の底板17と円筒状をなす4つの仕切壁32,33,34,35とが固定されて形成されている。仕切壁32,33,34,35は、旋回軸心Cを中心として同心状に配置されており、この仕切壁32,33,34,35は、底板17に一体的に固定されて形成されている。そして、最内周の仕切壁32と仕切壁33との間が内周側の断熱空気室36となり、仕切壁33と仕切壁34の間が貯留室37となり、仕切壁34と最外周の仕切壁35との間が外周側の断熱空気室38となっている。
つまり、液体31を貯留する貯留室37は、この貯留室37の径方向に隣接して形成された断熱空気室36,37により挟まれている。
【0042】
そして、貯留室37に加熱(90〜100°C程度)された液体(飲料)31が貯留されており、断熱空気室36,38に空気が入っている。各室36,37,38は、着脱可能な蓋39により上面が閉じられ密室が形成される。また、貯留室37の内部のうち、貯留している液体31の上側の空間には、充填する液体31の種類に応じた気体が貯えられている。
貯溜室37に貯溜された液体31は、待機運転中には、温度維持のため液体循環されている。
【0043】
この結果、貯留室37に貯留された液体31は、内周側及び外周側が断熱室36の空気層及び断熱室37の空気層により保温されている。
【0044】
貯液タンク30と各充填バルブ10は、液体供給管40により接続されている。液体供給管40は、底板17に固着された継手部材を介してその上端が貯液タンク30に連通しており、その下端が充填バルブ10の流路12の上部に連通して、貯液タンク30と充填バルブ10とを接続している。このとき、リング状の断熱材19を取付部に挿入し、充填バルブ10を旋回テーブル2に固定している。液体供給管40には、電磁流量計41が介装されている。なお液体供給管40は、内周壁4よりも外周側に位置している。
液体供給管40としては、通常の配管のみならず、2重断熱配管を採用することもできる。
【0045】
充填バルブ10の本体ブロック11の中心部分には流路12が形成されており、この流路12内には液弁13が配置されている。この液弁13はロッド14を介してエアシリンダ50に連結されている。そして、エアシリンダ50の上下方向駆動により液弁13が上下方向(垂直方向)に移動し開弁・閉弁動作が行われるようになっている。つまり、流路12の下部に弁座12aが形成されており、液弁13が下方移動して弁座12aに当接することにより閉弁となり液体31の流通を遮断し、液弁13が上方移動して弁座12aから離れることにより開弁となり液体31を流通させる。
更に、本体ブロック11の下端には充填ノズル15が配置されている。
【0046】
ホルダ20は旋回テーブル2の下面2aに固定されており、容器3を保持し、保持した容器3を充填バルブ10の充填ノズル15の下方位置に保持する。
【0047】
そして、エアシリンダ50により液弁13を上方に移動させて開弁状態になると、貯液タンク30内の液体31が、液体供給管40及び充填バルブ10の流路12を通り、充填ノズル15を介して、ホルダ20で保持された容器3内に充填される。このとき電磁流量計41にて液体流量を計測し、計測した液体流量が予め決めた規定量になったら、エアシリンダ50により液弁13を下方移動させて閉弁状態にする。
【0048】
更に本実施例では、樹脂またはガラスなどで形成した透明のカバー60を備えている。このカバー60の形状は、旋回軸心Cを中心とした円筒状となっている。更に詳述すると、カバー60は周方向に沿う複数箇所で分割されているが、カバー60全体としては円筒形状になっている。このカバー60は、その下端が旋回テーブル2に固持されていると共に、その上端が貯液タンク30に固持されており、前記旋回テーブル2の周縁に沿い一周して、液体供給管40及び充填バルブ10の上部を、外周側から囲っている。
【0049】
このため、内周側の内周壁4と、外周側のカバー60と、上側の貯液タンク30の底板17と、下側の旋回テーブル2とで囲まれた空間である保温室18内に、液体供給管40及び充填バルブ10の上部が配置されることになる。
【0050】
旋回テーブル2の下面には、下方に伸びると共に、旋回軸心Cを中心として全体としてリング状をなす外周側の防塵スカート70と、下方に伸びると共に、旋回軸心Cを中心として全体でリング状をなす内周側の防塵スカート71が、着脱可能な状態で備えられている。防塵スカート70,71は、周方向に沿う複数箇所で分割されている。
しかも、半径方向に関して、防塵スカート70と防塵スカート71との間に、充填バルブ10の下部(充填ノズル15など)が位置するように配置している。
つまり、外周側の防塵スカート70は、半径方向に関して充填バルブ10よりも外周側に配置されており、旋回テーブル2の下面2aから下方に伸びると共に、旋回テーブル2の周縁に平行して周方向に一周している。
また、内周側の防塵スカート71は、半径方向に関して充填バルブ10よりも内周側に配置されており、旋回テーブル2の下面2aから下方に伸びると共に、旋回テーブル2の周縁に平行して周方向に一周している。
【0051】
エアー供給装置80は、HEPAフィルタ等の除塵フィルタを通過させると共に、加熱(90〜100°C程度)した無菌エアーを、配管81を介して、防塵スカート70と防塵スカート71との間の空間(充填ノズル15及び容器3の上端開口が位置する部分)に向けて供給する。この空気は防塵スカート70と防塵スカート71の間に供給されてから、下方(α方向)に向けて抜けていく。
【0052】
またエアー供給装置80は、HEPAフィルタ等の除塵フィルタを通過させると共に、加熱(90〜100°C程度)した無菌エアーを、配管82を介して、内周壁4とカバー60と貯液タンク30と旋回テーブル2とで囲まれた空間(液体供給管40及び充填バルブ10の上部が位置する部分)に向けて供給する。このようにして供給された空気は、内周壁4に備えたフィルタ83を介して抜けていく。
【0053】
上記構成となっている液体充填装置1Aでは、充填バルブ10の充填ノズル15が、旋回テーブル2の下面2bの下方に位置する。つまり、充填ノズル15の上方、並びにホルダ20で保持された容器3の開口部分は、旋回テーブル2と防塵スカート71,72で被われることになる。この結果、ホルダ20に保持されて開口が上方に向いた容器3内に、埃や菌が混入しにくくなっている。
【0054】
更に、旋回テーブル2の下面と防塵スカート70と防塵スカート71との間の空間に無菌エアーを供給しているため、防塵スカート70と防塵スカート71との間が簡易な無菌空間となり、容器3内への埃や菌の混入を効果的に防止している。
【0055】
また本実施例に係る液体充填装置1Aでは、液体供給管40の外周側をカバー60にて囲っている。換言すると、内周壁4とカバー60と貯液タンク30と旋回テーブル2とで囲まれた空間である保温室18に液体供給管40が位置する。この結果、液体供給管40は、この保温室18の外部の空気と触れることはない。したがって、液体供給管40を介して貯液タンク30から充填バルブ10に流通していく液体31が、液体供給管40を流通している間に生ずる温度低下量を抑えることができる。
【0056】
更に、内周壁4とカバー60と貯液タンク30と旋回テーブル2とで囲まれた保温室18に、加熱したエアーをエアー供給装置80から供給するため、液体供給管40を流通する液体31が温度低下することを抑えることができる。
【0057】
しかも、内周壁4とカバー60と貯液タンク30と旋回テーブル2とで囲まれた保温室18は、エアーが供給されることにより陽圧となるが、このエアーはフィルタ83を介して排気されるため、この空間内に湿気がこもることを抑えることができる。
【0058】
また、貯留室37に貯留された液体31は、内周側及び外周側が断熱室36の空気層及び断熱室37の空気層により挟まれ、上方は貯留室37内の気体で被われるため、周囲が空気及び空気で断熱される。このため加熱されて貯留室37内に充填された液体31からの放熱が抑制されて効果的に保温される。
【0059】
更に、カバー60が透明になっているため、内部の動作状況や漏れの有無等を外部から確認することができる。
【実施例2】
【0060】
図2は本発明の実施例2に係る液体充填装置1Bを示す。この液体充填装置1Bは、液体充填装置1Aに対して、エアーの供給経路が異なっている。
【0061】
この液体充填装置1Bでは、エアー供給装置80は、除塵フィルタを通過させた無菌のエアーを、配管84を介して貯液タンク30の断熱空気室38に供給している。この断熱空気室38に供給された空気は、貯留室37に貯留された液体31の熱により加熱される。
【0062】
断熱空気室38にて加熱された空気は、断熱空気室38の底面に備えたフィルタ85を介して、内周壁4とカバー60と貯液タンク30と旋回テーブル2とで囲まれた保温室18に供給されて、この保温室18を加熱するとともにこの保温室18を陽圧にする。
【0063】
上記保温室18に供給された空気は、旋回テーブル2に備えたフィルタ86を介して、防塵スカート70と防塵スカート71との間に供給されてから、下方(α方向)に向けて抜けていく。このエアーによる容器3内への埃混入を恐れる場合は、内外周どちらかに排気することも可能である。
【0064】
他の部分の構成は、図1に示す液体充填装置1Aと同様である。
【0065】
本実施例2では、エアー供給装置80から、加熱した空気を供給しなくても、断熱空気室38にて空気の加熱ができる。なお、加熱が不足する場合には、エアー供給装置80にて空気を加熱するようにしてもよい。
【0066】
なお、上記各実施例では、加熱した液体31を容器3に充填することを前提として説明をしたが、冷却した液体31を容器3に充填する場合にも、本発明を適用できることは言うまでもない。冷却した液体31を充填する場合には、エアー供給装置80から供給するエアーは冷却しておく。
【0067】
また本発明は、容器への充填量を、容器に充填した飲料の重量を計測することにより行うタイプの液体充填装置にも適用することができる。
【0068】
流量計としては、電磁流量計だけでなく、渦流量計でも、タービン流量計、超音波式流量計、質量流量計でも適用可能であり、液体の流量を計測し充填制御する方式で適用可能である。
また液面検出して制御する方式でも適用可能であり、液面検出する方法として、液体の電気伝導率や誘電率、光(可視光だけでなく紫外線や赤外線領域も含む)の透過度、輻射赤外線強度等にも適用可能で、何らかの手段で液体の充填高さが計測できれば適用可能である。
もちろん、充填開始からの時間で制御する方式にも適用可能である。
【実施例3】
【0069】
図3は本発明の実施例3に係る液体充填装置1Cを示す。この液体充填装置1Cは、液体充填装置1Aに対して、貯液タンク30の蓋39Aと底板17Aが異なっている。
【0070】
図3に基づいてその相違点を説明する。貯液タンク30Aは、底板17Aと仕切板32,33,34,35が一体的に形成され、蓋39Aが着脱可能な状態で装着されている。蓋39Aは、リング状で中空部を形成し、その中空部には断熱材39aが挿入されている。底板17Aもリング状で中空部を形成し、その中空部には断熱材17aが挿入されている。この断熱材を挿入した底板17Aおよび蓋39Aと、仕切板32,33,34,35で形成される断熱空気室36,38によって、貯液タンク30A内の液体31の保温効果をさらに向上させることができる。
また、断熱材39a,17aの挿入をなくして、空気層を形成することでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1に係る液体充填装置を示す構成図。
【図2】本発明の実施例2に係る液体充填装置を示す構成図。
【図3】本発明の実施例3に係る液体充填装置を示す構成図。
【図4】液体充填システムの一例の概略を示す構成図。
【図5】従来の液体充填装置を示す構成図。
【符号の説明】
【0072】
1,1A,1B,1C 液体充填装置
2 旋回テーブル
3 容器
4 内周壁
10 充填バルブ
17 底板
18 保温室
19 断熱材
20 ホルダ
30 貯液タンク
31 液体
40 液体供給管
41 電磁流量計
60 カバー
70,71 防塵スカート
80 エアー供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面内で回転する旋回テーブルと、
前記旋回テーブルの上方に配置されると共に、前記旋回テーブルと共に回転する、液体が貯留される貯液タンクと、
前記旋回テーブルに周方向に沿い並んで取り付けられており、下部に充填ノズルを有する複数の充填バルブと、
前記貯液タンクの液体を前記充填バルブに供給する液体供給管と、を備えた液体充填装置において、
前記充填バルブは、前記旋回テーブルの外周縁よりも内周側位置において、前記旋回テーブルを上下方向に貫通する状態で備えられており、前記充填ノズルが前記旋回テーブルの下面よりも下方に位置していることを特徴とする液体充填装置。
【請求項2】
水平面内で回転する旋回テーブルと、
前記旋回テーブルの上方に配置されると共に、前記旋回テーブルと共に回転する、液体が貯留される貯液タンクと、
前記旋回テーブルに周方向に沿い並んで取り付けられており、下部に充填ノズルを有する複数の充填バルブと、
前記貯液タンクの液体を前記充填バルブに供給する液体供給管と、を備えた液体充填装置において、
前記充填バルブは、前記旋回テーブルの外周縁よりも内周側位置において、前記旋回テーブルを上下方向に貫通する状態で備えられており、前記充填ノズルが前記旋回テーブルの下面よりも下方に位置しており、
上端が前記貯液タンクに固持され下端が前記旋回テーブルに固持され、前記旋回テーブルの周縁に沿い一周して前記液体供給管を外周側から囲うカバーを備えたことを特徴とする液体充填装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
半径方向に関して前記充填バルブよりも外周側に配置されており、前記旋回テーブルの下面から下方に伸びると共に、前記旋回テーブルの周縁に平行して周方向に一周した外周側の防塵スカートと、
半径方向に関して前記充填バルブよりも内周側に配置されており、前記旋回テーブルの下面から下方に伸びると共に、前記旋回テーブルの周縁に平行して周方向に一周した内周側の防塵スカートとを備えたことを特徴とする液体充填装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項において、
前記貯液タンクは、前記液体を貯留する貯留室と、この貯留室の径方向に隣接して形成された断熱空気室を有していることを特徴とする液体充填装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか一項において、
前記カバーと前記貯液タンクと前記旋回テーブルとで囲まれた空間である保温室に、温度調整したエアーを供給するエアー供給手段を有することを特徴とする液体充填装置。
【請求項6】
請求項3において、
外周側の防塵スカートと内周側の防塵スカートとの間に、温度調整したエアーを供給するエアー供給手段を有することを特徴とする液体充填装置。
【請求項7】
請求項2乃至請求項6の何れか一項において、
前記カバーは透明であることを特徴とする液体充填装置。
【請求項8】
請求項2乃至請求項6の何れか一項において、
前記充填バルブは断熱材を介して前記旋回テーブルに固定されていることを特徴とする液体充填装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れか一項において、
前記貯液タンクは、前記液体を貯留する貯留室と、この貯留室の上下方向に隣接して形成された断熱空気室または断熱材が充填された構造体を有していることを特徴とする液体充填装置。
【請求項10】
請求項5において、
前記貯液タンクで加熱または冷却された空気を前記保温室へ供給することを特徴とする液体充填装置。
【請求項11】
請求項2乃至請求項6の何れか一項において、
前記貯液タンクは待機運転中、温度維持のため液体循環されていることを特徴とする液体充填装置。
【請求項12】
請求項2乃至請求項6の何れか一項において、
前記液体供給管は2重断熱配管であることを特徴とする液体充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−182407(P2006−182407A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378558(P2004−378558)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年10月20日 株式会社ビバリッジジャパン社発行の「Beverage Japan No.274(Vol.27,No.10)平成16年第10号 通巻274号」に発表
【出願人】(505193313)三菱重工食品包装機械株式会社 (146)
【Fターム(参考)】