説明

液体加熱調理器

【課題】店内の客の入りに応じて、液体の待機温度を適切に調節できる液体加熱調理器を提供する。
【解決手段】フライヤ1は、飲食店等の調理領域70に設置されて使用され、店舗内のホール60における客7の入りに応じて、調理油の待機温度を切り換えることができる。客7の入りは、客7がホール60に入場する際に押される自動ドア100の入場スイッチ75の押下回数を単位時間毎にカウントして評価する。そして単位時間当たりのカウント数が所定回数以上の場合は、客7の入りが多いと推測され、フライヤ1の油槽内の油温を、食材を迅速に揚げることができる待機温度T1(℃)に設定する。一方p1回未満の場合は、客7の入りが少ないと推測され、待機温度T1よりも低い待機温度T2(℃)に設定する。よって油槽内も調理油を加熱するバーナにおいて、燃焼ガスが無駄に浪費されないので燃焼ガスを節約できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体加熱調理器に関し、詳しくは、フライヤ、ゆで麺器等、加熱した油又は水等の液体によって食材を加熱調理することができる液体加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食店等に使用されるフライヤ等の液体加熱調理器は、調理油等の液体を収容する調理槽と、その調理槽を加熱するバーナ等の加熱手段と、液体の温度を検出する温度検出手段と、加熱手段を制御する制御手段とを備えている。そして、その制御手段が、選択された調理メニューにしたがって液体の温度を監視するとともに、加熱手段を動作させて調理槽内の液体を設定温度で加熱することによって、調理槽内に投入された食材を加熱調理することができる。
【0003】
このような液体加熱調理器において、例えば、所定の調理メニューの開始時間や完了時間等の調理スケジュールを、一日や一週間等の所定の期間ごとに設定できるスケジュール設定手段を備えた液体加熱調理器が知られている(例えば、特許文献1参照)。この液体加熱調理器では、調理スケジュールに基づく加熱調理の空き時間に、液体の温度が空き時間の長さに応じて設定された所定の保温温度となるように、制御手段が加熱手段を動作させるので、調理スケジュールにおける加熱調理では常に迅速な立ち上がりを確保することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2004−275431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の液体加熱調理器では、液体の保温温度(待機温度)の変更は、スケジュール設定手段に設定された調理スケジュールに基づいて行われるため、飲食店等の現実の客の入りと加熱調理する時間帯との間にズレが生じるという問題点があった。これにより、例えば、現実の客の入りが激しくなって店内が混雑している場合でも、液体温度が低いまま維持されてしまい、客の注文に迅速に対応できないことがあった。これとは逆に、現実の客の入りのピークが過ぎて店内が空いている場合でも、液体温度が高い温度で維持されてしまい、加熱手段の動作にかかるエネルギーの浪費を招くことがあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、店内の客の入りに応じて、液体の待機温度を適切に調節できる液体加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の液体加熱調理器は、液体を収容する調理槽と、当該調理槽内の前記液体を加熱する加熱手段と、前記液体の温度を検出する温度検出手段と、所定領域内への客の入りを検出する客入り検出手段と、当該客入り検出手段の検出結果に応じて、前記液体の待機温度を設定する温度設定手段と、前記液体が、当該温度設定手段によって設定された前記待機温度となるように前記加熱手段の動作を制御する加熱制御手段とを備え、前記温度設定手段は、前記客入り検出手段の検出結果が所定値以上の場合は、第1の待機温度を設定し、前記客入り検出手段の検出結果が前記所定値未満の場合は、前記第1の待機温度よりも低い第2の待機温度を設定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明の液体加熱調理器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記客入り検出手段は、前記所定領域の入口のドアを開閉するスイッチの押下を検出するとともに、単位時間当たりの前記押下回数を算出する押下回数算出手段を備え、前記温度設定手段は、前記押下回数算出手段によって算出された前記単位時間当たりの前記押下回数が所定回数以上の場合は前記第1の待機温度を設定し、前記所定回数未満の場合は前記第2の待機温度を設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明の液体加熱調理器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記客入り検出手段は、前記所定領域の入口のドアの開閉回数を検出するとともに、単位時間当たりの前記ドアの開閉回数を算出する開閉回数算出手段を備え、前記温度設定手段は、前記開閉回数算出手段によって算出された前記単位時間当たりの前記ドアの開閉回数が所定回数以上の場合は前記第1の待機温度を設定し、前記所定回数未満の場合は前記第2の待機温度を設定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明の液体加熱調理器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記客入り検出手段は、前記所定領域の入口の通過人数を検出するとともに、単位時間当たりの通過人数を算出する人数算出手段を備え、前記温度設定手段は、前記人数算出手段によって算出された前記単位時間当たりの前記通過人数が所定人数以上の場合は前記第1の待機温度を設定し、前記所定人数未満の場合は前記第2の待機温度を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明の液体加熱調理器では、調理槽内の液体が加熱手段によって加熱されることによって、調理槽内に投入された食材が加熱調理される。そして、客入り検出手段によって所定領域内への客の入りが検出され、その検出結果に応じて液体の待機温度が温度設定手段によって設定される。さらに、加熱制御手段によって、調理槽内の液体が設定された待機温度となるように加熱手段を動作させる。これにより、所定領域内への客の入りに応じて、調理槽内の液体の温度を調整することができる。そして、液体の待機温度は、温度設定手段により、客入り検出手段の検出結果が所定値以上の場合は、第1の待機温度が設定され、検出結果が所定値未満の場合は、第1の待機温度よりも低い第2の待機温度が設定される。これにより、例えば、第1の待機温度を食材を迅速に加熱できる所望の温度に設定することで、客入り検出手段の検出結果が所定値以上の場合でも、その客の入りに応じて食材を加熱調理することができる。さらに、客入り検出手段の検出結果が所定値未満の場合は、第1の待機温度よりも低い第2の待機温度が設定されるので、加熱手段の動作にかかるエネルギーを節約することができる。なお、客の入りとは、所定領域内への客の入り具合を示し、所定領域内における人の混雑度を間接的に示すものである。
【0012】
また、請求項2に係る発明の液体加熱調理器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、客が所定領域内に入場する際は、客が所定領域の入口のドアを開閉するスイッチを押下するので、客入り検出手段がこのスイッチの押下回数を検出し、押下回数算出手段が単位時間当たりの押下回数を算出することによって、所定領域内への客の入りを推測することができる。さらに、温度設定手段によって、押下回数算出手段によって算出された単位時間当たりの押下回数が所定回数以上の場合は、第1の待機温度が設定され、所定回数未満の場合は第2の待機温度が設定される。例えば、単位時間当たりの押下回数が所定回数以上の場合でも、第1の待機温度を食材を迅速に加熱できる所望の温度に設定することによって、客の入りが多くても食材を加熱調理することができる。さらに、単位時間当たりの押下回数が所定回数未満の場合は、第1の待機温度よりも低い第2の待機温度が設定されるので、加熱手段によって消費されるエネルギーを節約することができる。
【0013】
また、請求項3に係る発明の液体加熱調理器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、客が所定領域内に入場する際は、入口のドアが少なくとも1回は開閉されるので、客入り検出手段がこのドアの開閉回数を検出し、開閉回数算出手段が単位時間毎のドアの開閉回数を算出することによって、所定領域内への客の入りを推測することができる。さらに、その開閉回数算出手段によって算出された単位時間当たりのドアの開閉回数が所定回数以上の場合は、第1の待機温度が設定され、所定回数未満の場合は第2の待機温度が設定される。例えば、単位時間当たりのドアの開閉回数が所定回数以上の場合でも、第1の待機温度を食材を迅速に加熱できる所望の温度に設定することによって、客の入りが多くても食材を加熱調理することができる。さらに、単位時間当たりのドアの開閉回数が所定回数未満の場合は、第1の待機温度よりも低い第2の待機温度が設定されるので、加熱手段の動作で消費されるエネルギーを節約することができる。
【0014】
また、請求項4に係る発明の液体加熱調理器では、請求項1に記載の発明の効果に加え、客が所定領域内に入場する際は、客が所定領域の入口を通過するので、客入り検出手段がこの客の通過人数を検出し、人数算出手段が単位時間当たりの通過人数を算出することによって、所定領域内への客の入りを推測することができる。さらに、その人数算出手段によって算出された単位時間当たりの通過人数が所定人数以上の場合は、第1の待機温度が設定され、所定人数未満の場合は第2の待機温度が設定される。例えば、単位時間当たりの通過人数が所定人数以上の場合でも、第1の待機温度を食材を迅速に加熱できる所望の温度に設定することによって、客の入りが多くても食材を加熱調理することができる。さらに、単位時間当たりの通過人数が所定人数未満の場合は、第1の待機温度よりも低い第2の待機温度が設定されるので、加熱手段の動作で消費されるエネルギーを節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態であるフライヤ1について、図面に基づいて説明する。図1は、フライヤ1を調理領域70内に配置した店舗内のレイアウト図であり、図2は、フライヤ1の断面図であり、図3は、図2に示すA−A線矢視方向断面図であり、図4は、制御装置50の構成を示すブロック図であり、図5は、ROM52の記憶エリアを示す概念図であり、図6は、RAM53の記憶エリアを示す概念図であり、図7は、CPU51によるメインの制御動作のフローチャートであり、図8は、客入り検出処理を示すフローチャートであり、図9は、温度設定処理を示すフローチャートである。
【0016】
本実施形態であるフライヤ1(図2参照)は、例えば、図1に示す飲食店等の調理領域70に設置されて使用されるものであって、店舗内のホール60における客7の入りに応じて、調理油の待機温度を切換可能な点に本発明の特徴を有するものである。なお、以下説明において、「客7の入り」とは、「店舗内のホール60における客7の入り具合」を意味するものとする。
【0017】
はじめに、本実施形態のフライヤ1が設置される飲食店の店舗内レイアウトの一例について説明する。図1に示すように、飲食店の店舗内は仕切壁によって3つの領域に仕切られ、客7が飲食するための領域であるホール60と、調理人9が食材を調理するための領域である調理領域70と、該調理領域70で使用される食材等を保管するための領域である保管領域80とに仕切られている。そして、ホール60と調理領域70とを仕切る仕切壁には出入口92が設けられ、調理領域70と保管領域80とを仕切る仕切壁には出入口93が設けられ、保管領域80の外壁には外部との出入りが行われる出入口94が設けられている。なお、図1に示すホール60が「所定領域」に相当する。
【0018】
また、ホール60を取り囲む外壁には、ホール60に客7が入退場するための出入口91が設けられている。その出入口91には、該出入口91をスライド開閉するための自動ドア100が設けられている。そして、出入口91の近傍には、自動ドア100をスライド開閉させるためのドア駆動装置(図示外)が設けられている。さらに、自動ドア100の店舗の外側に対向する外面には、自動ドア100を開いて出入口91からホール60に入場するためのタッチ式の入場スイッチ75が取り付けられ、その反対側の内面には、自動ドア100を開いて出入口91から外側に退場するためのタッチ式の退場スイッチ76が取り付けられている。さらに、出入口91の上部には、人の有無を検知する赤外線センサ(図示外)が設けられている。
【0019】
そして、これら入場スイッチ75、退場スイッチ76及び赤外線センサ(図示外)がドア駆動装置に接続されている。入場スイッチ75及び退場スイッチ76は、自動ドア100を開くことを指示するオン信号をドア駆動装置に出力する。よって、ドア駆動装置がその出力された信号を認識することによって、自動ドア100をスライドさせて出入口91を開閉するようになっている。そして、自動ドア100は、スライドして出入口91が開いてから所定時間経過後には再び閉じられるようになっている。また、入場スイッチ75により自動ドア100を開けた人が通り過ぎた場合でも、赤外線センサが出入口91に人の存在を検知した場合は、自動ドア100を閉じないように制御される。また、ホール60には、客7が飲食するためのテーブル15及び椅子(図示外)が複数配置され、出入口91に対向する場所には、客7が飲食後に精算するための精算台65が配置され、該精算台65上には店員8が操作するレジ67が載置されている。
【0020】
一方、調理領域70には、一対のガスコンロを支持するコンロ台71と、本実施形態であるフライヤ1と、作業台72と、食器及び食材等を水洗いするシンク73と、作業台74と等が各々配置されている。そして、この調理領域70に設置されたフライヤ1は、ホール60における客7の入りに応じて、フライヤ1の油槽10(図2参照)内の調理油の待機温度を2つの待機温度T1、T2(℃)の何れかに切り換えることができる。さらに、フライヤ1は、ホール60における客7の入りを、客7がホール60に入場する際に押下された入場スイッチ75の押下回数を所定時間毎に検出することによって、調理油の待機温度を適宜切り換えることができる。以下、このようなフライヤ1の構造及び制御装置50(図3参照)による制御動作について順次説明する。
【0021】
次に、本実施形態のフライヤ1の構造について概略的に説明する。図2に示すように、フライヤ1は、食材を揚げるための調理油を収容する油槽10と、該油槽10の下部の左右両側に設けられ、油槽10内の調理油を加熱する加熱装置20と、これら油槽10及び加熱装置20を共に収納して保護するケーシング4とを主体に構成されている。
【0022】
次に、油槽10について説明する。図2,図3に示すように、油槽10は、その上下方向における中段部分から底部にかけて内側に窄むすり鉢形状を備えている。そして、その中段部分の左右両側面には、底部に向かってなだらかに湾曲して傾斜する一対の傾斜面10aが設けられている。さらに、油槽10内の傾斜面10aよりも上側には金属製の網14が水平に配置され、該網14の上側には、食材が投入される調理ゾーン11が形成され、下側には、温度の低い調理油が対流して流入するコールドゾーン12が形成されている。なお、図2に示す油槽10が「調理槽」に相当する。
【0023】
また、そのコールドゾーン12の上部には、油槽10の側面を前後方向に貫通し、加熱装置20の排気が通過する排気通路13が設けられている。さらに、油槽10の一対の傾斜面10aの各外面には、油槽10の前後方向に延びる数本のフィン10dが各々設けられている。一方、油槽10内の上部背面側には、調理ゾーン11の油温を計測する温度センサ57が設置され、該温度センサ57は、加熱装置20の後述する制御装置50に接続されている。なお、図2に示す温度センサ57が「温度検出手段」に相当する。
【0024】
次に、加熱装置20について説明する。図2,図3に示すように、加熱装置20は、一対の傾斜面10aの各外面の近傍に設けられ、輻射熱(放射熱)で傾斜面10aを加熱するバーナ3a,3bと、該バーナ3a,3bに燃料ガスを供給する燃料ガス供給部30と、前記バーナ3a,3bに燃焼用空気を供給する給排気部40と、前記バーナ3a,3bの燃焼や油槽10の温度制御等を行う制御装置50とを主体に構成されている。なお、図2に示すバーナ3a,3bが「加熱手段」に相当する。
【0025】
バーナ3a,3bについて説明する。図2,図3に示すように、バーナ3a,3bは、一対の傾斜面10aの各外面に沿って上下2列に各々設けられている。このバーナ3a,3bは、多数の炎口が設けられたセラミックプレートのプレート表面で、全一次燃焼を行なう全一次空気式バーナである。
【0026】
燃料ガス供給部30について説明する。図2,図3に示すように、燃料ガス供給部30は、ケーシング4の底部に設けられたガス入口31と、該ガス入口31に接続され、ガス入口31から流入する燃料ガスをバーナ3a,3bに供給するガス供給管32と、該ガス供給管32に設けられ、管内のガス流路を開閉することで、バーナ3a,3bに供給される燃料ガス量を調節するガス電磁弁33と、前記ガス供給管32の下流側に設けられ、バーナ3a,3bに燃料ガスを各々噴出するノズル32a,32bとを主体に構成されている。この構成により、バーナ3a,3bに燃料ガスが供給され、ノズル32a,32bとバーナ3a,3bの隙間から燃焼用の一次空気が吸引されるようになっている。
【0027】
給排気部40について説明する。図2に示すように、給排気部40は、ケーシング4の上部背面側から上方に延設され、加熱装置20の排気を外部に排出する排気筒42と、油槽10の下方に設けられた第1給気管43と、該第1給気管43の空気が流れる下流側に設けられ、空気を第1給気管43内に取り込むためのファン41と、該ファン41の下流側に接続され、排気通路13から流れる排気をファン41によって取り込まれた空気の流れによって排気筒42に向かって流出させる第2給気管44とを主体に構成されている。
【0028】
次に、制御装置50について説明する。図2に示す制御装置50は、温度センサ57の検出信号に基づいて油温を所定範囲内に維持するようにガス電磁弁33を開閉させ、バーナ3a,3bの燃焼を調整するものである。図4に示すように、制御装置50は、周知の算術論理演算回路を有するCPU51を備え、該CPU51には、各種制御プログラムや制御データを記憶するROM52と、一時的に情報を格納するRAM53と、タイマ54と、データの入出力を行うI/Oインタフェイス55とが各々接続されている。さらに、I/Oインタフェイス55には、バーナ3a,3bの点火消火を行うバーナスイッチ25と、ガス電磁弁33と、温度センサ57と、自動ドア100の入場スイッチ75とが各々接続されている。
【0029】
このように、バーナスイッチ25の点火消火を指示するオンオフ信号はCPU51に入力されるので、CPU51は、そのオンオフ信号に基づいてバーナ3a,3bの点火・消火動作を制御する。また、温度センサ57によって検出された油温の検出信号はCPU51に入力されるので、CPU51は、現在の油温が所定範囲内になるように、ガス電磁弁33の開閉を制御してバーナ3a,3bの燃焼を調節する。また、入場スイッチ75のオン信号はCPU51に入力されるので、CPU51は、このスイッチのオン信号に基づいて、客7がホール60に入場する際の入場スイッチ75の押下回数をカウントして、客7の入りを推測する。
【0030】
次に、ROM52及びRAM53について説明する。図5に示すように、ROM52は、初期設定を行う初期設定プログラムを記憶する初期設定プログラム記憶エリア521、フライヤ1のメインの制御プログラムを記憶する制御プログラム記憶エリア522、バーナ3a,3bへの燃料ガスの供給量を制御する燃料制御プログラムを記憶する燃料制御プログラム記憶エリア523等の各種制御プログラムや、各種制御データを記憶する制御データ記憶エリア524等を備えている。一方、RAM53は、図6に示すように、入場スイッチ75の単位時間当たりの押下回数を記憶する押下回数記憶エリア531等が設けられている。
【0031】
次に、ホール60における客7の入りの検出方法について説明する。図1に示すように、本実施形態のフライヤ1が設置される店舗内のホール60には、入口と出口とを兼用する1つの出入口91が設けられている。そこで、出入口91を開閉する自動ドア100の開閉回数をカウントした場合、ホール60に入場する際の自動ドア100の開閉回数と、ホール60から退場する際の自動ドア100の開閉回数とが混在した回数をカウントすることになる。よって、客7がホール60に入場する際に押下される自動ドア100の入場スイッチ75のオン信号を検出し、入場スイッチ75の押下回数をカウントすることで、客7がホール60に入場する際の自動ドア100の開閉回数を間接的にカウントすることができる。そして、入場スイッチ75の押下回数を単位時間毎(例えば、10分間)にカウントし、そのカウント数が所定回数(p1回)以上の場合は、客7の入りが多いと推測され、所定回数(p1回)未満の場合は、客7の入りが少ないと推測できる。なお、客7の入りの評価基準は、ホール60の収容人数や、1日における客7の混み具合の変動データ、季節、曜日等から決定するとよい。
【0032】
なお、本実施形態のフライヤ1は、入場スイッチ75及び退場スイッチ76を押下することによって開閉する自動ドア100を備えた店舗に設置されるものであるが、自動ドアはこれ以外に種々のタイプのものが存在する。例えば、赤外線センサを用いて、該赤外線センサから出される赤外線を人間が通過することで、人間の通過を検出してドアを開閉する自動ドアがある。また、出入口91に敷かれるフロアマットに感圧センサを設置し、該感圧センサが人間の重量を検知することによってドアを開閉する自動ドアもある。つまり、このような自動ドアのタイプによって客7の入りの検出方法が異なる。前者のタイプの場合、例えば、赤外線センサを自動ドアの外側と内側とにそれぞれ取り付け、ホール60への入場を検出する外側の赤外線センサを制御装置50に接続する。これにより、ホール60に入場する際の自動ドア100の開閉回数をカウントすることができる。
【0033】
一方、後者のタイプの場合では、例えば、2つの感圧センサを、出入口91のフロアマット(図示外)の自動ドアの外側に位置する部分と内側に位置する部分とにそれぞれ設置し、ホール60への入場を検出する外側の感圧センサのみを制御装置50に接続する。これにより、ホール60に入場する際の自動ドア100の開閉回数をカウントすることができる。これにより、ホール60に入場する際の自動ドア100の開閉回数をカウントすることができる。
【0034】
また、入口と出口とが別々に設けられているホールを備える店舗の場合は、例えば、入口側の自動ドアの開閉回数をカウントすればよい。この場合、ドア駆動装置を制御装置50に接続して、入口の自動ドアの単位時間当たりの開閉回数をカウントすればよい。
【0035】
次に、油槽10の調理油の待機温度について説明する。図2に示す油槽10内の調理油は、客7の注文に応じて食材を速やかに加熱調理するため、加熱装置20によって所定の待機温度に維持される。そこで、本実施形態のフライヤ1では、ホール60の客7の入りに応じて、2つの待機温度T1,T2(℃)の何れかに切り換えることができる。例えば、自動ドア100入場スイッチ75の単位時間当たりの開閉回数がp1回以上の場合は、客7の入りが多いと推測されるので、待機温度T1(℃)が設定される。このT1(℃)は、食材を迅速に油で揚げることができる高い温度に設定される。これにより、ホール60が客7で混んでフライヤ1に投入される食材が多くなった場合でも、調理加熱を迅速に行うことができる。
【0036】
一方、入場スイッチ75の単位時間当たりの押下回数がp1回未満の場合は、客7の入りが少ないと推測されるので、待機温度T2(℃)が設定される。このT2(℃)は、T1(℃)よりも低めの温度が設定される。これにより、バーナ3a,3bによって消費される燃料ガスを節約できるので、エネルギー効率が向上するとともに、フライヤ1の動作にかかるコストを節約することができる。さらに、バーナ3a,3bからの排気を低減することもできる。
【0037】
次に、CPU51によるフライヤ1のメインの制御動作について、図7乃至図9のフローチャートを参照して説明する。はじめに、フライヤ1の起動スイッチ(図示外)がオンされると、初期設定プログラムが読み込まれて初期設定がなされる。そして、フライヤ1のバーナスイッチ25がオンされたか否かが判断される(S11)。ここで、バーナスイッチ25がオンされていないと判断された場合は(S11:NO)、S11に戻り、バーナスイッチ25がオンされたか否かが引き続き監視される。そして、バーナスイッチ25がオンされたと判断された場合(S11:YES)、ガス電磁弁33が開放されるので、ノズル32a,32bからバーナ3a、3bに燃料ガスが供給され、点火装置(図示外)によってバーナ3a,3bが点火される(S12)。
【0038】
そして、図2に示すように、ノズル32a,32bからバーナ3a,3bに向かって燃料ガスが供給されると、ノズル32a,32bとバーナ3a,3bとの隙間から燃焼用の一次空気が吸引されるので、バーナ3a,3bの燃焼状態が良好に保たれる。また、バーナ3a,3bからの輻射熱は、油槽10の傾斜面10aとフィン10dとに放射される。よって、輻射熱を受けた油槽10では、傾斜面10aを介して内部の調理油との熱交換が行われる。一方、バーナ3a,3bで生じた排気は、油槽10の左右側面後方から排気筒42に流入する。また、一部の排気は、油槽10の中央部に貫通された排気通路13を経由して排気筒42へ流入する。そして、この排気通路13においても、調理油との熱交換が行われるので熱効率が良い。また、給排気部40では、ファン41が稼働するので、外部から第1給気管43及び第2給気管44に空気が取り込まれるので、その取り込まれた空気によって、排気通路13から流れる排気が排気筒42を介して外部に排出される。
【0039】
次いで、ホール60における客7の入りを検出するために、客入り検出処理が実行される(S13)。この客入り検出処理では、上述したように、自動ドア100の入場スイッチ75の単位時間当たりの押下回数がカウントされる。なお、この客入り検出処理については後述する。そして、客入り検出処理が終了すると、客入り検出処理で検出された客7の入りに基づいて、温度設定処理が実行される(S14)。この温度設定処理では、上述したように、客入り検出処理で検出された入場スイッチ75の単位時間当たりの押下回数に基づいて、油槽10内の調理油の待機温度が設定される。なお、この温度設定処理についても後述する。そして、温度設定処理が終了すると、油槽10内の調理油の油温が温度設定処理で設定された待機温度となるように、加熱装置20の加熱動作が制御される(S15)。これにより、ホール60における客7の入りに応じて、油槽10の待機温度を適切に調節することができる。
【0040】
次いで、バーナスイッチ25がオフされたか否かが判断される(S16)。ここで、バーナスイッチ25がまだオフされていないと判断された場合は(S16:NO)、S13に戻って、客入り検出処理が再び実行され、客7の入りに応じた待機温度に油槽10内の油温が制御される。そして、バーナスイッチ25がオフされたと判断された場合(S16:YES)、ガス電磁弁33が閉塞されるので、ノズル32a,32bからバーナ3a、3bに燃料ガスの供給が停止され、バーナ3a,3bが消火される(S17)。そして、S11に戻って、一連の処理が繰り返される。
【0041】
次に、客入り検出処理(S13)について説明する。図8に示すように、まず、自動ドア100の押下回数カウンタpがリセットされる(S21)。次いで、タイマ54がリセットされ(S22)、スタートされる。さらに、入場スイッチ75が押されたか否かが判断される(S23)。そして、入場スイッチ75が押下されたと判断された場合(S23:YES)、押下回数カウンタpに1が加算される(S24)。続いて、単位時間(例えば、10分間)経過したか否かが判断される(S25)。ここで、まだ単位時間を経過していないと判断された場合(S25:NO)、S23に戻って、引き続き入場スイッチ75の押下の有無が判断される。そして、入場スイッチ75が押されなかったと判断された場合(S23:NO)、押下回数カウンタpに1が加算されずに、再度単位時間を経過したか否かが判断される(S25)。
【0042】
そして、単位時間を経過したと判断された場合(S25:YES)、その時の押下回数カウンタpの値が、RAM53上の押下回数記憶エリア531に記憶される(S26)。なお、この押下回数記憶エリア531に、前回の押下回数が記憶されている場合は、今回の押下回数に書き換えられる。
【0043】
次いで、バーナスイッチ25がオフされたか否かが判断される(S27)。ここで、バーナスイッチ25がまだオフされていないと判断された場合(S27:NO)、温度設定処理(図7,図9参照)に移行される。一方、バーナスイッチ25がオフされたと判断された場合(S27:YES)、図7に示すS17に移行され、バーナ3a,3bが消火される。
【0044】
次に、温度設定処理について説明する。図9に示すように、まず、RAM53上の押下回数記憶エリア531に記憶された押下回数カウンタpの値が、p1以上か否かが判断される(S31)。そして、押下回数カウンタpの値がp1以上の場合(S31:YES)、ホール60における客7の入りが多いことが予測されるので、油槽10内に投入される食材を迅速に揚げることができる待機温度T1(℃)が設定される(S33)。その後、加熱装置20によって、油槽10内の油温がT1(℃)になるように調節される。これにより、ホール60に滞留する客7の人数が多くて、料理の注文数が多くなっても、速やかに調理加熱を行うことができる。
【0045】
また、RAM53上の押下回数記憶エリア531に記憶された押下回数カウンタpの値が、p1未満であると判断された場合(S31:NO)、ホール60における客7の入りが少ないことが予測されるので、油槽10に投入される食材の量は少ない。よって、油温を待機温度T1(℃)のまま維持するのは、バーナ3a,3bにおいて使用される燃焼ガスを浪費することになる。そこで、待機温度T1(℃)よりも低い待機温度T2(℃)が設定される(S32)。その後、加熱装置20が制御され、油槽10内の油温がT2(℃)になるように調節される。これにより、バーナ3a,3bにおいて燃焼ガスが無駄に浪費されないので、燃焼ガスを節約することができる。また、客7の入りが少ない場合は、排気を低減することができるので、環境的にも好ましいと言える。
【0046】
なお、上記説明において、図7に示すS13の処理を実行するCPU51が「客入り検出手段」に相当し、S15の処理を実行するCPU51が「加熱制御手段」に相当し、図8に示すS22〜S26の処理を実行するCPU51が「押下回数算出手段」に相当し、図9に示すS31,S32,S33の処理を実行するCPU51が「温度設定手段」に相当する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態のフライヤ1は、飲食店等の調理領域70に設置されて使用されるものであって、店舗内のホール60における客7の入りに応じて、調理油の待機温度を切り換えることができる。客7の入りは、客7がホール60に入場する際に押される入場スイッチ75の押下回数を単位時間毎(例えば、10分間)にカウントすることによって、単位時間毎の客7の入りを相対的に評価することができる。例えば、単位時間当たりのカウント数が所定回数(p1回)以上の場合は、客7の入りが多いと推測され、所定回数(p1回)未満の場合は、客7の入りが少ないと推測できる。
【0048】
よって、押下回数がp1以上の場合は、油槽10内に投入される食材を迅速に揚げることができる待機温度T1(℃)に設定する。これにより、ホール60に滞留する客7の人数が多くて、料理の注文数が多くなっても、速やかに調理加熱を行うことができる。一方、押下回数がp1未満の場合は、待機温度T1(℃)よりも低い待機温度T2(℃)に設定する。これにより、バーナ3a,3bにおいて燃焼ガスが無駄に浪費されないので、燃焼ガスを節約することができる。また、客7の入りが少ない場合は、排気を低減することができるので環境的にも好ましい。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、様々な変形が可能であることは言うまでもない。上記実施形態では、客7の入りを、自動ドア100の入場スイッチ75の単位時間当たりの押下回数を検出することによって判断したが、例えば、出入口91に赤外線センサを設け、出入口91の客7の単位時間当たりの通過人数を検出してもよい。この場合、出入口91では、入場する客7と退場する客7とをともにカウントしてしまうので、例えば、出入口91の外側に第1の赤外線センサを設け、出入口91のホール60側に第2の赤外線センサを設け、第1の赤外線センサが客7の通過を検出した次に第2の赤外線センサが検出した場合だけをカウントすることによって、客7の入りを検出することができる。
【0050】
また、ホール60内に滞留する客7の人数を直接カウントしてもよい。例えば、ホール60の所定箇所に人感センサを取り付け、所定周期でホール60の客7の人数を検出し、その検出結果に応じて、フライヤ1の油槽10内の待機温度を切り換えるようにしてもよい。さらに、温度と湿度とをともに検出できる温湿度センサをホール60に取り付け、該ホール60の温湿度に基づいて、油槽10内の待機温度を切り換えるようにしてもよい。この場合、ホール60の客7の入りが多くなると、客7の熱気によってホール60の温湿度は上昇する傾向にあるので、ホール60の温湿度を検出することによって、客7の入りを間接的に検出することができる。
【0051】
さらに、ホール60の精算台65に載置されたレジ67が操作された回数を単位時間毎にカウントすることによって客7の入りを検出してもよい。また、ホール60を担当する店員8が携帯する受注装置(図示外)の単位時間当たりの操作回数(例えば、受注データのサーバへの送信回数)をカウントしてもよい。この受注装置は、店員8がテーブル15で待機する客7の注文を受け、調理領域70に配置されるサーバに送るためのものであり、調理人はそのサーバに送られた注文のメニューにしたがって調理を行う。よって、このサーバに送られた注文を単位時間毎にカウントすることによって、客7の入りを間接的に検出することができる。
【0052】
なお、上記実施形態で示した待機温度は一例であって、この数値に限定されないことは言うまでもない。さらに、上記実施形態では、油槽10の待機温度をT1,T2の2つの油温を設定したが、3つでもそれ以上でもよい。その場合、入場スイッチ75の単位時間当たりの押下回数の数値範囲を複数設定し、それら各数値範囲に対して待機温度を各々設定すればよい。また、基準となる所定回数における「以上」、「未満」は上記実施形態の例とは逆であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の液体加熱調理器は、フライヤ、ゆで麺器等、加熱した油又は水等の液体によって食材を加熱調理することができる液体加熱調理器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】フライヤ1を調理領域70内に配置した店舗内のレイアウト図である。
【図2】フライヤ1の断面図である。
【図3】図2に示すA−A線矢視方向断面図である。
【図4】制御装置50の構成を示すブロック図である。
【図5】ROM52の記憶エリアを示す概念図である。
【図6】RAM53の記憶エリアを示す概念図である。
【図7】CPU51によるメインの制御動作のフローチャートである。
【図8】客入り検出処理を示すフローチャートである。
【図9】温度設定処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 フライヤ
3a,3b バーナ
7 客
10 油槽
20 加熱装置
50 制御装置
57 温度センサ
60 ホール
75 入場スイッチ
91 出入口
100 自動ドア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する調理槽と、
当該調理槽内の前記液体を加熱する加熱手段と、
前記液体の温度を検出する温度検出手段と、
所定領域内への客の入りを検出する客入り検出手段と、
当該客入り検出手段の検出結果に応じて、前記液体の待機温度を設定する温度設定手段と、
前記液体が、当該温度設定手段によって設定された前記待機温度となるように前記加熱手段の動作を制御する加熱制御手段と
を備え、
前記温度設定手段は、
前記客入り検出手段の検出結果が所定値以上の場合は、第1の待機温度を設定し、
前記客入り検出手段の検出結果が前記所定値未満の場合は、前記第1の待機温度よりも低い第2の待機温度を設定することを特徴とする液体加熱調理器。
【請求項2】
前記客入り検出手段は、前記所定領域の入口のドアを開閉するスイッチの押下を検出するとともに、単位時間当たりの前記押下回数を算出する押下回数算出手段を備え、
前記温度設定手段は、
前記押下回数算出手段によって算出された前記単位時間当たりの前記押下回数が所定回数以上の場合は前記第1の待機温度を設定し、前記所定回数未満の場合は前記第2の待機温度を設定することを特徴とする請求項1に記載の液体加熱調理器。
【請求項3】
前記客入り検出手段は、前記所定領域の入口のドアの開閉回数を検出するとともに、単位時間当たりの前記ドアの開閉回数を算出する開閉回数算出手段を備え、
前記温度設定手段は、
前記開閉回数算出手段によって算出された前記単位時間当たりの前記ドアの開閉回数が所定回数以上の場合は前記第1の待機温度を設定し、前記所定回数未満の場合は前記第2の待機温度を設定することを特徴とする請求項1に記載の液体加熱調理器。
【請求項4】
前記客入り検出手段は、前記所定領域の入口の通過人数を検出するとともに、単位時間当たりの通過人数を算出する人数算出手段を備え、
前記温度設定手段は、
前記人数算出手段によって算出された前記単位時間当たりの前記通過人数が所定人数以上の場合は前記第1の待機温度を設定し、前記所定人数未満の場合は前記第2の待機温度を設定することを特徴とする請求項1に記載の液体加熱調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−300988(P2007−300988A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129938(P2006−129938)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(000112015)パロマ工業株式会社 (298)
【Fターム(参考)】