説明

液体収容体、攪拌装置、攪拌方法及び液体噴射装置

【課題】液体に起因する不具合を抑制すること。
【解決手段】液体収容体は、液体を収容する収容室を有する袋体と、前記袋体に設けられ、前記液体を噴射する液体噴射ヘッドに接続された接続口と、前記液体が前記接続口から前記液体噴射ヘッドへ向けて流出可能な圧力で前記収容室が加圧されるように前記袋体を前記接続口へ向けて収縮させる付勢部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体収容体、攪拌装置、攪拌方法及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドから液体を吐出する液体噴射装置として、例えばインクジェット式の印刷装置が知られている。この印刷装置は、溶媒に染料を溶解した染料インクや、分散媒に顔料を分散させた顔料インクなどのインクが収容されたカートリッジを有している。
【0003】
カートリッジと液体噴射ヘッドとの間は、インクを供給する供給チューブなどの供給経路によって接続されている。印刷を行う際には、カートリッジに収容されたインクを、当該供給経路を介して液体噴射ヘッドに供給し、液体噴射ヘッドから当該インクを吐出して印刷を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−231274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば顔料インクにおいては、長期間放置すると顔料が沈降する場合があり、例えば供給経路において沈降が発生した場合には、目詰まりなどのインクに起因する不具合が生じるおそれがある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、液体に起因する不具合を抑制することが可能な液体収容体、攪拌装置、攪拌方法及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液体収容体は、液体噴射ヘッドに供給する液体を収容し圧力調整部によって圧力が調整可能な第一収容室を有する液体貯留部と、前記液体を収容する第二収容室を有し、可撓性を有するように形成された袋体と、前記第一収容室と前記第二収容室とを接続し、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を許容すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を抑止する第一流通調整部を有する第一流路と、前記第一流路とは異なる経路で前記第一収容室と前記第二収容室とを接続し、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を抑止すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を許容する第二流通調整部を有する第二流路と、前記圧力調整部によって前記第一収容室の圧力が第一圧力にされた場合に前記第一流路を介して前記第一収容室から前記第二収容室へと前記液体が移動するように、かつ、前記圧力調整部によって前記第一収容室の圧力が前記第一圧力よりも小さい第二圧力にされた場合に前記第二流路を介して前記第二収容室から前記第一収容室へと前記液体が移動するように、前記第二収容室の体積が小さくなる方向に前記袋体を収縮させることで前記第二収容室に対して前記第一圧力よりも小さく前記第二圧力よりも大きい第三圧力を加える付勢部とを備える。
【0008】
本発明によれば、付勢部により第二収容室の体積が小さくなる方向に袋体が収縮され第二収容室に対して第一圧力よりも小さく第二圧力よりも大きい第三圧力が加えられるため、第一収容室の圧力が第一圧力にされた場合には第一流路を介して第一収容室から第二収容室へと液体が移動し、第一収容室の圧力が第二圧力にされた場合には第二流路を介して第二収容室から第一収容室へと液体が移動する。このように液体を移動させることで、第一収容室と第二収容室との間で液体を攪拌することができる。これにより、長期間放置した場合であっても液体の濃度に分布が形成されるのを抑制することができるので、液体に起因する不具合を抑制することが可能となる。
【0009】
上記の液体収容体は、前記付勢部は、所定方向に巻かれるように弾性力を作用させる板バネ部材を有し、前記板バネ部材は、前記弾性力によって前記袋体を巻きながら収縮するように前記袋体に取り付けられていることが好ましい。
本発明によれば、付勢部が所定方向に巻かれるように弾性力を作用させる板バネ部材を有し、板バネ部材が弾性力によって袋体を巻きながら収縮するように袋体に取り付けられているため、袋体の収縮時には、袋体が巻かれるのに伴って袋体の角が内側に巻き込まれることになる。このため、作業者などが袋体の角に接触するのを抑制することができる。
【0010】
上記の液体収容体は、前記板バネ部材は、複数設けられており、複数の前記板バネ部材は、巻かれる方向が互いに反対方向となるように前記所定方向に交差する第二方向に交互に並んで配置された第一板バネ部材及び第二板バネ部材を有しており、前記袋体のうち前記第一板バネ部材と前記第二板バネ部材との間には、前記第一板バネ部材と前記第二板バネ部材とが重なって配置されるように前記袋体を折り返す折り返し部が設けられていることが好ましい。
本発明によれば、複数の板バネ部材のうち第一板バネ部材と第二板バネ部材とが、巻かれる方向が反対方向となるように所定方向に交差する方向に並んで配置されており、所定方向に交差する第二方向に並んで配置されており、第一板バネ部材と第二板バネ部材との間には、当該第一板バネ部材と第二板バネ部材とが重なって配置されるように袋体を折り返す折り返し部が設けられているため、第一板バネ部材と第二板バネ部材とが重なった状態では、第一板バネ部材及び第二板バネ部材の収縮する方向が揃うことになる。したがって、第二収容室の液体の減少に伴い、板バネ部材が巻かれる方向と、当該袋体が折り返される方向と、の2つの方向に袋体を収縮させることができる。より具体的には、袋体が折り返されながら巻かれていくことになる。これにより、袋体が収縮時に一層コンパクトになるため、液体収容体の外形寸法が大きくなってしまうのを抑えることができる。
【0011】
上記の液体収容体は、前記板バネ部材は、複数設けられており、複数の前記板バネ部材の少なくとも2つは、巻かれる方向が互いに同一方向となるように前記所定方向に交差する第二方向に並んで配置されていることが好ましい。
本発明によれば、板バネ部材が複数設けられており、複数の板バネ部材の少なくとも2つは、巻かれる方向が互いに同一方向となるように所定方向に交差する第二方向に並んで配置されているため、第二方向について袋体に均一な力で巻きつけることができる。したがって、巻き上がりの形状にバラつきが生じるのを抑制することができ、液体が第二収容室に残留するのを抑制することができる。
【0012】
上記の液体収容体は、前記板バネ部材は、前記所定方向に交差する第二方向に複数設けられており、複数の前記板バネ部材は、前記第二方向の中央部へ向けて変形するように並んで配置されていることが好ましい。
本発明によれば、板バネ部材が所定方向に交差する第二方向に複数設けられており、複数の板バネ部材が第二方向の中央部へ向けて変形するように並んで配置されているので、袋体をよりコンパクトに収縮させることができる。
【0013】
本発明に係る攪拌装置は、液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体貯留部のうち圧力調整部によって圧力が調整可能に設けられた第一収容室にそれぞれ異なる経路である第一流路及び第二流路を介して接続され、前記液体を収容する第二収容室を有し、可撓性を有するように形成された袋体と、前記第一流路に設けられ、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を許容すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を抑止する第一流通調整部と、前記第二流路に設けられ、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を抑止すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を許容する第二流通調整部を有する第二流路と、前記第二収容室の体積が小さくなる方向に前記袋体を収縮させることで前記第二収容室を所定圧力で加圧する付勢部と、前記第一収容室の圧力を前記所定圧力よりも大きい圧力にすることで前記第一流路を介して前記第一収容室から前記第二収容室へと前記液体を移動させる第一動作と、前記第一収容室の圧力を前記所定圧力よりも小さい圧力にすることで前記第二流路を介して前記第二収容室から前記第一収容室へと前記液体を移動させる第二動作と、を前記圧力調整部に交互に行わせて前記第一収容室と前記第二収容室との間で前記液体を往復させる制御部とを備える。
【0014】
本発明によれば、第一収容室の圧力を所定圧力よりも大きい圧力にすることで第一流路を介して第一収容室から第二収容室へと液体を移動させる第一動作と、第一収容室の圧力を所定圧力よりも小さい圧力にすることで第二流路を介して第二収容室から第一収容室へと液体を移動させる第二動作と、を圧力調整部に交互に行わせて第一収容室と第二収容室との間で液体を往復させることとしたので、第一収容室と第二収容室との間で液体を攪拌することができる。これにより、長期間放置した場合であっても液体の濃度に分布が形成されるのを抑制することができるので、液体に起因する不具合を抑制することが可能となる。
【0015】
本発明に係る攪拌方法は、液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体貯留部のうち圧力調整部によって圧力が調整可能に設けられた第一収容室にそれぞれ異なる経路である第一流路及び第二流路を介して接続され、前記液体を収容する第二収容室を有し、可撓性を有するように形成され、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を許容すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を抑止する第一流通調整部が前記第一流路に設けられると共に前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を抑止すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を許容する第二流通調整部が前記第二流路に設けられた袋体を、前記第二収容室の体積が小さくなる方向に収縮させることで前記第二収容室を所定圧力で加圧するステップと、前記第一収容室の圧力を前記所定圧力よりも大きい圧力にすることで前記第一流路を介して前記第一収容室から前記第二収容室へと前記液体を移動させる第一動作と、前記第一収容室の圧力を前記所定圧力よりも小さい圧力にすることで前記第二流路を介して前記第二収容室から前記第一収容室へと前記液体を移動させる第二動作と、を前記圧力調整部に交互に行わせて前記第一収容室と前記第二収容室との間で前記液体を往復させるステップとを含む。
【0016】
本発明によれば、第一収容室の圧力を所定圧力よりも大きい圧力にすることで第一流路を介して第一収容室から第二収容室へと液体を移動させる第一動作と、第一収容室の圧力を所定圧力よりも小さい圧力にすることで第二流路を介して第二収容室から第一収容室へと液体を移動させる第二動作と、を圧力調整部に交互に行わせて第一収容室と第二収容室との間で液体を往復させることとしたので、第一収容室と第二収容室との間で液体を攪拌することができる。これにより、長期間放置した場合であっても液体の濃度に分布が形成されるのを抑制することができるので、液体に起因する不具合を抑制することが可能となる。
【0017】
本発明に係る液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドに前記液体を収容する液体収容体とを備え、前記液体収容体として、上記の液体収容体が用いられている。
本発明によれば、液体に起因する不具合を抑制することができる液体収容体が用いられているので、良好な噴射特性を維持することが可能な液体噴射装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成を示す図。
【図2】本実施形態に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図3】本実施形態に係る付勢部の構成を示す図。
【図4】本実施形態に係る付勢部の変形の一態様を示す図。
【図5】本実施形態に係るインクカートリッジのインク供給動作を示す図。
【図6】本実施形態に係るインクカートリッジのインク供給動作を示す図。
【図7】本実施形態に係るインクカートリッジのインク供給動作を示す図。
【図8】本実施形態に係るインクカートリッジのインク供給動作を示す図。
【図9】本実施形態に係るインクカートリッジのインク供給動作を示す図。
【図10】本実施形態に係るインクカートリッジのインク供給動作を示す図。
【図11】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図12】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図13】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図14】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図15】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図16】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図17】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図18】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図19】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図20】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図21】(a)(b)本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷装置PRT(液体噴射装置)の概略構成を示す図である。本実施形態では、印刷装置PRTとしてインクジェット型の印刷装置を例に挙げて説明する。印刷装置PRTには、本実施形態の特徴的構成要素であるインクカートリッジ(液体供給装置)ICが装着されている。
【0020】
図1に示す印刷装置PRTは、例えば、紙、プラスチックシートなどのシート状の媒体Mを搬送しつつ印刷処理を行う装置である。印刷装置PRTは、筐体PBと、媒体Mにインクを噴射するインクジェット機構IJと、当該インクジェット機構IJにインクを供給するインク供給機構ISと、媒体Mを搬送する搬送機構CVと、インクジェット機構IJの保全動作を行うメンテナンス機構MNと、これら各機構を制御する制御装置CONTとを備えている。
【0021】
筐体PBは、一方向を長手とするように形成されている。筐体PBには、上記のインクジェット機構IJ、インク供給機構IS、搬送機構CV、メンテナンス機構MN及び制御装置CONTの各部が取り付けられている。筐体PBには、プラテン13が設けられている。プラテン13は、媒体Mを支持する支持部材である。プラテン13は、媒体Mに向けられた平坦な支持面13aを有している。当該支持面13aは、媒体Mを支持する面である。
【0022】
搬送機構CVは、搬送ローラーや当該搬送ローラーを駆動するモーターなどを有している。搬送機構CVは、媒体Mがプラテン13上を通過するように当該媒体Mを筐体PBの短手方向に搬送する。搬送機構CVは、制御装置CONTによって搬送のタイミングや搬送量などが制御される。
【0023】
インクジェット機構IJは、インクを噴射するヘッドHと、当該ヘッドHを保持して移動させるヘッド移動機構ACとを有している。ヘッドHは、プラテン13上に送り出された媒体Mに向けてインクを噴射する。ヘッドHは、インクを噴射する噴射面Haを有している。噴射面Haは、支持面13aに向けられた状態で配置されている。
【0024】
ヘッド移動機構ACは、ヘッドHを筐体PBの長手方向に移動させる。ヘッド移動機構ACは、ヘッドHを固定させるキャリッジ4を有している。キャリッジ4は、筐体PBの長手方向に架けられたガイド軸8に当接されている。ヘッド移動機構ACは、当該キャリッジ4をガイド軸8に沿って移動させる機構、例えばパルスモーター9、駆動プーリー10、遊転プーリー11及びタイミングベルト12などを有している。
【0025】
メンテナンス機構MNは、媒体Mに対して印刷が行われる領域から外れた領域(ホームポジション)に設けられている。メンテナンス機構MNは、ヘッドHの噴射面Haを覆うキャッピング機構CPや、当該噴射面Haを払拭するワイピング機構WPなどを有している。キャッピング機構CPには、吸引ポンプなどの吸引機構SCが接続されている。ヘッドHからメンテナンス機構MN側に排出された廃インクは、廃液回収機構(不図示)において回収される。
【0026】
インク供給機構ISは、ヘッドHにインクを供給する。インク供給機構ISには、複数のインクカートリッジ(液体収容体)ICが収容されている。本実施形態の印刷装置PRTは、インクカートリッジICがヘッドHとは異なる位置に収容される構成(オフキャリッジ型)である。
【0027】
インク供給機構ISは、各インクカートリッジICの内部の圧力を個別に調整可能な圧力調整部6を有している。インク供給機構ISは、ヘッドHとインクカートリッジICとを接続する供給チューブTBを有している。供給チューブTBは、インクカートリッジIC毎に設けられている。
【0028】
図2は、インクカートリッジICの構成を示す図である。複数のインクカートリッジICは同一の構成であるため、図2では、一のインクカートリッジICを代表させて示している。
図2に示すように、インクカートリッジICは、貯留パック(液体貯留部)PK1と、攪拌パックPK2とを有している。貯留パックPK1及び攪拌パックPK2は、容器7に収容されている。容器7は、第一室7A及び第二室7Bに仕切られている。貯留パックPK1は、第一室7Aに収容されている。攪拌パックPK2は、第二室7Bに収容されている。
【0029】
貯留パックPK1は、ヘッドHに供給されるインクLが貯留される。貯留パックPK1は、インクLを収容可能な第一収容室RM1を有している。第一収容室RM1には、圧力調整部6が接続されている。第一収容室RM1は、圧力調整部6によって圧力が調整可能となっている。第一収容室RM1は、接続管5Aを介して供給チューブTBに接続されている。また、第一収容室RM1は、大気開放管5Cを介して大気に接続されている。接続管5A及び大気開放管5Cには、それぞれ開閉弁VA及びVCが設けられている。開閉弁VA及びVCは、制御装置CONTによって開状態及び閉状態が切り替え可能な構成である。なお、圧力調整部6を用いることにより第一収容室RM1を大気圧に設定することが可能である場合、大気開放管5C及び開閉弁VCを設けない構成としても良い。
【0030】
攪拌パックPK2は、インクLを収容可能な第二収容室RM2を有している。第二収容室RM2は、第一接続管(第一流路)51が接続される第一接続部41と、第二接続管(第二流路)52が接続される第二接続部42とを有し、第一接続管51および第二接続管52を介して第一収容室RM1に接続されている。
【0031】
第一収容室RM1は、第一接続管51が接続される第三接続部43と、第二接続管52が接続される第四接続部44とを有している。インクカートリッジICが印刷装置PRTに装着された状態において、第一接続部41は第二接続部42よりも鉛直方向の下側に配置され、第三接続部43は第四接続部44よりも鉛直方向の下側に配置されている。第一接続管51及び第二接続管52としては、例えば可撓性を有するチューブなどが用いられる。
【0032】
第一接続管51には、一方向弁V1が取り付けられている。一方向弁V1は、第一接続管51の開閉を切り替える。一方向弁V1を閉塞させた場合、第一接続管51が遮断される。一方向弁V1を開放状態とした場合、第一収容室RM1から第二収容室RM2へのインクLの流通が許容されると共に、第二収容室RM2から第一収容室RM1へのインクLの流通が抑止される。
【0033】
第二接続管52には、一方向弁V2が取り付けられている。一方向弁V2は、第二接続管52の開閉を切り替える。一方向弁V2を閉塞させた場合、第二接続管52が遮断される。一方向弁V2を開放状態とした場合、第一収容室RM1から第二収容室RM2へのインクLの流通が抑止されると共に、第二収容室RM2から第一収容室RM1へのインクLの流通が許容される。
【0034】
当該構成により、第一収容室RM1に収容されたインクLは、第一接続管51を介して第二収容室RM2に移動可能である。また、第二収容室RM2に収容されたインクLは、第二接続管52を介して第一収容室RM1に移動可能である。
【0035】
なお、インクカートリッジICが印刷装置PRTに装着された状態において、第一接続部41が、第二収容室RM2の鉛直方向下側の部分に配置され、第二接続部42が第二収容室RM2の鉛直方向上側の部分に配置されることが好ましい。同様に、第三接続部43が第一収容室RM1の鉛直方向下側の部分に配置され、第四接続部44が第一収容室RM1の鉛直方向上側の部分に配置されることが好ましい。
【0036】
第一収容室に収容されるインクは、鉛直方向の下側の部分が鉛直方向の上側の部分よりも濃度が高くなりやすい。上記構成に依れば、第一収容室の鉛直方向の下側から第一流路、第二収容室及び第二流路を介して当該第一収容室の鉛直方向の上側に液体を移動させることができるため、液体の濃度に分布が形成されるのを抑制することができる。
【0037】
図3は、攪拌パックPK2の詳細な構成を示す図である。
図3に示すように、攪拌パックPK2は、袋体21と、付勢部22とを有している。
【0038】
袋体21は、内部に上記第二収容室RM2を有している。袋体21は、可撓性を有する材料によって形成されている。袋体21は、所定方向αに長手となるように形成されている。袋体21には、第一接続管51及び第二接続管52に接続される開口部OPがそれぞれ設けられている。開口部OPは、袋体21の長手方向αの端部に設けられている。
【0039】
付勢部22は、長方形の板状に形成された板バネ部材30を有している。板バネ部材30は、袋体21の短手方向(第二方向、鉛直方向)βに複数(例えば3つ)並んで配置されている。各板バネ部材30は、等しい形状に形成されている。各板バネ部材30は、当該板バネ部材30の長手方向が袋体21の長手方向αに一致するように配置されている。各板バネ部材30は、カバー部材COによって長手方向αのほぼ全面が袋体21に固定されている。各板バネ部材30の長手方向αのほぼ全面を袋体21に接着させて固定させる構成としても良い。
【0040】
図4(a)は、1つの板バネ部材30の構成を示す斜視図である。
図4(a)に示すように、板バネ部材30は、当該板バネ部材30の短手方向の中央部が湾曲した形状に形成されている。板バネ部材30は、湾曲によって突出した凸面30bと、当該凸面30bの反対側の面である凹面30cとを有している。板バネ部材30のうち長手方向の端部30aを突出方向とは反対方向に曲げると、図4(b)に示すように、端部30aが弾性力によって長手方向に巻かれるように変形する。この場合、板バネ部材30は、凹面30cを内側に巻き込むように変形する。
【0041】
このように構成された3つの板バネ部材30は、図3に示すように、凸面30bが袋体21の面21bに対向するように配置されている。このように、3つの板バネ部材30がそれぞれ凸面30bを袋体21の面21bに対向させて配置されているため、各板バネ部材30は巻き始めにおいて同一方向(端部21aを面21b側に持ち上げる方向)に変形する。
【0042】
図5(a)及び図5(b)は、攪拌パックPK2の伸縮状態を示す図である。
図5(a)に示すように、袋体21の第二収容室RM2が空の場合、攪拌パックPK2は板バネ部材30の弾性力により袋体21の端部21a及び板バネ部材30の端部30aが開口部OP側まで巻かれた状態(縮んだ状態)となる。この状態において、板バネ部材30の弾性力により、第二収容室RM2には所定圧力Pcが加わっている。なお、板バネ部材30の弾性力は、所定圧力Pcとして例えば大気圧P2よりも大きい圧力を第二収容室RM2に加えることができるように設定されている。
【0043】
図5(b)に示すように、袋体21の第二収容室RM2にインクLを収容させる場合、攪拌パックPK2は、インクLが占める分、袋体21の端部21a及び板バネ部材30の端部30aの巻きつけが緩んだ状態(伸びた状態)となる。なお、この状態においても、板バネ部材30の弾性力により、第二収容室RM2には所定圧力Pcが加わっている。
【0044】
次に、インクLの供給動作を説明する。
ヘッドHからのインクLの噴射が行われると、ヘッドH内のインクLが消費される。このため、続けて噴射を行う場合にはヘッドHに新たなインクLを供給する必要が生じる。ヘッドHに新たなインクLを供給する場合、制御装置CONTは、まず図6に示すように開閉弁VAを開放状態とし、一方向弁V1及びV2と、開閉弁VCとをそれぞれ閉塞状態とする。この動作により、第一収容室RM1、接続管5A、供給チューブTB及びヘッドHの間が連通される。また、第一収容室RM1と大気との間、第一収容室RM1と第二収容室RM2との間が、それぞれ遮断される。
【0045】
その後、制御装置CONTは、圧力調整部6によって第一収容室RM1を加圧する。この動作により、図6に示すように、第一収容室RM1に収容されるインクLは接続管5Aを介して供給チューブTBに流れ、当該供給チューブTBを介してヘッドHに供給される。ヘッドHにインクを供給させた後、制御装置CONTは、開閉弁VAを閉塞させ、圧力調整部6による加圧動作を停止させる。
【0046】
ヘッドHへのインクLの供給動作を終了した後、制御装置CONTは、圧力調整部6を用いることにより、あるいは、開閉弁VCを開くことにより、第一収容室RM1を減圧させ第一収容室RM1を大気圧P2に戻す。第一収容室RM1を大気圧P2に戻した後、制御装置CONTは、次のインク供給動作が行われるまで待機させる。
【0047】
インクLとして、例えば顔料インクが用いられる場合、長期間待機した状態が続くと顔料が沈降する場合がある。図7に示すように、顔料は鉛直方向の下側に沈降し、インクLの濃度に分布が形成される。このような顔料の沈降により、色ムラや目詰まりなどのインクLに起因する不具合が生じるおそれがある。本実施形態では、定期的にあるいはユーザーからの指示などにより、攪拌パックPK2を用いてインクLを攪拌させる。
【0048】
攪拌動作を行う場合、制御装置CONTは、上記の待機状態から一方向弁V1を開放させる。このため、開閉弁VA及びVCと、一方向弁V2とが閉塞状態であり、一方向弁V1が開放された状態となる。一方向弁V1を開放させることで、第一収容室RM1に収容されたインクLが第一接続管51を介して第二収容室RM2へ移動可能となる。なお、一方向弁V1により、第二収容室RM2から第一収容室RM1への第一接続管51を介したインクLの移動は規制される。したがって、第一収容室RM1のインクLは、第一収容室RM1から第二収容室RM2へと一方のみに移動可能となる。
【0049】
インク供給動作の間の待機状態においては、攪拌パックPK2は、図5(a)に示すように、袋体21及び付勢部22(板バネ部材30)が巻かれた状態となっている。第二収容室RM2には、板バネ部材30の弾性力によって大気圧P2よりも大きい所定圧力Pcが加えられている。したがって、一方向弁V1が開放状態となっただけでは、インクLは第二収容室RM2には流入しない。
【0050】
そこで、制御装置CONTは、図8に示すように、圧力調整部6を用いて第一収容室RM1の圧力を、第二収容室RM2内の圧力Pcよりも大きい圧力P1とする(第一動作)。この第一動作により、第一収容室RM1の圧力が第二収容室RM2の圧力よりも大きくなり、当該圧力差によって第一接続管51を介して第一収容室RM1から第二収容室RM2へとインクLが流れ込む。第一接続管51は第一収容室RM1のうち鉛直方向の下方側に接続されているため、インクLのうち顔料が沈降した濃度の高い部分が第二収容室RM2へと流れ込む。
【0051】
第二収容室RM2にインクLが流れ込むことにより、袋体21及び付勢部22が巻かれた状態から伸びた状態へと徐々に変形する。制御装置CONTは、図5(b)に示すように、袋体21の端部21a及び板バネ部材30の端部30aが湾曲した状態となったら、当該端部21a及び端部30aが伸びきる前に圧力調整部6による第一収容室RM1の加圧を停止させる。
【0052】
第一収容室RM1の加圧を停止させた後、制御装置CONTは、開閉弁VCを開いた状態とし、第一収容室RM1の圧力を大気圧P2に戻す(第二動作)。なお、当該第二動作においては、圧力調整部6を用いて第一収容室RM1の圧力を大気圧P2としても良い。この動作により、第一収容室RM1の圧力P2が第二収容室RM2の圧力Pcよりも小さくなる。
【0053】
この状態で、制御装置CONTは、一方向弁V1を閉塞させると共に、一方向弁V2を開放させる。一方向弁V2が開放状態となることで、第二接続管52を介して第二収容室RM2から第一収容室RM1へのインクLの流通が可能となる。また、一方向弁V2により、第二接続管52において第一収容室RM1から第二収容室RM2へのインクLの流通は規制される。
【0054】
また、開閉弁VAが閉塞状態、開閉弁VCが開放状態となっているため、第一収容室RM1の圧力は大気圧P2となる。第二収容室RM2には付勢部22によって所定圧力Pc(P2<Pc)が加えられている。このため、一方向弁V2が開放されると、第一収容室RM1と第二収容室RM2との間の圧力差により、図9に示すように、第二接続管52を介して第二収容室RM2から第一収容室RM1へインクLが移動する。
【0055】
第二接続管52は第一収容室RM1のうち鉛直方向の上方に接続されているため、第二収容室RM2から第一収容室RM1へ移動したインクLは、第一収容室RM1に収容されたインクLのうち濃度の低い部分(上澄み部分)に注入される。このため、第一収容室RM1に収容されるインクLの濃度の分布が緩和される。
【0056】
このように、第一収容室RM1から第二収容室RM2へインクLを流す第一動作と、第二収容室RM2から第一収容室RM1へインクLを戻す第二動作とを1回あるいは繰り返し行わせることで、インクLが攪拌される。このように、制御装置CONT及び攪拌パックPK2(袋体21及び付勢部22)2は、インクLを攪拌する攪拌装置として機能する。
【0057】
なお、制御装置CONTは、図10に示すように、開閉弁VA及び一方向弁V1を共に開放させた状態で、圧力調整部6によって第一収容室RM1を加圧させても構わない。開閉弁VA及び一方向弁V1を同時に開放させることで、第一収容室RM1と供給チューブTBとヘッドHとの間、及び、第一収容室RM1と第二収容室RM2との間、がそれぞれ連通された状態となる。
【0058】
この場合において、第一収容室RM1が所定圧力Pcよりも大きい圧力(例えば上記の圧力P1)となるように加圧することで、インクLが第一収容室RM1から供給チューブTBを介してヘッドHへ流れると共に、インクLが第一収容室RM1から第一接続管51を介して第二収容室RM2へと流れる。このため、ヘッドHへのインクLの供給動作と、第二収容室RM2へのインクの移動とを同時に行わせることができる。
【0059】
以上のように、本実施形態によれば、付勢部22により第二収容室RM2の体積が小さくなる方向に袋体21が収縮され第二収容室RM2に対して圧力P1よりも小さく大気圧P2よりも大きい所定圧力Pcが加えられるため、第一収容室RM1の圧力が圧力P1にされた場合には第一接続管51を介して第一収容室RM1から第二収容室RM2へとインクLが移動し、第一収容室RM1の圧力が大気圧P2にされた場合には第二接続管52を介して第二収容室RM2から第一収容室RM1へとインクLが移動する。このようにインクLを移動させることで、第一収容室RM1と第二収容室RM2との間でインクLを攪拌することができる。これにより、長期間放置した場合であってもインクLの濃度に分布が形成されるのを抑制することができるので、インクLに起因する不具合を抑制することが可能となる。
【0060】
更に、本実施形態によれば、付勢部22によって袋体21を開口部OPへ向けて収縮させることで第二収容室RM2を加圧する構成であるため、インクLを開口部OPから第一収容室RM1へ向けて効率的に流出させることができる。これにより、別途加圧機構を設けなくても第二収容室RM2のインクLを第一収容室RM1に供給することができる。
【0061】
加えて、板バネ部材30が袋体21を巻きながら収縮させる構成であるため、袋体21の収縮時には、袋体21が巻かれるのに伴って袋体21の角が内側に巻き込まれることになる。このため、攪拌パックPK2の取り付けや取り外しなどの取り扱い時には、袋体21の角への接触を抑制することができる。
【0062】
更に、板バネ部材30が複数設けられており、複数の板バネ部材30の少なくとも2つは、巻かれる方向が互いに同一方向となるように所定方向(袋体21の長手方向)αに交差する第二方向(袋体21の短手方向)βに並んで配置されているため、当該短手方向βについて袋体21に均一な力で巻きつけることができる。これにより、袋体21の巻き上がりの形状にバラつきが生じるのを抑制することができるため、袋体21の収縮時にインクLが残留するのを抑制することができる。
【0063】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、短手方向βに並べて設けられた3つの板バネ部材30のそれぞれが同一方向に巻かれるように変形する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
【0064】
図11は、攪拌パックPK2の変形例に係る構成を示す図である。図中α方向は、上記実施形態と同様に袋体21の長手方向に一致する。図中β方向は、上記実施形態と同様に袋体21の短手方向に一致する。図中γ方向は、α方向軸及びβ方向軸を含む平面に垂直な方向である。
【0065】
例えば図11に示すように、短手方向βに並べて設けられた3つの板バネ部材31〜33のうち、板バネ部材31及び33については巻き始めが図中+γ方向に変形するように配置され、板バネ部材32については巻き始めが図中−γ方向に変形するように配置されている。
【0066】
更に、図11に示すように、袋体21には、α方向に沿った2つの折り返し部21b及び21cが設けられている。折り返し部21bは、板バネ部材31と板バネ部材32との間に配置されている。折り返し部21cは、板バネ部材32と板バネ部材33との間に配置されている。
【0067】
図12は、図11に示す攪拌パックPK2の構成を模式的に示す図である。
図12に示すように、袋体21のうち折り返し部21b及び21cによってβ方向に区画される3つの部分には、それぞれ−γ方向に湾曲する板バネ部材31及び33と、+γ方向に湾曲する板バネ部材32とβ方向に交互に設けられている。
【0068】
袋体21の3つの部分のうち−β側の第一部分211は、折り返し部21bによって図中−γ側へ折り返される構成となっている。また、袋体21の3つの部分のうち+β側の第三部分213は、折り返し部21cによって図中+γ側へ折り返される構成となっている。このように、袋体21は、β方向の両端部からβ方向の中央部へ向けて折り返される構成となっている。また、袋体21の第一部分211には第一接続管51が取り付けられており、袋体21の第三部分213には第二接続管52が取り付けられている。第一接続管51及び第二接続管52は、可撓性を有する材料によって変形可能に形成されている。
【0069】
このような構成の攪拌パックPK2においては、図13に示すように、第二収容室RM2のインクLが減少するのに伴って、袋体21の−α側の端部から+α側へ向けて第一部分211が−γ方向に、また、第三部分213が+γ方向に、それぞれ折り返されていく。第一部分211及び第三部分213が折り返しに追従するように第一接続管51及び第二接続管52が変形する。一定量インクが減少すると、図14に示すように、第一部分211及び第三部分213のほぼ全部が折り返され、第一部分211と第三部分213とが第二部分212に重なった状態となる。
【0070】
第一部分211と第三部分213とが第二部分212に重なった場合、図15に示すように、第一部分211に設けられる板バネ部材31、第二部分212に設けられる板バネ部材32、及び、第三部分213に設けられる板バネ部材33は、湾曲方向が同一方向を向いて配置される。したがって、板バネ部材31〜33の巻き始めの方向が全て+γ方向に揃う。
【0071】
このため、第二収容室RM2のインクLが減少すると、図16に示すように、袋体21は第一部分211、第二部分212及び第三部分213が重なった状態で端部21aが+γ側へ変形し、+α側に巻かれていく。
【0072】
このように、袋体21に折り返し部21b及び21cを形成して第一部分211〜第三部分213の3つの部分に区画し、当該3つの部分のそれぞれに板バネ部材31〜33を配置し、当該板バネ部材31〜33の巻き始めの変形方向をβ方向に交互に異なる方向とすることで、袋体21がα方向に巻かれると共に、当該袋体21がβ方向にも折り返される。このため、袋体21を一層コンパクトに収縮した状態とすることができる。
【0073】
なお、図11〜図16に示す構成においては、3つの板バネ部材31〜33を配置する構成であったが、これに限られることは無く、例えば図17に示すように、β方向の中央の板バネ部材を省いた構成としても構わない。この場合、図18に示すように、インクの消費と共に、第一部分211及び第三部分213が第二部分212に重なり、板バネ部材31及び33の湾曲方向が同一方向となるため、上記同様に袋体21をコンパクトに収縮させることができる。
【0074】
また、上記説明では、板バネ部材が袋体21の長手方向に収縮する構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば板バネ部材が袋体21の短手方向に収縮する構成であっても構わない。この場合、板バネ部材が袋体21の短手方向の中央部へ向けて巻かれるように配置させる構成などが挙げられる。
【0075】
また、上記説明では、第一接続管51と第二接続管52とが並行に配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
図19に示すように、第一接続管51が第一収容室RM1の第三接続部43と第二収容室RM2の第二接続部42とを接続し、第二接続管52が第一収容室RM1の第四接続部44と第二収容室RM2の第一接続部41とを接続する構成であっても構わない。
【0076】
この構成においては、第三接続部43から第二接続部42にインクが流れ、第一接続部41から第四接続部44にインクが流れる。したがって、第一収容室RM1の鉛直方向の下側部分のインクが第二収容室RM2の鉛直方向の上側部分に供給され、第二収容室RM2の鉛直方向の下側部分のインクが第一収容室RM1の鉛直方向の上側部分に供給される。このため、インクに含まれる機能成分(例えば顔料)を拡散させることができる。これにより、機能成分の沈降を抑制することができる。
【0077】
また、図20に示すように、第一接続管51が第一収容室RM1の第四接続部44と第二収容室RM2の第一接続部41とを接続し、第二接続管52が第一収容室RM1の第三接続部43と第二収容室RM2の第二接続部42とを接続する構成であっても構わない。
【0078】
この構成において、第四接続部44から第一接続部41にインクが流れ、第二接続部42から第三接続部43にインクが流れる。したがって、第一収容室RM1から第二収容室RM2へ、また、第二収容室RM2から第一収容室RM1へ、それぞれインクが流れる際には、鉛直方向の上側から下側へ流れることになる。このように、重力による作用を利用することでインクの流れに加速をつけることができ、インクに含まれる機能成分を拡散させることができる。これにより、機能成分の沈降を抑制することができる。
【0079】
また、図21(a)及び図21(b)に示すように、第一接続管51が第一収容室RM1の第三接続部43aと第二収容室RM2の第二接続部42とを接続し、第二接続管52が第一収容室RM1の第三接続部43bと第二収容室RM2の第一接続部41とを接続する構成であっても良い。この場合、2つの第三接続部43a及び43bが並べて設けられた構成となる。
【0080】
上記実施形態では、印刷方式としてインクジェット方式を採用した印刷装置について記載したが、電子写真方式や熱転写方式など、任意の方式の印刷装置に変更することもできる。また、印刷装置に限らず、FAX装置、コピー装置、あるいはこれら複数機能を備えた複合機等、他の記録装置であってもよい。さらに、記録装置として、インク以外の他の液体の微小量の液滴を噴射したり吐出したりする液体噴射ヘッド等を備える液体噴射装置を採用してもよい。
【0081】
なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。
【0082】
ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
PRT…印刷装置 IC…インクカートリッジ CONT…制御装置 H…ヘッド L…インク VA、VC…開閉弁 α…長手方向 β…短手方向 V1、V2…一方向弁 PK1…貯留パック PK2…攪拌パック RM1…第一収容室 RM2…第二収容室 5A…接続管 5C…大気開放管 6…圧力調整部 7…容器 7A…第一室 7B…第二室 21…袋体 21a…端部 21b…面 22…付勢部 30、31、32、33…板バネ部材 30b…凸面 30c…凹面 30a…端部 51…第一接続管 52…第二接続管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射ヘッドに供給する液体を収容し圧力調整部によって圧力が調整可能な第一収容室を有する液体貯留部と、
前記液体を収容する第二収容室を有し、可撓性を有するように形成された袋体と、
前記第一収容室と前記第二収容室とを接続し、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を許容すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を抑止する第一流通調整部を有する第一流路と、
前記第一流路とは異なる経路で前記第一収容室と前記第二収容室とを接続し、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を抑止すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を許容する第二流通調整部を有する第二流路と、
前記圧力調整部によって前記第一収容室の圧力が第一圧力にされた場合に前記第一流路を介して前記第一収容室から前記第二収容室へと前記液体が移動するように、かつ、前記圧力調整部によって前記第一収容室の圧力が前記第一圧力よりも小さい第二圧力にされた場合に前記第二流路を介して前記第二収容室から前記第一収容室へと前記液体が移動するように、前記第二収容室の体積が小さくなる方向に前記袋体を収縮させることで前記第二収容室に対して前記第一圧力よりも小さく前記第二圧力よりも大きい第三圧力を加える付勢部と
を備える液体収容体。
【請求項2】
前記付勢部は、所定方向に巻かれるように弾性力を作用させる板バネ部材を有し、
前記板バネ部材は、前記弾性力によって前記袋体を巻きながら収縮するように前記袋体に取り付けられている
請求項1に記載の液体収容体。
【請求項3】
前記板バネ部材は、複数設けられており、
複数の前記板バネ部材は、巻かれる方向が互いに反対方向となるように前記所定方向に交差する第二方向に交互に並んで配置された第一板バネ部材及び第二板バネ部材を有しており、
前記袋体のうち前記第一板バネ部材と前記第二板バネ部材との間には、前記第一板バネ部材と前記第二板バネ部材とが重なって配置されるように前記袋体を折り返す折り返し部が設けられている
請求項2に記載の液体収容体。
【請求項4】
前記板バネ部材は、複数設けられており、
複数の前記板バネ部材の少なくとも2つは、巻かれる方向が互いに同一方向となるように前記所定方向に交差する第二方向に並んで配置されている
請求項2又は請求項3に記載の液体収容体。
【請求項5】
前記板バネ部材は、前記所定方向に交差する第二方向に複数設けられており、
複数の前記板バネ部材は、前記第二方向の中央部へ向けて変形するように並んで配置されている
請求項2から請求項4のうちいずれか一項に記載の液体収容体。
【請求項6】
液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体貯留部のうち圧力調整部によって圧力が調整可能に設けられた第一収容室にそれぞれ異なる経路である第一流路及び第二流路を介して接続され、前記液体を収容する第二収容室を有し、可撓性を有するように形成された袋体と、
前記第一流路に設けられ、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を許容すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を抑止する第一流通調整部と、
前記第二流路に設けられ、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を抑止すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を許容する第二流通調整部を有する第二流路と、
前記第二収容室の体積が小さくなる方向に前記袋体を収縮させることで前記第二収容室を所定圧力で加圧する付勢部と、
前記第一収容室の圧力を前記所定圧力よりも大きい圧力にすることで前記第一流路を介して前記第一収容室から前記第二収容室へと前記液体を移動させる第一動作と、前記第一収容室の圧力を前記所定圧力よりも小さい圧力にすることで前記第二流路を介して前記第二収容室から前記第一収容室へと前記液体を移動させる第二動作と、を前記圧力調整部に交互に行わせて前記第一収容室と前記第二収容室との間で前記液体を往復させる制御部と
を備える攪拌装置。
【請求項7】
液体噴射ヘッドに供給する液体を収容する液体貯留部のうち圧力調整部によって圧力が調整可能に設けられた第一収容室にそれぞれ異なる経路である第一流路及び第二流路を介して接続され、前記液体を収容する第二収容室を有し、可撓性を有するように形成され、前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を許容すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を抑止する第一流通調整部が前記第一流路に設けられると共に前記第一収容室から前記第二収容室への前記液体の流通を抑止すると共に前記第二収容室から前記第一収容室への前記液体の流通を許容する第二流通調整部が前記第二流路に設けられた袋体を、前記第二収容室の体積が小さくなる方向に収縮させることで前記第二収容室を所定圧力で加圧するステップと、
前記第一収容室の圧力を前記所定圧力よりも大きい圧力にすることで前記第一流路を介して前記第一収容室から前記第二収容室へと前記液体を移動させる第一動作と、前記第一収容室の圧力を前記所定圧力よりも小さい圧力にすることで前記第二流路を介して前記第二収容室から前記第一収容室へと前記液体を移動させる第二動作と、を前記圧力調整部に交互に行わせて前記第一収容室と前記第二収容室との間で前記液体を往復させるステップと
を含む攪拌方法。
【請求項8】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドに前記液体を収容する液体収容体と
を備え、
前記液体収容体として、請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の液体収容体が用いられている
液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−161978(P2012−161978A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23646(P2011−23646)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】