説明

液体口腔用組成物

【課題】水溶性アルミニウム塩と水溶性カリウム塩を配合した液体製剤において、渋味、苦味を改善し、かつ知覚過敏予防効果に優れる液体口腔用組成物を提供することを提供する。
【解決手段】(A)水溶性アルミニウム塩、(B)水溶性カリウム塩、(C)炭素数8〜11の直鎖脂肪族アルデヒド、(D)炭素数6〜12のラクトンを含有してなることを特徴とする液体口腔用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、象牙質知覚過敏症予防の有効成分である水溶性アルミニウム塩、特に乳酸アルミニウムと水溶性カリウム塩、特に硝酸カリウムとを含み、渋味や苦味を改善して良好な使用感を有する液体口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔の2大疾患は虫歯と歯周病であり、その予防方法としてブラッシングによる口腔清掃が提唱されており、ブラッシングの効果を更に高める目的から、虫歯にはフッ素化合物、歯周病には殺菌剤、抗炎症剤等の有効成分を配合した歯磨剤、又は、手軽に予防できる製剤として、同様の有効成分を配合した洗口液が市場に導入されている。
【0003】
ところで、2大疾患の罹患状態を年代別にみると、虫歯の罹患率は日本を含めた海外各国において、若年者を中心に高い。また歯周病の罹患率も少子化、高齢化社会の到来と共に増加の傾向がある。
【0004】
そのような状況の中、歯周病の発症に伴い、歯肉が退縮して歯頚部象牙質が露出し、冷気、冷水、ブラッシング擦過刺激等により生じる新たな象牙質知覚過敏症の増加が注目され、その有効な予防方法が検討されてきた。
【0005】
象牙質知覚過敏症は、持続する虫歯の痛みとは異なり、上記刺激を受けた時に痛みが生じ、その影響から、ブラッシング清掃、歯みがきなどの口腔清掃が不十分となり、口腔内が不潔となって、虫歯、歯周病が進行するという悪循環をきたすものである。
【0006】
そこで、知覚過敏予防の有効成分の開発が各社で進み、これまでにいくつかの有効成分が開発され、歯磨剤、洗口液に配合されてきた。
【0007】
主要な有効成分としては、アルミニウム塩として乳酸アルミニウム、カリウム塩として硝酸カリウム、クエン酸カリウムが挙げられる。
【0008】
アルミニウム塩の予防メカニズムは、アルミニウムイオンが露出した象牙質の細管に沈着封鎖し、痛みの伝道をブロックするものである。
【0009】
一方、カリウム塩の予防メカニズムは、カリウム塩が痛みの経路である神経繊維に対する鈍磨作用により痛み刺激を遮断するものである。
【0010】
これらの有効成分の効果は臨床試験で立証されており、とりわけ2つの有効成分を併用することが、象牙質知覚過敏抑制に多大効果を発揮することが判明している。
【0011】
しかしながら、単一配合においても味に問題がある2つの有効成分を同時に利用する場合、独特の渋味と苦味のため著しく使用感が劣り、特に液体口腔用組成物にこれら有効成分を配合した場合、嗜好性の面で大きな改良が必要であった。
【0012】
上記課題解決に向け、これまでに、例えば特許文献1においては、特定量のアルミニウム塩とカリウム塩を配合することにより改善を目指したが、渋味や痛みに関して一定の効果が認められるものの、十分な使用感の向上が得られているとは言えない。
【0013】
また、特許文献2において、乳酸アルミニウム、硝酸カリウムを配合する液体口腔用組成物に非イオン界面活性剤とカルボキシメチルセルロースを含有させることで、口腔内の油脂汚れ向上と共に良好な使用感を提供することを目指したが、乳酸アルミニウムと硝酸カリウムを併用した製剤における渋味や苦味の改善に関しては言及されていない。
【0014】
更に、乳酸アルミニウムと硝酸カリウムを使用した口腔用組成物に関する技術として特許文献3、特許文献4が提案されているが、これらは、知覚過敏予防効果の向上に関するものであり、渋味、苦味改善に関した記述は全く無い。
【0015】
一方、渋味、苦味改善に関した技術として、乳酸アルミニウム塩とカリウム塩にヒドロキシ−2−ピリドン誘導体を組み合わせた技術が特許文献5に提案されているが、この技術は知覚過敏予防効果の向上は見られるものの、上記技術と同様、独特な渋味、苦味に関しては更に改善の余地がある。
【0016】
なお、アルデヒド類やラクトン類を用いた技術として、特許文献6〜8が提案されているが、これらに開示された技術は、乳酸アルミニウムと硝酸カリウムを併用した液体口腔用組成物の渋味や苦味を改善するものとは相違し、これらの特許文献6〜8からかかる液体口腔用組成物の渋味や苦味の改善は予測できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2001−172146号公報
【特許文献2】特開2000−178150号公報
【特許文献3】特開平7−165550号公報
【特許文献4】特開昭61−36212号公報
【特許文献5】特開2004−59563号公報
【特許文献6】特開2004−203872号公報
【特許文献7】特開2005−247713号公報
【特許文献8】特開平10−310512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上述したように、知覚過敏の予防に、有効成分として水溶性アルミニウム塩(乳酸アルミニウム等)や水溶性カリウム塩(硝酸カリウム等)があり、これら有効成分の組み合わせは高い知覚過敏効果を有するが、独特の渋味や苦味のため嗜好性が劣る。この場合、歯磨香料のマスキング技術により嗜好性を高めた製品が上市されているが、液体製剤ではなく、従って、水溶性アルミニウム塩と水溶性カリウム塩とを併用した液体製剤の嗜好性が高められ、かつ有効性の確保された液体製剤の開発が技術課題である。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、水溶性アルミニウム塩(乳酸アルミニウム等)と水溶性カリウム塩(硝酸カリウム等)を配合した液体製剤において、渋味、苦味を改善し、かつ知覚過敏予防効果に優れる液体口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、水溶性アルミニウム塩と水溶性カリウム塩を併用した液体口腔用組成物の渋味と苦味を改善するために鋭意検討した結果、驚くべきことに、炭素数8〜11の直鎖脂肪族アルデヒドと炭素数6〜12のラクトンとを併用することにより、上記課題が解決されることが明らかとなった。
【0021】
従って、本発明は下記の液体口腔用組成物を提供する。
請求項1:
(A)水溶性アルミニウム塩、(B)水溶性カリウム塩、(C)炭素数8〜11の直鎖脂肪族アルデヒド、(D)炭素数6〜12のラクトンを含有してなることを特徴とする液体口腔用組成物。
請求項2:
(A)水溶性アルミニウム塩が乳酸アルミニウム、(B)水溶性カリウム塩が硝酸カリウムであることを特徴とする請求項1記載の液体口腔用組成物。
請求項3:
(D)成分/(C)成分が質量比で0.005〜2であることを特徴とする請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
請求項4:
(C)成分が、炭素数9又は10の直鎖脂肪族アルデヒドであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体口腔用組成物。
請求項5:
(D)成分が、炭素数10又は11のラクトンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、象牙質知覚過敏症予防の有効成分である乳酸アルミニウム等の水溶性アルミニウム塩と硝酸カリウム等の水溶性カリウム塩とを含み、渋味や苦味を改善して良好な使用感を有し、かつ知覚過敏抑制効果に優れる液体口腔用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明の液体口腔用組成物は、(A)水溶性アルミニウム塩、(B)水溶性カリウム塩、(C)炭素数8〜11の直鎖脂肪族アルデヒド、(D)炭素数6〜12のラクトンを含有してなることを特徴とする。
【0024】
(A)成分の水溶性アルミニウム塩としては、乳酸アルミニウム、グルコン酸アルミニウム、マロン酸アルミニウム、リンゴ酸アルミニウム等が挙げられる。
【0025】
水溶性アルミニウム塩の配合量は、組成物全体に対して、アルミニウムとして0.02〜0.3%(質量%、以下同様。)、特に0.05〜0.1%が好ましい。上記配合量範囲において、良好な知覚過敏抑制効果(象牙細官の封鎖作用)を与えると共に、嗜好性の点では独特の収斂効果、薬効感を与える一方、後述する(C)、(D)成分の配合により、水溶性アルミニウム塩の使用感上の問題であった苦味及び渋味が抑制されて苦味、渋味感をなくすことができる。配合量が0.02%未満では、知覚過敏抑制効果に劣り、0.3%を超えると(C)、(D)成分を配合しても独特の苦味、渋味が生じる場合がある。
【0026】
(B)成分の水溶性カリウム塩としては、硝酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム等が挙げられる。
【0027】
水溶性カリウム塩の配合量は、組成物全体に対して、カリウムとして0.02〜2%、特に0.1〜1.5%が好ましい。上記配合量範囲において、痛みの神経鈍磨作用を与えると共に、(C)、(D)成分の配合により水溶性カリウム塩による苦味、渋味が抑制され、苦味、渋味感をなくすことができる。配合量が0.02%未満では、知覚過敏抑制効果に劣り、2%を超えると渋味・苦味が生じる場合がある。
【0028】
更に、本発明では、(C)成分(炭素数8〜11の直鎖脂肪族アルデヒド)及び(D)成分(炭素数6〜12のラクトン)を併用する。これにより、水溶性アルミニウム塩及び水溶性カリウム塩の苦味、渋味を軽減乃至抑制し、嗜好性を向上させることができる。
【0029】
(C)成分は、炭素数8〜11、好ましくは炭素数9又は10の直鎖脂肪族アルデヒドである。
具体的には、C8:オクタナール、C9:ノナナール、C10:デカナール、C11:ウンデカナールが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。これらの中で、特にC9:ノナナール、C10:デカナールが好適である。
なお、これら直鎖脂肪族アルデヒドとして、東京化成工業(株)製などの市販品を使用することができる。
【0030】
(C)成分の配合量は、組成物全体の0.00001〜0.001%が好ましく、特に0.00005〜0.0005%がより好ましい。配合量が0.00001%未満では、(D)成分を併用しても水溶性アルミニウム塩、水溶性カリウム塩の渋味、苦味抑制効果が不十分であり、0.001%を超えると、(D)成分を併用しても、苦味や渋味をかえって強調してしまう場合がある。
【0031】
(D)成分としては、炭素数6〜12、好ましくは炭素数10又は11のラクトンである。
具体的には、下記のものが挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
C6:γ−ヘキサラクトン、C7:γ−ヘプタラクトン、C8:γ−オクタラクトン、C9:γ−ノナラクトン、C10:γ−デカラクトン、C11:γ−ウンデカラクトン、C12:ドデカラクトン
これらの中で、特にC10:γ−デカラクトン、C11:γ−ウンデカラクトンが好適である。
なお、これらラクトンとして、曽田香料(株)製などの市販品を使用することができる。
【0032】
(D)成分の配合量は、組成物全体の0.000001〜0.0001%が好ましく、特に0.000005〜0.00005%がより好ましい。配合量が0.000001未満では、(C)成分を併用しても水溶性アルミニウム塩、水溶性カリウム塩の渋味、苦味抑制効果が不十分であり、0.0001%を超えると、(C)成分を併用しても、苦味や渋味をかえって強調してしまう場合がある。
【0033】
本発明において、特に好ましくは、C9:ノナナール、C10:デカナールから選ばれるアルデヒド及びC10:γ−デカラクトン、C11:γ−ウンデカラクトンから選ばれるラクトンを併用することが推奨される。
【0034】
(C)成分と(D)成分の総配合量は、組成物全体の0.000011〜0.0011%、特に0.000055〜0.00055%が好ましい。配合量がこの範囲で渋味、苦味を効果的に抑制することができる。配合量が0.000011%未満では水溶性アルミニウム塩、水溶性カリウム塩の渋味、苦味抑制効果が不十分であり、0.0011%を超えると、苦味や渋味をかえって強調してしまう場合がある。
【0035】
(D)成分と(C)成分との配合比率は、(D)/(C)が質量比で0.005〜2、特に0.01〜1が望ましい。配合量がこの範囲で渋味、苦味を効果的に抑制することができる。配合比率が0.005未満であったり、2を超えると、水溶性アルミニウム塩、水溶性カリウム塩の渋味、苦味抑制効果が不十分となる場合がある。
【0036】
本発明の液体口腔用組成物は、洗口剤、液体歯磨などとして調製、適用することができ、上記成分に加えて、その剤型に応じて適宜な任意成分を配合することができる。例えば、湿潤剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、甘味剤、上記(C)、(D)成分以外の香料、界面活性剤、水溶性アルミニウム塩及び水溶性カリウム塩以外の有効成分、着色料等を含有できる。
【0037】
湿潤剤としては、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリット、マルチット、ラクチット等の糖アルコールなどの多価アルコールが挙げられる。配合量は、組成物全量に対して1〜20%、特に3〜15%が好ましい。
【0038】
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系粘結剤、キサンタンガム、カラギーナン、グアガム、アルギン酸ナトリウム、カチオン化セルロース、モンモリロナイト、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられ、これらを1種又は2種以上配合できる。配合量は通常、組成物全量に対して0.001〜0.3%である。
【0039】
pH調整剤としては、フタル酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸及び炭酸並びにそれらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、リボ核酸及びその塩類、更に水酸化ナトリウムなどの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の液体口腔用組成物は、pH4〜8、特に5〜7の範囲とすることが好ましい。
【0040】
防腐剤としては、ブチルパラベン、エチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ソルビン酸カリウム等が有効量使用される。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、アスパラテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ぺリラルチン等が挙げられる。
【0041】
(C)成分、更には(D)成分に加えて、その他の香料として、例えば、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、バジル油、カルダモン油、コリアンダー油、スペアミント油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、セロリ油、ベイ油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、レモングラス油、ローズ油、ジャスミン油、パチュリ油、イリスコンクリート、ローズアブソリュート、オレンジフラワーアブソリュート、バニラアブソリュート、マンゴーアブソリュート、パチュリアブソリュート、ジンジャーオレオレジン、ペッパーオレオレジン、カプシカムオレオレジン、トウガラシ抽出物等の天然香料、これら天然香料を加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、及び、リモネン、ピネン、ブタノール、イソアミルアルコール、n−ヘキセノール、cis−3−ヘキセノール、cis−6−ノネノール、リナロール、α−テルピネオール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、アネトール、チモール、メチルチャビコール、オイゲノール、カルボン、メントン、プレゴン、1,8−シネオール、ヨノン、キャロン、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、エチル2−メチルブチレート、アリルヘキサノエート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、メンチルラクテート、カルビールアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、メチルジャスモネート、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、メチルシンナメート、メチルアンスラニレート、フェニルエチルグリシデート、エチルラクテート、バニリン、マルトール、アンブレットリド、ジメチルサルファイド、トリメチルピラジン、エチルβ−メチルチオプロピオネート、フラネオール、エチルシクロペンテノロン、シクロテン、2−メチルブチリックアシッド、プロピオニックアシッド、p−メトキシシンナミックアルデヒド、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、メントングリセリンアセタール、スピラントール、モノメンチルサクシネート、リナロールオキサイド、バニリルブチルエーテル、イソプレゴール等の単品香料、及び、エチルアルコール、プロピレングリコール、トリアセチン、グリセリン脂肪酸エステル等の香料溶剤等、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。これらの香料素材の配合量は特に限定されないが、組成物中に0.000001〜1%使用するのが好ましい。また、上記香料素材を使用した賦香用香料としては、組成物中に0.1〜2.0%使用するのが好ましい。
【0042】
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の通常口腔用組成物に使用される界面活性剤を配合することができる。例えば、アニオン性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム等のアシルサルコシン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキル基の炭素数が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜40モルのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキロールアマイド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、アルキルグルコシド、ラウリン酸デカグリセリルなどの脂肪酸ポリグリセリド等が用いられる。
両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインや、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が用いられるが、上記に限られるものではない。
界面活性剤の配合量は組成物全体の0.01〜2%が好ましく、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0043】
各種有効成分としては、(A)成分の水溶性アルミニウム塩、(B)成分の水溶性カリウム塩に加えて、その他の有効成分、例えばフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化スズなどのフッ素化合物、デキストラナーゼ、ムタナーゼなどの酵素、正リン酸のカリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性リン酸化合物、イソプロピルメチルフェノール、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、ヒノキチオール、ラウロイルサルコシンナトリウム、アスコルビン酸、酢酸dl−トコフェロール、ジヒドロコレステロール、α−ビサボロール、クロルヘキシジン塩類、アズレン、グリチルレチン、グリチルレチン酸、銅クロロフィリンナトリウム、クロロフィル、グリセロホスフェートなどのキレート性リン酸化合物、グルコン酸銅等の銅化合物、塩化ストロンチウム、ベルベリン、ヒドロキサム酸及びその誘導体、トリポリリン酸ナトリウム、ゼオライト、メトキシエチレン、無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エピジヒドロコレステリン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、ジヒドロコレステロール、トリクロロカルバニリド、クエン酸亜鉛、トウキ軟エキス、オウバクエキス、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、オウゴン、ベニバナ等の抽出物などが挙げられる。なお、他の有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
【0044】
着色料としては、青色1号、緑色3号、黄色4号、赤色105号など安全性の高い水溶性色素を添加することができる。
【0045】
なお、エチルアルコールは、通常、清涼感を高める目的で配合されるが、本発明においては、マイルドな使用感を付与するためにエチルアルコールを配合しない場合もある。
【0046】
本発明の液体口腔用組成物を収容する容器としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが使用できるが、香料の吸着抑制の点からはPET又はガラスの使用が好ましい。
【実施例】
【0047】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限り質量%である。
【0048】
[実施例、比較例]
表1,2に示す組成の液体口腔用組成物(洗口剤)を常法により調製し、下記方法で評価した。結果を表1,2に示す。
【0049】
使用感評価:
各洗口液(洗口剤)を象牙質知覚過敏の人15名に1週間、一日2回食後20ml使用させ、使用後の渋味や苦味の強さを使用感として以下の基準で官能評価した。
◎:全く渋味や苦味を感じず、使用感は極めて良好。
○:渋味や苦味を感じず、使用感は良好。
△:渋味や苦味を感じ、使用感はやや不快。
×:渋味や苦味を強く感じ、使用感は不快。
【0050】
知覚過敏抑制効果評価:
各洗口液を、象牙質知覚過敏を有する人15名に1ヶ月使用させ、知覚過敏の抑制効果を下記基準により評価した。
◎:冷水刺激、冷気刺激のいずれの痛みも改善した。
○:冷水刺激、冷気刺激のいずれの痛みもかなり改善した。
△:冷水刺激は改善したが、冷気刺激による痛みは改善しなかった。
×:冷水刺激、冷気刺激のいずれの痛みも改善しなかった。
【0051】
なお、下記例で使用した成分の詳細を下記に示す。
乳酸アルミニウム((株)武蔵野化学研究所製)
硝酸カリウム(大塚製薬(株)製)
ポリエチレングリコール400(ライオン化学(株)製)
グリセリン(ライオンオレオケミカル(株)製)
プロピレングリコール((株)ADEKA製)
キシリトール(ロケットジャパン(株)製)
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(エチレンオキサイドの平均付加モル数60 、BASF社製)
イソプロピルメチルフェノール(大阪化成(株)製)
グリチルリチン酸ジカリウム(丸善製薬(株)製)
C7:ヘプタナール、C8:オクタナール、C9:ノナナール、C10:デカナール、C11:ウンデカナール、C12:ドデカナール(東京化成工業(株)製)
C5:γ−ペンタラクトン(γ−バレロラクトン)、C6:γ−ヘキサラクトン、C10:γ−デカラクトン、C11:γ−ウンデカラクトン、C12:γ−ドデカラクトン、C13:γ−トリデカラクトン(曽田香料(株)製)
【0052】
【表1−1】

【0053】
【表1−2】

【0054】
【表1−3】

【0055】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水溶性アルミニウム塩、(B)水溶性カリウム塩、(C)炭素数8〜11の直鎖脂肪族アルデヒド、(D)炭素数6〜12のラクトンを含有してなることを特徴とする液体口腔用組成物。
【請求項2】
(A)水溶性アルミニウム塩が乳酸アルミニウム、(B)水溶性カリウム塩が硝酸カリウムであることを特徴とする請求項1記載の液体口腔用組成物。
【請求項3】
(D)成分/(C)成分が質量比で0.005〜2であることを特徴とする請求項1又は2記載の液体口腔用組成物。
【請求項4】
(C)成分が、炭素数9又は10の直鎖脂肪族アルデヒドであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体口腔用組成物。
【請求項5】
(D)成分が、炭素数10又は11のラクトンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の液体口腔用組成物。

【公開番号】特開2011−105690(P2011−105690A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265292(P2009−265292)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】