説明

液体吐出ヘッド

【課題】アクチュエータがインクに曝されることによって、アクチュエータが破壊されることを抑制する。
【解決手段】圧電アクチュエータ70は、マニホールド21の外部であって、振動板30と対向する面に設けられ、圧電アクチュエータ70の変位を伝達する変位伝達壁32がマニホールド21に設けられている。圧電アクチュエータ70の変位を変位伝達壁32が振動板30に伝達して、圧力室41内のインクに圧力が付与されて、ノズル61からインクが吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する液体吐出ヘッドとして、特許文献1に記載されたインクジェットヘッドが知られている。このインクジェットヘッドは、マニホールドから圧力室を経てノズルに至る個別インク流路が複数形成されており、圧電アクチュエータが圧力室の容積を選択的に変化させてインクを吐出している。このとき、マニホールドが圧電アクチュエータに対してノズルの反対側に、平面視で複数のノズル及び圧力室と重なる領域に配置されていることで、インクジェットヘッドの小型化を達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−116954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、圧電アクチュエータが、インクに曝されるマニホールドと圧力室の間に配置されており、さらに圧電アクチュエータを貫通する貫通孔を通じてマニホールドと圧力室を連通している。そのため、圧電アクチュエータ全体がインクに侵食されるおそれがあり、圧電アクチュエータがインクに侵食されると、電圧が付与される電極がショートして圧電アクチュエータが破壊されてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、アクチュエータ全体が液体に曝されることがない液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の液体吐出ヘッドは、隔壁と、前記隔壁の一方側の面に隣接して設けられた共通液室と、前記共通液室に連通し、前記隔壁の他方側の面に隣接して設けられた複数の圧力室と、複数の前記圧力室にそれぞれ連通する複数のノズルとを有する流路ユニットと、前記共通液室の前記隔壁に対向する位置に設けられたアクチュエータと、前記共通液室内に、前記アクチュエータの変位を前記隔壁に伝達する変位伝達部材と、を備え、前記アクチュエータは、複数の前記圧力室のそれぞれに対応する位置に変形部が設けられており、前記変位伝達部材は、複数の前記圧力室に対応して複数設けられ、前記アクチュエータの前記変形部の変位を、前記隔壁のその変形部に対応する前記圧力室が設けられた部分に伝達することを特徴としている。
【0007】
これによれば、アクチュエータ全体がインクに曝される部分に形成されていないため、アクチュエータがインクに侵食されて破壊されるのを抑制することができる。また、隔壁が圧力室を変形させる振動板として機能するため、液体吐出ヘッドを小型化することができる。
【0008】
第2の発明の液体吐出ヘッドは、第1の発明において、前記隔壁は、前記共通液室と複数の前記圧力室とを連通させる連通孔が形成されていることを特徴としている。
【0009】
これによれば、共通液室と圧力室を連通させる流路を容易に形成することができる。
【0010】
第3の発明の液体吐出ヘッドは、第2の発明において、前記変位伝達部材は、その内部に前記共通液室と前記圧力室を連通させる連通通路が形成されていることを特徴としている。
【0011】
これによれば、変位伝達部材が、アクチュエータの変位を伝達するとともに、共通液室と圧力室を連通させることができる。
【0012】
第4の発明の液体吐出ヘッドは、第1から第3の発明において、複数の前記圧力室は、前記隔壁に直交する方向から見て、前記共通液室と重なる領域内に設けられていることw特徴としている。
【0013】
これによれば、複数の圧力室を共通液室と重なる領域内に設けているため、液体吐出ヘッドの平面形状を小型化することができる。
【0014】
第5の発明の液体吐出ヘッドは、第1から第4の発明において、前記変位伝達部材は、前記アクチュエータの前記変形部と前記隔壁を接続していることを特徴としている。
【0015】
これによれば、アクチュエータの変位を効率よく伝達することができる。
【0016】
第6の発明の液体吐出ヘッドは、第1から第5の発明において、前記変位伝達部材は、前記隔壁に直交する方向から見て、前記圧力室の中央部に設けられていることを特徴としている。
【0017】
これによれば、伝達されたアクチュエータの変位を圧力室内の液体に効率よく付与することができる。その結果、ノズルから効率よく液体を吐出させることができる。
【0018】
第7の発明の液体吐出ヘッドは、第1から第6の発明において、複数の前記圧力室は、複数の圧力室列を形成しており、前記流路ユニットは、前記共通液室内における、互いに隣接する前記圧力室列の間に対応する位置に、前記隔壁と前記隔壁に対向する前記アクチュエータが設けられた側とを接続する補強壁が設けられている。
【0019】
これによれば、1つ圧力室列に対応するアクチュエータの変位が他の圧力室列に伝達されることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、アクチュエータ全体が液体に曝されることがない液体吐出ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】インクジェットプリンタの概略斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るインクジェットヘッドの概略平面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2のIV−IV線断面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】第2実施形態に係る図3相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態は、インクジェットプリンタのインクジェットヘッドに本発明を適用した一例である。
【0023】
図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、インクジェットヘッド1をその下面に固定したキャリッジ101と、キャリッジ101に搭載されインクジェットヘッド1に供給されるインクを一時的に貯留するサブタンク102と、サブタンク102に対してインクを供給するチューブ103、インクタンク104と、インクタンク104を装着するタンク装着部105などを有している。
【0024】
キャリッジ101は、走査ベルト106に接続しており、走査ベルト106が駆動モータ107で駆動されることで、走査方向(図1左右方向)に往復移動する。
【0025】
サブタンク102は、インクジェットヘッド1の上面に配置され、後述するインク供給口22からインクジェットヘッド1にインクを供給する。また、サブタンク102は、チューブ103の一端と接続しており、チューブ103の他端は、タンク装着部105と接続している。そして、タンク装着部105にインクタンク104が装着されたときに、チューブ103とインクタンク104が連通する。これにより、インクジェットヘッド1がインクタンク104と連通している。なお、サブタンク102、チューブ103、インクタンク104は、インクジェットヘッドが吐出する4色(例えば、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクに対応して、4つずつ配置されている。
【0026】
紙送り方向(図1上下方向)のキャリッジ101よりも上流側には、記録用紙Pを搬送する図示しない搬送ローラと搬送ローラを駆動する駆動モータが配置されており、下流側には記録用紙Pを排出する図示しない排出ローラと排出ローラを駆動する駆動モータが配置されている。そして、キャリッジ101が走査方向に往復移動するとともに、インクジェットヘッド1の後述するノズル61からインクが吐出されて、記録用紙Pに所定の画像や文字が記録される。インクジェットヘッド1のノズル61からインクが吐出されると、インクタンク104からチューブ103、サブタンク102を通して、インクジェットヘッド1にインクが供給される。
【0027】
次に、インクジェットヘッド1について説明する。図2〜図5に示すように、インクジェットヘッド1は、流路ユニット10と圧電アクチュエータ70からなる。圧電アクチュエータ70は、流路ユニット10の外部に接合されている。なお、インクジェットヘッド1は、4色のインクを吐出するものであるが、以下においては、そのうちの1色についてのみ説明する。
【0028】
流路ユニット10は、サブタンク102と接続される略楕円状のインク供給口22が上面に形成されており、インク供給口22にマニホールド21が連通している。マニホールド21は、略矩形状であり、圧電アクチュエータ70に覆われる領域に流路ユニット10の上面に開口して形成されている。さらに、各圧力室41の走査方向の一端側に複数の貫通孔31が形成されており、マニホールド21と圧力室41は、貫通孔31を通して連通している。それぞれの圧力室41は走査方向に長い長円状であり、複数の圧力室41が紙送り方向に圧力室列を形成しており、さらに、圧力室列は走査方向に4列配置されている。各圧力室列は、紙送り方向にずれて配置されている。これら全ての圧力室41は、マニホールド41と重なる領域内に設けられている。
【0029】
各圧力室41の走査方向の他端側には、さらに貫通孔51が形成されており、ノズル61に連通している。このノズル61は、インクジェットヘッド1の下面に向かってノズル径が小さくなるテーパー形状となっている。以上により、インク供給口22からマニホールド21、貫通孔31、圧力室41、貫通孔51、およびノズル61に至る個別インク流路が複数形成されている。
【0030】
また、マニホールド21内には、圧電アクチュエータ70と接続される変位伝達壁32と補強壁33が形成されている。変位伝達壁32は、各圧力室41の中央部に形成されており、図3における、マニホールド21の上部の壁(圧電アクチュエータ70)と下部の壁(圧力室41に対応する振動板41の部分)が接続されている。一方、補強壁33は、2本の圧力室列の間であって、互いに隣接する4つの圧力室41の重心位置に形成されている。
【0031】
この流路ユニット10は、5枚のプレートを積層して接合することで構成されている。これら5枚のプレートは、流路ユニット10の上面の圧電アクチュエータ70側から順番に、マニホールドプレート20、振動板30、キャビティプレート40、スペーサプレート50、およびノズルプレート60である。これら5枚のプレートはステンレスなどの金属からなる矩形状のプレートである。
【0032】
マニホールドプレート20は、マニホールド21が貫通して形成されている。さらに、マニホールド21の紙送り方向両端にインク供給口22が2箇所形成されている。振動板30は、圧力室41の一端側に連通孔31が貫通して形成されている。さらに、マニホールド21内に配置される変位伝達壁32と補強壁33がマニホールド21に向かって突出して複数形成されている。キャビティプレート40は、複数の圧力室41が貫通して形成されている。スペーサプレート50は、圧力室41の他端側に連通孔51が貫通して形成されている。ノズルプレート60は、連通孔51に連通するノズル61が貫通して形成されている。これらの貫通孔および壁は、各プレートをエッチング、レーザ加工、プレス加工等により形成されている。なお、図2では、簡単のため、マニホールド21とインク供給口22、および圧力室41以外の貫通孔は図示していない。
【0033】
これら5枚のプレートが積層されて接合されることで、各プレートに形成された貫通孔が個別インク流路を形成している。各プレートの接合は、接着剤を介した接着や、金属拡散接合などにより行われる。
【0034】
次に、圧電アクチュエータ70について説明する。圧電アクチュエータ70は、3層の圧電層71〜73と、圧電層の各面に形成された共通電極74、75と個別電極76、77とからなる。
【0035】
圧電層71〜73は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛の固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料で形成されている。各圧電層71〜73は、外形互いに同じ大きさの矩形状であり、流路ユニット10の外形よりも小さく形成されている。
【0036】
共通電極74は圧電層71の下面に形成され、共通電極75は圧電層72の上面に、圧電層72、73に挟まれて形成されている。これらの共通電極74、75は、圧電層71〜73と同じ外形である。個別電極76は圧電層71の上面に、圧電層71、72に挟まれて形成され、個別電極77は圧電層73の上面に形成されている。これらの個別電極76、77は、圧力室41よりも一回り小さい長円状であり、各圧力室41に対応して、圧力室41の中央部に対向する位置に形成されている。
【0037】
共通電極74、75は、圧電層71〜73に形成された図示しないスルーホールに充填された導電材料により圧電層73の上面に引き出されている。さらに、個別電極76は、圧電層72、73に形成された図示しないスルーホールに充填された導電材料により表面の個別電極77と導通している。なお、個別電極76、77と共通電極74、75で挟まれた圧電層71〜73の各部分(活性部)は、個別電極76、77から共通電極74、75に向かう方向に平行な方向に分極されている。
【0038】
この圧電アクチュエータ70は、各圧電層71〜73となる圧電材料のグリーンシート上に共通電極74、75、および個別電極76、77となる導電性の金属材料をスクリーン印刷等により形成し、積層して焼成することで形成される。焼成して形成する以外に、ゾルゲル法やエアロゾルデポジション法により圧電アクチュエータ70を形成してもよい。
【0039】
圧電アクチュエータ70上には、図示しない配線基板が配置されており、圧電層73の上面に引き出された共通電極74、75および個別電極77に配線が接続されており、配線基板上に実装されたドライバICと接続している。
【0040】
以上の流路ユニット10と圧電アクチュエータ70が接合されてインクジェット1を構成している。このとき、個別電極76、77は、圧力室41の中央部にそれぞれ重なり、さらに、変位伝達壁32は個別電極76、77と圧力室41の中央部に重なる位置に配置され、変位伝達壁32と共通電極74が当接している。
【0041】
次にインクジェットヘッド1の動作について説明する。共通電極74、75は常時グランド電位に保持されており、ドライバICから個別電極77に電圧が付与されると、個別電極76、77と共通電極74、75の間に電位差が生じ、それらの電極間に電界が発生する。これにより、活性部が分極方向に伸張し、分極方向に直交する方向に収縮して変形する。この変形により生じた圧電アクチュエータ70の変位を変位伝達壁32が振動板30の圧力室41に対向する部分に伝達することで、圧力室41の容積が変化し、圧力室41内のインクに圧力が付与される。この圧力によりノズル61からインクが吐出される。
【0042】
以上説明したインクジェットヘッド1は、次のような効果を奏する。圧電アクチュエータ70のインクに曝される部分がその一面のみであるため、圧電アクチュエータ70全体がインクに曝されるおそれがある場合に比べて、圧電アクチュエータ70がインクの侵食を受けて破壊されることを抑制できる。さらに、圧電アクチュエータ70のインクに接する部分には全面に共通電極74が形成されているため、圧電アクチュエータ70がインクの侵食を受けることがなく、電圧が付与される個別電極76、77がショートして圧電アクチュエータ70が破壊されることがない。
【0043】
さらに、振動板30は、変位伝達壁32により伝達された変位によって圧力室41を変形させる振動板として機能するとともに、圧力室41とマニホールド21を隔離する隔壁として機能するため、インクジェットヘッド1を構成するプレートを少なくすることができ、インクジェットヘッド1を小型化することができる。
【0044】
さらに、圧電アクチュエータ70、マニホールド21、圧力室41、ノズル61がこの順番に積層されているため、圧力室41とノズル61の距離を短くすることができる。これにより、圧力室41に伝達された変位、すなわち、圧力室41内に発生した圧力のロスを少なくして効率よくノズル61からインクを吐出させることができる。
【0045】
さらに、圧電アクチュエータ70は、マニホールド21の上側に形成されているおり、その上面が露出しているため、配線基板との接続を容易にすることができる。
【0046】
さらに、補強壁33は、互いに隣接する4つの圧力室41の重心位置に形成されているため、圧電アクチュエータ70の変位が隣接する他の圧力室41に伝達されることを効果的に抑制することができる。
【0047】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0048】
図6に示すように、第2実施形態の変位伝達壁32は、その内部に連通流路34が形成されている。この連通流路34は、下端が圧力室41に開口しており、上端が変位伝達壁32に側面に開口し、マニホールド21と圧力室41を連通している。
【0049】
ここで、圧力室41に対向する振動板30の変位は、変位伝達壁32が設けられている中央部が最も大きい。すなわち、圧力室41内のインクは、中央部付近において最も流動することになる。第2実施形態においては、第1実施形態の連通孔31に比べて、マニホールド21と圧力室41を連通させる連通流路34が、圧力室の中央部に設けられているため、マニホールド21から圧力室41に向けて連通流路34のインクがより効率的に流動することになる。したがって、圧電アクチュエータ70を駆動してインクを吐出させた後に、マニホールド21から圧力室41へインクを効率よく供給することができる。
【0050】
以上の実施形態においては、変位伝達壁32と補強壁33が振動板30(流路ユニット10)に設けられていたが、これには限られず、変位伝達壁32と補強壁33が圧電アクチュエータ70と一体に設けられていてもよい。さらに、変位伝達壁32と補強壁33の一方が振動板30に設けられ、他方が圧電アクチュエータ70に設けられてもよい。また、変位伝達壁32と補強壁33が流路ユニット10および圧電アクチュエータ70とは別の部材で構成されていてもよい。また、変位伝達壁32は、各圧力室41の中央部に形成されていたが、これには限られず、いかなる位置に設けられていてもよい。また、補強壁33は、互いに隣接する4つの圧力室41の重心位置に形成されていたが、これには限られず、いかなる位置に設けられていてもよい。
【0051】
また、以上の実施形態においては、変位伝達壁32は、圧電アクチュエータ70と圧力室41に対向する振動板30の部分を接続していたが、これには限られず、変位伝達壁32は、圧電アクチュエータ70と圧力室41に対向する振動板30の部分のいずれか一方に接続し、他方とは隙間を空けて設けられていてもよい。この場合には、変位伝達部32と、圧電アクチュエータ70と圧力室41に対向する振動板30の部分のうち隙間を空けて設けられている部分とが、圧電アクチュエータ70の活性部が変形したときに当接することで、圧電アクチュエータ70の活性部に変形により生じた変位を圧力室41に伝達する。
【0052】
また、以上の実施形態においては、圧電アクチュエータ70のインクに接する部分には全面に共通電極74が形成されていたが、共通電極74の下面にさらにインクに対して耐食性を有する樹脂や金属製の膜が形成されていてもよい。
【0053】
また、以上の実施形態においては、アクチュエータとして圧電アクチュエータ70を採用していたが、これには限られず、いかなるアクチュエータを採用してもよい。
【0054】
また、以上の実施形態においては、圧力室列が4列形成されていたが、圧力室列は1列でもよく、また2列以上の任意の列数であってもよい。さらに、圧力室列が1列または2列の場合には、マニホールド21と圧力室41を連通させる連通孔31は振動板30に形成されているものに限られない。例えば、振動板30が他のプレートよりもその外形が小さく、振動板30の以外の領域に、マニホールド21と圧力室41を連通させる連通流路が形成されていてもよい。
【0055】
また、以上の実施形態においては、圧力室41の全面がマニホールド21と重なる領域に設けられていたが、圧力室41がマニホールド21の一部と重なっており、その重なった領域に変位伝達壁32が設けられていてもよい。
【0056】
また、以上の実施形態においては、補強壁33が設けられていたが、補強壁33が設けられていなくてもよい。さらに、この場合において、複数列の圧力室列のうち隣接する圧力室列に対応する圧電アクチュエータ70を同時に駆動させないようにインクジェットプリンタ1を制御してもよい。これによれば、駆動していない圧力室列に対応する変位伝達壁32が、駆動している隣接する圧力室列に対して、補強壁としての機能を果たす。
【0057】
以上においては、インクジェットヘッド1がキャリッジ101に設けられており、走査方向に往復移動しながら記録用紙Pに記録を行う、いわゆるシリアルプリンタについて説明したが、これには限られず、インクジェットヘッド1が記録用紙の幅以上の長さを有しているとともに、インクジェットプリンタ100に対して固定されており、搬送される記録用紙に向かって記録を行う、いわゆるラインプリンタについて本発明を適用することもできる。
【0058】
また、以上においては、本発明をインクを吐出するインクジェットヘッドに適用したが、インク以外の液体を吐出する液体吐出ヘッドに適用してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 インクジェットヘッド
10 流路ユニット
21 マニホールド
30 振動板
31 貫通孔
32 変位伝達壁
33 補強壁
34 連通流路
41 圧力室
70 圧電アクチュエータ
P 記録用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁と、前記隔壁の一方側の面に隣接して設けられた共通液室と、前記共通液室に連通し、前記隔壁の他方側の面に隣接して設けられた複数の圧力室と、複数の前記圧力室にそれぞれ連通する複数のノズルとを有する流路ユニットと、
前記共通液室の前記隔壁に対向する位置に設けられたアクチュエータと、
前記共通液室内に、前記アクチュエータの変位を前記隔壁に伝達する変位伝達部材と、を備え、
前記アクチュエータは、複数の前記圧力室のそれぞれに対応する位置に変形部が設けられており、
前記変位伝達部材は、複数の前記圧力室に対応して複数設けられ、前記アクチュエータの前記変形部の変位を、前記隔壁のその変形部に対応する前記圧力室が設けられた部分に伝達することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記隔壁は、前記共通液室と複数の前記圧力室とを連通させる連通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記変位伝達部材は、その内部に前記共通液室と前記圧力室を連通させる連通通路が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
複数の前記圧力室は、前記隔壁に直交する方向から見て、前記共通液室と重なる領域内に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記変位伝達部材は、前記アクチュエータの前記変形部と前記隔壁を接続していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記変位伝達部材は、前記隔壁に直交する方向から見て、前記圧力室の中央部に設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
複数の前記圧力室は、複数の圧力室列を形成しており、
前記流路ユニットは、前記共通液室内における、互いに隣接する前記圧力室列の間に対応する位置に、前記隔壁と前記隔壁に対向する前記アクチュエータが設けられた側とを接続する補強壁が設けられている請求項1から6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206413(P2012−206413A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74322(P2011−74322)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】