説明

液体吐出装置及びこれに用いる液体の攪拌脱気方法

【課題】印字安定性に優れ、印字不良が生じにくく、且つインク由来の粘着物(ケーキ)
の堆積を解消可能な、インクジェット記録装置などの液体吐出装置、及びこれに用いる液
体の攪拌脱気方法を提供する。
【解決手段】被吐出媒体に向けてノズルから液体を吐出するプリンタヘッドと、前記プリ
ンタヘッドと対向する位置に前記被吐出媒体を搬送する被吐出媒体搬送手段と、前記プリ
ンタヘッドに前記液体を供給する供給経路と、前記供給経路に連通され、前記液体を貯蔵
する貯蔵器と、前記貯蔵器中の前記液体を超音波脱気する超音波脱気機構と、前記貯蔵器
中の前記液体を撹拌する攪拌機構と、を有する、液体吐出装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置及びこれに用いる液体の攪拌脱気方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出装置の一つとして、紙、布、及びフィルム等の各種の被吐出媒体に、イ
ンク等の液体を吐出して印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。インクジェ
ットプリンタは、安価であり、必要とされる画像部のみに液体を吐出し被吐出媒体上に直
接画像形成を行うため、液体を効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、イ
ンクジェットプリンタは騒音が小さいため、画像形成の方式として優れている。
【0003】
ところが、インクジェットプリンタに使用する液体中に気泡や溶存気体が存在する場合
、吐出時に液体が十分圧縮されないため、吐出性が低下して安定した液体粒を発生できな
い。つまり、このような場合、印字安定性が劣っている。また、ドット抜けや印字不良が
発生し、インクジェット印刷の信頼性が低下する問題があった。そこで、使用する液体中
に気泡や溶存気体が存在しないようにするための試みがなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、加温後のインクジェット記録用インクを気体透過性のある膜
に通過させることによるインクの脱気方法が開示されている。また、特許文献2には、脱
気真空度が所定範囲に調節された真空脱気機構を有するインクジェット記録装置が開示さ
れている。さらに、特許文献3には、印字ヘッドに接続配置されたリザーブタンクの側壁
面下部に、インク中の含有気体を脱気するための超音波振動源が付設されたインクジェッ
ト記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−253169号公報
【特許文献2】特開2008−87273号公報
【特許文献3】特開2000−301733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたインクの脱気方法、並びに、特許文献2及び特
許文献3に開示されたインクジェット記録装置では、依然として、印字安定性、印字不良
、及び、特にホワイトインクで顕著に見られるインク由来の粘着物(ケーキ)の堆積の点
で実用上問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、印字安定性に優れ、印字不良が生じにくく、且つインク由来の粘着
物(ケーキ)の堆積を解消可能な、インクジェット記録装置などの液体吐出装置、及びこ
れに用いる液体の攪拌脱気方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は上記課題を解決するため、液体吐出装置を具現化した一例であるインクジ
ェット記録装置におけるインクの脱気手段について鋭意検討した。
【0009】
インクには、用いる色材に応じて顔料系インクと染料系インクとがある。顔料系インク
は、染料系インクと比較して記録物の保存性により優れているため、ディスプレイ用イン
クとして好適である。ところが、顔料粒子の沈降という、顔料系インク特有の問題がある
。特に顔料系インクがホワイトインクの場合、白色度を維持するために酸化チタンを使用
することが多い。だが、酸化チタンは比重が大きいため、顕著に沈降が見られる(沈降速
度が非常に大きい。)。このような沈降を防止する対策として、記録装置に攪拌機構が備
えられている。
【0010】
一方、インクジェットインクには、その吐出信頼性の観点から、気泡が存在すると好ま
しくない。インクジェット記録装置に攪拌機構を備え付けたところ、記録時にインク中の
気泡が巻き込まれ、結果としてインクジェットインクの吐出信頼性に悪影響を及ぼすこと
が分かった。
【0011】
そこで、本願発明者が更に検討を重ねたところ、攪拌機構と超音波脱気機構とを共に備
えた液体吐出装置、即ちインクジェット記録装置により、顔料の沈降が解消され、且つ吐
出信頼性にも優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
更に、紫外線硬化型インクのような粘度の高い溶剤系インクについては、通常の静置状
態の場合にはインクの脱気に長時間を要する反面、本発明はインクの脱気と共に攪拌を行
うことにより、脱気性能の向上や脱気時間の短縮も実現できることが明らかとなった。
【0013】
即ち、本発明は下記のとおりである。
[1]
被吐出媒体に向けてノズルから液体を吐出するプリンタヘッドと、前記プリンタヘッド
と対向する位置に前記被吐出媒体を搬送する被吐出媒体搬送手段と、前記プリンタヘッド
に前記液体を供給する供給経路と、前記供給経路に連通され、前記液体を貯蔵する貯蔵器
と、前記貯蔵器中の前記液体を超音波脱気する超音波脱気機構と、前記貯蔵器中の前記液
体を撹拌する攪拌機構と、を有する、液体吐出装置。
[2]
前記液体が金属酸化物を含有する液体組成物である、[1]に記載の液体吐出装置。
[3]
前記プリンタヘッドはキャリッジに設けられ、前記貯蔵器は前記キャリッジに設けられ
る、[1]又は[2]に記載の液体吐出装置。
[4]
前記プリンタヘッドはキャリッジに設けられ、前記貯蔵器は前記キャリッジ以外の場所
に設けられる、[1]又は[2]に記載の液体吐出装置。
[5]
前記貯蔵器は液体カートリッジである、[1]〜[4]のいずれかに記載の液体吐出装
置。
[6]
前記供給経路に設けられる輸送ポンプを更に有する、[1]〜[5]のいずれかに記載
の液体吐出装置。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の液体吐出装置に用いる液体を攪拌しながら超音波脱
気することを含む、液体吐出装置に用いる液体の攪拌脱気方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略的な構成図である。
【図2】本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略的な構成図である。
【図3】本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略的な構成図である。
【図4】本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略的な構成図である。
【図5】本発明で使用するインクジェット記録装置の記録動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明で使用するインクジェット記録装置の記録動作の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明で使用するインクジェット記録装置の記録動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の
実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することがで
きる。
【0016】
本明細書中、「液体吐出装置」は、上述のとおり、紙、布、及びフィルム等の各種の被
吐出媒体に、インク等の液体を吐出して印刷を行うものであり、インクジェットプリンタ
を含む。このインクジェットプリンタは、上述のとおり、必要とされる画像部のみに液体
を吐出し被吐出媒体上に直接画像形成を行うものである。上記の液体吐出装置に含まれる
「記録装置」は、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成するための
画像記録装置であり、インクジェット記録装置を含む。このインクジェット記録装置は、
必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うものである
。したがって、インクジェット記録装置は液体吐出装置の一例として含まれる。
【0017】
また、本明細書中、「超音波脱気」とは、インクに超音波をかけることで、顔料等に取
り込まれていた気泡を分離させ、さらに分離した気泡同士が合一化することで、液面まで
浮上し脱気することを意味する。また、本明細書中で特に記載のない限り、「攪拌」とは
、超音波機構でなく攪拌機構のみによる攪拌を意味する。さらに、「超音波撹拌」とは、
超音波機構及び攪拌機構を用いることを意味する。
【0018】
さらに、本明細書中のオンキャリッジ方式及びオフキャリッジ方式は、例えば、日本画
像学会編、「シリーズ『デジタルプリンタ技術』 インクジェット」、東京電機大学出版
局、2008年9月10日、第1版、p.190、191に記載されている。ここで、「
オンキャリッジ方式」とは、インクカートリッジをプリントヘッドとともにキャリッジに
搭載するインク供給方式を意味する。「オフキャリッジ方式」とは、インクカートリッジ
をキャリッジに搭載せずに別の場所に設置して、キャリッジ上のプリントヘッドと、チュ
ーブなどで繋ぐインク供給方式を意味する。「サブインクタンク」とは、オフキャリッジ
方式により、インクカートリッジからキャリッジ上のプリントヘッドにチューブを接続す
る場合に、このプリントヘッドとインクカートリッジとの間に設置されるインクタンクの
ことをいう。また、この「サブインクタンク」は、メインインクタンク(インクカートリ
ッジ)の設置の自由度、例えばプリントヘッドより下にできる等、を上げるためにプリン
タヘッドよりも上方に設置する中継タンクのことをいう。
【0019】
本実施形態のインクジェット記録装置及びインクジェット記録用インクの攪拌脱気方法
について、以下図面を用いて説明する。なお、図1〜5中、各部材の上下の位置関係は、
図示するような位置関係にあるものとする。
【0020】
[第1実施形態]
〔インクジェット記録装置構成〕
本発明の一実施形態は液体吐出装置に係る。当該液体吐出装置は、被吐出媒体に向けて
ノズルから液体を吐出するプリンタヘッドと、前記プリンタヘッドと対向する位置に前記
被吐出媒体を搬送する被吐出媒体搬送手段と、前記プリンタヘッドに前記液体を供給する
供給経路と、前記供給経路に連通され、前記液体を貯蔵する貯蔵器と、前記貯蔵器中の前
記液体を超音波脱気する超音波脱気機構と、前記貯蔵器中の前記液体を撹拌する攪拌機構
と、を有する。
この液体吐出装置を具現化した一例であるインクジェット記録装置は、被記録媒体(液
体吐出装置における被吐出媒体に相当)に向けてノズルからインク(液体吐出装置におけ
る液体に相当)を吐出するプリンタヘッドと、前記プリンタヘッドと対向する位置に前記
被記録媒体を搬送する被記録媒体搬送手段(液体吐出装置における被吐出媒体搬送手段に
相当)と、前記プリンタヘッドに前記インクを供給する供給経路と、前記供給経路に連通
され、前記インクを貯蔵する貯蔵器と、前記貯蔵器中の前記インクを超音波脱気する超音
波脱気機構と、前記貯蔵器中の前記インクを撹拌する攪拌機構と、を有する。
【0021】
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の一例を示す概略的な構成図である。記
録装置1は、貯蔵器2、攪拌機構4、超音波脱気機構5、供給経路6、逆止弁7、及びプ
リンタヘッド8を備えて供給される。貯蔵器2は、脱気を行うインク3を貯蔵するもので
ある。攪拌機構4は、貯蔵器2に貯蔵されているインク3を攪拌するものである。超音波
脱気機構5は、貯蔵器2に貯蔵されているインク3を超音波脱気するためのものである。
超音波脱気機構5は例えば超音波発生装置である。供給経路6は、インク3を送液するも
のである。供給経路6は貯蔵器2に連通している。供給経路6は送液ポンプをその途中に
備えてもよい。逆止弁7は、供給経路6における任意の箇所に、供給(送液)されるイン
ク3の逆流を防止するものである。プリンタヘッド8は、供給経路6を通ってインク3が
供給(送液)される先である。また、プリンタヘッド8は、被記録媒体に向けてノズルか
らインク3を吐出するものである。
【0022】
ここで、プリンタヘッド8はキャリッジに設けられ、貯蔵器2は前記キャリッジに設け
られることが好ましい。具体的にいえば、攪拌機構4及び超音波脱気機構5が設けられる
貯蔵器2は、オンキャリッジ方式のインクカートリッジであることが好ましい。この場合
、水頭値を利用しインクを供給できるのでポンプが必要無くなる。
【0023】
また、これに代えて、プリンタヘッド8はキャリッジに設けられ、貯蔵器2は前記キャ
リッジ以外の場所に設けられることもまた好ましい。具体的にいえば、貯蔵器2は、オフ
キャリッジ方式のインクカートリッジ、及び、前記オフキャリッジ方式のインクカートリ
ッジと前記プリンタヘッドとに連通するインクタンク、のうち少なくともいずれかに組み
替えてもよい。この場合、プリンタヘッドを小型化することができる。この変形例におい
て、機構4及び5はサブインクタンクに備えられている。後述する図3において、このよ
うなサブインクタンクを備えた変形例を示す。
【0024】
プリンタヘッド8は、被記録媒体に向けてインク3を吐出し着弾(付着)させるための
ノズル(図示せず)を備えている。このプリンタヘッド8と対向する位置に、被記録媒体
を搬送するための本発明の被記録媒体搬送手段(図示せず)が設けられている。
【0025】
インク3が紫外線硬化型インクである場合、被記録媒体の搬送部分のうちプリンタヘッ
ド8と対向する位置よりも下流に、光照射手段(紫外線照射ランプ)(図示せず)が備え
られる。
【0026】
〔インクジェット記録方法(動作)〕
図5は、本実施形態のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法の一例
を示すフローチャートである。当該記録方法を概略説明すれば、まず、印刷命令を受けた
後(S10)、超音波撹拌動作を行う(S11)。攪拌後、印刷を実施する(S12)。
このように、プリンタ停止時間中に、インク成分の沈降又は気泡の混入を考慮して印刷開
始前に超音波撹拌動作を行う。
【0027】
具体的にいえば、当該インクジェット記録方法は、攪拌脱気工程及び吐出工程を少なく
とも含む点に特徴がある。さらに、使用するインクが紫外線硬化型インクである場合、当
該記録方法は硬化工程も含んでいてもよい。以下、フローチャートのステップに合わせて
各工程を詳細に説明する。
【0028】
(印刷命令(S10))
印刷命令では、印刷対象の画像データ及び印刷を指示する。コンピュータ装置(図示せ
ず)から画像データが印刷コマンドとともにインクジェット記録装置に送信される。
【0029】
(超音波攪拌動作(S11))
超音波撹拌動作は、本発明の攪拌脱気工程に相当する。例えば、(1)超音波脱気装置
である超音波脱気機構5の駆動(超音波照射開始)、(2)攪拌開始、(3)攪拌停止、
(4)印字、及び(5)超音波脱気機構5の停止(超音波照射停止)の順に進行する。
【0030】
最初に上記(1)の超音波をかけると、その後の上記(2)の攪拌によって沈降物が解
消しやすくなる。攪拌することにより、粘度が高いインクの場合でも有効に超音波脱気を
達成することができる。攪拌を続けていると泡がインク3中に取り込まれるため、超音波
をかけたまま攪拌を停止し(上記(3))、しばらく超音波脱気することにより、攪拌に
よってインク3中に取り込まれた気泡を解消する。上記(4)の印字を行った後に、超音
波を停止する(上記(5))。
【0031】
本形態によれば、沈降攪拌の結果として泡を取り込んだインク3を、超音波脱気により
脱気できる。また、本形態は、特にケーキ(凝集増粘物)が発生するようなホワイトイン
クに有効である。攪拌によってケーキを解消しようとすると、攪拌の回転数を上げたり、
攪拌時間を長くしたりすることとなり、その結果、泡がインク3中に取り込まれやすくな
る。そのため、攪拌機構4を用いた攪拌のみでは、ケーキを解消することが困難である。
そこで、攪拌機構4に加えて、超音波脱気機構5を用いて超音波をかけると、このケーキ
の解消が非常に短時間で達成できるため、結果として泡がインク3中に取り込まれにくく
なる。
【0032】
(印刷(S12))
印刷においては、(4)印字を行う。具体的には、吐出工程(4−1)を少なくとも行
い、さらに、使用するインクが紫外線硬化型インクである場合には硬化工程(4−2)を
行う。なお、超音波をかけたまま印字を開始してもよい。すなわち、印字は(3)の操作
以降であればどの操作後に行ってもよく、上記(5)の操作後に行ってもよい。
【0033】
(吐出工程(4−1))
本実施形態における吐出工程は、プリンタヘッド8からインク3を吐出することにより
、被記録媒体上に攪拌脱気工程後のインク3を着弾させる工程である。上述のとおり、被
記録媒体搬送手段は、プリンタヘッド8と対向する位置に被記録媒体を搬送する。プリン
タヘッド8は、被記録媒体に、インク3を吐出し、これを着弾させる。例えば、シアン、
マゼンタ、イエロー、ブラック用のインクが必要な場合には、色毎にインク3が用意され
る。プリンタヘッド8は、被記録媒体の搬送方向に沿って各色のインク3を吐出するため
のヘッドが複数並んで配置されたヘッドセットであってもよい。また、プリンタヘッド8
は、被記録媒体の搬送方向に直交する方向に各色のインク3を吐出するための複数のノズ
ルを備えていてもよい。
【0034】
このように、インク3を被記録媒体上に吐出し着弾させることにより画像を形成するイ
ンクジェット記録方法として、従来公知の方法を使用できる。これらの中でも特に、圧電
素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法、即ち電歪素子の機械的変形によりインクド
ットを形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法を用いることにより、優れた品質
の画像を形成することができる。
【0035】
(硬化工程(4−2))
本実施形態における硬化工程は、上記吐出工程後にインク3を、特定の波長域の光を照
射することで硬化させる工程である。
【0036】
上述のとおり、インク3が紫外線硬化型インクの場合、光照射手段(紫外線照射ランプ
)(図示せず)が備えられる。したがって、上記特定の波長域の光は、紫外(UV)線の
領域が好ましい。紫外線照射ランプは、被記録媒体に着弾したインク(紫外線硬化型イン
ク)3に紫外線を照射して、インク3を硬化させる。特定の波長域(紫外域)は、例えば
360〜450nmの範囲であり、好ましくは360〜410nmの範囲であり、より好
ましくは380〜400nmの範囲であるとLED等を使用する場合に照射器のコストが
安価で済む。また、本発明の実施形態におけるインクの波長域が上記範囲内であると、硬
化性が一層優れたものとなる。
【0037】
光の照射量は、好ましくは10〜20,000mJ/cmであり、より好ましくは5
0〜15,000mJ/cmである。照射量が上記範囲内であると、十分に硬化反応を
行うことができる。
【0038】
上記の波長域の発光光源(光照射手段)としては、例えば、水銀ランプやメタルハライ
ドランプが挙げられる。その一方で、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれてい
ることから、GaN系半導体の紫外発光デバイスへの置き換えが進んでいる。発光ダイオ
ード(LED)及びレーザダイオード(LD)は小型で高効率であるとともに高寿命でも
あることから光硬化型インクジェット記録用光源として利用されつつある。これらの中で
も、コストや汎用性の観点から、360〜400nmの範囲にピーク波長を有する発光ダ
イオード(LED)が好ましい。
【0039】
このように、本実施形態によれば、印字安定性に優れ、印字不良が生じにくく、且つイ
ンク由来の粘着物(ケーキ)の堆積を解消可能な、インクジェット記録装置が得られる。
より詳細にいえば、攪拌と超音波を組み合わせることで、印字安定性を維持しつつ、沈降
も回復できる。特に、攪拌機構を単独で使用した場合は印字安定性に対し悪影響を及ぼす
が、超音波機構と組み合わせることで、超音波機構単独使用の場合と比較しても印字安定
性に対してより良好な特性を示す。また、超音波をかけることにより、沈降により凝集し
ていた顔料同士の分離も速やかに達成することができる。
【0040】
[第2実施形態]
第2実施形態では、前回の超音波撹拌動作から所定時間経過したか否かを判定した上で
超音波撹拌動作をさらに行うかどうかを判断する点で、上記の第1実施形態と異なる。
〔液体吐出装置構成〕
装置構成は図1で説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0041】
〔インクジェット記録方法(動作)〕
図6は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方
法の変形例を示すフローチャートである。この記録方法によれば、まず、印刷命令を受け
た後(S20)、前回の超音波撹拌動作から所定時間経過したか否かを判定する(S21
)。前回の超音波撹拌動作から所定時間経過していた場合(S21:Y)、超音波撹拌を
行う(S22)。その後に印刷を実施する(S23)。一方、前回の超音波撹拌動作から
所定時間経過していない場合(S21:N)は、超音波撹拌を行わずに印刷を実施する(
S23)。
【0042】
超音波撹拌が必要な原因として、インク成分の沈降又は気泡の混入が挙げられる。した
がって、これらのいずれかが発生しうる時間を所定時間(数時間、1日、数日など)に設
定する。
【0043】
ここで、上記の沈降は、顔料成分などの沈降のことをいい、長時間経過すると沈降物が
ケーキ化する。また、上記の気泡の発生は、インク中に溶存していた酸素などが気体化し
て気泡が発生したり、インク容器の壁を通じて気体がインク容器内に混入したりすること
による。
なお、印刷命令(S20)、超音波撹拌動作(S22)、及び印刷(S23)の内容は
、それぞれ第1実施形態で説明した印刷命令(S10)、超音波撹拌動作(S11)、及
び印刷(S12)の各内容と重複するため、ここでの説明を省略する。
【0044】
このように、本実施形態によれば、印字安定性に優れ、印字不良が生じにくく、且つイ
ンク由来の粘着物(ケーキ)の堆積を解消可能な、インクジェット記録装置が得られる。
より詳細にいえば、攪拌と超音波を組み合わせることで、印字安定性を維持しつつ、沈降
も回復できる。特に、攪拌機構を単独で使用した場合は印字安定性に対し悪影響を及ぼす
が、超音波機構と組み合わせることで、超音波機構単独使用の場合と比較しても印字安定
性に対してより良好な特性を示す。また、超音波をかけることにより、沈降により凝集し
ていた顔料同士の分離も速やかに達成することができる。さらに、本実施形態は、上記の
第1実施形態と異なり、前回の超音波撹拌動作から所定時間経過したか否かを判定した上
で超音波撹拌動作をさらに行うかどうかを判断するため、超音波撹拌動作を好適に制御で
きる。
【0045】
[第3実施形態]
第3実施形態では、超音波撹拌の効果に合わせて2段階の所定時間を用意し、前回の超
音波撹拌動作から所定時間を経過したか否かを判定した上で、超音波攪拌動作、すなわち
超音波動作及び攪拌動作を行うか、又は、超音波動作のみを行うかを判断する点で、上記
の第2実施形態と異なる。
〔液体吐出装置構成〕
図1で説明したものと同様のため、ここでは説明を省略する。
【0046】
〔インクジェット記録方法(動作)〕
図7は、本実施形態で使用するインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方
法の変形例を示すフローチャートである。ここでは、まず、印刷命令を受けた後(S30
)、前回の超音波撹拌動作から第1所定時間以上経過しているか否かを判定する(S31
)。前回の超音波撹拌動作から第1所定時間以上経過している場合(S31:Y)、長時
間の経過によるインクの沈降、特にケーキ化を解消するため、超音波撹拌動作を行う(S
32)。その後、印刷を実施する(S33)。前回の超音波撹拌動作から第1所定時間以
上経過していない場合(S31:N)であって、且つ前回の超音波撹拌動作から第2所定
時間経過している場合(S34:Y)、インクが沈降しても攪拌が必要なケーキ化までは
至らないか、あるいはインク沈降は無く気泡の混入のみであると判断して、超音波動作の
みを行う(S35)。その後、印刷を実施する(S33)。前回の超音波撹拌動作から第
1所定時間以上経過していない場合(S31:N)であって、且つ前回の超音波撹拌動作
から第2所定時間経過していない場合(S34:N)、超音波撹拌動作も超音波動作も行
わずに、印刷を実施する(S33)。
【0047】
ここで、第1所定時間は、インク成分の沈降が発生しうる時間であり、第2所定時間は
、溶存気体量の増加及び気泡の混入のいずれかが発生しうる時間である。
【0048】
また、印刷命令(S30)、超音波撹拌動作(S32)、及び印刷(S33)の内容は
、それぞれ第1実施形態で説明した印刷命令(S10)、超音波撹拌動作(S11)、及
び印刷(S12)の各内容と重複するため、ここでの説明を省略する。一方、超音波動作
(S35)は、超音波撹拌動作(S11)と異なり、第1実施形態で説明した超音波撹拌
動作(S11)のうち攪拌を行わない動作に相当する。
【0049】
このように、本実施形態によれば、印字安定性に優れ、印字不良が生じにくく、且つイ
ンク由来の粘着物(ケーキ)の堆積を解消可能な、インクジェット記録装置が得られる。
より詳細にいえば、攪拌と超音波を組み合わせることで、印字安定性を維持しつつ、沈降
も回復できる。特に、攪拌機構を単独で使用した場合は印字安定性に対し悪影響を及ぼす
が、超音波機構と組み合わせることで、超音波機構単独使用の場合と比較しても印字安定
性に対してより良好な特性を示す。また、超音波をかけることにより、沈降により凝集し
ていた顔料同士の分離も速やかに達成することができる。
【0050】
さらに、本実施形態は、上記の第2実施形態と異なり、超音波撹拌の効果に合わせて2
段階の所定時間を用意し、前回の超音波撹拌動作から所定時間を経過したか否かを判定し
た上で、超音波攪拌動作、すなわち超音波動作及び攪拌動作を行うか、又は、超音波動作
のみを行うかを判断するため、超音波撹拌動作を一層好適に制御でき、且つ不必要な動作
を省略できることから印字開始までの時間の短縮を図ることができる。
【0051】
[第4実施形態]
第4実施形態では、超音波脱気機構5bを有するサブインクタンク2bを設ける点、及
び、供給経路6中に輸送ポンプ9を更に設けることによりメインインクタンク2aの位置
の自由度が増す点で、上記の第1実施形態と異なる。
〔液体吐出装置構成〕
図2は、本実施形態の液体吐出装置を具現化した一例であるインクジェット記録装置の
変形例を示す概略図である。この変形例における記録装置21は、上記図1に示した記録
装置1と異なり、貯蔵器2b、超音波脱気機構5b、及び輸送ポンプ9をさらに備えて供
給される。輸送ポンプ9は供給経路6の途中に設けられる。逆止弁7が、輸送ポンプ9を
挟んだ供給経路6の両側に備えられている。
【0052】
また、貯蔵器2aは、攪拌機構4a及び超音波脱気機構5aが設けられたものである。
貯蔵器2aは例えば超音波発生装置である。貯蔵器2bは、超音波脱気機構5bが設けら
れたものである。超音波脱気機構5bは例えば超音波発生装置である。貯蔵器2bは、供
給経路6における輸送ポンプ9よりもプリンタヘッド8側に備えられている。貯蔵器2a
はメインインクタンクである一方、貯蔵器2bはサブインクタンクである。
【0053】
〔インクジェット記録方法(動作)〕
図5は、本実施形態のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法の一例
を示すフローチャートである。このフローチャートは、既に上記第1実施形態において説
明したため、双方の実施形態において共通の内容は、ここでの説明を省略する。以下、本
実施形態を詳細に説明する。
【0054】
(印刷命令(S10))
印刷命令では、印刷対象の画像データ及び印刷を指示する。コンピュータ装置(図示せ
ず)から画像データが印刷コマンドとともにインクジェット記録装置に送信される。
【0055】
(超音波撹拌動作(S11))
超音波撹拌動作は、概略的にいうと、(1)超音波脱気機構5aの駆動(超音波照射開
始)、(2)攪拌開始、(3)攪拌停止、(4)サブインクタンク2bにインク供給、(
5)超音波脱気機構5bの駆動(超音波照射開始)、(6)印字、及び(7)超音波脱気
機構5a、5bの停止(超音波照射停止)の順に進行する。なお、印字は、上記(7)の
操作後に行ってもよい。(6)印字については後述する。
【0056】
上記(1)の超音波脱気をした後、上記(2)の攪拌を開始すると、効率良く沈降を解
消できる。上記(3)の攪拌を停止した後、超音波脱気を継続し、サブインクタンク2b
に輸送ポンプ9を利用してインク3を供給する(上記(4))。サブインクタンク2bに
脱気されたインク3を供給した後、インクカートリッジであるメインインクタンク2aの
超音波脱気を止めてもよい。また、上記(5)のように、サブインクタンク2bに超音波
脱気機構5bを設けることで、サブインクタンク2b内の沈降を抑制でき、且つ若干の脱
気も可能となる。上記(6)の印字を行った後に、超音波脱気機構5a、5bを停止する
(上記(7))。なお、超音波をかけたまま印字を開始してもよい。印字は、(5)の操
作以降であれば、どの操作後に行ってもよい。
【0057】
サブインクタンク2bを設けて、輸送ポンプ9によりそのサブインクタンク2bにイン
ク3を供給するようにすることで、水頭差を考慮することなく、メインインクタンク2a
をプリンタヘッド8よりも上方に配置する必要がなくなる。そのため、メインインクタン
ク2aを設ける位置の自由度が増す。
【0058】
(印刷(S12))
印刷においては、(6)印字を行う。具体的には、吐出工程(6−1)を少なくとも行
い、さらに、使用するインクが紫外線硬化型インクである場合には硬化工程(6−2)を
行う。印字は、上記(7)の操作後に行ってもよい。
なお、本実施形態における吐出工程及び硬化工程は、上記第1実施形態のものと同様で
あるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
図6のフローチャートでは、印刷の前に必ず超音波攪拌動作が入るようにする。
【0060】
図7のフローチャートでは、前回の超音波攪拌動作から一定時間経過していた場合のみ
印刷の前に超音波攪拌動作が入るようにする。
本実施形態は、上記第1実施形態と異なり、超音波攪拌をした後にポンプでサブインク
タンク2bにインクを供給するプロセスが付加される。超音波脱気機構5bは印刷命令後
に駆動開始していてもよいが、省電力の観点で停止していてもよい。また、攪拌が必要な
い場合、即ち前回の超音波攪拌から一定時間経過していない場合は、メインインクタンク
2aの超音波攪拌動作は必要なく超音波脱気機構5bの超音波動作のみ実施すればよい。
【0061】
このように、本実施形態によれば、印字安定性に優れ、印字不良が生じにくく、且つイ
ンク由来の粘着物(ケーキ)の堆積を解消可能な、インクジェット記録装置が得られる。
より詳細にいえば、攪拌と超音波を組み合わせることで、印字安定性を維持しつつ、沈降
も回復できる。特に、攪拌機構を単独で使用した場合は印字安定性に対し悪影響を及ぼす
が、超音波機構と組み合わせることで、超音波機構単独使用の場合と比較しても印字安定
性に対してより良好な特性を示す。また、超音波をかけることにより、沈降により凝集し
ていた顔料同士の分離も速やかに達成することができる。さらに、本実施形態は、上記の
第1実施形態と異なり、超音波脱気機構5bを有するサブインクタンク2bを設けること
によりサブインクタンク2b内の沈降を抑制でき、且つ若干の脱気も可能となる。さらに
また、本実施形態は、上記の第1実施形態と異なり、供給経路6中に輸送ポンプ9を設け
ることによりメインインクタンク2aの位置の自由度が増す。
【0062】
[第5実施形態]
第5実施形態では、超音波脱気機構5dを有するサブインクタンク2dを設けることに
よって、サブインクタンク2d内の沈降を抑制でき、若干の脱気も可能となる上、泡がイ
ンク3中に取り込まれにくくなる点、及び、供給経路6中に輸送ポンプ9を設けることに
よりメインインクタンク2cの位置の自由度が増す点で、上記の第1実施形態と異なる。
〔液体吐出装置構成〕
図3は、本実施形態の液体吐出装置を具現化した一例であるインクジェット記録装置の
変形例を示す概略図である。この変形例における記録装置31は、上記図1に示した記録
装置1と異なり、貯蔵器2d、攪拌機構4d、超音波脱気機構5d、及び輸送ポンプ9を
さらに備えて供給される。貯蔵器2cは、上記図1に示した記録装置1における貯蔵器2
に対応する。貯蔵器2cは、攪拌機構4c及び超音波脱気機構5cを備える。超音波脱気
機構5cは例えば超音波発生装置である。貯蔵器2dは、攪拌機構4d及び超音波脱気機
構5dを備える。超音波脱気機構5dは例えば超音波発生装置である。貯蔵器2dは、供
給経路6における輸送ポンプ9よりもプリンタヘッド8側に備えられている。貯蔵器2c
はメインインクタンクである一方、貯蔵器2dはサブインクタンクである。
【0063】
上記の貯蔵器2dは記録装置31に備え付けられているものである。貯蔵器2d中のイ
ンクがなくなったり少なくなったりしたら、その貯蔵器2dにインク3が補充されてもよ
い。あるいは、上記の貯蔵器2dは、図3に示したサブインクタンクの代わりに、後記の
図4に示すような脱着可能なカートリッジ式のもの、すなわち記録装置31に備え付けの
インクカートリッジであってもよい。この場合、インク3が無くなったり少なくなったり
したら、上記インクカートリッジを交換すればよい。
【0064】
〔インクジェット記録方法(動作)〕
図5は、本実施形態のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法の一例
を示すフローチャートである。このフローチャートは、既に上記第1実施形態において説
明したため、これらの実施形態において共通の内容は、ここでの説明を省略する。以下、
本実施形態を詳細に説明する。
【0065】
(印刷命令(S10))
印刷命令では、印刷対象の画像データ及び印刷を指示する。コンピュータ装置(図示せ
ず)から画像データが印刷コマンドとともにインクジェット記録装置に送信される。
【0066】
(超音波撹拌動作(S11))
超音波撹拌動作は、(1)メインインクタンク2cの超音波脱気機構5cの駆動(超音
波照射開始)、(2)メインインクタンク2cの攪拌開始、(3)メインインクタンク2
cの攪拌停止、(4)サブインクタンク2dの超音波脱気機構5dの駆動(超音波照射開
始)、(5)サブインクタンク2dの攪拌開始、(6)サブインクタンク2dの攪拌停止
、(7)印字、及び(8)超音波脱気機構5c、5dの停止(超音波照射停止)の順に進
行する。なお、印字は、(6)の操作以降であれば、どの操作後に行ってもよい。
【0067】
上記(1)の超音波脱気をした後、上記(2)の攪拌を開始すると、効率良く沈降を解
消できる。上記(3)の攪拌を停止した後、超音波脱気を継続し、サブインクタンク2d
に輸送ポンプ9を利用してインク3を供給する。サブインクタンク2dに脱気されたイン
ク3を供給した後、インクカートリッジであるメインインクタンク2cの超音波脱気を止
めてもよい。また、上記(4)及び(5)のように、サブインクタンク2dに攪拌機構4
d及び超音波脱気機構5dを設けることにより、サブインクタンク2d内の沈降及び脱気
を共に効率良く実施できる。上記(6)の攪拌を停止した後、上記(7)の印字を行い、
その後に超音波照射を停止する(上記(8))。なお、超音波をかけたまま印字を開始し
てもよい。
【0068】
本形態によれば、メインインクタンク2cだけでなくサブインクタンク2dにも攪拌機
構4dを備えているため、ケーキの解消に極めて優れる。そのため、本形態は、特にケー
キ(凝集増粘物)が発生するようなホワイトインクに有効である。また、サブインクタン
ク2dに攪拌機構4d及び超音波脱気機構5dを設けることにより、ケーキの解消が非常
に短時間で達成できるため、結果として泡がインク3中に取り込まれにくくなる。また、
サブインクタンク2dにも攪拌機構4dを備えることで、ケーキ化した場合にも復帰が可
能なため、例えばケーキ化する前にインクをリフレッシュしなければならないようなメン
テナンスが必要なくなり、ユーザーのインク使用量が削減可能となる。
【0069】
さらに、サブインクタンク2dを設けて、輸送ポンプ9によりそのサブインクタンク2
dにインク3を供給するようにすることで、メインインクタンク2cをプリンタヘッド8
よりも上方に配置する必要がなくなるため、メインインクタンク2cの位置の自由度が増
す。
【0070】
(印刷(S12))
印刷においては、(7)印字を行う。具体的には、吐出工程(7−1)を少なくとも行
い、さらに、使用するインクが紫外線硬化型インクである場合には硬化工程(7−2)を
行う。印字は、(6)の操作以降であれば、どの操作後に行ってもよい。
なお、本実施形態における吐出工程及び硬化工程は、上記第1実施形態のものと同様で
あるため、ここでは説明を省略する。
【0071】
図6のフローチャートでは、印刷の前に必ず超音波攪拌動作が入るようにする。
【0072】
図7のフローチャートでは、前回の超音波攪拌動作から一定時間経過していた場合のみ
印刷の前に超音波攪拌動作が入るようにする。
本実施形態は、上記の第1〜第4実施形態と異なり、サブインクタンク2bにも攪拌機
構4dを備えることで、サブインクタンク2b内のケーキにおいても復旧が可能になる。
そのため、図2のような場合はサブインクタンク内に超音波のみでは復旧できないケーキ
が発生する前に超音波で防止するか、インクを吐き出しリフレッシュする必要がある。そ
こで、図3のように攪拌機構4dを備えていれば上記のようなメンテナンスが必要なくな
り、インクをリフレッシュする場合と比較して大幅に無駄なインクを削減することができ
る。
【0073】
このように、本実施形態によれば、印字安定性に優れ、印字不良が生じにくく、且つイ
ンク由来の粘着物(ケーキ)の堆積を解消可能な、インクジェット記録装置が得られる。
より詳細にいえば、攪拌と超音波を組み合わせることで、印字安定性を維持しつつ、沈降
も回復できる。特に、攪拌機構を単独で使用した場合は印字安定性に対し悪影響を及ぼす
が、超音波機構と組み合わせることで、超音波機構単独使用の場合と比較しても印字安定
性に対してより良好な特性を示す。また、超音波をかけることにより、沈降により凝集し
ていた顔料同士の分離も速やかに達成することができる。さらに、本実施形態は、上記の
第1実施形態と異なり、超音波脱気機構5dを有するサブインクタンク2dを設けること
によって、サブインクタンク2d内の沈降を抑制でき、若干の脱気も可能となる上、泡が
インク3中に取り込まれにくくなる。さらにまた、本実施形態は、上記の第1実施形態と
異なり、供給経路6中に輸送ポンプ9を設けることによりメインインクタンク2cの位置
の自由度が増す。
【0074】
[第6実施形態]
第6実施形態では、貯蔵器がインクカートリッジ装着部により記録装置41に備え付け
られている点で、上記の第1実施形態と異なる。
〔液体吐出装置構成〕
図4は、本実施形態の液体吐出装置を具現化した一例であるインクジェット記録装置の
変形例を示す概略図である。記録装置41は、貯蔵器(インクカートリッジ)2e、攪拌
機構4e、駆動部4ef、超音波脱気機構5e、供給経路6、逆止弁7、プリンタヘッド
8、貯蔵器装着部(インクカートリッジ装着部)10、スターラーチップ11、キャップ
12、インク取り出し口13、及びインク供給針15を備えて供給される。
【0075】
貯蔵器に該当するインクカートリッジ2eは、インクカートリッジ装着部である貯蔵器
装着部10により記録装置41に備え付けられており、脱気を行うインク3を貯蔵するた
めのものである。攪拌機構4eは、スターラーチップ11とそのスターラーチップ11を
駆動する駆動部4efとを含む。撹拌機構4eは、貯蔵器2eに貯蔵されているインク3
を攪拌するために備えられている。その駆動部4efは貯蔵器2e外部の貯蔵器装着部1
0に備えられている。貯蔵器2eの内部に備えられたスターラーチップ11は、例えば駆
動部4efにより磁力を利用して駆動することによって、駆動部4efと接触せずにイン
ク3を撹拌するためのものである。
【0076】
インクカートリッジ2e内部にスターラーチップ11を予め備えておく。これにより、
インクカートリッジ2e外部の貯蔵器装着部10に備えられた駆動部4efから非接触で
撹拌が可能である。プリンタヘッド供給孔部付近に超音波脱気機構5eを設けることで、
よりプリンタヘッド8への気泡や沈降物の流入を防ぐことができる。
【0077】
超音波脱気機構5eは、よりヘッドへの気泡や沈降物の流入を防ぐためのものである。
超音波脱気機構5eは、プリンタヘッド供給孔部付近に備えられ、例えば超音波発生装置
であるキャップ12は貯蔵器2e上部を封止するためのものである。一方、貯蔵器2e下
部のインク取り出し口13及び貯蔵器装着部10下部にはインク供給口(図示せず)を有
するインク供給針15が装着される。供給経路6は、インク3を送液するためのものであ
る。供給経路6はインク供給針15を介して貯蔵器2eに連通している。供給経路6はそ
の途中に送液ポンプを備えてもよい。供給経路6を通ってインク3がプリンタヘッド8に
供給される。
なお、インク供給口(図示せず)はインク供給針15において先端より下に位置する(
図4の符号13の位置)。また、インク取り出し口13はインクカートリッジの外壁のイ
ンク供給針15が貫通している箇所に位置する。図4の15はインクカートリッジ装着部
10に付属するインク供給針であり、これをインクカートリッジに挿入することで、供給
針を介しインクがヘッド8に供給される。またインク供給針とヘッド8をつなぐ流路には
超音波振動装置5eがつながることで、供給されるインクを超音波脱気できる。またイン
クカートリッジ装着部10の底面にはインクカートリッジ中の攪拌子11を回転させる攪
拌装置4efが付属し、この攪拌装置は磁性をもった攪拌子を磁力で攪拌するのが通常で
ある。
【0078】
なお、前述の各実施形態では、メインインクタンクからサブインクタンクを経ずにプリ
ンタヘッドにインクを供給する形態と、メインインクタンクからサブインクタンクを経て
プリンタヘッドにインクを供給する形態と、がある。本発明において、超音波脱気機構に
よる超音波脱気と撹拌機構による撹拌が行なわれる貯蔵器を、メインインクタンクとする
か、又は、サブインクタンクを備える場合はサブインクタンクとするか、の少なくともい
ずれかとすることができる。少なくともいずれかの貯蔵器において超音波脱気及び撹拌を
行えば、当該貯蔵器において本発明の効果が得られる。また、メインインクタンクは、プ
リンタヘッドを搭載するキャリッジに設けてもよいし、このキャリッジとは別の場所に設
けてもよい。また、メインインクタンクがキャリッジとは別の場所に設けられる場合、サ
ブインクタンクは、キャリッジに設けられてもよいし、メインインクタンクと同様にキャ
リッジとは別の場所に設けられてもよい。また、プリンタヘッドをキャリッジに搭載しな
い液体吐出装置として、例えば、ラインインクジェットプリンタとしてもよい。その場合
は、メインインクタンク及びサブインクタンクをキャリッジに設けないこととなる。
この場合、貯蔵器は、インクカートリッジでもよいし、インクカートリッジでない何ら
かの容器でもよい。また、上述のいずれの形態においても、メインインクタンクを着脱可
能なインクカートリッジとして構成してもよい。
【0079】
〔インクジェット記録方法(動作)〕
図5は、本実施形態のインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法の一例
を示すフローチャートである。このフローチャートは、既に上記第1実施形態において説
明したため、これらの実施形態において共通の内容は、ここでの説明を省略する。以下、
本実施形態を詳細に説明する。
【0080】
(印刷命令(S10))
印刷命令では、印刷対象の画像データ及び印刷を指示する。コンピュータ装置(図示せ
ず)から画像データが印刷コマンドとともにインクジェット記録装置に送信される。
【0081】
(超音波攪拌動作(S11))
超音波攪拌動作は、概略的にいうと、(1)例えば超音波脱気装置である超音波脱気機
構5eの駆動(超音波照射開始)、(2)攪拌開始、(3)攪拌停止、(4)印字、及び
(5)超音波脱気機構5eの停止(超音波照射停止)の順に進行する。なお、印字は、上
記(5)の操作後に行ってもよい。
【0082】
最初に上記(1)の超音波をかけると、その後の上記(2)の攪拌によって沈降物が解
消しやすくなる。攪拌することにより、粘度が高いインクの場合でも有効に超音波脱気を
達成することができる。攪拌を続けていると泡がインク3中に取り込まれるため、超音波
をかけたまま攪拌を停止し(上記(3))、しばらく超音波脱気することにより、攪拌に
よってインク3中に取り込まれた気泡を解消する。上記(4)の印字を行った後に、超音
波を停止する(上記(5))。なお、超音波をかけたまま印字を開始してもよい。すなわ
ち、印字は(3)の操作以降であれば、どの操作後に行ってもよい。
【0083】
(印刷(S12))
印刷においては、(4)印字を行う。具体的には、吐出工程(4−1)を少なくとも行
い、さらに、使用するインクが紫外線硬化型インクである場合には硬化工程(4−2)を
行う。
なお、本実施形態における吐出工程及び硬化工程は、上記第1実施形態のものと同様で
あるため、ここでは説明を省略する。
【0084】
図6のフローチャートでは、印刷の前に必ず超音波攪拌動作が入るようにする。
【0085】
図7のフローチャートでは、前回の超音波攪拌動作から一定時間経過していた場合のみ
印刷の前に超音波攪拌動作が入るようにする。
【0086】
このように、本実施形態によれば、印字安定性に優れ、印字不良が生じにくく、且つイ
ンク由来の粘着物(ケーキ)の堆積を解消可能な、インクジェット記録装置が得られる。
より詳細にいえば、攪拌と超音波を組み合わせることで、印字安定性を維持しつつ、沈降
も回復できる。特に、攪拌機構を単独で使用した場合は印字安定性に対し悪影響を及ぼす
が、超音波機構と組み合わせることで、超音波機構単独使用の場合と比較しても印字安定
性に対してより良好な特性を示す。また、超音波をかけることにより、沈降により凝集し
ていた顔料同士の分離も速やかに達成することができる。
なお、オンキャリッジ方式のメリットとしては、プリンタヘッド上部に位置することが
前提になることや、プリンタヘッドまでの流路が短いことから、インクをプリンタヘッド
に供給するにあたり流路抵抗や水頭値差を考慮しないでよいのでポンプ等でインクを供給
するようなシステムが不要となり、結果的にインク供給構造に関するコストが安価になる

【0087】
ここで、上記の第1実施形態から第6実施形態までにおける超音波動作は、超音波によ
り気泡を上方に押し上げることにより、インクから気泡を除去することができ、さらには
超音波で沈降物を撹拌する効果もある。ただし、沈降物のケーキ化が進んだ場合には、硬
い沈降物を砕くため、超音波脱気機構に加えて、スクリュー等を用いた撹拌機構も設ける
。ここで、撹拌機構においてスクリューで撹拌する時は、スクリューで気泡を混入させて
しまうため、超音波脱気機構を併用する。撹拌機構における攪拌手段としては、上記スク
リューの他に、スターラーピースを用いたり、インク槽自体を回転したり、シェイクした
りすることによってインクを攪拌する方法等を用いてもよい。当該スターラーピースとし
ては、強力なマグネットを使用することが好ましい。
【0088】
〔インク〕
本実施形態におけるインク(以下、「インク組成物」ともいう。)3の組成は、特に限
定されない。例えば、上記インクが紫外線硬化型インクである場合、重合性化合物及び光
重合開始剤を少なくとも含む。さらに、上記インクがクリアインク以外の有色インクであ
る場合には、色材も含む。以下、インク組成物に含まれるか又は含まれ得る各成分を説明
する。
【0089】
(重合性化合物)
重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線の照射時に重合し、固化す
る化合物であれば、特に制限はない。例えば、単官能基、2官能基、及び3官能基以上の
多官能基を有する種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。
【0090】
ここで、本明細書における「モノマー」とは、重量平均分子量が100〜3,000の
分子を意味する。本明細書における「オリゴマー」とは、重量平均分子量が500〜20
,000の分子を意味する。
【0091】
上記モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン
酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又は
エステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽
和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げ
られる。
他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。
N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−
ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイル
モルホリン、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0092】
また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖オリゴマーや多分岐オリゴマー等の上記
のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン
(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)ア
クリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0093】
上記で列挙したものの中でも(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレー
トが好ましい。重合性化合物として(メタ)アクリレートを使用した場合、インクの硬化
性、及び硬化膜の被着体への密着性を良好にすることができる。
なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応す
るメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタク
リルを意味する。
【0094】
上記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イ
ソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)ア
クリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリス
チル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブ
トキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレー
ト、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェ
ノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イ
ソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メ
タ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテ
ニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げ
られる。
【0095】
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(
メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−
トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイ
ド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)
付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ
)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられ
る。
【0096】
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては
、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロール
プロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリン
プロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、
及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられ
る。
【0097】
これらの中でも、硬化時の塗膜(塗布層)の伸び性が高く、且つ低粘度であるため、イ
ンクジェット記録時の射出安定性が得られやすいという観点から、重合性化合物として、
単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。さらに塗布層の硬さが増すという観
点から、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することが
より好ましい。
【0098】
上記で列挙した(メタ)アクリレートの中でも、ジプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,6−ヘキサン
ジオールアクリレートからなる群より選択される一種以上が好ましく、ジプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートの
うち少なくとも一方がより好ましい。この場合、粘度、硬化性、及び皮膚刺激性のバラン
スに優れるため、吐出の際に粘度の影響を受けやすいインクジェット用インクに有効であ
り、かつ皮膚刺激性も少なくなる。
また、光重合性化合物は、(メタ)アクリレートモノマーに加えて従来公知の(メタ)
アクリレートオリゴマーをさらに含んでもよい。
【0099】
上記の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0100】
(光重合開始剤)
重合開始剤は、紫外線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成
し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば特に制限されない。ラジカル重合
開始剤やカチオン重合開始剤を使用することができ、中でもラジカル重合開始剤を使用す
ることが好ましい。ラジカル重合開始剤を使用することにより、カチオン重合の場合のよ
うな湿度による重合阻害を受けないため、印字環境を選ばないという有利な効果が得られ
る。
なお、カチオン重合開始剤として、特に限定されないが、例えば、化学増幅型フォトレ
ジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研
究会編、「イメ−ジング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ペ
ージ、技術情報協会、「光硬化技術」、2001年に紹介されている光酸発生剤)。本実
施形態に好適な化合物例として、まず、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、ス
ルホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C,PF,AsF,S
bF,CFSO塩を挙げることができる。対アニオンとしてボレート化合物を
持つものが、酸発生能力が高いため、好ましい。また、スルホン酸を発生するスルホン化
物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、及び鉄アレン錯体も好適に挙げられる。
カチオン重合開始剤の市販品として、例えばUV1−6992(トリフェニルスルフォニ
ウム塩、ダウケミカル社(The Dow Chemical Company)製)等が挙げられる。
【0101】
上記のラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィン化合
物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾー
ル化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセ
ン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン
化合物が挙げられる。
【0102】
ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタ
ール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニ
ルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、べンズアルデヒド、フルオレン、アント
ラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロ
ベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェ
ノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベン
ジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン
、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ク
ロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリ
ノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォス
フィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキ
サイド、2,4−ジエチルチオキサントン及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)
−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
【0103】
ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−
ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−
ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒ
ドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 29
59(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチ
ル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4
−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−
メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メ
チルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 36
9(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン
−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェ
ニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAR
OCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキ
サイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フ
ェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シ
クロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1
−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタ
ンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IR
GACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイ
ル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGA
CURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエ
トキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル
エステルの混合物)(以上、チバ・ジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)、KAYACU
RE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku
Co., Ltd.)製)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BA
SF社製)、及びユベクリルP36(UCB社製)などが挙げられる。
【0104】
上記光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい

【0105】
(色材)
本実施形態におけるインク組成物は、色材をさらに含んでもよい。上記色材は、顔料及
び染料のうち少なくとも一方である。これらの中でも、撹拌しながら超音波脱気を行うこ
とを特徴とするインクジェット記録方法及びこれに使用するインクジェット記録装置を適
用する効果が非常に大きいため、液体の一例であるインク(インクジェット記録用インク
)は顔料を含有する液体組成物であることが好ましく、金属酸化物を含有する液体組成物
であることがより好ましく、顔料系のホワイトインクであることがさらに好ましい。
【0106】
(1.顔料)
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、インク組成物の耐光性を向
上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる

【0107】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャ
ネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化
チタンを使用することができる。これらの中でも、上述したように、顔料系インクがホワ
イトインクの場合、白色度を良好に維持する観点から、酸化チタンを使用することが好ま
しい。
【0108】
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔
料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料
、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノ
フタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料
型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、
ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
【0109】
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、カラーインデ
ックスに記載されていない顔料であっても水に不溶であればいずれも使用できる。
【0110】
(2.染料)
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定
されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料及び塩基性染料が使用可能である。上
記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,14
2、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシ
ッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.
フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55
,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9
,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,
87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19,38,51,
71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド14,32,55
,79,249、C.I.リアクティブブラック3,4,35が挙げられる。
【0111】
また、上記のインク組成物は、色材を含まないクリアインクにも適用可能である。つま
り、顔料を含まないクリアインクにおいても、超音波脱気を行う超音波脱気工程を有する
システムにより、優れた印字安定性を達成できる。これに加えて攪拌機構も備えることに
よりこの脱気工程をさらに有効に活用できるが、この場合、この脱気工程は粘度の高いイ
ンクにおいて一層顕著にその有効性を得ることができる。
【0112】
また、上記顔料は、後述する分散剤又は界面活性剤中に分散させて用いることができる

【0113】
(その他の成分)
本実施形態におけるインク組成物は、上記に挙げた成分以外の成分を含んでもよい。当
該成分として、特に限定されないが、例えば分散剤が挙げられる。
【0114】
上記の分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を
調製するのに慣用されている分散剤、味の素ファインテクノ(株)製のアジスパーシリー
ズ、アビシア(株)製のソルスパーズシリーズ、BYKChemie社製のディスパービ
ックシリーズ、楠本化成(株)製のディスパロンシリーズ等が挙げられる。上記高分子分
散剤として、特に限定されないが、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリア
ミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含
硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、並びにエポキシ樹脂等のうち一種以上を主成分とする
ものが挙げられる。
【0115】
上記の界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤と
して、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサン
を用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BY
K−UV3500、3510、3530、3570(ビックケミー・ジャパン社(BYK Ja
pan KK)製)を挙げることができる。
【0116】
さらに、インク組成物は、重合促進剤、スリップ剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、
定着剤、防黴剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、キレー
ト剤、pH調整剤、及び増粘剤を含んでもよい。
【0117】
[被記録媒体]
被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。本実施形
態のインクジェット記録方法は、水溶性インク組成物の浸透が困難な非吸収性被記録媒体
から、水溶性インク組成物の浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ
被記録媒体に幅広く適用できる。
【0118】
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、水性インクの浸透性が高い
電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成さ
れたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン
(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用
紙)から、水性インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙
、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
【0119】
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類の
フィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種
金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳
等の合金のプレート等が挙げられる。
【0120】
[インクジェット記録用インクの攪拌脱気方法]
本発明はまた、インクジェット記録用インクの攪拌脱気方法に係る。当該攪拌脱気方法
は、インクジェット記録用インクを攪拌しながら超音波脱気することを含む。インクジェ
ット記録用インクを攪拌しながら超音波脱気することは、上記の第1実施形態から第6実
施形態までにおけるインクジェット記録方法(動作)のうち超音波攪拌動作の項で説明し
た内容と重複するため、ここでの説明を省略する。
【0121】
撹拌しながら超音波脱気を行うことを特徴とするインクジェット記録用インクの攪拌脱
気方法を適用する効果が非常に大きいため、インクジェット記録用インクは顔料系インク
であることが好ましく、顔料系のホワイトインクであることがより好ましい。インクの詳
細な説明は、上記の第1実施形態から第6実施形態までにおけるインクの項で説明した内
容と重複するため、ここでの説明を省略する。
【実施例】
【0122】
以下、本発明の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発
明の実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0123】
[使用材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示すとおりである。
〔インク組成物〕
(光重合性化合物)
・ジプロピレングリコールジアクリレート(2官能モノマー、表1ではDPGDAと略記
した。)
・トリプロピレングリコールジアクリレート(2官能モノマー、表1ではTPGDAと略
記した。)
(光重合開始剤)
・IRGACURE 819(チバジャパン社(Ciba Japan K.K.)製)
・DAROCUR TPO(チバジャパン社製)
・KAYACURE DETX−S(日本化薬社製)
(顔料)
・酸化チタン
(分散剤)
・ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン
〔被記録媒体〕
・透明PETフィルム PET50A PLシン11BL(リンテック社(Lintec Co.,
Ltd.)製)
【0124】
[実施例1、比較例1〜3]
〔紫外線硬化型インク組成物の製造〕
まず、顔料分散液を調製した。下記表1に種類及び配合量を質量部で記載した顔料及び
分散剤を混合撹拌した。得られた混合物を、サンドミル(安川製作所株式会社製)を用い
て、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後、ジル
コニアビーズをセパレータで分離することにより、実施例及び比較例で使用する顔料分散
液を得た。
【0125】
次に、上記で得られた顔料分散液に、下記表1に記載した重合性化合物及び光重合開始
剤を調合した後、スターラーを用いてこれらの材料を混合攪拌した(含有量の単位は、質
量%である。)。このようにして、紫外線硬化型のホワイトインク組成物を得た。
【0126】
【表1】

【0127】
〔インクジェット記録物の製造方法〕
図1に示す構成を有するラインプリンタを用いてインクジェット記録物を製造した。攪
拌機構及び超音波脱気機構を備えた貯蔵器(インクタンク)に、製造例1で得られた紫外
線硬化型インク組成物を充填し、30分間超音波をかけながら攪拌して脱気を行った。貯
蔵器中のインクを、供給経路を介してプリンタヘッドに供給した後、膜厚10μmとなる
ように紫外線硬化型インク組成物を透明PETフィルム上に吐出し、着弾させた。その後
、この透明PETフィルムを、メタルハライドランプで(照射エネルギー:200mJ/
cm)硬化した。このようにして、透明PETフィルム上に、ホワイトインクが印字さ
れたインクジェット記録物を製造した。
印字までの操作については以下の実験例で述べる。なお、超音波脱気機構における超音
波照射エネルギーは30KHzであった。
【0128】
[測定・評価項目]
〔印字安定性の評価〕
上記インクを図1に示す構成を有するラインプリンタのプリンタヘッドに充填し、全ノ
ズルからのインクの吐出を確認後、そのまま一週間静置した。その後、攪拌機構及び超音
波脱気機構を下記表2に示したそれぞれの組み合わせで30分稼動後、全ノズルから15
分間連続してインクを吐出した後ベタ印刷し抜けノズル本数の割合を求めた。結果を下記
表2に示す。
【0129】
〔白色度(L値)の測定〕
上記インクを図1に示す構成を有するラインプリンタのプリンタヘッドに充填し、全ノ
ズルからのインクの吐出を確認後、そのまま一週間静置した。その後、攪拌機構及び超音
波脱気機構を下記表2に示したそれぞれの組み合わせで30分稼動後、全ノズルから15
分間連続してインクを吐出した後ベタ印刷した。インクジェット記録物はSpectroScan(G
RATAG社製)の黒テーブル上にてSpectrolino(GRATAG社製)を用いL値を測定し白色度
とした。測定においてはインクジェット記録物においてドット抜けがある場合、極力抜け
のない部分を測定した。結果を下記表2に示す。
【0130】
〔ケーキの有無の評価〕
メインインクタンクにインクを充填した後、このメインインクタンクを一週間静置した
。その後、攪拌機構及び超音波脱気機構を下記表2に示したそれぞれの組み合わせで30
分稼動後、メインインクタンク底面をガラス棒でつつくことにより、ケーキ(粘着物)の
存在を確認した。結果を下記表2に示す。
【0131】
【表2】

【0132】
上記表2の結果から、攪拌機構及び超音波脱気機構を備えた貯蔵器(インクタンク)を
設けた本発明のインクジェット記録装置を用いることにより、印字安定性に優れ、印字不
良が生じにくく、且つインク由来の粘着物(ケーキ)の堆積を解消可能な、インクジェッ
ト記録物が得られることが明らかとなった。
なお、比較例2を見ると、攪拌機構無し且つ(超音波)脱気機構有りの場合に、酸化チ
タンケーキが無いにも関わらず白色度が若干低くなっているが、その理由は以下のとおり
である。沈降がある程度進むとケーキが発生する。このケーキの解消(再分散)には通常
の攪拌よりも超音波を多くかけることが有効である。沈降による白色度への影響は通常攪
拌で解消できるレベルにおいて顕著であり、またケーキができていないレベルでも顕著で
ある。言い換えるとケーキの有無の影響は少ないといえる。よって、ケーキ解消よりもむ
しろ沈降の解消が白色度の復帰には影響し、この沈降解消においては超音波よりもむしろ
、タンク内全体を大きく流動させる攪拌の効果の方が大きいことが明らかとなった。
【符号の説明】
【0133】
1,21,31,41…記録装置、2a…貯蔵器,メインインクタンク、2b…貯蔵器
,サブインクタンク、2c…貯蔵器,メインインクタンク、2d…貯蔵器,サブインクタ
ンク、2e…貯蔵器,インクカートリッジ、3…インク、4,4a,4c,4d,4e…
攪拌機構、4ef…駆動部、5,5a,5b,5c,5d,5e…超音波脱気機構、6…
供給経路、7…逆止弁、8…プリンタヘッド、9…輸送ポンプ、10…貯蔵器装着部,イ
ンクカートリッジ装着部、11…スターラーチップ、12…キャップ、13…インク取り
出し口、15…インク供給針。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吐出媒体に向けてノズルから液体を吐出するプリンタヘッドと、
前記プリンタヘッドと対向する位置に前記被吐出媒体を搬送する被吐出媒体搬送手段と

前記プリンタヘッドに前記液体を供給する供給経路と、
前記供給経路に連通され、前記液体を貯蔵する貯蔵器と、
前記貯蔵器中の前記液体を超音波脱気する超音波脱気機構と、
前記貯蔵器中の前記液体を撹拌する攪拌機構と、
を有する、液体吐出装置。
【請求項2】
前記液体が金属酸化物を含有する液体組成物である、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記プリンタヘッドはキャリッジに設けられ、前記貯蔵器は前記キャリッジに設けられ
る、請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記プリンタヘッドはキャリッジに設けられ、前記貯蔵器は前記キャリッジ以外の場所
に設けられる、請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記貯蔵器は液体カートリッジである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出
装置。
【請求項6】
前記供給経路に設けられる輸送ポンプを更に有する、請求項1〜5のいずれか1項に記
載の液体吐出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出装置に用いる液体を攪拌しながら超音波
脱気することを含む、液体吐出装置に用いる液体の攪拌脱気方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−16824(P2012−16824A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−153668(P2010−153668)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】