説明

液体噴出器

【課題】回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とからなり、ノズルB4の押し下げ回数を認知する認知システムを備えた液体吐出器であって、必要噴出回数がロック機構により感触的に認知でき、しかも、各回毎の押釦の押し下げ時に、より確実に液の噴出を行える液体噴出器を提案する。
【解決手段】ノズルB4の押し下げ所定位置において、ノズルB4を一旦係止させた後、液の吐出する位置までノズルB4を下降させる強制下降手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出器に関し、詳しくは、噴出液の量を認知できる液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の噴出器として、例えば医薬品等の所定量の使用が義務付けられている収納液を、所定量の使用が判断できるようにしたものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
前記の如き噴出器は、前記した如く、最大分量医薬投与数が回転素子のストップにより判断できるものであるが、その時点で投与数に係る判断は終了する。確かに、前記噴出器ではストップ後に容器体内の医薬を完全に使用し尽くすために鼻を押し下げることができるものではあるが、あくまで残液処理のためであり、基本的に一回の必要投与数が終了すれは噴出器の使用が終了するという構成としている。
【0004】
上記点に鑑みた出願を本出願人は既に提出している。(例えば、特許文献2参照)
【0005】
特許文献2の液体噴出器は、エアゾール容器体上に固定したカバー筒と、エアゾール容器体上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステムに嵌着するとともに、カバー筒の頂部より上端部を突設したノズルと、ノズルの上部外周部に回転可能且つノズルの押し下げを可能に装着した筒状の押釦と、ノズルの押し下げ回数を認知する認知システムとを備えている。
【0006】
また、該認知システムは、ノズル周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材を押釦の押し下げにより所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦の押し下げ時にステムの押し下げを防止するロック機構とから構成している。
【0007】
上記回転機構は、カバー筒内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面を設けた複数の仕切板と、一対の仕切板間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面を設けた回動腕を突設させた回転部材と、押釦と回動腕との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させるとともに、下面に第2傾斜面が摺動する複数の第3傾斜面を環状に連設したリング部材とからなり、押釦の押し下げ時に第2傾斜面が当接する第3傾斜面及び隣接する第1傾斜面上を摺動して回動腕が隣接する仕切板を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、ノズルが挿通され、エアゾール容器体上に装着される取付部材内所定位置に係止面を設けるとともに、回転部材の所定位置に係止面に当接する被係止面を設けて回動腕の下降を防止する如く構成している。
【0008】
上記液体噴出器は、必要噴出回数がロック機構により感触的に認知でき、その構造も従来のものと相違して、その作動操作に無理がなく耐久性に富んだものである。また、必要回数の噴出後ロック機構が作動した後、このロック状態を解除して新たに最初から必要回数の噴出が行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3211894号公報
【特許文献2】特開2007−275879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記した特徴を持つ優れた液体噴出器を更に改良したものであり、各回毎の押釦の押し下げ時に、より確実に液の噴出を行える液体噴出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、エアゾール容器体A上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム4に嵌着したノズルB4と、エアゾール容器体A上に固定し、ノズルB4が挿通される取付部材B1と、取付部材B1上に固定し、頂部よりノズルB4の上端部を突出したカバー筒B2と、ノズルB4の上部外周部に回転可能且つノズルB4の押し下げを可能に装着した筒状の押釦B9と、ノズルB4の押し下げ回数を認知する認知システムとを備え、該認知システムは、ノズルB4周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とからなり、前記回転機構は、カバー筒B2内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面s1を設けた複数の仕切板30と、一対の仕切板30間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面s2を設けた回動腕53を突設させた回転部材B5と、押釦B9と回動腕53との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させるとともに、下面に第2傾斜面s2が摺動する複数の第3傾斜面s3を環状に連設したリング部材B8とからなり、押釦B9の押し下げ時に第2傾斜面s2が当接する第3傾斜面s3及び隣接する第1傾斜面s1上を摺動して回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、取付部材B1内所定位置に係止面aを設けるとともに、回転部材B5の所定位置に係止面aに当接する被係止面bを設けて回動腕53の下降を防止する如く構成した液体噴出器に於いて、ノズルB4の押し下げ所定位置において、ノズルB4を一旦係止させた後、液の吐出する位置までノズルB4を下降させる強制下降手段を設けた。
【0012】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、上記強制下降手段が、取付部材B1に立設するとともに、上端部内面に上方へ広がるテ−パ状の摺動面28を備え、且つ、内外方向に弾性揺動が可能な複数の弾性揺動板27と、回転部材B5下面より垂設するとともに、摺動面28を摺動して各弾性揺動板27を外方へ傾倒させる押圧筒58と、ノズルB4の外周下部に突設するとともに、各弾性揺動板27の上部に一時的に係止される係止突部40と、係止突部40と回転部材B5との間に介在させたコイルスプリングB7とで構成し、コイルスプリングB7の圧縮荷重をステム4の上方付勢力よりも大として、押圧筒58により各弾性揺動板27傾倒後に、圧縮されたコイルスプリングB7の下方付勢力により液の吐出する位置までノズルB4を下降させる。
【0013】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、上記各弾性揺動板27の摺動面28下方に上面が水平な係止凸部29を突設するとともに、該係止凸部29の上面に係止突部40が有する下向き段部41が一時的に係止される。
【0014】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段又は第3の手段のいずれか一つの手段に於いて、上記弾性揺動板27は、ステム4の周囲に等間隔に四枚立設した。
【0015】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれか一つの手段に於いて、上記ロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構を設けた。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液体噴出器は、押釦B9を押し込むという簡単な操作により所定の噴出液が噴出し、収納液の噴出が必要噴出回数に至った際にロック機構が作動し、ステム4の押下げを防止して液の噴出を防止し、噴出液が所定量に到達したことを感触的に認知できるものであるが、ノズルB4の押し下げ所定位置において、ノズルB4を一旦係止させた後、液の吐出する位置までノズルB4を下降させる強制下降手段を設けているため、毎回の押釦B9の押し下げ時にノズルB4が確実に液の吐出する位置まで下降するため、ロック機構が作動するまでの間に確実に所定量を噴出することができるという特徴を備えている。
【0017】
その認知システムを構成する回転機構も、押釦B9の押し下げ時に回転部材B5の第2傾斜面s2が当接するリング部材の第3傾斜面及び隣接する仕切板30t の第1傾斜面を摺動し、回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越えるため、無理のない作動で耐久性に冨み、その操作も極めて容易である点は従前通りである。
【0018】
上記強制下降手段が、取付部材B1に立設するとともに、上端部内面に上方へ広がるテ−パ状の摺動面28を備え、且つ、内外方向に弾性揺動が可能な複数の弾性揺動板27と、回転部材B5下面より垂設するとともに、摺動面28を摺動して各弾性揺動板27を外方へ傾倒させる押圧筒58と、ノズルB4の外周下部に突設するとともに、各弾性揺動板27の上部に一時的に係止される係止突部40と、係止突部40と回転部材B5との間に介在させたコイルスプリングB7とで構成し、コイルスプリングB7の圧縮荷重をステム4の上方付勢力よりも大として、押圧筒58により各弾性揺動板27傾倒後に、圧縮されたコイルスプリングB7の下方付勢力により液の吐出する位置までノズルB4を下降させる如く構成した場合には、その構造も特別大きな変化がなく、改良も容易であり、また、ノズルB4の所定係止位置から液の吐出位置までの下降がより円滑に行える利点も兼ね備えている。
【0019】
上記各弾性揺動板27の摺動面28下方に上面が水平な係止凸部29を突設するとともに、該係止凸部29の上面に係止突部40が有する下向き段部41が一時的に係止される場合には、圧縮されたコイルスプリングB7により下方付勢されたノズルB4の所定位置係止を確実に行えるとともに、押圧筒58により各弾性揺動板27の傾倒を円滑に行える利点がある。
【0020】
上記弾性揺動板27は、ステム4の周囲に等間隔に四枚立設した場合には、ノズルB4の所定係止位置での安定した係止が可能であり、より安定した操作が可能となる。
【0021】
また、前記ロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構を設けた場合には、必要噴出回数を終了した後、再び最初から必要噴出回数の噴出が可能であり、エアゾール容器体Aの容量に従って何度でもこの操作を繰り返すことができる。

【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】液体噴出器の分解斜視図である。(実施例1)
【図2】液体噴出器の縦断面図である。(実施例1)
【図3】液体噴出器の要部拡大断面図である。(実施例1)
【図4】液体噴出器の仕切板を説明する説明図である。(実施例1)
【図5】液体噴出器の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図6】液体噴出器の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【図7】液体噴出器の作用を説明する説明図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1は本発明液体噴出器1の一例を示し、該噴出器1はエアゾール容器体Aと、噴出具Bとを備え、更に噴出具Bは、取付部材B1と、カバー筒B2と、仕切板部材B3と、ノズルB4と、回転部材B5と、コイルスプリングB7と、リング部材B8と、押釦B9とを備えている。
【0025】
エアゾール容器体Aは、内部に定量バルブ2を内臓した筒状の胴部3上端より上方付勢状態で押し下げ可能にステム4を立設し、ステム4の押し下げにより定量の液がステム4より噴出する如く構成した公知機構のものである。
【0026】
取付部材B1はカバー筒B2をエアゾール容器体Aに嵌着固定するためのもので、エアゾール容器体Aの外周上端部に嵌着させた嵌合筒部10をドーナツ板状の台板部11の下面より垂設し、また、台板部11の外周縁にはカバー筒B2を嵌合させるための連結筒部13を垂設している。連結筒部13は下端部をフランジを介して大径に形成し、その上端部に位置併せ用の凹溝14を設けている。更に、取付部材B1の内周縁部上面所定位置には上面を係止面aとした棒状の突部15を立設している。
【0027】
また、台板部11の内周縁部には内周壁25を垂設し、内周壁25の下端内面に、周方向等間隔に四枚の支持板部26を内方へ突設し、各支持板部26を介してそれぞれ弾性揺動板27を立設している。
【0028】
弾性揺動板27は強制下降手段を構成するものであり、ステム4の周囲に等間隔に立設しており、上端部内面に上方へ広がるテ−パ状の摺動面28を設け、また、摺動面28の下端縁より上面が水平な係止凸部29を内方へ突設している。係止突部29は上面の内縁より下方外方へ広がるテ−パ状の傾斜面を備えている。
【0029】
カバー筒B2は、周壁20上端縁より延設した頂壁21の中央部に、ノズルB4,押釦B9等を突出するための窓孔22を設けており、取付部材B1の連結筒部13外周に周壁20の下部を、凹凸係合手段による抜け出し防止を図って嵌着し、両者を一体化させている。周壁20は上下方向中央に於いてフランジを介して縮径し、そのフランジ下方の周壁20内面より前記凹溝14に嵌合する嵌合突部23を突設して、両者を所定位置に嵌合できる如く構成している。また、周壁20の上部所定位置には表示用の窓孔24を穿設している。
【0030】
仕切板部材B3は、カバー筒B2内の周縁部に複数の仕切板30を放射状に設けるためのもので、環状の連結板31と、該連結板31下面に放射状に配置して垂設した複数の仕切板30とで構成しており、連結板31をカバー筒B2の頂壁21裏面位置に凹凸係合手段等を介して嵌着固定することにより、両者を一体化している。この様に各仕切板30をカバー筒B2と別体に形成することにより、比較的厚みを必要とする場合が多い仕切板30の形成がより容易に行えて、ヒケ等の発生を極力防止できるものであるが、カバー筒と仕切板を一体に形成することも当然可能である。
【0031】
各仕切板30は等間隔に設けられ、その下面はそれぞれ半径と直交する方向を向く第1傾斜面s1として構成している。但し、本例では後述するロック解除機構を形成するために、図1に示す如く、所定の一箇所に一枚の仕切板を除いた状態の幅広部32を設け、該幅広部32と対応させた所定位置に前記棒状の突部15(即ち係止面a)が位置する如く構成している。更に、この幅広部32から所定枚数位置の二枚の仕切板の中心側端面を外方へ凹ませて径方向の長さを短く構成した矮狭仕切板30a ,30a として構成している。
【0032】
ノズルB4はエアゾール容器体Aのステム4に嵌着するとともに、カバー筒B2の頂部より上方付勢状態で押し込み可能に上端部を突設している。また、下端縁より外方へ係止突部40を突設している。図示例では係止突部40は下端部を大径化した形態を採っており、外周下部に下向き段部41を周設している。そして、このノズルB4を押し下げすれば、ステム4が押し下げられてエアゾール容器体A内の公知の噴出機構により定量の液が噴出する如く構成している。
【0033】
回転部材B5は、ノズルB4の周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けたもので、一対の仕切板30間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面s2を設けた回動腕53を突設させている。図示例では、ノズルB4の上部外周に回動可能且つ上下動可能に嵌合させた上部筒壁部50下端よりフランジ部51を延設し、該フランジ部51の外周縁より大径に形成した下部筒壁部52を垂設している。また、フランジ部51の所定位置より外方へ回動腕53を突設してその先端部を一対の仕切板30間に位置させ、また、上面に第2傾斜面s2を設けている。この第2傾斜面は、半径方向と直交する方向に傾斜させており、各仕切板30の第1傾斜面s1と傾斜角度を略同じにして両者が当接した場合に摺動可能に構成している。更に、短い二本の補助回動腕53a ,53a を周方向間隔をあけて突設しており、各補助回動腕53a は所定の突出位置に形成しており、その上面にはそれぞれ同様の第2傾斜面s2を形成している。
【0034】
上記回動腕53は少なくとも一本存在すれば用は足りるが、より安定したガタツキの少ない回転部材B5の回転を図る場合には、回動腕の他に上記した如く補助回動腕を突設すると良い。補助回動腕は回動腕と同じ長さのものを採用する場合と短いものを採用する場合とがあり、規定噴出量等により適宜選択することができる。回動腕と同じ長さの補助回動腕を採用する場合には、少なくとも回動腕が360 °回動するうちに複数ターンの既定量噴出が行われる場合である。また、補助回動腕53a の数は特に限定されないが、2〜3本程度が適当であると思われる。また、その突出幅は前記矮狭仕切板30a に接触せずに他の仕切板と当接する突出幅とする。尚、図示しないが、回動腕53と補助回動腕53a との間、及び補助回動腕53a 間に、後述するリング部材の各第3傾斜面を形成する三角凹部と係合可能な三角突起を複数円弧状に並設しても良い。これらの三角突起を設けることで、常時はそれらが三角凹部と係合して安定状態を維持するとともに、作動時にも円滑な作動を行える。
【0035】
回動腕53の外周先端部はカバー筒周壁20の表示用の窓孔24に臨むレベルに位置させ、先端面には、文字,記号,模様,ベタ塗り等で表現した終了を表す表示54を、印刷,シール材の貼着等の適宜方法により設けている。更に、フランジ部51の上面所定位置には、ロック解除機構を構成する突部56を立設している。また、下部筒壁部52内方に上記強制下降手段を構成する押圧筒58を垂設している。更に、押圧筒58内の回転部材B5下面とノズルB4の係止突部40上面との間に、回転部材B5を常時上方に付勢させるとともに、押釦B9の押し下げを伝達するためのコイルスプリングB7を介在させている。コイルスプリングB7は、上記強制下降手段を構成する。
【0036】
リング部材B8は、押釦B9と回動腕53との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させたもので、リング板状の基部80下面に第2傾斜面s2が摺動する第3傾斜面s3を環状に連設し、基部80外面より回動防止板81を周方向複数突設し、各回動防止板81を仕切板30間に嵌合させて回動の防止を図っている。第3傾斜面s3は第2傾斜面s2と傾斜角度を略同じにして両者が当接した場合に容易に摺動する如く構成している。
【0037】
押釦B9は、ノズルB4の上部外周部に回転可能且つノズルB4の押し下げを可能に装着した筒状をなしており、ノズルB4の上部外周部に回転部材B5の上部筒壁部50を介在させて嵌合させ、その下面をリング部材B8の基部80上面に、半球状突部90を介して当接載置し、更に、外周下端部に突設した環状突部91をカバー筒B2の窓孔22を形成する筒部下面に当接して上方への抜け出しを防止する如く構成している。また、内周部下面よりロック解除機構を構成する突部92を垂設している。そして、リング部材B8、回転部材B5及びコイルスプリングB7を介してノズルB4の押し込みを可能に構成している。
【0038】
本発明ではノズルB4の押し下げ回数を認知し、牽いては噴出液の噴出回数即ち噴出量を認知する認知システムを備えており、該認知システムは回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回動させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とから構成している。
【0039】
回転機構は、前記仕切板30と、前記回転部材B5と、前記リング部材B8とを備え、前記押釦の押し下げ時に第2傾斜面s2が当接する第3傾斜面s3及び隣接する第1傾斜面s1上を摺動して回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越える如く構成している。図5を用いて説明すれば、図5(a) は回動腕53が幅広部32の隣の仕切板間に位置した状態であり、この状態から、押釦B9を押し下げることによりリング部材B8及び回転部材B5をコイルスプリングB7及びステム4の上方付勢力に抗して押し下げると、コイルスプリングB7が係止突部40を押し下げることによりノズルB4を押し下げ、所定量の液を噴出する。また、回動腕53は当初隣接する仕切板30t に案内されて下降し、図5(b) の位置に達すると仕切板30から回動腕53が外れるため上方付勢力により第2傾斜面s2が残りの第3傾斜面s3を摺動して図5(c) の位置まで回動腕が回動し、次いで押釦B9の押圧を解除すると第2傾斜面s2は第1傾斜面s1上を摺動し(図5(d))、回動腕53は当該仕切板30を乗り越えて次の第3傾斜面s3上に回動する。この際被係止面bが係止面a上方に位置している(図5(e))。
【0040】
ロック機構は、取付部材B1内所定位置に係止面aを設けるとともに、回転部材B5の所定位置に係止面aに当接する被係止面bを設けて回動腕53の下降を防止する。図示例では、取付部材B1内所定位置に突設した棒状の突部15の上面を係止面aとし、回転部材B5の下部筒壁部52外面の所定位置に設けた凸部57下面を被係止面bとしている。そして、回動腕53が回動して所定位置まで回動移動した際には押釦B9を押し込んでも被係止面bが係止面aに当接して下がらず、その結果、ステム4の下降を防止して液の噴出がなく、所定噴出量の液を噴出したことを触覚的に認知できる。尚、係止面aと被係止面bとの間には、図示例の如く、液の噴出が生じない程度にステムの僅かな押し下げが生じる如く、若干の隙間を設けても良い。隙間により作動がより円滑となる。
【0041】
また、本例ではロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構を設けている。このロック解除機構は、ロック機構により一旦所定の噴出量の噴出が終了した後、新たに始めから所定噴出量の噴出が行える如く構成したもので、前記回動腕53が幅広部32位置に回動した際に係止面a上方に被係止面bが位置し、また、押釦B9を回転部材B5に対して回転させた際に、押釦B9が所定回転位置で回転部材B5と係合する如く構成し、押釦B9を回転させることにより回転部材B5を回転させ、係止面a上方の被係止面bを移動させる如く構成している。
【0042】
上記の如く構成した液体噴出器1を、収納液が頭皮用薬剤とした場合を例にとって説明する。例えば押釦B9を頭皮等に圧接して押し込み、ノズルB4を押し込んで収納液を噴出する。その際本発明では、当初図6に示す如くノズルB4の係止突部40の下向き段部41が、各弾性揺動板27の係止凸部29上面に係止され、コイルスプリングB7は圧縮状態にあり、その際回転部材B5の押圧筒58が摺動面28に当接している。次いで、更にノズルB4を押し下げると図7に示す如く、押圧筒58により各弾性揺動板27が外方へ傾倒する。この際コイルスプリングB7の圧縮荷重がステム4の上方付勢力よりも大に構成されているため、圧縮状態のコイルスプリングB7の下方付勢力によりノズルB4は下端部の液の吐出する位置まで押し下げられる。ここでいう液の吐出する位置とは、換言すれば、嵌合しているステム4が液の吐出する位置まで押し下げられることをいう。
【0043】
また、押圧を解除することで、ステム4の上方付勢力によりノズルB4は上昇し元の状態に戻るとともに、コイルスプリングB7により回転部材B5及び押釦B9は押し上げられて元の状態に戻る。また、各弾性揺動板27は弾性復元力により元の状態に戻る。
【0044】
同様の押釦B9の押し込みを場所をかえて適宜行えば、回転部材B5はその都度所定回転角度回動して所定の回数に到達するとその回動腕53が係止面a上方に位置しそれ以上の押し下げを行えなくなる。この際、表示用の窓孔24からは、終了の文字等の表示54が見えて、視覚的にも同様に終了を認知することができる。また、次回使用する場合には、押釦B9を回動させてその突部92を回転部材B5の突部56と係合させた後更に回動させることにより、係止面a上の回動腕53がズレて、液の噴出が可能となり、再び所定量の液の噴出が行える。
【符号の説明】
【0045】
1…液体噴出器
A…エアゾール容器体
2…定量バルブ,3…胴部,4…ステム
B…噴出具
B1…取付部材
10…嵌合筒部,11…台板部,12…凹陥部,13…連結筒部,
14…位置併せ用の凹溝,15…棒状の突部,a…係止面,16…案内筒,
17…上向き段部,18…リブ,25…内周壁,26…支持板部,27…弾性揺動板,
28…摺動面,29…係止凸部
B2…カバー筒
20…周壁,21…頂壁,22…窓孔,23…嵌合突部,24…表示用の窓孔
B3…仕切板部材
30…仕切板,s1…第1傾斜面,30a …矮狭仕切板,30t …隣接する仕切板,
31…連結板,32…幅広部
B4…ノズル
40…係止突部,41…下向き段部
B5…回転部材
50…上部筒壁部,51…フランジ部,52,52a …下部筒壁部,53…回動腕,
s2…第2傾斜面,b…被係止面,53a …補助回動腕,54…表示,55…筒部,
56…突部,57…凸部,58…押圧筒
B7…コイルスプリング
B8…リング部材
80…基部,s3…第3傾斜面,81…回動防止板
B9…押釦
90…半球状突部,91…環状突部,92…突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール容器体A上端に上方付勢状態で押し込み可能に突設したステム4に嵌着したノズルB4と、エアゾール容器体A上に固定し、ノズルB4が挿通される取付部材B1と、取付部材B1上に固定し、頂部よりノズルB4の上端部を突出したカバー筒B2と、ノズルB4の上部外周部に回転可能且つノズルB4の押し下げを可能に装着した筒状の押釦B9と、ノズルB4の押し下げ回数を認知する認知システムとを備え、該認知システムは、ノズルB4周囲に回転可能且つ上方付勢状態で押し下げ可能に設けた回転部材B5を押釦B9の押し下げにより所定角度回転させる回転機構と、該回転機構と連繋させるとともに、所定回数の押釦B9の押し下げ時にステム4の押し下げを防止するロック機構とからなり、前記回転機構は、カバー筒B2内の周縁部に放射状に設け且つ下面にそれぞれ第1傾斜面s1を設けた複数の仕切板30と、一対の仕切板30間に先端部を位置させ且つ上面に第2傾斜面s2を設けた回動腕53を突設させた回転部材B5と、押釦B9と回動腕53との間に回転を防止して押し下げ可能に介在させるとともに、下面に第2傾斜面s2が摺動する複数の第3傾斜面s3を環状に連設したリング部材B8とからなり、押釦B9の押し下げ時に第2傾斜面s2が当接する第3傾斜面s3及び隣接する第1傾斜面s1上を摺動して回動腕53が隣接する仕切板30t を乗り越える如く構成し、前記ロック機構は、取付部材B1内所定位置に係止面aを設けるとともに、回転部材B5の所定位置に係止面aに当接する被係止面bを設けて回動腕53の下降を防止する如く構成した液体噴出器に於いて、ノズルB4の押し下げ所定位置において、ノズルB4を一旦係止させた後、液の吐出する位置までノズルB4を下降させる強制下降手段を設けたことを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
上記強制下降手段が、取付部材B1に立設するとともに、上端部内面に上方へ広がるテ−パ状の摺動面28を備え、且つ、内外方向に弾性揺動が可能な複数の弾性揺動板27と、回転部材B5下面より垂設するとともに、摺動面28を摺動して各弾性揺動板27を外方へ傾倒させる押圧筒58と、ノズルB4の外周下部に突設するとともに、各弾性揺動板27の上部に一時的に係止される係止突部40と、係止突部40と回転部材B5との間に介在させたコイルスプリングB7とで構成し、コイルスプリングB7の圧縮荷重をステム4の上方付勢力よりも大として、押圧筒58により各弾性揺動板27傾倒後に、圧縮されたコイルスプリングB7の下方付勢力により液の吐出する位置までノズルB4を下降させる請求項1記載の液体噴出器。
【請求項3】
上記各弾性揺動板27の摺動面28下方に上面が水平な係止凸部29を突設するとともに、該係止凸部29の上面に係止突部40が有する下向き段部41が一時的に係止される請求項2に記載の液体噴出器。
【請求項4】
上記弾性揺動板27は、ステム4の周囲に等間隔に四枚立設した請求項2又は請求項3のいずれか一項に記載の液体噴出器。
【請求項5】
上記ロック機構によるロック状態を解除するロック解除機構を設けた請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体噴出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−156474(P2011−156474A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19754(P2010−19754)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】