液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
【課題】リザーバー内に溜まった気泡をノズルから外部に良好に排出させることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】ノズル21に連通する複数の圧力発生室23とリザーバー27とが形成された流路形成基板24と、圧力発生室23内に圧力変化を生じさせる圧力発生手段25と、を具備する液体噴射ヘッド11であって、圧力発生室23とリザーバー27とが、流路形成基板24に形成された液体供給孔28によって接続されており、液体供給孔28はリザーバー27側の開口部に少なくとも流路形成基板24の厚さ方向における内径が圧力発生室23側に向かって漸小する漸小部50を有する構成とする。
【解決手段】ノズル21に連通する複数の圧力発生室23とリザーバー27とが形成された流路形成基板24と、圧力発生室23内に圧力変化を生じさせる圧力発生手段25と、を具備する液体噴射ヘッド11であって、圧力発生室23とリザーバー27とが、流路形成基板24に形成された液体供給孔28によって接続されており、液体供給孔28はリザーバー27側の開口部に少なくとも流路形成基板24の厚さ方向における内径が圧力発生室23側に向かって漸小する漸小部50を有する構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドの代表例としては、ノズルに連通する圧力発生室内のインクをアクチュエーターによって加圧することでノズルからインク滴を噴射させるインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。インクジェット式記録ヘッドの流路構造は、様々提案されているが、一般的には、複数の圧力発生室がインク供給路によってリザーバーに接続されており、このリザーバーから各圧力発生室にインクが供給されるようになっている。具体的には、流路形成基板の一方面側に圧力発生室が形成されると共に、流路形成基板を厚さ方向に貫通してリザーバーが形成され、各圧力発生室とリザーバーとが、流路形成基板の厚さ方向中央部に設けられたインク供給口によって接続されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−76087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような流路構造のインクジェット式記録ヘッドにおいては、リザーバー内に溜まった気泡によってノズルからインク滴が噴射されない等の印刷不良が発生するため、定期的に流路内の気泡を外部に排出する必要がある。流路内の気泡を外部に排出するために、例えば、所定のタイミングでノズルから流路内を吸引することで、リザーバー内に溜まった気泡をインクと共にノズルから排出させる吸引動作が行われている。このとき、リザーバー内の気泡は、インク供給孔(インク供給口)の開口部に密着するほどインク供給孔内に引き込まれ易くなり、ノズルから良好に外部に排出される。
【0005】
しかしながら、上述のような流路構造では、例えば、リザーバー内の角部等に気泡が停滞してしまいインク供給孔の開口部に十分に密着せず、気泡をインク供給孔内に引き込ませてノズルから外部に良好に排出することができない虞がある。
【0006】
このような問題は、ノズルからインク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、他の液滴を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、リザーバー内に溜まった気泡をノズルから外部に良好に排出させることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、液滴を噴射するノズルに連通する複数の圧力発生室とこれら複数の圧力発生室に供給する液体が貯留されるリザーバーとが形成された流路形成基板と、前記圧力発生室内に前記ノズルから液滴を噴射するための圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、を具備する液体噴射ヘッドであって、前記圧力発生室と前記リザーバーとが、前記流路形成基板に形成された液体供給孔によって接続されており、該液体供給孔は前記リザーバー側の開口部に少なくとも前記流路形成基板の厚さ方向における内径が前記圧力発生室側に向かって漸小する漸小部を有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる本発明では、漸小部が設けられていることで、リザーバー内の気泡が液体供給孔内に引き込まれ易くなり、吸引動作時等に流路内の気泡をノズルから外部に良好に排出させることができる。
【0009】
ここで、前記漸小部のテーパー面である内面は、外側に向かって凸となる曲面となっていることが好ましい。特に、テーパー部は曲面となっていることが好ましい。これにより、漸小部内に気泡が流れ込んだ際に、漸小部の内面と気泡との接触面積が大きくなる。したがって、吸引動作時等に、気泡がより確実に液体供給孔内に引き込まれ、ノズルから外部に排出され易くなる。
【0010】
また前記漸小部の前記流路形成基板の厚さ方向における開口径が、前記リザーバーの深さと同一であることが好ましい。これにより、漸小部の開口部には、流路形成基板の厚さ方向においてリザーバーの角部が存在しないため、気泡が漸小部内にさらに流れ込みやすくなる。
【0011】
また前記リザーバーは、前記液体供給孔側の端部に当該液体供給孔の並設方向における当該リザーバーの幅が前記圧力発生室側に向かって漸小する幅漸小部を有することが好ましい。例えば、前記幅漸小部は、前記液体供給孔の並設方向における前記リザーバーの幅が前記流路形成基板の中央部に向かって漸小していることが好ましい。換言すれば、各液体供給孔の開口部が、流路形成基板の中央部側のものほど、圧力発生室側に位置していることが好ましい。
これにより、吸引動作時等にリザーバー内の気泡が幅漸小部に集まることで、気泡が液体供給孔内に引き込まれ易くなる。したがって、ノズルから気泡をさらに良好に外部に排出させることができる。
【0012】
また本発明は、このような液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる本発明では、液滴の噴射特性を長期に亘って良好に維持することができ、耐久性に優れた液体噴射装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る記録装置の概略斜視図。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドを示す断面図。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの流路構造を示す縦断面図。
【図4】実施形態1に係る記録ヘッドの流路構造を示す横断面図。
【図5】実施形態1に係る流路形成基板の構成を示す断面図。
【図6】本発明の記録ヘッドにおける吸引動作時の気泡状態を説明する図。
【図7】従来技術の記録ヘッドにおける吸引動作時の気泡状態を説明する図。
【図8】実施形態1に係る漸小部の変形例を示す縦断面図。
【図9】実施形態2に係る記録ヘッドの流路構造を示す横断面。
【図10】実施形態2に係る記録ヘッドの流路構造の変形例を示す横断面図。
【図11】実施形態2に係る記録ヘッドの流路構造の変形例を示す横断面図。
【図12】実施形態2に係る記録ヘッドの流路構造の変形例を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略斜視図である。本実施形態のインクジェット式記録装置10は、図1に示すように、ノズルからインク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」という)11がキャリッジ12に固定され、この記録ヘッド11には、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー等の複数の異なる色のインクが貯留された液体貯留手段であるインクカートリッジ13がそれぞれ着脱可能に固定されている。
【0015】
記録ヘッド11が搭載されたキャリッジ12は、装置本体14に取り付けられたキャリッジ軸15に軸方向移動自在に設けられている。そして、駆動モーター16の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト17を介してキャリッジ12に伝達されることで、キャリッジ12はキャリッジ軸15に沿って移動される。一方、装置本体14にはキャリッジ軸15に沿ってプラテン18が設けられており、図示しない給紙装置等により給紙された紙等の被記録媒体Sがプラテン18上を搬送されるようになっている。
【0016】
キャリッジ12の移動方向の端部であるプラテン18の側方の非印字領域には、吸引手段19が設けられている。この吸引手段19は、例えば、記録ヘッド11のノズルを覆うキャップ部材19aと、このキャップ部材19aにチューブ19bを介して接続された、例えば真空ポンプ等の吸引装置19cとで構成されている。
【0017】
このような構成の吸引手段19は、所定のタイミングで、いわゆる吸引動作を実行する。具体的には、吸引手段19は、キャップ部材19aを記録ヘッド11のノズル開口面に当接させ、吸引装置19cによってキャップ部材19aの内部を吸引して負圧とする。これにより、ノズルから記録ヘッド11のインク流路内が吸引されて、インクと共に気泡が外部に排出される。
【0018】
そして、本発明に係る記録ヘッドでは、以下に説明するように、このような吸引動作が実行される際、インク流路を構成するリザーバー内の気泡をさらに良好に外部に排出させることができる。
【0019】
以下、本発明の記録ヘッドの構成について説明する。図2は、実施形態1に係る記録ヘッドを示す断面図である。図2に示すように、記録ヘッド11は、インク滴を噴射する複数のノズル21が穿設されたノズルプレート22と、このノズルプレート22が一方面側に接合され各ノズル21に連通する複数の圧力発生室23が形成された流路形成基板24と、流路形成基板24のノズルプレート22とは反対側の面に設けられる圧力発生手段としてのアクチュエーター25とを有する。
【0020】
流路形成基板24には、本実施形態では、圧力発生室23と共に、ノズル連通孔26、リザーバー27及びインク供給孔(液体供給孔)28が形成されている。圧力発生室23は、流路形成基板24の一方面側の表層部分に設けられており、隔壁29によって区画されてその幅方向で複数並設されている。
【0021】
ノズル連通孔26は、流路形成基板24を厚さ方向に貫通して設けられており、このノズル連通孔26を介して各圧力発生室23の一端部とノズル21とが連通している。リザーバー27は、各圧力発生室23に供給するためのインクが一時的に貯留される空間であり、圧力発生室23の他端部の外側の領域に、流路形成基板24を厚さ方向に貫通して設けられている。このリザーバー27と各圧力発生室23とが、インク供給孔28によってそれぞれ接続されている。
【0022】
上述のように圧力発生室23は流路形成基板24の表層部分に設けられているのに対し、インク供給孔28は、流路形成基板24の厚さ方向中央部に設けられている。つまりインク供給孔28は、流路形成基板24の圧力発生室23とリザーバー27との間の部分を圧力発生室23の長手方向に沿って貫通して形成されており、本実施形態では各圧力発生室23の底面近傍に連通している。
【0023】
このインク供給孔28は、リザーバー27から圧力発生室23に流入するインクの流路抵抗を一定に保持する役割を果たしており、本実施形態では、圧力発生室23よりも狭い幅で形成されている。また詳しくは後述するが、インク供給孔28のリザーバー27側の開口部には漸小部50が設けられており、この漸小部50によって吸引動作時における気泡の排出効果が高められている。
【0024】
このような流路形成基板24のノズルプレート22とは反対側の面、すなわち、圧力発生室23の開口面側には、振動板30が接合されており、各圧力発生室23の一方面はこの振動板30によって構成されている。また振動板30上には、各圧力発生室23内に圧力を発生させるための圧電素子31が設けられている。すなわち本実施形態では、振動板30と、振動板30上に設けられた圧電素子31とで圧力発生手段であるアクチュエーター25が構成されている。
【0025】
振動板30は、本実施形態ではシート部材32と支持板33とからなり、支持板32で構成されて圧電素子31の先端部が当接する島部34を有する。
【0026】
圧電素子31の構成は、特に限定されないが、本実施形態では、圧電材料35と電極形成材料36,37とを縦に交互にサンドイッチ状に挟んで積層することによって構成されている。そして、圧電素子31は、振動に寄与する活性領域と振動に寄与しない不活性領域とを有し、活性領域の先端部が振動板30の島部34に当接した状態で固定され、振動に寄与しない不活性領域が固定基板38に固着されている。
【0027】
また振動板30上には、圧電素子31の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態でその空間を密封可能な圧電素子保持部39を有するヘッドケース40が固定されている。圧電素子31が固定された固定基板38は、圧電素子31とは反対側の面でこのヘッドケース40に固定されている。
【0028】
このような記録ヘッド11では、アクチュエーター(振動板30及び圧電素子31)25の変形によって各圧力発生室23の容積を変化させて所定のノズル21からインク滴を噴射させるようになっている。具体的には、図示しないインクカートリッジからリザーバー27にインクが供給されると、インク供給孔28を介して各圧力発生室23にインクが分配される。実際には、圧電素子31に電圧を印加することにより圧電素子31を収縮させることで振動板30が圧電素子31と共に変形し、圧力発生室23の容積が広げられて各圧力発生室23内にインクが引き込まれる。ノズル21に至るまで記録ヘッド11の内部にインクを満たした後、図示しない駆動回路からの記録信号に従い、圧電素子31に印加していた電圧を解除する。これにより、圧電素子31が伸張されて元の状態に戻ると共に振動板30の変位も元の状態に戻る。結果として圧力発生室23が収縮して内部圧力が高まり、ノズル21からインク滴が噴射される。
【0029】
ここで、このような記録ヘッド11を具備する記録装置10では、上述のように所定のタイミングで吸引動作が実行される。本実施形態に係る記録ヘッド11には、インク供給孔28のリザーバー27側の開口部に漸小部50が設けられているため、この吸引動作の際にリザーバー27等のインク流路内の気泡を外部に良好に排出させることができる。以下、この漸小部50について詳しく説明する。
【0030】
図3は、記録ヘッドの流路構造、特にインク供給孔の漸小部の構造を示す縦断面図である。図3に示すように、インク供給孔28は、リザーバー27側の開口部に流路形成基板24の厚さ方向における内径が圧力発生室23側に向かって漸小する漸小部50を有する。つまり、この漸小部50は、流路形成基板24の厚さ方向における両端面(内面)51が、流路形成基板24の表面に対して傾斜するテーパー面となっている。また本実施形態では、図4の横断面図に示すように、流路形成基板24の面方向(圧力発生室23の並設方向)における漸小部50の両端面(内面)52もテーパー面となっている。勿論、流路形成基板24の面方向における漸小部50の両端面52は、必ずしもテーパー面である必要はなく、圧力発生室23の長手方向(図中上下方向)において漸小部50の幅は一定であってもよい。
【0031】
なお、流路形成基板24は、本実施形態では、図5に示すように、第1の流路形成基板24A及び第2の流路形成基板24Bの2枚の基板を接合することによって形成されている。そして、インク供給孔28(漸小部50を含む)は、例えば、第1の流路形成基板24A及び第2の流路形成基板24Bの他方との接合面にそれぞれ設けられた溝部41,42によって構成されている。
【0032】
このようにインク供給孔28のリザーバー27側の開口部に漸小部50が設けられていることで、いわゆる吸引動作を実行する際に、リザーバー27内の気泡がインク供給孔28の開口部付近に良好に引き寄せられる。これにより、リザーバー27内の気泡がインクと共にノズル21から外部に良好に排出される。特に本発明の構成では、インク供給孔28の内径よりも大きい直径の気泡を排出させる場合に有効である。
【0033】
具体的には、インク供給孔28の開口部に漸小部50が設けられていることで、吸引動作時に、図6(a)に示すように、気泡100がテーパー面である端面51に沿って漸小部50内に良好に流れ込む。そして、図6(b)に示すように、気泡100がこの漸小部50(インク供給孔28の開口部)を実質的に塞いだ状態になることで、気泡100はインク供給孔28内に引き込まれ易くなり、インクと共に気泡100をノズル21から外部に良好に排出させることができる。したがって、インク滴の噴射特性を長期に亘って良好に維持することができる。
【0034】
なお、図7に示すように、インク供給孔128の圧力発生室123とは反対側の開口部に漸小部が形成されていない従来の構成では、気泡100はリザーバー127のインク供給孔128側の角部127aに停滞してしまい、インク供給孔128の開口部を塞いだ状態にはなり難い。このため、吸引動作を実行してもインクだけがインク供給孔128内に引き込まれ、気泡100を外部に排出することができない虞がある。
【0035】
また本実施形態では、このような漸小部50のテーパー面である端面51,52は平面となっているが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、外側に向かって凸となる曲面となっていてもよい。これにより、漸小部50内に気泡が流れ込んだ際に、気泡と端面51,52との接触面積がさらに増加し、気泡がさらに外部に排出され易くなる。
【0036】
さらに、漸小部50の流路形成基板の厚さ方向における開口径は、特に限定されないが、リザーバー27の深さと同一であることが好ましい(図2参照)。つまり、流路形成基板24の厚さ方向において、漸小部50の開口部には、リザーバー27の角部(図7参照)が存在していないことが好ましい。また漸小部50の端面51,52の流路形成基板24の表面に対する傾斜角度は、特に限定されないが、例えば、45度程度であることが好ましい。これにより、吸引動作時に、気泡が漸小部50内により流れ込み易くなる。
【0037】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る記録ヘッドのインク流路を示す横断面図である。
【0038】
本実施形態は、図9に示すように、リザーバー27のインク供給孔28側の端部に、インク供給孔28の並設方向におけるリザーバー27の幅が圧力発生室23側に向かって漸小する幅漸小部60が設けられている例である。具体的には、本実施形態では、リザーバー27の圧力発生室23側の端面が、図中二点鎖線で示すように圧力発生室23側に向かって凸となる曲面となっており、幅漸小部60は、インク供給孔28の並設方向におけるリザーバー27の幅が流路形成基板24の中央部に向かって漸小している。すなわち、流路形成基板24の中央部側に位置するインク供給孔(漸小部)28ほど、その開口部が圧力発生室23側に位置する構成となっている。特に、幅漸小部60を構成するリザーバー27の端面は、球面となっていることが好ましい。
【0039】
このような構成では、吸引動作時に、リザーバー27内の気泡がインク供給孔28の並設方向における流路形成基板24の中央部に集まり、これにより気泡がインク供給孔28内にさらに引き込まれ易くなる。また、幅漸小部60が設けられていることで、気泡が非常に大きくなった場合でも、リザーバー27の端面との接触面積が比較的大きくなるため、気泡がインク供給孔28内に引き込まれ易くなる。したがって、ノズル21から気泡をさらに良好に外部に排出させることができる。
【0040】
なお、このようにリザーバー27に幅漸小部60を設けるようにすると、各インク供給孔28の長さが一定にならず流路抵抗にばらつきが生じてしまう。このため、例えば、各インク供給孔28の幅を適宜変更する等により、各インク供給孔28の流路抵抗を一定にしておく必要がある。あるいは、例えば、図10に示すように、リザーバー27(幅漸小部60)の形状に合わせ、インク供給孔28の長さを一定としたまま各圧力発生室23及びノズル21の位置を変更するようにしてもよい。このような構成とする場合、制御により圧電素子31を駆動するタイミングを適宜調整することで、良好な印刷品質を維持することができる。
【0041】
また本実施形態では、幅漸小部60を構成するリザーバー27の端面が曲面となっている例を説明したが、勿論、幅漸小部60を構成するリザーバー27の端面は、例えば、図11中に二点鎖線で示すように平面となっていてもよい。また、リザーバー27の幅が流路形成基板24の中央部に向かって漸小する幅漸小部60を例示したが、幅漸小部60は、例えば、図12に示すように、インク供給孔28の並設方向における流路形成基板24の一方の端部に向かってリザーバー27の幅が漸小していてもよい。何れにしても、リザーバー27内の気泡が一箇所に集まることで、気泡を外部に排出させ易くなる。
【0042】
(他の実施形態)
以上本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
また本発明は、流路形成基板に形成される流路の構造に特徴があり、それ以外の構成は特に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、圧力発生手段として、振動板と圧電素子とからなる縦振動側のアクチュエーターを例示したが、圧力発生手段の構成は特に限定されず、例えば、撓み振動型の圧電素子を具備するアクチュエーターや、発熱素子等であってもよい。
【0044】
また上述の実施形態では、液体噴射ヘッドとしてインク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドを例示すると共に液体噴射装置としてインクジェット式記録装置を例示したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 インクジェット式記録装置、 11 インクジェット式記録ヘッド、 21 ノズル、 22 ノズルプレート、 23 圧力発生室、 24 流路形成基板、 25 アクチュエーター、 26 ノズル連通孔、 27 リザーバー、 28 インク供給孔、 29 隔壁、 30 振動板、 31 圧電素子、 50 漸小部、 60 幅漸小部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液滴を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドの代表例としては、ノズルに連通する圧力発生室内のインクをアクチュエーターによって加圧することでノズルからインク滴を噴射させるインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。インクジェット式記録ヘッドの流路構造は、様々提案されているが、一般的には、複数の圧力発生室がインク供給路によってリザーバーに接続されており、このリザーバーから各圧力発生室にインクが供給されるようになっている。具体的には、流路形成基板の一方面側に圧力発生室が形成されると共に、流路形成基板を厚さ方向に貫通してリザーバーが形成され、各圧力発生室とリザーバーとが、流路形成基板の厚さ方向中央部に設けられたインク供給口によって接続されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−76087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような流路構造のインクジェット式記録ヘッドにおいては、リザーバー内に溜まった気泡によってノズルからインク滴が噴射されない等の印刷不良が発生するため、定期的に流路内の気泡を外部に排出する必要がある。流路内の気泡を外部に排出するために、例えば、所定のタイミングでノズルから流路内を吸引することで、リザーバー内に溜まった気泡をインクと共にノズルから排出させる吸引動作が行われている。このとき、リザーバー内の気泡は、インク供給孔(インク供給口)の開口部に密着するほどインク供給孔内に引き込まれ易くなり、ノズルから良好に外部に排出される。
【0005】
しかしながら、上述のような流路構造では、例えば、リザーバー内の角部等に気泡が停滞してしまいインク供給孔の開口部に十分に密着せず、気泡をインク供給孔内に引き込ませてノズルから外部に良好に排出することができない虞がある。
【0006】
このような問題は、ノズルからインク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドだけでなく、他の液滴を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、リザーバー内に溜まった気泡をノズルから外部に良好に排出させることができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明は、液滴を噴射するノズルに連通する複数の圧力発生室とこれら複数の圧力発生室に供給する液体が貯留されるリザーバーとが形成された流路形成基板と、前記圧力発生室内に前記ノズルから液滴を噴射するための圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、を具備する液体噴射ヘッドであって、前記圧力発生室と前記リザーバーとが、前記流路形成基板に形成された液体供給孔によって接続されており、該液体供給孔は前記リザーバー側の開口部に少なくとも前記流路形成基板の厚さ方向における内径が前記圧力発生室側に向かって漸小する漸小部を有することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる本発明では、漸小部が設けられていることで、リザーバー内の気泡が液体供給孔内に引き込まれ易くなり、吸引動作時等に流路内の気泡をノズルから外部に良好に排出させることができる。
【0009】
ここで、前記漸小部のテーパー面である内面は、外側に向かって凸となる曲面となっていることが好ましい。特に、テーパー部は曲面となっていることが好ましい。これにより、漸小部内に気泡が流れ込んだ際に、漸小部の内面と気泡との接触面積が大きくなる。したがって、吸引動作時等に、気泡がより確実に液体供給孔内に引き込まれ、ノズルから外部に排出され易くなる。
【0010】
また前記漸小部の前記流路形成基板の厚さ方向における開口径が、前記リザーバーの深さと同一であることが好ましい。これにより、漸小部の開口部には、流路形成基板の厚さ方向においてリザーバーの角部が存在しないため、気泡が漸小部内にさらに流れ込みやすくなる。
【0011】
また前記リザーバーは、前記液体供給孔側の端部に当該液体供給孔の並設方向における当該リザーバーの幅が前記圧力発生室側に向かって漸小する幅漸小部を有することが好ましい。例えば、前記幅漸小部は、前記液体供給孔の並設方向における前記リザーバーの幅が前記流路形成基板の中央部に向かって漸小していることが好ましい。換言すれば、各液体供給孔の開口部が、流路形成基板の中央部側のものほど、圧力発生室側に位置していることが好ましい。
これにより、吸引動作時等にリザーバー内の気泡が幅漸小部に集まることで、気泡が液体供給孔内に引き込まれ易くなる。したがって、ノズルから気泡をさらに良好に外部に排出させることができる。
【0012】
また本発明は、このような液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。かかる本発明では、液滴の噴射特性を長期に亘って良好に維持することができ、耐久性に優れた液体噴射装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る記録装置の概略斜視図。
【図2】実施形態1に係る記録ヘッドを示す断面図。
【図3】実施形態1に係る記録ヘッドの流路構造を示す縦断面図。
【図4】実施形態1に係る記録ヘッドの流路構造を示す横断面図。
【図5】実施形態1に係る流路形成基板の構成を示す断面図。
【図6】本発明の記録ヘッドにおける吸引動作時の気泡状態を説明する図。
【図7】従来技術の記録ヘッドにおける吸引動作時の気泡状態を説明する図。
【図8】実施形態1に係る漸小部の変形例を示す縦断面図。
【図9】実施形態2に係る記録ヘッドの流路構造を示す横断面。
【図10】実施形態2に係る記録ヘッドの流路構造の変形例を示す横断面図。
【図11】実施形態2に係る記録ヘッドの流路構造の変形例を示す横断面図。
【図12】実施形態2に係る記録ヘッドの流路構造の変形例を示す横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略斜視図である。本実施形態のインクジェット式記録装置10は、図1に示すように、ノズルからインク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッド(以下、単に「記録ヘッド」という)11がキャリッジ12に固定され、この記録ヘッド11には、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー等の複数の異なる色のインクが貯留された液体貯留手段であるインクカートリッジ13がそれぞれ着脱可能に固定されている。
【0015】
記録ヘッド11が搭載されたキャリッジ12は、装置本体14に取り付けられたキャリッジ軸15に軸方向移動自在に設けられている。そして、駆動モーター16の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト17を介してキャリッジ12に伝達されることで、キャリッジ12はキャリッジ軸15に沿って移動される。一方、装置本体14にはキャリッジ軸15に沿ってプラテン18が設けられており、図示しない給紙装置等により給紙された紙等の被記録媒体Sがプラテン18上を搬送されるようになっている。
【0016】
キャリッジ12の移動方向の端部であるプラテン18の側方の非印字領域には、吸引手段19が設けられている。この吸引手段19は、例えば、記録ヘッド11のノズルを覆うキャップ部材19aと、このキャップ部材19aにチューブ19bを介して接続された、例えば真空ポンプ等の吸引装置19cとで構成されている。
【0017】
このような構成の吸引手段19は、所定のタイミングで、いわゆる吸引動作を実行する。具体的には、吸引手段19は、キャップ部材19aを記録ヘッド11のノズル開口面に当接させ、吸引装置19cによってキャップ部材19aの内部を吸引して負圧とする。これにより、ノズルから記録ヘッド11のインク流路内が吸引されて、インクと共に気泡が外部に排出される。
【0018】
そして、本発明に係る記録ヘッドでは、以下に説明するように、このような吸引動作が実行される際、インク流路を構成するリザーバー内の気泡をさらに良好に外部に排出させることができる。
【0019】
以下、本発明の記録ヘッドの構成について説明する。図2は、実施形態1に係る記録ヘッドを示す断面図である。図2に示すように、記録ヘッド11は、インク滴を噴射する複数のノズル21が穿設されたノズルプレート22と、このノズルプレート22が一方面側に接合され各ノズル21に連通する複数の圧力発生室23が形成された流路形成基板24と、流路形成基板24のノズルプレート22とは反対側の面に設けられる圧力発生手段としてのアクチュエーター25とを有する。
【0020】
流路形成基板24には、本実施形態では、圧力発生室23と共に、ノズル連通孔26、リザーバー27及びインク供給孔(液体供給孔)28が形成されている。圧力発生室23は、流路形成基板24の一方面側の表層部分に設けられており、隔壁29によって区画されてその幅方向で複数並設されている。
【0021】
ノズル連通孔26は、流路形成基板24を厚さ方向に貫通して設けられており、このノズル連通孔26を介して各圧力発生室23の一端部とノズル21とが連通している。リザーバー27は、各圧力発生室23に供給するためのインクが一時的に貯留される空間であり、圧力発生室23の他端部の外側の領域に、流路形成基板24を厚さ方向に貫通して設けられている。このリザーバー27と各圧力発生室23とが、インク供給孔28によってそれぞれ接続されている。
【0022】
上述のように圧力発生室23は流路形成基板24の表層部分に設けられているのに対し、インク供給孔28は、流路形成基板24の厚さ方向中央部に設けられている。つまりインク供給孔28は、流路形成基板24の圧力発生室23とリザーバー27との間の部分を圧力発生室23の長手方向に沿って貫通して形成されており、本実施形態では各圧力発生室23の底面近傍に連通している。
【0023】
このインク供給孔28は、リザーバー27から圧力発生室23に流入するインクの流路抵抗を一定に保持する役割を果たしており、本実施形態では、圧力発生室23よりも狭い幅で形成されている。また詳しくは後述するが、インク供給孔28のリザーバー27側の開口部には漸小部50が設けられており、この漸小部50によって吸引動作時における気泡の排出効果が高められている。
【0024】
このような流路形成基板24のノズルプレート22とは反対側の面、すなわち、圧力発生室23の開口面側には、振動板30が接合されており、各圧力発生室23の一方面はこの振動板30によって構成されている。また振動板30上には、各圧力発生室23内に圧力を発生させるための圧電素子31が設けられている。すなわち本実施形態では、振動板30と、振動板30上に設けられた圧電素子31とで圧力発生手段であるアクチュエーター25が構成されている。
【0025】
振動板30は、本実施形態ではシート部材32と支持板33とからなり、支持板32で構成されて圧電素子31の先端部が当接する島部34を有する。
【0026】
圧電素子31の構成は、特に限定されないが、本実施形態では、圧電材料35と電極形成材料36,37とを縦に交互にサンドイッチ状に挟んで積層することによって構成されている。そして、圧電素子31は、振動に寄与する活性領域と振動に寄与しない不活性領域とを有し、活性領域の先端部が振動板30の島部34に当接した状態で固定され、振動に寄与しない不活性領域が固定基板38に固着されている。
【0027】
また振動板30上には、圧電素子31の運動を阻害しない程度の空間を確保した状態でその空間を密封可能な圧電素子保持部39を有するヘッドケース40が固定されている。圧電素子31が固定された固定基板38は、圧電素子31とは反対側の面でこのヘッドケース40に固定されている。
【0028】
このような記録ヘッド11では、アクチュエーター(振動板30及び圧電素子31)25の変形によって各圧力発生室23の容積を変化させて所定のノズル21からインク滴を噴射させるようになっている。具体的には、図示しないインクカートリッジからリザーバー27にインクが供給されると、インク供給孔28を介して各圧力発生室23にインクが分配される。実際には、圧電素子31に電圧を印加することにより圧電素子31を収縮させることで振動板30が圧電素子31と共に変形し、圧力発生室23の容積が広げられて各圧力発生室23内にインクが引き込まれる。ノズル21に至るまで記録ヘッド11の内部にインクを満たした後、図示しない駆動回路からの記録信号に従い、圧電素子31に印加していた電圧を解除する。これにより、圧電素子31が伸張されて元の状態に戻ると共に振動板30の変位も元の状態に戻る。結果として圧力発生室23が収縮して内部圧力が高まり、ノズル21からインク滴が噴射される。
【0029】
ここで、このような記録ヘッド11を具備する記録装置10では、上述のように所定のタイミングで吸引動作が実行される。本実施形態に係る記録ヘッド11には、インク供給孔28のリザーバー27側の開口部に漸小部50が設けられているため、この吸引動作の際にリザーバー27等のインク流路内の気泡を外部に良好に排出させることができる。以下、この漸小部50について詳しく説明する。
【0030】
図3は、記録ヘッドの流路構造、特にインク供給孔の漸小部の構造を示す縦断面図である。図3に示すように、インク供給孔28は、リザーバー27側の開口部に流路形成基板24の厚さ方向における内径が圧力発生室23側に向かって漸小する漸小部50を有する。つまり、この漸小部50は、流路形成基板24の厚さ方向における両端面(内面)51が、流路形成基板24の表面に対して傾斜するテーパー面となっている。また本実施形態では、図4の横断面図に示すように、流路形成基板24の面方向(圧力発生室23の並設方向)における漸小部50の両端面(内面)52もテーパー面となっている。勿論、流路形成基板24の面方向における漸小部50の両端面52は、必ずしもテーパー面である必要はなく、圧力発生室23の長手方向(図中上下方向)において漸小部50の幅は一定であってもよい。
【0031】
なお、流路形成基板24は、本実施形態では、図5に示すように、第1の流路形成基板24A及び第2の流路形成基板24Bの2枚の基板を接合することによって形成されている。そして、インク供給孔28(漸小部50を含む)は、例えば、第1の流路形成基板24A及び第2の流路形成基板24Bの他方との接合面にそれぞれ設けられた溝部41,42によって構成されている。
【0032】
このようにインク供給孔28のリザーバー27側の開口部に漸小部50が設けられていることで、いわゆる吸引動作を実行する際に、リザーバー27内の気泡がインク供給孔28の開口部付近に良好に引き寄せられる。これにより、リザーバー27内の気泡がインクと共にノズル21から外部に良好に排出される。特に本発明の構成では、インク供給孔28の内径よりも大きい直径の気泡を排出させる場合に有効である。
【0033】
具体的には、インク供給孔28の開口部に漸小部50が設けられていることで、吸引動作時に、図6(a)に示すように、気泡100がテーパー面である端面51に沿って漸小部50内に良好に流れ込む。そして、図6(b)に示すように、気泡100がこの漸小部50(インク供給孔28の開口部)を実質的に塞いだ状態になることで、気泡100はインク供給孔28内に引き込まれ易くなり、インクと共に気泡100をノズル21から外部に良好に排出させることができる。したがって、インク滴の噴射特性を長期に亘って良好に維持することができる。
【0034】
なお、図7に示すように、インク供給孔128の圧力発生室123とは反対側の開口部に漸小部が形成されていない従来の構成では、気泡100はリザーバー127のインク供給孔128側の角部127aに停滞してしまい、インク供給孔128の開口部を塞いだ状態にはなり難い。このため、吸引動作を実行してもインクだけがインク供給孔128内に引き込まれ、気泡100を外部に排出することができない虞がある。
【0035】
また本実施形態では、このような漸小部50のテーパー面である端面51,52は平面となっているが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、外側に向かって凸となる曲面となっていてもよい。これにより、漸小部50内に気泡が流れ込んだ際に、気泡と端面51,52との接触面積がさらに増加し、気泡がさらに外部に排出され易くなる。
【0036】
さらに、漸小部50の流路形成基板の厚さ方向における開口径は、特に限定されないが、リザーバー27の深さと同一であることが好ましい(図2参照)。つまり、流路形成基板24の厚さ方向において、漸小部50の開口部には、リザーバー27の角部(図7参照)が存在していないことが好ましい。また漸小部50の端面51,52の流路形成基板24の表面に対する傾斜角度は、特に限定されないが、例えば、45度程度であることが好ましい。これにより、吸引動作時に、気泡が漸小部50内により流れ込み易くなる。
【0037】
(実施形態2)
図9は、実施形態2に係る記録ヘッドのインク流路を示す横断面図である。
【0038】
本実施形態は、図9に示すように、リザーバー27のインク供給孔28側の端部に、インク供給孔28の並設方向におけるリザーバー27の幅が圧力発生室23側に向かって漸小する幅漸小部60が設けられている例である。具体的には、本実施形態では、リザーバー27の圧力発生室23側の端面が、図中二点鎖線で示すように圧力発生室23側に向かって凸となる曲面となっており、幅漸小部60は、インク供給孔28の並設方向におけるリザーバー27の幅が流路形成基板24の中央部に向かって漸小している。すなわち、流路形成基板24の中央部側に位置するインク供給孔(漸小部)28ほど、その開口部が圧力発生室23側に位置する構成となっている。特に、幅漸小部60を構成するリザーバー27の端面は、球面となっていることが好ましい。
【0039】
このような構成では、吸引動作時に、リザーバー27内の気泡がインク供給孔28の並設方向における流路形成基板24の中央部に集まり、これにより気泡がインク供給孔28内にさらに引き込まれ易くなる。また、幅漸小部60が設けられていることで、気泡が非常に大きくなった場合でも、リザーバー27の端面との接触面積が比較的大きくなるため、気泡がインク供給孔28内に引き込まれ易くなる。したがって、ノズル21から気泡をさらに良好に外部に排出させることができる。
【0040】
なお、このようにリザーバー27に幅漸小部60を設けるようにすると、各インク供給孔28の長さが一定にならず流路抵抗にばらつきが生じてしまう。このため、例えば、各インク供給孔28の幅を適宜変更する等により、各インク供給孔28の流路抵抗を一定にしておく必要がある。あるいは、例えば、図10に示すように、リザーバー27(幅漸小部60)の形状に合わせ、インク供給孔28の長さを一定としたまま各圧力発生室23及びノズル21の位置を変更するようにしてもよい。このような構成とする場合、制御により圧電素子31を駆動するタイミングを適宜調整することで、良好な印刷品質を維持することができる。
【0041】
また本実施形態では、幅漸小部60を構成するリザーバー27の端面が曲面となっている例を説明したが、勿論、幅漸小部60を構成するリザーバー27の端面は、例えば、図11中に二点鎖線で示すように平面となっていてもよい。また、リザーバー27の幅が流路形成基板24の中央部に向かって漸小する幅漸小部60を例示したが、幅漸小部60は、例えば、図12に示すように、インク供給孔28の並設方向における流路形成基板24の一方の端部に向かってリザーバー27の幅が漸小していてもよい。何れにしても、リザーバー27内の気泡が一箇所に集まることで、気泡を外部に排出させ易くなる。
【0042】
(他の実施形態)
以上本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0043】
また本発明は、流路形成基板に形成される流路の構造に特徴があり、それ以外の構成は特に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、圧力発生手段として、振動板と圧電素子とからなる縦振動側のアクチュエーターを例示したが、圧力発生手段の構成は特に限定されず、例えば、撓み振動型の圧電素子を具備するアクチュエーターや、発熱素子等であってもよい。
【0044】
また上述の実施形態では、液体噴射ヘッドとしてインク滴を噴射するインクジェット式記録ヘッドを例示すると共に液体噴射装置としてインクジェット式記録装置を例示したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 インクジェット式記録装置、 11 インクジェット式記録ヘッド、 21 ノズル、 22 ノズルプレート、 23 圧力発生室、 24 流路形成基板、 25 アクチュエーター、 26 ノズル連通孔、 27 リザーバー、 28 インク供給孔、 29 隔壁、 30 振動板、 31 圧電素子、 50 漸小部、 60 幅漸小部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を噴射するノズルに連通する複数の圧力発生室とこれら複数の圧力発生室に供給する液体が貯留されるリザーバーとが形成された流路形成基板と、前記圧力発生室内に前記ノズルから液滴を噴射するための圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、を具備する液体噴射ヘッドであって、
前記圧力発生室と前記リザーバーとが、前記流路形成基板に形成された液体供給孔によって接続されており、該液体供給孔は前記リザーバー側の開口部に少なくとも前記流路形成基板の厚さ方向における内径が前記圧力発生室側に向かって漸小する漸小部を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記漸小部のテーパー面である内面は、外側に向かって凸となる曲面となっていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記漸小部の前記流路形成基板の厚さ方向における開口径が、前記リザーバーの深さと同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記リザーバーは、前記液体供給孔側の端部に当該液体供給孔の並設方向における当該リザーバーの幅が前記圧力発生室側に向かって漸小する幅漸小部を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記幅漸小部は、前記液体供給孔の並設方向における前記リザーバーの幅が前記流路形成基板の中央部に向かって漸小していることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
液滴を噴射するノズルに連通する複数の圧力発生室とこれら複数の圧力発生室に供給する液体が貯留されるリザーバーとが形成された流路形成基板と、前記圧力発生室内に前記ノズルから液滴を噴射するための圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、を具備する液体噴射ヘッドであって、
前記圧力発生室と前記リザーバーとが、前記流路形成基板に形成された液体供給孔によって接続されており、該液体供給孔は前記リザーバー側の開口部に少なくとも前記流路形成基板の厚さ方向における内径が前記圧力発生室側に向かって漸小する漸小部を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記漸小部のテーパー面である内面は、外側に向かって凸となる曲面となっていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記漸小部の前記流路形成基板の厚さ方向における開口径が、前記リザーバーの深さと同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記リザーバーは、前記液体供給孔側の端部に当該液体供給孔の並設方向における当該リザーバーの幅が前記圧力発生室側に向かって漸小する幅漸小部を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記幅漸小部は、前記液体供給孔の並設方向における前記リザーバーの幅が前記流路形成基板の中央部に向かって漸小していることを特徴とする請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−201168(P2011−201168A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71119(P2010−71119)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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