説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】小型化及び高解像度化を実現する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】圧力発生室12の列が複数設けられた流路形成基板10と、該流路形成基板の一方面側に形成される複数列の圧力発生素子300とを具備し、流路形成基板の圧力発生室の列の並設方向に交差する方向の両側に配置された列の圧力発生素子のそれぞれに対応して形成された個別電極に接続される個別電極用の端子91が、前記列の中央部に設けられ、個別電極用の端子上に、外部からの電気信号を個別電極に電気的に接続させる駆動回路200が実装されており、駆動回路と重畳するように下側に配置され、圧力発生素子に対して共通の電極となる共通電極に接続する共通電極用配線95と、駆動回路に外部から電気信号を供給するための端子及び共通電極用配線の端子とからなる可撓性のテープ基板400が接続される実装部410と、が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。このインクジェット式記録ヘッドとしては、例えばノズルに連通する圧力発生室とこの圧力発生室に連通する連通部とが形成される流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧電素子と、流路形成基板の圧電素子側の面に接合されて圧電素子を保持するための圧電素子保持部を有する保護基板とを具備したものが知られている。また、駆動回路と圧電素子とは、圧電素子の一方の電極から引き出されたリード電極を介して導電性ワイヤーからなる接続配線によりワイヤーボンディング法により接続されている。
【0003】
保護基板は、相対向する2列の圧力発生室に対応させて配設した2列の圧電素子を保護するものもあり、この種の保護基板にはその中央部に前記接続配線が挿通される貫通孔が形成してある。かかるインクジェット式記録ヘッドでは、前記貫通孔部分で前記リード電極と接続配線とを接続している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、製造コストの削減と接続の確実性を実現するため、流路形成基板上にICチップを直接実装したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−148813号公報
【特許文献2】特開2007−332237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2では、個別電極に接続されるリード電極と共に、共通電極に接続される共通リード電極がICチップと接続している。よって、高解像度化への対応が困難であるという問題があった。すなわち、高解像度化を図ろうとすると、個別電極用のリード電極の間のスペースに共通リード電極を引き出しているので、端子同士がショートする可能性があるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、小型化及び高解像度化を実現する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成する本発明の態様は、液体を吐出するノズルに連通する複数の圧力発生室の列が複数設けられた流路形成基板と、前記流路形成基板の一方面側に形成され前記圧力発生室内の前記液体に圧力変化を発生させる複数列の圧力発生素子と、を具備し、前記流路形成基板の前記圧力発生室の列の並設方向に交差する方向の両側に前記圧力発生室の列及び前記圧力発生素子の列がそれぞれ配置され、前記両側に配置された列の前記圧力発生素子のそれぞれに対応して形成された個別電極に接続される個別電極用の端子が、前記列の並設方向に交差する方向の中央部に設けられ、前記個別電極用の端子上に、外部からの電気信号を前記両側に配置された列の前記圧力発生素子の前記個別電極に電気的に接続させる駆動回路が実装されており、前記液体の吐出方向において前記駆動回路と重畳するように下側に配置され、前記両側に配置された列の圧力発生素子に対して共通の電極となる共通電極に接続する共通電極用配線と、前記駆動回路に外部から電気信号を供給するための端子及び前記共通電極用配線の端子とからなる可撓性のテープ基板が接続される実装部と、が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、圧力発生素子の列の間のスペースに両側の圧力発生素子を駆動する駆動回路を実装し、当該駆動回路と直接接続するのは個別電極用の端子のみとし、共通電極用配線を駆動回路の下側のスペースに設け、外部からの信号を駆動回路及び共通電極用配線に入れるための端子を有する実装部を別途設けるようにしたので、小型化及び高解像度化が実現できる。
【0009】
ここで、前記圧力発生室の一つの列において、前記圧力発生室の並設方向とは交差する方向における位置が異なるように千鳥状に配置されて、前記ノズルの列が複数列となっていてもよい。これによれば、駆動回路の片側で、実質的に2列のノズルの列を配置することができる。
【0010】
また、前記駆動回路と重畳する領域の前記共通電極用配線の幅が、重畳する領域以外の配線の幅より大きいのが好ましい。これによれば、共通電極用配線の抵抗をさらに低減することができ、電圧降下の問題を解消することができる。
【0011】
また、前記駆動回路と重畳する領域の前記共通電極用配線の上に前記駆動回路が載置されているのが好ましい。これによれば、駆動回路が共通電極用配線で支えられ、安定して実装される。
【0012】
本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、ヘッドの小型化及び高解像度化が実現できる装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るインクジェット式記録装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの分解斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの流路形成基板の要部平面図であり、図3は図2のA−A′断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
【0015】
流路形成基板10には、隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12が並設された列が2列設けられている。また、各列の圧力発生室12の並設方向に交差する方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。連通部13は、後述する保護基板30のリザーバー部31と連通して圧力発生室12の列毎に共通のインク室となるリザーバー100の一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、本実施形態では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。さらに、各連通路15は、圧力発生室12の幅方向両側の隔壁11を連通部13側に延設してインク供給路14と連通部13との間の空間を区画することで形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12の幅方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の幅方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
【0016】
また、流路形成基板10のノズル面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。本実施形態では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたため、1つのインクジェット式記録ヘッドIには、ノズル21の並設されたノズル列が2列設けられている。なお、ノズルプレート20は、例えばガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
【0017】
一方、このような流路形成基板10のノズル面とは反対側には、上述したように、弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とが積層形成されて、本実施形態の圧力発生素子である圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせてアクチュエーター装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
【0018】
また、圧電素子300の個別電極である各第2電極80には、絶縁体膜55上まで延設された例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。リード電極90は、一端部が第2電極80に接続されていると共に、他端部側が圧電素子300が並設された列と列との間に延設され、他端部が端子部91となり、後述するように、駆動回路200が実装される。
【0019】
さらに、共通電極である第1電極60は、圧電素子300の並設方向に連続して設けられ、圧力発生室12の列の並設方向の両外側まで延設されている。そして、圧力発生室12の列の並設方向の外側に延びた第1電極60同士は、金(Au)等からなる共通電極用配線95により接続され、さらに、並設方向の両側に設けられた共通電極用配線95は列の間で、駆動回路200の実装領域に重畳する領域に配置された共通電極用配線96により連結されている。また、共通電極用配線96の駆動回路200の実装領域に重畳する領域は幅広部97となり、電気抵抗の低下を図っている。
【0020】
また、外部から駆動回路200へ電気信号を導入するためのFPCなどの可撓性のテープ基板400を接続するための実装部410が設けられている。実装部410には、駆動回路200に接続される複数の端子411と共に、共通電極用配線96の端子部98が設けられている。
【0021】
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、第1電極60、絶縁体膜55及びリード電極90上には、リザーバー100の少なくとも一部を構成するリザーバー部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバー部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバー100を構成している。なお、本実施形態では、流路形成基板10にリザーバー100となる連通部13を設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割して、リザーバー部31のみをリザーバーとしてもよい。また、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバーと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
【0022】
保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する保持部である圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。なお、本実施形態では、圧電素子300が並設された列が2列設けられているため、圧電素子保持部32を圧電素子300の並設された各列に対応してそれぞれ設けるようにした。すなわち、保護基板30には、圧電素子保持部32が並設された圧電素子300の列の並設方向に交差する列が並ぶ列設方向に2つ設けられている。
【0023】
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましい。本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。貫通孔33は、2つの圧電素子保持部32の間に設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられ、端部は後述するように駆動回路200が実装される端子部91となっている。
【0024】
さらに、保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバー部31の一方面が封止されている。固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバー100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバー100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0025】
さらに、コンプライアンス基板40上には、保持部材であるヘッドケース110が設けられている。ヘッドケース110には、インク導入口44に連通してカートリッジ等のインク貯留手段からのインクをリザーバー100に供給するインク導入路111が設けられている。また、ヘッドケース110には、開口部43に対向する領域に凹部112が形成され、開口部43のたわみ変形が適宜行われるようになっている。さらに、ヘッドケース110には、保護基板30に設けられた貫通孔33と連通する貫通部113が設けられている。なお、このようなヘッドケース110の材料としては、例えば、ステンレス鋼等の金属材料が好適である。
【0026】
ここで、駆動回路200は、開口部43及び貫通部113内に延設されているリード電極90の端子部91上に実装されている。すなわち、駆動ICチップである駆動回路200は、その端子201と、リード電極90の端子部91とが金属−金属結合等により確実に接続されるように実装されている。すなわち、駆動回路200には、個別電極である第2電極80のみが接続されている。
【0027】
一方、共通電極である第1電極60に接続される共通電極用配線96は、駆動回路200の実装領域に重畳する領域に配置されている。本実施形態では、共通電極用配線96の下に、第1電極60と同時にパターニングされた同一層61が設けられ、共通電極用配線96上に駆動回路200が載置されるようになっている。すなわち、駆動回路200は、共通電極用配線96の幅広部97上に載置されて(電気的には非接続)、安定した状態で、端子部91上に実装されている。また、実装された駆動回路200の外部信号入力用の端子は、実装部410の端子411に接続され、端子411を含む実装部410に接続されるテープ基板400を介して、外部からの電気信号が駆動回路200に導入される。
【0028】
このように、本実施形態では、2つの圧電素子300の列の間のスペースに駆動回路200を実装すると共に、駆動回路200には、個別電極である第2電極80に接続されるリード電極90のみを接続し、共通電極である第1電極60は、共通電極用配線95、96を介して端子部98を経てテープ基板400に接続されるようにしたので、小型化、高密度化を図ることができると共に、その際に、駆動回路200と端子部91との接続を確実に行うことができる。また、個別電極と共通電極の引き出し方向が異なるので、ショート等の虞もない。
【0029】
以上、説明したインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部のインク貯留手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバー100からノズル21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル21からインク滴が吐出する。
【0030】
さらに、本実施形態によれば、駆動回路200をリード電極90の端子部に直接接続しているので、ワイヤーボンディング法によるよりも製造が容易で且つ駆動回路200を直接リード電極90に接続しているので、圧電素子300を高密度に配設してもリード電極90と駆動回路200との接続不良が発生することなく、高密度化を容易に達成できる。
【0031】
(他の実施形態)
上述した実施形態1では、流路形成基板10に圧力発生室12が並設された列を2列設けたものであるが、この場合の列数には特別な制限はない。複数列であれば、3列以上であっても構わない。複数列の場合には少なくとも2列一組を相対向させて設ければよい。また、上述した実施形態の圧力発生室12の一つの列において、隣接する圧力発生室12を並設方向とは交差する方向における位置が異なるように千鳥状に配置し、ノズル21の列が複数列となるようにしてもよい。また、流路の材質や構造を上記実施の形態に限定する必要もない。
【0032】
さらに、上述した実施形態1では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生素子として、薄膜型の圧電素子300を有するアクチュエーター装置を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型のアクチュエーター装置や、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型のアクチュエーター装置などを使用することができる。また、圧力発生素子として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルから液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルから液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0033】
なお、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図4は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図示するように、上記実施の形態に係るインクジェット式記録ヘッドIを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0034】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0035】
また上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプ
レイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
【符号の説明】
【0036】
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 インク供給路、 14 連通路、21 ノズル、 30 保護基板、 32 圧電素子保持部、 33 貫通孔、 60 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極、 95、96 共通電極用配線、 100 リザーバー、 110 ヘッドケース(保持部材)、 113 貫通部、 200 駆動回路、 300 圧電素子(圧力発生素子)、 400 テープ基板、 410 実装部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルに連通する複数の圧力発生室の列が複数設けられた流路形成基板と、
前記流路形成基板の一方面側に形成され、前記圧力発生室内の前記液体に圧力変化を発生させる複数列の圧力発生素子と、を具備し、
前記流路形成基板の前記圧力発生室の列の並設方向に交差する方向の両側に前記圧力発生室の列及び前記圧力発生素子の列がそれぞれ配置され、
前記両側に配置された列の前記圧力発生素子のそれぞれに対応して形成された個別電極に接続される個別電極用の端子が、前記列の並設方向に交差する方向の中央部に設けられ、
前記個別電極用の端子上に、外部からの電気信号を前記両側に配置された列の前記圧力発生素子の前記個別電極に電気的に接続させる駆動回路が実装されており、
前記液体の吐出方向において前記駆動回路と重畳するように下側に配置され、前記両側に配置された列の圧力発生素子に対して共通の電極となる共通電極に接続する共通電極用配線と、
前記駆動回路に外部から電気信号を供給するための端子及び前記共通電極用配線の端子とからなる可撓性のテープ基板が接続される実装部と、
が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記圧力発生室の一つの列において、前記圧力発生室の並設方向とは交差する方向における位置が異なるように千鳥状に配置されて、前記ノズルの列が複数列となっていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記駆動回路と重畳する領域の前記共通電極用配線の幅が、重畳する領域以外の配線の幅より大きいことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記駆動回路と重畳する領域の前記共通電極用配線の上に前記駆動回路が載置されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−218251(P2012−218251A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84921(P2011−84921)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】