説明

液体噴射装置

【課題】小型化を図ることができる液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】プリンター1は、記録用紙収容部52、搬送機構15および排インク容器15が、記録用紙収容部52の側から搬送機構15、排インク容器15の順で配列され、搬送機構15、記録ヘッド3およびインクタンク装填部4は、搬送機構15の側から記録ヘッド3、インクタンク装填部4の順で配列され、記録用紙収容部52、搬送機構15および排インク容器15の配列方向と、搬送機構15、記録ヘッド3およびインクタンク装填部4の配列方向とは互いに交差し、インクタンク装填部4は、記録用紙収容部52が配置される側と反対側の方向において、記録ヘッド3および搬送機構15よりも突出する突出部4Aを有し、排インク容器15は、突出部4の搬送機構15の側に形成される空間40に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置の一種であるインクジェットプリンターの小型化が、従来より望まれている。そして、小型化を図るためのさまざまな工夫が提案されている。たとえば、特許文献1から4には、インクジェットプリンター内に配置される記録ヘッド、インクタンクあるいは電気回路基板等といった構造物を全体として上下方向に配置することで、インクジェットプリンターの設置面積の縮小化を図ることができる、いわゆる縦置き型プリンターが開示されている。インクジェットプリンターを縦置き型とした場合には、インクジェットプリンター内の構造物が全体として水平方向に配置される、いわゆる横置き型のプリンターに比べて、設置面積を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−127551号
【特許文献2】特開2003−127484号
【特許文献3】特開2006−205630号
【特許文献4】特開2009−286115号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、さらなる小型化を図ることができる液体噴射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドから液体を吸引する吸引機構と、液体噴射ヘッドから噴射される液体の噴射対象となるターゲットを収容するターゲット収容部と、ターゲット収容部から供給されるターゲットを、液体噴射ヘッドからの液体の噴射を受けることができる位置に搬送する搬送機構と、吸引機構から排出された排液を貯留する排液容器とを有し、ターゲット収容部、搬送機構および排液容器は、ターゲット収容部の側から搬送機構、排液容器の順で配列されていることとする。
【0006】
液体噴射装置をこのように構成することで、排液容器をターゲット収容部と搬送機構とが配列される方向に対して交差する方向に配置する場合に比べて、該交差する方向についての液体噴射装置の大きさを小さくすることができる。つまり、該交差する方向が液体噴射装置の高さ方向である場合は、液体噴射装置の高さを低く構成することができる。また、該交差する方向が液体噴射装置の奥行き方向である場合は、液体噴射装置の奥行きを小さく構成することができる。
【0007】
上記発明に加えて、液体噴射装置においては、液体噴射ヘッドと異なる位置に配置され、液体が貯留される液体容器が装填される液体容器装填部を備え、搬送機構、液体噴射ヘッドおよび液体容器装填部は、搬送機構の側から液体噴射ヘッド、液体容器装填部の順で配列され、ターゲット収容部、搬送機構および排液容器の配列方向である第1方向と、搬送機構、液体噴射ヘッドおよび液体容器装填部の配列方向である第2方向とは、互いに交差し、液体容器装填部は、第1方向に沿う方向であって、ターゲット収容部が配置される側と反対側の方向において、液体噴射ヘッドおよび搬送機構よりも突出する突出部を有し、排液容器は、第2方向に沿う方向であって突出部の搬送機構の側に形成される空間に配置されていることとする。
【0008】
液体噴射装置をこのように構成することで、空間内に排液容器を配置することができ、液体噴射装置の容積の増大を抑えつつ、排液容器を設けることができる。
【0009】
上記発明に加えて、液体噴射装置においては、第1方向は水平方向に沿う方向であり、第2方向は上下方向であり、搬送機構、液体噴射ヘッドおよび液体容器装填部の配列において、搬送機構が最も下側に配置されていることとする。
【0010】
液体噴射装置をこのように構成することで、ターゲット収容部、搬送機構および排液容器が、液体噴射装置の下方側に配置されることになり、液体噴射装置の重心を低い位置に配置することができる。
【0011】
上記発明に加えて、液体噴射装置においては、排液容器内には、液体吸収材が収容されていることとする。
【0012】
液体吸収材は、吸い込んだ液体を液体吸収材内に保持することができる。そのため、排液容器に液体吸収材が収容されていることで、液体噴射装置が転倒した際にも、排液容器から直ちに液体が漏れ出てしまうことを防ぐことができる。
【0013】
上記発明に加えて、液体噴射装置においては、吸引機構によって液体噴射ヘッドから排出された排液が排液容器に流入する流入口は、吸引機構の排液を受ける排液受け部に形成される排液排出部よりも下方に配置され、液体吸収材は、流入口から上方に向かって存在する部分が存在するように、排液容器内に収容されていることとする。
【0014】
液体噴射装置をこのように構成することで、流入口よりも高い位置に排液を貯留することができ、排液容器に貯留することができる排液の貯留量の増加を図ることができる。
【0015】
上記発明に加えて、液体噴射装置においては、排液容器の内部には、排液容器内に排出された液体の移動を妨げることができるラビリンス径路を形成する障壁が形成されていることとする。
【0016】
液体噴射装置をこのように構成することで、液体噴射装置の転倒時にも、排液容器から排液がこぼれ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態にプリンターの外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にプリンターの外観を示す斜視図である。
【図3】図1,2に示すプリンターの内部構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】図1,2に示すプリンターの内部構成を左側から見た概略構成図である。
【図5】吸引機構の一部の構成を示す吸引機構の一部構成図である。
【図6】排インク容器の外観を示す斜視図である。
【図7】インク吸収材の外観を示す斜視図である。
【図8】排インク容器にインク吸収材が収容された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(プリンター1の全体構成)
以下に、本発明の液体噴射装置の実施の形態に係るインクジェットプリンター(以下、単にプリンターという)1の構成について説明する。
【0019】
図1および図2は、プリンター1の外観を示す斜視図である。以下の説明において、図中矢印X1−X2方向を左右方向とし、また、図中矢印Y1−Y2方向を前後方向とし、そして、図中矢印Z1−Z2方向を上下方向として説明を行うこととする。
【0020】
Z2方向は、プリンター1の設置面が位置する方向を示す。つまり、Z2方向は下方向となる。また、Y1方向は、プリンター1の正面方向である。正面方向とは、プリンター1を操作する操作者が、プリンター1の操作を行い易い立ち位置の方向である。つまり、操作者がプリンター1の正面方向に位置してプリンター1を操作した場合に、操作ボタン2の操作等のプリンター1の諸操作が行い易いように、プリンター1は構成されている。なお、プリンター1の正面1Aに向かって左手方向を左方(図中矢印X1方向)、右手方向を右方(図中矢印X2方向)としている。
【0021】
プリンター1は、プリンター1の内部に配置される液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド3(図3,4参照)と、液体容器装填部としてのインクタンク装填部4(図3,4参照)と、搬送機構5(図4参照)とが全体として第2方向としての上下方向Z1−Z2に配置される縦置き型のプリンターとして構成されている。プリンター1においては、下方から順に、搬送機構5、記録ヘッド3、インクタンク装填部4が配置されている。なお、プリンター1は、ターゲットとしての記録用紙Pに対して、記録ヘッド3から液体としてのインクを噴射することで、記録用紙Pに文字や図形等を記録することができる。
【0022】
プリンター1においては、記録用紙Pが収容された用紙カセット6が、プリンター1の所定位置に装填されることで、記録用紙Pがプリンター1に装填された状態となる。図1は、記録用紙Pが収容されている用紙カセット6のプリンター1への装填が完了した状態を示している。図2は、用紙カセット6が、プリンター1に装填される途中、あるいは、プリンター1から用紙カセット6が取り出される途中の状態を示している。
【0023】
プリンター1は、図1,2に示されるように、全体として前後方向に扁平し(前後方向の寸法が、他の方向よりも小さく)、左右方向に比べて、上下方向が長い直方体を呈している。プリンター1は、たとえば、室内に設置される場合、通常は、外装筐体7の背面1Bを壁面に向けられ、正面1A側が室内に向くように設置される。そのため、プリンター1は、外装筐体7の正面1A、上面1C、左側面1D、および右側面1Eが操作者から目につき易い部分となる。つまり、プリンター1の外装筐体7のデザインは、正面1A、上面1C、左側面1D、および右側面1Eに趣向が施されているものとなっている。
【0024】
プリンター1の上面1Cには、電源スイッチ8と、操作ボタン2と、用紙カセット挿通口9と、インクタンク着脱口10等とが設けられている。用紙カセット挿通口9は、用紙カセット6のプリンター1への着脱を行うための開口である。インクタンク着脱口10は、インクタンク装填部4(図3,4参照)に対してインクタンク11(図3参照)の着脱を行う際に、インクタンク11の出し入れを行うための開口である。インクタンク着脱口10は、蓋体12により開閉可能とされ、インクタンク11のインクタンク装填部4への着脱は、蓋体12を開いた状態で行うことができる。電源スイッチ8、操作ボタン2、用紙カセット挿通口9、および蓋体12等は、操作者がプリンター1の前方からプリンター1を操作したときに操作し易いように、操作部の配列や操作方向等の向き等が設定されている。
【0025】
次に、図3および図4を参照しながら、プリンター1の内部構成について説明する。図3,4は、プリンター1の内部構成を概略的に示したものである。図3は、プリンター1を左斜め上方から見たときの、プリンター1の内部構成を示すものである。また、図4は、プリンター1を左方から見たときの、プリンター1の内部構成を示すものである。図3および図4は、プリンター1の構造を判り易くするため、部材の図示や形状が適宜に省略あるいは簡略化されている。
【0026】
プリンター1は、インクタンク装填部4と、記録ヘッド3と、吸引機構13と、ターゲット供給機構としての記録用紙供給機構14と、ターゲット収容部としての記録用紙収容部52と、搬送機構5と、排液容器としての排インク容器15と、プリンター1の制御を担う制御基板等が収容される制御ボックス16等を有する。インクタンク装填部4と記録ヘッド3と搬送機構5とは、上述したように全体として上下方向Z1−Z2に配列され、記録用紙収容部52と搬送機構5と排インク容器15とは、全体として、第1方向としての水平方向Y1−Y2に配列されている。
【0027】
(インクタンク装填部4)
インクタンク装填部4には、インクが貯留されるインクタンク11が着脱可能に装填される。本実施の形態においては、インクタンク11は、互いに異なる色のインクが貯留されている5つのインクタンク11A,11B,11C,11D,11Eとして構成される。インク色としては、たとえば、ブラック、マゼンタ、シアン、フォトシアン、イエローのインクである。インクタンク装填部4とインクタンク11A〜11Eとは、インクタンク11A〜11Eがそれぞれ個別にインクタンク装填部4に対して着脱可能な構成とされている。つまり、インクタンク11A〜11Eは、いわゆるカートリッジ型のインクタンクとして構成されている。インクタンク11A〜11Eは、前後方向に配列され、インクタンク装填部4は、前後方向に幅W1を有している。なお、以下の説明において、インクタンク11A〜11Eを総称して、あるいは個別のインクタンクを、単にインクタンク11と記載することもある。
【0028】
インクタンク装填部4は、上方に開口部17を有する箱体を呈し、開口部17と、上面1C(図1,2参照)に形成されるインクタンク着脱口10を通して、インクタンク11を着脱することができる。インクタンク装填部4は、記録ヘッド3、吸引機構13、記録用紙供給機構14、記録用紙収容部52、搬送機構5、排インク容器15、および制御ボックス16の中で、最も高い位置に配置され、上面1Cに設けられるインクタンク着脱口10からインクタンク11の着脱を行うことができるように、上面1Cの直下に配置されている。プリンター1は、一般に床面や机上に設置されることが多い。そのため、インクタンク11の着脱を、正面1A、左側面1D、あるいは右側面1Eにて行う構成とした場合には、インクタンク11の着脱操作を行う操作者は、正面1A、左側面1Dあるいは右側面1Eを覗き込むような姿勢を余儀なくされることがある。また、インクタンク11の着脱を、背面1Bや底面1F側にて行う構成とした場合には、プリンター1の移動が必要となることがある。これに対して、インクタンク11の着脱を、上面1C側にて行うことができる構成とすることで、操作者は、プリンター1の前方斜め上方から自然な姿勢でインクタンク11の着脱操作を行うことができ易くなる。
【0029】
(記録ヘッド3)
記録ヘッド3としては、たとえば、ピエゾ式インクジェットあるいはサーマルジェット式インクジェット形式のヘッドを用いることができ、インク供給チューブ18を介して接続されるインクタンク11から供給されるインクを噴射することができる。記録ヘッド3は、キャリッジ19に搭載されている。また、プリンター1は、記録ヘッド3が搭載されたキャリッジ19を、駆動モーター20の駆動力により、ガイド部材21に沿って往復移動可能な構成とされている。駆動モーター20とキャリッジ19とは、図示を省略する駆動伝達機構を介して連結されている。駆動モーター20の駆動力が、該駆動伝達機構を介してキャリッジ19に伝達されることで、キャリッジ19が往復移動させられる。
【0030】
ガイド部材21は、後述する搬送機構5による記録用紙Pの搬送方向である副走査方向と直交する方向である主走査方向(図面において左右方向)にガイド方向が設定されている。つまり、キャリッジ19は、ガイド部材21に沿って、駆動伝達機構(図示省略)により主走査方向に往復移動することができる。プリンター1は、搬送機構5により記録用紙Pを副走査方向に搬送すると共に、記録ヘッド3を主走査方向に移動しながらインクを記録用紙Pに噴出することで、記録用紙Pに所定の記録を行うことができる。
【0031】
プリンター1は、記録ヘッド3をプリンター1に対して主走査方向に往復移動させる構成であるのに対し、インクタンク11については、プリンター1に対して移動しない固定位置とされている。すなわち、プリンター1は、インクタンク11と記録ヘッド3とが互いに異なる場所に配置されている、いわゆるオフキャリッジタイプのプリンターとして構成されている。プリンターには、オフキャリッジタイプの他に、キャリッジに記録ヘッドと共にインクタンクが搭載される構成である、いわゆるオンキャリッジタイプのものがある。オフキャリッジタイプのプリンターは、キャリッジにインクタンクが搭載されないため、オンキャリッジタイプのプリンターに比べて、キャリッジの移動時の慣性力を小さくすることができる。このため、プリンター1は、オンキャリッジタイプとして構成する場合に比べて、キャリッジ19を駆動するための駆動力を小さくすることができ、消費電力の低減や駆動伝達機構の簡略化を図ることができる。
【0032】
また、プリンター1は、オンキャリッジタイプとして構成する場合に比べて、キャリッジ19の移動に起因して発生する振動の低減を図ることができる。プリンター1は、縦置き型であり、横置き型のプリンターに比べて重心位置が高くなり易く、設置時の安定性が損なわれ易い。しかしながら、プリンター1をオフキャリッジタイプとすることで、キャリッジ19の移動に起因して発生する振動の低減が図られ、プリンター1の設置時の安定性を向上させることができる。
【0033】
プリンター1においては、インクタンク11から記録ヘッド3へのインクの供給は、水頭差を利用して行われるものであり、インクタンク11は記録ヘッド3よりも上方に配置されている。また、プリンター1においては、インクタンク11の着脱を上面1Cに設けられるインクタンク着脱口10から行うことができるように、インクタンク11が、上面1Cの直下に配置されている。そのため、プリンター1の重心位置はより高くなり易い。しかしながら、プリンター1をオフキャリッジタイプに構成することにより、キャリッジ19の移動時の慣性力を小さくすることができ、プリンター1の設置時の安定性を向上させることができる。特に、インクタンク11が、上面1Cの直下に配置されているプリンター1においては、インクタンク11の色数や個数を増やしたり、あるいはタンクの容量を大きくすると、プリンター1の重心位置はより高くなり易い。しかしながら、プリンター1をオフキャリッジタイプに構成することにより、プリンター1の設置時の安定性を向上させることができる。
【0034】
(吸引機構13)
キャリッジ19の主走査方向への移動範囲の左端位置には、吸引機構13が配置されている。吸引機構13は、記録ヘッド3内のインクを吸引することで、記録ヘッド3内のインク流路およびインク供給チューブ18内に混入している気泡を、強制的に排出する、いわゆるクリーニング動作を実行可能な構成となっている。また、吸引機構13は、記録ヘッド3内のインクの増粘の防止等の目的で、記録とは無関係にインクを噴射する、いわゆるフラッシングにより噴射されたインクを受けることができる構成となっている。吸引機構13に吸引された排インク、あるいはフラッシングにより噴射された排インクは、排インクチューブ22を介して、排インク容器15に排出される。
【0035】
図5は、吸引機構13の一部を構成する排液受け部としてのキャップ部23が記録ヘッド3に接続された状態における概略の構成を左方から見た図である。図5において、キャップ部23とキャップ部23に接続される排インクチューブ22については断面図として示されている。排インクチューブ22には、図示を省略するポンプが接続され、吸引機構13は、ポンプによりキャップ部23の内部に負圧を発生させることができるように構成されている。
【0036】
吸引機構13は、図5に示すように、記録ヘッド3のインクの噴射が行われるノズル部が形成されるノズル形成面24を、キャップ部23により覆った状態で、キャップ部23内に負圧を発生させ、クリーニング動作あるいはフラッシング動作を実行する。記録ヘッド3から排出された排インクは、排インクチューブ22が接続される排液排出部としての排インク排出部25から、排インクチューブ22を介して、排インク容器15に排出される。
【0037】
(記録用紙収容部52)
記録用紙収容部52は、プリンター1の用紙カセット6が装填される部分である。記録用紙収容部52には、用紙カセット6を所定のセット位置にガイドするガイド部材や、所定のセット位置にセットされた用紙カセット6を位置決めする位置決め部材等が備えられている。
【0038】
(記録用紙供給機構14)
図2に示すように、記録用紙Pが装填された用紙カセット6を、用紙カセット挿通口9からプリンター1内に挿入し、所定位置まで押し下げることで、図1,3,4に示すように、用紙カセット6のプリンター1への装填が完了する。用紙カセット6がプリンター1の所定位置に装填された状態で、記録用紙供給機構14により、記録用紙Pが用紙カセット6内から一枚ずつ引き出され、搬送機構5に向けて供給される。
【0039】
記録用紙供給機構14は、全体として、所定位置に装填された用紙カセット6の下方と、用紙カセット6の下端部の周辺部に配置されている。記録用紙供給機構14は、用紙カセット6から記録用紙Pを引き出し搬送機構5に搬送する機能を有するものであり、たとえば、ホッパー機構26およびリタードローラー27等から構成される。つまり、ホッパー機構26により用紙カセット6内の記録用紙Pの下方側を前方(リタードローラー27側)に変位させることで、記録用紙Pをリタードローラー27に接触させる。そして、積層される記録用紙Pのうち最もリタードローラー27側に位置する一枚が、リタードローラー27の回転により搬送機構5に向けて搬送される。
【0040】
本実施の形態では、記録用紙供給機構14を、ホッパー機構26およびリタードローラー27等により構成しているが、かかる機構に限定されることなく、たとえば、ピンにより記録用紙Pを一枚ずつ取り出す機構や、記録用紙Pを吸引することにより取り出す機構を採用することもできる。また、プリンター1は、記録用紙収容部52に用紙カセット6を装填する構成とする他、記録用紙収容部52に用紙ストッカを設ける構成とすることで、用紙カセット6を用いることなく、記録用紙Pを直接用紙ストッカに装填する構成としてもよい。
【0041】
(搬送機構5)
搬送機構5は、記録用紙供給機構14から供給された記録用紙Pを用紙支持部材28と記録ヘッド3との間に形成される記録領域29に向けて搬送する機能を有し、搬送ローラー30、押さえローラー31およびガイド部材51等により構成される。搬送ローラー30は、駆動モーター32により駆動される。また、ガイド部材51は、用紙カセット6側から下方に向かって送られて来る記録用紙Pの進行方向を記録ヘッド3側となる上方に折り返すことができるように、下方に曲部を有するU字形状を呈している。
【0042】
記録用紙供給機構14によって用紙カセット6から搬送機構5に供給された記録用紙Pは、ガイド部材51によって搬送ローラー30と押さえローラー31との間に導かれる。そして、搬送ローラー30と押さえローラー31との間に導かれた記録用紙Pは、ガイド部材51に沿って、搬送ローラー30の回転により記録領域29に向けて搬送される。記録領域29は、記録用紙Pが記録ヘッド3からインクの噴射を受けることができる位置であり、記録領域29において記録用紙Pにインクによる記録が行われる。記録領域29に搬送された記録用紙Pは、用紙支持部材28から上方に向かって延設されるガイド部材33に沿って送られ、スマップローラー53とこれに従動して回転する従動ローラー54、および排紙ギザローラー34A,34Bと排紙ローラー35とにより排出口36よりプリンター1の外部に排出される。
【0043】
記録用紙Pは、紙面(記録面)を上下方向に沿わせた状態で用紙カセット6内に装填されている。また、ガイド部材33は、図4に示すように、用紙支持部材28から上方に向かって急な勾配で延設されている。ガイド部材51は、下方に曲部を有するU字形状を呈している。したがって、用紙カセット6内に紙面(記録面)を上下方向に沿わせた状態で装填されている記録用紙Pは、記録用紙供給機構14により下方に向けて搬送され、そして、ガイド部材51により搬送方向を上方に変化させられ、ガイド部材33に沿って排出口36から排出する構成とされる。つまり、プリンター1においては、記録用紙Pが搬送される経路である搬送経路は、上方から下方に向けて搬送される記録用紙Pが、下方で搬送方向が反転され上方に向けて搬送される略U字型を呈している。また、搬送機構5、記録ヘッド3、インクタンク装填部4は、全体として上下方向Z1−Z2に配列されている。このように、記録用紙Pの搬送経路を、曲部が下方に位置する略U字型とすると共に、搬送機構5、記録ヘッド3、インクタンク装填部4の配列方向を上下方向とすることで、プリンター1の前後方向の厚さを薄くすることができる。
【0044】
(排インク容器15)
排インク容器15は、主容器部37と延設部38とを有している。主容器部37の上部には開口部39が形成されている。主容器部37は延設部38に比べ、容量が大きく、排インクが貯留される主体部分となっている。排インク容器15は、主容器部37が、搬送機構5を挟んで、記録用紙給紙機構14の反対側に配置されている。すなわち、主容器部37、搬送機構5および記録用紙給紙機構14は、記録用紙給紙機構14の前方に、搬送機構5、主容器部37の順で配列されている。搬送機構5、記録ヘッド3およびインクタンク装填部4の配列方向が全体として上下方向Z1−Z2であるのに対し、記録用紙給紙機構14、搬送機構5および主容器部37の配列方向は、全体として水平方向Y1−Y2とされている。
【0045】
主容器部37は、排インク容器15の容量の大部分を占める。したがって、延設部38は、搬送機構5の前方に配置されていないで、搬送機構5の横(左側)に配置されているが、延設部38を含めた排インク容器15は、全体として、搬送機構5の前方に配置されていることになる。つまり、記録用紙給紙機構14、搬送機構5および排インク容器15は、後方から前方に向かって、記録用紙給紙機構14、搬送機構5、排インク容器15の順で配列されている。
【0046】
図3,4に示すように、記録ヘッド3および搬送機構5は、インクタンク装填部4の下方に配置されている。また、複数のインクタンク11A〜11Eが装填されるインクタンク装填部4は、前後方向の幅W1を有し、インクタンク装填部4の一部は、記録ヘッド3および搬送機構5の上方において前方に向けて競り出るように突出する突出部4Aとなっている。したがって、この突出部4Aの下方には、記録ヘッド3および搬送機構5の前方となる位置に空間40が形成される。そして、この空間40に、排インク容器15の一部である主容器部37が配置されている。つまり、空間40は、プリンター1内で、いわゆるデットスペースとして存在し、この空間40に排インク容器15を配置することで、プリンター1の容積の増大、すなわち外観の形状の大型化を抑えつつ、排インク容器15を配置することができる。
【0047】
空間40の左右方向の幅W2は、外装筐体7の内部空間の左右方向の幅に近い幅で確保でき、また、空間40の上下方向の高さH1は外装筐体7の底板部7Aとインクタンク装填部4の下面4Bとの間の内法間隔で確保することができる。したがって、主容器部37を左右方向あるいは上下方向に拡大することで、プリンター1の容積の増大を抑えつつ、主容器部37の容量を効果的に増やすことができる。排インク容器15は、プリンター1の中で最も低位置となる外装筐体7の底板部7Aに設置されている。したがって、プリンター1の重心位置の上昇を抑えつつ、排インク容器15をプリンター1に配置することができる。
【0048】
延設部38は、主容器部37の左端部に設けられ、駆動モーター32の下方に底板部7Aとの間に形成される空間に配置されている。該空間もいわゆるデッドスペースである。このように、該空間に、排インク容器15を延設することで、プリンター1の容積の増大を抑えつつ、排インク容器15の容量を効果的に増やすことができる。
【0049】
プリンター1においては、排インクチューブ22は、延設部38の天板41に形成される流入口としてのチューブ接続部42(図6,8参照)に接続されている。吸引機構13により吸引された排インクは、排インクチューブ22が接続されるチューブ接続部42から排インク容器15内に排出される。
【0050】
排インク容器15の内部には、たとえば、フェルト、パルプ、不繊紙等で形成されるインク吸収材43が収容されている。プリンター1においては、インク吸収材43は、排インク容器15内のほぼ全体に亘って収容されている。すなわち、インク吸収材43は、排インク容器15内に充填状態で収容されている。インク吸収材43は無数の繊維が絡み合って形成され、毛細管現象によりインクを引き込む機能を有している。したがって、チューブ接続部42から延設部38内に流入した排インクは、インク吸収材43に吸収され、インク吸収材43の全体に染み亘っていく。
【0051】
延設部38の高さH2は、主容器部37の高さH3よりも低い。したがって、仮に、排インク容器15内にインク吸収材43が収容されていない場合には、排インク容器15は、延設部38の高さH2以上にインクを貯留することはできない。しかしながら、排インク容器15内にインク吸収材43が収容されることで、主容器部37においては、高さH2を超えて排インクを収容することができる。
【0052】
インク吸収材43は、毛細管現象によりインクを保持する機能を有するため、チューブ接続部42よりも高い位置にインクを吸い上げた状態で保持することができる。つまり、排インク容器15内にインク吸収材43が収容されていることで、吸引機構13からの排インクを排インク容器15に流入させる流入口(チューブ接続部42)の配置の自由度を高くすることができる。たとえば、流入口を排インク排出部25よりも低い位置に配置することができる。そのため、流入口を排インク排出部25よりも高い位置に配置する場合に比べて、吸引機構13のポンプ(図示省略)の小型化あるいはポンプを駆動するための電力の消費を抑えることができる。
【0053】
なお、排インク容器15に、開口部39が形成されていることで、インク吸収材43に吸収された排インクの水分が蒸発され易い。水分が蒸発することで、インク吸収材43の許容吸収量が復元される。
【0054】
(制御ボックス16)
制御ボックス16内には、CPU(Central Processing Unit)や、プリンター1の各種動作に係る処理プログラムやデーター等が記憶されている各種のメモリ等が備えられる制御手段として制御基板(図示省略)等が収容され、該制御手段によって、上述の駆動モーター20,32、記録ヘッド3、吸引機構13のポンプ等の駆動制御等、プリンター1の動作の制御が司られる。
【0055】
(本実施の形態の主な効果)
以上のように液体噴射装置としてのプリンター1は、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド3と、記録ヘッド3からインクを吸引する吸引機構としての吸引機構13と、記録ヘッド3から噴射されるインクの噴射対象となるターゲットとしての記録用紙Pを収容するターゲット収容部としての記録用紙収容部52と、記録用紙収容部52から供給される記録用紙Pを、記録ヘッド3からの液体の噴射を受けることができる位置である記録領域29に搬送する搬送機構5と、吸引機構13から排出された排インクを貯留する排液容器としての排インク容器15とを有し、記録用紙収容部52、搬送機構5および排インク容器15は、記録用紙収容部52の側から搬送機構5、排インク容器15の順で配列されていることとする。
【0056】
プリンター1が上述の構成した場合には次のことが言える。つまり本実施形態において、排インク容器15を外装筐体7の底板部7Aの全体に敷き詰めるように配置する構成ではなく、記録用紙収容部52と排インク容器15とで、搬送機構5を挟むように配置している。排インク容器15を外装筐体7の底板部7A(搬送機構5の下方向)に配置しようとすると、排インク容器15の吸収能力を確保するためには、底板部7Aの全体に敷き詰めて配置するだけでなく、上下方向の厚みも必要となってくる。そうすると、プリンター1が高くなってしまうため、安定性を損ねてしまう。しかしながら、記録用紙収容部52と排インク容器15とで搬送機構5を挟むように配置する、言い換えると、記録用紙収容部52と排インク容器15との間に搬送機構5が配置されるようにすることで、デッドスペースを有効に活用できるだけでなく、プリンター1の高さを抑えることができ、安定性を高めることができる。この時、記録用紙収容部52と搬送機構5と排インク容器15とが全体として第1方向としての水平方向Y1−Y2に配列することになる。なお、上記の点は、プリンター1を縦置きにして使用した場合の効果であって、例えばプリンター1を横置きにして使用する場合(Y1−Y2方向が上下方向となる場合)には、Z1−Z2方向である所謂プリンター1の奥行きを抑えることができ、プリンター1の設置面積を削減することが可能となる。そして、プリンター1は縦置き、横置き両方が可能な兼用型のプリンターでなくても、縦置き専用のプリンターであっても構わない。
【0057】
また、プリンター1は、記録ヘッド3と、記録ヘッド3と異なる位置に配置され、液体容器としてのインクタンク11が装填される液体容器装填部としてのインクタンク装填部4と、記録用紙収容部52と、搬送機構5と、排インク容器15とを有している。そして、記録用紙収容部52、搬送機構5および排インク容器15は、記録用紙収容部52の側から搬送機構5、排インク容器15の順で配列され、また、搬送機構5、記録ヘッド3およびインクタンク装填部4は、搬送機構5の側から記録ヘッド3、インクタンク装填部4の順で配列されている。さらに、記録用紙収容部52、搬送機構5および排インク容器15の配列方向である第1方向としての水平方向と、搬送機構5、記録ヘッド3およびインクタンク装填部4の配列方向である第2方向としての上下方向とは互いに直交している。そして、インクタンク装填部4は、水平方向であって、記録ヘッド3および搬送機構5よりも前方側、すなわち、記録用紙収容部52が配置される側と反対側の方向に突出する突出部4Aを有している。排インク容器15は、突出部4Aから下方に沿って搬送機構5の側に形成される空間40に配置されている。排インク容器15は、突出部4Aの下方、すなわち、第2方向に沿う方向であって突出部4Aの搬送機構5の側に形成される空間40に配置されている。
【0058】
プリンター1が上述の構成を有することで、インクタンク装填部4の突出部4Aの下方に形成されるデットスペースとしての空間40内に、排インクタンク11を配置することができる。このように空間40内に排インクタンク11を配置することで、プリンター1の容積の増大を抑えつつ、排インクタンク11を設けることができる。
【0059】
なお、搬送機構5、記録ヘッド3およびインクタンク装填部4の配列方向である上下方向は、全体として上下方向に配列されていればよい。たとえば、記録ヘッド3に対して搬送機構5およびインクタンク装填部4が上下方向で重なる部分を有して配列される場合には、搬送機構5、記録ヘッド3およびインクタンク装填部4の配列は上下方向の配列とすることができる。つまり、記録ヘッド3に対して搬送機構5およびインクタンク装填部4が上下方向で重なる部分を有して配列されていれば、プリンター1を、横置き型のプリンターに比べて十分に、設置面積の小さな縦置き型のプリンターとして構成することができる。
【0060】
また、記録用紙収容部52、搬送機構5および排インク容器15の配列方向である水平方向も、全体として水平方向に配列されていればよい。たとえば、搬送機構5に対して記録用紙収容部52および排インク容器15が水平方向で重なる部分を有して配列される場合には、記録用紙収容部52、搬送機構5および排インク容器15の配列は水平方向の配列とすることができる。つまり、搬送機構5に対して記録用紙収容部52および排インク容器15が水平方向で重なる部分を有して配列されていれば、排インク容器15を搬送機構5の下方に配置する場合に比べてプリンター1の高さを低く抑えることができる。また、プリンター1の高さを低く抑えることで、故意的に振動が与えられない通常の使用態様において、プリンター1の設置時の安定性を十分確保できる高さに、プリンター1の重心位置を設定し易くなる。
【0061】
本実施の形態の説明においては、記録用紙収容部52、搬送機構5および排インク容器15の配列方向(第1方向)と、搬送機構5、記録ヘッド3およびインクタンク装填部4の配列方向(第2方向)との交差の状態について、互いに直交する旨の表現にて記載されているが、本発明に係るプリンター1を構成するに際しては、厳密な直交は要求されない。第1方向と第2方向とが交差するようにプリンター1を構成することで、プリンター1内に空間40を形成することができる。そして、この空間40に排インクタンク11を配置することで、プリンター1の容積の増大を抑えつつ、排インクタンク11を設けることができる。
【0062】
しかしながら、第1方向と第2方向との交差状態を直交状態あるいは略直交状態とすることで、空間40を形成しながら、プリンター1の設置面積をより小さなものとすることができる。なお、略直交状態とは、たとえば、記録ヘッド3に対して搬送機構5およびインクタンク装填部4が上下方向で重なる部分を有する範囲内で配列され、かつ、搬送機構5に対して記録用紙収容部52および排インク容器15が水平方向で重なる部分を有する範囲内で配列される場合は、第1方向と第2方向との交差状態は、略直交状態の範囲内で交差しているものとする。
【0063】
プリンター1においては、記録ヘッド3、インクタンク装填部4、搬送機構5の配列において、最も下側に搬送機構5が配置されている。このように、記録ヘッド3、インクタンク装填部4、搬送機構5を配置することで、記録用紙収容部52、搬送機構5および排インク容器15の3つが、プリンター1の下方側に配置されることになり、縦置き型プリンターであるプリンター1の重心をより低い位置に配置することができる。
【0064】
プリンター1に備えられる排インク容器15には、液体吸収材としてのインク吸収材43が収容されている。インク吸収材43は、吸い込んだインクをインク吸収材43内に保持することができる。そのため、排インク容器15にインク吸収材43が収容されていることで、プリンター1が転倒した際にも、排インク容器15から直ちにインクが漏れ出てしまうことを防ぐことができる。
【0065】
排インクチューブ22から延設部38内に配置されているインク吸収材43に流入した排インクは、インク吸収材43に吸収され、インク吸収材43の全体に染み亘っていく。そのため、排インク容器15の形状の自由度を高くすることができ、プリンター1内のデットスペースを利用して排インク容器15の容量の拡大を図ることができる。
【0066】
また、インク吸収材43は、毛細官現象によりインクを保持する機能を有するため、チューブ接続部42よりも高い位置にインクを吸い上げた状態で保持することができる。つまり、排インク容器15内にインク吸収材43が収容されていることで、吸引機構13からの排インクを排インク容器15に流入させる流入口の配置の自由度を高くすることができる。
【0067】
プリンター1においては、吸引機構13により記録ヘッド3から排出された排インクが排インク容器15に流入する流入口であるチューブ接続部42は、吸引機構13の排インクを受ける排液受け部としてのキャップ部23に形成される排インク排出部25よりも下方に配置されている。そのため、仮に、チューブ接続部42を排インク排出部25よりも高い位置に配置する場合に比べて、吸引機構13のポンプ(図示省略)の小型化あるいはポンプを駆動するための電力の消費を抑えることができる。また、プリンター1において、インク吸収材43は、チューブ接続部42の高さよりもさらに上方に向かって存在する部分が存在するように、排インク容器15内に収容されている。そのため、チューブ接続部42よりも高い位置に排インクを貯留することができ、排インク容器15に貯留することができる排インクの貯留量の増加を図ることができる。
【0068】
上述した排インク容器15は、図6に示される構成としてもよい。図6は、排インク容器15からインク吸収材43を取り除いた状態を斜め上方から見た図である。図7は、排インク容器15に収容されるインク吸収材43の示す斜視図である。図8は、排インク容器15にインク吸収材43が収容された状態を示す図である。
【0069】
図6に示すように、排インク容器15の主容器部37の内側には、左右方向に配列される複数(図示では3つ)の障壁44が形成されている。障壁44は、主容器部37の前板部37Aから後板部37Bに向けて突出する壁部である障壁44Aと、後板部37Bから前板部37Aに向けて突出する壁部である障壁44Bとを有している。障壁44A,44Bは、排インク容器15の底板部15Aに接続されている。障壁44Aと後板部37Bとの間は接続されず、流路45として形成されている。また、障壁44Bと前板部37Aとの間は接続されず、流路46として形成されている。そして、障壁44Aと障壁44Bとは、交互に配置されると共に、左右方向において重なり部を有するように、前板部37Aおよび後板部37Bからの突出量が設定されている。したがって、排インク容器15内には、障壁44Aと障壁44Bとにより、主容器部37の左右方向にラビリンス径路を呈する流路47が形成される。
【0070】
流路47がラビリンス径路を呈することで、排インク容器15内の排インクを左右方向に移動し難くすることができる。そのため、インク吸収材43に吸収された排インクを、チューブ接続部42側に逆流し難くすることができる。また、プリンター1の転倒時にも、排インク容器15から排インクがこぼれ難くすることができる。
【0071】
また、延設部38の内側にも壁部である障壁48A,48Bが形成され、延設部38内の排インクを前後方向に移動し難くしている。そのため、プリンター1の転倒時等に、排インク容器15から排インクがこぼれ難くすることができる。
【0072】
図7に示すように、インク吸収材43には、障壁44および障壁48A,48Bに対応した位置に、切れ込み50が形成されている。インク吸収材43を排インク容器15内に収容する際には、切れ込み50内に障壁44および障壁48A,48Bが差し込まれるようにして収容する。インク吸収材43に障壁44および障壁48A,48Bが挿入されることで、インク吸収材43が排インク容器15から抜け落ちたり、あるいは、収容される位置が偏ってしまうことを防止することができる。
【0073】
上述の実施の形態では、液体噴射装置の一例としてプリンター1を縦置き型のプリンターとして示したが、横置き型としてもよい。この場合には、第1方向は上下方向に沿う方向に配置され、第2方向は水平方向に沿う方向に配置されることになる。
【0074】
なお、上述の実施の形態におけるプリンター1の概念には、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したりする流体噴射装置を含むようにすることもできる。そのようなものとしては、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する流体噴射装置等がある。
【0075】
さらに、本発明の液体噴射装置の概念に含まれるものとしては、プリンター1の他、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置等がある。
【符号の説明】
【0076】
1 … プリンター(液体噴射装置) 3 … 記録ヘッド(液体噴射ヘッド) 4 … インクタンク装填部(液体容器装填部) 4A … 突出部 5 … 搬送機構 11 … インクタンク(液体容器) 13 … 吸引機構 14 … 記録用紙供給機構(ターゲット供給機構) 15 … 排インク容器(排液容器) 23 … キャップ部(排液受け部) 25 … 排インク排出部(排液排出部) 40 … 空間 42 … チューブ接続部(流入口) 43 … インク吸収材(液体吸収材) 44,48A,48B … 障壁 52 … 記録用紙収容部(ターゲット収容部)P … 記録用紙(ターゲット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドから前記液体を吸引する吸引機構と、
前記液体噴射ヘッドから噴射される前記液体の噴射対象となるターゲットを収容するターゲット収容部と、
前記ターゲット収容部から供給されるターゲットを、前記液体噴射ヘッドからの液体の噴射を受けることができる位置に搬送する搬送機構と、
前記吸引機構から排出された排液を貯留する排液容器と、
を有し、
前記ターゲット収容部、前記搬送機構および前記排液容器は、前記ターゲット収容部の側から上記搬送機構、上記排液容器の順で配列されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
上記液体噴射ヘッドと異なる位置に配置され、上記液体が貯留される液体容器が装填される液体容器装填部を備え、
上記搬送機構、上記液体噴射ヘッドおよび上記液体容器装填部は、上記搬送機構の側から上記液体噴射ヘッド、上記液体容器装填部の順で配列され、
上記ターゲット収容部、上記搬送機構および上記排液容器の配列方向である第1方向と、上記搬送機構、上記液体噴射ヘッドおよび上記液体容器装填部の配列方向である第2方向とは、互いに交差し、
上記液体容器装填部は、上記第1方向に沿う方向であって、上記ターゲット収容部が配置される側と反対側の方向において、上記液体噴射ヘッドおよび搬送機構よりも突出する突出部を有し、
上記排液容器は、上記第2方向に沿う方向であって上記突出部の上記搬送機構の側に形成される空間に配置されている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置であって、
前記第1方向は水平方向に沿う方向であり、前記第2方向は上下方向であり、
前記搬送機構、前記液体噴射ヘッドおよび前記液体容器装填部の配列において、前記搬送機構が最も下側に配置されている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体噴射装置であって、
前記排液容器内には、液体吸収材が収容されている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液体噴射装置であって、
前記吸引機構によって前記液体噴射ヘッドから排出された前記排液が前記排液容器に流入する流入口は、前記吸引機構の上記排液を受ける排液受け部に形成される排液排出部よりも下方に配置され、
前記液体吸収材は、上記流入口から上方に向かって存在する部分が存在するように、前記排液容器内に収容されている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の液体噴射装置において、
前記排液容器の内部には、前記排液容器内に排出された液体の移動を妨げることができるラビリンス径路を形成する障壁が形成されている、
ことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−91433(P2012−91433A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241840(P2010−241840)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】